2026年2月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,463名(単体) 6,518名(連結)
  • 平均年齢
    49.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    25.3年(単体)
  • 平均年収
    7,920,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2026年2月28日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

国内百貨店業

3,541

(3,650)

海外百貨店業

914

(102)

国内商業開発業

271

(75)

海外商業開発業

197

(3)

金融業

389

(173)

建装業

288

(70)

報告セグメント計

5,600

(4,073)

その他

918

(3,291)

合計

6,518

(7,364)

(注)1 従業員数は、就業人員であります。

2 「従業員数」欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2026年2月28日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

3,463

(3,386)

49.3

25.3

7,920

 

セグメントの名称

従業員数(名)

国内百貨店業

3,417

(3,334)

その他

46

(52)

合計

3,463

(3,386)

(注)1 従業員数は、就業人員であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 「従業員数」欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

(3)労働組合の状況

 ㈱髙島屋、㈱アール・ティー・コーポレーション、髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ㈱、髙島屋スペースクリエイツ㈱、㈱グッドリブ及び㈱髙島屋ファシリティーズの各労働組合は、全髙島屋労働組合連合会を組織しており、UAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)に加盟しております。また、ハノイ レジデンシャル アンド コマーシャル センター ― HRCC.LTD.の労働組合は、Cau Giay District Confederation of Laborに加盟しております。

 なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注2)

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注3、4)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注5、6)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

34.8

229.2

59.9

61.6

58.8

 

②連結子会社

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注2)

男性労働者の育児休業取得率

  (%)

 (注3、4)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注5、6)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

㈱岡山髙島屋

50.0

73.5

54.7

66.5

㈱高崎髙島屋

11.1

200.0

50.7

51.7

79.3

㈱アール・ティー・コーポレーション

26.0

200.0

62.2

79.0

103.7

東神開発㈱

32.1

125.0

72.4

79.1

57.6

髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ㈱

40.4

58.4

68.1

39.6

髙島屋スペースクリエイツ㈱

21.2

100.0

71.1

69.8

64.9

㈱エー・ティ・エー

12.5

74.0

69.5

103.0

㈱センチュリーアンドカンパニー

63.6

200.0

85.2

92.0

90.8

㈱髙島屋ファシリティーズ

5.9

72.5

70.9

(注)1 表のうち、該当者がいない場合は「-」で表記しております。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

4 当事業年度に出産した従業員数及び配偶者が出産した従業員数に対して、当事業年度に育児休業を取得した従業員数の割合を算出しております。なお、過年度に出産した従業員又は配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。

5 賃金差異の計算におけるパート・有期雇用労働者には、当該期間中に給与支払いが生じた再雇用社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト等を対象に算出しております。

6 賃金は支給総額を支給対象人数で割って算出しており、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)当社のESG経営

 当社のグループ経営理念「いつも、人から。」は、SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現と強く結び付くものです。2006年には、経営理念をもとにCSR活動領域を策定し、現在もそれに即した経営の推進や情報の開示を行っています。活動領域には、事業活動を通じて得た利益をさまざまな人々に還元する「経済的役割」や「コンプライアンス(法令遵守)」といった基本的な活動に加え、「企業倫理」に基づく行動や新しい価値の創造、社会課題の解決など「社会的役割」の実現といった活動があります。

 こうした従来のCSR経営にSDGsの概念を融合し推進しているのが、「グループESG経営」であり、「すべての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現」に貢献していくことをめざしています。これにより、「環境に優しいより豊かな生活・文化」「多様な価値観への対応、多様な人材の活用」「お客様視点に立った経営」など、当社ならではの価値提供を通じ、ステークホルダーの皆様からの共感を獲得していきます。

 

 ESG経営の重点課題につきましては、「脱炭素化推進RE100」や「ダイバーシティ推進」をはじめとする10の項目を設定しています。例えば、「脱炭素化推進」では、流山おおたかの森S.C.をはじめとする各施設の実質再エネ100%電力への切替をはじめ、一部店舗ではオフサイト型PPAによる追加性のある再エネ電力調達を推進しています。2025年3月より、流山おおたかの森S.C.・髙島屋グループ本社ビル・横浜物流センターにおいて、実質再エネ100%電力へ切替を行いました。2026年4月には玉川髙島屋S.C.において全館で再エネ100%化を達成するとともに、日本橋髙島屋S.C.本館においては、新たにオフサイトPPA契約を締結しました。

 また、「ダイバーシティ推進」では、女性の活躍・ジェンダー平等に向けた取組や、外国人の労働者としての受け入れと生活者としての支援など、多様な価値観や能力を尊重し、あらゆる人材がその能力を最大限発揮でき、やりがいを感じられるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの実現に向けた環境整備や意識啓発に取り組んでいます。

 

 グループESG経営を推進することで、従来型のビジネスモデルから脱却し、時代や社会の要請に合わせて変革していくことが重要であり、結果として社会課題の解決はもちろんのこと、事業成長の好機にもつながるものと考えます。

 

●グループESG経営概念図

 

 また、「グランドデザイン」で掲げる「こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム」としての役割を果たすとともに、社会課題の解決と当社グループの持続的な成長を図ることを明文化した「サステナビリティ基本方針」を2025年10月に制定しました。本基本方針は、中長期的にめざす姿である「グランドデザイン」及び、その実現に向けた中期経営計画を下支えする基本的な方針と位置づけています。これに基づき、お客様、従業員、お取引先、投資家、地域社会等のステークホルダーとの良好なパートナーシップを構築し、サプライチェーン全体を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に取り組んでいます。

 

●グループ理念体系図

 

 

●サステナビリティ基本方針については、サステナビリティホームページをご覧ください。

※ https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/

 

 なお、ESG経営については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題 □経営基盤強化 ~ESG経営・人的資本経営~」にも記載しています。

 

① ガバナンス

 当社では、グループESG経営の推進を通じ、社会課題解決と企業価値の向上・持続的成長を図り、お客様や株主・投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様からのご期待に応えるため、コーポレート・ガバナンスの強化及び内部統制システムの整備に取り組んでいます。具体的には社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティに関する重要事項について議論・確認を行い、取締役会に報告を行っております。

 「グループサステナビリティ委員会」は、半期に一度開催し、ESG重点課題の進捗状況及び新しい社会課題に対する取組状況をグループ横断的に検証し、強化する体制を整えています。また、議論された内容については取締役会に報告し、取締役会による監督体制のもと、取組に対するガバナンスの強化に努めています。

 

 なお、内部統制システムの体制図については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項」に掲載しております。

 

●ESG重点課題 推進体制図

 

※ 2026年3月1日より、経営企画部「ESG推進室」は経営企画部「サステナビリティ推進室」に変更しております。これは持続的成長に向けた経営戦略として、国際基準に沿ったグループサステナビリティ戦略の策定・推進、非財務情報の収集体制構築と情報開示等の機能強化を目的としております。

 また、「髙島屋グループCSR委員会」もサステナビリティ戦略を見据えた方針・政策議論を強化すべく「グループサステナビリティ委員会」へ変更しております。

 

●グループサステナビリティ委員会(旧髙島屋グループCSR委員会)の主な議題

 本委員会は、当社取締役・執行役員に加え、グループ事業会社の社長が参加しました。主な議題は以下のとおりです。

2024年度

1回目

(2024年8月)

・外部講師による講演

 「ESG最新動向(人的資本・生物多様性・サプライチェーン・人権

 など)」

・TSUNAGU ACTION

・お取引先従業員を含むエンゲージメント可視化・向上

・サステナビリティ重点課題進捗状況

・グループ廃食用油 “SAF化” への取組

2回目

(2025年2月)

・外部講師による講演

 「サステナビリティ経営に関する日本企業の現在地と今後の課題」

・2024年度「ガバナンス・サステナビリティ重点課題」検証

・お取引先アンケート実施報告(サプライチェーンマネジメント)

2025年度

1回目

(2025年8月)

・外部講師による講演

 「企業に求められるサプライチェーンマネジメントについて」

・TSUNAGU ACTION

・お取引先従業員を含むエンゲージメント可視化・向上

・市場要請を踏まえたサステナビリティ課題確認と対応の方向性

2回目

(2026年2月)

・外部講師による講演

 「企業価値向上のためのSSBJ制度開示の活用」

・2025年度「ガバナンス・サステナビリティ重点課題」検証

・グループESG重点課題の見直しについて

・2026年度サプライチェーンマネジメント対応

 

② 戦略

 当社は、事業活動を通じ、SDGsの達成に強く寄与できる取組を環境・社会の2領域に落とし込み、領域ごとに10項目の重点課題(マテリアリティ)を特定し、取組を推進しています。

 

●重点課題とアクションプラン

 一方、社会環境が変化する中、サステナビリティ戦略についても経営戦略とともに定期的な見直しが必要と認識し、2025年度より、外部環境変化やステークホルダーの声、当社の戦略や財務影響等を踏まえ、重点課題・KPIの刷新に向けた議論を進めています。

●当社ESG経営の象徴的営業活動「TSUNAGU ACTION」

 ESGの考え方を経営の中心に据え、広範囲かつビジネスに直結する取組とするためには、より多くのステークホルダーの支持・共感を獲得することが重要です。当社が、生活・文化・地域社会を支えるプラットフォームとしての役割を一層発揮し、お客様・お取引先・地域社会とともに、チャネル全体でESG経営を推進することで、持続可能でこころ豊かな生活の実現に貢献していきます。その一環として、2023年度よりお客様・お取引先との共創による当社のサステナブル活動「TSUNAGU ACTION」を拡大展開しています。「環境負荷軽減とデザイン性・機能性」を両立する商品開発や、多様性を尊重する(インクルーシブ化)商品提案や施設・サービスなど、当社ならではの価値提供を通じて、サステナブルなライフスタイルの提案に取り組んでいます。

 なお、2025年度の取組は、TSUNAGU ACTIONホームページをご覧ください。

※ https://www.takashimaya.co.jp/store/special/tsunaguaction/

 

 

●人的資本の考え方

 企業の持続的成長や価値向上に直結する「人的資本」への投資は、社会のサステナビリティと企業の利益創出を両立する上で不可欠な戦略投資です。当社は、専門性や多様な価値観を持つすべての人の価値を最大限引き出し、お取引先からの派遣スタッフを含めた従業員が、主体的に生き生きと成果発揮できる企業を目指し、人的資本経営を推進していきます。人的資本の詳細については、「(2)サステナビリティに関する個別課題 <人的資本経営・多様性>」に記載しています。

 

③ リスク管理

 当社は、気候関連課題などのサステナビリティ課題を含む事業へのリスクについて、社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」及び「グループリスクマネジメント委員会」にて、当社の業務執行に関わる様々なリスクを抽出・評価し、リスクの未然防止及びリスク発生時の損失極小化に向けた対応などについて、協議を行っています。なお、リスク特定・評価に関する議論内容は最終的に取締役会へ報告しています。また、当社は、脱炭素社会の実現に向けた「RE100」や「EV100」の推進、廃棄プラスチックや食品ロスの削減、循環型ビジネスの構築などに取り組むとともに、自然災害の激甚化に伴う営業機会損失を最小限に抑制するため、店舗や施設のレジリエンスを高める設備投資や、サプライチェーン上の人権リスクの未然防止・軽減に向けた人権デューデリジェンスの体制整備などに取り組んでいます。

 

 上記のリスク管理の詳細は、「3 事業等のリスク」に記載しています。

気候変動に関するリスク(シナリオ分析に基づくリスク・機会及び財務影響等)については、「(2)サステナビリティに関する個別課題 <気候変動への対応>」に記載しています。

 

④ 指標と目標

 当社グループがめざす将来社会を見据え、環境・社会課題解決に向け取り組むべきKPIと数値目標を2020年に策定し取組の実践とモニタリングを行っています。気候変動に関する指標と目標については、「(2)サステナビリティに関する個別課題 <気候変動への対応>」にも記載しています。

●重要課題とKPI

 

(2)サステナビリティに関する個別課題

 

 <気候変動への対応>

 当社は「髙島屋グループ環境方針」で気候変動対応への貢献や温室効果ガス(GHG)排出量の削減を掲げ、環境課題解決につながる21世紀の心豊かなライフスタイルを提案することをめざしています。

 このグループ環境方針は、ESG経営で掲げる環境課題の解決につなげるグループの基本的姿勢です。お客様やお取引先、地域社会など多くの人々との直接的な接点を持つという事業特性を生かし、環境方針に基づくさまざまな活動に取り組んでいます。

 しかし一方で、近年は気候変動や資源の枯渇、生物多様性の減少といった環境問題が世界規模で深刻化しており、環境問題への取組の重要性や緊急性がますます高まっています。特に中核事業である百貨店業では、化石燃料などの地下資源に由来する電力の大量消費やプラスチックや食品ごみの大量廃棄、衣料品の過剰在庫など、現行のビジネスモデルが環境負荷を前提としていることを根本的なリスクと捉えています。

 上記課題認識の下、当社は従来型のビジネスモデルから、地球資源を再生・修復するビジネスモデルへと変革し、環境課題解決と事業成長の両立に取り組むこととし、TCFD提言への賛同を表明しました。TCFD提言が推奨する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理とリスクに対する取り組み」「指標と目標」の4つの開示項目に 基づき情報開示のさらなる拡充を図っていきます。

 

 なお、2026年3月には「髙島屋グループ環境方針」を改訂しました。同方針についてはサステナビリティホームページをご覧ください。

※ https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/

 

{TCFD提言が推奨する開示項目に沿った情報開示}

 TCFD提言が推奨する4つの開示項目<ガバナンス><戦略><リスク管理><指標と目標>と、項目毎の具体的な開示内容に基づき、当社は、気候関連情報を開示しています。

 

① ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれています。体制図を含む詳細については、「(1)当社のESG経営 ① ガバナンス」に記載しています。

 

② 戦略(気候関連シナリオ分析)

a.短期・中期・長期のリスク・機会の詳細

 将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会、財務影響を把握するため、TCFDが提唱するフレームワークにのっとり、シナリオ分析の手法を用いて、2050年時点における外部環境変化を予測し、分析を実施しました。気候変動に伴う自然環境の変化や資源の枯渇などは、長期間にわたり事業活動に大きな影響を与えるため、百貨店のみならずグループ事業全体において、従来型のビジネスから、地球資源を再生・修復するビジネスへと変革していくことが必要であると認識しています。当社がめざす将来社会を見据え、環境・社会領域におけるESG重点課題10項目は、2030年時点の達成目標(中長期)や、年度ごとの数値目標(ロードマップ)を設定し、PDCAサイクルにて進捗管理を行っています

 

b.リスク・機会が事業・戦略・財務計画におよぼす影響の内容・程度

 TCFDが推奨する気候変動関連リスクを移行リスク・物理的リスクの2つのカテゴリーに分類し、当社の事業活動に甚大な影響をおよぼす可能性がある主要なリスク項目を特定しました。また、「2℃以下シナリオを含む、さまざまな気候変動関連シナリオに基づく検討」を行うため、IPCCやIEAなどのシナリオを参考に、事業活動や財務におよぼす影響を分析し、その対応策を検討・推進しています。シナリオ分析は、パリ協定の目標である「2℃未満」と、CO2排出量削減が不十分な「4℃」の2つのシナリオを想定し、TCFDが推奨する典型的な気候関連リスクと機会を参考に分析を行いました。

 

想定シナリオ

 

2℃未満

シナリオ

気候変動対応の厳しい法規制施行による事業運営コストの増加

エネルギーコストや商品価格の高騰に伴う、商品調達リスクの拡大

消費者の環境意識の高まりによる新たなマーケット獲得

4℃

シナリオ

自然災害の多発・激甚化に伴う店舗被災、サプライチェーンの断絶など、営業機会の損失

エネルギー価格の高騰や資源不足に伴う商品調達リスクの拡大

環境負荷を前提としたビジネスモデルから脱却できない企業に対する市場からの淘汰

 

●髙島屋グループのリスク・機会の概要と事業及び財務への影響

 ◎:非常に大きい ○:大きい :非常に大きくなる :大きくなる :軽微

リスク・機会

の分類

髙島屋グループ 気候変動関連リスク・機会の概要

事業及び
財務への影響

+2℃未満

+4℃

市場と

技術

* 再生可能エネルギーへの転換に伴う調達コスト増加

* 環境マーケット需要の獲得遅れに伴う競争力低下

評判

* 環境課題への対応遅れに伴うステークホルダーからの

  信用失墜、ブランド価値の毀損、組織会員離反

政策と

* 炭素税の導入、プラスチック循環促進法への対応など、

  規制強化に伴う事業運営コストの増加

物理的

リスク

* 大規模自然災害の発生に伴う店舗閉鎖や、サプライチェーン

  断絶に伴う営業機会損失

エネルギー源

* 省エネ推進に伴う電力使用コスト削減

* 災害に備えた事業活動のレジリエンス確保

市場

* ESG経営の推進によるステークホルダーからの共感獲得、

  企業価値向上

* 高まる環境意識に対応した商品・サービスの提供による

  マーケット獲得

※+4℃の矢印は+2℃未満シナリオと比較した際の影響の大きさを示しています。

c.シナリオに基づくリスク・機会及び財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス

 2030年時点を想定した2つのシナリオにおける事業及び財務への影響に関し、規制強化に伴う炭素税の導入や、再生可能エネルギー由来の電力調達コストが財務に影響をおよぼすものと考え、2℃未満シナリオにおける財務影響を試算しています。

 

●髙島屋グループへの財務影響

2030年時点を想定した財務影響

炭素税導入

約25億円

コスト増

・IEA(※)の2℃未満シナリオにおける2030年の先進国

 国際炭素税価格(約11千円/t-CO2)を基準に、当社

 2019年時点のCO2排出量(約230,516t)より算出

再エネ由来の

電力調達

約16億円

コスト増

・現状の調達電気との料金格差(約4円/KWh)に、当社

 2019年時点の電力使用量(約392,824MWh)より算出

 

IEA(国際エネルギー機関)発行「世界エネルギー展望 World Energy
 Outlook2019」
参照

 

 当社は、気候変動関連リスクに対する事業活動や財務に与える影響などを踏まえ、持続可能な社会の実現に貢献することをめざし、社会課題解決と事業成長の両立を図る「グループESG経営」を推進しています。その一環として、2019年に事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力で調達することをめざす国際的イニシアチブ「RE100」に参加し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。脱炭素化に向けては、中長期的視点で再エネ由来電力調達によるコスト増リスクも見据え、横浜店、大阪店、京都髙島屋S.C.、高崎髙島屋、日本橋髙島屋S.C.には、オフサイトPPAによる再エネ由来電力を導入しています。また、店舗設備を省エネ効率の高い機器へと順次更新するとともに、既存照明をLED照明に変更することで、使用電力及びCO2の削減に努めています。国内百貨店では、2024年度約5.3億円のLED化投資を行い、CO2排出量を推計約1,300t-CO2を削減しました。(※国内平均排出係数にて算定)

 なお、2025年度についても、約2.1億円のLED化投資を継続して行いました。

 さらにグループ総合戦略「まちづくり」を通じ、「街のアンカーとしての役割発揮」「館の魅力最大化」に取り組むとともに、環境に配慮した商品やサービス、店舗施設提供など、新しい価値を提案する次世代商業施設づくりにて、新たなマーケット獲得に取り組んでいます。グループ経営においても、既存事業の収益強化と将来の成長に向け事業規模拡大や、新規事業開発を進めるなど、気候変動リスクの抑制とともに、マーケット変化に積極的に対応した新たなビジネス機会獲得に取り組んでいます。

 

③ リスク管理とリスクに対する取組

 気候変動に関するリスク管理及びリスクに対する取組は、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれています。詳細については、「(1)当社のESG経営 ③ リスク管理」に記載しています。

 

④ 指標と目標

a.気候関連リスク・機会の管理に用いる指標

 当社は、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1・2・3温室効果ガス排出量及び、事業活動で使用する電力に占める再生可能エネルギー比率を指標として定めています。

 

b.温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)

 百貨店事業・商業開発事業の収益シェアが大きい当社は、環境負荷を前提とした現行のビジネスモデルをリスクと捉え、環境課題の解決に向けて取り組んでいます。2019年、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来の電力で調達することをめざす国際的イニシアチブ「RE100」に参加し、脱炭素化推進に取り組んでいます。当社の2024年度Scope1・2温室効果ガス排出量は、約207千t-CO2、国内百貨店におけるScope3温室効果ガス排出量は、約4,438千t-CO2となりました。

 

●温室効果ガス排出量

 

範囲

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

温室効果ガス排出量

CO2

連結

Scope1

排出量(t)

21,055

20,197

19,910

18,905

18,214

Scope2

排出(t)

(マーケット基準)

178,090

183,301

179,377

187,350

189,028

Scope

1+2

排出量(t)

179,145

203,497

199,286

206,255

207,242

国内

百貨店

Scope3

排出量(t)

2,495,547

2,772,244

4,264,236

3,442,335

4,438,641

フロン類

排出量

国内

百貨店

SC

t-CO2

1,609

1,580

967

1,119

1,094

※ 当社の温室効果ガス排出量に関しては、髙島屋グループGHG排出量算定ルールにより、第三者機関の検証を受

  けています。

※ 2023年度までは国内百貨店のみ。2024年度からは海外含む連結ベースにて算定。

※ 店内で使用している冷凍・冷蔵等のフロン漏えい量を、フロン排出抑制法に基づき、CO2換算した数値です。

 

c.気候関連リスク・機会の管理に用いる基準値及び目標

 当社は、2019年「RE100」に参加しました。「2030年度にScope1・2温室効果ガス排出量30%以上削減」「2050年度までにScope1・2温室効果ガス排出量ゼロ」を目標として設定し、毎年度の数値目標を設定したロードマップに基づき、脱炭素社会の実現に向け、取り組んでいます。当社は、2019年度Scope1・2温室効果ガス排出量を基準に、中長期の温室効果ガス排出量削減目標とRE達成目標を設定し、脱炭素化を推進しています。

 2020年度より施設電力の再生可能エネルギー由来電力転換を進めており、2023年度より、国内で初めて短期契約によるオフサイト型PPAを横浜店で開始し、2024年度には高崎髙島屋、大阪店、京都店へと展開しました。さらに2025年度には、流山おおたかの森S.C.、髙島屋グループ本社ビル及び横浜物流センターの3施設において、使用電力を実質再生可能エネルギー100%への切替を実施しました。

Scope1・2

単位

2019年度

(基準)

2025年度

2030年度

2050年度

温室効果ガス排出量

t-CO2

230,516

208,961

161,361

0

削減量(2019年度比)

△21,555

△69,155

△230,516

温室効果ガス削減目標

(2019年度比)

△9.4%

△30%以上

△100%

RE達成率

0%

8.6%

30%以上

100%

 

 

 

<人的資本経営・多様性> ‐価値創造の源泉としての「人」‐

 当社は、創業以来「いつも、ひとから。」という考え方を企業活動の根底に据えてきました。お客様、従業員、取引先、地域社会など、あらゆるステークホルダーとの関係性の中で価値を生み出してきた当社グループにとって、「ひと」は単なる経営資源ではなく、価値創造の起点であり、競争力の源泉であると考えています。

 百貨店、商業開発、金融、建装など多様な事業を展開する当社グループの事業構造は、商品や空間といった有形資産のみで価値が完結するものではありません。現場における一人ひとりの判断や創意工夫、お客様との対話、地域や取引先との信頼関係といった、人を介した無形の価値の積み重ねによって、当社ならではの価値が形成されてきました。

 このため当社では、グループ全体を通じて、人的資本を短期的な施策の対象としてではなく、中長期的な企業価値向上を支える基盤として位置づけ、経営戦略と一体で捉えています。

 

① ガバナンス

 当社の人的資本経営を推進する上での重要事項については、取締役会及び経営会議体において報告・審議を行っています。2025年度は、人的資本を「価値創造の源泉」と位置づける考え方や、重点的に取り組むべきテーマについて経営確認しました。また、人的資本に関する取組の状況や指標について、社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」や経営会議体にて、議論・確認を行い、必要に応じて取締役会に報告を行っております。

 これにより、人的資本に関する課題や変化を経営レベルで把握し、経営判断に反映する体制を整えています。

 

② 戦略

 当社のグループ経営戦略の中核には、「まちづくり」を通じた持続的な価値創造があります。これは、単なる施設開発や商業機能の提供にとどまらず、地域に根ざし、「人・モノ・コト」をつなぎながら、長期的な視点で価値を高めていく戦略です。こうした戦略を支えるのは、多様な人材がそれぞれの強みや専門性を発揮し、変化する環境に応じて価値創造に関わり続けることです。人口減少や価値観の多様化が進む中、画一的な人材活用では、当社グループが目指す持続的な成長や、顧客との長期的な関係構築を実現することは困難であると認識しています。

 このような認識のもと、2025年度の経営議論において当社は、「多様な人材の活躍を通じて、価値創造を持続させること」を、人的資本経営の中核的な考え方として確認しました。これは、人材の確保・育成・活躍を、短期的な人事施策の集合ではなく、経営戦略を実現するための中長期的な基盤として捉えるという意思を明確にしたものです。

 

●価値創造の源泉としての人的資本(概念図)

 

●人材に関する基本的な考え方

 

※本図は、当社グループが人的資本を価値創造の源泉として捉える基本的な考え方を示したものであり、「髙島屋グループ統合報告書2025」P56~58の記載内容を再掲しています。

 

 当社は、「営業力強化」「組織力の向上」「働きがいの向上」に向け、人材育成の基本方針を定め、社会環境や時代の変化を見据えた人材育成に取り組んでいます。

 

a.人材育成方針

・社会環境が急激に変化する中、企業の持続的成長には、未来を見据えた事業のトランスフォームが不可欠となります。そのために、多様な人材が主体的に能力開発に取り組み、自律的にキャリアを形成していくことを大切にします。

 

・当社の人材育成の根幹は「OJT」です。「OJT」により、業務現場でしか得られない仕事の進め方や知識・技能を習得し、実務能力や問題解決力を高めます。また、多様な「Off・JT」により、業務現場以外の急変する環境に即した教育を有機的に組み合わせることで、クリエイティブ・イノベーティブな発想力・構想力を養っていきます。

 

●能力開発体系

 OJTを基本としつつ、計画的に自らキャリアを開発できるよう、「社会人として必要となるビジネス基礎能力」を習得するプログラムや、専門性をより一層高めるための職務別·ジャンル別のプログラムなどの研修メニューを整備しています。また、一部の研修を除き雇用形態にかかわらず、すべての従業員が等しく受講できる環境を整えています。

 研修メニューの中には、海外事業戦略や海外店舗の運営ノウハウを習得する「海外派遣研修制度」があり、2026年度はパリ・ミラノとサイアムに長期研修生を派遣し、多様な価値観・文化を受容しながら、グローバルに活躍する人材の育成につなげています。

 また、従来から実施している通信教育や資格取得費用の補助に加えて、「資格取得お祝い金制度」を導入し、個人のキャリア自律、専門性強化を推進しています。更に、個人の「学び」を制度面で支援するために「学び勤務」制度も導入し、学びと仕事の両立を可能とする仕組みなども整備しています。

 DX推進に向けた個々人のデジタルスキル向上に関しては、ITに関する基礎的知識として、全役員・経営層に国家資格である「ITパスポート」の受験を必須化、従業員にも取得を促進し、現在326名(国内百貨店計・2026年2月時点)が取得しています。

さらに、百貨店業におけるデジタルスキルの社内基準を整備し、半期ごとにスキルの向上・実践に関する行動目標を設定するなど、デジタル人材の育成による業務改善や働き方改革への取り組みを進めています。

 OJTを基本としつつ、計画的に自らのキャリアを開発できるよう、多様なプログラムや研修メニューを整備しています。雇用形態にかかわらず、全ての従業員が等しく受講できる環境を整えています。

●キャリアサポート(アセスメント制度、オープンエントリー・FA制度)

 当社の人事に関する制度運営は、「個人の自主性の尊重」を基本的な考え方とし、一人ひとりの個性と意欲を尊重した人材育成をめざしています。キャリア実現に向けたサポートの仕組みを整備しています。

 

●アセスメント制度

 年に一度、各職務に求められる「能力・スキル」と現在の自分との差異を明確化し、今後の能力開発計画に反映する「能力評価アセスメント」と、進路・キャリアプランなどの意思を表明する「自己申告」を実施しています。人材配置の最適化や効果的な人材育成につなげることで、個人の能力向上と組織全体のパフォーマンス向上につなげています。能力評価アセスメントにおいては、将来就きたい職務の実現(キャリア形成)に向けた羅針盤として、「職務基準書」を活用しています。職務基準書で定めた各項目に沿って、自身の能力を本人と上長が相互に評価します。職務に求められる能力ギャップを確認した上で、翌年期初にはその年度の能力開発目標とOJTを含めた 能力開発計画を決めていきます。また、半期ごとに行う人事考課目標やフィードバック面談と合わせて行うことで、組織目標の達成と個人の成長を連動させる仕組みとしています。

●オープンエントリー/FA制度

 本人が希望する職務や挑戦したいキャリアを、ジョブローテーションに活用する制度です。本制度は1991年からスタートし、自ら手を挙げ、その意欲を実現する仕組みにより、一人ひとりの高度な専門性と自律的なキャリア形成を実現してきました。直近5年間(2021年-2025年)では累計300名以上の従業員が本制度を活用しています。

 

●キャリア自律支援体制

一人ひとりが当事者意識をもってキャリアビジョンを描くことが、本人と企業双方の成長につながると考え、キャリア相談窓口を社内外に設置するほか、セルフ・キャリアドックの実施や社内の多様な仕事を動画で紹介するなど、総合的にキャリア自律を支援する仕組みを整備しています。

相談窓口では年代·雇用形態問わず、誰もが仕事を通じて成長し働きがいを高められるよう、有資格者が相談を受け付け、本人がキャリアについて考えるサポートをしています。

加えて、節目となる昇格と年齢のタイミングで、キャリア研修とキャリアサポート面談を実施するセルフ・キャリアドックを導入し、キャリア形成の促進と専門性を高め、個人と会社の双方の成長につなげています。

 

b.エンゲージメント向上

 人的資本経営推進の重要な要素として、グループ会社を含む従業員エンゲージメントの可視化・向上の取り組みを推進しています。メンタルヘルス(ストレス)とエンゲージメントを同時に測定することで、組織の状態を細かく分析し、各種人事制度運営の見直しや、職場単位での改善につなげています。

 加えて国内百貨店においては、店頭での販売最前線を担うお取引先従業員(百貨店におけるローズスタッフ)にとっての働く場としての魅力向上が欠かせません。ローズスタッフを対象とした総合満足度調査を通じて「当社で働く想い」をしっかりと把握し、継続的に改善策を講じることで、満足度の向上と営業力強化につなげています。

 各種調査結果を踏まえ、店休日の設定、福利厚生施設の改善(社員食堂や休憩室など)、コミュニケーションのあり方に関する動画研修を通じた意識啓発など、さまざまな取り組みを進めています。

 

●従業員エンゲージメント調査結果(過去3年間)

2023年

2024年

2025年

前年比

51.1

51.5

51.8

+0.3

※当社グループの偏差値(調査会社による算出)

 

●ローズスタッフ満足度調査結果(過去3年間)

2023年

2024年

2025年

前年比

6.25

6.46

6.67

+0.21

※10段階評価(当社調査)

 

c.ダイバーシティ推進

当社では、2020年に「髙島屋グループ ダイバーシティ推進方針」を策定し、多様な価値観や生活背景を有する人材の能力が最大限に発揮できる環境を整備し、「人と企業の双方の成長」を実現するための取組を行っています。今後も当方針に基づき、多様な価値観や能力を尊重し、あらゆる人材が当社グループで働くことにやりがいを感じられるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの実現をめざしていきます。

 

※なお、同方針は2026年4月に、公正性、包摂性に関する概念を明確化するために、「髙島屋グループ DE&I方針」へ改訂しています。同方針については、サステナビリティホームページよりご確認ください。

 https://www.takashimaya.co.jp/corp/csr/contribution/diversity.html

 

当社は、女性の活躍推進・ジェンダー平等に向けて、男女を問わず、誰もが適材適所で一層活躍できる環境づくりを推進しています。本人の意欲・能力及び将来のキャリアビジョンを踏まえた配置・登用を行うとともに、多様な価値観や生活背景を有する一人ひとりが働きやすく、能力を最大限に発揮できる環境の整備に取り組んでいます。

こうした環境整備にあたっては、エクイティ(公平性)の考えに基づき、個々の状況に応じた支援が必要です。その一環として、アンコンシャス・バイアス研修や、育児・介護等のさまざまな事情を抱えるメンバーを含めた職場運営について学ぶ 「多様な部下の理解と育成研修」を、管理監督者を対象に毎年実施しています。

また、育児勤務者一人ひとりのキャリア形成支援及び不安・悩みの解消を目的として、毎年開催している「育児勤務者懇談会」や「育児勤務者メンター制度」等を通じたフォローを行っております。

今後も風通しのよい職場風土と円滑なコミュニケーションに向け、従業員の意識改革を継続的に取り組んでいきます。

また、LGBTQ+への取組についても、性的指向・性自認などの違いを越え、差別・ハラスメントがなく、誰もが活躍できる環境づくりに取り組むことを明記し、制度や環境整備・風土醸成を進めており、「PRIDE指標2025(work with PRIDEが策定)」において2年連続で「ゴールド」の認定を受けています。Ally活動の一環として東京・大阪での関連イベントへの参加や、社内の福利厚生制度の見直しを行うなど、安心して働ける環境整備や、職場内の正しい理解と風土醸成に取り組んでいます。

 

 

d.健康経営

 従業員の心身の健康を守ることは企業の責務であり、グループの成長には、従業員一人ひとりの活力が不可欠です。当社グループは、2017年に「健康経営宣言」を策定し、心身ともに充実した組織・従業員による上質なサービスの提供と、社会環境変化に対応し得る生産性の向上をめざし、健康経営を推進しています。

 2024年度には、当社グループの特性を踏まえ、健康経営における目指す姿と6つの重点領域(=TakaWellness)を設定し、さらなる取組を進めています。「生活習慣病予防」においては、健康ポイントプログラムやウォーキングキャンペーンなどを実施し、また「女性の健康支援」にも注力しています。

 さらには、疾病の早期発見・重症化予防に重点をおいた健診メニューの充実や、生活習慣病予防に向けた健康行動の促進、ワークライフバランスの実現に向けた働き方改革や安全衛生など、産業医・人事部・健康保険組合が連携し、従業員の健康保持・増進への取組を進めています。こうした取組により、2020年より7年連続、経済産業省の健康経営優良法人(大規模法人部門)に認定されています。

 

e.働き方改革推進

多様な生活背景を持つ従業員が仕事と私生活を両立するため、人事諸制度を拡充し、働きやすい環境整備に取り組んでいます。出産・育児や看護・介護に加え、傷病や不妊治療など幅広い休暇制度を設け、ライフステージの変化や想定外の事態が生じた場合にも働き続けられる環境を整えています。

グループ会社やお取引先従業員を含む、従業員のワークライフバランスの充実のために営業時間の短縮や店休日の設定を推進しています。特に2025年度から、1月2日を店休日とし、働き方の満足度やモチベーションの向上につなげました。また、長時間労働の削減に向け、店・職場ごとの繁閑の特性に合わせ、年間の業務計画を踏まえた変形労働時間制の採用や、始終業時間のスライドや拡縮を柔軟に計画できるようにしています。

また、2024年度より、55歳から70歳までの従業員を対象として、仕事と生活のバランスを考えて働き方を変えることができる「ライフバランス勤務」を新設し、柔軟な働き方を可能とする人事制度を整備することで、ワークライフバランスのさらなる拡充を図っております。

 

③ リスク管理とリスクに対する取組

 当社は百貨店、商業開発など運営しており、リテーラーとして、人的資本への依存度が高く、人材の確保・育成・活躍の状況は、経営戦略の遂行や中長期的な価値創造に直接影響を及ぼします。このため当社グループでは、人的資本に関する課題を、単なる人事上の問題ではなく、経営戦略の実行を左右する重要なリスク要因として認識しています。

 具体的には、必要な人材の確保や育成が進まない場合、現場におけるサービス品質や専門性の低下を通じて競争力が損なわれ、成長機会の逸失につながる可能性があります。そのためベテラン人材の確保のために70歳まで働き続けることができる再雇用延長制度の導入や、新卒・経験者採用の拡大などに取り組んでいます。また、人材の定着やエンゲージメントが低下した場合には、生産性や創造性の低下を招き、企業価値に影響を及ぼすおそれがあります。

 2025年度の経営議論においては、これらのリスクを踏まえ、人的資本の状況を継続的に把握・確認していくことの重要性を経営確認しました。当社では、グループ全体で、人的資本に関する状況を定量・定性の両面から把握し、経営としてモニタリングすることで、リスクの顕在化防止及び早期対応に努めています。

 

④ 指標と目標

 人的資本経営の進捗状況を把握するため、当社では、グループ従業員の構成、エンゲージメント、ダイバーシティ等に関する指標を設定し、経営管理に活用しています。これらの指標は、第159期有価証券報告書において開示している内容と同一の考え方に基づくものであり、2025年度においても、人的資本に関する現行の管理指標として位置づけています。

 なお、人的資本に関するKPIや目標水準については、経営戦略との整合性や事業環境の変化を踏まえ、今後段階的に検討・整理していく予定です。

指標

実績

目標

2025年度

2025年度

2026年度

2030年度

女性管理職比率 ※1

31.4

35.4%

36.4%

40.0%以上

有給休暇取得率 ※2

72.6

80.0%

82.0%

100.0%

人当生産性 ※3

(営業利益/従業員)

8.2百万円

4.7百万円

5.0百万円

6.6百万円

※1 女性活躍推進法の管理職の定義に基づき算定しております。対象は、提出会社、国内連結子会社及び非連結子会社のタカシマヤトランスコスモスインターナショナルコマースジャパン㈱の数値であります。(3月1日時点)

※2 労働基準法に基づく年次有給休暇の付与日数を分母、取得日数を分子として算定しております。対象は、提出会社、国内連結子会社及び非連結子会社のタカシマヤトランスコスモスインターナショナルコマースジャパン㈱の数値であります。

※3 当該年度末の海外子会社を含む連結従業員数を分母とし、年度連結営業利益を分子に算出しております。