2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,341名(単体) 19,644名(連結)
  • 平均年齢
    44.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.0年(単体)
  • 平均年収
    8,932,051円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

(2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(名)

楽器

14,552

(5,567)

音響機器

4,076

(1,028)

その他

1,016

(276)

合計

19,644

(6,871)

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

(2) 提出会社の状況

(2024年3月31日現在)

従業員数(名)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与

2,341

(228)

 

44才     10ヵ月

19年       3ヵ月

8,932,051

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

楽器

1,276

  (131)

音響機器

808

 (75)

その他

257

   (22)

合計

2,341

  (228)

 

(注) 1 従業員数は就業人員数であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・

有期労働者

8.2

85.5

78.3

78.2

65.2

 

(注)1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推

進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

3 男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、賃金は基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除いております。パート・有期労働者については正社員の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。

4 各指標における計算の対象期間は2023年4月1日から2024年3月31日までであり、出向者は出向元の従業員として集計しております。

5 労働者の男女の賃金差異について、賃金制度・体系において性別による差異は無く、主として賃金の高い高位職層における女性比率が低いことによるものであります。女性活躍推進への取組については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

(株)ヤマハミュージックジャパン

12.0

0.0

(注)3

71.7

81.6

76.8

(株)ヤマハミュージックリテイリング

34.6

50.0

(注)2

61.2

71.7

77.5

(株)ヤマハミュージックマニュファクチュアリング

83.3

(注)3

81.1

79.4

93.3

(株)ヤマハコーポレートサービス

42.9

(注)3

87.7

84.9

84.5

 

(注)1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

4 男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しており、賃金は基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除いております。パート・有期労働者については正社員の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。

5 各指標における計算の対象期間は2023年4月1日から2024年3月31日までであり、出向者は出向元の従業員として集計しております。

6 労働者の男女の賃金差異について、賃金制度・体系において性別による差異は無く、主として賃金の高い高位職層における女性比率が低いことによるものであります。また、一部企業において、女性パート・有期労働者の比率が高いことにより、主として賞与等による差異が生じております。女性活躍推進への取組については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) ヤマハグループサステナビリティ方針

ヤマハグループは、世界中の全ての人々が心豊かに暮らす社会を目指します。その実現のために、企業理念である「ヤマハフィロソフィー」を心のよりどころに、かけがえのない地球環境を守り、平等な社会と快適なくらし、心潤す音楽文化の発展に貢献するとともに、人権尊重はもとより、多様な人材が互いに認め合い活躍できる環境を整えることで、未来に向かって新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます。

この考え方に基づき、持続可能な社会の実現に向けた取り組みによる社会価値の創造を通じ、自らの中長期的な企業価値を高める為、マテリアリティを特定し、積極的にサステナビリティ活動を推進します。

 


 

① ガバナンス

ヤマハ(株)は、取締役会の監督に基づき、代表執行役社長の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、グループ全体のサステナビリティ活動の方向性の議論や、グループ内における取り組み状況のモニタリングを行い、代表執行役社長に答申しております。また、同委員会の下部組織として「気候変動部会」「資源循環部会」「調達部会」「人権・DE&I部会」「社会・文化貢献部会」を設置しております。各部会は、以下に示す全社横断的な重要テーマについて、推進体制の整備、方針や目標・施策・実行計画の策定、活動およびモニタリングを行い、サステナビリティ委員会へ報告しております。

 

◆気候変動部会:脱炭素、TCFD対応、水リスク対応など

◆資源循環部会:循環型バリューチェーン、環境配慮設計、包装梱包など

◆調達部会:木材デューディリジェンス、持続可能な木材、おとの森活動、サプライチェーン人権デューディリ
  ジェンス、紛争鉱物対応など

◆人権・DE&I部会:人権デューディリジェンス、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンなど

◆社会・文化貢献部会:音楽普及、地域共生など

 

 

サステナビリティ委員会の審議内容、ヤマハグループにおける活動状況については取締役会に定期的に報告され、取締役会によるレビューを受けております。

 

2024年3月期のサステナビリティ委員会活動状況

活動実績:7回開催

主な議題:

・2023年3月期サステナビリティ活動レビュー

・TCFD報告内容の審議

・今中期経営計画におけるサステナビリティ活動の進捗確認、課題についての議論

・外部有識者との対話会

 

当社の2024年6月25日現在のサステナビリティ推進体制は下図のとおりであります


 

ヤマハグループのサステナビリティマネジメントの詳細についてはウェブサイトをご覧ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/management/

 

② 戦略

ヤマハグループでは、社会の持続的発展と中長期的な企業価値向上につながる重要な課題を「サステナビリティに関するマテリアリティ」として特定し、これをサステナビリティ方針に組み込むとともに、経営全体のマテリアリティに統合し、活動を推進・管理しております。

 

<取り組み例>

・持続可能な木材の利用

ヤマハグループが生産しているピアノや弦打楽器、木管楽器など楽器の多くは、主に木材でつくられております。事業活動において多種多様な木材を使用していることを踏まえ、生物多様性や生態系を損ねることなく、貴重な木材資源を持続的に活用していけるよう、木材デューディリジェンスの推進や、原産地コミュニティーと連携した良質材の育成(おとの森活動)などを進めております。木管楽器の重要な材料である「アフリカン・ブラックウッド」の原産地であるタンザニア連合共和国では、同樹種の生態や森林の管理状態を調査。同樹種を楽器素材として持続的に利用できるビジネスモデルの実現に向け、森林保全と楽器生産、地域コミュニティー開発の観点から、植林技術の導入や土地利用の改善、材料利用技術の開発などを2015年から進めております。

 

 


 

 


 

 


木材デューディリジェンス(訪問調査)

 植栽後6年で3m程度に成長した

アフリカン・ブラックウッド

各地での立地環境調査

 

 

木材資源への取り組みの詳細はウェブサイトをご覧ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/biodiversity/

 

・音楽文化の普及、発展

ヤマハグループでは、国内外で、学校における音楽教育の支援活動や、音楽、楽器を通じた地域貢献や音楽普及活動に取り組み、音楽教育の発展、青少年の健全育成、コミュニティーの活性化などに寄与しております。新興国を中心に公教育における音楽と楽器を使った活動の普及を目指す「スクールプロジェクト」では、2024年3月期までに、7カ国で累計302万人の子どもたちに音楽と楽器を楽しむ機会を提供しております。音楽教育は、その教育的効果から世界中の学校で広く採用されていますが、中には、設備・指導者不足、指導カリキュラムなどの問題から導入自体がされていなかったり、質が十分ではなかったりと、国によって状況はさまざまであります。ヤマハでは、このプロジェクトを通し、世界中の子どもたちが公教育の中で質の高い音楽教育を受ける機会に等しく恵まれることを目指しております。

 


 


 

インドでの音楽授業の様子

マレーシアでのパイロット授業の様子

 

 

 

学校音楽教育への支援に関する取り組みの詳細はウェブサイトをご覧ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/social/community-support/

 

 

③ リスク管理

ヤマハグループのバリューチェーンにおけるサステナビリティ課題を、持続可能な開発目標SDGsなどに照らして抽出し、お客さま、従業員、地域社会の声や、ESG評価項目、NGOからの意見・要請や社外有識者の提言、企業理念や経営ビジョン、中長期的な経営方針を踏まえ、リスクと機会の観点で重要度を評価し、推進を強化すべき課題(サステナビリティに関するマテリアリティ)を特定しております。特定したマテリアリティについて、サステナビリティ委員会の各部会、関係部門にて施策や達成度合いを測るKPI、目標および実行計画を策定します。サステナビリティ委員会が進捗をモニタリングすることで、マテリアリティの取り組みを推進し、リスクの低減を図っております。

 

特定プロセスを含むマテリアリティの詳細についてはウェブサイトをご覧ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/materiality/

 

④ 指標及び目標

特定したマテリアリティに基づき、2022年4月~2025年3月の中期経営計画「Make Waves 2.0」では、方針、重点テーマ、指標(KPI)と目標が設定されています。サステナビリティに関する主なKPIと目標は以下のとおりであります。

 


 

サステナビリティKPI・目標詳細と2024年3月期の実績についてはウェブサイトをご覧ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/overview/materiality/

 

 

⑤ 社外からの評価

サステナビリティ活動に対する主な社外からの評価は以下のとおりであります。

 

MSCI ESG RATINGS

企業のESGに関する取り組みやリスク管理能力を分析し、最上位ランクAAAから最下位ランクCCCまでの7段階で評価するMSCI ESGレーティングにおいてAAA評価を獲得しております。

 

THE USE BY YAMAHA CORPORATION OFANY MSCI ESG RESEARCH LLC OR ITS AFFILIATES (“MSCI”) DATA, AND THE USE OF MSCI LOGOS, TRADEMARKS, SERVICE MARKS OR INDEX NAMES HEREIN, DO NOT CONSTITUTE A SPONSORSHIP, ENDORSEMENT, RECOMMENDATION, OR PROMOTION OF YAMAHA CORPORATION BY MSCI. MSCI SERVICES AND DATA ARE THE PROPERTY OF MSCI OR ITS INFORMATION PROVIDERS, AND ARE PROVIDED ‘AS-IS’ AND WITHOUT WARRANTY. MSCI NAMES AND LOGOS ARE TRADEMARKS OR SERVICE MARKS OF MSCI.

 


 

 

FTSE4Good Global Index

英国・ロンドン証券取引所グループのFTSE Russell社が、環境、社会、ガバナンスの観点から企業を評価する指標に選定されております。

 

FTSE Russell (the trading name of FTSE International Limited and Frank Russell Company) confirms that Yamaha Corporation has been independently assessed according to the FTSE4Good criteria, and has satisfied the requirements to become a constituent of the FTSE4Good Index Series. Created by the global index provider FTSE Russell, the FTSE4Good Index Series is designed to measure the performance of companies demonstrating strong Environmental, Social and Governance (ESG) practices. The FTSE4Good indices are used by a wide variety of market participants to create and assess responsible investment funds and other products.

 


 

 

社外からの評価の詳細についてはウェブサイトをご覧ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/evaluation/

 

 

(2)気候変動・生物多様性への対応とTCFD・TNFD(気候関連財務情報開示タスクフォース・自然関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示

 

 当社グループはTCFD、TNFDの提言に基づき、気候変動や生物多様性に関わるリスクや機会を分析し、経営戦略に反映させるとともに、その財務的な影響についての情報開示に努めていきます。

 

① ガバナンス

気候変動対応や自然関連の依存、影響、リスク、機会及び関連する課題(先住民族や地域コミュニティ、影響を受けるステークホルダーに関する人権方針やエンゲージメント活動を含む)の評価と管理は代表執行役社長の諮問機関であるサステナビリティ委員会(2024年3月期は7回開催)で評価、管理され、取締役会にて監督されております。これらへの対応は同委員会の下部組織である気候変動部会、資源循環部会、調達部会で審議され、進捗は逐次サステナビリティ委員会に報告されます。また、持続的かつ社会的な価値向上への取り組みをより強く動機付ける趣旨から、2022年4月の中期経営計画「Make Waves 2.0」より、役員報酬の一部である譲渡制限付株式報酬の評価指標に気候変動を含むサステナビリティを中心とした非財務目標の区分を加えております。

 

 先住民族、地域社会とのエンゲージメントにかかる当社グループの取り組み状況

 TNFD 提言では、地域社会や先住民族の権利への配慮の重要性が取り上げられており、経営陣を含めた組織全体のガバナンスのなかでの取り組みが求められております。 当社グループは、ステークホルダーとの約束において、地域・社会に対して良き企業市民として社会・文化の発展に貢献することを掲げております。その基盤となる公正・公平な社会を実現するため、人権に関する国際的な規範(国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約(社会権規約、自由権規約))、国際労働機関(ILO)「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、国連グローバル・コンパクトおよびビジネスと人権に関する指導原則など)を尊重しております。サプライチェーンにおける人権課題についても、英国および豪州で制定された現代奴隷法で求められる要件に基づくステートメントを開示しております。このような意識のもと、当社グループは、事業活動のあらゆる側面において人権を尊重する責任を果たす努力を続けていくため、「ヤマハグループ人権方針」を策定しております。同方針は専門家からの助言や、全グループ企業からの意見聴取、ヤマハ株式会社の経営会議での審議を経て、代表執行役社長が承認し、ヤマハグループの人権尊重の考え方および責任について示し、かつ、「コンプライアンス行動規準」など人権尊重への取り組みを含む文書の上位に位置づけられます。本方針はヤマハ株式会社およびその連結子会社の全ての役員と従業員に適用され、ヤマハグループの事業活動に反映されます。同方針に、自らの事業活動について人権デューディリジェンスを実施することで人権への負の影響を特定、回避、緩和するよう努めることを明記し、バリューチェーンを対象範囲として、外部専門家との連携や自社グループおよびサプライヤー等に対するモニタリングを通じて人権課題の特定と影響評価を実施しております。加えて、ヤマハグループ木材調達方針のもと、調達する木材が、伐採や取引の過程において、先住民の人権を侵害するなど地域社会に悪影響を及ぼしていないことを確認することとしております。具体的には、使用木材の合法性確認やリスク評価、環境・社会に配慮された認証木材の積極的な導入を進めております。2023年には地域社会への影響も含めた木材リスク確認の実効性向上をはかるため、国際的な環境団体Preferred by Nature(PbN)監修のもと、木材の持続可能性を評価する自社基準を制定しました。

 TNFDによるステークホルダーとのエンゲージメント追加ガイダンスを踏まえ、今後、事業活動における自然関連の依存とインパクトやリスクと機会の特定に基づく、ステークホルダーエンゲージメントを強化していく必要性を認識しております。

 

 

② 戦略

 当社はグループ全体に及ぶ気候変動と生物多様性についての影響を確認するため、全事業を対象にシナリオ分析を行い、短期・中期・長期(注1)のリスクと機会を抽出しました。(表1)

 また、特に影響が大きいと予想される木材は、気候変動による影響の有無および大小を把握するために、将来の生育適域の変化を文献にて調査し、推計しました。(表2)

 気候変動に関しては国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ(注2)」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ(注3)」をメインに、その他複数のシナリオ(注4)を使用し分析しました。

 生物多様性に関してはリスク分析ツール「ENCORE」(注5)にて事業プロセスに関連する自然への依存と影響の項目を抽出し、リスク・機会が大きいものに関しては、TNFDが推奨しているシナリオを参考に「生態系の劣化」と「規制・思想」を2軸に4つのシナリオを定義し、分析しました。 

  当社は、気候関連課題・自然関連課題が、事業、戦略、財務計画に大きな影響を与える可能性があるという認識のもと、リスクや機会を整理し、戦略の見直しを随時実施しております。(表3)

 

(注1)短期:現在-数年後/中期:2030年/長期:2050年に影響が強く表れる

(注2)1.5℃シナリオ:NZE(IEA World Energy Outlook 2022)、2℃未満シナリオ: RCP2.6 他

(注3)4℃シナリオ:RCP8.5 他

(注4)APS(Announced Pledges Scenario)、STEPS(Stated Policies Scenario)他

(注5)ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure):事業プロセスに関連する自然関連の依存と影響、その大きさの評価ツール。TNFDフレームワークにて使用を推奨されている

 

(表1)特に重要度の高いリスク・機会一覧と対応戦略

分類説明

 


気候変動関連

 


生物多様性関連

 


気候変動・生物多様性双方関連

 

R…リスク(Risk) O…機会(Opportunity)

…発現期間 短期 …発現期間 中期 …発現期間 長期

分類

項目

 

事業、戦略、財務計画への潜在的な影響

自然資本への影響

 

ヤマハの対応策

 


自然災害

・自然災害による施設の損傷、人的被害及びこの影響による生産の停止

・サプライチェーンの被災による生産停止及び仕入値高騰に伴うコストの増加

・損害保険料の増大

・ヤマハグループ拠点(製造・営業・物流)を対象に洪水リスクと損害の再評価を行い、想定される自然災害に対して事前対策や保険付保内容の見直しを実施

R

 


木材生育

適域変化

・木材の価格上昇、品質低下

・木材代替に要する技術的、仕様変更コスト

・気温上昇、降水・気象状況の変化に伴う木材生育状況悪化による調達コストの増加

・温暖化による生育適域変化予測調査実施(表2)

・希少材料を代替する新素材や木材加工技術開発(木材技術、木材調達スキルの社内保持・強化)

R

 


カーボンプライシング

・炭素税などの導入による生産、調達コストの増加

・2031年3月期におけるグループ内エネルギーコストは成り行きで10億円から20億円程度増加する予測

・徹底したエネルギー削減、再生可能エネルギーの利用推進による排出削減計画実施(削減目標達成によりエネルギーコスト増加分を4.5億円から9億円程度に抑制できる見込み)

・ICP(インターナルカーボンプライシング)を設定し(14,000円/t-CO2)、低炭素設備投資を促進

・サプライヤーと連携した排出削減の推進

R

 


インドア

活動化

・屋内での活動機会増加に伴う楽器需要の増加

・リモートワーク、オンラインイベント・ゲームの拡大による通信機器の需要拡大

・動画配信の拡大に伴う音響機器の需要拡大、ライブと配信のハイブリッドイベントがデファクトスタンダード化

・音響、信号処理、通信技術の融合によるリモート、オンラインイベント用ソリューションの提供

・遠隔でのライブ、レッスン、合奏の実現による新たな顧客体験の創造

O

持続可能な木材の利用

 


木材の代替、有効活用

・森林の持続可能性に配慮した製品が、顧客や投資家からの評価を高め、市場での競争力を向上させる

・代替材料の確保による希少樹種の保護

・持続可能性に配慮した木材使用率増加

・既存の希少資源を代替する新素材や木材加工技術開発(木材技術、木材調達スキルの社内保持・強化)

・適正な品質基準の設定、端材の有効利用等による歩留まり向上

・楽器適材の調達を持続可能にする「おとの森」活動

 

O

 


林産地劣化

・木材の過剰伐採や林産地の水不足、水質汚染、土壌劣化により良質な楽器適材が入手困難となる

・木材の価格上昇、品質低下

・生態系の劣化を招いたと見做され、評判が低下する

R

 


林産業の撤退

・木材の入手が困難になり、木材代替に要する技術的、仕様変更コストが発生

・環境に配慮した企業の増加により森林クレジット市場が拡大し、木材の安定調達に影響

・持続可能性に配慮した木材使用率増加

・楽器適材の調達を持続可能にする「おとの森」活動

R

 


木材の輸入規制

・規制対象木材を使用する製品の生産停止による損失

・規制対象木材代替に要する技術的、仕様変更コストが発生

・持続可能性の低い木材使用の削減、代替

R

 


認証材の安定調達

・環境意識の高い顧客、サプライチェーンからの支持

・持続可能性の小さい木材を使用し続けることに対する評判リスクの回避

・持続可能な木材調達による森林保護

・持続可能な森林から産出される認証材の利用拡大

O

有害物質削減

 


事業プロセスで使用する化学物質(VOC、毒劇物)や油による汚染

・製造現場からの排出もしくは漏洩事故により、生態系に悪影響を与える

・評判の低下、汚染の回復費用、損害賠償費用、漏洩対策設備改善、管理強化コスト発生

・環境設備に関する構造の基準を定め、漏洩事故の防止に努める

・漏洩リスクを抽出し、想定緊急事態について対応訓練を実施

・VOC削減プロジェクトを設置

・排出先の水域の水質や生物への影響についての調査を実施

R

 


有害廃棄物による汚染

・土壌、地下水の汚染による評判の低下、損害賠償費用、汚染の回復費用発生及び生態系劣化

・法規制が厳格化され、コスト増加

・有害廃棄物の排出削減、適正処分

・有害物質の使用制限

R

水の保全

 


事業プロセスや生活で使用する水の不足

・水不足による事業活動の停止・遅延

・水不足地域での多量の水利用による評判の低下

・水使用の削減計画に沿った水リサイクル、節水活動の実施

R

 

 

 

 

(表2)戦略 木材生育適域変化予測

 


 

 

(表3)特に重要度の高いリスク・機会一覧とシナリオ分析

 


 

 

 


影響は現在の延長線上

 


影響は拡大

関連なし

 

 

分類

項目

気候変動

自然資本

依存影響

R リスク

O 機会

リスク・機会のタイプ

1.5℃~2.0℃

シナリオ

4.0℃シナリオ

規制↑生態系↓

規制→生態系↓

規制↑生態系↓

規制→生態系↓

気候変動への対応

 


自然災害

 


 


R

物理(急性)

 


木材生育適域変化

 


 


R

物理(慢性)

 


カーボンプライシング

 


 


R

移行(政策・法的)

 


インドア活動化

 


 


O

製品・サービス

持続可能な木材の利用

 


木材の代替、有効活用

 


 


 


 


 


 


影響

O

効率・リソース

製品・サービス

評判

 


林産地劣化

 


 


 


 


 


 


依存

影響

R

物理(慢性)

 


林産業の撤退

 


 


 


 


 


 


依存

R

移行(政策・法的)

移行(市場)

 


木材の輸入規制

 


 


 


 


依存

R

移行(政策・法的)

 


認証材の安定調達

 


 


 


 


影響

O

生態系保全

持続可能な利用

有害物質削減

 


事業プロセスで使用する化学物質(VOC・毒劇物)や油による汚染

 


 


 


 


影響

R

物理(急性)

移行(技術)

移行(評判)

 


有害廃棄物による汚染

 


 


 


 


影響

R

物理(慢性)

移行(政策・法的)

移行(評判)

水の保全

 


事業プロセスや生活で使用する水の不足

 


 


 


 


 


 


依存

R

物理(慢性)

 

 

自然資本に対する分析

 

 ◆LEAPアプローチ

 TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は、さまざまな業種の企業が自然関連課題の評価・管理・情報開示ができるようフレームワークを作成しており、その中で、LEAPアプローチ(注1)を推奨しています。ヤマハではこのLEAPアプローチに則り、当社の自然関連課題を評価・分析しました。

 

 Locate

 ヤマハは楽器・音響機器・その他(部品・装置等)の3つの領域でグローバルに事業を展開しております。その中でも、楽器事業はヤマハの売上の6割以上を占める主要事業の一つであり、その原材料は自然資本に依存し、自然との接点が大きい事業です。中でも木材はあらゆる楽器に使用されており、当社の事業と密接に関連しております。一般的に木材はプラスチック等と比べるとエコで持続的な材料であると考えられていますが、楽器用材の中には木材の持つ特性や風合いにより用途を限定的にしている代替困難なものもあり、その持続性が問われております。

また、SBTN(The Science Based Targets Network)の公開している評価ツールの一つであるHigh Impact Commodity List(注2)では、木材は“High Impact Commodity”に該当しており、科学的な面で見ても自然への影響が大きい原材料といえます。そのため今回の評価では、自然への依存度・影響度が高いと考えられる木材について検討を行うこととしました。

 

 「木材調達」優先地域の特定

 ヤマハが調達する代替困難な木材の原産エリアを世界地図にプロットし、その中でも特に重要な樹種の原産地を優先地域として特定しました。(図1)

 

(図1)

 


 

 

 

 Evaluate Assess

 Locateで特定した優先地域の依存と影響関係の評価については、TNFDが推奨する自然関連リスク分析ツール「ENCORE」(注3)にて事業プロセスに関連する自然への依存・影響を抽出(図2および図3)した結果、林産物の調達セクターは多くの生態系サービスに依存関係を持ち、GHG排出量・陸生生態系利用・水質汚濁の面で自然に影響を与える事が分かりました。更に事業を通じた自社の知見も加え、依存度と影響度の大きさを分析し、特に重要な項目のリスクと機会についてダブルマテリアリティ(注4)を採用して一覧化(表4)しました。

 

(図2)依存関係

 


 

(図3)影響関係

 

 


 

 

(表4)

依存

分類・項目

依存度

リスク

機会

ヤマハの活動

供給

サービス

自然資源

木材の枯渇・規制の強化により調達コストが増加、または調達不能となる恐れ

森林資源保全の推進

→安定した使用量の確保

→資源使用量に対する資源成長量の維持・促進

新技術の開発(代替材・技術開発)

→過剰伐採の抑制

→環境に配慮した製品による評価向上

おとの森活動による持続的育成

希少木材の効率的利活用

・木材加工、再生技術の開発 →適切な利用

・希少木材を代替する新素材 →新しい価値

水の枯渇により木の生育・原産地コミュニティの住民生活に悪影響

原産地森林機能の維持・回復(水源涵養)

コミュニティにおける生活用水インフラの整備

おとの森活動で森林を健全に保つことによる水源保持

おとの森活動による地域開発支援

調整

サービス

水質・水量・水流調整

木質原材料産地の洪水・水供給不足・水質汚染により木の生育・原産地コミュニティの住民生活に悪影響

土質調整・土砂保持・微生物分解

木質原材料産地の土壌劣化により木の更新・生育が阻害され個体数が減少し調達コストが増加、または調達不能となる恐れ

森林被覆面積の維持・回復

原産地森林の植生の維持・回復

おとの森活動による森林回復に向けた取り組み

・林内植栽による森林の更新サイクルの促進

・農業用地への現地有用種の植栽

生態系保全

(受粉・生息環境維持・害虫駆除)

木質原材料産地の生態系劣化により木の生育が阻害され、個体数減少、材質劣化により調達コストが増加、または調達不能となる恐れ

森林保全活動による生態系の維持・機能回復

遺伝子多様性の担保

 

おとの森活動での持続的育成・機能保全

・林内植栽による希少種の保全と多様性維持

自然災害緩和

洪水や暴風雨による生育阻害ならびに調達不能

 

木質原材料産地の森林火災、延焼により木の更新・生育が阻害され、個体数が減少して調達コストが増加、または調達不能となる恐れ

原産地森林機能の維持・回復(水源涵養)

 

森林火災の抑制、森林機能回復

おとの森活動で森林を健全に保つことによる水源保持

 

おとの森活動での森林火災抑制への取組み

・植林地周辺での防火帯の設置

・早期火入れによる乾季延焼の抑制、植生維持

騒音減衰

気候調整

木質原材料産地の気候変動により木の生育適域が変遷し、個体数が減少して調達コストが増加、または調達不能となる恐れ

重要種の生育環境の把握・種の保全

新技術の開発(未利用資源の利活用・技術開発)

→特定種の過剰伐採の抑制

→原産地の賦存資源の地産地消

おとの森活動で森林を健全に保つことによる森林機能の維持

・林内植栽による希少種の保全と多様性維持

・希少種の立地環境の研究、育苗技術の開発

希少木材の効率的利活用

希少木材原産地や、生産工場立地国内での未利用資源の効率的利用

 

 

 

 

影響

分類・項目

影響度

リスク

機会

ヤマハの活動

生態系

利用

陸域

圧縮、露出、機械的損傷によった土壌劣化・浸食増加による土壌の性質悪化と植生変化

→木質原材料産地の劣化により種の個体数が減少

→地滑り・森林火災のリスク増加

→人口増加、農畜産用地への森林の転換による資源減少

森林被覆面積の維持・回復

原産地森林の植生の維持・回復

コミュニティにおける土地利用の改善

 

おとの森活動による森林回復に向けた取り組み

・林内植栽による森林の更新サイクルの促進

・農業用地への現地有用種の植栽

・コミュニティでの森林管理技術の導入、支援

 

淡水

海洋

汚染

非GHG大気汚染

土壌汚染

水質汚染

固形廃棄物

資源利用

水の供給

多種多様な木材の供給

原産国別の規制強化による調達性低下

資源減少による木材の材質低下、調達性の低下

持続可能性に配慮した木材の優先的利用

新技術の開発による利用可能な木材の最適化(集約と多様化)

持続可能性に配慮した木材利用の推進

・自社基準の設定

・木材デューディリジェンスの実施

おとの森活動による持続的資源育成

・唯一性の高い希少資源の保全

木材の効率的利活用

・木材加工・再生技術の開発

・希少木材原産地や、生産工場立地国内での未利用資源の効率的利用

気候変動

温室効果ガズ

現場での重機の使用、製炭、木材・製品の輸送、生産活動、製材・製品・梱包材の廃棄焼却により発生

→気候変動による種の植生変化・生息地減少

→気候変動による災害の頻発

森林資源保全の推進

→森林機能による炭素固定

→資源使用量に対する資源成長量の維持・促進

新技術の開発(代替材・技術開発)

→過剰伐採の抑制

→木材利用効率の改善・向上

→原産地の賦存資源の地産地消

資源の再利用

おとの森活動による資源保全

・森林モニタリングによる炭素固定評価機能の開発

・植林、環境保全による資源の持続的育成

木材の効率的利活用

・木材加工・再生技術の開発

・希少木材原産地や、生産工場立地国内での未利用資源の効率的利用

外来種

その他

外来種侵入

騒音公害

 

 

 

 

Prepare

LEAPアプローチのL、E、Aの分析により特定された依存、影響、リスク、機会に対応するため、これらを評価し管理するための戦略や開示指標を設定しました。「④ 指標及び目標」をご覧ください。

その他、今回の分析で特定された優先地域における、持続的な木材調達に関する具体的な取り組みについては、おとの森活動(注5)紹介ページをご覧ください。

 

(注1)LEAPアプローチ:企業の自然との接点、依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題を判定 するための統合的な評価方法。スコーピングを経て、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップを踏むことで、企業は自社にとって重要な自然との接点を評価することができる。

(注2)自然への影響が大きいとされるコモディティ(原材料)をリスト化したもの。

(注3)ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure):事業プロセスに関連する自然関連の依存と影響、その大きさの評価ツール。

(注4)ダブルマテリアリティ:環境が企業に与える影響だけでなく、企業が環境に与える影響も含めるという考え方。

(注5)おとの森活動 https://www.yamaha.com/ja/stories/environment/otonomori/

 

 

③ リスクと影響の管理

当社では、代表執行役社長の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、企業活動・行動に関わる気候変動や生態系に関連するものを含むすべてのリスクを対象とした全社横断的な評価の仕組みを採用し、リスクの抽出と評価を行っております。(注)

サステナビリティ委員会の下部組織である気候変動部会、および環境部門では、シナリオ分析結果をベースに「損害規模」と「発生頻度」を評価し、リスクと機会(上流および下流のバリューチェーンにおける自然関連の依存関係、影響を含む)をリスト化しております。特に重要なリスクと機会への対応は関連する他の部会(資源循環部会、調達部会)や部門が随時協働して行い、その進捗はモニタリングされ、サステナビリティ委員会に報告されます。また、サステナビリティ委員会や部会の担当範囲を超える対応が必要となる重要なリスクおよび機会については、逐次取締役会へ報告され、対応方針を審議検討しております。

気候変動部会および資源循環部会、調達部会が属するサステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会はどちらも代表執行役社長が委員長であり、両プロセスは有機的に連動しております。

 

(注)リスク管理の取り組み https://www.yamaha.com/ja/sustainability/governance/risk-management/

 

 


 ④ 指標及び目標

当社ではサプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理するため、温室効果ガスの総排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)をGHG(温室効果ガス)プロトコルのスタンダードに基づき算出し、指標としております。また、これらについて第三者検証を実施しております。

また、TNFDが開示を求めるコアグローバル指標と当社の開示状況については以下の表のとおりです。

 

〇依存と影響に関する指標

No.

分類

指標

開示内容

開示規模

当社グループの現時点での開示・対応

-

気候変動

GHG排出量

GHG排出量

(スコープ1,2)

国内主要拠点及び海外生産拠点

ESGデータにて開示

GHG排出量

(スコープ3)

ヤマハのサプライチェーン

ESGデータにて開示

C1.0

土地・淡水・海水の利用変化

管理している土地の総フットプリント

所有している土地面積

国内外主要拠点一部

有価証券報告書にて開示

C1.1

土地・淡水・海洋利用の変化の範囲

新たに活動を開始・廃止した拠点面積

国内主要拠点及び海外生産拠点

対象無しのため開示無し

植林活動による植栽面積

おとの森活動によるアフリカン・ブラックウッドの当年度までの合計植林面積

おとの森活動ページにて開示

C2.0

汚染・汚染除去

土壌に放出された汚染物質(種類別)

土壌への汚染物質の放出量

国内主要拠点及び海外生産拠点

土壌汚染につながる物質の放出は無い

C2.1

排水

排水量

国内主要拠点及び海外生産拠点

ESGデータにて開示

主要汚染物質

国内主要拠点

計測しているが開示未対応

C2.2

廃棄物の発生と処分

廃棄物の発生量

国内主要拠点及び海外生産拠点

ESGデータにて開示

再資源化率

国内主要拠点

ESGデータにて開示

C2.3

プラスチック汚染

使用したプラスチックパッケージの量

開示未対応

容器包装リサイクル法の報告数値は算出済だが開示未対応

C2.4

GHG以外の大気汚染物質

NOx,SOx排出量

国内主要拠点

ESGデータにて開示

VOCの排出量

開示未対応

開示準備中

C3.0

資源利用・補充

水不足地域からの水の取水と消費

水源別の取水量、消費量及びリサイクル率

国内主要拠点及び海外生産拠点

ESGデータにて開示(地域別は未対応)

C3.1

陸地・海洋・淡水から調達される高リスクの天然資源の量

形態別及び伐採地域別の木材調達量

ヤマハのすべての木材調達

ESGデータにて開示 (m3単位)

持続可能性に配慮した木材使用率

ESGデータにて開示

 

 

 

  〇リスクと機会に関する指標

分類

指標

当社グループの開示状況

リスク

自然関連の移行リスクに対して脆弱であると評価される資産、負債、収益および費用(合計および割合)

未対応

自然関連の物理的リスクに対して脆弱であると評価される資産、負債、収益および費用(合計および割合)

自然関連の悪影響による重大な罰金や訴訟の説明と金額

2024年3月期は該当なし

機会

自然関連の機会獲得に向けた設備投資、資金調達、または投資の金額

未対応

自然に明らかなプラスの影響をもたらす製品やサービスからの収益の増加とその割合(影響の説明付き)

 

 上記のうち、現時点で分析が完了していないものについては「未対応」としておりますが、今後分析に取り組み、可能な項目から随時公開してまいります。

 

 これらを踏まえ、重要な気候変動及び自然関連の依存、インパクト、リスク、機会を評価し管理するための指標とターゲットを以下のとおり設定しております。

分類

指標

ターゲット(目標/基準年/目標年)

気候変動への対応

スコープ1+2 GHG排出量(第三者検証)

▲55%/2018年3月期/2031年3月期 

*NetZeroコミットメント

スコープ3 GHG排出量(第三者検証)

▲30%/2018年3月期/2031年3月期 

*NetZeroコミットメント

省エネによるCO2排出量削減

(CO2排出量/生産高)

▲5%/2018年3月期/2031年3月期

持続可能な木材の利用

持続可能性に配慮した木材使用率

75%/2025年3月期

楽器材料となる希少樹種 3樹種の育成・保全

育成・保全対象を3樹種に拡大/2025年3月期

有害物質削減

新規小型製品 梱包材プラスチック使用

使用廃止/2025年3月期

有害性廃棄物排出量

目標策定予定

水の保全

取水量(第三者検証)

▲15%/2018年3月期/2031年3月期

 

 

 2031年3月期までに2018年3月期比でスコープ1+2を55%削減(SBTイニシアティブ1.5℃水準)、スコープ3を30%削減する中期目標を策定し、スコープ1+2については2051年3月期までにカーボンニュートラルを達成するという長期目標を設定しております。また、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、2023年6月にSBTのNetZero策定をコミットしました。(図1.「低炭素社会への移行計画」参照)目標を達成するための短期目標として、2025年3月期までに省エネによるCO2排出量削減 (CO2排出量/生産高)を掲げております。

 

 

 木材を持続可能な形で利用し続けるには、森林保全や木材資源量への配慮と、サプライチェーンが経済的にも持続可能であるよう、雇用創出やインフラ整備といったコミュニティの発展に資することが必要です。ヤマハグループでは、木材デューディリジェンスの仕組みを構築し、購入する木材の原産地や伐採の合法性、資源の持続可能性に関する書類調査を実施し、その結果、リスクが高いと判断された木材については、現地訪問を含む追加調査および木材調達部門やサステナビリティ部門で構成する審査会での審議を通じて、より厳格な合法性などの確認を行っております。2024年3月期は木材デューディリジェンスに用いるリスク評価の基準を刷新しました。その中の、持続可能性の確認まで含めた「持続可能性に配慮した木材」の基準については、2023年5月に国際的な環境団体Preferred by Nature監修のもと新たに制定しております。これまでは第三者によって持続可能と判定された認証木材の使用率を拡大することで持続可能な木材利用に取り組んできましたが、樹種によっては認証木材の流通量が少なく、認証木材以外の持続可能性を評価できないことが課題でした。本基準では、非認証木材に対し、デューディリジェンスを通じて持続可能性を客観的に判断するための評価項目・判断基準を定めております。2022年4月に発表した中期経営計画では、2025年3月期までに持続可能性に配慮した木材使用率を75%にする目標を掲げております。今後も評価スキルの向上や調査のための十分なリソース確保を通じてデューディリジェンスの精度向上を図りながら、サプライヤーと連携し、持続可能性に配慮した木材の利用拡大を進めていきます。(図2.「ネイチャーポジティブへの移行計画」参照)

 

指標及び目標に関する最新データはESGデータ<環境>を参照ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/related-information/esg-data/pdf/environment.pdf

 

(図1)低炭素社会への移行計画 

 


当社はサプライチェーンを含めたグループ全体のCO2削減を横断的に管理し、温室効果ガスの総排出量(スコープ1、スコープ2、スコープ3)を着実に削減していくことで、人間社会および地球のあらゆる生物の脅威となる急速な気候変動を緩和し、脱炭素社会への移行に貢献します。

 

(図2)ネイチャーポジティブへの移行計画

 


ネイチャーポジティブを目指し、事業活動や製品が生物多様性に与える影響をバリューチェーン全体で考慮し、悪影響を最小限に抑える取り組みを推進します。特に森林保全に注力し、サステナブルな木材活用に努めつつ、楽器適材の育成を推進します。

 

 

参考

当社おける気候変動への対応とTCFD及びTNFDに基づく情報開示の詳細につきましては、下記URLをご参照ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/

木材資源への取り組みの詳細につきましては、下記URLをご参照ください。

https://www.yamaha.com/ja/sustainability/environment/biodiversity/

 

 ⑤ 社外からの評価

・CDPにおける気候変動調査で最高評価を獲得

当社は、国際的な環境非営利団体CDP(注)より、「気候変動」分野における積極的な取り組みと透明性が評価され、最高評価「CDP2023 気候変動Aリスト企業」に選出されました。当社のAリスト入りは2022年3月期以来2回目となります。2024年3月期は、世界中の主要企業約23,000社が回答し、気候変動「Aリスト」企業には、全世界で362社、うち日本企業は112社が選出されました。当社は今後も、脱炭素・ネイチャーポジティブに向けたアクションを着実かつ継続的に進めていきます。

 

(注)CDPは、企業や自治体の環境情報開示のための世界的なシステムを有する国際的な非営利団体です。現在では136兆米ドル以上の資産を保有する740を超える署名金融機関と協働しており、2023年には、世界の時価総額の3分の2に相当する23,000社以上、そして1,100以上の自治体を含む、世界中の24,000を超える組織がCDPの質問書を通じて環境情報を開示しました。CDPはTCFDに完全に準拠した質問書に基づく世界最大の環境データベースを有し、CDPスコアはネットゼロ、持続可能でレジリエントな経済を構築するために投資や調達の意思決定に広く活用されております。

 


 

 

(3) 人的資本

 当社は、人材の多様性を新たな価値創造の源泉と考え、従業員の多様な個性や自律性を尊重し、能力開発およびキャリアアップの機会を公平に提供しております。

 また、従業員一人ひとりが感性・創造性をいかんなく発揮し、自己実現を図りながらプロフェッショナルへと成長するための環境整備に努め、グローバルに人材マネジメントを推進することで、人的資本の最大化と事業の発展、企業価値の持続的向上を目指しております。

 

 ① 指標及び目標

 当社は、中期経営計画「Make Waves 2.0」の柱の一つとして掲げた「ともに働く仲間の活力最大化」を6つの領域に要素分解するとともに、3つの重点テーマと目標を定め、これらに基づく人事施策の実行と、その効果測定を行っております。6つの領域と3つの重点テーマは以下の通りであります。

 なお、詳細な施策および成果は、「④ 戦略と具体的取り組み」をご参照ください。

 

<「ともに働く仲間の活力最大化」6つの領域

<3つの重点テーマ

 


 


 

② リスク管理

 人的資本に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 人材・労務」をご参照ください。

主な対策として、グループ人材マネジメント規程および関連するガイドラインを策定し、グループ各社に対して、その周知及び実施状況のモニタリングを行っております。

 

③ ガバナンス

人的資本に関するガバナンスについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等」をご参照ください。

主な施策として、代表執行役社長の諮問機関として経営会議および人材開発委員会を設置し、経営会議では経営に関する重要な人事事項を、人材開発委員会では経営人材に関わる諸テーマを審議し、代表執行役社長に答申しています。その他、人権やダイバーシティに関する取り組みを推進するため、サステナビリティ委員会の下部組織として人権・DE&I部会を設置しております。

 

④ 戦略と具体的取り組み

当社は、「ともに働く仲間の活力最大化」を要素分解した6つの領域において、人事施策の実行と効果測定を行っております。

 

 6つの領域に対応する、主な施策とその目的、実績および成果は下記の通りであります。

 

 1. 方針・戦略の共有

 経営層と従業員の「想い」を密に共有する施策を打ち出すことで、従業員一人ひとりが企業理念・ヤマハフィロソフィー・ブランドプロミスを深く理解し、日々の行動実践につなげることを目指しております。

 

主な施策

目的

実績・成果

• 社内広報活動の充実(グループ報・イントラサイト上での情報発信など)

• フィロソフィーに基づいた社長表彰制度

• グループ共通教育実施(フィロソフィー・ブランドプロミス他)

• 経営理念・方針への共感

• 戦略の浸透

• 組織を超えた相互発展・一体感醸成

 

• 期初・月次の社長メッセージ発信

• 隔月のグループ報発行、イントラサイト上での年間約380本(日英計)の記事発信

• ヤマハブランドに思いをはせる社内イベント「Yamaha Day」のグローバル開催(当日視聴・ダイジェスト動画視聴者数計10,926名)

• 年間100件の社長表彰エントリー

 

 

 2. 貢献と成長の実感

 従業員が、自らの発意で成長や挑戦の機会を得られ、業務を通じて自らの能力をいかんなく発揮し、会社や社会への貢献と、自らの成長を実感できるような環境づくりを行っております。ヤマハ(株)では特に、従業員のキャリア自律と専門性向上に重点を置いた施策を導入し、グループ企業に対しても順次展開を進めております。

 

主な施策

目的

実績・成果

• 教育投資の増強

• キャリア関連教育の充実

• キャリア面談の強化

• ジョブ・スキル体系の整備・公開と人材情報の可視化

・従業員の成長促進

• 教育投資金額 前中期経営計画比1.2倍

• ヤマハ㈱管理職220名の面談者研修受講

• キャリア開発・面談時間 前年比3倍

• ヤマハ㈱従業員3,158名のタレントマネジメントシステム上へのスキル・キャリア登録

• 社内公募制度の再開

• スキル・キャリア情報のマッチング活用

•実践機会の提供

• 計86件の社内公募を実施

• 人材情報の活用事例創出

 

 

 3. 個の尊重

 「ヤマハグループDE&I方針」に基づき、人材の多様性を新たな価値創造の源泉と考え、その前提となる公平性に配慮するとともに、多様なバックグラウンドを持った“個”が自分らしく活躍できるための体制づくりや風土の醸成を行っております。

 

主な施策

目的

実績・成果

• メンタリングプログラム(ヤマハ㈱) などの女性リーダー育成施策

• アンコンシャス・バイアス研修

• 国際女性デーを記念したグループ全体での取り組み

• 女性の活躍機会拡大

• 活躍を後押しする風土の醸成

• 女性管理職比率の着実な上昇

ヤマハ㈱雇用者 8.2%(対前年+0.6pt)、

グローバル 19.4%(対前年+2.1pt)

• 国内外グループ企業48社の取り組み参加

• LGBTQ+へのAllyの取り組み

• 性的マイノリティ当事者の働きやすさ向上

• アジア最大級のLGBTQ+関連イベント「東京レインボープライド」への出展

• クロスボーダー配置の促進

• グローバル選抜研修

• 国籍にとらわれない適所適材・人材活用

• クロスボーダー配置の実施拡大

• 国内外従業員15名のグローバル幹部候補者研修参加

 

 4.風通しが良い組織風土

 2021年3月期より実施している「働きがいと働きやすさに関する意識調査」の結果分析を通じ、従業員および組織の活力最大化の土台となる「風通しが良い組織風土」の醸成に努めております。なお、2024年3月期のグローバルでの調査回答率は86%(対前年+4pt)であります。

 

主な施策

目的

実績・成果

• 人事部門による、職場別組織開発活動の効果向上・自走化支援

• 働きがい、働きやすさの指標改善

• 「働きがい」肯定的回答率向上

(66%、対前年+1pt)

• 「働きやすさ」肯定的回答率向上

(65%、対前年+1pt)

• 多様な対話機会の創出

• 挙手性参加型傾聴トレーニング実施と受講者コミュニティ形成

• 組織・立場を超えたコミュニケーションの量・質向上

• 社長による職場訪問企画実施(24回、のべ312名参加)

• ヤマハ㈱管理職96名の受講、組織を超えた活動・学びの共有の場創出

 

 

5. 多様で柔軟な働き方

 さらなる事業の発展と個人の充実した生活の両立を実現するため、多様な価値観・ライフスタイルを尊重したワークライフバランス支援を積極的に推進しております。

 ヤマハ(株)では、自律的で生産性の高い働き方を目指し制度や仕組みの見直しを行い、従業員が心身の健康維持と仕事・プライベート両面の充実を図りながら能力を発揮できるよう、個別の事情に寄り添った柔軟な制度や職場環境の整備を行っております。

 

主な施策

目的

実績・成果

• 勤務柔軟化施策の拡大・定着

• 柔軟な両立支援制度の整備

• 自律的で生産性の高い働き方実現

• ライフイベントへの柔軟な対応

• テレワーク制度の運用定着

• 単身赴任者・介護事由者向けの通勤圏拡大

• 育児・介護・治療に関する法定以上の両立支援制度の整備

• 海外赴任帯同および介護事由の退職者に対する再雇用制度

• 副業実施基準の明確化

• 従業員の働き方・

自己実現の選択肢拡大

• 68件の副業承認

 

 

6. いきいきと働ける職場環境

 「ヤマハグループ健康宣言」を掲げ、従業員が「心身ともに健やかに自分らしく生きる(Sound Living)」ことを実現するために、「安心して働ける環境(Sound Minds)」と「健康維持増進(Sound Bodies)」に寄与する施策を展開しております。

 

主な施策

目的

実績・成果

• 定期健康診断受診率100%の定着

• 健康管理の基本行動徹底

• 定期健康診断受診率・産業医による就業区分判定実施率100%(6年連続)

• ストレスチェックの年次実施

• 休職者の復職支援体制強化

• EAPによる外部相談窓口の設置・社内周知

• メンタルヘルスケアの促進

• ストレスチェック受験率94.6%

• 新規職場復帰支援プログラムの導入

(産業保健スタッフ・管理監督者・人事部門・社外精神科医やEAPが連携)

• 喫煙対策(敷地内全面禁煙 他)

• 長時間労働の対策・予防

従業員の健康維持増進

• 喫煙率低減

(ヤマハ㈱9.9%、国内グループ企業13.3%)

• 管理職を含む労働時間のモニタリング、事前注意喚起

 

 

 

⑤ 社外からの評価

 DE&I、両立支援、健康経営に関する取り組みや成果が認められ、ヤマハ(株)およびヤマハグループ企業にて、以下の評価・表彰を得ております。

 

<活動に対する評価・表彰(一部抜粋)>

健康経営優良法人

ホワイト500

 

PRIDE指標

ゴールドマーク

経済産業省・日本健康会議主催の、従業員の健康管理を経営視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人を認定する「健康経営優良法人認定制度」。ヤマハ(株)は通算7回、(株)ヤマハコーポレートサービスは6回認定。

 


 

任意団体「work with Pride」が策定する、企業・団体などにおけるLGBTQなどの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標。

ヤマハ(株)は2019年から5年連続で最高位「ゴールド」を受賞。

 

 


 

 

 

次世代育成支援に関する

「くるみん」「プラチナくるみん」認定 

 

D&I Award 2023

「ベストワークプレイス」

厚生労働省が次世代育成支援事業主を認定する制度。ヤマハ(株)は2008年に「くるみん」、2016年に「プラチナくるみん」認定を取得。ヤマハコーポレートサービス(株)は、2018年に「くるみん」、2021年に「プラチナくるみん」認定を取得。

 


 

(株)JobRainbowが主催・運営する、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業を認定する日本最大のアワード。ヤマハ(株)は2022年に続き、2023年も最高位の「ベストワークプレイス」に認定。