2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,463名(単体) 156,253名(連結)
  • 平均年齢
    40.1歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.1年(単体)
  • 平均年収
    10,933,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2025年3月31日現在

セグメントの名称

リテール・デジタル

事業本部

法人・ウェルスマネジメント

事業本部

コーポレート

バンキング

事業本部

グローバル

コマーシャルバンキング

事業本部

受託財産
事業本部

グローバルCIB
事業本部

市場
事業本部

その他

合計

従業員数(人)

17,458

18,905

6,816

71,479

12,635

3,313

2,546

23,101

156,253

[7,000]

[5,700]

[700]

[6,500]

[800]

[100]

[100]

[1,800]

[22,700]

 

(注)  1  従業員数は、海外の現地採用者を含み、嘱託5,803人及び臨時従業員22,148人を含んでおりません。

2  [      ]内に当連結会計年度における臨時従業員の平均人数を外書きで記載しております。

3  臨時従業員数は、派遣社員を含み、百人未満を四捨五入して記載しております。

 

(2) 当社の従業員数

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

3,463

40.1

13.10

10,933

 

(注)  1  当社従業員は、海外の現地採用者並びに株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行株式会社、三菱

          UFJモルガン・スタンレー証券株式会社等からの出向者であります。
 ただし、当社から他社への出向者は含んでおりません。

 2  従業員数には臨時従業員14人を含んでおりません。

 3  従業員数には執行役員88人を含んでおりません。

 4  平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、海外の現地採用者、当社から他社への出向者は含んでおりま

     せん。

 5  平均勤続年数は、出向元での勤続年数を加算しております。

 6  平均年間給与は、2024年度年間を通じて当社に在籍した者に対して各社で支給された年間の給与、賞与

     及び基準外賃金を合計したものであります。

 7 当社には従業員組合はありません。労使間において特記すべき事項はありません。

 

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び平均取得日数、並びに労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

提出会社は、各指標を公表しておりません。

 

② 連結子会社
(イ) 主要な連結子会社

連結子会社のうち、従業員数が多い主要3社の多様性指標は、以下のとおりです。

 

 

当事業年度(括弧内は前年度比)

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)(注1)

男性労働者の育児休業
取得率(%)

男性
労働者の
育児休業
平均取得

日数

労働者の男女の賃金の差異(%)
(注1)(注4)(注5)

法定開示

(注2)

社内規程

(注3)

全労働者

正規雇用
労働者

非正規
雇用
労働者

㈱三菱UFJ銀行

29.2

(+1.3)

98.8

(+15.6)

88.3

(+6.6)

16

(±0)

51.7

(+1.6)

52.8

(▲0.5)

58.3

(+3.6)

三菱UFJ
信託銀行㈱

16.1

(+2.5)

91.5

(▲2.7)

88.4

(▲5.3)

20

(▲1)

67.2

(+2.2)

66.7

(+1.9)

77.7

(▲0.3)

三菱UFJ
モルガン・スタンレー
証券㈱

16.6

(+2.4)

109.0

(▲12.9)

100.0

(±0)

13

(▲2)

60.7

(▲0.5)

58.3

(+0.2)

53.3

(▲0.5)

3社合計

24.0

(+1.7)

98.3

(+8.1)

89.8

(+3.7)

 

 

上表のうち、正規雇用労働者の一部内訳は以下のとおりです。

 

当事業年度(括弧内は前年度比)

 

労働者の男女の賃金の差異(%)(注6)

コース別

資格別

総合職

BS職/地域職

経営職階

役付者

非役付者

㈱三菱UFJ銀行

66.2

(+1.0)

94.7

(▲2.5)

88.1

(+2.9)

82.6

(+0.5)

82.4

(▲2.2)

三菱UFJ

信託銀行㈱

66.7

(+1.9)

90.0

(+0.3)

85.2

(▲0.1)

89.8

(▲0.3)

三菱UFJ

モルガン・スタンレー

証券㈱

80.0

(+0.5)

112.9

(▲3.0)

80.4

(▲1.0)

77.1

(▲3.7)

85.6

(▲4.6)

 

※ 対象会社は総合職のみとなります。

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号) (以下、「女性活躍推進法」という。)の規定に基づき算出したものであり、他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。管理職に占める女性労働者の割合については、当事業年度に発令等確定した人事異動を反映しています。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号) (以下、「育児・介護休業法」という。)第71条の6第1号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

3 「当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数のうち育児休業取得した男性社員数÷当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数×100」の算式で計算しており、より実態に即した取得割合を算出したものであります。他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

4 正規雇用労働者には他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の区分ごとに、(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)により、割合を算出したものです。

5 銀行においては、非正規雇用労働者のうち、所定労働時間が正社員の所定労働時間に満たない従業員は、正社員の所定労働時間で換算した人員数を元に、平均年間賃金を算出しています。

6 コース別・資格別の区分ごとに(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)により、割合を算出したものです。他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

 


 

主要3社の男女の賃金差異は、①コースによる賃金と男女比率の差分、②上位職における女性の比率の低さ、③男女間の労働時間の差分が影響しています。当社は、多様な視点や価値観を経営や組織運営に取り入れ、新しい価値を創造し、全てのステークホルダーに貢献し続けるため、賃金差異への対応を進め、従業員一人ひとりが活き活きと活躍できる組織・職場環境づくりに取り組んでまいります。

 

 

 

 

① コースによる賃金と男女比率の差分の経緯と今後の取り組み

 

 

長らく金融業界においては、コース別に雇用してきた経緯があり、主に定型業務をいわゆる一般職が担ってきました。一般職への応募・採用は女性が大半を占め、女性の活躍を支えた時代もありましたが、総合職と比較して賃金水準が低いことから、男女の賃金差異の一因となっています。

当社は、性別によらず誰もが実力本位で成長・挑戦できる環境を整備するべく、かねてより様々な取り組みを行ってきました。銀行においては、事業環境の変化や職業観・価値観の多様化に対応するべく、コースの見直しを行うとともに、より期待要件の高いコースや職責への挑戦を支援してきました。そして2025年4月には、総合職とビジネス・スペシャリスト(BS)職のコース区分を廃止し、全員がプロフェッショナル職となっています。

コース区分の廃止は、信託銀行では2020年4月に実施済、証券では2025年10月に実施予定であるほか、各社において、マネジメント職への登用だけでなく、専門分野におけるスキル・能力と貢献に応じた処遇を提供する制度も導入しており、性別や年次、入社時のコースなどの属性やキャリアパスによらず、適正な処遇を得られる制度を整えています。今後も、誰もが実力本位で成長・挑戦できる環境を整備し、賃金差異を解消してまいります。

 

 

<主要3社におけるコースの変遷>

 


 

 

 

 

<銀行におけるコース区分の廃止>


 

② 上位職層の女性比率の低さと今後の取り組み

 

 

相対的に賃金の高い上位職における女性比率が低いことが男女の賃金差異の一因になっています。主要3社における女性比率は約5割、非役付者における女性比率が約8割である一方で、役付者は約5割、経営職階は約1割と、職層が上位になるにつれて女性比率が低下しています。

 

 

<主要3社合算の職層別男女比率>(当事業年度末時点、括弧内は前年度比)


 

 

 

 

<主要3社の女性活躍支援を目的とした本人及び組織・職場向けの主な取り組み>

 


 

 

性別によらず上位職に挑戦できる環境づくりを進めるべく、「女性社員本人」に加え「組織・職場」を対象に、「キャリア形成支援」と「ライフイベントなどとの両立支援」において多岐にわたる施策を実施するとともに、上位職を志向する女性社員の比率を計測しています。

次世代のマネジメント候補の女性社員を対象とする選抜研修「WISH研修」では、参加者の管理職をめざすことへの肯定的な回答が、研修前後で77%から88%へ上昇しています。また、女性社員の成長・挑戦に大きな影響を与える部店長や次課長全員を対象に、経営トップから企業経営・組織運営におけるジェンダーギャップ解消の必要性を伝える「MUFGダイバーシティ・マネジメントフォーラム」では、参加した部店長・次課長の96.6%が、「女性社員の育成・登用を実践するうえで参考になった」と回答しています。

加えて、「ライフイベントなどとの両立支援」の継続的な取り組みもあり、銀行における入社10年後の社員の離職率は、2005年入社の女性は男性と比べて22.1%高かったものの、2015年入社の女性の離職率は男性を3.7%下回るなど、離職率の男女差は大きく改善しています。また、信託・証券においても同様の傾向です。

主要3社国内における女性マネジメント比率を、2026年度末までに27%、2030年度末までに30%とすることを目標とし、さまざまな取り組みを通じて、上位職における女性比率の向上をめざします。

 

 

<(銀行)男女の入社10年後の離職率>         <女性マネジメント比率(主要3社国内)の推移>

 


 

 

 

 

③ 男女の労働時間の差分と今後の取り組み

 

 

時間外労働や短時間勤務制度の利用等、男女の労働時間の差分が賃金の差異の一因になっています。主要3社の全社平均の男性の平均時間外労働時間が女性の2倍前後であるほか、短時間勤務制度利用者の殆どが女性です。時間外労働の水準が高いことや、性別による役割分担意識もあり、共働きの場合でも、男性よりも女性の方が家事や育児に時間を充てる傾向が強いことが理由の一つと認識しています。

当社では、世の中の変化をリードするために、「一人ひとりが主体的に考え、決断し、直ちに行動に移していく」カルチャーを醸成する「スピード改革」に取り組んでおり、時間外労働の削減にも繋げています。また、性別による役割分担意識の払拭と男性社員の恒常的な育児参画につなげるべく、男性社員の育児休業の取得を強く推奨しているほか、社員がパートナーとともに共育ての実践を学ぶことができるオンラインセミナー「MUFG共育て塾」を開催しています。

これらの取り組みをさらに加速させ、長時間労働の是正と持続的に活躍できる職場環境の実現をめざします。

 

 

<1か月あたり平均時間外労働(単位:時間、30分未満切捨て30分以上切上げ)>

 

当事業年度

銀行

信託

証券

男性

女性

男性

女性

男性

女性

全社

平均

34

15

36

20

35

19

経営職階

37

34

40

39

42

36

役付者

34

21

33

20

32

21

非役付者

30

11

30

16

24

13

 

 

 

 

<短時間勤務制度の利用者比率>

 

当事業年度

銀行

信託

証券

男性

0.1%

0.4%

2.7%

女性

99.9%

99.6%

97.3%

 

 

 

 

 

 

(ロ) その他の連結子会社

主要な連結子会社以外の連結子会社に係る多様性指標は、以下のとおりです。(注1)

男女間の賃金差異の主因は、総じて、女性管理職比率や上位職層の女性比率の低さ等にあります。今後も各社で女性管理職比率の引上げ、上位職層への女性登用拡大により、男女の賃金差異の解消をめざしてまいります。

 

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注2)(注5)

男性労働者の育児休業

取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注2)(注4)(注6)

法定開示

(注3)(注5)

社内規定

(注5)(注7)

全労働者

正規雇用

労働者

非正規

雇用

労働者

三菱UFJニコス㈱

24.1

102.1

86.8

55.6

56.5

77.2

アコム㈱

9.3

96.6

89.2

67.2

67.0

71.5

三菱UFJアセットマネジメント㈱

11.0

123.0

100.0

64.8

62.8

69.6

アイ・アール債権回収㈱

8.1

69.9

69.9

三菱UFJファクター㈱

12.2

100.0

100.0

69.6

68.1

77.2

三菱UFJ人事サービス㈱

38.9

60.8

67.8

45.5

㈱東京クレジットサービス

33.3

56.2

75.0

63.9

エム・ユー・ビジネスサービス㈱

21.2

62.8

72.2

51.0

三菱UFJインフォメーションテクノロジー㈱

10.0

89.7

90.6

85.4

84.5

81.9

エム・ユー・センターサービス東京㈱

51.4

55.5

72.1

49.3

エム・ユー・センターサービス名古屋㈱

36.0

36.9

53.3

26.2

エム・ユー・センターサービス大阪㈱

57.8

51.2

60.7

43.3

三菱UFJビジネスパートナー㈱

24.6

87.0

88.9

73.0

エム・ユー不動産調査㈱

0.0

74.4

74.4

三菱UFJローンビジネス㈱

18.2

0.0

64.5

71.9

59.5

三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱

14.6

46.6

55.5

65.0

65.1

63.5

エム・ユー・フロンティア債権回収㈱

10.0

66.1

62.0

64.9

エム・ユー融資事務サポート㈱

4.9

51.9

71.8

51.6

三菱UFJeスマート証券株式会社

8.8

33.3

0.0

71.1

74.0

76.5

エム・ユー・コミュニケーションズ㈱

22.8

100.0

100.0

68.5

70.8

64.5

エム・ユー・ティ・ビジネスアウトソーシング㈱

0.0

31.6

69.5

19.9

三菱UFJウェルスアドバイザーズ㈱

10.0

65.6

67.2

56.0

ウェルスナビ㈱

9.0

50.0

0.0

70.9

76.2

180.8

日本マスタートラスト信託銀行㈱

92.9

200.0

100.0

111.9

109.8

91.2

三菱UFJ不動産販売㈱

7.3

39.1

23.5

54.7

57.4

49.4

三菱UFJトラストシステム㈱

19.8

71.4

66.6

82.0

80.4

71.9

 

 

三菱UFJトラストビジネス㈱

100.0

128.3

122.1

103.2

三菱UFJ代行ビジネス㈱

52.9

66.8

67.4

68.6

エム・ユー・トラスト総合管理㈱

0.0

100.0

100.0

113.9

61.5

93.7

MUSビジネスサービス㈱

65.6

75.0

77.6

72.5

83.2

エムー・ユー・エス情報システム㈱

16.7

100.0

100.0

66.2

65.6

87.8

 

※男性育児休業取得率については、対象会社において配偶者が出産した男性労働者又は当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性労働者がいないこと、また非正規雇用労働者の賃金差異については男性又は女性の非正規雇用労働者がいないことを示しています。

 

(注) 1 女性活躍推進法又は育児・介護休業法の規定に基づく各指標の公表をしない連結子会社は、連結子会社の記載を省略しています。

2 女性活躍推進法の規定に基づき算出したものであります。

3 育児・介護休業法第71条の6第1号(ただし、エム・ユー・コミュニケーションズ㈱については同第2号)の規定に基づき算出したものであります。

4 正規雇用労働者には他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の区分ごとに、(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)により、割合を算出したものです。

5 女性管理職比率・男性育児休業取得率:他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

6 非正規雇用労働者における平均年間賃金の算出方法

次の対象会社においては、正社員の所定労働時間で換算した人員数を元に平均年間賃金を算出したものであります。

(三菱UFJファクター㈱、エム・ユー・ビジネスサービス㈱、エム・ユー・センターサービス東京㈱、エム・ユー・センターサービス大阪㈱、三菱UFJローンビジネス㈱、三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱、エム・ユー融資事務サポート㈱、三菱UFJ不動産販売㈱、三菱UFJトラストビジネス㈱)

7 「当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数のうち育児休業取得した男性社員数÷当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数×100」の算式で計算しており、より実態に即した取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

① サステナビリティ

サステナビリティに関する課題は、取締役会の監督のもと、経営会議がその傘下に様々な委員会を設置して管理しています。サステナビリティ委員会は、経営会議傘下の委員会で、Chief Sustainability Officerが委員長を務めています。サステナビリティ委員会ではサステナビリティに関するリスクや機会を含めたサステナビリティに関する課題への取り組み方針を定期的に審議するとともに、MUFGグループの取り組みの進捗状況をモニタリングしています。サステナビリティ委員会は、経営会議へ報告を行い、必要に応じて取締役会へも報告を行っています。

業務執行の意思決定機関として経営会議を設置し、取締役会の決定した基本方針に基づき、経営に関する全般的重要事項を協議決定しています。

取締役会は、事業戦略、リスク管理、財務監視に沿って、サステナビリティに関する事項の管理を監督します。監督は、PDCAサイクルに基づいて行われます。取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関連する事項を最優先事項と位置づけ、年次計画に基づき定期的に、又は必要に応じて、議論・審議を行っています。

MUFGのサステナビリティへの幅広い取り組みを客観的に評価する観点から、株式報酬の業績連動係数に「ESG評価」の指標を設けています。主要ESG評価機関5社(CDP、FTSE、MSCI、S&PDJ、Sustainalytics)による外部評価の改善度(相対評価)に加え、サステナビリティ経営のさらなる進化を後押しするため、グループ・グローバルGHG自社排出量の削減、従業員エンゲージメントサーベイスコアの改善並びに女性マネジメント比率の向上をESG独自評価指標として設定しています。

 

② 気候変動

MUFGでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組む課題の一つに「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げています。

MUFGは、GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)をはじめとする、気候変動に対処するための様々なイニシアティブに参画しています。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)の提言を支持しています。

グループ・グローバルベースでのプロジェクトチームであるカーボンニュートラル推進PTを設置し、各取り組みについては、グループCEOをはじめとする主要なマネジメントが参加するステアリングコミッティで議論するほか、サステナビリティ委員会で審議しています。

MUFGでは、気候変動に関するリスクをトップリスクと位置づけており、経営会議傘下の委員会である投融資委員会、与信委員会、リスク管理委員会において、それぞれの専門性を踏まえた検討を行っています。これらの各委員会の審議内容は、経営会議へ報告しています。

また、取締役会傘下委員会であるリスク委員会においても気候変動を含むグループ全体のリスク管理に関する事項及びトップリスクに関する事項について審議・報告を行っています。

 

③ 人的資本

人事に係る基本方針や重要戦略は、グループCEOやグループCHROをはじめとする主要なマネジメントが参加する人事運営会議やサステナビリティ委員会で審議しています。MUFGグループ各社においては、MUFGで決定された基本方針や重要戦略に基づき、各社の人事担当役員のもと、具体的な人事施策や取り組みの検討がなされています。
 また、各取り組みの進捗状況等については、取締役会による監督に基づき、人事運営会議、サステナビリティ委員会や経営会議等を通じて報告・審議・決議を実施しております。人材の流出・喪失等や士気の低下等により損失を被るリスク及びこれに類するリスク(人材リスク)を管理するためのガバナンスについては、「(3) リスク管理 ③人的資本」を参照してください。

 

ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
 

(2) 戦略

① サステナビリティ

MUFGは、社会課題解決への貢献を経営戦略と一体化させ、これを中計の3本柱の1つと位置づけ、取り組みを一層強化していきます。持続可能な環境・社会の実現に向け、サステナビリティ経営において優先的に取り組む課題(以下、優先課題)を特定しています。

 

優先課題の特定にあたっては、サステナビリティ開示基準、ESG評価機関の評価項目、投資家の期待等、ステークホルダーにおける重要性と、機会とリスクを踏まえたMUFGの事業における重要性を考慮しています。これらの二つの重要性を踏まえて、社外アドバイザーや投資家、社員等の意見も取り入れ、優先課題の特定を行いました。

主な取り組みについては、経営計画委員会やサステナビリティ委員会でモニタリングを行います。

 

目指す社会

優先課題

主な取り組み

持続可能な

社会

1. カーボンニュートラル社会の実現

エンゲージメント、トランジション支援の加速

2. 自然資本・生物多様性の再生

自然依存・影響低減に向けたソリューション提供

3. 循環型経済の促進

循環型経済への移行に向けた技術や投資の支援

活力溢れる

4. 産業育成、イノベーション支援

成長資金の供給と運用対象の拡大

5. 少子高齢化への対応

資産・事業承継サポート、投資・資産形成促進

6. 金融サービスへのアクセス拡大

生活に根ざすサービス提供、金融包摂への貢献

7. 人的資本重視の経営

社員が活き活きと活躍できる環境の提供

強靭な

社会

8. 人権尊重

サプライチェーン全体の人権デューデリジェンス強化

9. 安心・安全なサービスの提供

サイバー対策、オペレーショナルレジリエンス強化

10. 強固な企業ガバナンスの発揮

お客さまの最善の利益に資する業務運営の徹底

 

 

② 気候変動

「カーボンニュートラル社会の実現」への取り組みは経営の最重要課題の一つであり、リスク管理とビジネス機会の両面から対応しています。

MUFGは、TCFDの提言を踏まえ、金融機関としての気候変動関連のリスクを二つのカテゴリーに分類し、取り組みを進めています。一つは、異常な暴風雨や洪水などの悪天候事象の深刻化や頻度の増加、気温や海面水位の上昇、降水量や降水分布の変化などの気候パターンの長期的な変化などによる物理的損害から生じるリスクであり、「物理的リスク」と分類されます。もう一つは、脱炭素社会への移行に関連して生じるリスクで、これは規制、市場の選好、技術の変化などから発生するもので、「移行リスク」と分類されます。

MUFGは、地球温暖化問題に取り組むグローバル金融機関としての責任を認識し、お客さまに提供する商品・サービスや、事業活動に伴う環境負荷を低減するための施策を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援していきます。

 

 

③ 人的資本

人的資本経営のめざす姿と考えている「社員一人ひとりが活き活きと活躍し、社会・お客さまに貢献するグローバル金融グループ」の実現には、最重要資本の一つである人的資本の拡充が必要と考えています。価値創造の源泉である社員のウェルビーイング(幸せ)を高め、個人・組織の持続的な成長を促し、世界が進むチカラになるよう、人的資本経営に取り組んでいます。

 

(ⅰ) 人材育成方針

MUFGでは、MUFG Wayに相応しい人的資本経営を実現するための基本的な考え方として「MUFG人事プリンシプル」を策定しています。
 人材育成に関しては、「社員一人ひとりが知識や専門性のみならず、見識や倫理観を高められる教育機会を提供し、社員の自律的キャリア形成を支援すると同時に、MUFG Wayを体現できる多様なプロフェッショナル人材を育成すること」を基本理念としています。
 社会やお客さまの期待を超える価値を提供するため、経営・事業戦略と人事戦略の同期を加速し、社員一人ひとりがスキル・専門性を高めることを促進していきます。

 

(ⅱ) 社内環境整備方針

MUFGのパーパスである「世界が進むチカラになる。」の実現に向けて、「人的資本重視の経営」をサステナビリティ経営において優先的に取り組む課題(優先課題)として取り組みを進めています。信頼のグローバル金融グループとして、その特徴を最大限活かし、社員一人ひとりが活き活きと活躍できる職場環境を提供します。また、健康経営とDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の浸透を通じて社員が最大限の能力を発揮することを支援するとともに、全世界の社員がプロフェッショナルとして成長、活躍できる職場環境を提供することで、社員のウェルビーイング、即ち中長期な人生の充実を実現します。
 人材を惹きつけ、社員が持てる力を最大限発揮するための人事制度を構築するとともに、他社比競争力のある処遇を提供しています。三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社において一定の要件を満たす管理職に対してインセンティブプランとして株式交付制度を導入しています。また、社員の人権を尊重するとともに、事業を展開する各国・地域の法令遵守、労働環境、労働時間の定期的なモニタリング及び改善、財産形成貯蓄制度、企業年金、持株会等を通じた社員の安定的な資産形成、Financial Wellnessの向上を通じて、社員の心身の健康促進・私生活の充実に取り組んでいます。
 

(3) リスク管理

① サステナビリティ

「MUFG環境方針」、「MUFG人権方針」のもと、ファイナンス(※)において、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

※MUFGの主要子会社である銀行、信託及び三菱UFJ証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与信及び債券・株式引受を指します。

 

MUFGがファイナンスの対象とする事業の環境・社会に対するリスクの特定・評価は、お客さまと直接接点を持つ部署が「標準デューデリジェンス」を行います。これにより、対象事業が特に留意が必要と判断された場合、「強化デューデリジェンス」を実施し、ファイナンスの実行の可否を決定します。

対象事業の環境・社会に対するリスクが重大であり、MUFGの企業価値の毀損に繋がりうる、評判リスクに発展する可能性がある事業については経営階層が参加する枠組みにおいて対応の協議を行っています。また、銀行では大規模なプロジェクトによる環境・社会に対するリスクと影響を特定、評価、管理するための枠組みである赤道原則を採択し、ガイドラインに沿ったリスクアセスメントを行っています。

環境・社会にかかる機会及びリスクへの対応方針・取り組み状況は、テーマに応じてリスク管理委員会や投融資委員会、与信委員会においても審議・報告を行っています。各委員会の審議内容は経営会議への報告後、取締役会において報告・審議され、取締役会が環境・社会課題に関するリスクを監督する態勢としています。

 

<ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定・評価するプロセス>

 


※本プロセスは、各地の法令遵守のもとで適用されます。

 

② 気候変動

気候変動に関するリスクへの対応の強化に向けて、グループ全体の視点で、気候変動に関するリスクとその潜在的なポートフォリオ、事業、財務への影響をより的確に把握、測定、低減することを目的として、リスク管理枠組みに統合しています。MUFGのリスク管理フレームワークは、物理的リスクと移行リスクに対処することを意図しています。

前述の「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」では、石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

気候変動に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を、リスク管理フレームについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。

 

③ 人的資本

MUFGでは、人材リスクをオペレーショナルリスクの一つとして定義の上、管理しております。人材リスクを含む各種オペレーショナルリスクについては、それぞれリスク評価を実施し、リスク委員会やリスク管理委員会、経営会議において、報告・審議を行っております。

 

リスク管理体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。

 

(4) 指標と目標

① サステナビリティ

MUFGは、環境・社会課題の解決に向けた具体的な指標・目標を設定し、モニタリングしています。サステナブルファイナンスについては、2019年度から2030年度までのサステナブルファイナンス累計実行額目標を100兆円に設定しており、2024年度までの累計実行額は43.5兆円(概算値)です。

 

② 気候変動

MUFGでは、2021年5月に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、2050年末までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロに、2030年度末までに当社自らの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を発表しました。これらの目標は、パリ協定の合意事項を支持するとともに、MUFGグループにとって気候変動に関連するリスクと機会を最優先課題として認識していることを示しています。

 

投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロの実現のために、各セクターやMUFGのポートフォリオの特性も踏まえて、以下のように中間目標の設定を行っています。当連結会計年度より、債券・株式・シンジケートローンの引受からの排出(Facilitated Emission)の大部分を占める電力、石油・ガスセクターについては、目標の計測対象にFacilitated Emissionを追加しました。

 

<各セクターの中間目標、実績>

 

単位等

基準(基準年)

2023年度実績

2030年度中間目標

電力(排出原単位)

gCO2e/kWh

339*1(2019)

288*1

156-192

石油・ガス(排出量削減率)

MtCO2e

92*1(2019)

72*1(▲22%)

▲15%-▲28%

鉄鋼(排出量削減率)

MtCO2e

22(2019)

16(▲28%)

▲22%

不動産

(排出原単位)

商業用

kgCO2e/m2

65(2020)

52*2

44-47

居住用

kgCO2e/m2

27(2020)

25

23

自動車(排出原単位削減率)

gCO2/vkm

169(2021)

158(▲7%)

▲23%-▲46%

船舶

PCAスコア*3

Striving 28.9%(2022)
Minimum  24.3%(2022)

Striving 22.7%
Minimum  17.0%

PCA≦0%

航空(排出原単位)

gCO2/RPK*4

130(2021)

83

71

石炭(与信残高)*5

億円

約30(2022)

(非OECD諸国は約120)

14
(56)

ゼロ

(非OECD諸国は2040年度)

 

 

*1 目標の計測対象にFacilitated Emissionを含む

*2 不動産建物別・年度別係数のデータは、2022年度データを使用

*3 船舶に関する投融資ポートフォリオ全体での要求水準との差分を示す整合度指標。ファイナンス提供をしている個々の船舶の気候変動整合度(VCA)を融資ポートフォリオ上の割合で加重平均して算出。2022年度からポセイドン原則により要求水準が引き上げられ、MinimumとStrivingの二つの新基準に変更。両方とも2050年ネットゼロをめざす基準だが、2030年と2040年時点の削減目安が異なる。Minimum基準は2008年比で2030年までに排出量を最低20%削減、2040年までに最低70%削減。Striving基準は2008年比で2030年までに排出量を30%削減、2040年までに80%削減

*4 RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)のことで、有償旅客数に輸送距離を乗じて算出した航空会社の旅客輸送実績を示す指標

*5 発電事業用の一般炭採掘を主たる事業とする事業者への法人融資額(含むコミットメント未使用額)を対象。ただし、脱炭素社会への移行に向けた取り組みに資する案件は除外

 

 

③ 人的資本

MUFGでは、めざす姿の実現に向けて重点課題を定め、それぞれに対応する人的資本KPIを設定、目標を開示し、各種施策に取り組んでいます。特に、DEIや社員のウェルビーイングについて設定している目標に対する進捗は以下のとおりです。

 

(ⅰ) DEI

MUFGでは、多様な社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる職場づくりに取り組んでいます。特に、女性の管理職比率向上は喫緊の課題であるとの認識のもと、MUFGでは、中長期的な数値目標を設定し、トップのコミットメントのもと女性の育成・登用を推進しています。主要な子会社である三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社は、2026年度末までに、女性の管理職比率を27.0%(3社合算ベース)とする目標を設定しており、2024年度末時点の実績(※)は24.0%となっています。

 

※当事業年度に発令等確定した人事異動を反映しています。
 

(ⅱ) 社員のウェルビーイング

持続的な企業価値向上には、エンゲージメントの向上が必要不可欠という認識のもと、毎年「グループ意識調査」を通じて、社員エンゲージメントの状況(エンゲージメントスコア)を確認し、様々な施策の検討・実施に活用してきました。2024年度から始まった中期経営計画では、海外も含むMUFGグループのエンゲージメントスコア目標として「2023年度比改善(2023年度の実績(※)は73%)」を設定し、エンゲージメントの向上に、グループ一丸で取り組んでいます。社員が個人の信念・価値観とMUFG Wayの重なりについて対話する「MUFG Way共鳴セッション」や、有志社員がMUFG Wayを伝播する活動「MUFG Way Boostプロジェクト」、社員が自ら地域社会の課題解決に挑む社員参加型社会貢献プログラム「MUFG SOUL」や新規事業創出プログラム「Spark X」等、MUFGのパーパスを自分事化し実践する様々な機会を継続的に提供し、また社員が自らのキャリアやウェルビーイングについて考えるきっかけになるような研修や、上司の部下育成力を強化する研修等、社員の力を最大限に引き出すための取り組みも行っています。これらの取り組みも2024年度の実績(※)76%に繋がっています。

 

※エンゲージメントに関する5つの設問に対する好意的回答割合の平均です。