2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当行及び当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりです。まず、トップリスク(今後1年間で経営上重大な影響があるリスク)について記載し、その後に主要な個別リスクについて記載しております。

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当行及び当行グループが判断したものです。当行グループはこれらリスクの発生の可能性を認識したうえで、それぞれのリスクの発生の回避及び発生した場合への対応に努めております。リスク管理については、マネジメントコミッティー及びALM委員会、統合リスクコミッティー、クレジットコミッティー、投資委員会、CAPEX委員会、顧客保護委員会、サステナビリティ委員会等により遂行され、定期的に取締役会に報告されております。

 

<トップリスク>

 2025年度の業務運営において、当行グループを取り巻く環境が与える多くのリスクファクターのうち、以下の項目を当行グループのトップリスクとして認識しております。

 当行グループは、トップリスクに対して予め対策を講じ、リスクが顕在化した場合には機動的に対応しコントロールが可能な範囲にリスクを制御しております。また、当行グループは、トップリスクを踏まえてリスクアペタイトや業務運営計画策定の議論を行い、リスク管理の高度化に取り組んでおります。

 

トップリスク項目

上段:主なリスク要因

下段:主な対応策

与信費用の増加

米国の相互関税をはじめとする政治リスク・地政学的リスクの高まりによる経済環境の悪化、各国中央銀行における金融政策のタイミングのズレによるインフレ加速や景気悪化、気候変動を含む経営環境変化への対応の遅れ、並びに人権尊重への対応が不十分な投融資先の企業価値低下

選別的な良質案件の取上げ及び与信リスク回避のための各種方針・ガイドラインの設定、ストレステストを含めた資本コントロール、並びにサステナブルファイナンス等を通じた投融資先のサステナビリティの取組み支援

保有有価証券の評価損益の悪化

米国の相互関税をはじめとする政治リスク・地政学的リスクの高まりや各国中央銀行における金融政策のタイミングのズレによるインフレ加速や景気悪化、金利・株価・為替の急変動による経済環境悪化

金利・株・クレジットに分散を図った効率的で流動性の高いポートフォリオの構築による、市場動向・金融環境を踏まえた機動的なリスクコントロールの実施

調達の不安定化

各国中央銀行における金融政策のタイミングのズレによるインフレ加速や景気悪化、預金獲得競争の激化、金利・株価・為替の急変動や金融市場の混乱による調達環境悪化

調達環境の変調を早期に把握するための、多様な観点での早期警戒指標による予兆管理や、流動性ストレステストによるモニタリング・検証

サイバー攻撃、システム障害等の危機発生

サイバー攻撃、重大なシステム障害等(サードパーティを含む)の影響による、当行グループの業務の一部もしくは全体への深刻な影響

サイバー攻撃に関する役職員全員の知識向上、技術的対策の進化、検知能力強化、ビジネス部門を含めた復旧訓練の実施

大規模災害等の危機発生

自然災害、テロ、武力攻撃、パンデミック等の影響による、当行グループの業務の一部もしくは全体への深刻な影響

大規模災害発生に備えた、危機管理体制、業務継続計画(BCP)の整備や、定期的な訓練実施と役職員の啓蒙による、危機対応力の強化、実効性確保

 

 

 

トップリスク項目

上段:主なリスク要因

下段:主な対応策

社会構造・産業構造の変化に伴う競争力の低下

世界的な産業構造の転換や急速なデジタル技術の進展等環境変化への対応の遅れによる成長機会の逸失、当行のESG対応への低い外部評価による調達環境の悪化やファイナンス機会の逸失

ビジネスの現場でデータや情報を利活用できる人材(DX人材)の育成や、当行グループ全体でのビジネス及び事業者としてのサステナビリティの取組みの加速

金融犯罪への対応不備、内部不正や不祥事の発生

犯罪行為による顧客への損失発生やマネー・ローンダリング等の金融犯罪対策その他外為法上の経済制裁措置への対応や反社会的勢力排除態勢の不備

高い倫理観の醸成並びにコンプライアンス・プログラムの実施及び、不正行為の未然防止、早期発見のための3線体制フレームワークの高度化と実効性向上

人材リソースのサステナビリティ

ビジネス環境の変化に対応できる人材や注力ビジネスに必要なスキルセットを有する人材の不足・流出

持続的成長と企業価値向上につながる人的資本投資の継続、及び戦略的な人事異動・登用や外部採用による注力分野への人材リソースのシフト

 

 

<主要な個別リスク>

 

1.事業戦略におけるリスク

(1)事業戦略の推進に伴うリスク

 当行グループは、経営資源の効率的な管理活用と健全なリスクテイクを通じ、持続的かつ安定的な収益を積み上げ、自己資本充実と企業成長を図り、「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」という当行グループの経営理念実現に向けて、各業務を遂行してまいります。しかしながら、このような事業戦略の推進に際しては、以下のようなリスクがあります。

・今後注力していく事業分野において、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。

・戦略の遂行に伴う経営資源の配分の見直し等が成功するとは限りません。

・業務の推進においては、実務を遂行する人材を確保する必要がありますが、必要な人材を十分に確保できるとは限りません。

・国内外の地震や台風等の自然災害やテロ・犯罪等の発生により、各業務において十分な事業活動が行えるとは限りません。

・国内の経済状況が悪化した場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。

・ウクライナや中東での紛争による影響深刻化、あるいは、これら地域以外での武力衝突リスクが国際政治の不安定化等により顕在化すれば、事業環境が大きく悪化し、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。

・米国トランプ政権による政策に伴い、国内外の経済状況や金融市場その他著しい環境変化等が生じた場合、想定通りに業績を伸ばすことができるとは限りません。

 

(2)事業法人のお客さまとの取引の推進におけるリスク

 当行グループは、投資銀行ビジネスに引続き重点的にリソースを配分してまいります。事業法人のお客さまの事業再編や事業再生ニーズ、サステナビリティへの取組に対し、お客さまの事業を深く理解したうえで、通常の貸出取引のみならず、資本性資金やサステナブルファイナンスなど、お客さまのニーズに沿ったデットからエクイティに至る適切なファイナンスの提供等、信用供与の円滑化に努めております。また、それぞれのお客さまのニーズに応じて、オーダーメイド型で付加価値の高い金融ソリューションの提供を通じ、引き続き顧客基盤の拡充に注力してまいります。しかしながら、当行グループがこうした事業金融の推進を行うにあたっては以下のようなリスクがあります。

・地政学リスクの顕在化の影響が、一部のお取引先の事業活動や信用状態に悪影響を与え、当行グループの収益力の低下及び与信費用の増加につながり当行グループの財務状況にも影響を与える可能性があります。

・インフレの昂進や、それに伴う金融政策の変更が、一部のお取引先の事業活動や信用状態に悪影響を与え、当行グループの収益力の低下及び与信費用の増加につながり当行グループの財務状況にも影響を与える可能性があります。

・当行グループの基準に見合う顧客層との取引が期待通りに拡充できるとは限らず、当行グループが目指す資産の質、収益が確保できない可能性があります。

・当行グループは、法人顧客基盤が国内大手銀行グループよりも小さく、また営業拠点数、営業人員数も少ないことから新規の顧客獲得等に限界がある可能性があります。

・我が国においては、オーバーバンキングによる厳しい競争環境が続いております。当行グループは、継続的な付加価値の提供を通じたお客さまとの信頼関係構築により付帯取引を獲得し、総合的な収益性の確保に努めておりますが、個別の貸出においては、信用リスクや格付に応じた利鞘より低い水準で貸出を行うことがあります。

・国内外における経済環境の悪化が生じた場合、あるいは、金融市場の著しい変動等が生じた場合には、当行グループを取り巻く環境や将来の業績に悪影響を与える可能性があります。また、そのような局面においては、管理回収等の強化に伴う人的リソースの配分等により、注力分野の活動に制約が生じる可能性があります。

 

(3)個人顧客向けビジネスの拡充に伴うリスク

 当行グループは、様々な金融商品の提案等を通して、お客さまの中長期な資産形成をお手伝いさせていただいております。加えて、スマートフォンアプリを軸としたマネーサービス「BANK」を中心にスマートフォンやインターネット等を利用した非対面取引機能を拡充し、現役世代のお客さまへのアプローチを強化しております。

 資金調達の面では、2025年3月末の個人のお客さまからの調達について、個人預金残高は3.2兆円(前期末対比90%)、コア調達(預金・譲渡性預金及び社債)に占める割合は57%程度、となっており、引き続き安定的な資金調達の面でも当行グループの中核を担っております。

 当行グループは、お客さま本位の業務運営の実践に基づく資産運用コンサルティングを提供しております。また、財産承継、事業承継等の多様なニーズに対して、当行グループ一体となった付加価値の高いサービスを提供するとともに、「BANK」アプリを通じた金融サービスの提供により、すべてのお客さまが時間や場所にとらわれずにお取引ができ、希望する店舗でコンサルティングが受けられる営業体制を実現してまいります。加えて、個人のお客さま、及び個人のお客さまが所有する中小企業の多様なニーズに対し、事業承継、M&A、不動産関連サービス等、当行グループ全体で課題解決のサービス提供を行ってまいります。しかしながら、以下のとおり、当行グループが個人顧客向けビジネス拡充の計画を成功裡に達成できない可能性があります。

・当行グループは、当行グループ内の配置転換や外部採用等を通じて、また人材開発プログラムの導入や顧客視点の評価制度の導入等を通じて、コンサルティング力の強化に努めていく方針ですが、当該業務に精通した営業員の確保が想定を下回ることで適切な人員配置ができないことや、人材開発プログラムの導入や新しい評価制度の導入をすることが必ずしもコンサルティング力の強化に結びつかない可能性があります。

・個人のお客さま、及び個人のお客さまが所有する企業向けのサービスラインナップを拡充しても、他金融機関のサービスとの差別化が難しく、また、他金融機関より相対的に支店数が少ないため、十分な課題解決のサービスを提供できず、収益の拡大に結びつかない可能性があります。

・当行グループは、競合他金融機関と比較して支店数が少なく、またインターネットバンキング展開においても後発であり、顧客基盤も相対的に小さいことから、新規顧客の獲得やあおぞらブランドの確立が容易ではない可能性があります。

・個人顧客向けビジネスの拡充には、顧客ニーズに応じたサービスラインナップの充実が不可欠であり、顧客へのマーケティングやサービスラインナップの選定等に多大な時間を要する可能性があります。

・当行グループが提供する商品・サービスの種類・条件について、他金融機関との差別化が難しくなるほか、他の種類の投資商品との競争が厳しくなることなどにより、必ずしも預かり資産の量の拡大、収益の拡大に結びつかない可能性があります。

 

上記のような事情から個人顧客向けビジネスが拡充できない場合、収益源及び資金調達源の多様化が十分に実現できず、当行グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(4)海外業務に関連するリスク

 当行グループの海外投融資は、為替動向、外貨調達環境に引き続き留意し、エクスポージャーコントロールに努めるとともに、以下の点に留意した業務運営を行います。

・北米向けを中心とする海外コーポレートローンは、機動的なリバランスを継続し、ポートフォリオの分散と質の維持を図ります。

・海外の不動産ノンリコースローンは、対象地域の不動産市況を注視しつつ、米国オフィスのワークアウト案件の極大回収を推進してまいります。

 また、加えて、2020年1月に資本・業務提携を締結したベトナムの中堅商業銀行Orient Commercial Joint Stock Bank(以下、「OCB Bank」)を通じて東南アジアの成長を取り込むとともに、OCB Bankの長期的な戦略パートナーとして、よりユニークで専門性の高い金融サービスを日本とベトナム双方のお客さまに提供していきます。

 当行グループが海外業務を展開するにあたり、リスク管理体制として、北米、アジア、欧州の各現地拠点と東京が連携したグローバルでシームレスなモニタリング態勢を強化しておりますが、当行グループにおける海外業務の遂行については、以下のリスクや課題があります。

・ウクライナや中東での紛争による影響深刻化、あるいは、これら地域以外での武力衝突リスクが国際政治の不安定化等により顕在化することで、社会的、政治的、経済的な環境の変化や各国の税制、金融政策及び規制環境の相違に起因する金融の安定性全般に渡るリスク。

・金利及び為替変動に関連する取引にかかるリスク。

・商品ノウハウと各々の市場に対する知識等を有する人材を確保できないリスク。

・投融資先の政治経済状況の変化、法制度等の変更によって、投融資の回収が困難となるリスク。

・現地における政治経済状況、法制、規制あるいは税制等に関する情報の入手が遅れる等、質・量の両面で国内貸出と同水準の情報収集を維持することに支障が生じるリスク。

・外貨調達に困難が生じた際の外貨資金繰りに関するリスク。

・米国トランプ政権による政策に伴う、国内外の政治経済状況や金融市場その他著しい環境変化等が生じるリスク。

 なお、海外の不動産ノンリコースローンについては、「2.信用リスク(2)特定先及び特定業種への集中リスク」をあわせてご参照ください。

 

 

(5)地域金融機関が重要な顧客基盤であること

 当行グループは、これまで多くの地域金融機関に対して、資金運用やリスク管理のニーズに応じた金融商品の提供、地域金融機関の取引先である中小企業への共同支援や地域企業再生支援、地域金融機関の個人のお客さまに対する預り資産ビジネスの支援等、多様な商品・サービスを提供してきております。当行グループは、かかる取引関係において、差別化の源泉である「ワンストップでの対応力」、「地方拠点における機動力・情報収集力」を活かし、同業他社との競争上優位性を確保してまいります。同時に、地域銀行へのエンゲージメントを強化させ、経営層との定期的な情報交換を通じ関係を一層強化し、引き続き地域金融機関の「戦略パートナー」として、地域金融機関のネットワークを当行グループ共通のプラットフォームとして、当行グループが強みを有するソリューションを提供し、相互に機能補完する独自のビジネスモデルの展開を目指していく方針です。しかしながら、かかるビジネスモデルが有効に機能する保証はなく、また、金融環境の変化や当行グループの財政状態、経営成績を起因とした信用力の低下その他の要因により、今後この分野における競争力を失った場合には、地域金融機関との取引の規模及び収益の成長が鈍化し、更には縮小する可能性があります。

 

(6)先進的な商品とサービスの投入

 当行グループの戦略は、すべての商品分野において他金融機関と競合することではなく、他金融機関にはない差別化された先進的な商品・サービスを開発し、投入することにより、事業法人のお客さま向けの業務や地域金融機関との協働によるビジネスを拡大し、収益を獲得していくこととしております。また、デリバティブ取引やリスク管理といった分野での先進的なノウハウを活用した商品・サービスにも力を入れており、地域金融機関の運用ニーズに対応したデリバティブ内蔵型の各種預金商品のほか、個人のお客さま向けにはノーロード投資信託・ESGを考慮した投資信託等の金融商品を提供しております。当行グループは、従来から、お客さまのニーズに合わせた独自の商品性を持った商品・サービスの投入により、一定の成果を上げているものと考えております。

 しかしながら、将来投入される商品・サービスが同じようにお客さまから認知され、お客さまの支持を得ることができる保証はありません。また、競合他金融機関が、当行グループと同様の顧客層をターゲットに、当行グループと同様の商品・サービスの提供を開始すること、また、その他競合する投資商品の出現等を要因とする競争の激化により、当行グループの商品の先進性・独自性が失われ、収益性が低下するおそれがありますが、その際に、当行グループが競争力の低下した商品・サービスに替わる新たな商品・サービスを継続的に供給し続けられるという保証はありません。

 また、かかる先進的な商品・サービスの導入は、当行グループにとって、当行グループが経験したことのない又は経験の少ないリスクや課題をもたらす可能性があります。加えて、かかる先進的な商品・サービスへの過度な集中や依存は、当該商品・サービスの状況により、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)業務・資本提携等アライアンス推進に伴うリスク

 当行グループは、長期的な視野における企業価値向上のため、国内外において成長性の高い市場を見極め、戦略的な提携や合併・買収等様々な方策の検討を行っていく方針です。銀行の業務範囲規制緩和等、事業領域拡大の機会を積極的に探り、当行グループの成長につながるビジネス機会を単独又は事業パートナーと協力して開発し、戦略投資を実施してまいります。しかしながら、資本業務提携契約その他の提携や合併・買収等が収益の拡大・企業価値の増大に寄与するという保証はありません。

 合併や買収等の場合、統合作業の過程において一時費用が発生しますが、企図した統合成果が上がらず、結果として、検討又は統合等に要した費用、投資資金を回収できない可能性があります。また、提携についても、国内外における経済環境の変化等により、企図した効果があがらない可能性があります。更に、当行グループは提携業務の推進、買収事業の統合・展開において中核となるべき人材の確保等の問題に直面する可能性があります。加えて、そうした場合における通常の営業における人員確保や営業アクティビティの低下等の問題に直面する可能性もあります。

 

(8)子会社・関連会社の業務に関するリスク

 当行グループは子会社において銀行業務、金融商品取引業務、投資運用業務、投資助言業務、M&Aアドバイザリー業務、ベンチャーキャピタル業務等の金融サービスに係る事業や債権管理回収業務を行っており、これら子会社の業務の中には、伝統的な銀行業とはリスクの種類や程度の異なる業務も含まれております。例えば、GMOあおぞらネット銀行が営むインターネット銀行事業は、当行グループが従来営んできた銀行業に係るものとは異なる種類や程度のリスクを含んでおり、またOCB Bankの業績はベトナムや東南アジアの経済動向に大きく影響を受けます。当行グループは、こうした業務に伴って発生する種々のリスクについても適切に管理する体制を整備するよう努めておりますが、当行グループの想定を超えるリスクが顕在化すること等により、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 また、既存の子会社、あるいは今後新規に投資を行う会社について、各社の事業が想定通り伸長しなかった場合には、投資を回収できない可能性があり、また、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 GMOあおぞらネット銀行は、2024年度に創業以来はじめて、年間の業務純益で黒字化を達成いたしました。黒字の定着及び黒字幅拡大のため、引き続き当行グループ全体で当社の成長に向けたサポートを行ってまいります。なお、2024年9月30日に同社において振込処理遅延と誤送金が発生しました。再発防止策として、プログラムの修正、処理ロジックの変更等による処理速度向上を行い、以降同様の事象の再発はしておりません。しかしながら、今後もシステム動作不良その他理由などによるシステム障害が発生した場合には、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 また、2026年4月にあおぞら投信及びあおぞら証券の統合を予定しております。これにより効率化を見込みますが、新会社による第一種金融商品取引業の免許取得等、統合の過程における手続きの進捗状況により、統合スケジュールに影響を及ぼすおそれがあります。

 

 

2.信用リスク

(1)不良債権残高及び与信関連費用の増加

 当行グループは、個別の与信先について信用状態を継続的にモニタリングするとともに、信用状態の悪化が懸念される場合には貸出金の劣化に対する予防策を講じるよう努めておりますが、以下のような要因により、当行グループの不良債権残高や与信関連費用が増加する可能性があります。

・当行グループの予想以上に内外経済が悪化した場合。

・債務者が属する特定の産業の状況が悪化した場合。

・債務者の個別事情により、債務者の業績が当行グループの予想を下回った場合、あるいは、不測の事態により債務者の業績が悪化した場合。

・当行グループの予想以上に、債務者の経営再建計画が成功裡に実行されず信用リスクが高まる場合や、あるいは、金融機関による支援の打ち切り等により再建中止が余儀なくされる場合。

・当行グループの予想を上回る内外の不動産市況の悪化等により裏付資産の価値が下落し、債務者の信用力が低下した場合。

・脱炭素や人権配慮に関して対応が遅れた債務者の信用力が低下した場合。

・感染症のパンデミック等の影響により、債務者の業績が悪化した場合。

・米国トランプ政権による政策に伴い、国内外の政治経済状況や金融市場に著しい変化が生じ、その影響により債務者の業績が悪化した場合。

 

(2)特定先及び特定業種への集中リスク

 当行グループの大口債務者上位10先に対する貸出金は、2025年3月末時点の貸出金残高の約20%を占めており、大口債務者による債務不履行があった場合、又は大口債務者の一部若しくは複数との関係に重大な変化が生じた場合には、当行グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 当行グループの国内及び海外の不動産業に対する貸出(不動産ノンリコースローンを除く)は、2025年3月末現在、貸出全体の約8%を占めています。また、その他の業種に対する貸出で、不動産担保により保全されているものもあります。そのため、当行グループの貸出は、不動産市況の悪化や不動産業界全体が低迷した場合には、不動産業界の債務者の信用力の悪化や、不動産で担保されている保全額の減少から、追加的な引当金が必要となったり、追加的なコストが発生する場合があります。

 当行グループの国内及び海外の不動産ノンリコースローンは、2025年3月末現在、貸出全体の約18%を占めております。不動産ノンリコースローンは、債務者の信用力ではなく、特定の不動産及び当該不動産から生じるキャッシュ・フローのみを返済原資として債務の履行が担保されるもので、当行グループは、不動産賃料、空室率及び地価等のキャッシュ・フローに影響を及ぼす主なリスク要因等をモニタリングすることにより、リスク管理を行っております。しかしながら、不動産市況の悪化、具体的には金利の上昇やオフィスにおける空室率の上昇、売買市場の冷え込み等により、対象不動産からのキャッシュ・フローが当行グループの予想を超えて悪影響を受ける場合には、当行グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。米国オフィス案件にかかる不動産ノンリコースローン市況については、不動産売買は取引活発化の兆候が見られるものの、アフターコロナでの働き方の変化を踏まえ、慎重な見通しを維持しております。価格改善が見込めない案件のワークアウト(物件処分による債権回収等)については、これまでの経験を活かし、選別的に回収率の改善を優先した対応・交渉を行うとともに、今後のワークアウトに備えた貸倒引当金を計上し、今後損失が発生するリスクを低減させております。しかしながら、不動産市況の悪化や市況の回復の遅れなどにより、更なる貸倒引当金の計上や損失が発生する可能性があります。

 

(3)貸倒引当金が不十分となるリスク

 当行グループは、過去の債務不履行発生状況、与信先の財務状況及び保有する担保の価値並びに景気動向に対する前提及び見通し等に基づいて貸倒引当金を計上しております。特に、今後の管理に注意を要する大口の与信先等については、経済環境の悪化により貸倒費用が増加する可能性も勘案し、債務者区分遷移シナリオや元本・利息の回収について一定の前提を置いてキャッシュ・フロー見積法等により算定した貸倒引当金を追加的に計上する等、十分な水準の貸倒引当金を計上しております。しかしながら、当行グループの想定を超えて経済環境が悪化する等、当行グループの前提及び見通しを変更する必要が生じた場合、当行グループの与信先の財務状況が当行グループの想定を超えて悪化した場合、当行グループが保有する担保の価値が下落した場合、あるいは、その他の要因により予想を超えて当行グループに悪影響が及んだ場合、当行グループは貸倒引当金を増加させる必要が生じる可能性があります。

 

(4)海外向けエクスポージャーに関するリスク

 当行グループの貸出金全体に占める海外向け貸出(最終リスク国が日本以外、連結ベース)の割合は、2025年3月末においては約31%になっております。海外向け貸出の地域別状況については、北米向け貸出が約87%を占めており、残りはアジア向け及び欧州向けとなっております。ロシア及びウクライナ向けの貸出はありません。当行グループは国・地域別のガイドラインを設定するとともに、機動的な債権売却の実施等により、エクスポージャーをコントロールしております。

 海外において、金融市場の混乱や市場環境・経済環境の悪化等により、国、地域、債務者が債務不履行等になった場合、当行グループが保有するソブリンを含む海外向けエクスポージャーに悪影響が及び、与信関連費用の増加の可能性、当行グループの業績及び財政状態の悪化の可能性があります。

 上記の海外向け貸出については、「2.信用リスク(2)特定先及び特定業種への集中リスク」をあわせてご参照ください。

 

(5)ローン債権等に対する投資に関連するリスク

 当行グループは、債権売買取引及び証券化ビジネスにおいて、事業法人向けローン、住宅ローン、売掛債権、リース債権、不良債権及び仕組商品を含む様々な資産の取得・回収・売却等を行っております。こうした業務は本質的に環境に左右されやすい性質を有しており、市場規模や環境等の変化により当行グループ保有資産の価値や信用力が低下した場合、当行グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(6)エクイティ投資の推進に伴うリスク

 当行グループは、PEファンド投資、不動産ファンド投資、環境インフラ投資、事業法人・金融法人への株式投資(エンゲージメント投資)等を含む様々な形態のエクイティ投資を行っております。これら投資については年度毎に投資計画を策定し、全体及びアセット種別毎の投資残高をコントロールするとともに、個別案件毎の定期的なモニタリングを実施しております。また投資環境に応じて投資計画を随時見直すことによりリスクを抑制することを目指しております。

 しかしながら、こうした業務は、投資先の経営成績その他の財務状況の他、国内外の政治状況、経済状況、株式市況、不動産市況等環境の変化に左右されやすい性質を有しており、また、当行グループの採るリスクの抑制策が功を奏するとは限りません。このため、これら市況・環境の変化や投資先の財務状況の悪化により、当行グループの業績及び財政状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

 

3.市場リスク

(1)トレーディング及び投資業務における市場リスク

 当行グループは、国内及び海外の債券、ファンド、デリバティブ取引を含む多様な金融商品への投資・運用及びトレーディングを行っております。こうした業務からの収益は、金利・為替レート・債券価格・株価の変動、ボラティリティの変動、各種資産間の相関状況の変化等により影響を受けます。一例をあげれば、金利の上昇は、一般的に当行グループの債券ポートフォリオの価値に対して悪影響をもたらすこととなります。更に、当行グループが保有している国債その他債券について信用格付が格下げされた場合や債務不履行となった場合、また、これらの流動性が著しく低下してポジション調整が困難な場合には、当行グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

 当行グループは、こうした業務において、自らの体力に見合った健全なリスクテイクを逸脱せぬよう、例えば、損失を限定するためのロスカット・ルールを設定する等、管理体制の整備に努めております。しかしながら、市場がストレス環境にあるような状況では、ポジションを思うように縮小することが出来ず、損失を想定した範囲に限定することが出来なくなる場合があります。また、金融政策の変化や米国トランプ政権による政策を含むその他の要因により、市場が当行グループの予想を超えて変動した場合、当行グループは予測を超えた損失を被る可能性があります。

 

(2)金利変動によるリスク

貸出金、有価証券等の有利子資産による資金運用収益と、預金、社債等の有利子負債にかかる資金調達費用との差額である資金利益は、当行グループの収益の大きな割合を占めます。有利子資産と有利子負債では満期や金利設定条件等が異なるため、金利の変動により、当行グループの収益性が悪影響を受ける可能性があります。また、金利が上昇した場合には、貸出金への需要が低下する可能性があるほか、借入に係る金利負担の増加により債務者の業績や財政状態が悪化し、不良債権が増加することで当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当行グループが保有する有価証券のうち、2022年度の欧米金利上昇局面以前に取得し中長期的に含み損の処理を行う方針としたものについては基本的に実質リスク残高をゼロとするため、デリバティブやベアファンドを活用した金利リスク削減オペレーションを実施する等の対策を講じております。しかしながら、金利リスク削減オペレーション等が有効に機能せず、リスク管理が十分に効果的なものとはならない可能性があります。

日本銀行は、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していく見通しが高まったとして2024年7月及び2025年1月の金融政策決定会合において政策金利の利上げを実施しました。他方、米国においてはインフレ圧力の緩和等を背景にFRB(米連邦準備理事会)は2024年9月から3度にわたり政策金利の利下げを実施しました。今後、各国中央銀行の政策変更や米国トランプ政権による政策を含むその他の外的要因により、仮に重大な又は予期しない金利変動が生じた場合には、当行グループの業績及び財政状態に更なる悪影響が及ぶ可能性があります。

 

4.流動性リスク

(1)資金流動性リスク

 当行グループの調達資金はスマートフォンアプリを軸としたマネーサービス「BANK」を中心とする流動性預金、順次満期を迎える定期預金や社債であり、当行グループは、継続的に預金を受け入れ、社債を発行し、既存債務の借換を行い、一定割合を短期資金で調達する必要があります。当行グループは、十分な手元資金や流動性の高い有価証券等の確保や資金調達手段の分散・多様化、顧客預金の小口分散化、外貨調達における為替先渡取引の取引枠設定に加え、外貨調達先の拡大を図る等、資金調達の長期化並びに安定性の確保・向上に継続して努めておりますが、流動性リスクを完全に回避することはできません。SNS等を通じた情報伝達スピードが加速する中、当行グループの風評が流布され、また、その他当行グループに対する評価が悪化した場合等、インターネットバンキングで手軽に預金の解約や送金が可能であることにより、想定を上回る規模・スピードでの急速な預金流出が発生する可能性があります。その場合、当行グループが許容できる条件で十分な資金を調達できるという保証はなく、また、決済に必要な追加担保の差入れ等資金負担の増加が生じる可能性があり、再調達が首尾よくいかない場合には、当行グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、当行グループの業績又は財政状態の悪化、自己資本比率の低下、信用の低下、格付機関による格下げ等のほか、外貨資金調達における制約、金利環境の著しい変化、景気動向の悪化や金融システム全般の不安定化等により、当行グループが、営業上許容できる水準の利率で預金を獲得できない場合や当行グループの流動性が制限される場合があります。その場合当行グループは必要な資金を確保するため、より高い資金コストを負担し、あるいは、資産を圧縮する等の対策をとる必要が生じ、業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
 また、当行グループを含む国内基準行に対しては、2017年4月末より流動性カバレッジ比率等の銀行法第24条に基づくモニタリングが開始されております。将来的にこうした枠組みの内容に何らかの変更があった場合、当行グループの調達構造に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)市場流動性リスク

 当行グループは、市場で取引される様々な資産やデリバティブを保有しておりますが、市場の混乱や取引の厚みの不足等により、市場での取引を行うことができない、又は、著しく不利な価格での取引を余儀無くされることにより、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5.オペレーショナル・リスク

(1)リスク管理体制

 当行グループの業務の遂行には、オペレーショナル・リスクが伴っております。オペレーショナル・リスクは、不適切な内部処理、役職員の過失や不正行為、システムの障害及びその他の外部で発生する事象等、様々な形で顕在化する可能性があります。また当行グループの業務においては法律・規制に関するリスクも存在します。当行グループは、オペレーショナル・リスクについても必要なデータやリスクの顕在化事象を把握し、アセスメントを実施してリスクを特定、評価し、リスクをモニタリング、削減、コントロールする適切なリスク管理体制の整備に努めております。しかしながら、結果的にこの体制が有効に機能せず、リスク管理が十分に効果的なものとはならない可能性があります。業務分野の拡大、新規分野の取組や環境変化等に応じた適切なリスク管理体制を構築できず、当行グループが予想外の損失を被る可能性があります。

(2)システム障害リスク

 当行グループは、お客さまにサービスを提供し、業務を遂行するために様々な情報システムを運営しております。これらの情報システムの安定的な稼動を確保するため、複数年度のIT投資計画に沿って、新規・更新投資や機器等の保守を実施しております。各情報システムの重要性等に応じたバックアップの取得や機器・回線の二重化等の対策を講じるとともに、システム変更・移行時は十分な事前検証を行い障害発生の予防を図っております。不測の事態に備え、コンティンジェンシープランの整備やシステム復旧などシステム障害時の対策を定め訓練を実施しております。また、当行グループは、勘定系システムであるBeSTAcloud(株式会社NTTデータが運営する基幹勘定系システムアウトソーシングサービス)など重要なシステムの運営を外部に委託していることから、運用管理状況を月次・年次で点検するとともに障害発生時には対処内容を検証するなど委託先管理に努めております。また、当行グループ外の第三者(サードパーティ)とのシステムを介した取引や結びつきの拡大に関して、サードパーティへの攻撃によって情報漏洩や、これらが担うサービスの停止の影響が発生する危険性が増しているとの認識の下、かかる事態の発生を防ぐため、サードパーティへの管理態勢の整備に努めております。

 しかしながら、これらの対策や検証作業が十分であるという保証はなく、また、情報システムの新規開発や改修・保守作業における人為的な過失、事故等によりシステム障害が発生し、場合によっては情報システムが適切に稼動しないリスク、内部統制の維持や会計帳簿及び財務諸表の作成に関して問題が発生するリスクがあります。

 また、当行グループは、地震等の自然災害や大規模な停電その他の事故等により、当行グループが使用する情報システムを収容するデータセンターが正常に稼動できなくなる場合に備えて、データセンターの二重化にも取り組んでおります。BeSTAcloudは、現用システムを愛知県名古屋市に設置されたデータセンターに、災害対策用のコンピュータ機器を福岡県福岡市に設置されたデータセンターにそれぞれ収容し、遠隔地の2センター体制としており、ビジネス部門、IT部門、委託先が参加した災対切替訓練を行っております。インターネットバンキング、デビットカード、ホームページなど、お客さま向けサービスに重要なシステムも遠隔地にバックアップセンターを設けております。上記以外の情報システムについては、メインセンターを東京都府中市に、バックアップセンターを東京都千代田区に設置し、重要な情報システムに係る機器等の二重化を実施しております。しかしながら、遠隔地のセンターに直接的な被害がなくても、バックアップセンターとの通信経路が確保できずバックアップ機能が十分に確保できないリスクがあります。また、首都圏で地震が発生した場合、メインセンターとバックアップセンターの両サイトが被災するリスクがあります。更に、これらの当行グループのバックアッププランは、サービスの中断時に生じるおそれのある偶発事象に対処できるものではない可能性があります。

 当行グループは、お客さま向け情報提供のためのホームページ、インターネットバンキング、スマホアプリ、口座開設等のサービスをインターネット環境で提供しております。また、当行グループの業務遂行に必要な外部情報の取得やメール送受信のため当行グループシステムをインターネット環境に接続しており、こうしたところでは、十分なサイバーセキュリティの体制を構築することが必要になります。当行グループでは、ランサムウェア対策を含めた、インターネットに接続するシステムに必要な安全対策として、行内のシステム環境のほか、在宅勤務などのリモートアクセス環境についても、不正侵入防止の入口対策、情報漏えい防止の出口対策等、外部からの攻撃に対し多層的な技術的対策を実施しております。また、日々のサイバー脅威動向の情報収集と共有、ログのモニタリング、破壊を想定したサーバー復旧訓練の実施、脅威ベースを意識したペネトレーションテストの実施、専門的な知見を持つ要員の確保・育成など、サイバーレジリエンス体制の維持・整備に努めております。しかしながらサイバー攻撃の高度化により当行グループが講じている対策が有効に機能せず、システムダウンやサービス停止等により、業務継続に支障が生ずるリスクや内部情報が漏えいするリスクがあります。

 当行グループの情報システムの動作不良は、自然災害やその他の理由にかかわらず、お客さまとの関係を毀損し、訴訟や行政処分を招来し、また、その他の理由により当行グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)サードパーティリスク

 当行グループは、業務にとって重要である多くのサービスについて、外部委託先や外部システム等のサードパーティを利用しております。サードパーティとの契約・利用に際しては、経営・財務状況の安定性や、情報管理態勢、システム障害・サイバーインシデント管理態勢の確認、人権の尊重や環境への配慮を含めた適格性の検証、サービス代替策の検討等の方策を講じておりますが、地震等の自然災害、感染症の流行、システム障害やその他の事情により、それらのサービスが停止した場合、又はそれらのサービスに問題が生じた場合に、当行グループが同様の条件で同種のサービスをタイムリーに提供できるサードパーティを見出すことができるとは限りません。その場合、当行グループの営業が中断し、当行グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、業界又はその他の状況の変化により、サードパーティがサービスの料金を引き上げることも考えられ、その場合には、当行グループの業績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)個人情報等の流出等のリスク

 当行グループでは、個人情報等の流出等防止のための様々な方策を講じておりますが、保有する個人情報等について、役職員等若しくは委託先の人為的なミスあるいは内部若しくは外部からの不正アクセスにより流出した情報が不正に使用されることを完全に防止することはできません。こうした事態が発生した場合、当行グループはその責任を負い、法令上、民事上の責任等を問われ、あるいは、監督機関の処分を受ける可能性があります。更に、そうした事故が発生することにより、当行グループの業務及びブランド力に対する評価や当行グループに対する顧客や市場の信認に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(5)災害等に対する危機管理及び業務継続に関するリスク

 地震、台風等の大規模自然災害や、重大なシステム障害、サイバー攻撃、テロ、武力攻撃等による被害、感染症の流行によるパンデミック等の影響により、当行グループの業務の一部もしくは全体に深刻な影響が及び、これらが停止するおそれがあります。

 当行グループは、かかる事象が発生した場合においても業務継続を可能とすべく、優先業務の特定と目標復旧時間等の耐性度の設定、業務継続計画(BCP)の策定、バックアップ体制の構築、継続的な訓練の実施等により、危機管理体制の実効性向上とオペレーショナル・レジリエンス確保に努めております。

 しかしながら、かかる努力によってもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行グループの業務運営、業績及び財政状態への悪影響を回避しきれない可能性があります。

 

(6)人材に関するリスク

 当行グループは、「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことを経営理念とし、新たな金融の“付加価値を創造”する人材と組織へと「育ち」「変わる」ことを人材戦略の基本方針としています。付加価値を創造する人材が企業価値向上の最大の原動力であるとの認識のもと人的資本の強化を経営の重点課題とし、注力分野である投資銀行分野に重点的に人的リソースを配分していく方針です。今後、ビジネス環境の変化に対応できる人材や注力分野に必要なスキルセットを持つ人材が不足又は流出した場合、当行グループの業務運営やビジネス戦略の実現を通じた持続的成長に支障をきたすリスクがあります。

 当行グループでは、注力分野への人材リソースシフトに向けて、戦略的な人事異動と処遇の見直し、外部採用活動の強化及び多様化による人材登用の継続、従業員の自律的なキャリア形成の後押しなど、継続的に人的資本投資に取り組んでおります。また、従業員アンケートやエンゲージメントサーベイによる満足度の把握とそれを受けた人事制度の見直しや人事施策の実施を通じ、企業価値向上の源泉である従業員の働きがい向上に尽力しております。これからも人的資本への投資に注力することで人材に関するリスクの削減を目指してまいりますが、かかる努力によっても業務遂行上必要な人材の不足・流出を防止できるとは限らず、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)係争中の訴訟

当行グループは、当行グループ全体の訴訟について一元的に管理を行い、グループの法務リスクの極小化に努めており、現在のところ経営に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟案件はありません。しかし、当行グループは銀行業務を中心に各種金融サービスを提供しており、このような業務遂行の過程で、損害賠償請求訴訟等を提起され、損害を補償する可能性があります。このような訴訟等の動向によっては、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)法令等遵守に関するリスク

当行グループは、法令等の遵守を徹底し、業務の適法性とともに適切性を確保するために、経営理念に基づき全役職員が遵守すべき「倫理・行動基準」を定め、毎年全役職員に遵守することの誓約を求めること等により、金融機関への社会的要請に適合したコンプライアンスを実現することを最優先とする企業文化の構築に取り組んでおります。しかしながら、必ずしもこのような取組のすべてが有効に機能するとは限りません。お客さま情報の管理不備その他の事情に起因して、各種法令違反等が発生するおそれや、お客さまとの多面的な取引の展開が優越的地位の濫用とみなされるおそれもあります。このように今後仮に法令違反等が発生した場合には、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)金融犯罪に関するリスク

当行グループは、口座開設時においてお客さまの取引時確認を厳格に行うことに加え、その後も継続的にお客さまの状況確認や取引のモニタリングを行うことにより、口座不正利用の防止に努めるとともに、お客さまに特殊詐欺等の注意喚起をする等により、お客さまの取引の安全と口座の保護に取り組んでおります。また、新規の取引に先立ち、反社会的勢力等との関係等に関する情報の有無を確認することに加え、その後も継続的に確認を行う等、反社会的勢力等とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っております。

こうした金融犯罪を防止する取組は従前から行っておりますが、近年の本邦における金融犯罪の増加等を踏まえ、モニタリング態勢の高度化を継続的に実施するとともに、グループ会社における金融犯罪防止態勢強化・整備のサポートを行うなど、当行グループ全体として実効性を確保する取組を進めております。

しかし、厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力等との関係を持つ者が口座を開設する等の可能性があり、また、これらの者等が自らの口座を詐欺等に使用したり、マネー・ローンダリングや租税回避行為又は他の不正行為を行う可能性もあります。また、大規模な金融犯罪に巻き込まれた場合には、その対策にかかるコストやお客さまへの補償のほか風評等により、当行グループの業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)外為法上の経済制裁措置等に関するリスク

 当行グループは、お客さまとの取引に際しては、資産凍結・経済制裁措置の対象者に該当するか否かの確認や、資金使途規制・貿易規制、特定国との取引規制の確認等、外国為替及び外国貿易法その他の適用法令上必要な対応をとることで、拡散金融を含む各種規制に抵触しないよう体制を整備しております。しかしながら、手続きの不備等の結果、法令違反等が発生するおそれがあります。法令違反等が発生した場合には、当行グループが行政処分その他の制裁を受け、当行グループの評判が毀損される可能性や業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)従業員又は外部者による不正や過失等によって損失が発生する可能性

 当行グループは、上記のリスク以外にも、従業員又は外部者による不正、懈怠及び過失によって損失を被る可能性があります。当行グループでは、従業員に対して社内規定等の適正な運用の徹底を図っておりますが、従業員が、予め許容された範囲を超え、また、許容できないリスクのある取引を実行したり、規定等に反する行為を隠蔽したり、秘密情報を不適切に使用・漏えいしたり、お客さまに対する詐欺的誘引行為又はその他お客さまの信頼を損なう行為を行う可能性があります。また、盗難若しくは偽造されたキャッシュカードの不正利用及びインターネットバンキング不正送金や、デビットカードの不正利用等による被害に対し、当行グループがお客さまに対する賠償責任を負担する可能性等も存在します。従業員又は外部者による不正や過失等を防ぐため、コンプライアンス体制を強化しておりますが、このような問題行為の結果、当行グループが行政処分その他の制裁を受け、又は当行グループの評判が毀損される可能性もあります。

 

(12)風説・風評の発生による悪影響

 当行グループの事業全般や金融業界等に対して、その信頼を毀損するような風説・風評が発生し、また、報道機関により否定的な報道が行われる場合には、当行グループの株価や業績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、インターネット上の掲示板やソーシャル・ネットワーキング・サービスへの書き込まれた情報は短時間で不特定多数に拡散されるため、想定外の影響を及ぼす可能性もあります。

 

6.自己資本にかかるリスク

(1)自己資本比率規制

 当行グループは海外営業拠点を有しない国内基準適用行として、4.0%以上の自己資本比率を維持することが求められており、規制上求められる自己資本比率を維持できなくなった場合、金融庁から業務の全部又は一部の停止等を含む様々な行政処分等を受ける可能性があります。

 当行グループの2025年3月末時点におけるバーゼルⅢ最終化ベースの連結自己資本比率は10.72%であり、規制上求められる自己資本比率としては十分な水準を維持しております。ただし、今後の利益水準、リスク・アセット水準の変動、戦略的な資本提携や買収・合併の実施、自己資本比率規制の更なる強化その他の要因により、自己資本比率が低下する可能性があり、その場合、行政処分の他、市場からの信認の低下等により、業務運営や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当行は国内基準適用行ではありますが、中期経営計画「AOZORA2027」において、国際統一基準によるCET1比率(普通株式等Tier1比率)を経営上の重要な指標として設定しております。

 

7.当行グループの財務に関するリスク

(1)信用格付の低下が当行グループの業績に悪影響をもたらす可能性

 格付機関により当行グループの格付が引下げられた場合、インターバンク市場での短期資金調達あるいは資本調達等においてより不利な条件で取引を行わざるを得なくなる若しくは取引そのものが行えなくなる可能性があります。また、デリバティブ取引等の一定の取引行為が制限され若しくは行えなくなる可能性があるほか、現在締結しているその他の契約を解消される可能性もあります。このような事象のいずれもが、当行グループの財務や業務の執行に悪影響を与え、業績や財政状態に不利な影響を与える可能性があります。

(2)退職給付制度及び年金資産に関連するリスク

 当行グループの年金資産の時価が下落した場合や、年金資産の長期期待運用収益率が低下する等退職給付債務に関する予測計算の前提条件に変更が生じた場合には、退職給付費用が増加する可能性があります。また、当行グループの退職給付制度の変更により、退職給付債務が追加的に発生する可能性があるほか、金利環境の変化や会計基準の変更その他の要素によって、退職給付債務が増加したり、年度毎の退職給付費用が増加する可能性があります。

(3)繰延税金資産に関するリスク

 当行グループでは、繰延税金資産は、現行の会計基準に従い、将来の課税所得を合理的に見積もった上で計上しております。将来、実効税率引下げ等の税制改正や課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、税金費用が発生し、当行グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

8.日本の金融サービス業界に関連するリスク

(1)日本及び世界の経済状況が悪化することで当行グループが受ける悪影響

 当行グループの業績は、日本国内だけでなく世界的な金融経済環境の状況に大きく影響され、また、そうした日本国内及び世界的な金融経済環境は、金融・財政政策や地政学的要因等様々な要素によって影響を受けます。

・世界経済について、関税・移民政策を含む米国トランプ政権による政策に伴う不確実性やウクライナや中東での影響深刻化、あるいは、これら地域以外での武力衝突リスクによる国際政治の不安定化等が米国や世界経済に悪影響を及ぼす可能性があります。また、インフレを懸念した金融政策の引き締めが、米国のリセッションや中国の回復鈍化といった懸念に繋がる要素を踏まえ、企業業績や米国をはじめとする各国の経済に与える影響に留意する必要があります。

・日本経済は、日本国内の金利の正常化により長らく続いた超低金利時代からの転換期を迎えております。今後、追加の政策金利引き上げが急速に行われていった場合、急速な円高と株安を引き起こすなど、日本銀行の金融政策の動向、日本政府の景気対策の効果等により、国内経済に変調がもたらされる可能性があります。また、引き続き、世界経済と同様に広い範囲でコストが上昇しており、インフレが長期化した場合には、経済状況が悪化する可能性があります。今後、米国をはじめとする各国の金融政策の動向、景気対策の効果や経済の行方など、マクロの金融経済動向がミクロ経済へ波及し、影響を及ぼす点について留意する必要があります。


 このような環境下、日本及び世界の金融市場や経済の状況がさらに悪化し、又はその回復が遅れた場合、金融資本市場における信用収縮の動き、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動、景気の停滞や悪化に伴う地価や株価の下落、企業倒産や個人の破産の増加等により、貸出資産の劣化や業務の停滞が生じ、当行グループの資金調達や業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。

 

(2)日本の金融サービス市場の競争激化

 人口減少や高齢化等により、他国と比べても我が国のGDP成長率は鈍化しており、金融サービス市場の競争環境は厳しさを増しております。加えて、先進テクノロジーの出現による新規事業創出の加速、規制緩和等を要因として、通信業者や小売業者をはじめ、他業界からも銀行業をはじめとする金融サービス市場への参入が見られ、場合によっては、既存金融サービスを大きく浸食する可能性もあります。また、当行グループは、数多くの金融サービス企業と競争関係にあり、当行グループに比べ優位に立つと考えられる企業も存在しております。当行グループの主要な競争相手には以下のものが含まれると考えております。

・国内大手銀行グループ:三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ及び三井住友フィナンシャルグループは、資産、顧客基盤、支店数、及び従業員数等の様々な面において、当行グループに比べ相当に大きな規模を有しております。また、これらの銀行グループは、子会社又は関係会社として証券会社をはじめとした様々な機能を有しており、当行グループ同様その収益源を多様化する戦略を採っております。

・主要な投資銀行:国内外の投資銀行との間でも当行グループは、コーポレートアドバイザリー業務、スペシャルティファイナンス及びデリバティブ商品販売業務等様々な事業分野において、競争関係に立っております。

・その他の金融機関:三井住友トラストグループ、りそな銀行グループ、SBI新生銀行、インターネット銀行及び地方銀行等が含まれます。

・ゆうちょ銀行、政府系金融機関:当行グループは、ゆうちょ銀行のほか、日本政策投資銀行等の政府系金融機関とも競争関係にあります。

・その他の金融サービス提供者:当行グループは、証券会社、資産運用会社、M&Aアドバイザリー会社、債権回収会社、消費者金融業者及びその他の金融サービス業者とも競争関係にあります。

・当行グループは、数多くの金融サービス企業と競争関係にあり、当行グループに比べ優位に立つと考えられる企業も存在しております。また、デジタライゼーションの進展や規制緩和等を背景に従来には見られなかった異業種から参入も活発化し、一層の競争激化が見込まれます。

 

 国内金融サービス市場をめぐる競争は一層激化することが予想される中で、当行グループが現在又は将来の競合他社と効果的に伍していけるという保証はありません。これまで当行グループは、シンジケートローン、LBOファイナンス、貸出及びコミットメントラインの供与、投資信託の販売等で手数料等の収入を増加させてきましたが、競争の激化に伴う手数料の低下が収益の下押し要因となるおそれがあります。また、当行グループは貸出金利及び預金金利の面でも競合他行と競争関係に立たされており、競争の激化が貸出金利の低下及び預金金利の上昇を促し当行グループの収益性を圧迫する可能性もあります。

 さらに、マイナス金利の解除とともに他行との預金の獲得競争が始まっています。機動的な預金金利の設定や大口預金獲得に注力することで調達基盤の更なる安定化を目指していますが、将来にわたって安定的な調達ができる保証はありません。想定以上に調達コストがかかることで、当行グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)金融機関として広範な規制に服していること

 当行グループは、金融機関として、広範な法令上の制限及び政府機関による監督を受ける立場にあります。更に、当行並びに当行の子会社及び関連会社は、金融当局による自己資本比率規制、銀行法、その他の銀行としての業務規制を受けております。また、銀行業以外の業務範囲については一部見直しが為されているものの引き続き制限を受けております。こうした制約から、ビジネスチャンスに対し適時に対応することが困難となる可能性があります。

 仮に当行グループが、関連法規及び規制の違反を犯したような場合には、行政処分の対象とされ、また当行グループの評価が悪影響を受ける可能性があります。

 

(4)各種の規制及び法制度等の変更

 当行グループは現行法による規制に従って業務を遂行しておりますが、当行グループが国内外において業務を行うにあたって適用されている法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制等が変更、又は新たに導入された場合には、当行グループの業務運営に影響を与え、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.環境・社会課題に係るリスク

(1)環境・社会課題に配慮しない投融資等に係るリスク

 当行グループは、経営理念において「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことをミッションに掲げ、適切なリスク管理態勢のもとで金融仲介機能を発揮し、社会のサステナブルな発展に積極的に貢献することに努めております。
 昨今、金融業界においても気候変動対応、自然資本・生物多様性の保全、人権尊重をはじめとする持続可能な社会の実現に向けた取組が広がっていることに加え、各方面のステークホルダーから、事業者としての活動にととまらずサプライチェーン全体を通じて、環境・社会に関する様々な課題に配慮することが期待されております。

 投融資ビジネスにおいては、「環境・社会に配慮した投融資方針」を策定の上、近時の地政学リスクからの影響も考慮しながら、環境・社会に対し負の影響を助長する可能性が高いセクターへのファイナンスに際してはその適切性について検討を行うとともに、お客さまの環境・社会課題への取組を支援するサステナブルファイナンスの実行/組成額に目標を設定し、積極的な取組を行っております。また、大規模な開発を伴うプロジェクトファイナンスは自然環境や地域社会に大きな影響を与える可能性があり、これらの負の影響を回避・緩和するための適切な配慮を確認した上でファイナンスを実行するため、「赤道原則」を採択しております。

 しかしながら、これらの当行グループの投融資等に係る取組が、開示規制の強化や各国政策の転換に十分に対応できない場合や、投資家やお客さまなどのステークホルダーの期待から大きく乖離した場合などには、ビジネス機会の逸失、ポートフォリオの質の低下、調達力の低下、レピュテーションの低下等により、当行グループの業務運営や業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)気候変動に係るリスク

 気候変動の原因とされる温室効果ガスの削減や2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組が広がっており、金融業界では、様々な環境・社会課題の中でも気候変動リスクへの対応の重要性が高まっております。当行グループは、気候変動が環境・社会、企業活動、個人の生活にとっての脅威であり、当行の業績・財政状況へ影響を及ぼしうる重要な課題の一つであると認識しております。


 気候変動リスクとしては、移行リスクと物理的リスクがあります。

(移行リスク)脱炭素経済への移行に伴う政策・法規制・技術・市場の変化が生じることに起因する、次のようなリスクを当行グループは認識しております。

・脱炭素社会への移行に伴う炭素税等の政策等が与信先の事業や財務状況に影響し、与信ポートフォリオが影響を受けるリスク

・脱炭素技術の進歩や消費者の嗜好変化による既存の製品・サービスの代替の進展により投融資先の業績が悪化し、与信ポートフォリオが影響を受けるリスク

・新たな技術開発を志向する企業との取引を十分取り込むことが出来ず、当行グループの業績に悪影響が及ぶとともに当行グループの評価が低下するリスク

(物理的リスク)温暖化の進行により、資産に対する直接的な損傷や、サプライチェーンの寸断による間接的な影響等が生じる、次のようなリスクを当行グループは認識しております。

・風水害の頻度・規模の増大等、気候変動に伴う自然災害や異常気象によってもたらされる物理的な被害から与信ポートフォリオが影響を受けるリスク

・社会インフラあるいは当行グループの事業施設や従業員が被害を受け、当行グループ又は当行グループの取引先の事業に重大な悪影響が及ぶリスク

・温暖化の進行で熱中症や疫病のパンデミック等の発生頻度が高まり、当行グループ又は当行グループの取引先の事業に重大な悪影響が及ぶリスク

 

 これらの事象が生じた場合には、当行グループの業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 当行グループは、こうした気候変動に関するリスクの把握・評価、情報開示の重要性を認識し、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)が策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言に賛同し、移行リスクと物理的リスクが当行に与える影響について分析し、当行の与信関連費用への影響額を開示しております。

 

 2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、当行グループ自社の脱炭素化の取組を加速するとともに、お客さまの気候変動対応や脱炭素社会への移行を積極的に支援するため、外部パートナーと協業した脱炭素コンサルティングサービスの展開や国内外における環境ファイナンスを推進しております。加えて、投融資先に関するTCFDに沿った脱炭素化の働きかけやリスクの把握・評価、情報開示の拡充にも取り組んでおりますが、これらの気候変動に関するリスクへの対策や情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合などには、ビジネス機会の逸失、ポートフォリオの質の低下、調達力の低下、レピュテーションの低下などにより、当行グループの業務運営や業績・財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

10.その他

(1)財務報告に係る内部統制に関するリスク

 当行グループは、金融商品取引法に基づき、財務報告に係る内部統制の有効性を評価した「内部統制報告書」の提出、及びその評価内容について監査法人の監査を受けることが求められております。

 当行グループは、財務報告に係る内部統制の整備・運用を行っており、有効性を評価する過程で発見された事項は速やかに改善するよう努めております。

 しかしながら、改善が不十分な場合や経営者が内部統制を有効と評価しても監査法人が開示すべき重要な不備があると評価するような場合があり、当行グループの財務報告の信頼性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)重要な経営陣への依存

 当行グループでは、経営陣の業務遂行能力が、今後の当行グループの事業の成否に関する重要な要因となる場合があるものと考えております。重要な経営陣の退社等により、当行グループの事業遂行が悪影響を受け、また事業戦略の実施能力が低下する可能性があります。

 

(3)大株主の状況及び株主構成に係るリスク

 当行は、2024年5月13日に大和証券グループ本社との間で資本業務提携契約を締結いたしました。大和証券グループ本社が保有する当行株式の議決権所有割合は23.93%となっており、当行の大株主(筆頭株主)となっております。また、資本業務提携契約に基づき、大和証券グループ本社が指名する1名が取締役に就任しております。

 かかる大株主は、当行の業務運営等に対し一定の影響を与える場合がありえ、この場合、大株主の利益が当行の業務に関する他の株主の利益と相違する可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当行は、資本政策の機動性を確保するため、会社法第459条第1項の規定に基づき、同項各号に定める事項を取締役会の決議によって定める旨、定款に規定しております。

2025年度から2027年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画「AOZORA2027」においては、業績に応じた配当での還元を原則とし、資本の健全性の維持、安定的な株主還元の両立を基本方針とします。

なお、自己株式の取得等に関する取締役会による権限の行使にあたっては、継続的な企業価値の向上及び適正な株主還元の観点から、収益動向等の経営成績や将来見通し等を総合的に判断した上で、実施してまいりたいと存じます。

 

基準日が当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

(決議)

株式の種類

配当金の総額

(百万円)

配当の原資

1株当たり

配当額(円)

基準日

効力発生日

2024年8月2日

普通株式

2,219

利益剰余金

19.00

2024年6月30日

2024年9月17日

取締役会

2024年11月15日

普通株式

2,629

利益剰余金

19.00

2024年9月30日

2024年12月16日

取締役会

2025年2月3日

普通株式

2,629

利益剰余金

19.00

2024年12月31日

2025年3月17日

取締役会

2025年5月14日

普通株式

3,044

利益剰余金

22.00

2025年3月31日

2025年6月25日

取締役会