事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
リース事業 | 229,195 | 91.5 | 4,366 | 46.2 | 1.9 |
ファイナンス事業 | 7,603 | 3.0 | 2,884 | 30.5 | 37.9 |
インベストメント事業 | 13,818 | 5.5 | 2,194 | 23.2 | 15.9 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは当社、連結子会社66社、持分法適用関連会社45社で構成され、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対してリース・割賦・企業融資等のファイナンスサービスを提供しております。
当社グループの主な事業領域は、リース事業、ファイナンス事業、インベストメント事業及びその他の事業の4事業に分類されます。
(1) リース事業
情報通信機器、事務用機器及びその他各種設備機器等のリース・レンタル・割賦販売
リースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等
(2) ファイナンス事業
金銭の貸付、ファクタリング及び配当収益の収受を目的とする有価証券投資等
(3) インベストメント事業
有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等
株式会社リサ・パートナーズが行っているアセット、不動産及びアドバイザリーの各ビジネス
(4) その他の事業
賃貸レジデンス・ヘルスケアウェアハウジング事業、再生可能エネルギー発電・売電事業、PFI・PPP事業、
観光事業及びその他各種サービス等
事業系統図については、次のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、公示地価上昇率や春闘賃上げ率がバブル期以来の伸びを記録したことなどを背景に、2024年3月のマイナス金利解除後、2度の利上げが決定されるなど、デフレからの脱却とインフレ経済への回帰が見られるようになりました。7月には日経平均株価が史上最高値を更新し、個人消費の復調やインバウンド需要の高まりから景況感も大幅に改善する兆しを見せていましたが、8月の株価暴落やその後の横ばい相場が示す通り、円安や国内の人手不足、海外景気の減速などから完全なデフレ脱却には至らず、2025年1月の利上げ以降、株式市場も弱気相場へと移行しました。また国内では10月の衆議院選挙において与党が過半数割れとなり、11月のアメリカ大統領選挙ではトランプ元大統領が当選するなど、国内外の政局や経済政策の先行きに不透明感が増す状況となっています。このような国内外の環境変化を踏まえ、今後の経済活動の見通しについては引き続き注視していく必要があると考えています。
当社グループの属するリース業界においては、業界全体の2024年4月から2025年3月累計のリース取扱高は、前期比9.8%増の5兆847億円となっています。(出典:2025年5月29日付公表 公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
このような状況下において、当社リース事業の契約実行高は前期比23.3%増、成約高は同2.2%減となりました。契約実行高が伸長しているのは、官公庁を中心に案件計上が順調に推移した結果であります。また、成約高は前期比微減となっていますが、これは前期に官公庁の大型案件の計上があったことによるものであり、その影響を除くと実質前期比増加の内容となっています。
ファイナンス事業においては、企業融資の減少はあるもののファクタリングの伸長により、契約実行高、成約高共に前期並みの結果となりました。
インベストメント事業においては、売上高は不動産売却やファイナンス収益の増加により前期を上回りましたが、前期に与信コストの戻入益を計上していた反動から営業利益については前期を下回りました。
その他の事業においては、太陽光売電収益や手数料収益等が好調に推移したものの、前期にヘルスケア施設の売却収益を計上したことにより、売上高は前期比減、販管費の増加に伴い営業利益についても前期を下回る結果となりました。
経営成績については、売上高はリース事業が前期を上回ったものの、前期に大型の売却案件計上を行ったファイナンスを中心に前期比減となりました。第4四半期に見込んでいた大型売却案件の計上時期が翌期になったことに加え、主要株主の異動に伴う一時的な資金原価の増加に伴い、売上総利益は前期比減となりました。またシステム関連費用の増加等により営業利益は前期比減、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益についても前期を下回る結果となりました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高2,548億79百万円(前期比0.4%減)、営業利益77億82百万円(同33.5%減)、経常利益94億37百万円(同20.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益66億11百万円(同6.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a. リース事業
売上高は、前期比0.3%増の2,291億95百万円となったものの、営業利益は前期に大型の賃貸資産の売却があったことに加え、主要株主の異動に伴う一時的な資金原価や販売費及び一般管理費の増加等により、前期比10億97百万円減少の43億66百万円となりました。
b. ファイナンス事業
売上高は、配当収益の減少等により前期比16.5%減の76億3百万円となり、営業利益は貸倒引当金繰入額の減少があったものの、主要株主の異動に伴う一時的な資金原価の増加等により前期比4億36百万円減少の28億84百万円となりました。
c. インベストメント事業
売上高は、前期に大型の営業投資有価証券の売却があったものの、販売用不動産の売却収入、賃貸不動産の賃貸収入及び営業貸付金の金利収入等の増加があったことから、前期比0.8%増の138億18百万円となりましたが、営業利益は貸倒引当金繰入額の増加等により、前期比18億79百万円減少の21億94百万円となりました。
d. その他の事業
売上高は、不動産の賃貸収入や太陽光売電売上が増加しているものの、前期に販売用不動産の売却があったこと等から、前期比6.7%減の43億78百万円となり、営業利益は販売費及び一般管理費の増加等により、前期比1億3百万円減少の5億23百万円となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて1,074億34百万円増加し、1兆2,247億97百万円となりました。主な要因としては、現金及び預金が564億53百万円、リース債権及びリース投資資産が226億35百万円、販売用不動産が170億35百万円、有形固定資産の賃貸資産が147億90百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて1,018億39百万円増加し、1兆824億12百万円となりました。主な要因としては、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が508億53百万円、短期借入金が481億54百万円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて55億95百万円増加し、1,423億85百万円となりました。主な要因としては、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益等により35億96百万円、繰延ヘッジ損益が17億65百万円増加したことによります。
③キャッシュ・フローの状況
当社グループは、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等のファイナンスサービスを提供している他、ファクタリング、決済・回収代行及び債権流動化等のサービスについても行っており、割賦債権、リース債権及びリース投資資産並びに営業貸付金等の営業債権を保有しております。また、営業投資有価証券、有価証券及び投資有価証券は、主に株式、債券及び組合出資金であり、純投資目的及び営業推進目的で保有しています。さらにこれらに加えて、外貨建ての海外投融資に取り組む他、当社グループの一部の連結子会社では、自己勘定やファンドを通じて、企業(株式)、貸付債権及び不動産を対象に投融資を行っております。
当社グループの資金調達は営業資産との整合を基本としており、営業資産等の増減にあわせて資金調達を行っています。具体的には、市場の状況を踏まえ、長期と短期や直接と間接等のバランスを図りつつ、金融機関からの借入れを中心に、社債やコマーシャル・ペーパーの発行並びに債権流動化といった様々な方法で資金調達をしております。
また、当社グループの主たる営業資産は、リースや割賦取引を中心とした固定金利の資産でありますが、資金調達は主に変動金利での借入を中心に行っているため、営業資産及び負債の総合管理(ALM)により、金利変動リスク及び流動性リスクの低減に努めております。その一環として、現在及び将来の獲得利鞘が変動するリスクをヘッジするために金利スワップ取引を利用しています。
なお、外貨建の営業資産の為替変動リスクについては、外貨建資産・調達の残高を両建てとする取引を行う他、通貨スワップ取引を用いてヘッジしております。
資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払を実行できなくなるリスク)に対しては、営業資産のキャッシュ・フローと営業負債のキャッシュ・フローの対応関係を適切に維持することのほか、資金調達手段の多様化への取組みや適正な水準の手許流動性を維持することなどによりリスクの低減を図っております。なお、金融環境の変化に対応した財務戦略を実施した結果、当連結会計年度末の現金及び預金は1,102億98百万円となりました。また、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン等契約の当連結会計年度末時点における未使用総額は2,765億63百万円となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という)は、1,100億97百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果によって使用した資金は340億5百万円(前期は213億44百万円の支出)となりました。これは主に減価償却費302億53百万円の計上があったものの、賃貸資産の取得による支出377億45百万円並びにリース債権及びリース投資資産の増加額226億35百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果によって使用した資金は150億10百万円(前期は83億13百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の償還による収入192億5百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出309億87百万円及び社用資産の取得による支出32億16百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果によって得られた資金は1,056億41百万円(前期は493億43百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,786億45百万円があったものの、長期借入れによる収入2,297億50百万円及び短期借入金の増加額512億99百万円があったことによります。
(2) 特定金融会社等の開示に関する内閣府令に基づく貸付金(営業貸付金)の状況
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金)の状況は次のとおりであります。
①貸付金の種別残高内訳
2025年3月31日現在
②資金調達内訳
2025年3月31日現在
③業種別貸付金残高内訳
2025年3月31日現在
④担保別貸付金残高内訳
2025年3月31日現在
⑤期間別貸付金残高内訳
2025年3月31日現在
(3) 営業取引の状況
①契約実行高
当連結会計年度における契約実行高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、契約実行高は提出会社と同子会社であるNCSアールイーキャピタル株式会社の取引が大半を占めているため、両社の状況について合算して記載しております。
(注)リース事業については、当事業年度に取得した資産の購入金額を表示しております。
②営業資産残高
当連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)当連結会計年度におけるインベストメント事業の営業資産残高の内訳は、営業貸付金が30,012百万円、買取
債権が10,709百万円、営業投資有価証券が26,556百万円、販売用不動産が15,748百万円、賃貸資産が
28,537百万円、投資有価証券が40,474百万円となっております。
③営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1.セグメントの区分は、主な営業取引の種類により区分しております。
2.各セグメントの主要品目は以下のとおりであります。
①リース事業
情報通信機器、事務用機器及びその他各種設備機器等のリース・レンタル・割賦販売
リースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等
②ファイナンス事業
金銭の貸付、ファクタリング及び配当収益の収受を目的とする有価証券投資等
③インベストメント事業
有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等
株式会社リサ・パートナーズが行っているアセット、不動産及びアドバイザリーの各ビジネス
④その他の事業
賃貸レジデンス・ヘルスケアウェアハウジング事業、再生可能エネルギー発電・売電事業、PFI・PPP事業、観光事業及びその他各種サービス等
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、基本となる重要な事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、当社グループは、連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性を考慮し、日本基準で連結財務諸表を作成しております。IFRSの適用につきましては、国内外の諸情勢を考慮の上、適切に対応していく方針です。
当社グループの連結財務諸表に関して、認識している重要な見積りを伴う会計方針は以下のとおりです。
貸倒引当金
当社は、官公庁・自治体等や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等の営業取引を行っており、これらの営業債権の回収は、景気変動やその他の事由により延滞や倒産等が生じた場合、契約条件に従った債務履行がなされない可能性があります。そのため当社の営業債権である割賦債権、リース債権及びリース投資資産、賃貸料等未収入金並びに営業貸付金等については、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されており、重要な会計上の見積りを必要とします。
当社の営業債権に関する信用リスクの管理にあたっては、社内管理規程に沿って顧客毎の状況を定期的にモニタリングし、期日及び残高を管理するとともに、財政状態の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。取組時において個別案件毎の与信審査、与信限度額、与信情報管理、内部格付及び成約条件の設定を行っておりますが、途上の与信管理で与信不安情報等を入手した際は与信ランクの変更をしております。
当社は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)1.貸倒引当金」に記載のとおり、営業債権の貸倒損失に備えるため、顧客の信用リスクの度合いに応じて債務者区分を決定し、債務者区分に基づき債権を一般債権、貸倒懸念債権及び破産更生債権等に分類しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により計上しております。貸倒懸念債権のうち、今後の債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積ることができ、与信額が一定額以上の大口債務者に係る債権については、キャッシュ・フロー見積法により計上しております。上記以外の貸倒懸念債権及び破産更生債権等については、保全による回収見込額に加え債務者の財政状態及び経営成績を考慮して個別に回収可能性を検討することにより、回収不能見込額を計上しております。
債務者区分の判定は、予め定めている債務者区分別引当基準に基づき、延滞情報を含む返済状況及び顧客の財務指標等の定量的要因並びに将来の業績見通し等の定性的要因に関連する情報を勘案して行っております。
当社は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、貸倒引当金を計上しておりますが、保有する営業債権の回収期間が中長期にわたることから、経済及びその他の事象または状況の変化や顧客の経営成績・財政状態の悪化により、顧客の延滞・倒産等の不測の事態を被り、翌連結会計年度に追加の引当金の計上が必要となってくる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,548億79百万円(前期比0.4%減)、営業利益77億82百万円(同33.5%減)、経常利益94億37百万円(同20.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益66億11百万円(同6.0%減)となりました。売上高はリース事業が前期を上回ったものの、前期に大型の売却案件計上を行ったファイナンスを中心に前期比減となりました。第4四半期に見込んでいた大型売却案件の計上時期が翌期になったことに加え、主要株主の異動に伴う一時的な資金原価の増加に伴い、売上総利益は前期比減となりました。またシステム関連費用の増加等により営業利益は前期比減、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益についても前期を下回る結果となりました。
当連結会計年度における「中期計画2025」の3つの事業戦略、経営基盤強化戦略、並びに非財務目標の進捗は以下の通りです。
事業戦略① サービス事業の拡大、新たな循環型サービスを創出
非金融サービス領域はパートナーとの連携強化等により着実に拡大しています。当社のアセットソリューション事業は、主にヘルスケア施設関連の不動産投資を行ってきましたが、投資対象をレジデンス分野にも拡大し、マンションディベロッパーと共同した新規物件の開発等の取り組みを進めています。具体的には賃貸レジデンスシリーズ「CLARITIA/クラリティア」の開発に取り組み、すでに複数の物件が竣工しています。太陽光発電事業においては、パートナー拡大により、電源開発及びセカンダリー案件取得機会が増加、アドバイザリーやPFI等フィービジネスにおいては収益向上策を展開しました。加えて、ICT領域におけるサブスクリプションモデルや付加機能の拡充に向けて、新たな循環型サービス「メーカー保証付き再生PC」の提供を開始しました。なお、本取り組みは「21世紀金融行動原則運営委員長賞」を受賞しております。
事業戦略② 注力事業への戦略的投資による成長加速
ICT関連サービス事業は着実に伸長、PC-LCMサービス顧客を拡大するとともに、IT資産管理など付加価値の提供が進みました。更に、Windows11の更新需要を着実に取り込み、大型案件の受注拡大により営業成績は伸長しております。金融プロダクトの領域拡大、LBOファイナンスやエクイティ等共同投資の取り組みを推進し、キャピタルゲインの実現を伴いながら、収益性向上に向けた資産の入れ替えを継続しております。また、リサ・パートナーズにおける収益安定化と持続的な成長投資に向けて大型のインカムゲインアセットの取得が計画通り進捗したことも成果と考えています。
事業戦略③ ベンダーファイナンスの強化および顧客基盤拡充
リース事業の契約実行高が前期比20%以上の伸長となるなど、ベンダーファイナンスの強みを活かし官公庁自治体の大口案件を複数獲得しました。ベンダーと連携したクラウドサービス等の月額提供モデルの取り組み、ベンダー支援強化に加え、お客様の課題解決に向けた様々なサービス提供のため体制見直しを実施、人材育成、社内協業体制を強化しました。GIGAスクール構想の第二期への対応についても着実に取り組みを開始し、すでに複数の案件を獲得しております。
経営基盤強化戦略及び非財務目標の進捗
経営基盤強化戦略としては、グループビジョン・中期計画浸透に向けた対話会を全社で継続実施すると共に、働き方、カルチャー変革に向けた各種制度の見直しを行い、社員のエンゲージメント向上に向けた取り組みを進めております。前期に続きCDP気候変動レポートにおける「A-」スコアを維持するなど、気候変動対応についても取り組みを継続強化しております。なお、2024年5月にはDX人材の育成強化を目的とする全社的な教育プログラムを開始し、DXを強力に推進することによる業務の効率化や収益性の向上に加え、グループビジョン実現につながる新たなビジネスを創出する基盤の構築を進めております。また、大株主の異動に伴うシステムインフラ、制度変更等についても遅滞なく対応をしております。
「中期計画2025」においては、財務目標と共に非財務目標も公表いたしました。環境・社会課題と人的資本の観点から7項目を抜粋して対外的にも目標をコミットすると共に、これら7項目は常勤取締役の成果目標としてKPIに採用しています。一部進捗の遅れがある目標はあるものの、当期の進捗はおおむね順調に推移しています。進捗の遅れがある項目については、「中期計画2025」の最終年度である2026年3月期に計画を達成できるよう、体制強化や適切な施策を実行して参ります。
当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性について、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローは共に、問題ない状態と考えております。外貨調達に関しては米国政策金利が段階的な利下げ局面にある中でトランプ政権の施策により米国市場の長期金利は上昇する場面もあり、今後の動向を注視する必要があると考えておりますが、当社の外貨建営業資産については、原則固定金利営業資産に対して固定金利調達を行うことにより金利変動リスクをヘッジしております。円貨調達に関しては、会計年度を通じて安定した調達を行うことができましたが、2024年3月の日銀金融政策決定会合におけるマイナス金利解除以降、日銀は段階的な利上げを実施しており、今後の動向に注視が必要と考えております。市場金利も上昇傾向にありますが、金利リスクについては高いヘッジ比率を維持しており、問題ないものと考えております。
なお、当連結会計年度においては、特筆すべき資本的支出はありません。
b. セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
リース事業
リース事業の営業状況におきましては、リース業界全体の国内リース取扱高は、前期比9.8%増の5兆847億円(2025年5月29日付公表)となっています。このような状況下において、当社リース事業の契約実行高は前期比23.3%増、成約高は同2.2%減となりました。契約実行高が伸長しているのは、官公庁を中心に案件計上が順調に推移した結果であります。また、成約高は前期比微減となっていますが、これは前期に官公庁の大型案件の計上があったことによるものであり、その影響を除くと実質前期比増加の内容となり、足下の営業活動については順調に進捗していると考えています。なお当連結会計年度のセグメント損益については、売上高は、前期並みを確保したものの、営業利益は前期に大型の賃貸資産の売却があったことに加え、主要株主の異動に伴う一時的な資金原価や販売費及び一般管理費の増加等により前期比減少となりました。営業利益においては前期比マイナスとなりましたが、主要株主の異動に伴う一時的な資金原価の増加や前期に計上した大型の売却案件の利益を除いた基礎収益は着実に改善しており、収益力の向上が実現できていると考えています。なお、今後の見通しについては、ベンダーファイナンスの強化を含む付加価値の向上により、持続的な成長を描けるものと考えています。
ファイナンス事業
ファイナンス事業においては、企業融資の減少はあるもののファクタリングの伸長により、契約実行高、成約高 共に前期並みの結果となりました。なお当連結会計年度のセグメント損益については、第4四半期に見込んでいた大型売却案件の計上時期が翌期になったことや、主要株主の異動に伴う一時的な資金原価の増加等により売上総利益は前期比減少となりましたが、これは一過性の要因によるものと考えております。今後の見通しについては、計上時期が翌期にずれた案件の確実なクロージングに加え、資産の入れ替えを行いながらキャピタルゲインを獲得していくことにより、持続的な成長を描けるものと考えています。
インベストメント事業
インベストメント事業においては、売上高は不動産売却やファイナンス収益の増加により前期を上回りましたが、前期に与信コストの戻入益を計上していた反動から営業利益については前期を下回りました。しかしながら、営業外損益に計上されている収益や非支配株主に帰属する当期損益を勘案すると、親会社株主に帰属する当期純利益は前期を上回る水準を確保しております。なお、今後の見通しについては、2025年度はリサ・パートナーズ、ベンチャーファンドビジネス双方において、既に投資した案件のバリューアップ及び回収最大化を目指すと共に、リサ・パートナーズについては更にインカムゲインの獲得など多様な収益の組み合わせにより、利益の拡大を図っていく予定です。
その他の事業
その他の事業においては、太陽光売電収益や手数料収益等が好調に推移したものの、前期にヘルスケア施設の売却収益を計上したことにより、売上高は前期比減、販管費の増加に伴い営業利益についても前期を下回る結果となりました。再生可能エネルギー、ヘルスケア領域については、引き続き安定的な収益確保が可能と考えており、SBI新生銀行グループとの協業による取り組み機会の拡大も図れるものと考えています。なお、ファイナンス事業と同様に、資産の入れ替えを行いながらキャピタルゲインを獲得していくスキルノウハウが蓄積されてきたことは成果と考えています。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、当社は「中期計画2025」において、連結ROA(連結当期純利益÷連結営業資産残高平残)を公表いたしました。これはアセットビジネスを中心とした当社のビジネス特性から、中計3か年における収益性の向上を図るうえで適切な指標であると判断したためであります。当連結会計年度の連結ROAの実績は0.65%と目標未達となっておりますが、これは主に、主要株主の異動に伴う一時的な費用増や大型売却案件の計上時期の期ずれなど一過性の要因によるものであり、「中期計画2025」で掲げた諸施策の継続的な遂行により、最終年度の目標達成を目指してまいります。
d. 気候変動への対応について
事業等のリスクにおいても記載した通り、地球規模の気候変動に係るリスクが、中長期的な将来のものではなく、今そこにある危機として認識されるようになってきました。昨今の異常気象がもたらすビジネス上の損失は、個別企業によっては事業継続上無視できないレベルに達しており、日々の経営判断においても気候変動に係るリスクを意識することが必要になってきたと認識しております。
工場等の製造設備を持たない当社にとって、気候変動への対応は自社の環境負荷軽減活動以上に、事業活動を通した環境負荷軽減活動が重要になってくると考えております。当社はこれまでも「リースは循環型産業である」という考え方のもと、各種取り組みを進めてまいりましたが、こうした状況を踏まえTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同すると共に、その枠組みに準拠したPDCA体制を構築し、気候変動に係るリスクへの対応を推進しております。
e. 今後の見通し
2025年度のわが国経済は、トランプ米政権が発動した高関税政策がグローバルな自由貿易にどの程度の影響を与えるかによって大きく変動する可能性が出てきました。世界各国で相互関税が実施された場合、世界的な貿易活動の減少やサプライチェーンの混乱が生じるとともに、輸入コストの増加によるインフレから消費者の負担が増加するなど、国内経済にも悪影響が出るものと想定されます。デフレ脱却に向けた金融政策の正常化も停滞を余儀なくされ、様々な不確定要因が金利のある世界での成長シナリオを阻害することになると思われます。
このような状況において、グローバルなテーマとして議論が重ねられてきたサステナビリティについて、当社グループはその重要性を不動のものであると考えています。有価証券報告書にも記載をしている通り、気候変動リスクについてはTCFD ( Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく取り組みを進めており、エンゲージメントの向上や人材の多様性確保などをはじめとした人的資本、人材の多様性に関する取り組みについても積極的に推進しています。
当社グループは、これまで掲げてきたCSV経営をさらに進化させるべく、2023年4月、SDGsのゴールでもある2030年に向けた新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を公表すると共に、「次世代循環型社会」の実現に向けた第一段階として「中期計画2025」を公表いたしました。グループビジョン実現に向けた最初のステップとなる「中期計画2025」では、2030年の目指す姿・持続的な成長実現に向けて変革に挑戦する3年間とし、CSV経営を実践し事業を通じてお客様と社会の課題を解決すると共に、次世代循環型社会の実現に向けて当社らしい循環型サービスを創出していきます。
上記方針のもと、2026年3月期の通期連結業績予想は、リース事業、ファイナンス事業の持続的な成長とインベストメント事業の収益拡大を図るとともに、SBI新生銀行グループとの事業シナジーを創出することにより、売上高は当期比15.7%増の2,950億円、営業利益は当期比99.2%増の155億円、経常利益は当期比69.5%増の160億円、親会社株主に帰属する当期純利益は当期比51.2%増の100億円といたしました。
なお、配当予想につきましては、国内外の事業環境の不安定化への対応として内部留保の蓄積を図りながら、安定配当の維持を基本方針とする当社の配当政策を維持し、当期と同様の1株当たり年間150円の配当(うち中間配当75円)を実施する予想とさせていただきました。
なお、以上の文中における業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
(1)報告セグメントの決定方法
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等のファイナンスサービスを提供しております。
また、当社グループの一部の連結子会社では、ファンドや自己勘定を通じて、企業投資、債権投資及びアドバイザリー業務等を行っており、さらにこれらに加えて、当社グループが取り組みを進めている新事業やその他各種サービスを行っております。
従って、当社グループは主たる営業取引の形態に応じた区分である「リース事業」、「ファイナンス事業」、「インベストメント事業」及び「その他の事業」の4つを報告セグメントとしております。
(2)各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類
「リース事業」は、主に情報通信機器、事務用機器及びその他各種設備投資等のリース・レンタル及び割賦販売を行っており、さらにリースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等を行っております。
「ファイナンス事業」は、主に金銭の貸付、ファクタリング及び配当収益の収受を目的とする有価証券投資等を行っております。
「インベストメント事業」は、主に有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等や株式会社リサ・パートナーズが行っているアセット、不動産及びアドバイザリーの各ビジネスを行っております。
「その他の事業」は、賃貸レジデンス・ヘルスケアウェアハウジング事業、再生可能エネルギー発電・売電事業、PFI・PPP事業、観光事業及びその他各種サービス等を行っております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法と同一であります。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注)1.セグメント利益の調整額△1,791百万円は、セグメント利益と連結損益計算書の営業利益との差額であり、主に各報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
2.セグメント資産の調整額35,710百万円は、主に各報告セグメントに配分していない全社資産であります。
3.有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額302百万円は、主に全社資産の設備投資額であります。
4.有形固定資産及び無形固定資産の増加額には、新規連結に伴う増加額を含んでおりません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注)1.セグメント利益の調整額△2,186百万円は、セグメント利益と連結損益計算書の営業利益との差額であり、主に各報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
2.セグメント資産の調整額107,630百万円は、主に各報告セグメントに配分していない全社資産であります。
3.有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額333百万円は、主に全社資産の設備投資額であります。
4.有形固定資産及び無形固定資産の増加額には、新規連結に伴う増加額を含んでおりません。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先が存在しないため、記載しておりません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1. 製品及びサービスごとの情報
セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先が存在しないため、記載しておりません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。