2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    122名(単体) 1,764名(連結)
  • 平均年齢
    43.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    9.7年(単体)
  • 平均年収
    7,120,667円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)

905

[240]

エネルギーソリューション事業(BtoB事業)

224

[126]

非エネルギー事業

513

[1,232]

全社(共通)

122

[16]

合計

1,764

[1,614]

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

122

[16]

43.5

9.7

7,120,667

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

全社(共通)

122

[16]

合計

122

[16]

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

2.平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、当社から社外への出向者及び、社外から当社への出向者を除いています。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、主にシナネングループ労働組合(当社)が組織されており、上部団体には加盟していません。なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性

労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1、6

全労働者

労働者

臨時雇用者

(注)3、5

11.1

33.3

57.8

58.2

121.7

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.臨時雇用者は、パートタイマー及び有期雇用社員の従業員を含み、派遣社員を除いています。

4.対象期間は2023年4月から2024年3月までです。

5.男性臨時雇用者1名が中途で入社したことによる数値となります。

6.正規雇用労働者については、給与体系は同一の体系を適用しており男女のいずれかであることを理由に不利益が生ずることはありません。男女の賃金の差異は当社の人員構成の特性上、女性社員の平均年齢は男性と比較して低く、若年層の比率が高くなることや等級構成が影響し、平均給与に差が生じております。また臨時雇用労働者については、男女間における給与制度上の差はありませんが、職種や勤務時間等が異なるため、平均給与に差が生じています。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1、7

全労働者

労働者

臨時雇用者

(注)3

全労働者

労働者

臨時雇用者

(注)3

ミライフ西日本株式会社

3.8

63.1

66.4

66.9

ミライフ株式会社

2.8

16.8

16.8

65.4

71.6

78.0

ミライフ東日本株式会社

3.6

50.0

100.0

0.0

63.6

71.1

68.7

シナネン株式会社

6.3

100.0

100.0

65.4

62.1

232.8

(注)4

シナネン石油株式会社

0.0

84.8

83.1

94.9

シナネンサイクル株式会社

0.0

100.0

100.0

100.0

50.4

95.3

50.4

シナネンアクシア株式会社(注)5

2.2

50.0

50.0

72.7

78.7

83.6

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.臨時雇用者は、パートタイマー及び有期雇用社員の従業員を含み、派遣社員を除いています。

4.時間限定勤務の男性臨時雇用者が殆どを占めることによる数値となります。

5.2023年10月1日に設立した会社のため、対象期間は2023年10月から2024年3月までで算出しています。

6.対象期間は2023年4月から2024年3月までです。

7.正規雇用労働者については、給与体系は同一の体系を適用しており男女のいずれかであることを理由に不利益が生ずることはありません。男女の賃金の差異は当社の人員構成の特性上、女性社員の平均年齢は男性と比較して低く、若年層の比率が高くなることや等級構成が影響し、平均給与に差が生じております。また臨時雇用労働者については、男女間における給与制度上の差はありませんが、職種や勤務時間等が異なるため、平均給与に差が生じています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の詳細に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」を企業理念に掲げ、創業以来90年以上にわたって、お客様にエネルギーをお届けしています。

昨今、国連サミットでのSDGsの採択やCOP21におけるパリ協定の発効などを契機に、サステナビリティ・脱炭素に関する企業への対応要請が高まっており、事業やビジネスモデルの変革が必要不可欠となっています。

そういった状況の中、当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献し、ステークホルダーの皆様の信頼に一層応えるべく、サステナビリティ基本方針を2022年5月、下記のとおり策定し、2022年6月には、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言への賛同を表明しています。

 

 

シナネンホールディングスグループは、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」という企業理念に基づき、お客様、お取引先、株主・投資家、従業員、地域社会などあらゆるステークホルダーを尊重し、企業活動を通じて「持続可能な社会の実現」に貢献するとともに、当社グループの「持続的な成長」と「企業価値の向上」を目指してまいります。

 

1.脱炭素社会の達成に向けて、社会・環境問題の解決へ真摯に取り組みます。

2.お客様・お取引先との相互の信頼と透明で公正な関係を築きます。

3.個人の人権、多様な価値観を尊重するとともに、働きがいのある職場環境を実現します。

4.安全安心な製品・サービスの提供により、社会生活基盤を支え、持続可能な社会の実現に貢献します。

5.経営情報を適時・適切に開示し、経営の透明性を高めます。

6.法令や社会規範を遵守し、公正、誠実な企業活動を実現します。

 

 

 

また、2023年4月からスタートした第三次中期経営計画の非財務目標を設定するにあたっては、国際的なガイドラインを参照しつつ、当社グループとステークホルダーの皆様にとって重要と考える社会課題を、網羅的にリストアップしました。そのリストアップした課題について、当社グループのミッションとバリューを踏まえ、課題の重要度と緊急度の両面から検証を行った後、経営陣での議論、取締役会の決議を経て、気候変動への対応として「脱炭素社会に対応した事業構造への転換」を、人的資本経営の一環として「社員の市場価値の向上」の2つを、第三次中期経営計画の非財務目標に設定いたしました。なお、サステナビリティへの取組みとして、当社グループのマテリアリティ(重要課題)についても、同じ内容を掲げています。

 

①ガバナンス

当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題と捉え、当社代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ推進委員会」を2022年度より設置し、サステナビリティ全般に関する課題をグループ全体で把握し、具体的な対応策や目標設定について協議を行っています。

サステナビリティ推進委員会は、リスク・コンプライアンス委員会の委員長であるチーフ・コンプライアンス・オフィサーを副委員長とすることでグループ全体のリスク管理の網羅性を高め、グループ全体の取り組みを管掌する関連部門責任者を委員とすることで、事業との連動性を強化する体制としています。

委員会での議論・決定内容は取締役会に適宜報告し、取締役会においては対応策の承認と必要な助言を行う体制としております。

また、委員会の取り組み進捗状況については年1回以上委員会より取締役会に報告する体制としています。

 

<サステナビリティ推進体制図>

 

 

②戦略

当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題として認識しており、気候変動におけるリスク及び機会のシナリオ分析を実施しています。分析の対象は想定される財務インパクトの大きさから、当社グループ売上高の80%以上(2021年3月期実績)を占める石油事業、ガス事業としています。

分析の時間軸は、移行リスク、物理的リスクが大きく顕在化する2050年を分析時間軸と設定し、4℃・2℃それぞれのシナリオについて分析を行っています。

リスク分析の手法としては、SDGs目標やTCFD推奨開示項目から当社グループの事業と関連が深い項目を特定し、移行リスク、物理的リスクのそれぞれの算定を行っています。

分析作業は事業への影響度が高い移行リスクを中心とし、物理的リスクでは主に自社で所有する不動産に対する自然災害の影響度合いを算定しました。

各項目に対してリスクと機会を整理し、発生時期を短期・中期・長期、影響度を小・中・大に分類しています。

区分

項目

リスク

機会

発生時期

影響度

移行

リスク

政策規制

炭素税・炭素価格の導入

・炭素価格導入による化石燃料の需要減

・炭素価格導入による燃料調達コスト増

中~長期

脱炭素目標の設定

・未達時のクレジット購入コスト増加

・達成時のクレジット販売による収益増加

中~長期

市場

エネルギーミックスの変化/エネルギー価格の増減

・運送費のエネルギー調達コスト増

・エネルギー価格高騰による需要減

・再生可能エネルギー事業の収益拡大

・石油代替燃料の販売拡大

短~中期

脱炭素製品の市場シェア向上

・電気自動車、水素自動車の普及によるガソリン需要減

・LPガスの低炭素燃料推進

短~中期

技術

脱炭素・低炭素新技術登場

・バイオプラ等、脱炭素素材の普及による石油等の売上減

・環境対応の車両等の機器導入コストの増加

・環境配慮車両の燃費向上、物流効率化に伴うコスト減

・スマートメータ導入・配送効率化による運送費の削減

短~中期

中~大

新技術開発への投資リスク

・再生可能エネルギー等の投資対象における、投資コスト増加および投資対象の陳腐化

・再生可能エネルギー等への投資における収益拡大

中~長期

レピュテーション

消費者の脱炭素選好による需要変化

・石油・ガス事業へのダイベストメントが加速する事による資金調達コスト増加

中~長期

ステークホルダーからの懸念の増加

・気候変動対応の要請増による対応コスト増

中~長期

小~中

物理的

リスク

急性リスク

台風/豪雨による水害の発生

・保有資産の毀損復旧費・対策費・保険料の増加

・営業可能日利用制限による収益減少

・配送遅延・事故の増加に伴うコスト増加

・サプライチェーン分断による事業継続への影響

・浸水リスクの高地域の物件の資産価値減少

・ライフライン分断にともなうLPガスの備蓄増加

短~中期

慢性リスク

海面水位の上昇

・湾岸エリア等に所在する工場、施設への浸水

・物件の移転コスト

中~長期

平均気温の上昇

・平均気温・水温上昇に伴う、ガス需要の低下

中~長期

 

リスク・機会の評価の中で選定した項目のうち、影響度が高い以下の項目について、関連するシナリオとパラメータの選定を行い、4℃・2℃それぞれのシナリオに関する財務インパクト評価を行っています。

シナリオ分析により特定した項目については、リスクの最小化、機会の最大化を実現すべく、中期ビジョン(2023~2027年度)に反映させており、今後戦略のレジリエンスを高めてまいります。

 

<影響度が高い項目>

気候変動による売上の変化

気候変動による費用の変化

需要減に伴う販売量減少

・炭素税・炭素価格の導入によるエネルギー価格の高騰とそれによるエネルギー需要減

・水素・電気自動車等の普及に伴う需要減

・脱炭素素材普及に伴う石油等の需要減

・気温上昇・水温上昇に伴うガス需要減

炭素税・炭素価格の導入に伴う費用の増加

・炭素税・炭素価格の導入による費用の増加

・炭素排出量未達に伴う炭素クレジットコストの費用増加

再エネ事業の販売拡大

運送費の増加

・エネルギー価格(ガソリン代、軽油代等)の高騰に伴う運送費の増加

・EV車両等の設備投資と運送コストへの価格転嫁による運送費の増加

化石代替燃料の販売拡大

設備投資の増加

・台風・洪水等の水害に伴う設備費の増加

 

 

③リスク管理

当社グループは、気候変動関連の規制や事業への影響等のリスク要因を幅広く情報収集・分析しています。

留意すべき重要な機会とリスクについては「サステナビリティ推進委員会」で評価・特定を行い、事務局である成長戦略部が監督・モニタリングを実行します。

また、チーフ・コンプライアンス・オフィサーがサステナビリティ推進委員会の副委員長とリスク・コンプライアンス委員会の委員長を兼任し、両委員会で問題を共有することで、組織のリスク管理を統合しています。

 

④指標及び目標

当社グループは、気候変動のリスク及び機会を評価・管理するための指標としてGHG排出量と炭素生産性の2つを設定し、事業成長とGHG排出量の削減を同時に実現してまいります。

 

<GHG排出量>

Scope1~3全体の排出量を算定した上で、削減目標としては自社努力による削減余地が大きいScope1、Scope2に対象を絞り目標を設定しています。

対象年度

削減目標

2030年度

Scope1+Scope2 50%削減(2016年度対比)

2050年度

Scope1+Scope2 カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)

 

 

<炭素生産性>

事業成長と共に環境負荷が低い企業グループへと変革を遂げるべく、より少ない炭素排出量で効率的な企業活動を行う指標として設定しています。

対象年度

削減目標

2027年度

6%向上(2016年度対比)

 

※炭素生産性=売上総利益÷GHG排出量(Scope1~3)

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

なお、当社グループの気候変動に関する考え方及び取組の詳細は以下をご参照ください。

https://sinanengroup.co.jp/sustainability/environmentalinitiatives/responsetotcfd/

 

(2) 人的資本

当社グループの人的資本に関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の詳細に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①ガバナンス及びリスク管理

グループ全体の人事戦略の推進にあたっては、グループ企業合同によるグループ人事責任者会議を年に4回開催し、その内容について経営層へ報告しています。2023年度は人財育成、ダイバーシティ&インクルージョン、働き方改革をテーマとし、グループ横断での人事施策活性化を図りました。

経営戦略に則った人事戦略の推進において、人財・組織の課題が企業活動に重要な影響を及ぼす経営リスクの一つであると認識しています。外部環境の変化を見据えた人財・組織の課題について経営との議論を重ね、グループ全体のリスクマネジメントを担う部署との連携により以下のリスクを特定・管理しています。

 

<人財の採用・能力開発に関わるリスク>

■人財不足・スキル不足

■人財・後継者の育成遅れ

 

<労働環境の悪化に伴うリスク>

■職場環境の悪化(安全衛生管理)

■労働意欲低下

■離職率の上昇

 

<人権に関わるリスク>

■性別、年齢、国籍などの違いによる雇用差別

 

これらのリスクについては、課題を検証すると共に対応策を検討し、リスク低減に努めています。

 

 

②戦略

当社グループは2027年に創業100周年を迎えます。ビジョンとして掲げている “脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化”を実現するためには、組織全体の力を結集する必要があり、その中でも経営基盤である人財への投資が不可欠であると考えています。また、2020年に有志社員の自発的な行動から、「選ばれ続ける人と組織になること」を目的に風土改革が始動し、100周年に向けた組織ビジョン「Spiral Up Company ~情熱とワクワクのエネルギー好循環組織~ 」を掲げました。これらの実現のために、社員個人の自律的成長に向けて、意識・行動・コミュニケーションの面から変革を推進する活動である“風土改革”と多様な人財から選ばれ続けるための“働き方改革”の両輪を成すことで、社員の成長を支援し、持続的に成長し続ける組織を目指します。

 


 

③指標及び目標

第三次中期経営計画において、「企業価値は社員の市場価値の総和である」という考えの下、「社員の市場価値の向上」を非財務目標の一つとして掲げており、特に重要と考える3つの目標を設定しています。

 


一つ目は、「エンゲージメント」です。当社においてエンゲージメントとは、「社員と会社が対等で、成長に貢献し合う関係」と定義しています。働き方が多様化している昨今、当社で働き続ける選択をしてくれた社員に「成長を実感できた」「人生が豊かになった」と感じてもらえるよう、会社は社員が成長できる環境や働きがいが得られる環境を整え支援する必要があると考えています。そのため、本指標は「社員の市場価値の向上」における最重要KPIであると認識しています。多様な社員が活躍できる環境を整備することで、エンゲージメント指数(組織風土調査における当社の満足度指数)を、2028年3月期には4.0以上へと向上させていきます。

二つ目は、「教育投資」です。社員の自律的なキャリア形成を仕組みにすることで、自らのキャリアについて考え、その実現のために努力できる機会を提供したいと考えています。成長を実感できる組織とするべく、教育機会を拡充し、社員1人当たりの年間教育訓練時間を2028年3月期には25.0時間まで増加させたいと考えています。

三つ目は、「ダイバーシティ&インクルージョン」です。ダイバーシティ(多様性)を推進し、新たな価値を創出するためには、多様な価値観を取り入れることが必要です。そのため、積極的に女性社員を登用し、意思決定の場に女性を増やしていきます。具体的には、女性管理職比率を2028年3月期には20.0%以上へと向上させていきます。

 

指標

実績

目標

エンゲージメント指数

2024年3月期

3.46

2028年3月期

4.0以上

社員一人当たりの年間教育訓練時間

2024年3月期

16.5時間

2028年3月期

25.0時間

女性管理職比率

2024年3月期

5.0%

2028年3月期

20.0%

 

 

 

④目標達成にむけた施策

 

◇社員の自律的成長に向けて、意識・行動・コミュニケーションの面から変革を推進する風土改革

<風土改革>

当社グループにおける風土改革の本質は、「個を高め、活かし合う」ことです。一人ひとりがより豊かな人生を歩んでいくために、「個の成長」を考え行動し、会社は社員を支援する環境をつくりサポートしていくことで、「自由闊達な組織風土」の醸成に取り組んでいます。

 


 

2020年から2027年にかけて、“連携”と“挑戦”を通期のテーマとし、ビジョンに合わせた年度毎のテーマに沿って、事業会社毎の推進者(変革リーダー)とともに風土改革を推進しています。2023年度は、風土改革の本質の理解、浸透への注力を継続しながら“自発性”をテーマに、社員一人ひとりが自身のキャリアについて向き合う「一人ひとりの意志・想いを大切にする1年」としました。一般社員から経営層までを巻き込み、事業会社毎の施策や経験を互いに共有する中で、年齢、役職関係なく発言しやすい環境になってきた一方、組織風土調査の数値結果に大きな変化はなく、目指す組織ビジョンの実現にはまだ十分ではない現状があります。

組織ビジョンを実現し、選ばれ続ける人と組織となるために、2024年度は「情熱・ワクワク」をテーマに、部長職以上を対象とする経営チームへの研修を設け、各職場での実践や変化を促します。また、「強み・特性」にフォーカスした“期待”を起源とするコミュニケーションの促進を行うことで社員一人ひとりが「やりがい・働きがいを感じながら生きる1年」とできる風土を目指します。

 

<社員の育成方針>

経営基盤強化を加速させる施策の一つに「人財育成の推進・人財の適正配置の実現」を掲げています。当社グループでは「人財」を最も重要な財産の一つと位置づけており、社員一人ひとりの成長が会社の成長に繋がる、つまり社員の市場価値の向上が会社の企業価値の向上に繋がると考え、社員教育を投資と捉えて教育機会の提供を行っています。

 

■人財育成の推進

具体的な施策を展開するにあたり、「人財育成ポリシー」として以下4つを掲げています。

 

社員一人ひとりの成長実現に向けた人財育成ポリシー

1.従来の階層別教育中心から、より意欲ある社員に学ぶ機会を提供する公募型教育重視に徐々にシフトしていく

.シナネンHDグループの必須教育として、基礎力を整備する

3.キャリア支援制度(若手向けのCDP※、社内公募制度など)を構築する

4.経営人財を安定的に生み出すために、人財パイプラインによる育成を強化する

※CDP: Career Development Program

 

 

この方針に則り階層別教育に加えて、キャリア支援制度、基礎教育の強化、公募型教育のプログラムを提供しています。

キャリア支援制度については社員の自律的なキャリア形成促進のために、当社グループの風土改革と共通の考え方を持つ「プロティアンキャリア」を導入しました。全社員向けのキャリアセミナーの実施により、プロティアンキャリアの考え方を発信することで、社員自らのキャリア構築意識の醸成を図っています。

また、継続的な学びのためにeラーニング教材を全社員へ展開し、管理職については手上げ式のプロティアンキャリアワークショップを開催することで、マネジメント層のキャリア支援に関する能力向上を図っています。

 

新卒入社1~3年目を対象とする若手社員向けには、社員の自律的なキャリア形成の礎を築き広い視野を得て前向きに仕事に向き合える環境づくりの一環として、CDP(キャリア開発プログラム)を導入しています。対象社員の上司である育成責任者及び、職場メンバーによるOJT教育と併せて、チームが異なる社員と交流することで、職場全体で若手社員の育成を支援する仕組みとなっています。

 

CDP概要図


 

 

「人財育成方針」に則り、社員一人ひとりの成長と自律的なキャリア形成のための人財育成体系を整えています。

 


 

経営者育成においては、当社グループの次の100年を支える経営人財を生み出すため、グループ横断で経営人財の育成を行っています。経営人財育成のための人財パイプラインを構築し、サクセッションを含む選抜型研修を毎年実施しています。ポテンシャルの高い人財の早期発掘と育成、候補人財の「量」と「質」の確保のため、育成におけるPDCAサイクルを回し、経営人財を生み出し続ける仕組みを構築しています。

 

 

■人財の適正配置の実現

適正な配置転換を実施することで、社員は自らの能力や適性にマッチした業務に従事し、自身のアイデンティティ・強みを最大限に生かしながら成果を上げることができ、また、一方では新たなキャリアを見つけるきっかけともなるため、配置転換は単なる社内異動ではなく、社員の成長に直結することであると考えています。その考えのもと、2023年度から社員のキャリア志向をヒアリングする「キャリアビジョンシート」の運用を開始しました。

2022年度までは、「自己申告書」を用いて、上司部下間で異動希望を共有していましたが、目の前の異動希望に留まる内容となっており、キャリア志向についての記述ができない仕様となっていました。キャリアビジョンシートの作成の際には、現在のキャリア、短期的な未来のキャリア、中長期的な未来のキャリアの3段階の視点で振り返り、将来について考えていることを記載できるよう変更しました。新たに取り組みたい業務内容や働く場所について、上司との面談を実施し、グループの人員配置計画に活かしています。


 

◇多様な人財から選ばれ続ける仕掛け(働き方改革)

当社グループにおける働き方改革は、多様な社員が安心してイキイキと働き続けることができる環境を整えること、すなわちワークライフバランスの実現と、社員の自律的なキャリア形成を促進させる人事施策の実施の2つの軸として取り組みを行っています。

 

<ワークライフバランスの実現>

2023年度は、長時間労働の是正を目的に毎月労働時間のモニタリングを実施しました。社員の時間外労働や業務時間外のPC稼働状況等を一覧化して共有し、労働時間の現状を可視化・管理しています。また有給休暇についてはその取得率向上を目指し、適宜取得状況のモニタリングや促進活動を行うとともに、グループ社員が有給休暇を取得する権利を活用しやすくなるよう積極的な働きかけを行うことで、昨年度57.0%から63.2%へ取得率が向上しました。

 

<社員の自律的なキャリア形成を促進させる人事施策>

人事施策として4つの新制度(ウェルネス休暇制度、ベビーシッター割引券配布制度、治療と治癒後の事情による短時間勤務制度、社内ベンチャー制度)を2024年4月に導入しました。

 

参考リンク:2024年4月より新たに4つの人事制度を導入

https://sinanengroup.co.jp/news/hd/240416773

 

ウェルネス休暇制度は、女性社員コミュニティCREADY(クレディ:2022年に開始したグループ横断の社内女性社員コミュニティ)からの提案をきっかけに生まれた制度であり、社員の声を形にして制度化に至りました。本制度は社員本人や家族の健康の維持増進のために利用できる特別休暇であり、生理や不妊治療といった女性特有のニーズに応えるだけでなく、社員の体調不良時の療養や健康診断後の精密検査、介護休暇や子の看護休暇の適用範囲外の家族の体調不良時等、幅広いシーンで利用することができます。このような社員のニーズに沿った制度を作ることで、エンゲージメントの向上が期待できるとともに、本人やその家族のウェルビーングに貢献したいと考えています。その結果、安心して業務に取り組めるようになることで生産性の向上も期待できます。今後も社員の声を大切にしながら一人ひとりの人生を豊かにできる環境を整備し、社員の自律的なキャリア形成に貢献すると共に、ここで成長したいと思える組織を目指します。

 

◇D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)

当社グループにおけるD&Iの位置づけは風土改革の本質であり「個を尊重し、認め合い、強みを生かし合うこと」としています。創業100周年からその次の100年に向けて、新たな価値を創造していくためにはこれまでの価値観にとらわれない柔軟な発想が必要であり、多様な人財が持つ様々な価値観を取り入れていくことが必要だと考えています。多様なバックグラウンドを持つ社員が共に働くことで新しい発想やユニークなアイディアを具現化するチャンスを得ることが期待できることから、グループ横断でのダイバーシティ推進体制を強化し、誰もがイキイキと自分らしく働ける環境づくりに取り組んでいきます。

 

<女性活躍推進>

創業100周年である2027年度を目標に、女性管理職の比率を20%にすることを掲げ、女性活躍の推進に取り組んでいます。2022年度には、グループ横断の女性社員で構成されるコミュニティ(CREADY(クレディ):CREADYとは造語でcreateとladyを組み合わせ、社歴や性別に捉われず好奇心を持ってチャレンジするという想いを込めて参加者が名付けました)を立ち上げ、女性社員自身がキャリアアップや働きやすい環境について意見を交わし、半年間の活動を通じて、キャリア研修の企画や社内留学制度など、成長を重視した施策をまとめ経営層へ提言しました。実際に提言の中にあったウェルネス休暇制度については、提案者の意見を盛り込み2024年4月に制度導入が実現しました。

 

2023年度はグループ全体での取り組みを加速させるために、現状把握と次年度にむけた取り組みの方向性を定めると共に、教育機会の充実を図りました。現状把握では、事業会社ごとに女性活躍の課題分析を行い、女性管理職パイプラインを構築するために必要なアクションを洗い出しました。また、教育機会として、今後マネジメント職を担う層に対し、選抜型研修への参加を促し意識醸成を図っています。結果として、2024年4月にグループ全体で9名の女性管理職が誕生しました。今後は、グループ企業合同で管理職パイプラインを構築するための施策を実施(リーダー層/管理職のプール人財育成としての「CREADY」の実施)することで、KPI達成を目指していきます。

 

参考リンク:コーポレートサイト ダイバーシティ&インクルージョン

https://sinanengroup.co.jp/sustainability/social/employee/di.html

 

<障がい者雇用>

障がいのある社員を採用することだけがゴールではなく、真にやりがいをもって就労継続していただけるよう、障がいを個性と捉え、その方の得意分野ややりたいことに着目し、障がいの有無に関わらず個の価値を高めていける新たな障がい者雇用モデルの確立を目指しています。そのために、志を一つに業種・業態を超えて大手企業20数社が集まる一般社団法人「企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)」に加盟し、他社担当者と交流する場を通じて情報交換や勉強会、ディスカッションを積極的に行っています。

 

2023年度は障がい者採用に注力するとともに、定着率向上や知識共有を目指して新たに障がい者コミュニティを立ち上げました。障がいのある社員が中心となり、当事者同士のつながりを深めた、健常者である社員も交えて今後の障がい者雇用関連施策についてディスカッションを行っています。こうした取り組みを社内に対しても広報することで、社内では障がいのある社員の存在がクローズアップされ始め、障がい特性や、働き方などについての理解促進につなげています。

今後は社内での啓蒙活動をさらに加速させるとともにコミュニティ活動をより充実させ、障がいを持つ社員の採用を進め、強みを生かして活躍できる環境づくりにより注力していきます。

 

◇健康経営

当社グループは、社員の健康を重要な経営課題と考え、活力あふれる企業風土の醸成に努めています。

2020年2月にシナネンホールディングスグループ健康宣言を行い、健康経営への取り組みを開始いたしました。当時、健康管理室は診療所としての機能を主とし、人事戦略としての健康管理という概念はなく、産業保健体制の構築を目的に2022年8月、常勤保健師2名を雇用、2023年度から開始した第三次中期経営計画の非財務目標では「社員の市場価値向上」のひとつに健康経営の推進を掲げました。また、当社グループの健康診断結果から課題分析および目標設定を行い、社員の健康管理を強化した結果、経済産業省が主催する健康経営優良法人に2023年・2024年の二期連続で認定されました。今後も社員の健康保持・増進の取り組みを通して、パフォーマンスの向上並びにグループ全体の業績・企業価値の向上を目指します。

 


 

当社グループでは65歳を定年としていますが、2023年度から70歳までの再雇用制度を導入しました。

また、平均年齢の上昇および高年齢労働者の割合の増加に従い、健康診断結果有所見者数や疾患を抱えながら働く社員数の増加が課題となっています。これを受けて、2023年4月より、がん・脳卒中・心臓病・難病などを発症した社員を支援するため、治療と仕事の両立支援制度を導入し、併せて「治療と仕事の両立支援ガイドブック」を作成・展開しています。この施策は社員の健康保持・増進のみならず、継続的な人財の確保やモチベーションの向上、さらには多様性の高まりによる組織や事業の活性化等への寄与を図っています。

 

参考リンク:健康経営

https://sinanengroup.co.jp/sustainability/social/employee/health/