2025年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 また、当社グループのコンプライアンス推進体制及びリスクマネジメント推進体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項」に記載のとおりであります。

 

(1) 法的規制について(当該リスクの重要性:中)

背景

当社グループでは会社法をはじめ、食品安全基本法、食品衛生法、農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)、食品表示法及び食品表示基準、景品表示法、独占禁止法、不正競争防止法、大規模小売店舗立地法、容器包装リサイクル法、製造物責任法(PL法)のほか、様々な法的規制の適用を受けております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

法的規制により、当社グループの事業活動にも一定の制限が生じております。また、将来にわたって営業を継続するためには、関連法令の改正等へ柔軟かつ迅速に対応する必要があり、相応の対応コストが発生する可能性があります。万が一、監督官庁等から、当社グループの事業活動に違法性の指摘があった場合には、当該事業会社、店舗及び事業所の営業停止や罰則などの行政処分を受けることが考えられます。この場合には、お客様並びにお取引先様からの社会的信用の低下、損害賠償等の費用の発生などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

現状においては、営業活動に重大な影響をもたらす法令改正等は公表されていません。また、法令を遵守した事業活動を行うため、ガバナンスの維持・向上に最大限努めておりますが、役員又は従業員による法令違反や不適正行為、管理監督体制の不徹底による人為的ミスの発生など、当該リスクは絶えず一定程度存在するものと認識しております。

当該リスクへの対応策

当社グループにおいては、「グループ企業行動憲章」及び「コンプライアンス規程」を定め、コンプライアンスに関する基本的な考え方を共有する体制を構築しております。また、顧問弁護士とも連携を深め、法務リスクへの対応に努めるほか、事業活動に関わる法令等に対する理解向上のため、関係諸法令に関する講習の受講や、業界団体を通じた情報収集に努めております。各事業会社においては、マニュアルの整備及び従業員に対する教育・研修を行うとともに、内部通報制度の実行的な整備・運用を行うことにより、当該リスクの早期発見及び未然防止に努めております。事業リスクへの対応や法令遵守の徹底など、コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き当社の第3次中期経営計画(2025年2月期から2027年2月期まで)の中で取り組んでまいります。

 

(2) 競争激化について(当該リスクの重要性:高)

背景

当社グループが事業を行っている地域では、食品スーパーマーケットを展開する大手チェーン、リージョナルチェーン、地元有力企業に加え、ディスカウントストア、ドラッグストア、コンビニエンスストア、EC事業者など業態を超えた競合が激化しております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

当社グループの商圏内に競合する店舗が出店した場合には、既存店の収益減少など、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

今後も商圏内に競合店の出店が多数計画されており、当該リスクは将来にかけて断続的に発現するものと考えられます。一部では、現在も影響が表れているものと見られ、今後も顕在化する可能性は極めて高いものと考えられます。

当該リスクへの対応策

当社グループでは、競合激化に伴うリスクを優先的に対処すべき課題として認識しており、当社の第3次中期経営計画(2025年2月期から2027年2月期まで)においても、その基本戦略のなかに「成長戦略」「競争力の強化」を掲げております。既存エリア・サービス強化に向けた積極的な成長投資を行うとともに、中長期的にはエリアの拡大や新規サービスの展開に取り組んでいくほか、当社グループならではの商品・サービスをお客様に提供し、魅力的な店舗開発を行うことにより、当社グループの競争力の強化を推進してまいります。

 

(3) 地震、台風などの災害について(当該リスクの重要性:中)

背景

近年、日本全国において自然災害が頻発し、その被害はますます激甚化しております。とりわけ、当社グループの主な出店エリアである九州地方は、全国的にも台風や集中豪雨の多い地域であるといわれ、河川の氾濫、高潮被害、土砂災害等の自然災害の多発する地域でもあります。当社グループは過去に何度も台風・集中豪雨の被害に遭い、商品の滅失、店舗・施設の破損が生じました。また、地震により被害を受けた際には、広域にわたり複数の店舗が営業できない状態がありました。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

地震や台風などの大きな災害が発生した場合には、店舗設備の破損、停電等のシステムダウンにより、営業を継続できなくなる可能性があります。また、物流網の遮断等により仕入計画に支障をきたす恐れがあります。この場合、被災店舗の収益の減少、復旧費用の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

台風や豪雨は初夏から晩秋にかけて発生しやすいことから、例年この時期には一層の警戒を強めております。しかしながら、これらを含む自然災害の発生の時期や発生地域、被害の程度を予測することは極めて困難であります。ただし、当社グループの出店エリアにおいて過去に被災の前例もあることから、当該リスクは相当程度起こりうるものと認識し、有事の際に備えた対策は常時必要であると考えております。

当該リスクへの対応策

当社グループでは、災害発生時には各事業会社の総務部、店舗運営部を中心に、被害状況の把握や店舗への対応指示を行っております。今後とも、より一層具体的な事業継続計画の策定を図り、想定される様々なシナリオを基に、対応策を精緻に構築してまいります。

 

(4) 金利変動及び金融市場の変化について(当該リスクの重要性:中)

背景

当社グループの資金の一部は、銀行借入れ等の有利子負債によるものであり、当社グループの有利子負債残高は2025年2月28日現在で136億18百万円、連結総資産に占める有利子負債依存度は10.7%であります。これらは金利等の変動リスクに晒されております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

今後、景気後退や市況並びに当社グループの事業見通しの悪化、信用力の低下等が生じた場合、資金調達において困難が生じる可能性があります。また、今後金利が上昇する場合には、借入コストが当社グループの経営を圧迫し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

不安定な社会情勢のなか、景気後退や金融市場への影響が懸念され、長期的な見通しは不透明であります。当該リスクがただちに当社グループの財政状態へ重大な影響をもたらすことは現状想定しておりませんが、当該リスクは絶えず一定程度存在するものと認識しております。

当該リスクへの対応策

当社グループは、銀行借入金等の削減に向け様々な取り組みを行ってまいりました。また、第3次中期経営計画(2025年2月期から2027年2月期まで)において、財務基盤の強化を図るとともに、今後の業容拡大を見据え、資金調達の多様化についても検討を進めてまいります。

 

(5) 食品の安全性について(当該リスクの重要性:低)

背景

当社グループでは、店舗及びプロセスセンターにおいて、食品の製造・加工・販売を行っており、食品衛生法の規制を受けております。また、改正食品衛生法に基づき、HACCPに沿った衛生管理の実施が義務付けられるなど、食品の安全性確保については、これまでに加えますますの食品事業者の努力が求められております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

万が一、食中毒の発生や異物混入など、当社グループの提供する食品の安全性や品質に対する消費者の信頼が何らかの理由で低下した場合、生鮮食品をはじめ食品部門の売上が低下する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

食品の安全管理体制の維持・向上に最大限努めておりますが、当該リスクは絶えず一定程度存在するものと認識しております。

当該リスクへの対応策

当社グループでは、商品部において、衛生管理マニュアルを作成し、従業員への教育を行っております。また、改正食品衛生法への対応においては、HACCP導入プロジェクトチームを組成し、店舗衛生管理計画及び作業マニュアルの作成を行ったほか、従業員への周知を図りました。

 

(6) サイバーリスクについて(当該リスクの重要性:中)

背景

社会のIT化が進展し、企業の事業活動におけるコンピュータやインターネットへの依存度が高まるなか、サイバー攻撃等によるセキュリティ被害の発生件数は増加しており、その損害額も高額化する傾向にあります。当社グループにおいても、サイバーリスクは経営に深刻な影響を及ぼす重要な課題の一つと認識しております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

当社グループにおいてサイバー攻撃等によるインシデントが発生した場合、システムダウンによる事業の停止、商品の受注・製造の遅延による機会喪失などによる収益の減少が懸念されます。また、お客様並びにお取引先様からの信用低下、損害賠償の発生、再発防止のためのセキュリティ強化やシステム改修にかかる費用の発生など、様々な損害が発生する恐れがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

近年、企業などでサイバー攻撃による被害が多数報告されており、企業規模の大小や業種に関わらず攻撃の対象となっていることから、当社グループにおいても、当該リスクは相当程度存在するものと認識し、警戒意識を高め、対策に努めております。

当該リスクへの対応策

当社グループでは、各事業会社において、サイバーセキュリティに関する規程や基準を定めるとともに、ウイルス対策ソフト等を利用したセキュリティ対策を実施しております。今後はさらに、サイバー攻撃の手口が巧妙化・高度化していくことを想定し、グループ全体での統一的な情報セキュリティ方針の整備、従業員に対する情報セキュリティ教育プログラムの定期的な実施のほか、実際にサイバーインシデントが発生した場合における対応について、システムの復旧、経理・法務・IR等の対応を含め、各部門における具体的手順の整備を進めてまいります。

 

(7) 個人情報の取り扱いについて(当該リスクの重要性:中)

背景

当社グループには、カード会員の個人情報を有している事業会社があります。このほか、当社グループには、不動産業や保険代理業、商品の受注業務等を行う事業会社があり、多くの顧客の個人情報を取り扱っておりますが、これらの個人情報の取り扱いについては、個人情報保護法をはじめとした関連法令の規制を受けております。2022年4月より全面施行となった改正個人情報保護法により、漏洩が発生した際の個人情報保護委員会への報告及び本人への通知や、安全管理のために講じた措置の公表等が義務化されるなど、個人情報を取り扱う事業者に対する法的規制は昨今ますます強化されております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

改正個人情報保護法のもと、個人情報を取り扱う事業者に求められる責務が強化・拡大するとともに、措置命令違反等があった法人に対する罰則が重罰化されました。当社グループ内部の管理上の問題や、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等により情報漏洩が発生した場合には、対応コストが発生するほか、当社グループの社会的信用や企業イメージを著しく損なう恐れがあります。また、これを起因とする収益の減少や、損害賠償の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

国内外において情報セキュリティに関する事件・事故が多数発生していることから当社グループにおいても、当該リスクは相当程度存在するものと認識し、警戒意識を高め、対策に努めております。

当該リスクへの対応策

当社及び当該事業会社では、個人情報を保護するため、個人情報保護委員会を設置しております。また、個人情報保護規程や個人情報漏洩時対応マニュアルなどの情報管理規程を体系的に整備しており、改正個人情報保護法への対応としては、社内の個人情報保護規程やカード会員の個人情報の取り扱いに関するプライバシーポリシーの見直しを図りました。当社グループではこれらに基づいて慎重かつ適切な個人情報の管理に努めてまいります。

 

 

(8) 人権問題及びハラスメントについて(当該リスクの重要性:低)

背景

社会の多様化に伴い、多様性尊重の重要性が一層高まっております。当社グループの事業活動は、株主様、お客様、お取引先様、従業員、地域社会それぞれと良好な繋がりを持つことで成り立っておりますが、様々な世代、国籍、個性や価値観を持つ方々との関わりの中で、差別やハラスメント等の様々な人権リスクが存在しております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

当社グループの役員又は従業員により、差別的な言動やハラスメント等の不適切な行為が行われた場合、企業としての社会的信用低下はもとより、職場環境の悪化による従業員の就業意欲低減、心身の不調による休職・離職により、営業活動における生産性低下などを招く恐れがあります。また、企業として配慮義務の履行が不十分とされる場合には、訴訟リスクが生じる恐れがあり、これらの事象の発生が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

現状において、訴訟等に発展する程度の重大な事案は発生しておりませんが、事業活動を通じて結ばれるステークホルダーとの人的繋がりは、社内外を問わず広範にわたっており、当該リスクは一定程度存在するものと考えられます。

当該リスクへの対応策

当社グループでは、「グループ企業行動憲章」を定め、人権及びコンプライアンスに関する基本事項の周知・徹底を行うとともに、サステナビリティ推進重点項目の一つとして「人権と多様な人材」を掲げ、すべての人の人権や個性、価値観を尊重し、誰もが働きやすく、働きがいのある職場環境の提供に取り組んでおります。また、各事業会社において、ハラスメントの防止に関する規程の整備、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント等の防止に向けた研修の実施、相談窓口の設置を行うなど、当該リスク発生の未然防止及び早期対応体制の構築に努めております。

 

(9) 保有資産の減損等について(当該リスクの重要性:中)

背景

当社グループは、店舗・土地等の有形固定資産やのれん・有価証券等多くの資産を保有しており、減損会計を適用しております。

リスクの内容及び顕在化した場合の影響

店舗の収益性が悪化した場合や保有資産の市場価格等が著しく下落した場合は減損損失を計上する可能性があり、この場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期及び可能性の程度

当連結会計年度において、当社グループでは有形固定資産に係る減損損失2億74百万円を計上しております。今後も当社グループにおける収益性の悪化や、保有する有価証券の発行会社等の財政状態の悪化、不動産・金融市場の変化等により、これら減損損失の計上の可能性は相当程度あるものと考えられます。

当該リスクへの対応策

当社グループでは、保有する有形固定資産や有価証券等の資産価値を定期的に確認し、減損の兆候を把握することとしております。また、営業店舗の損益を細かく確認し、収益性の低下が見られる店舗には、収益改善のため個別の対策を計画・実施しております。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置付けております。

 配当につきましては、累進配当を基本として、配当利回りの向上と配当性向30%の維持、中長期的には配当性向40%を目指し、今後予想される販売競争激化に耐え得る企業体質の一層の強化、将来の事業展開に備えるための内部留保の充実、DOE(自己資本配当率)などを勘案して決定する方針を取っております。

 当社は、中間配当及び期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は取締役会又は株主総会であります。なお、当社は、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会決議によって定める」旨を定款に定めております。

 当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記方針に基づき、当期は1株当たり38円の配当(うち中間配当14円)を実施することを決定いたしました。この結果、年間の配当性向(連結)は31.2%となりました。

 内部留保資金につきましては、財務体質の強化及び店舗の新設・改装、新規事業などの成長投資に活用してまいりたいと考えております。

 当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年10月15日

600

14.0

取締役会決議

2025年4月30日

1,030

24.0

取締役会決議