人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,964名(単体) 2,476名(連結)
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平均年齢44.1歳(単体)
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平均勤続年数16.1年(単体)
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平均年収8,873,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社における従業員数
2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
銀行業 |
その他事業 |
合計 |
従業員数(人) |
2,266 [177] |
210 [8] |
2,476 [185] |
(注)1.従業員数は、海外の現地採用者を含み、臨時従業員179人を含んでおりません。
2.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。
(2)当行の従業員数
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2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
1,964 |
44.1 |
16.1 |
8,873 |
[121] |
(注)1.従業員数は、海外の現地採用者を含み、臨時従業員117人を含んでおりません。
2.当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。
3.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
5.当行の従業員組合は、あおぞら銀行従業員組合と称し、組合員数は1,268人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。
(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当行および連結子会社
①当行 2024年3月31日現在
当事業年度 |
補足説明 |
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名称 |
管理職に 占める女性労働者の 割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)3 |
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全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
||||
株式会社あおぞら銀行 |
14.2 |
90 |
65.0 |
65.3 |
55.8 |
(注)4 |
②連結子会社 2024年3月31日現在
当事業年度 |
補足説明 |
|||||
名称 |
管理職に 占める女性労働者の 割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率 (%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)3 |
|||
全労働者 |
正規雇用 労働者 |
パート・ 有期労働者 |
||||
GMOあおぞらネット銀行 株式会社 |
19.4 |
- |
- |
- |
- |
(注)5 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)(以下、女性活躍推進法)の規定に基づき算出したものであります。管理職は部長相当職と課長相当職の合計、労働者数には当行から他社への出向者を除き、他社から当行への出向者を含んでおります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。男性の育児休業取得率は以下の方法で算出しております。
育児休業等取得率=2023年度中に育児休業を取得した男性従業員の数(a)÷2023年度中に配偶者が出産した男性従業員の数(b)但し、小数点1位以下切捨て。なお、上記(a)には2022年度以前に子が生まれたものの2023年度に新たに育児休業を取得した従業員が含まれるため、取得率が100%を超えることがあります。
3.女性活躍推進法の規定に基づき、以下の方法で算出しております。
男女の賃金差異=女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金、平均年間賃金=総賃金÷人員数
4.男女の賃金の差異は65.0%と改善の余地がある状況です。2020年度のキャリアコース統合の結果、同じキャリアコース、等級・号俸内では男女の評価に差はなく同一賃金を実現していますが、女性の管理職がまだ少ないことが最大の要因です。また投資銀行ビジネスなど注力分野で活躍する女性従業員が相対的に少ないこと、勤続年数の長い女性従業員の中にはバックオフィス業務などサポート部門に多く在籍し等級も低くとどまっているケースが多いことなどが男女の賃金格差が生じる一因と考えられます。キャリアコース統合や世代交代の効果が出るには時間を要しますが、女性従業員が活躍する機会の提供や実力向上のサポートを通じ、旧職種に関わらず管理職となる女性や昇格する女性が増加していくことに伴い男女間の年間給与格差は縮小していく見込みです。
5.GMOあおぞらネット銀行株式会社については、従業員が300人以下であり、女性活躍推進法の規定による公表を行っていない項目については、記載を省略しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。
当行グループは、サステナビリティの推進を経営戦略と一体として捉え、ビジネス及び事業者としての活動に「社会的価値」の観点を組み込み、社会・お客さま・株主・従業員をはじめとする全てのステークホルダーへの貢献と、持続可能な社会の実現、当行グループの企業価値の向上を目指しております。
サステナビリティ推進の基本的な考え方について
<サステナビリティ推進の基本的な考え方> 様々なステークホルダーとの対話を通じて、現在及び未来の課題に創造力を働かせ、経済的価値と社会的価値を両立するためのチャレンジを続ける |
1.サステナビリティ全般
(1)ガバナンス
① サステナビリティ推進体制
取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心とした推進体制を構築し、経営戦略と一体化したサステナビリティの取り組みを推進しております。
取締役会は、サステナビリティに関する知見・経験を含む、多様性を備えた取締役で構成されており、当行グループが注力する特長のある分野における経営目標である「あおぞらサステナビリティ目標」の設定および見直しの決議を行うほか、定期的な進捗状況の確認を行っております。
また、「あおぞらサステナビリティ目標」の進捗・達成状況は、業務執行役員の報酬を決定するにあたり重要な定性的評価として考慮しております。
<2023年度の「サステナビリティ委員会」及び「グループサステナビリティ連絡会」の開催状況>
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サステナビリティ委員会 |
グループサステナビリティ連絡会 |
メンバー |
CEO(議長)、サステナビリティ推進担当役員(副議長)、全業務執行役員、常勤監査役ほか |
サステナビリティ推進担当役員(議長)、グループ会社社長、関連施策の関係部ほか |
開催回数 |
8回 |
4回 |
主な議題 |
・業務運営計画におけるサステナビリティ推進の取り組み ・サステナビリティ推進施策の進捗報告 ・人権方針・環境方針・投融資方針の改訂 ・社会貢献活動方針の制定 ・あおぞらESG支援フレームワークの拡張 ・あおぞらサステナビリティ目標の一部修正 ・ポートフォリオカーボン分析 ・Financed Emissions計測・開示に関する対応 ・サステナビリティ情報の第三者保証取得に向けた対応 ・人権尊重の取り組み(人権課題マップの作成) |
(左記事項のグループ各社への情報共有に加え) ・社会貢献活動の具体的な取り組み方針に関する共有 ・ISSBサステナビリティ開示基準に関する情報共有 ・グループ各社における「環境・社会に配慮した投融資方針」の策定に関する検討・対応 |
② サステナビリティ方針体系
経営理念を実践するための行動規範である「倫理・行動基準」のもと、人権方針・環境方針などの各種サステナビリティ関連方針を定めております。
<2023年度の取り組み>
・国際基準への対応やサプライチェーンにおける責任明確化の動きなどを踏まえ、人権方針および環境方針を改訂
・トランジション・ファイナンスへの取り組み、人権の尊重や生物多様性保全の観点から、環境・社会に配慮した投融資方針を改訂
・グループにおける寄付・ボランティア等の社会貢献活動の意義・位置づけを明確化するため、社会貢献活動方針を制定
今後も世の中の動きに応じて順次見直しを図ってまいります。
(2)戦略
① サステナビリティ重点項目(マテリアリティ)
当行グループのマテリアリティは、「経営理念実現のために、社会の潮流やステークホルダーからの期待・要請と、当行グループの企業経営に対する重要性を踏まえた注力すべき課題」と定義しております。
地球規模で対応が求められるグローバル課題として「気候変動への対応」・「人権の尊重」を、注力するビジネスを通じて社会的価値・経済的価値を生み出す観点から「産業構造転換の促進」・「企業の金融サービスへのアクセス拡大」・「DXの推進」・「事業・財産の形成、次世代への継承」を、当行グループの持続可能性に不可欠な経営基盤として「ガバナンス・コンプライアンス」・「人的資本の持続可能性向上」をマテリアリティとして選定しております。
経営環境の変化に対応した機動的な見直しを継続するとともに、経営戦略と一体化したPDCAサイクルを構築し、課題の解決に向けた取り組みをグループ一丸となって着実に推進してまいります。
② マテリアリティを選定した背景及び課題解決に向けた取り組み
項目 |
マテリアリティとして選定した背景 |
課題解決に向けた主な取り組み |
気候変動への 対応 |
<機会・リスク> 企業におけるグリーントランスフォーメーション(GX)やトランジションの促進、再生可能エネルギーの普及、革新的な新技術・新分野の創出など、脱炭素社会の実現に向けた動きをファイナンス等から支援することは、当行グループが果たすべき重要な役割であり新たなビジネス拡大の機会であると同時に、対応の遅れは企業経営に大きな影響を及ぼすリスクになる |
・環境ファイナンスを含むサステナブルファイナンスの推進、脱炭素コンサルティングを通じた企業の脱炭素化支援 ・事業者としてのCO2排出量(Scope1,2)の削減、投融資ポートフォリオにおける排出量(Scope3)の段階的な計測・削減 ・気候変動シナリオ分析の拡充等によるリスク管理態勢の高度化、レジリエンスの向上 |
人権の尊重 |
<リスク> 人権侵害への関与・放置は、法令違反や行政処分の対象となるリスクに加え、社会的な批判やレピュテーションのリスクに晒される可能性があり、企業として人権侵害を行わないことは当然ながら、当行グループが関与するあらゆる事業及びサプライチェーンから人権侵害・差別・腐敗等を排除し、改善が必要な場合は対話を通じた適切な働きかけを行うことが極めて重要である |
・国際規範を踏まえた人権デュー・デリジェンス態勢の構築・実践(人権課題マップの作成) ・職場における人権意識の更なる向上、ハラスメントの排除 ・贈収賄・腐敗防止の徹底 |
産業構造転換の促進 |
<機会> あおぞら型投資銀行ビジネスの推進を通じて、産業構造の変革期において、ユニークで付加価値のある金融サービスの提供と経営に対する積極的な関与により、新たな挑戦に取り組むお客さまの構造転換を支援していくことは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会である |
・エンゲージメント投資、M&A、LBOファイナンス、トランジション支援、不動産ビジネス等を通じた構造転換の支援 ・地域金融機関ネットワークを通じた地域金融機関および地域金融機関のお取引先の経営課題解決の支援 |
項目 |
マテリアリティとして選定した背景 |
課題解決に向けた主な取り組み |
企業の金融サービスへのアクセス拡大 (スタートアップ/事業再生) |
<機会> 全ての個人・企業が、経済活動のチャンスを捉えるために必要な金融サービスを利用できる機会を確保すること、特にスタートアップ企業の成長支援及び地域における事業再生・再チャレンジ支援の2つの領域に注力し、企業の成長と地域社会の活性化へ貢献することは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会である |
・ベンチャーキャピタルあおぞら企業投資によるベンチャーデットを中心とした資金支援 ・成長ステージに応じたビジネス拡大、企業価値拡大に資する事業支援(GMOあおぞらネット銀行、B Spark) ・あおぞら債権回収の再生ファンドを通じた事業再生・再チャレンジ支援 ・地域金融機関などのパートナーとの連携強化、事業再生債権投資の実施、再生のステージに応じたソリューション提供の強化 |
DXの推進 |
<機会> 加速度的に進むデジタル技術の高度化は、既存事業領域の喪失や生活スタイルの転換など、全ての企業・個人に不可逆かつ広範な影響を及ぼしており、社内においてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、業務の生産性向上、商品・サービスの品質向上を図るとともに、お客さまのDXを支援するサービスに注力することは、企業競争力を高め、かつ新たなビジネス拡大の機会である |
・法人向けDX支援会社B Spark、次世代テックバンクGMOあおぞらネット銀行によるDXソリューションの提供、スタートアップ企業の成長支援 ・「BANK」アプリ、非対面型サービスにおけるUI/UXおよび顧客利便性の向上 ・多様な情報資産(データ)の適切な管理・蓄積・活用、デジタルマーケティングの強化 ・コミュニケーションのフラット化、業務効率性・生産性の向上、場所に捉われない働き方の推進 ・DX人材の育成 |
事業・財産の形成、次世代への承継 |
<機会> 国内の少子高齢化が進む中、個人として豊かな人生を過ごし、資産を次世代へ繋ぐこと、国内産業競争力の源泉である中小企業の後継者難・人材難を解決し、次世代へ事業を継承することは、当行グループが果たすべき重要な役割でありビジネス拡大の機会である |
・「あおぞらコアファンド」の提供等による中長期的な資産形成支援 ・事業承継、財産承継、不動産の活用など、お客さまの幅広いニーズに合わせた「非金融領域サービス」の拡充 |
ガバナンス・コンプライアンス |
<リスク> 不適切な企業統治やコンプライアンスの軽視、信用不安の惹起、システム障害への対応の遅れ等は、金融機関の事業活動に関わる全てのステークホルダーと、企業経営の持続可能性に重大な影響を及ぼすリスクであり、外部環境の変化に対応した適切なリスクガバナンス態勢の強化、コンプライアンスリスク管理の高度化等を通じた、経営の規律の維持と健全性の確保が極めて重要である |
・透明性の高いコーポレート・ガバナンスの構築 ・リスク管理態勢の高度化、財務健全性の維持、コンプライアンスの強化 ・オペレーショナルレジリエンス態勢の強化(サイバーセキュリティ・危機管理) ・内部監査ガバナンスの強化・実効性の向上 ・危機管理体制・手法の高度化、多拠点対応の実施 |
項目 |
マテリアリティとして選定した背景 |
課題解決に向けた主な取り組み |
人的資本の持続可能性向上 |
<機会・リスク> 人事制度や職場環境整備の遅れ等により、人材の不足・流出に直面すること、次世代へのスキル・ノウハウの承継が円滑に進まないことは、当行グループの企業経営の持続可能性に重大な影響を及ぼすリスクである一方、専門性が高くユニークな金融サービスの提供など当行グループの価値創造を支える人的資本への様々な投資を継続することは、企業競争力を高めるために重要である |
・ビジネス戦略と整合した人材育成・採用・配置、注力分野への人的リソースのシフト(人材分析にHR-Techを導入し、戦略的人的資源管理を推進) ・キャリア構築の支援、働きやすさの向上と働きがいの追求 ・多様なバックグラウンド・価値観を持つ人材が活躍できる職場環境の整備、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの向上 |
(3)リスク管理
① リスクアペタイト・フレームワーク/トップリスク
当行グループでは、事業戦略・財務計画の達成に向けた適切なリスクコントロールを行い、持続的な企業価値の向上を図るために、リスクアペタイト・フレームワークを整備しております。
また、リスクの要因別に「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」等のリスクカテゴリーに分類し、各リスク特性に応じた管理を行った上で、リスクを全体として把握・評価しリスクを制御していく、統合的なリスク管理態勢を構築しております。
トップリスクの認識においては、サステナビリティに関するリスクをトップリスクの各項目の中に落とし込み、取締役会やマネジメント・コミッティー、サステナビリティ委員会における業務運営計画の議論等に活用しております。サステナビリティに関するリスクとしては、具体的に以下のリスクを特定しております。
・与信費用の増加:気候変動や人権尊重に関して対応が遅れた投融資先の企業価値低下
・当行の構造転換やビジネスモデルの転換の遅れ:サステナビリティ推進に消極的との外部評価による、ESG評価低下に伴う外貨調達コストの上昇、サステナブルファイナンス機会の逸失
当行グループのトップリスク運営等の詳細については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。
② 環境・社会に配慮した投融資
「環境・社会に配慮した投融資方針」において、環境・社会に対し、負の影響を及ぼす可能性のある問題について、「セクター横断的」または「特定セクター」に係る取り組み方針を定めており、負の影響を及ぼす企業やプロジェクトの投融資を禁止、抑制するとともに、環境・人権課題等の社会的課題を抱え、ステークホルダーの期待に配慮した適切な対応を行わない企業と取引することのリスクを低減しております。
環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性のあるセクターへの取り組み方針 |
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セクター横断 |
与信禁止 |
投融資を禁止する事業等 ・ラムサール条約指定湿地へ負の影響を与える事業 ・ユネスコ指定世界遺産へ負の影響を与える事業(当該国政府およびユネスコから事前同意がある場合を除く) ・ワシントン条約に違反する事業(各国の留保事項には配慮) ・児童労働・強制労働・人身取引を行っている事業 ・所在国の法令に関して違法な行為、所在国の環境や人権の法整備が遅れている場合においては国際的な環境や人権に関する規範に反する行為、および公序良俗に反する行為を伴う、または、目的とする事業、および反社会的勢力 |
慎重に 与信判断 |
・先住民族の地域社会へ負の影響を与える事業 ・非自発的住民移転に繋がる土地収用を伴う事業 ・保護価値の高い地域へ負の影響を与える事業 ・紛争地域における人権侵害を引き起こす、または助長する事業 |
環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性のあるセクターへの取り組み方針 |
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プロジェクトファイナンス (赤道原則) |
・赤道原則の適用対象となるプロジェクトに対する融資やプロジェクトファイナンスアドバイザリーサービスを検討する際には、原則の要求事項が遵守されていることを確認する |
特定セクター (与信の制限・禁止) |
石炭火力発電 |
石炭火力発電所の新設や発電設備の拡張に対するファイナンスには取り組まない。なお、二酸化炭素回収・利用・貯留技術等の脱炭素社会への移行に資するお客さまの取組みを支援する投融資については、前向きに取り組んでいく |
石炭鉱業 |
新規の炭鉱開発に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する。環境への影響が大きい山頂除去採掘(Mountain Top Removal, MTR)方式で行う炭鉱採掘事業、発電事業向けに一般炭を供給する新規の炭鉱開発に対する投融資は行わない |
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石油・ガス |
オイルサンド、シェールオイル・シェールガス、石油・ガスパイプライン、北極圏(北緯66度33分以北の地域)での開発に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する |
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大規模水力発電 |
新規の大規模水力発電(堤防の高さ15m以上かつ出力30,000KW以上)に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する |
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森林伐採 |
木材、紙、パルプなど森林伐採を伴う事業に対する投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する |
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パーム油 |
アブラヤシ農園開発に対して投融資を行う際には、お客さまにNDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ))を遵守する旨の公表を求める。パーム油の流通等関連する事業に対し投融資を検討する際には、RSPO (Roundtable on Sustainable Palm Oil)の認証等、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する |
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たばこ製造 |
たばこ製造への投融資を検討する際には、児童労働・強制労働や健康被害に対する、お客さまの環境・社会配慮の実施状況を確認する |
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非人道兵器 |
クラスター弾等の非人道兵器の製造に対する投融資は行わない |
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原子力・プラスチック・船舶・鉱山 |
関連する事業への投融資を検討する際には、お客さまの環境・社会配慮への取り組み状況や取り組み姿勢を情報収集する |
(4)指標と目標
① あおぞらサステナビリティ目標
経済的価値と社会的価値の創出に向け、グループ全体に共通する経営目標として、「あおぞらサステナビリティ目標」を設定、公表しております。
あおぞらサステナビリティ目標は、あおぞら型投資銀行ビジネスの推進や気候変動への対応など4つのカテゴリーから構成されており、当行グループが注力する特長のある分野を中心に、中長期的な数値目標を設定し、環境・社会に対する持続的な貢献を目指しております。
② あおぞらサステナビリティ目標の進捗状況
「あおぞらサステナビリティ目標」の進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しております「あおぞらサステナビリティの進捗」をご参照ください。
2.気候変動
(1)ガバナンス
気候変動への対応は、サステナビリティへの取り組みの重要な要素として、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心とした推進体制を構築し、経営戦略と一体化した取り組みを推進しております。サステナビリティの推進に関するガバナンスについては「1.サステナビリティ全般 (1)ガバナンス」をご参照ください。
(2)戦略
カーボンニュートラルに向けた動きが世界中で加速する中で、金融機関として脱炭素社会の実現に向けて果たすべき役割を強く認識し、「気候変動への対応」をマテリアリティとして選定しております。マテリアリティの詳細は、「1.サステナビリティ全般 (2)戦略」をご参照ください。
気候変動関連の機会とリスクへの具体的な認識・取り組みは以下の通りです。なお、当行グループでは、短期を0~3年、中期を3~10年、長期を10~30年と定義しております。短期については、中期経営計画と合わせた期間(~3年)としております。
① 気候変動に関する機会
機会の事例 |
時間軸 |
・国内外におけるグリーンエネルギーファイナンス、トランジション・ファイナンス、脱炭素イノベーションファイナンス等の取り組み拡大、脱炭素化の促進 ・あおぞらESG支援フレームワークローンの取り組み増加、お客さまの脱炭素への移行支援ニーズを捉えたソリューション提供機会の拡大 ・ESGを考慮した投資信託である「十年十色」、「満天観測」の継続的販売、インパクト関連投資信託の新規設定 ・取引先のサステナビリティ推進体制構築へのアドバイス、関係構築・強化 ・環境関連事業を展開する企業(ベンチャー企業含む)との協業による新たなビジネス機会の発掘 ・あおぞら型投資銀行ビジネスとの更なるシナジー発揮(産業構造転換支援) |
短期~中期 |
・水素・アンモニア、CCS、DAC等エネルギー関連の新技術開発に対するファイナンス機会の増加 ・製造・運輸セクターでの抜本的な原燃料転換や省エネ推進に対するファイナンス機会の増加 ・“脱炭素社会実現への貢献“という新たな価値観を共有する個人のお客さまとの多様な取引機会の増加 |
中期~長期 |
② 気候変動に関するリスク(移行リスク、物理的リスク)
気候変動は、当行グループに影響を与える全てのリスクに関与するため、統合的リスク管理の枠組みにて以下のようなリスクを認識しております。今後の環境変化に応じて、リスクの分類や各種事例について見直しを行ってまいります。
リスクの分類 |
移行リスクの事例 |
時間軸 |
物理的リスクの事例 |
時間軸 |
信用リスク |
・政策、技術の進歩、消費者の嗜好変化等により、お客さまの業績や財務状況が悪化し、与信ポートフォリオが毀損し、損失を被るリスク |
短期~長期 |
・自然災害によるお客さまの業績悪化や担保棄損に伴い、与信ポートフォリオが毀損し、損失を被るリスク ・熱中症や疫病のパンデミック等の発生頻度が高まり、当行又は当行のお客さまの事業に重大な悪影響が生じるリスク |
短期~長期 |
市場リスク |
・お客さまの収益減少や既存資産の減損等により、保有有価証券、金融派生商品等の価値が変動し、損害を被るリスク |
短期~長期 |
・異常気象の影響による市場の混乱、市場参加者の中長期的な見通しや期待の変化により、保有有価証券の価格等が変動し、損失を被るリスク |
短期~長期 |
リスクの分類 |
移行リスクの事例 |
時間軸 |
物理的リスクの事例 |
時間軸 |
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流動性リスク |
・移行リスクへの対応の遅延などによる当行の信用悪化による資金調達手段の限定、預金流出・資金繰り悪化のリスク |
短期~長期 |
・異常気象で被災した顧客の資金需要の高まり、復旧・復興に向けた資金流出の増加によるリスク |
短期~長期 |
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オペレーショナル・リスク |
・CO2削減対策や事業継続性強化のための設備費用の増加 |
短期~長期 |
・異常気象による被災に伴う本支店やデータセンターにおける業務の中断、損害が発生するリスク |
短期~長期 |
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風評リスク |
・気候変動への対応不足やステークホルダーから不適切または不十分と評価されることにより当行のレピュテーションが悪化するリスク ・環境への配慮が不十分なお客さまとの取引継続や、当行の移行遅延による評判悪化、雇用への悪影響のリスク |
短期~長期 |
・異常気象の影響を受けたお客さまの支援不足による評判の悪化、事業の中断リスク |
短期~長期 |
③ シナリオ分析
2050年までを対象とした定量的なシナリオ分析は以下の通りです。
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移行リスク |
物理的リスク |
シナリオ |
IEA(国際エネルギー機関) World Energy Outlook STEPS(3℃)シナリオ、NZE(1.5℃)シナリオ |
IPCC(気候変動に関する政府間パネル) RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)/RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ) |
分析手法 |
パラメーターや公開情報などを基に将来の投資負担の増加についても考慮に加え、取引先企業の業績影響への度合い(信用力低下の程度)を把握し、引当コストの増加額を試算 |
河川氾濫、高潮による浸水被害における建物損傷率を算出し、使途物件の損傷に起因した引当コストの増加額を試算 (物件の棄損による直接被害と事業停滞期間による影響) |
分析対象 |
電力、エネルギー、自動車、不動産(ノンリコースローン、REITを除く)、素材セクター* (当該対象向け貸出金が貸出金残高全体に占める割合18.4%)※2023年3月末時点 |
国内外の不動産ノンリコースローンの担保物件 (当該ノンリコースローンが貸出金残高全体に占める割合15.1%)※2021年6月末時点 |
分析結果 |
・電力セクターにおいては、炭素価格上昇に伴うコスト増に加えて、GHG排出削減技術の開発および電源構成の変化が重要であることを確認 ・エネルギーセクター、自動車セクターにおいては脱炭素社会への移行に向けた市場ニーズの変化への対応が重要であることを確認 ・素材セクターにおいては、炭素価格上昇に伴うコスト増の影響を比較的受けやすいことを確認 |
災害の影響を受けにくい立地や堅牢な担保物件が多いことから、洪水/高潮による被害の可能性が認められた物件は限定的であることを確認 |
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移行リスク |
物理的リスク |
増加が予想される引当コスト |
現時点における引当コストとの比較において、2040年まで最大200億円程度増加し、2050年にはネットゼロ社会への移行の進展に伴い財務状況が改善するため最大40億円の増加と予想 |
2050年までの期間において10億円程度の増加と予想 |
財務的影響への評価等 |
分析対象セクターにおける将来の投資負担について検討を実施したこと等により、前年度に比べて引当コストの試算結果が増加 |
自然災害や異常気象の増加等に起因する影響は顕在化の前提が数年単位で変化する性質のものではないことから、2023年度は新たな分析は実施していない 今後は状況の変化を見極め、必要に応じて適宜見直しを行っていく |
* 移行リスクの分析対象:気候変動による影響度に基づいたリスクマップを用いて与信ポートフォリオにおける重要なセクターの特定を行い、素材セクター、不動産セクター(ノンリコースローン、REITを除く)に加えて、エクスポージャーは比較的大きくないものの影響度が大きい電力・エネルギーセクター、自動車セクターを対象として選定
(3)リスク管理
気候変動リスクについて、「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」といった既存の金融リスク分類の中で、金融リスクを誘引する「ドライバー」として、既存のリスク管理の枠組みに統合する形で管理しております。また、気候変動リスクを「トップリスク」の各項目の中に落とし込み、リスクアペタイトや業務運営計画の議論に活用し、リスク管理の高度化に取り組んでおります。
個別案件の取り上げに際しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」に基づき対応しております。同方針は、ビジネス環境や社会的な要請および事業活動の変化等に応じて、マネジメント・コミッティー、サステナビリティ委員会における議論を通じて随時見直しております。
<環境・社会に配慮した投融資方針の主な内容>
・与信禁止への該当が疑われる与信案件については、クレジットコミッティーまたは投資委員会が個別案件ごとの背景や特性等も総合的に勘案し取引の可否を判断
・新設の石炭火力発電所に対するファイナンスおよび既存発電設備の拡張に対するファイナンスには取り組まない方針
・赤道原則に基づき、大規模な開発プロジェクトに融資する際に、当該プロジェクトの環境・社会リスクを 特定、評価、管理
・案件検討時に、入手可能な場合は取引先の温室効果ガス(GHG)排出量に係る情報を把握
・気候変動と自然資本/生物多様性を一体的に理解し、対応を進めていく必要性を認識
(4)指標と目標
気候変動への対応に関する「指標と目標」につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しております「あおぞらサステナビリティの進捗」をご参照ください。
3.人的資本・多様性
(1)戦略
当行グループは、経営理念として「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことを掲げ、従業員数約2,400名のコンパクトな規模ながら高い専門性と提案力を武器に質の高い金融サービスを提供しております。それを担う「人財」こそが価値創造の源泉であり、当行グループの「人的資本」であると考えております。
経営戦略である中期経営計画において、「育てる」「変わる」「再生する」の3つの場面においてお客さまのお役に立つことを目指す「あおぞら型投資銀行ビジネス」に注力し、お客さまや地域社会が抱える課題の解決に取り組んでおり、この経営戦略を実現するための人材戦略として、成長・注力分野への人材シフトを進めてまいります。また、多様で優秀な「人財」の採用・育成や従業員への還元、エンゲージメント向上にも力を入れ、経済環境の変化に関わらず長期的な人的資本への投資を継続してまいります。経営戦略と連動した人材戦略の実践を通じ、従業員の能力を最大限に高めるとともに生産性向上を図ることで、当行グループの中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
① 人材戦略を支える人的資本投資
(イ)人的資本への投資強化
当行グループでは、人的資本投資として外的報酬だけではなく内的報酬の側面も重視しております。
外的報酬面では、ベアや人材戦略に沿った「人財」の採用・育成施策だけではなく、2020年度から「あおぞらアクション」に掲げている「チームワークとチャレンジ」をキーワードに人事制度改革に取り組んでおり、キャリアコースや世代間の壁をなくし、年齢・性別などに関わらず優秀な人材の登用につなげることを目指しております。併せて、挑戦する人・成果をあげて活躍する人により報いるため処遇の見直しを行い、競争力のある報酬制度の維持に努めております。
内的報酬面では、従業員エンゲージメント向上に向け、従業員が働く環境の整備やウェルビーイング向上に向け、さまざまなキャリア構築支援に長年取り組んでおります。
こうした人的資本への投資強化の結果、2023年度は全体の業績は厳しいながらも顧客関連ビジネス利益は好調な結果となったほか、従業員の定着率の高さにもつながっております。今後も人的資本投資を継続的に強化することで、「あおぞら型投資銀行ビジネス」を中心とする顧客関連ビジネスを推進し、1人当たりビジネス利益など中期経営計画の達成を目指してまいります。そして優秀な人材に「選ばれる」働きがいのある会社、すべてのステークホルダーの皆さまに選ばれる会社となれるよう努めてまいります。
(ロ)人材の採用と人材配置
経営戦略実現のための人材戦略の一環で、ビジネス環境の変化に適応しつつ主体的に行動でき、「チームワークとチャレンジ」を体現できる「人財」や、あおぞら型投資銀行ビジネスおよびDXなど注力分野に必要なスキルセットを持つ「人財」の確保に努めております。
当行グループの採用戦略として、新卒採用ではポテンシャルの高い新卒を厳選して採用しております。キャリア採用にも長年注力し、多様な経験値・価値観をもち、専門性が高いキャリア採用者が即戦力として活躍しております(当行におけるキャリア採用者比率39%)。2024年度からアルムナイ採用(当行グループ退職者の再雇用)、リファラル採用(従業員による採用者紹介)を制度化し、採用力の強化を図ってまいります。
人材登用においては、新卒採用やキャリア採用に関係なく、多様な価値観・経験値を持つ少数精鋭の「人財」が真に活躍できることが当行の特長であります。すでに、2020年度の人事制度改革で一般職を廃止しキャリアコースの垣根をなくしております。その結果、キャリアコースは全国総合職、地域総合職、IT競争力を強化する目的で創設されたIT職の3職種に集約いたしました。さらに専門性を重視するポジションに関して、職務内容・スキル・経験に応じた契約型のプロフェッショナル職、スペシャリスト職(「ジョブ型」)も雇用しております。全ての採用者は将来の幹部候補あるいは高度専門人財として登用しております。人材配置については、個々の従業員の適正・能力・キャリア志向を勘案し最適な人材配置を心掛けていることに加え、従業員のスキル・経験・キャリア志向・評価やパーソナリティ特性など人材のアセスメントデータを可視化し分析することで、戦略的な採用や人材配置に活かしております。
(ハ)人材の育成戦略
当行の人材育成の特長は、従業員の多様なキャリアプランと主体性を尊重し、様々な育成プログラムを提供することで、従業員一人ひとりのチャレンジを後押しする点となっております。従業員が自らの課題やありたい姿と向き合い、主体的に成長を目指すことが狙いであります。
人材育成方針としては、若手層は人事部による階層別研修、ビジネススキルを学ぶ研修と配属先での専門プログラムによる教育と実践を通じ、早期の戦力化を図っております。また、新卒8年目までに営業現場を含む3部署で多様な業務経験を積むことで、将来の幹部候補として多様なキャリア構築の機会を提供し、中長期的な視点で育成しております。30代~40代の中堅層・管理職層は、マネジメント力の強化に加え専門性を磨くための人材配置を行っております。これらを通じて、社会最適とお客さまファーストの視点を持ち、価値創造の源泉となる「人財」育成を目指しております。
特に管理職層には、“人材育成を管理職の基本業務”とすることを掲げ更なる意識向上を図ってまいります。シニア層にはマインドセットや新たな処遇や働き方を選択できる機会を提供し、自ら活躍しつつ経験や知見を次世代につなぐことを重要な役割と位置づけております。
研修は、コーチングなど有資格者を含む人材や専門性の高い業務に精通した従業員により、プログラムの大半を内製化している点が特長であります。また、時代の変化を見据え、一部の研修は外部セミナーや外部講師も取り入れ、実践的で質の高い研修を提供しております。専門性を活かし社会の役に立つことで、一人ひとりが自分の仕事に自信を持つ「人財」育成に努めてまいります。
② 人材の多様性確保に向けた環境整備
<多様性確保に向けた人材育成・環境整備方針>
方針 |
取組内容 |
能力のみならず 多様性を重視した 採用と人材登用 |
・新卒、キャリア採用を両輪とする採用活動の継続 |
・女性総合職の採用強化 |
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・多様性に配慮した人材登用の推進 |
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女性従業員の キャリア形成支援 |
・未経験業務へのチャレンジ促進 |
・女性向けリーダー育成研修などによるキャリア形成支援 |
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すべての従業員が活躍できる環境の整備 |
・外的報酬・内的報酬両面での人的資本投資に注力 |
・従業員エンゲージメント向上に向けた取組の継続 |
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・障がいのある従業員が安心して働ける環境づくり |
(イ)中核人材の登用等における多様性の確保について
当行では2021年度より人材育成・環境方針を整備するとともに女性・外国人・キャリア採用者の管理職比率に目標を設定し、中核人材の登用等における多様性確保に向けた取組強化を進めております。すでに当行におけるキャリア採用者の管理職比率は54%に達しており、経営の意思決定層における多様性の確保につなげております。
(ロ)女性従業員の活躍推進に向けた取組
当行では女性従業員が育児・介護による退職を防ぐため様々な施策に取り組んできた結果、女性の勤続年数が16年超と男性より長いことが特徴であります。従業員の性別割合もほぼ拮抗しており、多くの女性従業員が各職場で活躍しております。
今後一層の女性活躍推進に向け、当行では女性管理職比率に加え、独自に女性管理職候補となる女性調査役(係長級)比率に目標を定め中核人材プールの拡充に努めております。役員を含めあらゆる意思決定層に継続的に女性人材を輩出し、当行における女性管理職比率を2028年3月末までに20%以上を目標とし、長期的には25%以上に引き上げていくことを目指しております。
2020年度には、誰もがキャリアアップを目指せるよう一般職を廃止し総合職に統合することで、キャリアコースによる役割や業務範囲の制限を完全に撤廃する人事制度改革を行いました。
2023年度からは新たに女性管理職や管理職手前の女性調査役をサポートする施策として、旧一般職が多い職場向けの女性リーダー研修や部門を超えたネットワーク作りの支援などを実施しております。また、女性従業員の育児を理由とした退職を避けるため、職場復帰を控えた育児休業取得者向けイベントやキャリアコンサルタントによる育児と仕事の両立についての相談も多く実施しております。また、前述のアルムナイ制度を通じて退職した従業員が再度活躍できる場を提供しております。
女性従業員の中には固定化した役割を超え、新たな業務へのチャレンジを後押しする経験領域拡大施策の活用や転居を伴う異動の実現に加え、地方支店に居ながらリモートで本店業務に従事するなど新しい働き方に取り組むケースが出ております。このような女性活躍推進に向けた取組を通じて、旧一般職の女性従業員の中から管理職に昇格する例も着実に増えております。
(ハ)男性育休取得促進に向けた取組
当行では女性の育児休業取得率は100%で推移しております。一方で男性の取得率は、過去2年間で大幅に伸びたものの100%に達しておらず、その改善が課題と認識しております。当行が昨年導入した「産後パパ育休」制度は、4週間まで有給、かつ分割取得や休業中の一時的な就業を可能とするなど休暇取得のハードルの低さが特長ですが、2024年度からは同制度を改訂し対象者に対して年5日以上の育休取得を義務化いたしました。これにより、男女を問わず育児と仕事の両立に対する職場の理解浸透を図り、当行における男性育休取得率100%のあおぞらサステナビリティ目標達成を実現してまいります。
(ニ)従業員のファイナンシャルウェルネスの向上
従業員が能力を最大限発揮し活躍するためには経済的にも安定し将来の生活に不安がない状態で働けることが大切です。こうした考えから、当行では従業員のファイナンシャルウェルネスの実現に向けた制度を整備しております。
まず、初任給水準の2年連続引き上げや3年連続ベア実施などにより物価上昇に配慮した報酬体系を用意しております。また、退職後の生活への備えとして、企業年金制度の整備はもちろん、マネープランの考え方や退職金・企業年金制度を説明する研修を実施し理解を深める機会を設けております。さらに福利厚生の一環で、若年層には奨学金返済支援手当や家賃補助など手厚い経済的支援を実施しております。従業員の能力開発や経験領域拡大を目的として副業もすでに解禁しております。各種制度の拡充を通じて、従業員と家族の経済的安定性を支え、安心して働ける環境を整えております。
(2)指標と目標
人的資本・多様性に関する「指標と目標」につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題」に記載しております「あおぞらサステナビリティの進捗」をご参照ください。