2024年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの経営成績、株価、財務状況及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、「(2)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に記載のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 2024年2月期におけるリスク評価

 最新のリスク評価の実施結果において、当社グループは98項目のリスクを識別し、「(2)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に示す10個のリスク項目に分類し、軽減策の検討及び実施を行っております。

 また、刻々と変化する事業環境に対応するため、モニタリングの結果や新たなリスクを識別した際には、リスク評価の見直しを行い、必要に応じて優先的に対応すべきリスクを更新しております。

(2) 当社グループにおける優先的に対応すべきリスク

 当事業年度において優先的に対応すべきリスクと位置付けたもののうち、主なものを記載しておりますが、その他のリスクについても、それぞれ対応を進めております。

 また、下記のリスクは有価証券報告書提出日現在における当社グループが判断したもので、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。

 

分類

リスク項目

対応優先度

オペレーショナルリスク

① 人事・労務関連のリスク

② レピュテーションリスク

③ 個人情報に関するリスク

ハザードリスク

④ 事業継続リスク

⑤ 情報セキュリティに関するリスク

戦略リスク

⑥ サステナビリティ課題に関するリスク

⑦ DXに関するリスク

⑧ 店舗開発に関するリスク

ガバナンスリスク

⑨ 法務・倫理関連リスク

⑩ 取引先管理に関するリスク

 

 

(オペレーショナルリスク)

 

① 人事・労務関連のリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

日本では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題である中、当社グループは福岡、東京本社の他、関東エリア、中国エリア、九州エリアを中心として複数の店舗と物流センターを保有しており、当社グループにおける人材の確保及び継続的な成長機会の提供を通した従業員の主体的な能力向上に伴う企業としての生産性の向上を推進していくことが重要な課題であると捉えております。

しかしながら、法令や制度の改正など何らかの事由により、人材獲得のためのコストが増加、人材育成が計画通りに進まない等の場合は、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じる可能性があります。また、新規出店、新規事業に関する人的資本の投資計画にも影響を与え、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、「働きやすさの追求と多様性の尊重」というサステナビリティの重要課題に対する取り組みとして、「すべての人材の能力が活かせる環境づくり」、「健康的に働き続けるための心身の健康維持と増進」、「柔軟かつ新しい働き方への挑戦」などを推進し、多様な人材に意欲をもって能力を発揮していただくために一人ひとりの従業員の主体的な能力向上を支援し、これらを通して企業としての生産性の向上に結び付けていくことに取り組んでおります。

また、長時間労働の削減や有給休暇の取得奨励などの適正な労務マネジメントの実施及び衛生面、安全面が考慮された労働環境作りについても日々改善を行っております。

 

 

 

 

② レピュテーションリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の企業公式アカウントを運用し、日々、お客様やステークホルダーの皆様に対して、最新の情報を届けております。公式SNSアカウントの運用については、細心の注意を払い、日々投稿を行っておりますが、SNSにおける風評被害により商品のブランド価値や企業イメージが毀損する可能性があります。

また、当社グループは、お客様に安全な商品を提供するとともに正確な情報をお伝えするよう努めておりますが、当社グループの取扱商品について重大な事故が生じた場合には、商品回収や製造物責任賠償が生じる場合があり、商品の廃棄ロスを含め、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、SNSの企業公式アカウントの運用について社内規程を定めるとともに、企業公式アカウントの利用がお客様やステークホルダーの皆様に対して正しく有益な情報を届けるツールになるよう、従業員に対して定期的な教育・研修を行って参ります。

当社グループのレピュテーションに影響を及ぼす問題が発生した場合の適切なメディア対応や不適切な投稿に対する対応に備え、プロセスや職責をあらかじめ明確化しております。

 

③ 個人情報に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、事業を展開する上で、顧客から預かった個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、適切な情報管理とITセキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難、役員・従業員の故意的な行動等により、これらの情報の流出や漏えい等が生じる可能性があります。

このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、当社グループが取り扱う商品やサービスの優位性の低下、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループはプライバシーポリシーを掲げ、保有する個人情報を適切に管理するための指針を定めており、個人情報の取り扱いに関する対策の強化を図っております。また、当社グループの従業員への個人情報の取り扱いに関する教育の実施や業務委託先を含む情報セキュリティ水準の確認及びモニタリングを実施して参ります。

 

(ハザードリスク)

 

④ 事業継続リスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループが保有する本社や各店舗、物流センターにおいて、地震、台風及び津波等の自然災害、火災や停電あるいは予期せぬ事故等が発生した場合は、お客様または当社グループの従業員に対する人的被害、施設及び設備の損壊等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有または外部の業務委託先であるITベンダーが保有するITシステムが停止する恐れがあります。

このような事態が発生した場合は、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは毎日の暮らしになくてはならない「社会のインフラ」になることを目指しており、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で早期の店舗復旧及び営業再開をできるように、あらゆる事象を想定した事業継続計画(BCP)を策定しております。

加えて、従業員等の安全確保・安否確認等の初動対応フローの見直し、定期訓練や必要物資等の備蓄対策を実施するとともに、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく、継続的なPDCAサイクルを実施し、重要な事業の継続を図る体制の維持・強化を図り、各種危機に備えております。

 

⑤ 情報セキュリティに関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、事業活動を遂行するために多数のITシステムを保有しております。各種システムが適切に管理され安定的に稼働できるように、運用状況のモニタリング等を実施しております。また、サイバー攻撃の監視・対応及びセキュリティリスク評価、事業を継続するための体制の整備、グループ全体のシステムリスク管理状況の定期的な確認に取り組んでおります。

しかしながら、これらの対策を講じていたとしても、台風、地震等の自然災害、当社グループが利用するクラウドサービスにおける障害、高度なサイバー攻撃等の不測の事態やヒューマンエラーにより、システム障害やセキュリティインシデント等が起こり得ます。これらのシステムリスクが顕在化した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、情報セキュリティ基本方針及び基本規程に基づき、情報セキュリティ対策の環境構築に力を入れています。具体的には、標的型メール、ランサムウェア、不正アクセス等の外部からのサイバー攻撃による情報漏えいやサービス停止の防止、内部者による不適切利用・情報漏えい防止の徹底、外部プラットフォームサービスを利用する場合のサービス選定・運用等に関するルールの遵守の徹底、監視の強化等、必要な措置を講じております。

 

(戦略リスク)

 

⑥ サステナビリティ課題に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

持続可能な社会の実現に向け、気候変動対策を含む環境課題や社会課題に対して、当社グループの事業を形成するバリューチェーン全体を通して、企業の責任を果たすことが求められています。

また、気候変動に伴う移行リスクとして、今後各国・地域における脱炭素社会に向けた政策の強化、炭素排出に関連する法令等の改定・新規制定が想定外の短期間で実施された場合に、かかる取組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があります。

加えて、当社グループにおいて環境問題に関する法令・規制の強化等によりサステナビリティ対応の遅れが生じた場合や、当社事業を形成するバリューチェーンにおいて環境や人権等に対する取り組みが適切に行われていない場合、当社グループの社会的信用が失われ、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループではサステナビリティ基本方針を策定し、企業としてさらに環境、社会課題解決の責務を果たすべく、グループで重点的に取り組む課題として、「商品の提供を通じた社会価値創出」、「持続可能なサプライチェーンの構築」、「持続的成長を支える経営基盤の確立」という3つのテーマから成る7つの重要課題(マテリアリティ)を特定しております。

当社グループでは、サステナビリティ委員会が気候変動を含むサステナビリティに関する重要課題を統括管理しております。重要課題に対する取り組みにおいては、各重要課題の項目に対して定性的または定量的な目標を設定し、具体的な施策を検討、実行しております。

また、気候変動課題については、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に則った情報開示を進めており、サステナビリティ委員会下に分科会としてTCFDチームを設置し、当社グループにおける気候変動による影響の評価及び管理体制の検討を行っております。

 

⑦ DXに関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、デジタルデータを活用したサービス展開と業務変革を積極的に推進しています。特に、サービス展開においては、ミスターマックスオンラインストアを通じて、店舗と同等の圧倒的な品揃えを、常にリーズナブルな価格でご提供するECサービスを目指しています。

しかし、EC市場の今後の拡大に伴い、競合他社を含む多くの事業者がECサービスに更に注力することで、市場の競争が激化する可能性があります。

また、法令や制度の改正など、外部環境の変化により、利便性の高いサービスを通じた市場での差別化や、デジタル技術を利用した従業員の業務効率化が困難となる場合、これは当社グループのECサービス提供、事業運営、財政状態に影響を与える可能性があります。

対応策

当社グループは、店舗、アプリ、オンラインストア、そしてネットスーパー(即配サービス)を統合し、相互に連携・補完することで、お客様が当社のサービスにアクセスできるチャネルを増やすオムニチャネル戦略を推進し、お客様の利便性を向上させております。今後も、オンラインストアの機能強化やアプリのリニューアル等を通じて、サービスの充実を図っていく予定です。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務改革に関しては、DX人材の育成や業務プロセスの標準化を進め、従業員の属人性を排除することで業務効率の向上を目指します。これにより、デジタル技術を活用した効率的な業務運営とローコスト運営の実現に向けた体制を整備してまいります。

 

⑧ 店舗開発に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、当連結会計年度末現在、九州・中国地方と関東地方に56店舗を展開し、家庭用品、家電品、衣料品等普段の暮らしに必要な商品を取り扱っておりますが、当社グループの出店エリアにおいて、それぞれの分野の専門店、大手スーパー、ホームセンター、ドラッグストア等様々な業態の店舗と競合しております。また、当社グループの出店エリアへの他業態の今後の新規出店によっては、競争が激化する可能性もあります。

加えて、個人消費動向の変化、出店地域の景気や雇用情勢、人口動態の変化により、一般消費者への商品販売収入及び当社グループが運営するショッピングセンターのテナントからの賃貸収入が当初の計画より見込めない状況が生じた場合は、出店計画の変更を余儀なくされる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、新たな店舗やショッピングセンターの出店計画を策定する際にテクノロジーを活用した売上予測の精度向上に取り組み、出店後の計画変更に対するリスク対応を行っております。また、当初の売上予測と出店後の売上について予実管理体制を整備する等、継続的な出店計画の適切なモニタリングを行っております。

出店後のお客さまの価値観や消費行動の変容等のリスクに対しては、新常態(ニューノーマル)におけるコンセプトやサービス機能の提供を行う等、従来のビジネスモデルからの変革を進めていく好機ととらえ、社会変化に対応した店舗づくりに取り組んでいます。

 

(ガバナンスリスク)

 

⑨ 法務・倫理関連リスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループが実施する各事業領域において、遵守すべき関連法令・規制等が多数あります。日々の業務遂行にあたり、細心の注意を払い関連法令・規制等の遵守に努めておりますが、関連法令・規制等の変更や強化に対応できず、法令・規制等の義務を実行できない事象が発生した場合、当社グループの事業活動、社会的信用及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの国内外の事業活動が、重要な訴訟等の対象となった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、コンプライアンス委員会を組織するなど、役員・従業員の法令遵守と倫理観向上に努めております。

また、コンプライアンス委員会が有するリスクマネジメント機能として実施されるリスクマネジメント活動の中で、関連法令・規制等への遵守に関するリスクを特定し、必要な対応を講じております。また、社内規程を定め、総務部が主導して従業員に対する教育を行う等、義務事項を実施しております。

 

⑩ 取引先管理に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループはショッピングセンター運営事業、ディスカウントストア事業等において、数多くの関連事業者と取引をしております。当該取引先の倒産や事業撤退等によるサービス供給が停止した場合は事業運営に問題が生じる可能性があります。

また、法務部門における重要な契約に対するリーガルチェック体制を整備しておりますが、何らかの理由で当社グループの国内外の事業活動が、重要な訴訟等の対象となった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、取引先の選定や継続的な取引先の管理に関する社内規程を策定し、運用しています。

また、リーガルチェックにおける社内体制や顧問弁護士等の専門的な見地からの指導を得るべき契約書の基準を設けて、係争事案のリスク低減を図っております。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、配当の継続を重視しており、会社の経営成績及び財政状態ならびに今後の見通し等を総合的に勘案しながら、配当性向30%を目途に配当を行う方針としております。親会社株主に帰属する当期純利益から減損損失などの一時的な損益(税金費用控除後)を控除した利益額を基準とした配当を行っております。

 また、年度の業績を勘案したうえで期末配当1回を行うことを基本方針といたします。

 剰余金の配当については、会社法第459条第1項の規定に基づき、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。

 当事業年度の配当につきましては、2024年5月23日開催の第75回定時株主総会において1株につき18円を実施することが決議されました。

 内部留保資金は主として、店舗・ショッピングセンターの新設・増床・改装や、物流・仕入に関する情報システム投資、また、採用・教育・配転など組織力強化のための人材投資に活用し、業容の拡大と経営基盤の強化につなげてまいります。

 なお、当社は、会社法第454条第5項の規定に基づき、「取締役会の決議により、毎年8月31日を基準日として、中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。

 

第75期の剰余金の配当は次のとおりであります。

決議年月日

配当金総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年5月23日

定時株主総会決議

598

18.00