人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,135名(単体) 1,696名(連結)
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平均年齢39.7歳(単体)
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平均勤続年数13.3年(単体)
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平均年収6,715,845円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 当社グループは、総合エネルギー企業として同一の従業員がLPガス事業、電気事業、都市ガス事業に従事しております。
2 全社として記載されている従業員数は、本社等の管理部門、システム部門に所属している員数であります。
3 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員であります。
4 従業員数は就業人員であり、嘱託及び臨時従業員数は[ ]内に外書で記載しております。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員であります。
2 全社として記載されている従業員数は、本社等の管理部門に所属している員数であります。
3 従業員数は就業人員であり、嘱託及び臨時従業員数は[ ]内に外書で記載しております。
4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
提出会社の労働組合は日本瓦斯労働組合と称し、1972年9月1日に結成されましたが、加盟上部団体はありません。2025年3月31日現在の組合員数は1,079名(うち嘱託30名)であります。
連結子会社5社のうち、日本瓦斯工事㈱は労働組合を結成しておりますが、加盟上部団体はありません。なお、当社グループにおける労使の協調関係はきわめて円満に推移しており、特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社 2025年3月31日現在
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.3月末に在籍している労働者の状況(旧在籍会社の実績を含む)を記載しております。
② 連結子会社 2025年3月31日現在
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.エナジー宇宙は、3月末に在籍している労働者の状況(旧在籍会社の実績を含む)を記載しております。
③ 連結会社 2025年3月31日現在
(注) 1.「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としております。
2. 各連結会社数値を集計し、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
3. 各連結会社数値を集計し、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社は、生活になくてはならないエネルギーを提供し地域社会に貢献するために、2050年以降も共創を拡大しながら進化を続け、企業価値向上、そして社会的責任を果たしていきます。この実現に向けて、環境や人的資本等のサステナビリティ課題への対応を重要な成長の機会として捉え、エネルギー小売からプラットフォーム、エネルギーソリューションへの進化を推進し、事業成長と地域社会への貢献を両立していきます。
(1) サステナビリティ全般
①ガバナンス
企業の持続的成長には、利益成長に加え、環境、社会といった広範なステークホルダーとのバランスの取れた共栄が欠かせません。そのためには、社外からの客観的な意見が反映されるガバナンス体制が必要です。当社は、持続的成長に関わる重要事項として、マテリアリティの選定やTCFD・TNFDへの取り組み方針等について、社外役員が過半数を占め、かつ委員長が社外取締役である指名報酬・環境等委員会に諮問し、答申を受けた上で、取締役会が全体方針を決定しています。
<指名報酬・環境等委員会制>
②戦略
当社は、中長期の企業価値向上とサステナビリティ課題の解決に向けて、集中して取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しています。当社および全ステークホルダーにとっての重要性と解決のハードルの高さを軸に、課題の重要性を分析し、重点的に対応すべき項目をマテリアリティとして設定しています。当社のマテリアリティは、1)脱炭素社会への対応、2)地域社会の基盤づくり、3)人材の育成とDE&I、4)ガバナンスの強化としました。脱炭素社会への対応と地域社会の基盤づくりは、当社が中長期の成長戦略を通じて解決を目指す最重要課題であり、これを進めるための人材育成とDE&I、そしてガバナンスの強化も欠かせない項目です。これらの課題解決に向け、業務のデジタル化やスマートシティ、多様な人材が活躍できる環境の整備などを進めていきます。
<課題解決を通じた事業成長の強化>
マテリアリティへの取組みを通じて、エネルギー小売に加えて、以下の2つの事業成長に繋げていきます。
◆ プラットフォーム事業の拡大
当社がDXを導入した高効率オペレーションは、コスト競争力の向上だけでなく、環境負荷の低減にも繋がるものであり、競合他社とのシェアリング拡大による、業界全体のCO2削減と事業成長に貢献できます。
◆ エネルギーソリューション事業の拡大
ハイブリッド給湯器や、太陽光発電、蓄電池などの災害に強い自律分散型機器を普及させて、最適なエネルギー利用を実現することで、省エネ化やエネルギー安定供給等の社会課題に貢献できるサービスを提供し、顧客基盤拡大に繋げます。
③リスク管理
当社は、リスクとは事業を運営することで直面する不確実性と認識しております。グループリスク管理委員会を設置して発生頻度と事業に与える影響の大きさの観点からリスクの重要性を把握し、マイナスの影響を与えるリスクには適切な対策を講じ、プラスの機会には機動的な意思決定を行うことで新たな収益源創出を図っております。中長期で事業や業績に影響を与え得る課題については、指名報酬・環境等委員会で議論を行った上で、取締役会にてマテリアリティとして項目を特定、全社対応方針を決定しております。
④指標と目標
当社は、マテリアリティについての対応を推進するために、課題毎にKPIを設定し進捗を管理しています。
(2) 環境への取組み
当社は、エネルギーのラストワンマイルを担う企業として、自然資本に関する課題の解決と事業成長を両立させることが企業価値向上に繋がると考えています。脱炭素化を最優先課題としながら、その他自然資本の適切な活用も強化し、エネルギーソリューションとプラットフォーム事業を通じて、社会課題の解決と持続的な成長を実現します。
1)気候変動への対応
当社は2050年までのCO2ネットゼロを目標に、Safety(お客さま先の安全)とService(サービス向上)の2つのSを大前提に3つのEに取り組み、環境への対応を行いながら企業価値を向上させます。
①ガバナンス
気候変動関連のリスクや機会の評価、目標設定、その進捗について、指名報酬・環境等委員会において客観的な視点で議論しております。同委員会に諮問し、答申を受けた上で、取締役会が対応方針を決定しています。
②戦略
当社はエネルギーのラストワンマイルを担う企業として、2050年CO₂排出量ネットゼロを目標にCO₂排出量削減という社会課題の解決に取り組みます。地球温暖化が進行する中で、当社は事業環境の変化を新たな成長の機会として捉え、エネルギーソリューションとプラットフォーム事業を軸に戦略を展開します。エネルギーソリューションでは、分散型エネルギー機器を活用したエネルギーの最適利用を実現し、お客さま先のCO₂排出量削減に繋げます。プラットフォーム事業では、最適化された当社のプラットフォームを他社とシェアリングすることで、業界全体のCO₂排出量削減に貢献します。これらの取り組みを通じて、CO₂排出量の削減と利益成長を両立しながら、中長期の企業価値向上を目指します。
<シナリオ分析>
気候変動に関連するリスク・機会についてシナリオ毎の事業環境を想定し、指名報酬・環境等委員会での議論を経て、取締役会で特定しました。
<リスクと機会>
短期:今後3年程度、中期:2030年まで、長期:2050年までとして時間軸を分けて分類し、気候変動リスクの財務的影響額を算出しています。企業価値を向上しながら気候変動に対応するための戦略を検討しています。
<リスクの財務的影響>
◆ 炭素税の導入等によるコスト増(移行リスク):粗利5億円
炭素税などの規制強化により、ガスと電気の調達コストが上昇し利幅が1円/kg、0.1円/kWh減少した場合、粗利5億円程の減少に繋がります。当社は環境証書を活用しながらエネルギー調達の非化石化を進めています。
◆ 自然災害増による事業への影響(物理的リスク):粗利5億円
3日間、全世帯にガスが提供できなくなった場合、販売量は5~6千トン程減少し、粗利5億円の減少に繋がります。全世帯へのガス供給が一斉に停止する可能性はゼロに近いと考える一方、万が一に備え、社員教育を徹底し、有事に向けた体制を整備しています。
◆ 気温上昇によるガス需要の減少(物理的リスク):粗利22~27億円/1℃上昇
年間平均気温が1℃上昇した場合、給湯器などのガス需要に影響し、家庭用ガス販売量は約5%減少、年間で粗利22〜27億円の減少に繋がります。こうした販売量の減少に対し、当社はエネルギーの最適利用やレジリエンスの強化などに資するエネルギーソリューションサービスを拡大し、安定的な収益基盤の構築を進めています。
③リスク管理
気候変動に関するリスクについては、サステナビリティ全般に関するリスクと同様にグループリスク管理委員会で管理しています。
④指標と目標
当社は、2050年までのCO2ネットゼロに向けて、CO₂排出量を指標としています。中期目標としては、2030年までを目途とした3つのCO₂削減目標を設定しております。
<CO2排出量実績>
2024年3月期の当社バリューチェーンにおけるCO₂排出量は290.5万t-CO₂です。うち99%がScope3によるもので、お客さま先でのガス使用に係るCO₂排出量、お客さまに販売するガスや電源の調達に係るCO₂排出量が含まれます。当社はエネルギーの最適利用を実現することで、お客さま先におけるCO₂排出量の削減に注力します。
※総排出量は、Scope1、Scope2(マーケット基準)、Scope3排出量の合計。
<2030年までのCO2削減目標>
◆目標1◆ LPガス業界のCO₂排出量(LPG託送による):約▲50%
当社の高効率なLPガスオペレーションは一般的な充填・配送・検針に比べ世帯あたりのCO₂排出量が半分です。業界でシェアリングすることで、業界全体のCO₂排出量を半減します。
◆目標2◆ 世帯あたりCO₂排出量:約▲50%
調達電源の非化石化や、ソリューション機器の普及によるお客さま先のエネルギー利用の最適化で、お客さまの世帯あたりCO₂排出量を削減します。電源の非化石化や高性能ガス機器の普及などにより、当社のガスと電気を使用した場合の世帯あたりCO2排出量を削減します。2024年3月期の世帯あたり排出量は3.1t-CO2と、2031年3月期までの削減目標に向けて計画通りに進捗しています。
◆目標3◆ 削減貢献量:約145万t-CO₂(2030年時点)
調達電源の非化石化、高効率なLPガスのボンベ配送、ソリューション機器の普及によるお客さま先のエネルギー利用の削減施策等の実施により、CO₂排出量を削減します。
2)自然資本への取組み
当社の事業活動は自然を重要な資本として活用しており、その活動を通じて自然環境に影響を与えています。地域社会に貢献しながら持続的に企業成長していくためには、事業のあり方を見直し、環境保全と収益拡大を両立する形へと変革することが必要と考えています。まずは事業における自然関連リスクの分析を進め、環境課題に対する取り組みを展開していきます。
①ガバナンス
自然資本関連のリスクや機会の評価について、指名報酬・環境等委員会において客観的な視点で議論しております。同委員会に諮問し、答申を受けた上で、取締役会が対応方針を決定しています。自然資本への取組みを推進させることを目的に、当社の自然資本への取組みについて「2024年 統合報告書」で初めて開示しました。
②戦略
当社は、お客さまとの接点という強みと小売事業で培った技術や経験を活かすために、当社のオペレーションおよび営業エリアでの取り組みを推進していきます。また、事業と接点のある自然資本の中で、気候変動への対応に最も注力しながら、リスクとなりうる水資源、土地、廃棄物についても取り組みを進める方針です。
<対象とする事業活動>
エネルギー供給に係るバリューチェーンにおいて、当社は海外から輸入されたエネルギーを国内で調達し、お客さまに販売するまでのオペレーションを担っていることから、原料調達からお客さま先での使用までを対象の事業活動としています。
<対象とする事業エリア>
BtoCのエネルギー小売会社である当社にとってお客さまとの接点が重要であることから、対象とする事業エリアは、当社がお客さまにガスと電気を提供している関東1都6県に山梨県、静岡県、長野県を加えた地域とします。
<当社事業と自然資本との依存・影響の関係>
B to Cのエネルギー小売会社である当社にとって、最も大きい関連性があるのは気候です。また、ガスの主な使用用途は水を温めてお湯にするという給湯であることから水資源にも依存しています。さらに、地中にガス導管を敷設することから土地の状況に依存し影響も与えます。その他には、廃棄物に関しても設備更新やガス・電気消費機器の交換に伴う処理が発生するため、関連性があります。
③リスクと影響の管理
本項目では、当社が大きく依存し影響を与える自然資本である水資源、土地、廃棄物について、リスクの内容と財務的な影響度を特定し、そのリスクへの取り組み内容を定めています。当社は自然資本に関するリスクの重要性を認識し、リスク軽減に向けた取り組みを強化していきます。
④指標と目標
当社は、リスクや取り組みの進捗を管理するための指標と目標については、今後、定量的な分析を進めた後に設定することを検討しています。財務的影響度が高い水資源については、オペレーション上で水使用量の削減に取組んでいます。
<水資源に関する取組み>
・水の再利用
夢の絆・川崎工場のガスボンベ検査施設では、水を最も使用する耐圧検査の工程において、水を再利用することで水使用量の削減に取り組んでいます。
・ペーパーレスの取り組み
製造時に水を消費する紙の利用削減を目指し、オペレーションのデジタル化を推進してペーパーレス化を進めています。会議資料(紙)の配布廃止、各種申込書や検針票の電子化、電子契約の導入などを進めています。
エネルギー使用量の多い拠点の水利用
※ 集計範囲:日本瓦斯(本社、町田営業所)、エナジー宇宙(夢の絆・川崎、千葉工場)。24/3期の電力使用量で47%をカバーしています。
(3) 人的資本、多様性に関する取り組み方針
当社の人材戦略は、人的資本の最大化を通じて、エネルギー小売を軸にエネルギーソリューションとプラットフォームという、新たな中長期の成長戦略を発展させることを目標としています。人的資本最大化のカギは、社員のモチベーション向上と必要なスキルの確保による社員一人ひとりの成長です。当社が目指す姿を社員全員と共有し、未経験でも挑戦できる機会を提供することで、自発的に成長するマインドを高め、社員それぞれの個性=強みを伸ばすことができると考えています。
◆ 戦略
1)社員のモチベーション向上
社員のモチベーションを高めることが、自発的な成長を促し、パフォーマンスの最大化に繋がると考えています。これは当然のことでありながら、実行の難易度は高く、多方面からの取り組みが必要です。当社は、①個人が主人公になる企業風土、②公平な評価制度、③働く環境の整備によって、これを実現します。
①個人が主人公になる企業風土
当社は、変革への挑戦を続けるために、自ら考え行動できる人材が必要と考えています。自ら考え行動するためには、自らの力で会社を変えることができると信じて、実行に移すことが重要です。当社は、個人が自らの力を信じ、主人公になれる企業風土を醸成しています。具体的には以下の3つの企業風土があります。
1. 裁量の大きさ
細かいマニュアルを設けず、一人ひとりに裁量を大きく持たせる文化が当社にはあります。これは、自ら考え実行する力を重視し、また従来の方法に捉われない新しい試みを推奨しているからです。成果に繋がる過程を自ら考え、新しいことに挑戦する人材を育成しています。
2. 失敗を受け入れ挑戦を促す
当社には失敗を受け入れ、挑戦を促す文化があります。なぜなら、一番のリスクは失敗を恐れ、挑戦しないことだと考えるからです。失敗して生じた損失よりも、失敗して得た学び=利益の方が大きい。したがって、挑戦しないことこそが最大の損失と考えています。
3. 未経験からの活躍
当社には、年齢・経験にかかわらず新たな業務に挑戦できる文化があります。挑戦し変革を続けて成長していくためには、一つの分野で専門性を高めるよりも、異なる分野の知見や経験を融合させることが必要だと考えているからです。専門知識が必要な部署で未経験者が活躍している実例も多く、これが新しいことを学ぼうとする社員のモチベーション向上に繋がっています。
②公平な評価制度
当社は創業当時から実力主義を貫いてきました。なぜなら実力主義の評価制度は、より高い実績に向けて挑戦するという社員の成長意欲を高められるからです。成長に向けて常に変革を続ける当社にとっては、年功序列のように過去の経験や安定を重視した仕組みよりも、失敗を恐れず挑戦できる社員が育つ風土が必要不可欠だと考えています。この方針が会社全体に浸透しているため、経歴にかかわらず全ての社員が、実績をあげることや、挑戦するマインドを重視してモチベーション高く働いています。加えて、パフォーマンスに見合った報酬が得られる仕組みを整備し、社員のモチベーションをさらに向上させています。
<パフォーマンスに見合った報酬を得られる制度>
③働く環境の整備
創業以来、社員は重要なステークホルダーです。持続的な企業成長には、社員が心身に不安なく、安全かつ健康に働くことが重要です。安全・安心を前提に、社員の労働環境に対する満足度を向上させていくことで、社員のパフォーマンス最大化に繋げています。
1. 安全な職場環境の整備
安全は当社の最重要事項です。エネルギー資源を取り扱う会社として、お客さま先はもちろん、社員の安全も重視し、労働災害の防止や車両事故削減等に取り組んでいます。重要拠点であるLPガス充填基地では、外部機関により労災リスク、自然災害リスクの調査を定期的に実施し、環境を改善しています。直近の3年間の取り組みとしては、①熱中症対策として暑さ指数測定器を設置、②巻き込まれ防止対策として機械回転部の安全カバー設置、③転倒防止対策として床面のローラー部分に警戒用テープ貼付、などの改善策を導入し、結果、労災による負傷者数は、年々減少しています。
※労災による負傷者数÷従業員数(嘱託・パート含む)
2. 社員の健康管理
社員の健康を重視し、会社として社員の心身の健康サポートに力を入れています。毎年、全社員を対象に健康診断(38歳以上は人間ドック)、管理職以上を対象に脳ドックの受診を必須としており、それぞれ受診率は100%です。健康診断二次検査についても受診率100%を目標に掲げ、対象者の受診完了を確認するまで定期的に受診を促しています。要所見者には産業医が個別指導を行い、保健師がモニタリングしています。また、年に1度全社員を対象にストレスチェックを実施しています。高ストレス判定者には産業医が面談、働き方の改善を促しています。そのほか、スポーツを通じた交流を企画するなど、健康増進に加えて、社員間のコミュニケーションを活性化する取り組みも実施しています。
3. 社員のエンゲージメント
社員のエンゲージメント向上は、成長に不可欠な要素と考えています。エンゲージメント向上に向けて、特に給与のベースアップと労働時間の改善に注力しています。これは、エンゲージメント調査の結果、職場の人間関係、仕事の裁量などについて社員の満足度が高いことに対し、「ワークライフバランス」のスコアが低いことが理由です。社会のインフラを担う企業として、時間や休日を問わず緊急時に対応する必要があることや、ボンベなどの重量物運搬といった体力を必要とする業務があることに起因していると考えています。これを当社の課題と認識し、待遇や労働時間の改善などに取り組むことで、エンゲージメントを向上させていきます。 給与については、2024年3月期に営業社員のみなし残業手当を10時間分から20時間分に倍増、また2025年3月期の全体昇給率5%と、社員の所得向上に取り組んでいます。また、安全衛生委員会を通じた勤務時間の見直しを行っています。各拠点の安全衛生委員を中心に、振替休暇未取得の社員や長時間労働を行っている社員を把握し、休暇取得や長時間労働の改善を促すなどの取り組みを行っています。さらに、営業所長向けに労務研修を行い、各現場の労働環境整備を促しています。
4. DX導入による業務効率化
当社はDXを取り入れた業務の効率化を進めています。デジタル化によって紙を使用する業務を減らしたり、AI解析で充填・配送を効率化して生産性を向上させるなど、コスト削減だけでなく、社員の働き方改善やモチベーション向上にも繋げています。効率化によって削減した時間は、これまで担当できなかった業務を担うなど有効に活用し、社員の活躍の幅を拡げる取り組みを進めています。
2)必要なスキルの確保
当社の成長には、新たなスキルの確保による社員一人ひとりの成長が必要不可欠であり、この必要性はさらに高まっていると考えます。背景には、技術の進歩とともに既存のビジネスモデルの陳腐化が早くなっていることや、IT技術の発展に伴う業務効率化により社員のマルチタスクが前提となったこと等があります。当社は成長戦略を実際に進めるために必要なスキルを、社員の社内育成と社外との連携によって獲得しています。また、年齢や経歴にかかわらず未経験の仕事に挑戦できる機会を提供することで、社員の向上心を高めています。中長期的な企業価値向上の原動力は、内部・外部環境の変化に対応し、新たな取組みに挑戦し続ける一人ひとりの力です。当社の経営戦略である、エネルギーソリューション、プラットフォームの取組みの加速に向け、人的資本への投資を強化し、企業価値を最大化してまいります。
<これから必要となるスキル>
新たな中長期の成長戦略実現に向けて、以下のスキル取得を推進します。
当社社員はLPガスや都市ガスの専門知識を有し、お客さまのお困りごとへの対応に強みを持っています。今後、本格的にソリューションビジネスを発展させていくために、次世代エネルギーや最適なエネルギー利用の提案に関する知識・ノウハウを習得することが必要と考えています。
また、プラットフォーム事業の成長に向けては、当社の強みである地域の課題を解決していく能力に加えて、法人のお客さまの事業課題を理解し、その解決をテクノロジーに紐づけられるスキルや、当社サービスを導入していただくことによる財務的メリットを論理的に提案するスキルを伸ばしていく必要があります。デジタル/DX分野では、エネルギー小売事業で培った専門性を基盤として、分散型エネルギー社会への変革に挑戦するために技術の更なる高度化が必要となります。
当社は、これらのスキルを①グループ再編による人材の再配置、②スキルの再開発、③外部からの取り込みによって確保します。
①グループ再編による人材の再配置
当社は新たな事業への変革を推進するために、2024年1月に当社およびグループ都市ガス3社を統合し、総合エネルギー小売会社(ニチガス)、エネルギープラットフォーム会社(エナジー宇宙)、システム会社(雲の宇宙船)に分ける組織再編を実施しました。
総合エネルギー小売会社(ニチガス)では、グループの営業を集約化することで、LPガス、電気、都市ガスと総合エネルギーの提案が可能な人材を育成しています。また、個人の強みを活かした人材の再配置によって、社員のパフォーマンス向上にも繋げています。再配置の効果に加えて、競争市場で培ったLPガスの営業マインドがグループ全体で共有されたこともプラスに影響しています。
エネルギープラットフォーム会社(エナジー宇宙)では、プラットフォーム営業の専門部署を設立し、BtoB営業を強化しています。この部署は、ニチガスの営業マインドと法人顧客の要望に応えるスキルを融合しながら、プラットフォーム営業を強化しています。また、充填、配送、保安、導管など各社のインフラを担う人材を集約したことで、多角的な視点でインフラ事業を見直すことができ、コスト削減や保安の効率化などの効果を得られています。また、インフラ事業会社としてサービスを提供する意識が高まり、プラットフォーム事業の成長に繋がっています。
②スキルの再開発
IT技術の発展により社員のマルチタスクが前提となったことに加え、急速に変化する外部環境に対応するため、スキルの再開発の必要性が高まっています。当社は、成長戦略の実現に必要なソリューションの提案力やデジタル/DXのスキルの習得に向け、研修やジョブローテーション等の取り組みを実施し、社員のスキル再開発に注力していきます。また、年齢や経歴に関係なく未経験でも新たな仕事に挑戦できる環境を整備することで、社員の自発的な成長意欲を高めています。
③外部からの取り込み
脱炭素などの社会課題の解決と持続的な成長を両立していくためには、エネルギーの地産地消を実現する分散型エネルギーシステムの構築が重要と考えています。これを実現するには、AIをはじめとする最先端のIT技術との融合が避けられません。当社は、最先端技術を活用するために専門性を持った他社との連携を強化します。そして、多様な人材が活躍できる環境を整備(DE&I)し、他社人材を含む多様な考えや意見を取り込む風土を醸成していきます。当社はこれらに取り組み、中長期的な企業成長を実現します。
1. 他社との連携
当社はこれまで、外部パートナーとの協業を通じて、高度なIT技術を取り込みながらDXを推進してきました。今後はプラットフォームとエネルギーソリューションの成長に向けて、IT技術の活用だけでなく、エネルギー業界という枠を超えた多様な視点を取り入れることが重要と考えています。
これまでの実績として、当社はIoTプラットフォーム企業のソラコム社との提携を通じて、ガスメーターをオンライン化し自動検針等を可能とするスマートメーター(スペース蛍)を共同開発しました。また、東京電力グループとの交流により電力事業のノウハウを学び、電力事業部を立ち上げました。東京電力グループとの連携では、東京電力エナジーパートナーと折半出資で設立した東京エナジーアライアンス社(TEA)において、都市ガス小売事業参入を志向する異業種企業の受け皿となるプラットフォーム事業を展開しています。これらの提携企業に当社の選抜社員を派遣し、新たな技術やノウハウを習得させる「武者修行プラン」も行っています。
今後も業種や会社規模にかかわらず、当社が現状有していないスキルを外部との連携により培い、企業成長に繋げていきます。
2. 多様な人材が活躍できる環境の整備(DE&I)
当社は、多様な人材が活躍できる環境を整備することで、個々のスキルや意見を取り入れ、企業成長に繋げます。外部環境の変化に対応し、新たな取り組みに挑戦し続けるためには、他社を含む多様な人材が持つ考えや知識を積極的に取り込むことが重要と考えるからです。経歴、性別、年齢、人生の目的やステージが異なるすべての社員が、それぞれの能力を充分に発揮して活躍できる環境整備に取り組んでいきます。
<キャリア採用者の活躍>
当社ではキャリア採用者の活躍が進んでおり、2024年3月末時点のキャリア採用者比率は57%、管理職におけるキャリア採用者比率は53%とバランスの取れた比率となっています。その背景には、多様な経歴を持った社員のスキルや考えを積極的に取り入れる企業文化や、経歴にかかわらず実績や挑戦する姿勢を評価する実力主義の文化が根付いていることがあります。今後も採用活動でスキルの確保を進めながら、経歴にかかわらず活躍できる環境の整備を進めていきます。
<女性活躍の推進>
スキルを持った社員の活躍が性別によって制限されることは、企業成長の妨げになると考えています。当社グループの2025年3月末時点の女性管理職比率は2.6%、また正社員の平均年間賃金は男性を100%とした場合女性71.8%と、女性活躍の推進には課題があると認識しています。この背景には、社員数の多い営業職において緊急時にボンベ配送等の力仕事が求められるなど、女性が働きにくい業務の存在があります。社員の活躍を推進するために、業務の分業化や配置の工夫、多様な働き方を可能にする制度の導入等により、性別を問わず個人の能力を最大限発揮できる環境を整備し、企業価値向上に繋げていきます。
<ダイバーシティ>
当社は、社員一人ひとりが持つスキルや意見を大切にしています。人生の目的やステージ、生活スタイルなど、多様な社員が自らのパフォーマンスを最大化しながら活躍できる環境を整備することで、個々のスキルや意見を取り入れ、企業成長に繋げています。
◆指標と目標
当社グループでは、人的資本および多様性に関する取組みについて、以下の指標を設定し進捗を管理しています。
女性社員の活躍を推進するために、業務の分業化や配置の工夫、多様な働き方を可能にする制度の導入等により、性別を問わず個人の能力を最大限発揮できる環境を整備しています。
2020年からは、女性社員向けの研修を実施、2025年3月期は係長以上の女性社員を対象に、女性リーダー研修を行いました。研修ではチームで課題に取り組み、チーム内における自身の役割を考えるワーク等を通じて自分らしいリーダー像を明確化することで、女性のキャリアプラン形成に繋げています。
ダイバーシティの推進では、指名報酬・環境等委員会にて、ダイバーシティの定量目標や具体的施策を議論し、取締役会で方針を決定しております。
女性、中途採用人材、外国籍の社員の活躍に加え、男性の育休取得率についても重要な指標として定めております。これは、当社が推進する女性活躍には、男性による育児と家事への積極的な参加が欠かせないと考えるためです。2022年10月に同比率について30%を目標値に定めましたが、男性社員の育休が取得しやすい制度導入・風土醸成により2023年3月期の実績は36.1%、2025年3月期実績は72.1%と大幅に向上し、2026年3月までの目標50%を1年前倒しで達成しております。
当社が目指す人的資本を整えていく上での適切な指標・目標につきましては、指名報酬・環境等委員会(取締役会の諮問委員会)で議論を行った上で、取締役会にて、議論・決定してまいります。