2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,321名(単体) 145,412名(連結)
  • 平均年齢
    40.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.4年(単体)
  • 平均年収
    10,477,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2024年3月31日現在

セグメントの名称

デジタルサービス

事業本部

法人・

リテール

事業本部

コーポレート

バンキング

事業本部

グローバル

コマーシャルバンキング

事業本部

受託財産
事業本部

グローバルCIB
事業本部

市場
事業本部

その他

合計

従業員数(人)

15,710

20,562

7,085

66,713

6,697

3,138

2,823

22,684

145,412

[6,600]

[6,900]

[700]

[6,100]

[500]

[100]

[100]

[1,900]

[22,900]

 

(注)  1  従業員数は、海外の現地採用者を含み、嘱託5,456人及び臨時従業員22,325人を含んでおりません。

2  [      ]内に当連結会計年度における臨時従業員の平均人数を外書きで記載しております

3  臨時従業員数は、派遣社員を含み、百人未満を四捨五入して記載しております。

4  従業員数が前連結会計年度末に比べ、18,290名増加しております。主としてグローバルコマーシャルバンキング事業本部のBank of Ayudhya Public Company Limitedが、HC Consumer Finance Philippines,Inc.をはじめとする4社を子会社化したことによるものです。

 

(2) 当社の従業員数

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

3,321

40.0

14.4

10,477

 

(注)  1  当社従業員は、海外の現地採用者並びに株式会社三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行株式会社、三菱

          UFJモルガン・スタンレー証券株式会社等からの出向者であります。
 ただし、当社から他社への出向者は含んでおりません。

 2  従業員数には臨時従業員16人を含んでおりません。

 3  従業員数には執行役員88人を含んでおりません。

 4  平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は、海外の現地採用者、当社から他社への出向者は含んでおりま

     せん。

 5  平均勤続年数は、出向元での勤続年数を加算しております。

 6  平均年間給与は、2023年度年間を通じて当社に在籍した者に対して各社で支給された年間の給与、賞与

     及び基準外賃金を合計したものであります。

 7 当社には従業員組合はありません。労使間において特記すべき事項はありません。

 

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

提出会社は、各指標を公表しておりません。

 

② 連結子会社
(イ) 主要な連結子会社

連結子会社のうち、従業員数が多い主要3社の多様性指標は、以下のとおりです。

 

 

当事業年度

名称

管理職に
占める
女性労働者
の割合(%)
(注1)

男性労働者の育児休業
取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1) (注4) (注5)

法定開示

(注2)

社内規程

(注3)

全労働者

正規雇用
労働者

非正規

雇用

労働者

㈱三菱UFJ銀行

27.9

83

81

50.1

53.3

54.7

三菱UFJ
信託銀行㈱

13.6

94

93

65.0

64.8

78.0

三菱UFJ
モルガン・スタンレー
証券㈱

14.2

121

100

61.2

58.1

53.8

3社合計

22.3

 

 

上表のうち、正規雇用労働者の一部内訳は以下のとおりです。

 

当事業年度

 

労働者の男女の賃金の差異(%)(注6)

コース別

資格別

総合職

BS職/地域職

経営職階

役付者

非役付者

㈱三菱UFJ銀行

65.2

97.2

85.2

82.1

84.6

三菱UFJ

信託銀行㈱

64.8

89.7

85.3

90.1

三菱UFJ

モルガン・スタンレー
証券㈱

79.5

115.9

81.4

80.8

90.2

 

※対象会社は総合職のみとなります。

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号) (以下、「女性活躍推進法」という。)の規定に基づき算出したものであり、他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。管理職に占める女性労働者の割合については、当事業年度に発令等確定した人事異動を反映しています。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号) (以下、「育児・介護休業法」という。)第71条の4第1号 (ただし、三菱UFJモルガン・スタンレー証券㈱については同第2号)における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

3 「当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数のうち育児休業取得した男性社員数÷当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数×100」の算式で計算しており、より実態に即した取得割合を算出したものであります。他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

4 正規雇用労働者:他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。
非正規雇用労働者:嘱託を含み、派遣社員を除きます。
全労働者・正規雇用労働者・非正規雇用労働者の区分ごとに、(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)により、割合を算出したものです。

5 銀行においては、非正規雇用労働者のうち、所定労働時間が正社員の所定労働時間に満たない従業員は、正社員の所定労働時間で換算した人員数を基に、平均年間賃金を算出しています。

6 コース別・資格別の各区分ごとに(女性の平均年間賃金)÷(男性の平均年間賃金)により、割合を算出したものです。他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

 


 

 

 

 

① コース別賃金・男女比率の差分

 

 

② 上位職層の女性比率の低さ

 

 

③ 男女間の労働時間の差分

 

 

 

 

 

 

 

 

① コース別賃金・男女比率の差分と今後の取り組み

 

 

銀行においては主に定型業務を担うBS職として女性を中心に採用してきた経緯があり、同コースは人数も多く、総合職と賃金水準の差があることから、結果として男女間の賃金差異が生じる要因になっています。

 

 


 

 

 

 

 

2025年4月より総合職とBS職を廃止、コースの壁を取り払い、全員がプロフェッショナル職となる予定です。誰もが実力本位で、職務をベースに成長・挑戦できる環境を整備することで、男女間の賃金差異の解消に取り組んでまいります。

 

 

 

② 上位職層の女性比率の低さと今後の取り組み

 

 

相対的に賃金の高い上位職における女性の比率が低いことが男女の賃金差異の一因になっています。主要3社における女性比率は約5割、非役付者における女性比率が約8割である一方で、役付者は約4割、経営職階は約1割と職層が上がるにつれ、比率が減少しております。

 

 

 

 


 

 

 

今後下記の取り組みを加速させながら、上位職層に占める女性比率の向上を目指してまいります。

 

 


 

 


 

 


 

 

 

 

 

 

 

③ 男女間の労働時間の差分と今後の取り組み

 

 

時間外労働や短時間勤務制度の利用等、男女間の労働時間の差異が賃金差異の一因になっています。具体的には各社の男性の平均時間外労働時間が女性の約1.5倍~2倍であるほか、短時間勤務制度利用者の殆どが女性であることが、男女の労働時間の差異の主要因と考えております。

 

 

銀行

信託

証券

1か月あたり

平均時間外労働(時間)

男性

31.5

31.8

26.2

女性

13.8

20.9

16.8

短時間勤務制度
利用者男女割合

男性

0.1%

0.4%

0.7%

女性

99.9%

99.6%

99.3%

 

 

柔軟な労働環境の整備をはじめとした働き方改革の加速により男女間の賃金差異の是正をめざしてまいります。

 

 

(ロ) その他の連結子会社

主要な連結子会社以外の連結子会社に係る多様性指標は、以下のとおりです。(注1)

 

当事業年度

名称

管理職に
占める
女性労働者
の割合(%)
(注2)(注5)

男性労働者の育児休業

取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注2)(注4)(注6)

法定開示

(注3)(注5)

社内規程

(注5)(注7)

全労働者

正規雇用
労働者

非正規
雇用
労働者

三菱UFJニコス㈱

7.7

91

56

53.4

54.2

75.4

アコム㈱

8.2

103

64

65.2

65.0

73.2

アイ・アール債権回収㈱

2.6

66

66

三菱UFJファクター㈱

10.7

66.5

65.2

74.9

三菱UFJ人事サービス㈱

36.4

㈱東京クレジットサービス

31.8

100

エム・ユー・ビジネスサービス㈱

16.4

60.8

70.5

50.6

三菱UFJインフォメーションテクノロジー㈱

9.2

95

88

84.6

83.6

85.8

エム・ユー・センターサービス東京㈱

48.0

55.2

72.2

49.2

エム・ユー・センターサービス名古屋㈱

37.5

36.7

53.5

26.8

エム・ユー・センターサービス大阪㈱

53.1

52.7

59.8

50.6

三菱UFJビジネスパートナー㈱

25.8

100

100

85.2

87.3

67.9

エム・ユー不動産調査㈱

0.0

71.6

71.6

三菱UFJローンビジネス㈱

20.6

100

65.7

77.9

54.9

三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱

12.0

53

43

65.4

66.4

57.8

エム・ユー・フロンティア債権回収㈱

8.2

0

63.9

58.3

65.4

エム・ユー融資事務サポート㈱

4.9

50.6

70.4

49.5

エム・ユー・コミュニケーションズ㈱

17.9

100

100

66.9

73.9

66.1

 

 

三菱UFJフィナンシャルパートナーズ㈱

0.0

エム・ユー・ティ・ビジネスアウトソーシング㈱

0.0

三菱UFJウェルスアドバイザーズ㈱

12.5

日本マスタートラスト信託銀行㈱

89.5

100

110.9

109.9

85.1

三菱UFJ不動産販売㈱

4.5

72

43

54.7

57.2

64.3

三菱UFJトラストシステム㈱

16.5

66

75

79.5

78.3

79.2

三菱UFJアセットマネジメント㈱

11.8

107

70

64.1

62.2

71.7

三菱UFJトラストビジネス㈱

100.0

107.5

111.2

132.2

三菱UFJ代行ビジネス㈱

46.2

100

100

65.6

66.7

66.7

エム・ユー・トラスト総合管理㈱

0.0

100

MUSビジネスサービス㈱

67.9

100

75.1

72.1

83.2

エムー・ユー・エス情報システム㈱

12.5

100

65.9

65.4

95.5

auカブコム証券㈱

8.0

100

100

75.0

75.0

 

※男性育児休業取得率については、対象会社において配偶者が出産した男性労働者又は当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性労働者がいないこと、また非正規雇用労働者の賃金差異については男性又は女性の非正規雇用労働者がいないことを示しています。

 

(注) 1 女性活躍推進法又は育児・介護休業法の規定に基づく各指標の公表をしない連結子会社は、連結子会社の記載を省略、あるいは「―」と記載しております。

2 女性活躍推進法の規定に基づき算出したものであります。

3 育児・介護休業法第71条の4第1号(ただし、エム・ユー・コミュニケーションズ㈱、三菱UFJ不動産販売㈱、MUSビジネスサービス㈱、エム・ユー・エス情報システム㈱、auカブコム証券㈱については同第2号)の規定に基づき算出したものであります。

4 正規雇用労働者:他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。
非正規雇用労働者:嘱託を含み、派遣社員を除きます。

5 女性管理職比率・男性育児休業取得率:他社への出向者を含み、他社からの出向者を除きます。

6 非正規雇用労働者の平均年間賃金を算出方法

次の対象会社においては、正社員の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出したものであります。

(三菱UFJファクター㈱、エム・ユー・ビジネスサービス㈱、エム・ユー・センターサービス東京㈱、エム・ユー・センターサービス大阪㈱、三菱UFJローンビジネス㈱、三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱、エム・ユー融資事務サポート㈱、三菱UFJ不動産販売㈱、三菱UFJトラストビジネス㈱)

7 「当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数のうち育児休業取得した男性社員数÷当事業年度に育児休業取得期限が到来した男性社員数×100」の算式で計算しており、より実態に即した取得割合を算出したものであります。

 

男女間の賃金差異の主因は、総じて、女性管理職比率や上位職層の女性比率の低さ等にあります。

今後も各社で女性管理職比率の引上げ、上位職層への女性登用拡大により、男女間の賃金差異の是正をめざしてまいります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

① サステナビリティ

サステナビリティに関する課題は、取締役会の監督のもと、経営会議がその傘下に様々な委員会を設置して管理しています。サステナビリティ委員会は、経営会議傘下の委員会で、Chief Sustainability Officerが委員長を務めています。サステナビリティ委員会ではサステナビリティに関するリスクや機会を含めたサステナビリティに関する課題への取り組み方針を定期的に審議するとともに、MUFGグループの取り組みの進捗状況をモニタリングしています。サステナビリティ委員会は、経営会議へ報告を行い、必要に応じて取締役会へも報告を行っています。

業務執行の意思決定機関として経営会議を設置し、取締役会の決定した基本方針に基づき、経営に関する全般的重要事項を協議決定しています。

取締役会は、事業戦略、リスク管理、財務監視に沿って、サステナビリティに関する事項の管理を監督します。監督は、PDCAサイクルに基づいて行われます。取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関連する事項を最優先事項と位置づけ、年次計画に基づき定期的に、又は必要に応じて、議論・審議を行っています。

MUFGのサステナビリティへの幅広い取り組みを客観的に評価する観点から、株式報酬の業績連動係数に「ESG評価」の指標を設けています。主要ESG評価機関5社(CDP、FTSE、MSCI、S&PDJ、Sustainalytics)による外部評価の改善度(相対評価)に加え、サステナビリティ経営のさらなる進化を後押しするため、グループ・グローバルGHG自社排出量の削減、従業員エンゲージメントサーベイスコアの改善並びに女性マネジメント比率の向上をESG独自評価指標として新設します。

 

② 気候変動

MUFGでは、持続可能な社会の実現に貢献するため、優先的に取り組む課題の一つに「カーボンニュートラル社会の実現」を掲げています。

MUFGは、NZBA(Net-Zero Banking Alliance)及びGFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)をはじめとする、気候変動に対処するためのさまざまなイニシアティブに参画しています。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD)の提言を支持しています。

グループ・グローバルベースでのプロジェクトチームであるカーボンニュートラル推進PTを立ち上げ、各取り組みについては、グループCEOをはじめとする主要なマネジメントが参加するステアリングコミッティで議論するほか、サステナビリティ委員会で審議します。

MUFGでは、気候変動に関するリスクをトップリスクと位置づけており、経営会議傘下の委員会である投融資委員会、与信委員会、リスク管理委員会において、それぞれの専門性を踏まえた検討を行っています。これらの各委員会の審議内容は、経営会議へ報告しています。

また、取締役会傘下委員会であるリスク委員会においても気候変動を含むグループ全体のリスク管理に関する事項及びトップリスクに関する事項について審議・報告を行っています。

 

ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。

 

③ 人的資本

人事に係る基本方針や重要戦略は、グループCEOやグループCHROをはじめとする主要なマネジメントが参加する人事運営会議やサステナビリティ委員会で審議しています。MUFGグループ各社においては、MUFGで決定された基本方針や重要戦略に基づき、各社の人事担当役員のもと、具体的な人事施策や取組の検討がなされています。
 また、各取組の進捗状況等については、取締役会による監督に基づき、人事運営会議、サステナビリティ委員会や経営会議等を通じて報告・審議・決議を実施しております。人材の流出・喪失等や士気の低下等により損失を被るリスク及びこれに類するリスク(人材リスク)を管理するためのガバナンスについては、「(3) リスク管理 ③人的資本」を参照してください。
 
 ガバナンス体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
 

(2) 戦略

① サステナビリティ

MUFGは、社会課題解決への貢献を経営戦略と一体化させ、これを中計の3本柱の1つと位置づけ、取り組みを一層強化していきます。持続可能な環境・社会の実現に向け、サステナビリティ経営において優先的に取り組む課題(以下、優先課題)の見直しを行いました。

 

優先課題の見直しにおいては、サステナビリティ開示基準、ESG評価機関の評価項目、投資家の期待等、ステークホルダーにおける重要性と、機会とリスクを踏まえたMUFGの事業における重要性を考慮しています。これらの二つの重要性を踏まえて、社外アドバイザーや投資家、社員等の意見も取り入れ、優先課題の特定を行いました。

主な取り組みについては、経営計画委員会やサステナビリティ委員会でモニタリングを行います。

 

目指す社会

優先課題

主な取り組み

持続可能な

社会

1. カーボンニュートラル社会の実現

エンゲージメント、トランジション支援の加速

2. 自然資本・生物多様性の再生

自然依存・影響低減に向けたソリューション提供

3. 循環型経済の促進

循環型経済への移行に向けた技術や投資の支援

活力溢れる

4. 産業育成、イノベーション支援

成長資金の供給と運用対象の拡大

5. 少子高齢化への対応

資産・事業承継サポート、投資・資産形成促進

6. 金融サービスへのアクセス拡大

生活に根ざすサービス提供、金融包摂への貢献

7. 人的資本重視の経営

社員が活き活きと活躍できる環境の提供

強靭な

社会

8. 人権尊重

サプライチェーン全体の人権デューデリジェンス強化

9. 安心・安全なサービスの提供

サイバー対策、オペレーショナルレジリエンス強化

10. 強固な企業ガバナンスの発揮

お客さまの最善の利益に資する業務運営の徹底

 

 

② 気候変動

「カーボンニュートラル社会の実現」への取り組みは経営の最重要課題の一つであり、リスク管理とビジネス機会の両面から対応しています。

MUFGは、TCFDの提言を踏まえ、金融機関としての気候変動関連のリスクを二つのカテゴリーに分類し、取り組みを進めています。一つは、異常な暴風雨や洪水などの悪天候事象の深刻化や頻度の増加、気温や海面水位の上昇、降水量や降水分布の変化などの気候パターンの長期的な変化などによる物理的損害から生じるリスクであり、「物理的リスク」と分類されます。もう一つは、脱炭素社会への移行に関連して生じるリスクで、これは規制、市場の選好、技術の変化などから発生するもので、「移行リスク」と分類されます。

MUFGは、地球温暖化問題に取り組むグローバル金融機関としての責任を認識し、お客さまに提供する商品・サービスや、事業活動に伴う環境負荷を低減するための施策を通じて、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを支援していきます。

 

③ 人的資本

人的資本経営のめざす姿と考えている「社員一人ひとりが活き活きと活躍し、社会・お客さまに貢献するグローバル金融グループ」の実現には、最重要資本の一つである人的資本の拡充が必要と考えています。価値創造の源泉である社員のウェルビーイングを高め、個人・組織の持続的な成長を促し、世界が進むチカラになるよう、人的資本経営に取り組んでいます。

 

(ⅰ)人材育成方針

MUFGでは、MUFG Wayに相応しい人的資本経営を実現するための基本的な考え方として「MUFG人事プリンシプル」を策定しています。
 人材育成に関しては、「社員一人ひとりが知識や専門性のみならず、見識や倫理観を高められる教育機会を提供し、社員の自律的キャリア形成を支援すると同時に、MUFG Wayを体現できる多様なプロフェッショナル人材を育成すること」を基本理念としています。
 社会やお客さまの期待を超える価値を提供するため、経営・事業戦略と人事戦略の同期を加速し、社員一人ひとりがスキル・専門性を高めることを促進していきます。
 

(ⅱ)社内環境整備方針

 MUFGのパーパスである「世界が進むチカラになる。」の実現に向けて、「人的資本重視の経営」をサステナビリティ経営において優先的に取り組む課題(優先課題)として取り組みを進めています。信頼のグローバル金融グループとして、その特徴を最大限活かし、社員一人ひとりが活き活きと活躍できる職場環境を提供します。また、心身の健康とDEI(ダイバーシティ・エクイティ & インクルージョン)の浸透を通じて社員が最大限の能力を発揮することを支援するとともに、全世界の社員がプロフェッショナルとして成長、活躍できる職場環境を提供することで、社員のウェルビーイング(幸せ)、即ち中長期な人生の充実を実現します。
 人材を惹きつけ、社員が持てる力を最大限発揮するための人事制度を構築するとともに、他社比競争力のある処遇を提供しています。三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社において一定の要件を満たす管理職に対しては、2024年7月より、インセンティブプランとして株式交付制度を導入します。また、社員の人権を尊重するとともに、事業を展開する各国・地域の法令遵守、労働環境、労働時間の定期的なモニタリング及び改善、財産形成貯蓄制度、企業年金、持株会等を通じた社員の安定的な資産形成、Financial Wellnessの向上を通じて、社員の心身の健康促進・私生活の充実に取り組んでいます。
 

(3) リスク管理

① サステナビリティ

「MUFG環境方針」、「MUFG人権方針」のもと、ファイナンス(※)において、環境・社会に係るリスクを管理する枠組みとして、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を制定しています。環境・社会への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

※MUFGの主要子会社である銀行、信託及び三菱UFJ証券ホールディングスの法人のお客さま向けの与信及び債券・株式引受を指します。

 

MUFGがファイナンスの対象とする事業の環境・社会に対するリスクの特定・評価は、お客さまと直接接点を持つ部署が「標準デューデリジェンス」を行います。これにより、対象事業が特に留意が必要と判断された場合、「強化デューデリジェンス」を実施し、ファイナンスの実行の可否を決定します。

対象事業の環境・社会に対するリスクが重大であり、MUFGの企業価値の毀損に繋がりうる、評判リスクに発展する可能性がある事業については経営階層が参加する枠組みにおいて対応の協議を行っています。また、銀行では大規模なプロジェクトによる環境・社会に対するリスクと影響を特定、評価、管理するための枠組みである赤道原則を採択し、ガイドラインに沿ったリスクアセスメントを行っています。

環境・社会にかかる機会及びリスクへの対応方針・取り組み状況は、テーマに応じてリスク管理委員会や投融資委員会、与信委員会においても審議・報告を行っています。各委員会の審議内容は経営会議への報告後、取締役会において報告・審議され、取締役会が環境・社会課題に関するリスクを監督する態勢としています。

 

<ファイナンス対象事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定・評価するプロセス>

 


 

 

② 気候変動

気候変動に関するリスクへの対応の強化に向けて、グループ全体の視点で、気候変動に関するリスクとその潜在的なポートフォリオ、事業、財務への影響をより的確に把握、測定、低減することを目的として、リスク管理枠組みに統合しています。MUFGのリスク管理フレームワークは、物理的リスクと移行リスクに対処することを意図しています。

前述の「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」では、石炭火力発電や鉱業(石炭)、石油・ガス等、気候変動への影響が懸念される特定のセクターについては、ファイナンスにおけるポリシーを定めるとともに、ファイナンスの対象となる事業の環境・社会に対するリスク又は影響を特定し、評価するためのデューデリジェンスのプロセスを導入しています。

 

気候変動に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を、リスク管理フレームについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。

 

③ 人的資本

MUFGでは、人材リスクをオペレーショナルリスクの一つとして定義の上、管理しております。人材リスクを含む各種オペレーショナルリスクについては、それぞれリスク評価を実施し、リスク委員会やリスク管理委員会、経営会議において、報告・審議を行っております。
 
 リスク管理体制の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照してください。
 

 

(4) 指標と目標

① サステナビリティ

MUFGは、環境・社会課題の解決に向けた具体的な指標・目標を設定し、モニタリングしています。これまでの順調な実績進捗や資金需要の高まりを受け、2030年までのサステナブルファイナンス目標を35兆円から100兆円に引き上げました。2023年度までの累計実行額は33.5兆円(概算値)です。

 

② 気候変動

MUFGでは、2021年5月に「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表し、2050年末までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量をネットゼロに、2030年末までに当社自らの温室効果ガス排出量をネットゼロにするという目標を発表しました。これらの目標は、パリ協定の合意事項を支持するとともに、MUFGグループにとって気候変動に関連するリスクと機会を最優先課題として認識していることを示しています。

 

投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量ネットゼロの実現のために、各セクターやMUFGのポートフォリオの特性も踏まえて、以下のように中間目標の設定を行っています。

 

<各セクターの中間目標、実績>

 

単位等

基準(基準年)

2022年度実績

2030年中間目標

電力(排出原単位)

gCO2e/kWh

328(2019)

313

156-192

石油・ガス(排出量削減率)

MtCO2e

84(2019)

81

▲15-▲28%

不動産

(排出原単位)

商業用

kgCO2e/m2

65(2020)

56*1

44-47

居住用

kgCO2e/m2

27(2020)

25*1

23

鉄鋼(排出量削減率)

MtCO2e

22(2019)

16

▲22%

船舶

PCAスコア*2

PCA0.6%(2021)

Minimum  26.2%

Striving 30.9%

PCA≦0%

自動車(排出原単位)

gCO2/vkm

169(2021)

 

▲23-▲46%

航空(排出原単位)

gCO2/RPK*3

130(2021)

 

71

石炭(与信残高)*4

億円

約30(2022)

(非OECD諸国は約120)

 

ゼロ

(非OECD諸国は2040年度)

 

 

*1 不動産建物別・年度別係数のデータは、2021年度データを使用

*2 船舶に関する投融資ポートフォリオ全体での要求水準との差分を示す整合度指標。ファイナンス提供をしている個々の船舶の気候変動整合度(VCA)を融資ポートフォリオ上の割合で加重平均して算出。2022年度からポセイドン原則により要求水準が引き上げられ、MinimumとStrivingの二つの新基準に変更。両方とも2050年ネットゼロをめざす基準だが、2030年と2040年時点の削減目安が異なる。Minimum基準は2008年比で2030年までに排出量を最低20%削減、2040年までに最低70%削減。Striving基準は2008年比で2030年までに排出量を30%削減、2040年までに80%削減

*3 RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)のことで、有償旅客数に輸送距離を乗じて算出した航空会社の旅客輸送実績を示す指標

*4 発電事業用の一般炭採掘を主たる事業とする事業者への法人融資額(含むコミットメント未使用額)を対象。ただし、脱炭素社会への移行に向けた取り組みに資する案件は除外

 

③ 人的資本

(ⅰ)DEI

MUFGでは、多様な社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮できる職場づくりに取り組んでいます。特に、女性の管理職比率向上は喫緊の課題であるとの認識のもと、MUFGでは、中長期的な数値目標を設定し、トップのコミットメントのもと女性の育成・登用を推進しています。主要な子会社である三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社では、2023年度末までに日本国内の女性の管理職比率を22.0%にする合同数値目標を設定し、実績(※)は22.3%と目標を達成しました。2024年度から始まる中期経営計画では、2026年度末までに27.0%にする目標を設定しております。


※当事業年度に発令等確定した人事異動を反映しています。
 

(ⅱ)社員のウェルビーイング

持続的な企業価値向上には、エンゲージメントの向上が必要不可欠という認識のもと、毎年「従業員エンゲージメントサーベイ」を通じて、社員エンゲージメントの状況(エンゲージメントスコア)を確認し、さまざまな施策の検討・実施に活用してきました。2024年度から始まる中期経営計画では、海外も含むMUFGグループのエンゲージメントスコア目標として「現状比改善」を設定し、エンゲージメントの向上に、グループ一丸で取り組みます。なお、2023年度の実績は73%(※)となっています。

 

  ※エンゲージメントに関する5つの設問に対する好意的回答割合の平均