2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,102名(単体) 8,380名(連結)
  • 平均年齢
    40.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.0年(単体)
  • 平均年収
    10,076,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

カスタマーソリューション

2,419

(749)

海外地域

4,105

(277)

環境エネルギー

172

(39)

航空

241

(13)

ロジスティクス

179

(1)

不動産

239

(69)

モビリティ

292

(85)

全社(共通)

733

(103)

合計

8,380

(1,336)

(注)1.従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員です。

2.従業員数欄の( )内は、臨時従業員の当連結会計年度の平均雇用人員を外数で記載しています。

3.臨時従業員数は、パートタイマー、派遣社員および嘱託契約の従業員を含みます。

4.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定セグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,102

(256)

40.5

15年

3カ月

10,076

 

セグメントの名称

従業員数(人)

カスタマーソリューション

1,117

(129)

海外地域

43

(8)

環境エネルギー

76

(3)

航空

44

(5)

ロジスティクス

26

(1)

不動産

48

(3)

モビリティ

24

(4)

全社(共通)

724

(103)

合計

2,102

(256)

(注)1.従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員です。

2.従業員数欄の( )内は、臨時従業員の当事業年度の平均雇用人員を外数で記載しています。

3.臨時従業員数は、パートタイマー、派遣社員および嘱託契約の従業員を含みます。

4.平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含みます。

5.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定セグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

(3)労働組合の状況

 一部の連結子会社において労働組合があります。
 なお、労使関係について特記すべき事項はありません。

 

(4)多様性に関する情報

① ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン&ビロンギングの推進に係る取り組み

 当社グループのさらなる事業領域の拡大とグローバル展開に向けて、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンにビロンギングを加えたDEIBの推進を重要な経営戦略の一つに位置づけています。

ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン&ビロンギング(DEIB)

Diversity(ダイバーシティ)            Equity(エクイティ)

 国籍、年齢、性別、性的志向、性自認、人種、     不公平や障壁の解消、公平な機会提供の実現

 障がいの有無、価値観等の多様な人材が存在

 している状態

Inclusion(インクルージョン)           Belonging(ビロンギング)

 多様性が尊重され、能力を認め合い、能力が      個人が組織の一員と感じる実感。やりがいと

 発揮されている状態                 誇り、向上心を持ち、成長できること

基本的な考え方

 多様な人材が互いを活かし合い、個々の意欲と能力を最大限に発揮できる環境をつくることで、個人が組織の一員としてやりがいと誇り、向上心を持ち、新たな価値を創造する活力ある組織風土を醸成する。

経営メッセージ

 三菱HCキャピタルでは、当社グループのさらなる事業領域の拡大とグローバル展開に向けて、DEIB推進を重要な経営戦略の一つに位置づけ、さまざまな知識、経験、属性などを持つ人材が集結して互いを活かし合い、個々の意欲と能力を最大限に発揮できる環境づくりをめざします。

 多様な人材が力を発揮し組織の一員として成長を実感できる職場環境を実現するため、当社では国籍、年齢、性別、性的指向、性自認、人種、障がいの有無などにとらわれず人材を採用、登用し、個々の特性に応じたキャリア形成の支援、さまざまな働き方に対応できる支援制度の充実、社内風土の醸成を行い、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン&ビロンギングをより一層推進してまいります。

 

三菱HCキャピタル株式会社 代表取締役 社長執行役員 久井 大樹

 

 

 

② 提出会社および連結子会社の多様性に関する各指標の実績

提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の

割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)2、3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1、4

全労働者

うち、

正規雇用労働者

うち、

パート・有期労働者

18.3

81.7

66.7

64.9

64.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3.三菱HCキャピタル㈱における雇用管理区分ごとの男性労働者の育児休業取得率は、以下のとおりです。「※」は育児休業取得の対象となる男性労働者がいないことを示しています。

総合職

81.7%

ビジネスプロフェッショナル職

  ※

ビジネスアソシエイト職

  ※

4.賃金は、職務、ポストに応じて同一の基準を適用しています。同一職務、同一ポストにおける男女の賃金に差異はありません。職種別採用や就業継続年数などにより男女の平均賃金に差異が生じています。引き続き女性の長期就業の促進、女性のキャリア形成に対する支援や積極的な登用を図っていきます。

連結子会社(注)1

当連結会計年度

名称

管理職に占める

女性労働者の

割合(%)

(注)2

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2、4

全労働者

うち、

正規雇用

労働者

うち、

パート・

有期労働者

三菱HCビジネスリース㈱

12.8

33.3

65.2

67.3

62.6

三菱HCキャピタルITパートナーズ㈱

22.7

該当無し

72.6

72.6

該当無し

MHCトリプルウィン㈱(注)5

5.9

三菱HCキャピタル債権回収㈱(注)5

31.3

㈱日医リース

12.5

25.0

70.9

71.3

62.4

MHC環境ソリューションズ㈱

4.2

100.0

65.9

91.3

84.8

(注)1.連結子会社については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)が定める常時雇用する労働者が101名以上の国内連結子会社を対象に、同法に基づき公表、もしくは直近で公表予定の指標を開示の対象としています。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

4.賃金は、職務、ポストに応じて同一の基準を適用しています。同一職務、同一ポストにおける男女の賃金に差異はありません。職種別採用や就業継続年数などにより男女の平均賃金に差異が生じています。引き続き女性の長期就業の促進、女性のキャリア形成に対する支援や積極的な登用を図っていきます。

5.MHCトリプルウィン㈱および三菱HCキャピタル債権回収㈱は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)が定める常時雇用する労働者が301名以上の国内連結子会社に該当しないため、当該情報を「-」としています。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)サステナビリティについての基本的な考え方

 当社は、地球環境の保護や人権の尊重、多様性への対応など、サステナビリティへの取り組みは企業が担うべき重要な社会的責任と考えており、今後、企業が存続していくためには、環境・社会・経済の視点で、課題解決に向けた事業活動に取り組み、ステークホルダーからの信頼を獲得しつつ、長期的な成長をめざすことが必要になると考えています。

 

(2)マテリアリティ(重要課題)

 当社は、当社グループが持続的に成長するうえで優先的に取り組むべきテーマとして、以下の6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しています。

 近年における温暖化による気候変動、人口増加、都市化、資源不足といった地球規模のメガトレンドを背景に、私たちの生活や社会環境はグローバルに大きく変化しており、企業には、脱炭素社会の推進や循環型経済の構築など、多くの課題解決に向けた取り組みが求められています。

 当社グループにおいては、マテリアリティの重要性を認識したうえで、課題解決に向けた実効性のある経営、事業活動に取り組んでいます。

当社グループのマテリアリティ

マテリアリティ

重要性が高いと考える背景

SDGsとの関係

脱炭素社会の推進

・脱炭素社会の実現に向けた取り組みは、喫緊の課題として世界的に認知されており、再生可能エネルギー投資、EV化の促進などの成長・有力分野における当社グループの貢献の余地は大きい。

・この社会的課題の解決に逆行する取り組みの峻別などは事業面における影響も大きく、重要性が高い。

 

 

 

サーキュラー

エコノミーの実現

・自社ならびに社会における廃棄を減らすこと、アセットの新たな価値を最大限に活用し循環型社会に貢献することは、リース業界のリーディングカンパニーとして、その重要性が高い。

・パートナーとの連携を強化することで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献できる。

 

 

 

 

 

 

 

強靭な

社会インフラの構築

・修繕期や再構築期を迎えている国内インフラの整備や、さまざまなパートナーと協業する海外のインフラ支援の積極的な展開、スマートシティの構築は、多くの機会を有する領域。

・企業間の連携を支援する仕組みの構築、サービスの提供により、その事業の多様化や高度化、効率化に貢献できる。

 

 

 

健康で豊かな

生活の実現

・当社グループを取り巻く多くのステークホルダーの健康および安全・安心・文化的な生活の保全に関わるサービスの創出と提供は、豊かな未来の実現に向けてその重要性が高い。

・企業活動における価値と信頼の源泉は人材であり、従業員のモチベーション向上、優秀な人材の獲得などもその意義は大きい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マテリアリティ

重要性が高いと考える背景

SDGsとの関係

最新技術を駆使した

事業の創出

・お客さまのDX推進におけるファイナンスニーズを捉え、自社のテクノロジーやデジタル技術の利活用によりその解決を図ることで新たな事業モデルの開発を促進する。

・代替エネルギーの利活用にともなうサプライチェーンの構築も含めて、多様性と新規性を兼ね備えた事業創出の機会として重要性が高い。

 

 

 

世界各地との共生

・国や地域により抱えている社会的課題は異なることから、地域密着で独自のニーズを捉え、各国・地域のパートナーとの協業などをもってその解決を図ることの意義は大きい。

・当社グループの総合力を発揮することで、ともに成長する社会を実現できる。

 

 

 

※マテリアリティの特定プロセスは、以下をご参照ください。

(当社ホームページ マテリアリティ(重要課題))

https://www.mitsubishi-hc-capital.com/sustainability/materiality.html

 

 

(3)サステナビリティの基本方針

 当社ではお客さまやパートナー企業とともにアセットの潜在力を最大限に引き出し社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献していくことを当社のありたい姿として「経営理念」に掲げ、それを実現するために「経営ビジョン」を定めています。この経営理念、経営ビジョン、さらには、特定されたマテリアリティを一体とした姿勢こそが、当社グループの「サステナビリティの基本方針」となります。

 特に当社のマテリアリティのひとつとして掲げる「脱炭素社会の推進」に関連する気候変動への取り組みおよびマテリアリティの解決を実現する人的資本に関する取り組みについて適切な情報開示を推進しています。

マテリアリティと経営理念・経営ビジョンの関係性

 

(4)気候変動への取り組み

 気候変動問題は、持続可能な社会を実現するために解決すべき重要な課題です。当社グループは、今後、企業が存続していくためには、事業活動を通じてその課題解決に取り組むことが必要になると考えています。また、適切な情報開示により、ステークホルダーからの信頼を獲得することの重要性を認識しており、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しています。

 

TCFD提言が推奨する4つの開示項目に沿った情報開示

① ガバナンス

 持続可能で豊かな未来に貢献する存在となるべく、当社は経営会議の諮問委員会の1つとして「サステナビリティ委員会」を設置しています。当委員会は、気候変動問題をはじめサステナビリティに関連する重要課題を審議し、その結果を経営会議ならびに取締役会に報告しています。当社は「脱炭素社会の推進」を含むマテリアリティをサステナビリティ委員会、経営会議の審議を経て、取締役会決議により特定しており、取締役会は後述の「④指標および目標」で掲げる環境目標の進捗状況を監督していきます。今後、次期中期経営計画の策定の中で環境目標の達成状況を役員報酬と連動させる仕組みを検討する等、カーボンニュートラル社会の実現に向けてガバナンスを強化していきます。

 

② リスク管理

 脱炭素社会への移行にともなう規制変更や技術革新、ビジネスモデルの転換、または地球温暖化にともなう異常気象等は、業績悪化等による取引先の経営破綻、当社グループが保有するアセットの価値下落等、経営成績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、気候変動リスクを全社的なリスク管理における重要なリスクの一つとして認識しており、リスクを特定・評価・管理するとともに、ビジネスの機会を捉え、脱炭素社会の実現に貢献します。

a. リスクマネジメント態勢の概要

 当社グループは、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事業等のリスクを総合的に管理しています。管理している重要なリスクには、信用リスク、アセットリスク、投資リスク、市場リスク、資金流動性リスク、カントリーリスク、オペレーショナルリスク等があります。

 考えられるリスク要因を管理対象に、各リスクの所管部門が外部環境の変化等による課題を把握し、定期的にこれらのリスクへの対策を検討のうえ、リスク管理委員会をはじめとした各委員会にて報告・審議しています。また、重要事項は経営会議・取締役会にて報告・審議する管理態勢としています。

 

b. 気候変動リスクの分類、影響事例

 気候変動リスクには、気候関連の規制強化・技術革新等にともなう移行リスク、異常気象や気候の変化にともなう物理的リスクがあります。TCFD提言ではそれぞれを政策と法・テクノロジー・市場・評判、急性的・慢性的のサブカテゴリーに分類し、影響事例を示しています。

 当社グループでは、気候変動リスクは、信用リスクやアセットリスク、投資リスク等といった既存のリスクを含む幅広い波及経路を通して、短・中・長期とさまざまな時間軸のなかで影響が発現するものと捉えています。

 また、当社グループの事業活動に対する直接的な影響に加えて、当社グループの顧客を通した間接的な影響の発現も想定されます。

 こうしたリスク特性とTCFD提言の内容を踏まえたうえで、当社グループのリスク管理の枠組みも考慮し、気候変動リスクの影響事例を当社グループの主要なリスクごとに整理しています。統合リスク管理態勢のもと、気候変動リスクもその他の主要リスクとの関係性を踏まえて、リスクを特定・評価、管理する体制の構築を進めています。

 今後、リスク分類や影響事例は、外部環境の変化、気候変動リスクに対する分析・評価の深化に応じて、その見直しを行っていきます。

 

c. 全体的なリスクマネジメントへの統合状況

 気候変動リスクによるその他の主要なリスクへのさまざまな影響は、リスク管理委員会にて報告・審議する態勢としています。シナリオ分析を通して判明したリスクも含めて、モニタリング体制を構築する等、リスク管理全体への統合を進めていきます。また、気候変動に関する目標・計画策定、モニタリング内容は、サステナビリティ委員会にて報告・審議する態勢としています。両委員会の審議内容は取締役会の監督体制のもと、当社グループの経営戦略全体に反映し、リスクマネジメント全体、個別リスク双方の観点から適切に対応できる態勢としています。

 

③ 戦略

 当社は、将来の気候変動が当社グループの事業に及ぼすリスクと機会を把握するとともに、適切な情報開示や今後の施策の検討を目的に、「移行リスク」および「物理的リスク」に関するシナリオ分析を行っています。

 なお、シナリオ分析は、現時点で得られる限定的な情報やデータをもとに分析したものです。分析結果を慎重に精査し、ステークホルダーとの対話を通じて、引き続きより多くの情報と関連データを入手し、分析手法の改良や分析対象事業の拡大を図ることで、適切な開示に努めていきます。

 

a. シナリオ分析の概要

移行リスク分析の概要

対象セクターおよび

主要セグメント

対象セクター(業種)

主要セグメント

エネルギー

(石油、ガス、石炭、電力会社)

環境エネルギー

運輸(航空貨物輸送、航空旅客輸送)

航空

素材、建築物(不動産管理、開発)

不動産

当社グループセグメントのうち、「カスタマーソリューション」は、日本国内を拠点とし、法人・官公庁向けファイナンスソリューション、ベンダーと提携した販売金融、不動産リース、金融サービス等、対象セクターを横断した事業活動を行っていることから分析対象セグメントに含めた。

一方で、「海外カスタマー」は、欧州、米州等海外グループ会社の事業拠点が複数に跨り、分析負荷が高いことから対象外とした。

シナリオ

国際エネルギー機関(IEA)が公表しているNet Zero Emissions by 2050 Scenario(NZEシナリオ)およびStated Policies Scenario(STEPSシナリオ)

分析方法

対象セクターにおける脱炭素社会に向けた機会とリスクを特定し、事業影響を評価(定性分析)

物理的リスク分析の概要

分析対象

環境エネルギー事業本部、不動産事業本部、および当社グループの事業所、支店が保有する事業用資産

シナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表しているShared Socioeconomic Pathways(SSP5-8.5)

分析方法

事業用資産の所在地で起こり得る異常気象、気候の変化が及ぼす事業影響を評価(定性分析)

 

b. シナリオ分析結果

 シナリオ分析対象セグメントである、環境エネルギー、航空、不動産、カスタマーソリューションを所管する各本部および全社のリスク管理所管部署であるリスクマネジメント統括部と気候変動が及ぼす当社グループの事業影響に関する議論を行い、シナリオ分析結果と既存戦略方針との整合性を確認しました。

 当社グループは、気候変動に関するリスクと機会について、短期ないし長期にわたる対応策を講じることにより、リスクの最小化および機会の最大化を図っています。移行リスク分析の結果としては、再生可能エネルギーの拡大(環境エネルギー)、高燃費航空機・エンジン等ならびにSAFや水素等の低炭素燃料への移行(航空)、低炭素建物の需要拡大(不動産)等に関連するリスクと機会に適切に対処する必要性が認識されています。また、物理的リスク分析の結果としては、発電所の被災、太陽光パネル等発電設備の劣化(環境エネルギー)、自然災害の激甚化による不動産価値の毀損、建築・運営費用・改修費用の増加(不動産)、当社グループ事業所の被災や運営費用・保険費用の増加等のリスクが想定されています。

 気候変動リスクに対しては、適切な対応策を策定する一方、気候変動による機会は、事業機会の獲得を戦略に織り込んでいます。なお、気候変動関連の指標を設定し、国内外における関連動向および当社グループの取り組み状況を定期的にモニタリングする体制を整備しています。

 

④ 指標および目標

 当社グループは、脱炭素社会の実現を喫緊の課題と認識し、国の政策目標や10年後のありたい姿等から当社グループのあるべき姿を定めました。そして、そのあるべき姿から逆算して環境目標を設定しました。これを契機として、「脱炭素社会の推進」をより重要な機会と捉え、積極的に推進しています。なお、将来的に新規事業の取り組み等により温室効果ガス排出量が大幅に増加した場合、あるいは、サプライチェーンを含めたグループ全体の温室効果ガス排出量算定を高度化するなかで数値の変動が生じる場合等においては、適宜目標設定を見直す可能性はありますが、いずれも現在設定している目標と同様に、国の政策目標等の水準に沿うよう設定する予定です。

a. 当社グループの環境目標

指標

2030年度目標

2023年度実績※2

当社グループの温室効果ガス排出量

(Scope1・2)※1

5,081tCO2e

(2019年度比△55%)

6,574tCO2e

(2019年度比△42%)

※1 当社グループの温室効果ガス排出量(Scope3)に関する目標は、以下をご参照ください。

(当社ホームページ カーボンニュートラル社会の実現に向けた移行計画)

https://www.mitsubishi-hc-capital.com/pdf/sustainability/environment/transition_plan/transition_plan2025060601.pdf

※2 2024年度実績は、集計中です。

 

b. 今後の取り組み

 当社グループは、「脱炭素社会の推進」の実効性をさらに高めるべく、Scope1,2の目標設定以降の取り組みや進捗に加え、Scope3の中間目標達成に向けたプロセスをまとめ、「カーボンニュートラル社会の実現に向けた移行計画」を策定しました。本取り組みおよびその高度化を通じて、サプライチェーンを含めた2050年カーボンニュートラル社会の実現をめざしていきます。

 

(5)人権に関する取り組み

① 人権に関する基本的な考え方

 当社グループでは、倫理綱領・行動規範で「人権および環境の尊重」を掲げ、行動規範の「人権の尊重」においては、「人間性の尊重という基本精神に立ち、性別、性的指向、年齢、国籍、人種、民族、思想、信条、宗教、社会的身分、門地、疾病、障がいなどによる差別や人権侵害を行いません。」と宣言しています。

 また、「世界人権宣言」「国際人権章典規約(自由権規約、社会権規約)」「国連グローバル・コンパクトの10原則」「OECD責任ある企業行動に関する多国籍企業行動指針」「ビジネスと人権に関する指導原則(ラギー・フレームワーク)」「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」「子どもの権利とビジネス原則」など、人権、労働、環境、腐敗防止などに関する国際的規範の考え方を尊重、支持しています。これらの人権に関する基本的な考え方のもと、すべてのステークホルダーの人権尊重に努めます。
 

当社グループの人権方針は、以下をご参照ください。

 (当社ホームページ 人権方針)

https://www.mitsubishi-hc-capital.com/pdf/sustainability/various_policies/human_rights_policy.pdf

 

② 人権デュー・ディリジェンスの取り組み

 当社グループは、2023年度に人権デュー・ディリジェンスの運用を開始しました。これは、2022年度に全社横断的な「人権対応プロジェクト」を立ち上げ、およそ1年間にわたって議論を重ね制度設計を行ったものです。その後、2024年度にも対象とする取引種類を追加し取り組み範囲を拡大しました。引き続き営業部門をはじめとする現場の意見を反映し、外部専門家との意見交換を行いながら、改善・強化を図っています。
 

 

③ 人権に関する相談・通報への対応(苦情処理メカニズム)

 当社グループは、社員の人権に関する相談を、内部通報制度である「コンプライアンス・ホットライン」や「セクハラ・マタハラ・SOGIハラ等ホットライン」にて受け付けています。

  社外からの相談は、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)が提供する「対話救済プラットフォーム」を活用した複数言語対応の人権通報窓口を設置し、すべてのステークホルダーからの人権に関するご相談やお問い合わせ等を受け付けています。本窓口では通報者の保護に十分配慮し、匿名での申告も受け付けることを明記しています。

 

(6)人的資本に関する取り組み

① 戦略の方向性

 当社グループは、人的資本を蓄積し活用することが、「経営の基本方針」や「経営の中長期的方向性」の実現を通じて企業価値を向上させるうえでの重要課題と認識しています。なかでも、「経営の中長期的方向性」に示した「SX」「DX」と「事業ポートフォリオ変革」を実現し、当社グループが目標とする経営指標を達成するために、質・量ともに必要な人的資本を蓄積・活用していきます。

② 中長期的に成し遂げたいテーマと取り組み内容

 人的資本の蓄積・活用に当たり、中長期的に成し遂げたいこととして、「人材ポートフォリオの充足」と「MHCエンゲージメントの維持・向上」の2つのテーマを掲げています。これらを成し遂げるために、「人材マネジメント基盤の再構築」「MHCエンゲージメントの維持・向上の仕組み化」の2点を優先的に取り組んでいます。

※“従業員が一丸となって価値創造に取り組んでいる状態”をMHCエンゲージメントが高い状態と定義

 (MHC = 三菱HCキャピタル)

a. 人材ポートフォリオの充足

取り組み方針

当社グループの戦略実現に資する人材(質・量)の確保・育成

・「経営の中長期的方向性」の実現に必要な人材の質と量を定義し、人材ポートフォリオを可視化。

・必要な人材と現状の人材のギャップを質・量の観点から把握し、ギャップを埋めるための施策を実施。

指標および目標

(2025年度決算発表時頃に公表予定)

2024年度取り組み内容と実績

人材マネジメント基盤の再構築

・「経営の中長期的方向性」実現のうえで必要とされる職務を定義。

・定義した職務ごとに人材要件を定め可視化。

・アセスメントなどの実施による人材情報(経験・スキル・コンピテンシー)の把握と可視化。

 

 

b. MHCエンゲージメントの維持・向上

取り組み方針

MHCエンゲージメントを構成する3要素の維持・向上

MHCエンゲージメントの定義

当社グループでは、“従業員が一丸となって価値創造に取り組んでいる状態”をMHCエンゲージメントが高い状態と定義しています。MHCエンゲージメントは行動の程度を示す「自発性」・「多様性」とそれらに影響を与える「職場環境」の3つの要素から構成されています。

 

指標および目標

自発性、多様性スコアがいずれも67pt(回答者の3人のうち2人が肯定的に回答)以上を「良好な状態」、いずれも50pt(回答者の半数が肯定的に回答)以上を「概ね良好な状態」とし、「良好な状態」または「概ね良好な状態」にある組織は“従業員が一丸となって価値創造に取り組んでいる状態”にあると評価。

MHCエンゲージメントの維持・向上をめざし、「良好な状態」または「概ね良好な状態」にある組織の割合を持続的に高い水準で保つための取り組みを推進。

2024年度取り組み内容と実績

取り組み内容

MHCエンゲージメントの維持・向上の仕組み化

・エンゲージメントサーベイの設問を見直すなど高度化。

・サーベイ結果を指数化。

 

実績

  「良好な状態」または「概ね良好な状態」である組織は全体の75%(単体)