リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、可能な限り発生の回避に努め、また、発生した場合の的確な対応に努めます。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)持株会社固有のリスクについて
純粋持株会社である当社の収入は、原則として当社が直接保有している子会社からの受取配当金に依存しております。当該子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が継続した場合には、当社における分配可能額が減少し、当社株主への配当の支払いが不可能となる可能性があります。
(2)証券関連事業固有のリスクについて
① 競合について
金融商品取引業は、対面専業証券やインターネット取引専業証券に加え、異業種やフィンテックベンチャーの参入により競争環境は今後も激化することが予想されます。これにより、競争優位性が維持できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。
② 取引注文の執行について
証券業務における受託業務及び自己売買業務に係る取引は、国内外の金融商品取引所において行われております。金融商品取引所がシステム障害等の理由により、証券市場及び外国為替市場における取引を中断または停止した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。
③ 事業に係る法的規制等について
あかつき証券㈱は証券業を営むにあたり、内閣総理大臣に登録を受けるとともに、自主規制機関である日本証券業協会に加入しております。このため、同社は、金融商品取引法その他の法令のほか、日本証券業協会規則の規制に服しており、その内容を遵守しているか否かについて定期的な検査等を受ける立場にあります。この検査等により、法令諸規則違反を指摘され、行政処分を受けるに至った場合、同社の信用力の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は同社の親会社として金融商品取引法に定める主要株主に該当するため一定の規制を受けており、当社自身に重要な法令違反があった場合には、当社が「主要株主でなくなるための措置」を受けるなど、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 自己の計算による取引に係るリスクについて
投資収益を確保するため、また顧客のニーズに応えるため、自己の計算において国内外の株式・債券・為替及びそれらの派生商品などの金融資産を保有することがあります。これらの金融資産は金利や市場価格変動リスク等に晒されており、急激な変動により期待した投資収益を獲得できなかった場合や金融資産の価値が大きく変動した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 顧客に対する与信について
あかつき証券㈱が取り扱う信用取引及び先物・オプション取引では、顧客に対する信用供与が発生し、株式市況の変動によっては顧客に対する信用リスクが顕在化する可能性があります。
(3)不動産関連事業固有のリスクについて
① 業務のリスクについて
不動産関連事業につきましても、国内外の経済情勢、税制その他の法的規制、金利動向、相場動向等に大きく影響を受けており、これらの影響により不動産市場の低迷などが起こった場合、受託資産及び取引仲介業務の減少や購買者の購入意欲の減退により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業に係る法的規制等について
㈱マイプレイス、㈱バウテックグループ及び㈱マイプランナー(以下「バウテックグループ等」といいます。)は、中古不動産の再生・リノべーション事業を営むにあたり、宅地建物取引業法その他の関係法令により規制を受けており、これらの法律等の改廃または新たな法的規制が今後生じた場合には、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、事業活動の継続には宅地建物取引業者免許等の許認可が前提となりますが、将来何らかの理由により、監督官庁より業務停止や免許取消し等の処分を受けた場合、同社の信用力の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。
EWアセットマネジメント㈱は、アセットマネジメント業務を営むにあたり、内閣総理大臣に登録し規制を受けております。同社は、金融商品取引法その他の関係法令の他、加入協会の規制に服しており、その内容を遵守しているか否かにつき定期的な検査等を受ける立場にあります。この検査等により、法令諸規則違反を指摘され、行政処分を受けるに至った場合、同社の信用力の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合及び価格競争について
バウテックグループ等の主な営業エリアである首都圏においては競合他社との競争が激化していることから、仕入件数あるいは販売件数が減少した場合、物件の仕入価格の上昇あるいは販売価格の下落により採算が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 在庫リスクについて
バウテックグループ等の中古マンション事業において、仕入れからリノベーションを施し売却するまでの期間が長期になる可能性があり、その間に不動産の市場価格が下落した場合には、棚卸資産の評価損や売却損が発生すること等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 契約不適合責任について
不動産売買契約において、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合に、民法と宅地建物取引業法の規定により、売主である当社グループが買主に対して契約不適合責任を負うことがあります。その結果、買主より契約解除や修補の請求、損害賠償の請求、代金減額請求などが生じることにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)優秀な人材の確保や育成について
当社グループの将来の成長と成功は、有能な人材に大きく依存するため、優れた人材の確保と育成は当社グループの発展には重要であり、優秀な人材の確保または育成ができなかった場合は、当社グループの将来の展望、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
一方、優秀な人材の積極的な確保は人件費の押し上げ要因にもなり、また、採用活動に関するコストも年々増加傾向にあることから、採用活動費も増加する可能性があります。これらのコストの増加は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼすことがあります。
(5)システム・リスクについて
当社グループの業務遂行において、障害や不慮の災害によりコンピューター・システムが停止した場合、或いは外部からの不正アクセスによるデータの改竄等により業務を正常に行えなくなった場合、損害賠償の請求や社会的信用の悪化等を通じて当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、コンピューター・システムの取得・構築にかかる多額の投資を行った場合、当該投資により発生する償却コスト及び維持・運営コストも業績に影響する要因となります。
(6)オペレーショナル・リスクについて
当社グループの業務遂行において、法令や当社グループの定款、業務規程その他の諸規則等に定められた業務処理プロセスが正常に機能しない場合や役職員等による業務遂行上の過誤等が発生した場合、損害賠償の請求や社会的信用の悪化等を通じて当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法令遵守に関するリスクについて
当社グループは、法令遵守に係る問題につきグループ全体の内部統制の整備を図り、より充実した内部管理体制を目指して努力するとともに、役職員の教育・研修等の徹底を通じ、その啓蒙を図っております。しかしながら、当社グループの事業は、役職員の活動を通じて執行されており、そのプロセスに関与する役職員の故意または過失により法令に違反する行為がなされる可能性があります。内部統制の整備やコンプライアンス教育等は役職員の違法行為を未然に防止するための有効な方策ではありますが、違法行為のすべてを排除することを保証するものではありません。意図的な違法行為は総じて周到に隠蔽行為がなされ、長期間にわたって発覚しないケースもあり、将来において当社グループの業績に影響を与えるような損害賠償を求められる事案が生じる可能性があります。また、当社グループは大量の顧客情報を保有しており、その取扱いには万全のセキュリティ体制を敷いておりますが、不正行為等により、顧客情報が外部に流出する可能性もあり、当社グループの信用の失墜を招くおそれがあります。
法令遵守上の問題が発生し社会的信用が悪化すると、お客様との取引の減少や発注停止等に繋がり、グループ全体の業績に影響を及ぼす事態が生じる可能性があります。
(8)投資資産に係るリスクについて
投資収益を確保するため、当社グループでは有価証券及び不動産投資を行う場合があります。これら投資資産は市場価格変動リスクに晒されており、金融・不動産市場の変化や投資対象物件を取り巻く事業環境・社会状況の変化により、資産価格が下落した場合には、評価損や売却損が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)資金調達に係るリスクについて
当社グループは、金融機関からの借り入れや社債の発行などにより事業展開に必要な資金を調達しております。当社グループの業績や財務状況の悪化、信用力の低下や風説・風評の流布等が発生した場合、あるいは国内外の景気悪化や金融市場の混乱等により資金調達市場そのものが縮小した場合には、通常より高い金利による資金調達を余儀なくされる、あるいは必要な資金を確保できず資金繰りが困難になる可能性があります。その結果、資金調達コストが増加すること等により、当社グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)訴訟について
当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟・紛争・その他の法律的手続きの対象となる場合があり、将来、重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11)災害等によるリスク
地震、火災等の災害により、当社グループの業務体制に支障が生じたり、役職員が被害を受けた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)投資活動について
当社グループでは、主要グループ会社の取り組みとして、あかつき証券㈱においては預り資産拡大と顧客サービスの高度化の継続、バウテックグループ等においては仕入体制及び財務の強化、EWアセットマネジメント㈱においては同社が運営するファンドが保有する資産の売却の検討や新たな成長戦略の策定を進めており、これらの取り組みの中で、資本提携、子会社の設立及びファンド等への出資など積極的に投資活動を行う予定であります。当該投資活動により当社グループが当初想定していた計画が達成されず、投資に見合うリターンが計上できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、以下の基本方針のもと株主還元を行うものとしております。
配当支払いについて、安全配当の観点から、財務の健全性と事業資金の確保に支障を来たさない限りにおいて、連結純資産配当率(DOE)*で年間4%の水準を維持し、また、単年度の自己資本利益率(ROE)が4%を上回る場合には、その超過する部分の一部または全部を原資とし、追加の配当支払いまたは自社株買い等による株主還元を行うこととしております。
* 連結純資産配当率(DOE):
1株当たり年間配当金÷1株当たり連結純資産の期首・期末平均
また、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。なお、剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
以上の考え方等に基づき、当期は1株当たり21円の配当(うち中間配当9.5円)を実施することを決定しました。これにより当事業年度の連結純資産配当率(DOE)は4.2%となります。
なお、内部留保資金につきましては、今後の競争激化や市況変動に対応できる磐石な経営体制の確立及び証券・不動産関連事業の推進のため、また、当社グループの整備拡充などによる営業基盤の強化、人材の育成、商品開発力の充実を図るための投資などに充てることとしております。
当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年11月14日 |
322,596 |
9.5 |
取締役会決議 |
||
2024年6月26日 |
390,494 |
11.5 |
定時株主総会決議 |