2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

都市交通・沿線事業 ホテル・レジャー事業 不動産事業 その他
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
都市交通・沿線事業 148,826 29.7 13,292 28.3 8.9
ホテル・レジャー事業 229,265 45.8 19,477 41.5 8.5
不動産事業 79,079 15.8 12,716 27.1 16.1
その他 43,718 8.7 1,440 3.1 3.3

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、連結子会社78社、持分法適用関連会社3社、持分法非適用非連結子会社2社の84社で構成されており、西武グループの経営理念を表したものであると同時に、私たちが取り組むすべての活動の出発点、目指すべきゴールを示すものとして2006年に定めた「グループビジョン」のスローガン「でかける人を、ほほえむ人へ。」のもと、お客さまの“行動”と“感動”を創り出すことを目指し、都市交通・沿線事業やホテル・レジャー事業、不動産事業及びその他の事業をおこなっております。

 当社は純粋持株会社として、「戦略機能」「効率化・適正化機能」「広報・IR機能」「コンプライアンス体制の確立・推進機能」と、4つの機能を有しております。適切なガバナンス体制のもと、これらの機能を発揮することで、グループの企業価値極大化に向けたコントロールをおこなっております。

 当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

 なお、当連結会計年度より、以下3点につき、グループ内の専門性強化の観点からセグメント区分を変更しております。

●都市交通・沿線事業に含んでいた西武園ゆうえんち等について、ホテル・レジャー事業へ移管。

●都市交通・沿線事業に含んでいた駅チカ保育所「Nicot」及びとしまえん跡地賃貸等について、不動産事業へ移管。

●不動産事業に含んでいた一部ゴルフ場等運営管理について、ホテル・レジャー事業へ移管。

 

 以上の変更を踏まえた、当社グループが営んでいる主要な事業内容と、当該事業にかかわる各社の位置付けは次のとおりであります。

 

(1) 都市交通・沿線事業 (16社)

 都市交通・沿線事業は、鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他で構成されます。

 鉄道業では、西武鉄道株式会社が、東京都北西部と埼玉県南西部において12路線、営業キロ176.6㎞、92駅の鉄道路線で、旅客輸送をおこなっております。バス業とあわせ、通勤・通学や観光などお客さまの生活に欠かせない公共交通機関として事業を展開しております。

 バス業では、西武バス株式会社などが、西武鉄道沿線を中心に路線バスのネットワークを形成して、バスの運行をおこなっております。

 沿線生活サービス業では、西武鉄道沿線において、駅ナカコンビニ「トモニー」の運営などをおこなっております。

 スポーツ業では、西武鉄道沿線において、狭山スキー場やフィットネスクラブなどのスポーツ施設の運営などをおこなっております。

 そのほか、タクシー及びハイヤーの運行などをおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

西武鉄道株式会社、西武バス株式会社、西武レクリエーション株式会社、西武ハイヤー株式会社

 

(2) ホテル・レジャー事業 (44社)

 ホテル・レジャー事業は、国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・リース)、スポーツ業(MC・FC)、その他で構成されます。

 国内ホテル業(保有・リース)では、当社グループの保有する物件やグループ外からのリース物件において、プリンスホテルブランドを活用し、日本最大級のホテルチェーンを運営しております。

 国内ホテル業(MC・FC)では、ザ・プリンス パークタワー東京など、グループ外からホテル運営を受託しております。

 海外ホテル業(保有・リース)では、米国ハワイ州(オアフ島、ハワイ島)において、プリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾート及びそれぞれに付設するゴルフコースの運営などをおこなっております。また、「The Prince Akatoki London」などの運営をおこなっております。

 海外ホテル業(MC・FC)では、オーストラリアを中心にホテルを展開しているほか、台湾及び中国でフランチャイズ方式を活用しプリンスホテルを展開しております。

 スポーツ業(保有・リース)では、当社グループが保有する川奈ホテルゴルフコースなどのゴルフ場を運営しているほか、富良野スキー場などのスキー場の運営をおこなっております。

 スポーツ業(MC・FC)では、北海道カントリークラブなどのゴルフ場や、苗場スキー場などのスキー場の運営をグループ外から受託しております。

 そのほか、西武園ゆうえんち、箱根園及び横浜・八景島シーパラダイス等のレジャー施設の運営をおこなっております。また、海外においては、台湾で都市型水族館「Xpark」の運営をおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド、株式会社西武リアルティソリューションズ、プリンスリゾーツハワイインク、ハワイプリンスホテルワイキキLLC、マウナケアリゾートLLC、ステイウェル ホールディングス Pty Ltd、株式会社横浜八景島、台湾横浜八景島股份有限公司

 

 なお、ステイウェル ホールディングス Pty Ltdは2024年4月よりSeibu Prince Hotels Worldwide Asia Pacific Pty Ltdに商号変更しております。

 

(3) 不動産事業 (9社)

 不動産事業は、不動産賃貸業、その他で構成されます。

 不動産賃貸業では、東京ガーデンテラス紀尾井町及びアウトレットモール(軽井沢・プリンスショッピングプラザ)、駅構内や高架下の店舗(グランエミオ所沢など)、駅チカ保育所「Nicot」、賃貸マンション(エミリブ石神井公園など)、駅ビルに関連する施設(BIGBOX高田馬場など)に加え、大規模オフィスビル(ダイヤゲート池袋)などを株式会社西武リアルティソリューションズが運営しております。

 そのほか、住宅・マンション・別荘地の分譲及びビルメンテナンス・警備業務等をおこなっていることに加え、造園工事の設計・施工及び国営公園などの維持管理・運営管理などをおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

株式会社西武リアルティソリューションズ、西武鉄道株式会社、株式会社西武SCCAT、

西武造園株式会社

 

(4) その他 (18社)

 伊豆・箱根エリアにおいて、2路線、営業キロ29.4kmの鉄道旅客輸送、バス、タクシーの運行及びレジャー施設の運営など伊豆箱根事業をおこなっております。

 滋賀県琵琶湖エリアにおいて、3路線、営業キロ59.5kmの鉄道旅客輸送、バス、タクシーの運行及び不動産賃貸など近江事業をおこなっております。

 スポーツ事業においては、プロ野球球団である埼玉西武ライオンズを運営しベルーナドームを本拠地として、プロ野球の興行及びイベント開催などをおこなっているほか、多目的イベントホール「横浜アリーナ」の運営管理をおこなっております。

 そのほか、新規事業として、当社グループの新規事業分野創出に向けた取り組みをおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

伊豆箱根鉄道株式会社、近江鉄道株式会社、株式会社西武ライオンズ、株式会社横浜アリーナ、

株式会社ブルーインキュベーション

 

 以上の企業集団の状況について事業系統図を示すと次のとおりになります。

 

 

※上記部門の会社数には、西武鉄道㈱、西武バス㈱及び㈱西武リアルティソリューションズが重複して含まれております。

※2022年12月1日に、「バックオフィス業務の共通化」を企図し、柔軟な働き方、及び専門性の高い人財により最適なシェアード・サービスを提供する「株式会社西武プロセスイノベーション」を設立し、2023年6月1日より運営を開始しております。

※2023年10月2日に、リゾートホテル・グランピングを中心とした宿泊施設の開業支援や運営受託、マーケティング・DX支援などをおこなう「株式会社Dot Homes」の全株式を取得し、完全子会社化しております。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、世界的な金融引締めにともなう影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意が必要な状況であります。

 このような状況の中、当社グループは、当連結会計年度において、3ヵ年目となる「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」のもと、「「アフターコロナの社会における目指す姿」を見据え、コロナショックを乗り越え、飛躍への道筋をつける。」をテーマに、「経営改革」「デジタル経営」「サステナビリティ」の3点を骨子とした取り組みを進めてまいりました。

 「経営改革」については「アセットライトな事業運営」「損益分岐点の引き下げ」「ニューノーマルに合わせたサービス変革」というテーマに加え、「都市交通・沿線事業の経営改革」に取り組んでまいりました。中でも「都市交通・沿線事業の経営改革」については、2023年4月1日に西武鉄道株式会社が、中核事業である鉄道業、ならびに沿線価値創造機能に特化するため、西武園ゆうえんちなど鉄道業以外の不動産を当社連結子会社である株式会社西武リアルティソリューションズへ移管いたしました。また、不動産回転型ビジネスを活用し、資本効率性を意識し、既存保有資産の再開発資金への対応及び新規開発機会への投資もおこなっていくにあたり、みずほフィナンシャルグループを協業パートナーに決定いたしました。

 「デジタル経営」については、「グループマーケティング基盤」の利活用を開始し、グループ顧客の拡充に向けたサービス構築に取り組み、2024年1月より西武グループ共通ID「SEIBU Smile ID」の運用を開始いたしました。また、管理系基幹システムのグループ共通システム化などを進め、業務改革、働き方改革を実現し、固定費削減に努めました。

 「サステナビリティ」については、引き続き安全、環境、社会、会社文化の4領域12項目のアジェンダにおいて持続可能な社会実現のため「サステナビリティアクション」に取り組んでまいりました。環境領域において、西武バス株式会社では2023年4月より100%再生エネルギーで走る大型電気路線バスの導入を開始し、箱根湯の花プリンスホテルにおいては、2023年6月より神奈川県で初となるバイナリー発電設備を導入いたしました。また、西武鉄道株式会社においては、2024年1月より西武鉄道全線で使用する全ての電力を100%再生可能エネルギー由来の電力とし、実質CO₂排出ゼロでの運行を開始しております。

 

 当連結会計年度における経営成績の概況は、新型コロナウイルス感染症の5類移行にともなう需要の増加を着実に取り込み、加えて値上げの取り組みにより、営業収益は、4,775億98百万円と前期に比べ491億10百万円の増加(前期比11.5%増)となりました。営業利益は、増収により、477億11百万円と前期に比べ255億56百万円の増加(同115.4%増)となり、償却前営業利益は、1,018億68百万円と前期に比べ246億20百万円の増加(同31.9%増)となりました。

 経常利益は、430億円と前期に比べ228億66百万円の増加(同113.6%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却(前期4銘柄、今期7銘柄)や、前期に計上したザ・プリンス パークタワー東京などの譲渡にともなう反動減などにより、269億90百万円と前期に比べ297億62百万円の減少(同52.4%減)となりました。

 

 各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度よりセグメントの区分を変更しております。

(単位:百万円)

 

 

営業収益

 

 

営業利益

 

償却前営業利益

セグメントの名称

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

 都市交通・沿線事業

148,826

9,625

6.9

13,292

7,762

140.4

34,646

8,621

33.1

 ホテル・レジャー事業

229,265

34,423

17.7

19,477

17,064

707.1

35,082

15,331

77.6

 不動産事業

79,079

3,407

4.5

12,716

865

7.3

24,235

723

3.1

 その他

43,718

4,506

11.5

1,440

850

143.9

5,649

1,033

22.4

 合計

500,890

51,962

11.6

46,927

26,541

130.2

99,614

25,709

34.8

 調整額

△23,291

△2,852

783

△985

△55.7

2,253

△1,089

△32.6

 連結数値

477,598

49,110

11.5

47,711

25,556

115.4

101,868

24,620

31.9

(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。

2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。

3 当連結会計年度より、以下3点につき、グループ内の専門性強化の観点からセグメント区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。

・都市交通・沿線事業に含んでいた西武園ゆうえんち等について、ホテル・レジャー事業へ移管。

・都市交通・沿線事業に含んでいたとしまえん跡地賃貸等について、不動産事業へ移管。

・不動産事業に含んでいた一部ゴルフ場等運営管理について、ホテル・レジャー事業へ移管。

 

①都市交通・沿線事業

 都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2023年3月期

2024年3月期

増減額

 

営業収益

139,200

148,826

9,625

 

 鉄道業

90,805

100,739

9,933

 

 バス業

22,119

23,894

1,775

 

 沿線生活サービス業

19,352

18,190

△1,161

 

 スポーツ業

3,203

2,291

△912

 

 その他

3,719

3,710

△9

(注) 当連結会計年度より、「都市交通・沿線事業の経営改革」にともない、都市交通・沿線事業の内訳を変更しております。前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。

 

 鉄道業では、としまえん跡地に開業した「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」と連携し、池袋駅と豊島園駅のリニューアルやフルラッピング電車「スタジオツアー東京 エクスプレス」の運行を実施し、豊島園駅周辺エリアの活性化に取り組みました。

 バス業では、高速バスの一部減便はあるものの、需要の回復に合わせて運行ダイヤを順次戻し、着実に需要の取り込みができるよう努めました。

 

 都市交通・沿線事業の営業収益は、リモートワークの定着などにより定期利用の回復は限定的であるものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行にともなう需要の増加を着実に取り込み、定期外利用やレジャー施設の利用が進み、1,488億26百万円と前期に比べ96億25百万円の増加(同6.9%増)となりました。なお、鉄道業の旅客輸送人員は前期比5.1%増(うち定期3.9%増、定期外7.0%増)、旅客運輸収入は、前期比11.7%増(うち定期9.6%増、定期外13.2%増)となりました。営業利益は、132億92百万円と前期に比べ77億62百万円の増加(同140.4%増)となり、償却前営業利益は、346億46百万円と前期に比べ86億21百万円の増加(同33.1%増)となりました。

 

 都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。

 

(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)

種別

単位

2023年3月期

2024年3月期

 営業日数

365

366

 営業キロ

キロ

176.6

176.6

 客車走行キロ

千キロ

169,269

169,850

 輸送人員

 定期

千人

335,521

348,589

 定期外

千人

223,539

239,127

千人

559,060

587,716

 旅客運輸収入

 定期

百万円

36,091

39,574

 定期外

百万円

49,121

55,604

百万円

85,212

95,178

 運輸雑収

百万円

3,743

3,528

 収入合計

百万円

88,956

98,706

 一日平均収入

百万円

233

260

 乗車効率

33.7

35.4

(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。

2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。

3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。

 

②ホテル・レジャー事業

 ホテル・レジャー事業の内訳は国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・リース)、スポーツ業(MC・FC)、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2023年3月期

2024年3月期

増減額

 

営業収益

194,841

229,265

34,423

 

 国内ホテル業(保有・リース)

119,439

136,446

17,006

 

 国内ホテル業(MC・FC)

4,981

11,598

6,617

 

 海外ホテル業(保有・リース)

30,050

36,964

6,913

 

 海外ホテル業(MC・FC)

260

457

197

 

 スポーツ業(保有・リース)

16,772

14,695

△2,077

 

 スポーツ業(MC・FC)

738

2,276

1,538

 

 その他

22,597

26,825

4,228

(注) 当連結会計年度より、「都市交通・沿線事業の経営改革」にともない、ホテル・レジャー事業の内訳を変更しております。前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。

 

 国内ホテル業では、ホテルオペレーターである株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが運営をおこなう、G7広島サミットの主会場となったグランドプリンスホテル広島、外相会合の会場となった軽井沢プリンスホテル、気候・エネルギー・環境大臣会合の会場となった札幌プリンスホテルの3ホテルで、観光品質認証制度「サクラクオリティ」及びSDGsを実践する宿泊施設の国際認証「Sakura Quality An ESG Practice(通称:サクラクオリティグリーン)」を同時取得するなどお客さまに安全・安心を追求したサービスを引き続き提供できるよう努めてまいりました。サービスの向上に合わせ、レベニューマネジメントを強化し、値上げに取り組んでおります。引き続き新規出店も進めており、「グランドプリンスホテル大阪ベイ」を2023年7月1日にリブランドオープン、「プリンス スマート イン 宮崎」を2024年2月20日に開業いたしました。

 海外ホテル業では、株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが北野合同建物株式会社の米国法人Kitano Arms Corporationと、ニューヨークのホテル「ザ・プリンス キタノ ニューヨーク(旧:ザ・キタノホテル ニューヨーク)」を2023年12月1日にリブランドオープンいたしました。また、Seibu Prince Hotels Worldwide Asia Pacific Pty Ltd(2024年4月よりステイウェル ホールディングス Pty Ltdから商号変更)がライフスタイル型ブランド「Park Proxi」でオーストラリア初出店となる「Park Proxi Gibraltar Bowral」を2023年9月6日にリブランドオープン、新ブランド「Park Regis by Prince」の1号店となる「Park Regis by Prince Dubai Islands」を2024年2月20日に開業いたしました。

 そのほか、2023年4月1日より株式会社横浜八景島が「西武園ゆうえんち」の運営を受託し、新体制による営業をおこなっております。

 

 ホテル・レジャー事業の営業収益は、国内ホテルにおいて回復に向かう需要に加え、インバウンド需要の着実な取り込みや値上げの取り組みなどにより、2,292億65百万円と前期に比べ344億23百万円の増加(同17.7%増)となりました。なお、国内ホテル業のRevPAR(注)については、13,548円と前期に比べ4,760円増となりました。営業利益は、増収により、194億77百万円と前期に比べ170億64百万円の増加(同707.1%増)となり、償却前営業利益は、350億82百万円と前期に比べ153億31百万円の増加(同77.6%増)となりました。

 

 (注)RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。

 

 ホテル・レジャー事業の国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)の定量的な指標は以下のとおりであります。

 

(国内ホテル業の運営形態別施設概要)

 

施設数

(か所)

客室数

(室)

宴会場数

(室)

宴会場面積

(㎡)

 国内ホテル業

59

20,182

320

78,372

  保有・リース

43

13,690

241

51,665

  MC・FC

16

6,492

79

26,707

 

(国内ホテル業のエリア別施設概要)

 

施設数

(か所)

客室数

(室)

宴会場数

(室)

宴会場面積

(㎡)

 首都圏・中日本

26

10,953

223

48,095

  高輪・品川エリア

4

5,138

103

20,322

 東日本

19

5,614

38

14,252

  軽井沢エリア

3

687

11

3,670

 西日本

14

3,615

59

16,025

 

(注)1  面積1,000㎡以上の宴会場は21室であります。

2  首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。

3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。

4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。

 

(海外ホテル業の施設概要)

 

施設数

(か所)

客室数

(室)

宴会場数

(室)

宴会場面積

(㎡)

 海外ホテル業

28

4,904

94

14,304

  保有・リース

12

1,518

34

5,185

   ハワイエリア

3

1,064

22

4,090

   The Prince Akatoki

1

82

2

115

  MC・FC

16

3,386

60

9,119

(注)1 海外ホテル業(保有・リース)の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiを記載しております。

   2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。

 

(国内ホテル業の運営形態別営業指標)

 

2023年3月期

2024年3月期

RevPAR(円)

 保有・リース

8,634

14,327

 MC・FC

9,729

11,694

宿泊部門全体

8,788

13,548

 

平均販売室料(円)

 保有・リース

16,417

20,454

 MC・FC

17,985

19,225

宿泊部門全体

16,643

20,126

 

客室稼働率(%)

 保有・リース

52.6

70.0

 MC・FC

54.1

60.8

宿泊部門全体

52.8

67.3

(注)1 国内ホテル業のRevPAR及び客室稼働率の算出に用いる客室総数には、行政機関へのホテル客室全室貸出にともない一時営業休止しているホテルの客室を含んでおります。

   2 当連結会計年度より、「都市交通・沿線事業の経営改革」にともない、「掬水亭」は国内ホテル業に区分を変更し、保有・リースに含めております。前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えて比較しております。

 

(国内ホテル業のエリア別営業指標)

 

2023年3月期

2024年3月期

RevPAR(円)

 首都圏・中日本

8,604

15,094

  高輪・品川エリア

6,842

14,095

 東日本

9,551

11,441

  軽井沢エリア

22,882

25,779

 西日本

8,418

10,927

宿泊部門全体

8,788

13,548

 

平均販売室料(円)

 首都圏・中日本

16,579

21,257

  高輪・品川エリア

14,980

19,271

 東日本

17,373

19,844

  軽井沢エリア

32,614

38,628

 西日本

15,769

16,432

宿泊部門全体

16,643

20,126

 

客室稼働率(%)

 首都圏・中日本

51.9

71.0

  高輪・品川エリア

45.7

73.1

 東日本

55.0

57.7

  軽井沢エリア

70.2

66.7

 西日本

53.4

66.5

宿泊部門全体

52.8

67.3

(注)1  首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。

2  高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。

3  軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。

4  国内ホテル業のRevPAR及び客室稼働率の算出に用いる客室総数には、行政機関へのホテル客室全室貸出にともない一時営業休止しているホテルの客室を含んでおります。

5  当連結会計年度より、「都市交通・沿線事業の経営改革」にともない、「掬水亭」は国内ホテル業に区分を変更し、首都圏・中日本に含めております。前期比較については、前期の数値を変更後の区分に組み替えて比較しております。

 

(海外ホテル業の営業指標)

・ハワイエリアの営業指標

 

2023年3月期

2024年3月期

 RevPAR (円)

38,112

44,909

 RevPAR (米ドル)

352.89

345.45

 平均販売室料 (円)

46,414

54,591

 平均販売室料 (米ドル)

429.76

419.93

 客室稼働率 (%)

82.1

82.3

 

 

   ・The Prince Akatoki Londonの営業指標

 

2023年3月期

2024年3月期

 RevPAR (円)

28,141

42,546

 RevPAR (ポンド)

200.38

254.10

 平均販売室料 (円)

50,520

58,000

 平均販売室料 (ポンド)

359.74

346.40

 客室稼働率 (%)

55.7

73.4

     (注)1  海外ホテル業の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiのうち、直営のThe Prince Akatoki Londonを記載しております。

2  ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。

 

(国内ホテル業における宿泊客の内訳)

(単位:名、%)

 

2023年3月期

邦人客

外国人客

 

比率

 

比率

 

比率

宿泊客

3,779,780

89.9

426,683

10.1

4,206,463

100.0

 保有・リース

3,225,252

 

347,720

 

3,572,972

 

 MC・FC

554,528

 

78,963

 

633,491

 

 

 

 

2024年3月期

邦人客

外国人客

 

比率

 

比率

 

比率

宿泊客

3,460,328

71.8

1,361,566

28.2

4,821,894

100.0

 保有・リース

2,361,307

 

1,007,702

 

3,369,009

 

 MC・FC

1,099,021

 

353,864

 

1,452,885

 

 

③不動産事業

 不動産事業の内訳は不動産賃貸業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2023年3月期

2024年3月期

増減額

 

営業収益

75,672

79,079

3,407

 

 不動産賃貸業

42,247

43,698

1,450

 

 その他

33,424

35,381

1,957

(注) 当連結会計年度より、「都市交通・沿線事業の経営改革」にともない、不動産事業の内訳を変更しております。前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。

 

 不動産賃貸業では、西武鉄道沿線の遊休地を活用した賃貸ガレージハウスのプロジェクト第2号物件となる「エミベース 小手指」が2024年2月末に竣工し、3月下旬より入居を開始しております。そのほか、働き方の変化や住まいの新たなニーズの受け皿として提供する賃貸ユニットハウスの第4号物件となる「エミキューブ桜台Ⅱ」が3月下旬に竣工し、4月より入居を開始しております。

 また、PM、BM業務の内製化など、固定費削減策に取り組みました。

 不動産事業の営業収益は、西武造園株式会社における工事出来高の増加や東京ガーデンテラス紀尾井町におけるテナント入居の影響などにより790億79百万円と前期に比べ34億7百万円の増加(同4.5%増)となり、営業利益は、127億16百万円と前期に比べ8億65百万円の増加(同7.3%増)となり、償却前営業利益は、242億35百万円と前期に比べ7億23百万円の増加(同3.1%増)となりました。

 

 不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。

 

(建物賃貸物件の営業状況)

 

期末貸付面積 (千㎡)

期末空室率 (%)

 

2023年3月期

2024年3月期

2023年3月期

2024年3月期

 商業施設

242

256

2.9

1.9

 オフィス・住宅

205

203

2.8

1.6

(注)土地の賃貸は含んでおりません。

 

④その他

 スポーツ事業においては、ベルーナドームを最大限活用したサービスや演出、イベント開催などにより、楽しんでいただけるスポーツ・エンターテインメント体験の提供に努めてまいりました。伊豆箱根事業ではバス事業を中心に回復に向かう観光需要の取り込みに努めたほか、近江事業においては、2024年4月より鉄道事業の公有民営方式による上下分離に移行し、運営を開始しております。

 営業収益は、埼玉西武ライオンズの観客動員数の増加や、グッズ販売の好調などにより、437億18百万円と前期に比べ45億6百万円の増加(同11.5%増)となり、営業利益は、14億40百万円と前期に比べ8億50百万円の増加(同143.9%増)となり、償却前営業利益は、56億49百万円と前期に比べ10億33百万円の増加(同22.4%増)となりました。

 

 また、都市交通・沿線事業及びホテル・レジャー事業におけるスポーツ業、ならびにその他に含まれるスポーツ事業の営業収益の合計は、405億77百万円であり、前期に比べ5億62百万円の増加(同1.4%増)となりました。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(3) 財政状態、経営成績の分析

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。

 

② 財政状態の分析

1 資産

 流動資産は、1,012億63百万円と前連結会計年度末に比べ68億89百万円増加いたしました。その主たる要因は、現金及び預金の増加(70億7百万円)であります。

 固定資産は、1兆5,337億56百万円と前連結会計年度末に比べ402億95百万円増加いたしました。その主たる要因は、投資有価証券の増加(250億93百万円)であります。

 以上の結果、総資産は1兆6,350億19百万円と前連結会計年度末に比べ471億84百万円増加いたしました。

 

2 負債

 流動負債は、3,851億6百万円と前連結会計年度末に比べ172億38百万円増加いたしました。その主たる要因は、前受金の増加(155億60百万円)であります。

 固定負債は、8,177億78百万円と前連結会計年度末に比べ245億54百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(328億65百万円)であります。

 以上の結果、負債合計は1兆2,028億85百万円と前連結会計年度末に比べ73億15百万円減少いたしました。

 

3 純資産

 純資産は、4,321億33百万円と前連結会計年度末に比べ545億円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(269億90百万円)であります。

 なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.6ポイント上昇し26.1%となっております。

 

③ 経営成績の分析

1 営業収益及び営業利益

 営業収益は、新型コロナウイルス感染症の5類移行にともなう需要の増加を着実に取り込むとともに、値上げの取り組みにより、4,775億98百万円(前期比11.5%増)となり、営業利益は増収による増益により、477億11百万円(同115.4%増)となりました。

 なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。

 

2 営業外損益及び経常利益

 営業外収益は、感染拡大防止協力金受入額の減少(14億12百万円)などにより、44億94百万円(同35.6%減)となり、営業外費用は、92億5百万円(同2.3%増)となりました。

 以上の結果、経常利益は430億円(同113.6%増)となりました。

 

3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益は、固定資産売却益の減少(730億57百万円)などにより、233億98百万円(同71.9%減)となりました。

 特別損失は、減損損失の減少(197億87百万円)などにより、227億56百万円(同45.0%減)となりました。

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は436億42百万円(同29.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は269億90百万円(同52.4%減)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ60億89百万円増加し、当連結会計年度末には318億30百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益436億42百万円に、減価償却費や法人税等の支払額などを調整した結果、919億75百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ248億8百万円の資金収入の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の売却による収入の減少などにより、439億33百万円の資金支出(前連結会計年度は、878億54百万円の資金収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、424億38百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ1,747億82百万円の資金支出の減少となりました。その主たる要因は、借入金の返済の減少であります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性について

(キャピタルリサイクルの実施)

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の「西武グループ長期戦略2035」のとおり、当社グループは不動産事業を核として持続的な成長を実現するため、資本効率性を追求し、保有前提のビジネスモデルから、保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルへ転換してまいります。東京ガーデンテラス紀尾井町をはじめとして聖域なき流動化の検討、キャピタルリサイクルの実施により得られた資金を再投資に振り向け、不動産価値を最大化してまいります。

 

(資金調達〈キャッシュイン〉)

 金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向などを総合的に勘案しながら決定しており、加えて、鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な資金を確保しております。

 今後については、既存事業に加え、MC(マネジメントコントラクト)を中心とした国内外250ホテル体制の実現や、開発済み物件・新規取得物件の流動化により、営業キャッシュ・フローを最大化してまいります。また、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化をはじめとした不動産回転型ビジネスで得た資金を積極的に活用し、借入を極力抑制してまいります。

 

(資金使途〈キャッシュアウト〉)

 当連結会計年度は総額613億9百万円の設備投資を実施いたしました。鉄道業においては、アフターコロナを見据え、より一層の安全・安定輸送の実現、環境負荷の削減を目指すとともに、おでかけしたくなる駅・まちづくり、及び次世代に向けた技術革新に充当しております。加えて、それら事業の根本にある職場環境の改善や、従業員の満足度向上を企図して設備投資を実施してまいりました。不動産事業においてもエミテラス所沢(所沢駅西口開発計画)などへの沿線価値向上を目指した設備投資を継続的におこなっております。

 なお、当事業年度の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、1株当たりの普通配当を25円としております。

 今後については、営業キャッシュ・フローで得た資金を活用し、不動産事業での都心再開発や西武鉄道沿線の再開発、リゾート開発、ホテル・レジャー事業でのホテル改装、海外ホテルのM&A、都市交通・沿線事業の沿線価値向上施策、デジタル化などに積極的に投資してまいります。また、株主還元として2025年3月期の配当予想を1株当たり配当金30円とし、DOE2.0%を下限とする累進配当を導入することで、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を実現してまいります。自己株式の取得については、バランスシートの状況を踏まえ機動的に実施してまいります。

 

(資金の流動性)

 鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。

 

 

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

 西武グループは2014年4月23日の東証一部への株式上場後、2016年の東京ガーデンテラス紀尾井町開業、2017年のステイウェル社(2024年4月よりSeibu Prince Hotels Worldwide Asia Pacific Pty Ltdに商号変更しております。)の子会社化、2019年の新型特急車両「Laview」の運行開始など、様々な施策を展開し、収益基盤を拡大しながら着実に成長を遂げてまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、当社グループを取り巻く事業環境はここ数年で大きく変化しております。そうした中で、私たちはスピード感を持って2023年度を最終年度とする「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」で掲げた、「経営改革」「デジタル経営」「サステナビリティ」の3点を骨子とした取り組みを推進してまいりました。特に「経営改革」における組織再編、事業

構造の転換を土台として、将来へ向けた次なる成長、発展の準備を進めてまいりました。

 有価証券報告書提出日現在、コロナ禍で生じた価値変容・行動変容の定着に加え、地政学リスク、技術革新や日本国内の少子高齢化の加速、SDGs(持続可能な開発目標)・カーボンニュートラル(脱炭素社会)への意識の高まり、低PBRの是正など、社会経済環境や事業環境は急速に変化し、将来予想が非常に困難な時代、いわゆる「VUCAの時代」に突入しております。

 その中で、概ね10年後の2035年度を見据え、西武グループのありたい姿(アウトカム)として「Resilience & Sustainability -安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する-」を設定いたしました。あらゆる状況下においても対応できる力「Resilience(レジリエンス)」と、それをもとに持続的に成長できる力「Sustainability(サステナビリティ)」を兼ね備えた企業グループを目指してまいります。

 様々な社会課題が待ち受ける中、その変化に打ち勝ち、持続的な成長を遂げるべく、所有する優良な沿線地盤、所有土地を活かした「まちづくり」を通じて、沿線価値、事業エリア(都心、リゾート)の価値向上をはかることが今後の成長の鍵となります。こうした背景から我々は、不動産事業を核とした成長戦略からなる「西武グループ長期戦略2035」を策定いたしました。具体的には、資本効率性を追求し、保有前提のビジネスモデルから脱却し、保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルへ転換いたします。また、東京ガーデンテラス紀尾井町をはじめとして聖域なき流動化の検討をするとともに、キャピタルリサイクル実施により、事業ポートフォリオの最適化を実現してまいります。

 また、不動産事業をはじめとした各事業の成長のためには、企業の成長の源泉である「人の力」、社員一人一人の成長による組織の成長が欠かせないと考えております。そのために「はたらく人を、ほほえむ人へ。」のスローガンのもと「西武グループ人財戦略」を策定いたしました。社員一人一人の「スキルの向上」を目指すとともに、働きがい(エンゲージメント)がある組織で「やる気の向上」を実現してまいります。これらを通じて、社員一人一人の成長を後押しし、当社グループの成長に繋げてまいります。

 当社グループは、グループの基盤の強化をはかるため、これまで「安全・安心なサービス提供」「多様な人財育成・活用」「コンプライアンスと協働」といった3テーマに重点を置いてきましたが、これらのテーマに加え、今回は「脱炭素・資源有効活用」、「住みたいまち・訪れたいまちづくり」、「五感を揺さぶる体験創造」という3つの成長に資するテーマを新たに加えマテリアリティとして設定いたしました。

 

 「脱炭素・資源有効活用」においては、社会課題である温暖化を筆頭とした環境問題に対し、森林活用等、グループの強みを活かし、積極的に対応を進めてまいります。「住みたいまち・訪れたいまちづくり」というテーマでは、西武鉄道沿線に加え、都心や日本を代表する観光地において所有する豊富なアセットの価値を開発によって高め、多くの人たちにとってかけがえのない空間を創造してまいります。「五感を揺さぶる体験創造」では、インバウンドの増加、充実感の追求など、求められる価値の多様化に対応すべく、プリンスホテルは「日本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン」として体験価値を提供し、埼玉西武ライオンズはコンテンツを通じ、多くのファンを惹きつけ、お客さまにかけがえのない時間を創造してまいります。

 これらマテリアリティに取り組むことで「西武グループらしさ」を創出し、お客さまに西武グループを選んでいただける、その源になり、それが価値創造につながると考えております。

 

 当社グループは、事業を通じて人々の生活に夢と希望を提供し、社会の発展に貢献し続けることで、株主さまをはじめとしてすべてのステークホルダーの期待に応え、社会的価値と株主価値の極大化に努めてまいります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1 報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が

入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検

討をおこなう対象となっているものであります。

 当社グループは、国内外において事業活動を展開しており、それぞれの事業の特性、位置付け及び事業規模などを考慮し、「都市交通・沿線事業」、「ホテル・レジャー事業」及び「不動産事業」の3つを報告セグメントとしております。

 なお、当連結会計年度より、以下3点につき、グループ内の専門性強化の観点からセグメント区分を変更していることから、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えております。

・都市交通・沿線事業に含んでいた西武園ゆうえんち等について、ホテル・レジャ

ー事業へ移管。

・都市交通・沿線事業に含んでいたとしまえん跡地賃貸等について、不動産事業へ

移管。

・不動産事業に含んでいた一部ゴルフ場等運営管理について、ホテル・レジャー事

業へ移管。

 報告セグメント及びその主要な事業内容は次のとおりであります。

 ①都市交通・沿線事業 ・・・・ 鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、

スポーツ業など

 ②ホテル・レジャー事業 ・・・ 国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業

(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、

海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・

リース)、スポーツ業(MC・FC)など

 ③不動産事業 ・・・・・・・・ 不動産賃貸業など

 

2 報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法

  報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、在外子会社等の収益及び費用の本邦通貨への換算処理の取扱いを除き、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。

 在外子会社等の収益及び費用の本邦通貨への換算処理の取扱いについては、主に予算作成時において想定した為替相場に基づいた数値であります。

 セグメント間の内部営業収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 報告セグメントの利益は、営業利益と概ね同一の数値であります。

 

3 報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報

 

 前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

都市交通

・沿線事業

ホテル・

レジャー

事業

不動産事業

その他

(注)1

合計

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

(注)3

営業収益

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

131,640

197,736

64,398

34,712

428,487

428,487

セグメント間の内部営業収益又は振替高

7,560

2,894

11,273

4,499

20,439

20,439

139,200

194,841

75,672

39,212

448,927

20,439

428,487

セグメント利益

5,530

2,413

11,851

590

20,386

1,768

22,155

セグメント資産

571,744

582,658

402,400

69,876

1,626,680

38,845

1,587,834

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

20,494

17,337

11,660

4,024

53,518

1,122

54,641

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

28,223

22,212

4,037

5,381

59,855

11,299

48,555

 (注)1 「その他」の区分には、伊豆箱根事業、近江事業、スポーツ事業及び新規事業を含んでおります。

    2 調整額の内容は以下のとおりであります。

       (1) 営業収益の調整額△20,439百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (2) セグメント利益の調整額1,768百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (3) セグメント資産の調整額△38,845百万円については、主に連結会社間取引消去等でありま

        す。また、各報告セグメントに配分していない当社の余剰運用資金(現金及び預金)等の全

        社資産は18,377百万円であります。

       (4) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額△11,299百万円については、主に連結会

        社間取引消去等であります。

    3 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっております。

 

 

 当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

都市交通

・沿線事業

ホテル・

レジャー

事業

不動産事業

その他

(注)1

合計

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

(注)3

営業収益

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

144,541

226,071

68,309

38,675

477,598

477,598

セグメント間の内部営業収益又は振替高

4,284

3,193

10,770

5,043

23,291

23,291

148,826

229,265

79,079

43,718

500,890

23,291

477,598

セグメント利益

13,292

19,477

12,716

1,440

46,927

783

47,711

セグメント資産

606,154

577,741

413,369

68,112

1,665,378

30,358

1,635,019

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

21,353

15,605

11,519

4,208

52,686

851

53,538

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

32,087

14,501

11,923

2,203

60,716

592

61,309

 (注)1 「その他」の区分には、伊豆箱根事業、近江事業、スポーツ事業及び新規事業を含んでおります。

    2 調整額の内容は以下のとおりであります。

       (1) 営業収益の調整額△23,291百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (2) セグメント利益の調整額783百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (3) セグメント資産の調整額△30,358百万円については、主に連結会社間取引消去等でありま

        す。また、各報告セグメントに配分していない当社の余剰運用資金(現金及び預金)等の全

        社資産は12,308百万円であります。

       (4) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額592百万円については、主に連結会社間

        取引消去等であります。

    3 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっております。

 

【関連情報】

Ⅰ 前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 営業収益

 本邦の外部顧客への営業収益が連結損益計算書の営業収益の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

Ⅱ 当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 営業収益

 本邦の外部顧客への営業収益が連結損益計算書の営業収益の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

都市交通

・沿線事業

ホテル・

レジャー

事業

不動産事業

その他

全社・消去

合計

減損損失

36,000

453

611

37,066

 (注) 「その他」の金額は、伊豆箱根事業及び近江事業に係る金額であります。

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

都市交通

・沿線事業

ホテル・

レジャー

事業

不動産事業

その他

全社・消去

合計

減損損失

15,097

2,063

117

17,278

 (注) 「その他」の金額は、伊豆箱根事業及び近江事業に係る金額であります。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

重要性がないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

重要性がないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自  2022年4月1日  至  2023年3月31日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

該当事項はありません。