2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,178名(単体) 1,234名(連結)
  • 平均年齢
    40.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.8年(単体)
  • 平均年収
    6,228,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社における従業員数

2024年3月31日現在

 

セグメントの名称

銀行業務

リース業務

その他の業務

合計

従業員数(人)

1,178

[562]

16

[8]

40

[17]

1,234

[587]

(注)1.従業員数は、嘱託及び臨時従業員572人を含んでおりません。

2.銀行業務の従業員数は、取締役を兼務していない執行役員10名を含んでおります。

3.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2)当行の従業員数

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,178

40.5

17.8

6,228

[562]

(注)1.従業員数は、嘱託及び臨時従業員548人を含んでおりません。

2.当行の従業員はすべて銀行業務のセグメントに属しております。

3.従業員数は、取締役を兼務していない執行役員10名を含んでおります。

4.臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

5.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

6.当行の従業員組合は、秋田銀行職員組合と称し、組合員数は828人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者

の割合(%)(注)2

男性労働者の育児休業

取得率(%)(注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)2、4

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

9.8

92.3

51.5

63.6

58.0

(注)1.管理職に占める女性労働者の割合は2024年4月1日時点を基準日として、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は2024年3月期事業年度を対象期間として、それぞれ算出しております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

4.当行の男女賃金差異は、主に給与が高くなる傾向にある勤続年数の長い職員における男性比率が高いことや給与の高い職位に占める男性比率が高いことによるもので、当行では、同じ役割であれば男女で賃金の差は設けておりません。女性職員のキャリア形成支援や仕事と育児の両立のための就業支援などに引き続き取り組み、女性の活躍推進をはかってまいります。

 

②連結子会社

 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表をしていないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ経営方針

 当行グループでは、サステナビリティを「長期にわたる持続的な価値向上」と定義のうえ、「秋田銀行グループ サステナビリティ経営方針」にもとづき、地域および当行グループの持続的な成長に向けて取り組んでおります。

秋田銀行グループ サステナビリティ経営方針

秋田銀行グループは、「地域共栄」の経営理念のもと、地域課題の解決および環境課題への対応、お客さまのニーズに応える質の高い金融・非金融サービスの提供を通じて、将来にわたる豊かな地域を実現するとともに、当行グループの持続的な成長・企業価値向上を実現し、地域から必要とされる金融グループになることを目指します。

 

(2)重要課題(マテリアリティ)

 「長期にわたる持続的な価値向上」を前進させていくうえで、特に優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)を、「地域課題の解決」、「環境課題への対応」および「経営の基礎的要素」の3つのカテゴリーから整理し、ステークホルダーや当行グループにとっての重要度や優先度を踏まえて、取締役会で協議のうえ設定しております。また、中期経営計画における取組みを通じて重要課題(マテリアリティ)への対応を具体的に進めており、地域課題および環境課題の解決に向けて、2022年度から2030年度までの累計投融資額目標として、サステナブルファイナンス5,000億円を掲げております。2023年度においては649億円(うち、環境分野519億円)を実施し、これまでの累計実施額は1,270億円と、順調に推移しております。

 

 なお、重要課題(マテリアリティ)は次のプロセスを経て特定しております。

①SDGsの理念・主要原則等から地域特有の課題等、社会課題を特定

②当行グループのステークホルダーにとっての重要度を評価

③当行グループにとっての重要度・優先度を、経営理念、グループVISION等を活用して整理・再評価

④常務会での協議、社外取締役との協議(取締役会)を経て決定

 また、当行では、取締役会の監督のもと、頭取を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しており、あわせて、その下部組織として、サステナビリティにかかる具体的な取組みや施策等を全社横断的に推進する「サステナビリティ推進室」を設置し、サステナビリティ経営を推進するための体制を構築しております。

 

(3)重要課題(マテリアリティ)解決に向けた取組み

 地域課題の解決

 秋田県を中心とした地域を地盤とする当行において、地域の発展が当行の成長にとって重要な要素であると認識しております。そのため、地域課題の解決を経営の重要課題(マテリアリティ)と捉え、その具体的な取組みとして、中期経営計画において定める「地域価値共創戦略」を推進しております。

 各取組みの詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

〇 地域価値共創戦略のイメージ

 

 環境課題への対応(TCFD提言への取組み)

 当行では、地域社会の持続可能性を高めるために、環境課題への対応を経営の重要課題(マテリアリティ)と捉え、中期経営計画の地域価値共創戦略において、カーボンニュートラルへの対応をはじめ、具体的な取組みを進めております。また、2021年10月にはTCFD提言に賛同し、TCFD提言に沿った対応を進めることで、気候変動対応の高度化をはかっております。

 

a ガバナンス

 「サステナビリティ推進委員会」において、気候変動対応に関する協議を年4回の頻度で開催し、重要な事項については、取締役会に報告・監督を受ける体制を構築しております。

 2023年度の委員会においては、当行グループのカーボンニュートラル実現ならびにお客さまへの脱炭素化支援に関する事項などについて協議し、取締役会へ内容を報告しております。

b 戦略

 気候関連リスクと機会は、事業活動に大きな影響を与える可能性があるため、当行では、気候変動シナリオ分析によるリスク量の把握に取り組んでいるほか、脱炭素社会への移行を新たなビジネスチャンスと捉えて、お客さまの気候変動への適応とその影響の緩和に資する金融商品ならびにサービスの開発・提供に取り組んでおります。

 

(a)リスク

 当行では、気候関連リスクとして、移行リスクと物理的リスクを認識しております。

 移行リスクでは、脱炭素社会への移行にともなう気候関連の規制強化や消費者嗜好の変化等により、一部のお客さまの事業に対する信用リスクの増加等を想定しております。また、物理的リスクでは、気候変動によってもたらされる水害をはじめとする自然災害の増大により、担保毀損のほかお客さまの事業活動への影響および業況の変化等による信用リスクの増加に加え、当行営業店舗の損壊等によるオペレーショナルリスクの増大などを想定しております。2023年度においては、これらのリスクを定量的に把握し、リスク低減に対応していくために、次の内容でシナリオ分析を実施しております。

 なお、シナリオは、多くの企業や国が目標として掲げる「2050年カーボンニュートラル」で想定される世界観の1.5℃シナリオ(移行リスク)と、現状予想される以上に気候変動対策が進まず、水害をはじめとする自然災害のリスクが顕在化する4℃シナリオ(物理的リスク)により分析を行っております。

〇移行リスク

 移行リスクでは、脱炭素化による影響が特に大きいと考えられる「電力」、「石油・ガス」セクターのほか、当行のエクスポージャーや秋田県内への影響度等を踏まえて、食品製造業に関連する「食品・飲料」セクターを加えた3セクターに対する与信コスト増加額を推計しております。

<分析対象セクターの選定プロセス>

 

 

<分析結果の概要>

シナリオ

NGFSによる「NetZero2050(1.5℃シナリオ)」

対象セクター

電力、石油・ガス、食品・飲料

分析方法

・選定したセクターに対して、事業に与えるリスク・機会要因を整理

・整理した内容を踏まえて、シナリオに基づき炭素税などコスト増加等にともなう将来の業績変化を予想し、与信コストへの影響を推計

分析期間

2050年まで

分析結果

与信コストの増加額:累計17億円程度

〇物理的リスク

 物理的リスクでは、国内の法人を対象にIPCCの4℃シナリオに基づき、100年に1度の規模の洪水が発生した場合の当行の担保物件への被害額とお客さまの事業停止・停滞日数を算定し、お客さまの事業に及ぼす影響をもとに、当行の与信コスト増加額を推計しております。

<分析結果の概要>

シナリオ

IPCCよる「RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)」

対象セクター

国内に本店を置く法人融資先

分析方法

ハザードマップを利用して当行担保不動産の毀損額およびお客さまの事業停止日数を予想し、お客さまの事業への影響ならびに与信コストへの影響を推計

分析期間

2050年まで

分析結果

与信コストの増加額:最大41億円程度

 

(b)機会

 脱炭素社会の実現に向けて、さまざまな気候関連リスクが想定される一方で、再生可能エネルギー分野への投融資の増加、お客さまの脱炭素への移行を支援する金融商品やサービスの提供など、当行にとってのビジネス機会は拡大していくものと認識しております。

〇再生可能エネルギー関連事業への取組み

 秋田県は、日本海の恵まれた風況を背景に、洋上風力発電の整備を促進する区域として全国最多となる4海域の指定を受け、他地域に先駆けて事業開発が進められております。秋田県沖の洋上風力発電プロジェクトにかかる総事業費は、およそ1兆円規模と試算されており、脱炭素社会実現のほか、県内経済への波及効果にも注目が集まっております。

 当行では、こうした再生可能エネルギー関連事業が、地域経済の発展や脱炭素への移行に資する重要な取組みであると捉え、2013年に設立した風力発電事業会社「A-WIND ENERGY」の主体的な運営をはじめ、脱炭素先行地域(大潟村)への人的支援など、ファイナンスにとどまらない取組みを多角的に進めております。

 今後も積極的なファイナンスのほか、風力発電設備の建設やO&M業務における事業会社と地元企業とのマッチング、県内産業の活性化に向けた連携等を通じて、地域の経済効果の最大化に取り組んでまいります。

■ 再生可能エネルギー関連融資の累計実行額

電源別

2021年3月末

2022年3月末

2023年3月末

2024年3月末

風力

270

368

491

584

太陽光

260

315

374

456

バイオマス・地熱ほか

34

37

57

67

合 計

564

720

922

1,107

 

〇森林資源・J-クレジットの活用

 森林資源に対しては、世界的な人口増加にともなう木材需要の増加に加え、気候変動・生物多様性の観点から非常に大きな関心が寄せられております。全国有数の森林面積を誇る秋田県では、豊かな森林資源を活用したJ-クレジットの創出が進められており、当行では、こうした取組みが地域の脱炭素化をはじめ、地元林業の活性化や森林資源の保全につながる重要な取組みであると認識し、2023年度に大仙市および丸紅株式会社とJ-クレジット創出・販売に向けた連携協定を締結しております。同連携協定をはじめ、森林資源を起点とした新たなビジネスモデルの構築と地域経済・環境価値の域内循環に向けた取組みを進めてまいります。

 

(c)炭素関連資産

 炭素関連資産は、一般的に直接的または間接的なGHG排出量が比較的高い資産または組織とされており、当行では次のセクターに関連する資産を炭素関連資産としております。

セクター

主な業種

貸出金(百万円)

比率(%)

エネルギー

・石油及びガス

・電力ユーティリティ

16,712

41,808

0.9

2.2

小 計

58,519

3.0

運輸

・旅客空輸

・海上輸送

・鉄道輸送

・トラックサービス

・自動車及び部品

686

1,438

26,386

20,735

32,055

0.0

0.1

1.4

1.1

1.6

小 計

81,300

4.2

素材・建築物

・金属・鉱業

・化学

・建設資材

・資本財

・不動産管理・開発

20,825

23,997

2,860

136,154

65,390

1.1

1.2

0.1

7.0

3.4

小 計

249,226

12.8

農業、食料、林産物

・飲料

・農業

・加工食品・加工肉

・製紙・林業製品

6,647

5,185

20,270

24,592

0.3

0.3

1.0

1.3

小 計

56,694

2.9

上記セクター合計および貸出金に占める割合

445,739

22.9

(注)1.主な業種は、当行が取引先ごとに設定している主たる業種コードをGICS(世界産業分類基準)に読み替えて分類しています。

 なお、再生可能エネルギー関連の事業は炭素関連資産に含めておりません。

2.貸出金は、2024年3月末時点において該当する法人の事業性貸出(割引手形、手形貸付、証書貸付、当座貸越)の残高としています。

 

c リスク管理

 当行では、気候関連リスクが地域経済や当行の事業、財務面に大きな影響を与える可能性のある重要なリスクであると認識しており、環境や社会に対して大きな影響を与える可能性のある事業に対しては、「特定事業等に対する融資方針」を定め、本方針に基づき適切に対応することで、環境・社会への影響を低減・回避するよう努めております。

特定事業等に対する融資方針

<環境への影響>

1 気候変動への対応

 石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする融資は、原則として取り組みません。

 発電効率など、環境への十分な配慮をともなう案件については、環境に対する影響等を総合的に勘案し、慎重に検討します。

2 環境の保全

 違法な森林伐採や生物多様性の毀損につながる開発等、環境に重大なマイナスの影響を与える可能性のある融資は、取り組みません。

 

<社会への影響>

1 人権侵害等の防止

 人身売買、児童労働または強制労働に関与する事業者に対する融資は、資金使途を問わず、取り組みません。

2 非人道的兵器の排除

 対人地雷、クラスター弾等の非人道的な兵器の製造に関与する事業者に対する融資は、資金使途を問わず、取り組みません。

 

 今後も、現在取り組んでいるシナリオ分析の高度化をはかりながら、気候関連リスクの定量的な把握に努め、統合的リスク管理の枠組みへの組み入れについて検討してまいります。

 また、シナリオ分析により認識したお客さまの気候関連リスクについては、地域やお客さまの脱炭素化への取組み支援や当行のリスク低減に向けて、お客さまとの対話(エンゲージメント)に活用してまいります。

 

d 指標と目標

〇Scope1、2

 当行グループでは、2013年度を基準として、当行グループ全体のCO2排出量(Scope1、Scope2)を2024年度50%削減、2030年度ネット・ゼロとする目標を掲げております。2023年度は、設備投資等をはじめとした省エネへの取組みにより、2013年度比の削減率は34.7%となり、順調に削減が進んでおります。

 引き続きエネルギー使用量の削減に向けて、全行をあげて省エネ化に取り組むほか、必要な設備投資を積極的に行いながら、目標達成に向けて取り組んでまいります。

 

 

<Scope1、2 実績推移>                               (t-CO2)

計測項目

2013年度

2021年度

2022年度

2023年度

実 績

実 績

実 績

実 績

 

 

CO2削減量

(2013年度比)

CO2削減率

(2013年度比)

Scope1

1,724

1,290

1,146

1,064

▲660

▲38.3%

Scope2

6,587

4,814

4,793

4,366

▲2,221

▲33.7%

Scope1-2合計

8,311

6,104

5,939

5,430

▲2,881

▲34.7%

 

〇Scope3

 当行では、サプライチェーンにおける排出量(Scope3)の把握に向けて、2023年度より次のカテゴリーを対象にCO2排出量を算定しております。今後も算定対象範囲の拡大や排出量把握の精緻化に努めてまいります。

<Scope3 カテゴリー別>                               (t-CO2)

計測項目

2023年度

Scope3

カテゴリー1

購入した製品・サービス

5,981

カテゴリー2

資本財

1,725

カテゴリー3

Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

764

カテゴリー4

輸送、配送(上流)

168

カテゴリー5

事業活動から出る廃棄物

61

カテゴリー6

出張

174

カテゴリー7

雇用者の通勤

500

カテゴリー15

投資

2,623,707

(注) Scope3の排出量は、当行単体のみを算定対象としており、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer2.6(環境省 経済産業省2024年3月)」および「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースVer3.4(環境省 経済産業省2024年3月)」を参考にして計算しております。

<Scope3 カテゴリー15>

 投融資を通じた間接的な温室効果ガス排出量は、金融機関におけるScope3の中で大きな割合を占めており、これを算定のうえ、モニタリングや削減への取組みを進めることが重要となります。当行では、2023年度よりPCAFスタンダードの計測手法を参考に、国内法人向けの融資を対象としてCO2排出量を算定しております。また、推定排出量の品質を評価するためのデータクオリティスコアは、加重平均値で約3.4となっております。

 なお、今回の算定結果については、国際的な基準の明確化や推計の高度化等により、今後大きく変化する可能性があります。

セクター

炭素強度(t-CO2/百万円)

排出量(t-CO2)

石油及びガス

1.38

86,629

電力ユーティリティ

11.62

322,850

旅客空輸

5.98

2,721

海上輸送

13.30

4,189

鉄道輸送

0.98

13,705

トラックサービス

1.61

102,805

自動車及び部品

0.29

44,311

金属・鉱業

7.67

102,497

化学

2.49

71,436

建設資材

5.29

46,467

資本財

0.41

561,781

不動産管理・開発

0.78

12,600

飲料

1.16

20,027

農業

9.05

29,042

加工食品・加工肉

0.88

110,125

製紙・林業製品

10.72

248,078

その他

0.34

844,444

合 計

 

2,623,707

(注)1.投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)は、投融資先の資金調達総額に占める当行の投融資額の割合(アトリビューション・ファクター)に投融資先の排出量を掛け合わせて計算しております。

 なお、プライム市場上場企業で自社ホームページ等において排出量を開示している場合は開示情報、それ以外の企業については推計値を使用しております。

[計算式]

  

 

2.炭素強度は、Σ取引先企業のCO2排出量/Σ取引先企業の売上高により計算しております。

 

〇サステナブルファイナンス

 当行では、環境課題や社会課題の解決ならびに持続可能な社会の実現に資する投融資をサステナブルファイナンスと定義し、2022年度から2030年度までの間に計5,000億円の実行を目指しております。2022-2023年度までの累計実施額は、1,270億円(うち、環境分野942億円)となっております。

 

 

 

 経営の基礎的要素(人的資本経営)

 当行は長きにわたって「人財」を重要な経営資本と考え、「人づくり」を第一とする企業文化を強みとしてきました。その人材育成の根幹は常に変わらず、地域やお客さまから信頼され、それに応えられる職員を組織一体で育てていくことであります。

 外部環境が急激に変化するなか、地域やお客さまの課題も多様、かつ、高度なものへと変化しております。当行では、その課題解決に貢献し続けていくために、職員の高度なスキルや専門性の習得を後押しするとともに、多様な職員がそれぞれの力を最大限発揮し、成長・活躍し続けるフィールドづくりに取り組むことで、お客さまへの価値提供と価値提供を通じた職員のエンゲージメント向上に取り組んでおります。

 現行の中期経営計画(2022-2024年度)においては、重要課題(マテリアリティ)とする①地域課題の解決、②環境課題への対応を具体的に進めていくための経営戦略として、「基盤強化戦略」と「地域価値共創戦略」を掲げており、これらの戦略を支える推進力として、「組織・人財戦略」を位置づけて対応しております。「組織・人財戦略」では、「職員一人ひとりが能力を高め、成長・活躍し続けられる組織」を目指して、経営戦略の実現に向けた高度、かつ、専門性の高い人材育成に取り組む「人財づくり」と、職員がいきいきと活躍できる職場づくりやワークライフバランス推進に取り組む「組織づくり(DE&I)」に取り組むことで、経営戦略の実現と企業価値の向上に取り組んでおります。

 

<中期経営計画(2022年度~2024年度)における人的資本に係る戦略>

 

a 人材育成方針(人財づくり)

(a)基盤強化戦略(高度・専門性の高い人材の育成)

 基盤強化戦略では、お客さまの経営課題の解決や豊かな生活の実現に向けた提案など、お客さまに価値のある営業活動の拡大をはかり、将来にわたって伴走していく「ビジネスパートナー」と「ライフパートナー」を目指しております。この計画の実現にはお客さまの多様なニーズに応えるための高度で、専門性の高いスキルが不可欠であり、この個の力(スキル)を引き上げるために、自律的な学習や計画的な人材育成サイクルを実現するツールとして「スキルマップ」を導入しております。スキルマップでは、経営戦略に紐づく目指すべきスキルと現状のスキルとのギャップやお客さまの期待に応えるために習得すべきスキルなどを可視化しております。これにより、経営戦略の実現に必要な人員数と現状のギャップを定量的に把握するとともに、研修や臨店指導、OJTによる計画的な人材育成を実現しております。

 具体的には、経営戦略の実現に資する業務スキルとして「ライフパートナースキル」、「ビジネスパートナースキル」、「融資スキル」の3つのカテゴリーに分類して職員のスキルレベルを把握し、自律的に知を獲得するための学びの場として、eラーニングや通信講座など基礎学習の機会を提供するとともに、各スキルレベル向上に資する研修の充実化をはかっております。また、より高度で専門性の高い人材を育成するため、専門資格者の養成講座を複数開講しているほか、研修受講料の一部補助、資格取得報奨金の支給などにより、意欲ある職員の専門資格の取得を奨励しております。

 

<資格保有者数>

項 目

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度目標

事業承継・M&A関連

402人

401人

394人

400人

FP1級技能士

58人

66人

67人

100人

企業経営アドバイザー

27人

36人

100人

ITパスポート

219人

300人

サステナビリティ・オフィサー

79人

200人

 

(b)地域価値共創戦略

〇企業内大学「あきぎん如学カレッジ」

 地域の持続的な発展のためには、人口減少や少子高齢化等の進展にともなう産業・就労構造の変化やその変化から生じるさまざまな課題を解決していく必要があります。当行では、地域課題を起点に地域を成長させていく分野に経営資源を投入し、地域の経済的価値と社会的価値を創造することで当行の企業価値を向上させることを目指し、地域価値共創戦略に取り組んでおります。

 この非金融分野における価値の創出には、地域課題の解決や新規事業の開拓・拡大に資する知識やスキルの獲得が必要であり、さまざまな学びに対して意欲ある職員を後押しし、多様な考え方を持つ人材を育成するため、2021年4月に企業内大学「あきぎん如学カレッジ」を開学しております。「あきぎん如学カレッジ」では、既存の業務研修とは異なる「知的財産」や「DX支援」に関する知識などさまざまなカリキュラムを用意し、地域価値共創戦略の実現に必要なスキルを高める機会をつくっております。

<あきぎん如学カレッジの実施状況>

コース名

講義内容

2022年度

2023年度

コンサルティングコース

クリティカルシンキング、コミュニケーションなど

23人

23人

知的財産経営コース

知的財産、ブランディングなど

20人

7人

FP実践コース

ライフプラン、資産形成など

17人

17人

DX支援基礎コース

基本知識、ビジネス環境の変化など

20人

〇専門人材の採用

 人口減少・高齢化社会の進展にともなう人材不足や業務効率化への対応が重要度を増すなか、デジタル化は企業競争力の重要な要素となっております。このような環境変化のなか、当行では一層の業務効率化ならびにデジタル技術を活用した新たな価値創出をはかるべく、2024年3月にDX戦略を策定のうえ、「社内変革(社内の業務効率と従業員意識が変わる)」、「ビジネス変革(お客さまをデジタルでつなぐ)」、「地域の活性化(地域のお客さまが求める情報を提供し、地域の経済循環を拡大)」の3つのフェーズに分けて段階的に取り組んでいくこととしております。DX戦略の推進には、推進基盤となるDX人材の採用・育成が不可欠となりますが、2027年度までに本部でDXを推進する専門人材10名、お客さまに価値を届けるコア人材(コンサル人材)50名の確保をKPIに掲げており、2024年度の新卒採用より「DX/IT人材コース」を新設し、DX人材の採用を行っております。同コースでは、入行時からDX戦略関連部署でキャリアをスタートすることとしており、2024年度は3名の専門人材を採用しております。

 また、県内外の民間企業や行政で活躍された人材をアドバイザーとして採用しており、食料品加工・販売、電子・デバイス、アグリビジネス、再生可能エネルギー、企業誘致など前職で培った専門的なスキルや知見、豊富な経験を活用して、専門性の高いコンサルティングを行っております。

[2024年度目標]

 年間の人材育成投資額(研修、自己啓発、設備など):120百万円

 

b 社内環境整備方針(組織づくり)

(a)DE&Iの推進

 当行では、公平な活躍の機会のもと、職員一人ひとりが自分らしい働き方やキャリアを実現し、多様な人材が「働きがい」と「働きやすさ」の備わった職場環境において能力やスキルを最大限発揮することで、お客さまへより質の高いサービスを提供し、エンゲージメントの高まりや生産性向上を実現できる組織づくりを目的としてDE&Iに取り組んでおります。2023年度には、当行が取り組むべきDE&Iの基本的な考え方を以下のとおり定め、これまで個別に推進してきた「女性活躍推進」、「ワークライフバランスの推進」、「健康経営」などの施策のほか、「コミュニケーション」、「シニア活躍」、「障がいのある方の活躍」を推進項目として追加し、DE&Iの取組みのさらなる充実をはかっております。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの基本的な考え方と目指す姿

 

1 基本的な考え方

(1)職員がいきいきと活躍できる職場づくり

 一人ひとりが誇りや働きがいを持ちながら、互いを認め、成長し合い、公平な機会のもと、いきいきと活躍できる職場環境をつくることにより、組織の活性化をはかります。

(2)ワークライフバランスの推進

 仕事とプライベート双方の充実や地域の活動等を大切にし、心身ともに健康な生活を送ることができる職場環境を整え、職員のエンゲージメントを高めます。

(3)企業価値の向上

 職員の様々な視点、知識、価値観を受け入れ、新たな価値や発想を創造し、多様化するお客さまのニーズを的確に捉えてお応えすることにより、企業価値を向上させて地域社会の発展に貢献します。

2 目指す姿

(1)DE&Iの重要性やアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)を理解し、職員一人ひとりが強みや能力を発揮している。

(2)心理的安全性が確保され、闊達なコミュニケーションにより、チームへの貢献・感謝の意識が醸成されている。

(3)様々な視点・考え方による意見が汲み上げられることで新たな気づきや発想が生まれ、多様化するお客さまのニーズに応えることにより収益が向上し、職員一人ひとりのエンゲージメントが向上している。

 

ア 主な施策

〇女性活躍推進

 女性職員一人ひとりが能力をより一層発揮できるよう、仕事と子育てを両立できる体制の整備や休暇制度の充実などを段階的に進めているほか、キャリア形成を目指す職員同士がつながりを持つことができる機会を拡充しております。2023年度からは、自店以外の職員との意見交換やコミュニケーション機会を提供するワークショップ「Chatomo(チャットモ)」を定期的に開催しており、同じ立場や業務を担う女性職員同士の横のつながり、情報や悩みの共有などにより、各自のモチベーションやパフォーマンス向上をはかっております。

〇ワークライフバランスの実現

 職員がキャリアを継続しながらそれぞれのライフイベントに対応できる柔軟な働き方を支援するため、休暇休職制度の充実に努めております。2022年10月からは、育児休業からの早期復職を希望する職員が、自身の体調管理や子の養育に十分な時間を確保しながら働くことができるよう、短時間勤務および週休3日制を柱とする「育児休業早期復職支援制度」を新設したほか、男性職員の柔軟な育児休業の取得をサポートするため「産後パパ育休」制度(全期間有給)の導入も行っております。

〇1on1ミーティング

 職員一人ひとりの自律的成長の支援および働きがい・エンゲージメントの向上を目的として、上司と部下による1on1ミーティングを全行員を対象に毎月実施しており、キャリアビジョンの共有による成長支援や信頼関係構築による心理的安全性の確保につなげております。

 

イ 指標と目標

主な施策

項 目

2022年度

2023年度

2024年度目標

女性活躍推進

女性管理職層比率

5.3%

7.7%

10.0%以上

女性監督職層比率

28.0%

30.6%

30.0%以上

障がいのある方の雇用推進

障がいのある方の雇用率

2.45%

2.49%

2.50%以上

ワークライフバランス

男性行員の育児休業取得率

118.2%

92.3%

100.0%

女性行員の育児休業取得率

82.8%

138.9%

100.0%

月間平均時間外労働時間

6.8時間

7.5時間

6.7時間

年間有給休暇取得率

52.4%

55.9%

60.0%以上

(注)1.当行グループにおいて「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表をしている連結子会社はなく、また、取り組む施策や連結子会社の当行グループ全体に占める従業員割合(4.53%)も考慮して、当行単体のみを算定の対象としております。

2.育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

 なお、過年度に出産した従業員または配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。

 

(b)健康経営の取組み

 当行の持続的な成長を支える最も重要な経営資本は「人材」であり、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、やりがいや成長を感じながら挑戦し続ける環境づくりを重要な経営課題の一つに位置付けております。従業員およびその家族が心身ともに健康であることは、働きがいやエンゲージメントの向上につながり、ひいては当行および地域社会の持続的な発展にもつがっていくものと考えます。

 当行では、2017年10月に健康経営推進の基本方針として「あきぎん“長活き”健康宣言」を制定しており、役職員の健康意識の醸成を促進し、各種健診の継続実施や食生活の改善、運動習慣の定着などへの取組みのほか、社会全体で健康長寿を実現する取組みとして健康経営に取り組む地域企業や従業員の方への優遇商品の提供など地域の健康推進に資する活動を進めています。

 

<あきぎん“長活き”健康宣言>

 秋田銀行は、役職員の健康を重要な経営資源としてとらえ、組織活力および生産性向上に向けて、役職員および家族の健康増進と活き活きとした働きやすい職場づくりへの取組みを一層推進していきます。

 また、秋田県における、健康長寿社会の実現に向けた取組みを社会全体で支援する環境整備に貢献いたします。

 

ア 主な取組み

〇 からだ

・定期健診、二次検査、特定保健指導の完全実施

・聖霊女子短期大学との連携協定(栄養学の研究成果を活用した健康サポートメニューを社員食堂で提供)

・ウォーキングコンテストの実施

・歯科検診、インフルエンザ予防接種費用の補助

〇 こころ

・ストレスチェックの継続実施によるメンタル不調の予防

・メンタルヘルスセミナーの継続開催

・人事部臨店面談の実施

・メンタル不調者の職場復帰支援(メンタルヘルス相談室)

イ 指標と目標

項 目

2022年度

2023年度

2024年度目標

高ストレス者割合

10.2%

9.3%

9.5%以下

特定検診受診率

93.1%

93.3%

特定保健指導実施率

49.5%

74.3%

 

(c)働き方改革(休暇・休職制度など)への取組み

導入・新設時期

内 容

備 考

2020年9月

スキルアップ休職制度の新設

 職務遂行、組織力向上に資する資格の取得を目的とした休職制度

2021年10月

ライフサポート休職制度の新設

 不妊治療や親族の看護、介護のために利用できる最大1年間の無給休職制度

2022年10月

育児休業早期復職支援制度の新設

 育児休業からの早期復職を希望する職員に対する「実働4時間を限度とする短時間勤務」および「週休3日制」を選択できる制度

2022年10月

産後パパ育休制度の新設

 子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)育休を取得可能な制度

2023年4月

時間単位の普通休暇

 職員の柔軟な働き方、休暇取得促進等を目的とした時間単位の普通休暇制度

 

 

〇ファイナンシャル・ウェルネス

 従業員が心身ともに健康な生活を送ることができる職場環境を整備するためには、健康増進に加えて経済的な安定を支援する「ファイナンシャル・ウェルネス」も重要であると考えております。当行では、2022年度に持株会の活性化による従業員の安定的な財産形成を促進することを目的として「従業員持株会信託型ESOP」を導入したほか、持株会の奨励金支給額および支給上限口数の引き上げも実施しております。また、確定拠出年金については、全員加入型の選択制確定拠出年金を活用し、個人の選択による掛金の拡大を可能とするなど、従業員の資産形成を支援し、従業員の経済的な不安を取り除き、安心して業務に取り組むことができる環境整備を進めております。