事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
運輸 | 372,917 | 89.5 | 74,161 | 85.4 | 19.9 |
不動産 | 14,663 | 3.5 | 4,200 | 4.8 | 28.6 |
流通・広告 | 25,017 | 6.0 | 8,406 | 9.7 | 33.6 |
その他 | 4,066 | 1.0 | 62 | 0.1 | 1.5 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社及び当社の関係会社(うち連結子会社14社、非連結子会社2社、持分法適用関連会社4社))で構成され、その営んでいる主要な事業内容は、次のとおりです。
なお、各区分は、セグメント情報の報告セグメントと同一です。
(1) 運輸業
東京都区部を中心に、9路線からなる地下鉄ネットワークを保有し、鉄道の運行及び運営並びに鉄道施設等の保守管理を行っています。
(2) 不動産事業
鉄道事業とのシナジー効果が発揮できる事業展開を基本とし、当社路線の沿線において、渋谷マークシティ、渋谷ヒカリエ、東急プラザ原宿「ハラカド」など、オフィスビルやホテルを中心とした不動産の賃貸を行っています。
(3) 流通・広告事業
当社資産などを活用し、当社路線の駅においてEchikaなどの商業施設の運営を行う流通事業、主として駅構内や車両内の広告を取り扱う広告事業、携帯電話通信サービスの営業許諾などを行う情報通信事業などを行っています。
(4) その他
(注)1 2025年4月1日付けで、㈱地下鉄メインテナンスは東京メトロ電気メインテナンス㈱に商号変更しています。
2 流通・広告事業は、2025年4月1日付けでライフ・ビジネスサービス事業に改称しています。
3 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、当社施設の管理運営事業等を含んでいます。
以上の企業集団の状況について、事業系統図を示すと次のとおりです。
(注) 1 上図は、当社及び子会社15社の概要図です。
2 ※は非連結子会社です。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
このような状況下で、当社グループは、2022年4月に公表し、2023年3月に設備投資計画の見直しやポストコロナを見据えた経営目標値の上方修正等を行った中期経営計画「東京メトロプラン2024」(2022年度~2024年度)に基づき、各種施策を積極的に推進しました。本計画期間において、鉄道事業の持続可能性の向上を図るべく、安全の確保を前提に、次世代に向けたコスト構造や業務の抜本的な見直し等、『構造変革』に取り組むとともに、新線建設、お出かけ機会の創出、都市・生活創造事業の強化等、『新たな飛躍』を目指した各種施策に取り組みました。
当連結会計年度の業績は、経済活動の活性化等により、都心部を中心に沿線全域で平日、休日ともに好調に推移したことに伴い、旅客運輸収入が増加し、営業収益が4,078億3千2百万円(前期比4.8%増)となり、営業利益が869億4千2百万円(前期比13.9%増)、経常利益が770億8百万円(前期比16.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が537億4千8百万円(前期比16.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
[運輸業]
① 安全性・利便性の向上
(セキュリティ強化)
テロ行為や犯罪に備え、全車両への車内セキュリティカメラ設置を2024年度末までに完了しました。
(自然災害対策)
阪神・淡路大震災及び東日本大震災後の通達に基づく耐震補強(高架橋、石積み擁壁)は完了しています。また、熊本地震後の通達に基づく震災対策として、早期運行再開を目的としたロッキング橋脚、こ線道路橋・人道橋の補強は完了し、現在はトンネル中柱の耐震補強工事を進めています。
大規模浸水対策として、浸水深等に応じた駅出入口の止水板の改良、防水扉の設置、上屋建て替えによる完全防水型出入口への改良、換気口浸水防止機の改良、換気塔の嵩上げ、地上駅・地上設備の外壁の鉄筋コンクリート化、トンネル坑口への防水ゲートの設置等を進めており、現在61.1%の進捗となっています。
(お客様の円滑な移動の実現)
お身体の不自由なお客様をはじめとした全てのお客様に安心してご利用いただけるよう、エレベーター、エスカレーター及びバリアフリートイレの整備を進めており、2024年5月に東西線南砂町駅にエレベーター、同年11月に副都心線池袋駅にエレベーター、日比谷線茅場町駅にエレベーター及びエスカレーターを設置しました。また、ホームと車両床面の段差・隙間縮小のため、東西線、半蔵門線、南北線及び副都心線(※)においてホームの嵩上げ、くし状ゴムの設置を進めています。
※銀座線・丸ノ内線・日比谷線・千代田線は完了
ホームドアの整備については、2025年度中の全路線全駅(大規模改良中の南砂町駅を除く)への設置完了を予定しており、2路線において設置工事を進めています。
現在の全線及び設置工事中2路線の整備率は、以下のとおりです(※)。
※他路線は設置完了
また、東西線南砂町駅においては、混雑緩和を目的としたホーム2面3線化のため、2024年5月に第1回線路切替工事を行い、新設したホーム、出入口、改札等の供用を開始しました。
(その他)
日本の地下鉄で初めての無線式列車制御システム(CBTCシステム)を丸ノ内線全線で2024年12月から使用開始しました。CBTCシステムは無線通信技術を利用した信号保安システムで、高い遅延回復効果や軌道回路に起因する輸送障害の減少等により運行の安定性が向上しています。
また、2021年6月に発生した日比谷線八丁堀駅における多機能トイレの機能不備によるお客様の発見遅れについては、公表した再発防止対策報告書に基づく取組を確実に推進し、当社施設の確実な施工、保守・点検及び適切な取扱いを徹底しています。
② 有楽町線延伸・南北線延伸等によるネットワーク発展・充実
(有楽町線・南北線の延伸)
新線建設(有楽町線延伸・南北線延伸)については、都市計画決定が告示され、工事施行認可を受けたことを踏まえ、地質及び埋設物の調査並びに設計及び工事説明会を実施し、2024年11月に工事着手しました。
③ 鉄道事業の成長に向けたアクションプラン
(目的地と連動した移動価値)
沿線施設と連動したお出かけ機会の創出に向けて、企業や自治体とタイアップしたスタンプラリーや観光施設等の入場券とTokyo Subway Ticketのセット発売及び商業施設で使用可能なクーポンと東京メトロ24時間券のセット発売を行いました。また、2025年3月から様々な観光施設をおトクに周遊できる乗車券付きの観光チケット「Tokyo City Pass」を発売しました。
(他サービスと連携した移動価値)
「東京メトロmy!アプリ」を介して、お出かけ情報の提供や二次交通との連携による観光予約等、ご乗車の機会が増えるような「楽しみ」の企画・提案を行っています。2024年4月から、同アプリを介して飲食店ポータルサイトであるオズモールを予約いただいたお客様に、メトロポイントクラブ(メトポ)のポイント付与を開始しました。また、同年9月に、キッザニア東京と同アプリを介した通年での利用予約を開始したほか、2025年3月から、クレジットカードのタッチ決済及びQRコード(※)を活用した乗車サービスの開始に合わせ、同アプリと乗車券販売サイトとの連携を開始しました。 ※「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
(頻度に応じた移動価値)
より分かりやすくお得に多くのお客様にご利用いただけるよう、2024年4月に、PASMOをお持ちの方を対象とした「メトロポイントクラブ(メトポ)」とTo Me CARDをお持ちの方を対象とした「メトロポイント」の2つのポイントサービスを統合しました。また、同年5月に、モバイルのPASMOをご利用のお客様において、モバイルPASMOアプリ上でメトポの登録手続及びポイントからのチャージを可能にしました。さらに、2025年3月に、カード型PASMOも含めてWeb上でのメトポの登録手続に対応したことで、全てのお客様の登録手続がオンラインで可能となりました。
④ 新技術の導入とDXによる鉄道オペレーションの進化
(技術開発ビジョン)
新技術の導入・開発やDXの推進等により、持続的な企業価値向上を図り、将来にわたる安心の提供を実現するため、状態基準保全(CBM)の一環として、車両・設備の状態監視を進めています。また、故障予知技術・劣化予測技術の促進の検討を進めています。2024年11月には、鉄道会社として初めてお客様向けチャットボット及びお客様センター業務双方への生成AIの本格的な活用を開始しました。
⑤ 不動産事業の拡大とまちづくりとの連携
(まちづくりとの連携)
駅周辺開発を計画・検討する都市開発事業者等と連携した「えき・まち連携プロジェクト」として、5駅において開発提案を募集しています。
⑥ 海外鉄道ビジネスの拡大・新規ビジネスの開発推進
(海外鉄道ビジネス)
海外鉄道ビジネスについては、O&M(オペレーション&メンテナンス)事業において、英国に本社を置く鉄道事業者The Go-Ahead Group Limited、住友商事株式会社及び当社の3社で出資設立した事業会社GTS Rail Operations Limitedが、英国ロンドン市における地下鉄Elizabeth line(エリザベス・ライン)の運営事業を受注しました。同社は、現行の運営事業者からの移管を経て2025年5月から鉄道運営事業を開始します。また、都市鉄道整備が進むフィリピン、ベトナム等において、鉄道整備、技術支援に係る各プロジェクトを推進したほか、世界の鉄道関係者向けオンライン講座・訪日研修の「Tokyo Metro Academy」を開催(オンライン講座18講座及び訪日研修3回)しました。
(新規ビジネスの開発)
新規事業の創出を目的とした社内事業開発プログラム「メトロのたまご」を通じて社員が提案したスケートボードパーク&スクール事業「RAMP ZERO」を、日比谷線南千住駅高架下において2024年4月に営業開始しました。また、「Tokyo Metro ACCELERATOR 2022」で最終審査を通過したSTUDIO BUKI株式会社との協業施策として、子どもが作中で東京メトロの運転士になれるパーソナライズド絵本「僕は私は運転士!」を同年4月に販売開始しました。同様に、最終審査を通過した株式会社休日ハックとの協業施策として、漫画・謎解き・街歩きを掛け合わせたオリジナル体験型エンターテイメント「メトロタイムゲート」を同年5月から8月まで実施したところ、期間終了前に早期に完売したため、2025年2月から3月までリバイバル開催しました。
また、「東京メトロ×プログラボ」を中心とした教育事業のスムーズな運営と拡大を目指し、2024年12月に「東京メトロエデュケーショナル株式会社」を設立しました。今後、プログラボが理念に掲げる「未来を担う子ども達の『夢を実現するチカラ』を育む」ことを目指して教室運営を行います。
加えて、スタートアップ企業との協業や出資を通じて、革新的なサービスを創出し、東京の未来を共に創ることを目的としたCVC活動「Tokyo Metro Ventures」を2025年3月から開始しました。
⑦ 脱炭素・循環型社会への貢献
(脱炭素社会への取組)
脱炭素社会の実現に向けた取組として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、当社の気候関連リスク、機会等を特定し、開示しています。指標、目標として掲げている長期環境目標「メトロCO₂ゼロ チャレンジ 2050」について、2030年度目標を△50%から△53%(ともに2013年度比)に高め、更なる推進を図っています。
電力由来エネルギーの脱炭素化として、2024年4月に丸ノ内線・南北線は使用電力全てを水力発電由来の再生可能エネルギーに置き換えました。また、鉄道業界では初となる取組として、同年7月に小水力発電を、同年10月には陸上風力発電を活用したバーチャルPPA(需要家が発電事業者から再生可能エネルギーの環境価値のみを仮想的に調達する契約)による環境価値の調達を行いました。
このほか、変電所や車両、その他電気設備が保有するデータを分析・見える化し、変電所電圧の適正化や駅補助電源装置の制御方式を変更することで、回生電力のロスを削減するなど、更なるエネルギーの有効活用化を推進しました。
また、これらの取組に加えて、当社の鉄道運行を通じて生まれた社会における環境面でのポジティブインパクト(削減貢献量)を活用し、他者と連携した取組を実施することにより、鉄道の環境優位性をPRしました。
(循環型社会の実現に向けた取組)
当社グループ運営の飲食店等から排出される使用済み油をSAF(Sustainable Aviation Fuel:化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料)の原料に再利用する取組に参加し、2024年6月に、東西線浦安駅で使用済み油回収イベントを実施しました。
⑧ 経営基盤の強化
(安全文化の醸成)
お客様の安全を第一に、事故の未然防止、再発防止に取り組むため、グループ全役員・社員を対象にした安全研修をはじめとし、「安全を最優先する企業風土の形成」「ヒューマンファクター概念の浸透」「部門間連携強化による総合力の発揮」「PDCAサイクルによる安全管理体制の強化」を実現するための施策を継続実施したほか、社員一人ひとりが自ら考え行動を起こすことができる安全文化の醸成に努めています。
(豊かな社会のためのパートナーシップ)
女子駅伝部やパリ2024パラリンピック競技大会に出場したパラフェンシング選手である安直樹選手の活動支援のほか、東京マラソンへの参画を通じて、スポーツ選手が活躍できる環境づくりに貢献するとともに地域・社会の活性化に取り組んでいます。
安選手は、2025年2月に開催されたパラフェンシングのブラジルワールドカップにおいて、エペ、フルーレの2種目で銅メダルを獲得しました。女子駅伝部は、2024年11月、第44回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)に初出場を果たしました。さらに2025年3月に開催された名古屋ウィメンズマラソンにおいて、上杉真穂選手が全体4位(日本人2位)の好成績を収めました。
また、沿線の盲学校と連携し、当社総合研修訓練センターにある模擬ホーム等を活用し、生徒たちが線路の幅やレールの形状、ホームの高さ等に触れて駅設備の仕組みを学ぶ体験会を実施しました。
運輸業の当連結会計年度の業績は、経済活動の活性化等により、都心部を中心に沿線全域で平日、休日ともに好調に推移したことに伴い、旅客運輸収入が増加し、営業収益が3,729億1千7百万円(前期比4.6%増)、営業利益が741億6千1百万円(前期比16.3%増)となりました。
(運輸成績表)
(注)1 記載数値は、千キロ未満、千人未満、百万円未満を切り捨てて表示しています。
2 乗車効率の算出方法:人キロ÷(客車走行キロ×客車平均定員)×100
3 第17期から第19期の各連結会計年度における、旅客運輸収入は下表のとおりです。
[不動産事業]
不動産事業においては、収益性の向上を図るべく、駅周辺の都市開発と一体となった建物の整備を進めています。2024年4月には神宮前六丁目用地再開発建物が東急プラザ原宿「ハラカド」として開業したほか、同年12月には、池袋二丁目用地に「スーパーホテル池袋西口天然温泉」が開業しました。また、新宿駅西口地区開発計画においては新築工事を推進し、東上野地区においては東上野四丁目A―1地区再開発準備組合へ事業協力者として参画しています。加えて、遊休資産の有効活用として同年7月には北馬込一丁目用地(旧家族寮)に介護付有料老人ホームの「チャームスイート旗の台」、同年12月には弥生町五丁目用地(旧研修施設)に「メトロステージPLUS中野弥生町」がそれぞれ開業したほか、同年12月に東陽町スクウェアビル、2025年2月にTS青山ビルをそれぞれ取得しています。そのほか、不動産事業の成長を目的に不動産アセットマネジメント事業へ参入するため2024年4月に設立した「東京メトロアセットマネジメント株式会社」は、2025年3月から「東京メトロプライベートリート投資法人」の運用を開始しました。
不動産事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が146億6千3百万円(前期比7.4%増)、営業利益が42億円(前期比7.9%減)となりました。
[流通・広告事業]
流通・広告事業においては、収益性の向上を図るとともに、お客様の「新たな日常」を支え、ニーズに迅速に対応するため、各種開発を推進しました。
流通事業については、2024年11月に日本橋駅構内に「日本橋メトロピア」、2025年3月に錦糸町駅構内に「錦糸町メトロピア」を開業しました。東西線高架下においては同年3月に葛西駅西側の開発に加え、浦安駅に「M’av浦安」を開業しました。そのほか、駅構内店舗等における店舗入替や駅構内の空きスペースにおける自動販売機、コインロッカー等の増設、東西線高架下や錦糸町駅における新規店舗の開発を進めました。
広告事業については、改札口付近にデジタルサイネージ及び広告看板を新設したことに加え、デジタルサイネージの販売促進や、中づり・まど上、駅ばりポスターの貸切商品等、クライアントニーズに応じたインパクトのある商品の展開により、収益拡大に努めました。
流通・広告事業の当連結会計年度の業績は、営業収益が250億1千7百万円(前期比4.6%増)、営業利益が84億6百万円(前期比5.5%増)となりました。
当社グループの財政状態については、当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ72億2千1百万円増の2兆297億4千5百万円、負債合計は409億1千2百万円減の1兆3,132億1千5百万円、純資産合計は481億3千3百万円増の7,165億2千9百万円となりました。
資産の部の増加については、設備投資に伴う固定資産の増加等によるものです。
負債の部の減少については、長期債務の償還等によるものです。
純資産の部の増加については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等によるものです。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、35.3%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ169億3百万円減少し、当連結会計年度末には737億6千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,235億4千4百万円(前期比115億2千2百万円収入減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益743億3千2百万円(前期比87億9千万円の収入増)と非資金科目である減価償却費720億9千9百万円(前期比16億4千8百万円の収入減)を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、895億4百万円(前期比107億2千5百万円支出減)となりました。これは主に、設備投資等を中心に有形及び無形固定資産の取得による支出1,159億8千万円(前期比118億4千7百万円の支出増)と有形及び無形固定資産の売却による収入218億6千3百万円(前期比216億1千6百万円の収入増)があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、509億4千3百万円(前期比177億8千9百万円の支出増)となりました。これは、長期借入れの返済による支出が320億8千6百万円(前期比209億9千6百万円の資金の減少)及び配当金の支払額が185億9千2百万円(前期比69億7千2百万円の資金の減少)あったこと等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントの業績を記載することとしています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の分析は次のとおりです。
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
(単位:百万円)
[営業収益及び営業利益]
当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ185億6千4百万円増の4,078億3千2百万円となりました。
これは、経済活動の活性化等により、都心部を中心に沿線全域で平日、休日ともに好調に推移したことに伴い、旅客運輸収入が増加したこと等によるものです。
営業費は、前連結会計年度に比べ79億8千1百万円増の3,208億8千9百万円となりました。これは、修繕工事に伴う修繕費の増等があったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ105億8千3百万円増の869億4千2百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しています。
[営業外損益及び経常利益]
当連結会計年度の営業外収益は、固定資産維持管理協力金等の計上により、前連結会計年度に比べ6千9百万円増の21億2千5百万円となりました。
営業外費用は、支払利息の減少等により、前連結会計年度に比べ4億8千8百万円減の120億6千万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ111億4千1百万円増の770億8百万円となりました。
[特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益]
当連結会計年度の特別利益は、鉄道施設受贈財産評価額の減少等により、前連結会計年度に比べ30億8百万円減の100億6千5百万円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損の減少等により、前連結会計年度に比べ6億5千7百万円減の127億4千1百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は743億3千2百万円となり、法人税等を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ74億8千5百万円増の537億4千8百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動により得られた資金並びに社債及び借入金を設備投資等に充当しています。
当社グループの主な資金需要は、営業活動に係る資金支出では、鉄道事業に係る修繕費や管理委託費等の経費、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金支出では、車両更新やホームドア整備などの安全対策、バリアフリー整備などの旅客サービス等の運輸業への投資、持続的な成長を実現する不動産事業及び流通・広告事業への投資のほか、有楽町線、南北線延伸事業等に係る投資があります。
資金調達の方法は、償却前営業利益を基本に、不足する資金を金融市場動向等に鑑み、社債の募集及び金融機関からの借入により長期資金を調達しています。また、運転資金として短期的に資金を必要とする場合は、国内金融機関との当座貸越契約により短期資金を調達することで、緊急時の流動性を確保しています。これらにより、当社グループの事業運営に必要な運転資金、設備投資資金の調達は問題なく対応可能と認識しています。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成され、連結財務諸表の作成にあたっては連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
ⅰ固定資産の減損
当社グループは多くの固定資産を保有しており、回収可能価額を将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しています。そのため、景気低迷、他事業者との競合、市場価格の下落、感染症の発生等により当初見込んだ収益が得られなかった場合、又は算出の前提条件に変更があった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を認識する可能性があります。
ⅱ繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ⅲ退職給付債務及び費用
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率等の前提条件に基づいて算出しています。
実際の結果が、前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の推移につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。なお、第17期及び第18期において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、旅客人員の減少等により営業損益がマイナスとなったため、EBITDAが減少しましたが、その後は回復傾向にあり、足元の状況は堅調に推移しているものと判断しています。また、連結純有利子負債/EBITDA倍率につきましても、第21期において6.4倍となっており、堅調に推移しているものと判断しています。
セグメント情報
(セグメント情報)
【セグメント情報】
1 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、当社の鉄道事業を中心とした運輸業に加え、鉄道事業とのシナジー効果が発揮できる不動産事業、並びに当社資産等を活用した流通・広告事業を展開しています。
したがって、当社グループは、上記の事業別セグメントから構成されており、これらを「運輸業」、「不動産事業」及び「流通・広告事業」の3つの報告セグメントに区分しています。
「運輸業」は、東京都区部を中心に、9路線からなる地下鉄ネットワークを保有し、鉄道の運行及び運営並びに鉄道施設等の保守管理を行っています。
「不動産事業」は、鉄道事業とのシナジー効果が発揮できる事業展開を基本とし、当社の沿線において、渋谷マークシティなど、オフィスビルやホテルを中心とした不動産の賃貸を行っています。
「流通・広告事業」は、当社資産などを活用し、当社沿線の駅においてEchikaなどの商業施設の運営、主として駅構内や車両内の広告を取り扱う広告事業、携帯電話通信サービスの営業許諾などを行う情報通信事業などを行っています。
2 報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一です。報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であり、セグメント間の内部営業収益又は振替高は市場価格等に基づいています。
3 報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1 セグメント利益又は損失(△)の調整額106百万円、その他の項目における減価償却費の調整額△47百万円及び有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額△41百万円は、セグメント間取引消去です。
2 セグメント資産の調整額97,253百万円は、各報告セグメントに配分していない全社資産99,048百万円及びセグメント間取引消去△1,795百万円です。また、全社資産の主なものは、当社での運用資金(現金及び預金)、有価証券及び投資有価証券等です。
3 セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っています。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1 セグメント利益の調整額112百万円、その他の項目における減価償却費の調整額△45百万円及び有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額△87百万円は、セグメント間取引消去です。
2 セグメント資産の調整額91,379百万円は、各報告セグメントに配分していない全社資産93,167百万円及びセグメント間取引消去△1,787百万円です。また、全社資産の主なものは、当社での運用資金(現金及び預金)、有価証券及び投資有価証券等です。
3 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っています。
【関連情報】
1 製品及びサービスごとの情報
「セグメント情報」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています。
2 地域ごとの情報
海外の外部顧客への営業収益が存在しないため、該当事項はありません。
海外に所在している有形固定資産が存在しないため、該当事項はありません。
3 主要な顧客ごとの情報
連結損益計算書の営業収益の10%以上を占める顧客が存在しないため、記載を省略しています。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。