2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

不動産事業 ホテル・レジャー事業 都市交通・沿線事業 その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
不動産事業 480,608 51.9 237,617 88.1 49.4
ホテル・レジャー事業 241,259 26.1 18,640 6.9 7.7
都市交通・沿線事業 152,667 16.5 11,315 4.2 7.4
その他 51,297 5.5 2,064 0.8 4.0

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、連結子会社83社、持分法適用関連会社2社、持分法非適用非連結子会社2社の88社で構成されており、西武グループの経営理念を表したものであると同時に、私たちが取り組むすべての活動の出発点、目指すべきゴールを示すものとして2006年に定めた「グループビジョン」のスローガン「でかける人を、ほほえむ人へ。」のもと、お客さまの“行動”と“感動”を創り出すことを目指し、不動産事業やホテル・レジャー事業、都市交通・沿線事業及びその他の事業をおこなっております。

 当社は純粋持株会社として、「戦略機能」「効率化・適正化機能」「広報・IR機能」「コンプライアンス体制の確立・推進機能」と、4つの機能を有しております。適切なガバナンス体制のもと、これらの機能を発揮することで、グループの企業価値極大化に向けたコントロールをおこなっております。

 当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

 なお、当連結会計年度より、2024年4月より連結子会社化した株式会社DAY ONEとともにペット事業をリモデルするため、株式会社西武ペットケアのセグメント区分を「ホテル・レジャー事業」から「その他」へ変更しております。

 

 以上の変更を踏まえた、当社グループが営んでいる主要な事業内容と、当該事業にかかわる各社の位置付けは次のとおりであります。

 

(1) 不動産事業 (12社)

 不動産事業は、開発・賃貸業、投資運用業、マネジメント業、その他で構成されます。

 開発・賃貸業では、高輪・品川エリアをはじめとする不動産開発及び不動産回転型ビジネスにおける取得物件の運営・バリューアッドに加え、商業施設(軽井沢・プリンスショッピングプラザやエミテラス所沢)、駅構内や高架下の店舗(グランエミオ所沢など)、駅チカ保育所「Nicot」、賃貸マンション(エミリブ石神井公園など)、駅ビルに関連する施設(BIGBOX高田馬場など)に加え、大規模オフィスビル(ダイヤゲート池袋)などを株式会社西武リアルティソリューションズが運営しております。また、不動産回転型ビジネスにおいて新規物件の取得・バリューアッドなどをおこなっております。

 投資運用業では、不動産回転型ビジネスにおいて新規物件の取得・保有不動産の流動化をおこなっております。また、西武鉄道沿線やリゾート土地の分譲などをおこなっております。

 マネジメント業では、当社グループ及び第三者の保有する物件において、アセットマネジメント業やプロパティマネジメント・コンストラクションマネジメント業、ビルマネジメント業をおこなっております。

 その他では、造園工事の設計・施工及び国営公園などの維持管理・運営管理などをおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

株式会社西武リアルティソリューションズ、西武鉄道株式会社、株式会社西武不動産投資顧問、株式会社西武不動産プロパティマネジメント、株式会社西武SCCAT、西武造園株式会社

 

(2) ホテル・レジャー事業 (41社)

 ホテル・レジャー事業は、国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・リース)、スポーツ業(MC・FC)、その他で構成されます。

 国内ホテル業(保有・リース)では、当社グループの保有する物件やグループ外からのリース物件において、プリンスホテルブランドを活用し、日本最大級のホテルチェーンを運営しております。

 国内ホテル業(MC・FC)では、ザ・プリンス パークタワー東京など、グループ外からホテル運営を受託しております。

 海外ホテル業(保有・リース)では、米国ハワイ州(オアフ島、ハワイ島)において、プリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾート及びそれぞれに付設するゴルフコースの運営などをおこなっております。また、「The Prince Akatoki London」などの運営をおこなっております。

 海外ホテル業(MC・FC)では、オーストラリアなどでホテルを展開しているほか、台湾及び中国でフランチャイズ方式を活用しプリンスホテルを展開しております。

 スポーツ業(保有・リース)では、当社グループが保有する川奈ホテルゴルフコースなどのゴルフ場を運営しているほか、富良野スキー場などのスキー場の運営をおこなっております。

 スポーツ業(MC・FC)では、北海道カントリークラブなどのゴルフ場や、苗場スキー場などのスキー場の運営をグループ外から受託しております。

 その他では、西武園ゆうえんち、箱根園及び横浜・八景島シーパラダイス等のレジャー施設の運営をおこなっております。また、海外においては、台湾で都市型水族館「Xpark」の運営をおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド、株式会社西武リアルティソリューションズ、PRINCE RESORTS HAWAII, INC.、HAWAII PRINCE HOTEL WAIKIKI LLC、MAUNA KEA RESORT LLC、

Seibu Prince Hotels Worldwide Asia Pacific Pty Ltd、株式会社横浜八景島、Taiwan Yokohama Hakkeijima Inc.

 

(3) 都市交通・沿線事業 (16社)

 都市交通・沿線事業は、鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他で構成されます。

 鉄道業では、西武鉄道株式会社が、東京都北西部と埼玉県南西部において12路線、営業キロ176.6㎞、92駅の鉄道路線で旅客輸送をおこなっております。バス業とあわせ、通勤・通学や観光などお客さまの生活に欠かせない公共交通機関として事業を展開しております。

 バス業では、西武バス株式会社などが、西武鉄道沿線を中心に路線バスのネットワークを形成して、バスの運行をおこなっております。

 沿線生活サービス業では、西武鉄道沿線において、駅ナカコンビニ「トモニー」の運営などをおこなっております。

 スポーツ業では、西武鉄道沿線において、狭山スキー場やフィットネスクラブなどのスポーツ施設の運営などをおこなっております。

 その他では、タクシー及びハイヤーの運行などをおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

西武鉄道株式会社、西武バス株式会社、西武レクリエーション株式会社、西武ハイヤー株式会社

(4) その他 (21社)

 伊豆・箱根エリアにおいて、2路線、営業キロ29.4kmの鉄道旅客輸送、バス、タクシーの運行及びレジャー施設の運営など伊豆箱根事業をおこなっております。

 滋賀県琵琶湖エリアにおいて、3路線、営業キロ59.5kmの鉄道旅客輸送、バス、タクシーの運行及び不動産賃貸など近江事業をおこなっております。

 スポーツ事業においては、プロ野球球団である埼玉西武ライオンズを運営し、ベルーナドームを本拠地としてプロ野球の興行及びイベント開催などをおこなっているほか、多目的イベントホール「横浜アリーナ」の運営管理をおこなっております。

 そのほか、新規事業として、当社グループの新規事業分野創出に向けた取り組みをおこなっております。

 

[ 主な会社 ]

伊豆箱根鉄道株式会社、近江鉄道株式会社、株式会社西武ライオンズ、株式会社横浜アリーナ、株式会社ブルーインキュベーション、奥ジャパン株式会社

 

 以上の企業集団の状況について事業系統図を示すと次のとおりになります。

 

 

 ※上記部門の会社数には、西武鉄道㈱、西武バス㈱及び㈱西武リアルティソリューションズが重複して含まれております。

 ※コーポレート・ガバナンスの向上、株主価値・資本効率向上の観点から、当社と㈱NWコーポレーション(以下、「NW社」という。)との関係(相互に株式を保有する関係)の在り方を見直し、2024年8月及び9月にNW社株式の追加取得によりNW社を連結子会社化いたしました。

 

 なお、2025年4月1日より株式会社西武リアルティソリューションズは株式会社西武不動産、株式会社西武SCCATは株式会社西武不動産ビルマネジメントに商号変更しております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  (1) 業績

 当社グループは、メガトレンドや昨今の経営環境の変化に対し、グループの持つ強みを生かし、社会的価値と企業価値を極大化していくため、不動産事業を核とした成長戦略からなる「西武グループ長期戦略2035」(以下、「長期戦略」)を2024年5月9日に策定いたしました。2035年のありたい姿(アウトカム)を「Resilience & Sustainability」とし、「安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する」企業グループを目指してまいります。

 当連結会計年度においては、長期戦略における「種まき期」の「西武グループ中期経営計画(2024~2026年度)」の1年目として、株価や資本コストを重視した経営をおこない、今後とも持続的かつ健全な成長を目指していく上で、以下4点の取り組みを進めてまいりました。

 

<長期戦略及び中期経営計画の取り組み>

 

①不動産事業を核として持続的な成長を実現

 2025年2月28日に株式会社西武リアルティソリューションズ(2025年4月1日より株式会社西武不動産に商号変更)が、収益の極大化を企図するとともに、西武グループの不動産回転型ビジネスの推進による西武グループ全体の企業価値を向上させることを目的とし、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実行いたしました。また、当社グループのキャピタルリサイクルモデルの実現に向けた体制整備として、2024年10月1日にアセットマネジメント機能を有する「株式会社西武不動産投資顧問」、PM/BM/CMを融合させた質の高いサービスをワンストップで提供するため、2024年11月15日に不動産運営会社である「株式会社西武不動産プロパティマネジメント」を設立いたしました。あわせて、当社グループのキャピタルリサイクルの流れを本格化する仕組みの整備に向けて、モルガン・スタンレー・キャピタル株式会社(以下、「MSC」)及び MSC又はMSCの関係会社が運営もしくは助言をおこなう不動産ファンド(以下、「PRIME Asia」)の間で、パートナーシップに関する基本合意書を締結いたしました。

 さらには、事業ポートフォリオの最適化を実現するため、当連結会計年度より、資本効率性の判断材料として、西武ROIC※を導入いたしました。

 ※ 営業利益×0.7/(有形無形固定資産*+販売用不動産)

  *負担金工事の前受金分(固定資産を圧縮する金額)を控除

 

②インバウンド需要の取り込み、値上げの継続、国内外250ホテル体制の構築(MC拡大)によるホテル・レジャー事業の収益性向上

 国内ホテル業における堅調なインバウンド需要の取り込みや値上げの取り組みなどに加え、今後250ホテル体制を目指すにあたり、H.A.アドバイザーズ株式会社の阿部博秀氏をエグゼクティブアドバイザーとして迎えております。また、2024年6月18日に株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが、「プリンス スマート イン 名古屋栄」を開業いたしました。

 さらには、ホテル・レジャー部門の顧客化や相互送客を強化することを企図し、株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが、当社の国内を中心とした会員プログラム及びオーストラリアを拠点とする子会社 Seibu Prince Hotels Worldwide Asia Pacific Pty Ltdや米国・ハワイ州にあるガバナンス会社 Prince Resorts Hawaii Inc.の会員プログラムを統合し、国内外共通会員プログラム「Seibu Prince Global Rewards(セイブ プリンス グローバル リワーズ)」を創設し、「Seibu Prince Global Rewards」及びSeibu Prince Global Rewards アプリの運用を2024年4月25日より開始いたしました。

 

③企業価値向上につながる成長投資を優先しつつ、株主還元の安定性および継続的な強化を図る

 DOE2.0%を下限とする累進配当を導入しており、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を実現していくことを配当方針としております。そして、当事業年度の年間配当金につきましては、株主へ長期継続的に還元することを意識し、1株当たり40円(中間配当金15円、期末配当金25円)といたしました。

 また、自己株式取得につきましては、バランスシートの状況を踏まえ、機動的に実施することとしておりますが、資本効率性の向上(BSコントロール、ROE・EPS向上)を企図し、2024年12月13日より700億円の自己株式取得を実施しております。

 

④新たな長期戦略・中期経営計画を実行するための基盤となるコーポレート・ガバナンスを強化

 コーポレート・ガバナンスの強化に向けて、不動産事業の体制を強化すべく、2024年6月21日付で石原雅行氏を取締役に選任いたしました。あわせて、2024年6月21日付で、新たに小林洋子氏、高橋雅美氏及び池田唯一氏が社外取締役に就任し、社外取締役比率が上昇しております。

 そして、筆頭株主である株式会社NWコーポレーション(以下、「NW社」)との関係の在り方を見直し、当連結会計年度にNW社の株式の追加取得をおこない、連結子会社化いたしました。

 

 当連結会計年度における経営成績の概況は、国内ホテル業における堅調なインバウンド需要の取り込みや鉄道業における定期外収入の好調などに加え、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともない、営業収益は、9,011億31百万円と前期に比べ4,235億32百万円の増加(前期比88.7%増)となりました。営業利益は、増収により、2,927億35百万円と前期に比べ2,450億23百万円の増加(同513.6%増)となり、償却前営業利益は、3,471億25百万円と前期に比べ2,452億57百万円の増加(同240.8%増)となりました。

 経常利益は、2,876億39百万円と前期に比べ2,446億39百万円の増加(同568.9%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、増収に加え、NW社株式の追加取得にともなう連結子会社化により、2,581億82百万円と前期に比べ2,311億91百万円の増加(同856.6%増)となりました。

 

 各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度よりセグメントの区分を変更しております。

(単位:百万円)

 

 

営業収益

 

 

営業利益

 

償却前営業利益

セグメントの名称

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

当連結

会計年度

前期比

増減

前期比

増減率 (%)

 不動産事業

480,608

401,528

507.8

237,617

224,900

248,118

223,882

923.8

 ホテル・レジャー事業

241,259

13,149

5.8

18,640

△840

△4.3

33,708

△1,359

△3.9

 都市交通・沿線事業

152,667

3,841

2.6

11,315

△1,977

△14.9

33,962

△683

△2.0

 その他

51,297

6,423

14.3

2,064

627

43.6

6,625

962

17.0

 合計

925,832

424,942

84.8

269,637

222,709

474.6

322,415

222,801

223.7

 調整額

△24,701

△1,409

23,097

22,314

24,709

22,455

996.4

 連結数値

901,131

423,532

88.7

292,735

245,023

513.6

347,125

245,257

240.8

(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。

2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。

3 当連結会計年度より、2024年4月より連結子会社化した株式会社DAY ONEとともにペット事業をリモデルするため、株式会社西武ペットケアのセグメントを「ホテル・レジャー事業」から「その他」へ変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。

 

①不動産事業

 不動産事業の内訳は開発・賃貸業、投資運用業、マネジメント業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2024年3月期

2025年3月期

増減額

 

営業収益

79,079

480,608

401,528

 

 開発・賃貸業

43,869

44,345

476

 

 投資運用業

2,219

403,263

401,044

 

 マネジメント業

8,059

8,353

293

 

 その他

24,931

24,645

△286

(注) 当連結会計年度より、キャピタルリサイクルの実施にともない、不動産事業の内訳を変更しております。前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。

 

 開発・賃貸業では、当社グループが手掛ける所沢エリア開発の集大成となる「エミテラス所沢」を2024年9月24日に開業いたしました。また、将来的な流動化を見据えた新規物件の取得を5件実施いたしました。新規取得した物件につきましては、バリューアッドを実施し、物件価値向上をはかってまいります。

 投資運用業では、収益の極大化を企図するとともに、西武グループの不動産回転型ビジネスの推進による西武グループ全体の企業価値を向上することを目的とし、2025年2月28日に東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実行いたしました。

 マネジメント業では、アセットマネジメント業及びビルマネジメント業をおこなっており、不動産事業の各機能の専門性強化を目的に2025年4月1日に組織再編をおこないました。

 

 不動産事業の営業収益は、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともない、4,806億8百万円と前期に比べ4,015億28百万円の増加(同507.8%増)となりました。営業利益は、増収により、2,376億17百万円と前期に比べ2,249億円の増加(前期は、営業利益127億16百万円)となり、償却前営業利益は、2,481億18百万円と前期に比べ2,238億82百万円の増加(同923.8%増)となりました。

 

 不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。

 

(建物賃貸物件の営業状況)

 

期末貸付面積 (千㎡)

期末空室率 (%)

 

2024年3月期

2025年3月期

2024年3月期

2025年3月期

 商業施設

256

290

1.9

1.6

 オフィス・住宅

203

111

1.6

2.9

(注) 土地の賃貸は含んでおりません。当連結会計年度の期末貸付面積(オフィス・住宅)の減少及び期末空室率(オフィス・住宅)の増加については、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化によるものです。

 

②ホテル・レジャー事業

 ホテル・レジャー事業の内訳は国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・リース)、スポーツ業(MC・FC)、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2024年3月期

2025年3月期

増減額

 

営業収益

228,109

241,259

13,149

 

 国内ホテル業(保有・リース)

136,446

151,698

15,252

 

 国内ホテル業(MC・FC)

11,598

12,892

1,293

 

 海外ホテル業(保有・リース)

36,964

33,933

△3,030

 

 海外ホテル業(MC・FC)

457

529

72

 

 スポーツ業(保有・リース)

14,695

15,551

855

 

 スポーツ業(MC・FC)

2,276

2,447

170

 

 その他

25,670

24,205

△1,464

(注) 2024年3月期より、ホテル・レジャー事業の内訳を変更しております。また、当連結会計年度より、2024年4月に連結子会社化した株式会社DAY ONEとともにペット事業をリモデルするため、株式会社西武ペットケアのセグメントを「ホテル・レジャー事業」から「その他」へ変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。

 

 国内ホテル業では、お客さまに非日常体験を提供できるように努め、ホテルオペレーターである株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが運営をおこなう、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町、ザ・ホテル青龍 京都清水の2ホテルで、ミシュランガイドが発表したアジア初のミシュランガイドホテルセレクションにおいて、1ミシュランキー(ワンミシュランキー)に認定されるなど、国際的に高い評価を獲得いたしました。また、サービスの向上に合わせ、レベニューマネジメントを強化し、値上げに取り組んでおります。新規出店も進めており、「プリンス スマート イン 名古屋栄」を2024年6月18日に開業いたしました。そのほか、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともなう資金を活用し、建物機能の維持・向上を企図した修繕等(約44億円)をおこないました。

 海外ホテル業では、2025年度のオープンに向けて、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を開始いたしました。

 そのほか、2024年4月25日より国内外共通会員プログラム「Seibu Prince Global Rewards(セイブ プリンス グローバル リワーズ)」を開始いたしました。

 

 ホテル・レジャー事業の営業収益は、国内ホテル業における堅調なインバウンド需要の取り込みや値上げの取り組みなどにより、2,412億59百万円と前期に比べ131億49百万円の増加(同5.8%増)となりました。営業利益は、増収ではあったものの、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化にともなう資金を活用し、建物機能の維持・向上を企図した修繕等をおこなったことなどにより、186億40百万円と前期に比べ8億40百万円の減少(同4.3%減)となり、償却前営業利益は、337億8百万円と前期に比べ13億59百万円の減少(同3.9%減)となりました。

 

 ホテル・レジャー事業の国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)の定量的な指標は以下のとおりであります。

 

(国内ホテル業の運営形態別施設概要)

 

施設数

(か所)

客室数

(室)

宴会場数

(室)

宴会場面積

(㎡)

 国内ホテル業

60

20,258

319

78,094

  保有・リース

42

13,303

238

51,022

  MC・FC

18

6,955

81

27,072

 

(国内ホテル業のエリア別施設概要)

 

施設数

(か所)

客室数

(室)

宴会場数

(室)

宴会場面積

(㎡)

 首都圏・中日本

26

10,928

222

47,817

  高輪・品川エリア

4

5,138

101

20,000

 東日本

19

5,502

38

14,252

  軽井沢エリア

3

687

11

3,670

 西日本

15

3,828

59

16,025

 

(注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は21室であります。

2 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。

3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。

4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。

 

(海外ホテル業の施設概要)

 

施設数

(か所)

客室数

(室)

宴会場数

(室)

宴会場面積

(㎡)

 海外ホテル業

26

3,910

87

13,791

  保有・リース

12

1,499

33

4,932

   ハワイエリア

3

1,064

22

4,090

   The Prince Akatoki

1

82

3

162

  MC・FC

14

2,411

54

8,859

(注)1 海外ホテル業(保有・リース)の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiを記載しております。

2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。

 

(国内ホテル業の運営形態別営業指標)

 

2024年3月期

2025年3月期

RevPAR(円)

 保有・リース

14,327

16,852

 MC・FC

11,694

13,809

宿泊部門全体

13,548

15,919

 

平均販売室料(円)

 保有・リース

20,454

22,622

 MC・FC

19,225

21,184

宿泊部門全体

20,126

22,221

 

客室稼働率(%)

 保有・リース

70.0

74.5

 MC・FC

60.8

65.2

宿泊部門全体

67.3

71.6

 

 

(国内ホテル業のエリア別営業指標)

 

2024年3月期

2025年3月期

RevPAR(円)

 首都圏・中日本

15,094

18,235

  高輪・品川エリア

14,095

17,362

 東日本

11,441

13,181

  軽井沢エリア

25,779

29,959

 西日本

10,927

12,038

宿泊部門全体

13,548

15,919

 

平均販売室料(円)

 首都圏・中日本

21,257

24,131

  高輪・品川エリア

19,271

21,389

 東日本

19,844

21,708

  軽井沢エリア

38,628

44,195

 西日本

16,432

16,789

宿泊部門全体

20,126

22,221

 

客室稼働率(%)

 首都圏・中日本

71.0

75.6

  高輪・品川エリア

73.1

81.2

 東日本

57.7

60.7

  軽井沢エリア

66.7

67.8

 西日本

66.5

71.7

宿泊部門全体

67.3

71.6

(注)1 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。

2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。

3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。

 

(海外ホテル業の営業指標)

・ハワイエリアの営業指標

 

2024年3月期

2025年3月期

 RevPAR (円)

44,909

43,358

 RevPAR (米ドル)

345.45

321.17

 平均販売室料 (円)

54,591

53,939

 平均販売室料 (米ドル)

419.93

399.54

 客室稼働率 (%)

82.3

80.4

 

 

The Prince Akatoki Londonの営業指標

 

2024年3月期

2025年3月期

 RevPAR (円)

42,546

44,851

 RevPAR (ポンド)

254.10

246.66

 平均販売室料 (円)

58,000

61,083

 平均販売室料 (ポンド)

346.40

335.92

 客室稼働率 (%)

73.4

73.4

(注)1 海外ホテル業の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiのうち、直営のThe Prince Akatoki Londonを記載しております。

2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。

 

(国内ホテル業における宿泊客の内訳)

(単位:名、%)

 

2024年3月期

邦人客

外国人客

 

比率

 

比率

 

比率

宿泊客

3,460,328

71.8

1,361,566

28.2

4,821,894

100.0

 保有・リース

2,361,307

 

1,007,702

 

3,369,009

 

 MC・FC

1,099,021

 

353,864

 

1,452,885

 

 

 

 

2025年3月期

邦人客

外国人客

 

比率

 

比率

 

比率

宿泊客

3,320,629

66.6

1,665,633

33.4

4,986,262

100.0

 保有・リース

2,238,258

 

1,179,196

 

3,417,454

 

 MC・FC

1,082,371

 

486,437

 

1,568,808

 

 

③都市交通・沿線事業

 都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

2024年3月期

2025年3月期

増減額

 

営業収益

148,826

152,667

3,841

 

 鉄道業

100,739

104,238

3,499

 

 バス業

23,894

24,877

982

 

 沿線生活サービス業

18,190

17,228

△962

 

 スポーツ業

2,291

2,461

170

 

 その他

3,710

3,861

151

(注) 2024年3月期より、都市交通・沿線事業の内訳を変更しております。

 

 鉄道業では、永続的に鉄道事業を運営し、お客さまへ良質かつ快適なサービスを提供するため、2026年3月(予定)の改定実施に向けて、2025年3月に鉄道旅客運賃の変更認可申請をおこないました。また、ホームドア整備、車内防犯カメラ設置をはじめとした安全・安心なサービスのさらなる追求のための設備投資を着実に実行し、2024年12月よりクレジットカードやスマートフォン等で利用可能なタッチ決済による乗車サービスの実証実験を開始する等、DX・デジタル化施策にも積極的に取り組みました。そのほか、沿線地域を活性化させるエリアマネジメントを実現するため、2024年8月に飯能市、株式会社ムーミン物語、西武鉄道株式会社の3者で「地域活性化に向けた連携に関する基本協定」を締結する等、沿線自治体・地域との連携を深める施策に取り組みました。

 バス業では、乗合バスに関して、いわゆる2024年問題をはじめとした乗務員の人員不足の影響等があるものの、堅調に回復する移動需要の着実な取り込みとともに、効率的な事業運営に努めました。また都区内エリアにおいては、2025年6月の実施に向けて、2024年12月に運賃改定を申請いたしました。加えて、貸切バスについても、運賃単価向上に取り組みました。

 

 都市交通・沿線事業の営業収益は、定期外利用やレジャー施設の利用が進み、1,526億67百万円と前期に比べ38億41百万円の増加(同2.6%増)となりました。営業利益は、設備投資の増加にともなう減価償却費の増加や電気動力費、人件費の増加などにより、113億15百万円と前期に比べ19億77百万円の減少(同14.9%減)となり、償却前営業利益は、339億62百万円と前期に比べ6億83百万円の減少(同2.0%減)となりました。

 

 都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。

 

(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)

種別

単位

2024年3月期

2025年3月期

 営業日数

366

365

 営業キロ

キロ

176.6

176.6

 客車走行キロ

千キロ

169,850

170,407

 輸送人員

 定期

千人

348,589

355,907

 定期外

千人

239,127

249,221

千人

587,716

605,128

 旅客運輸収入

 定期

百万円

39,574

40,434

 定期外

百万円

55,604

58,112

百万円

95,178

98,547

 運輸雑収

百万円

3,528

3,256

 収入合計

百万円

98,706

101,803

 一日平均収入

百万円

260

269

 乗車効率

35.4

36.2

(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。

2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。

3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。

 

④その他

 スポーツ事業では、プロ野球球団である埼玉西武ライオンズの試合開催のほか、ベルーナドームを最大限活用したサービスや演出、イベント開催などにより、楽しんでいただけるスポーツ・エンターテインメント体験の提供に努めてまいりました。伊豆箱根事業では、バス事業を中心に観光需要の取り込みに努めたほか、近江事業においては、2024年4月より鉄道事業の公有民営方式による上下分離に移行し、運営を開始しております。新規事業では、ツアー造成による体験価値の創出ノウハウのシナジーを企図し、2024年12月25日に奥ジャパン株式会社の全株式を取得し子会社化するなど、当社グループの新規事業分野創出に向けた取り組みをおこなっております。

 

 営業収益は、2024年度よりデジタル広告の強化を企図し、西武グループのコンテンツビジネスを推進する株式会社ブルーミューズ(2025年4月1日より株式会社西武メディア・コミュニケーションズに商号変更)に西武鉄道株式会社の広告事業を移管したことや、埼玉西武ライオンズにおける観客動員数の増加などにより、512億97百万円と前期に比べ64億23百万円の増加(同14.3%増)となりました。営業利益は、上記広告事業移管にともなう費用の増加はあったものの、株式会社西武ライオンズの営業収益の増加などにより、20億64百万円と前期に比べ6億27百万円の増加(同43.6%増)となり、償却前営業利益は、66億25百万円と前期に比べ9億62百万円の増加(同17.0%増)となりました。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(3) 財政状態、経営成績の分析

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。

 

② 財政状態の分析

1 資産

 流動資産は、3,598億16百万円と前連結会計年度末に比べ2,585億53百万円増加いたしました。その主たる要因は、現金及び預金の増加(2,023億27百万円)であります。

 固定資産は、1兆4,743億4百万円と前連結会計年度末に比べ594億52百万円減少いたしました。その主たる要因は、有形固定資産の減少(832億2百万円)であります。

 以上の結果、総資産は1兆8,341億20百万円と前連結会計年度末に比べ1,991億1百万円増加いたしました。

 

2 負債

 流動負債は、4,300億79百万円と前連結会計年度末に比べ449億73百万円増加いたしました。その主たる要因は、未払法人税等の増加(818億92百万円)であります。

 固定負債は、8,369億12百万円と前連結会計年度末に比べ191億33百万円増加いたしました。その主たる要因は、繰延税金負債の増加(586億42百万円)であります。

 以上の結果、負債合計は1兆2,669億92百万円と前連結会計年度末に比べ641億6百万円増加いたしました。

 

3 純資産

 純資産は、5,671億28百万円と前連結会計年度末に比べ1,349億94百万円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(2,581億82百万円)及び自己株式の増加(1,324億79百万円)であります。

 なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ4.5ポイント上昇し30.6%となっております。

 

③ 経営成績の分析

1 営業収益及び営業利益

 営業収益は、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化の実施による大幅な増収に加え、円安にともなうインバウンド観光客の増加や値上げの取り組み、鉄道業における定期・定期外旅客の増加などにより、9,011億31百万円(前期比88.7%増)となり、営業利益は増収による増益により、2,927億35百万円(同513.6%増)となりました。

 なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。

 

2 営業外損益及び経常利益

 営業外収益は、前期に計上した為替差益(7億50百万円)が今期は為替差損(7億円)に転じたことなどにより、42億78百万円(同4.8%減)となり、営業外費用は、93億73百万円(同1.8%増)となりました。

 以上の結果、経常利益は2,876億39百万円(同568.9%増)となりました。

 

3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益は、負ののれん発生益(540億96百万円)の計上などにより、759億39百万円(同224.6%増)となりました。

 特別損失は、減損損失の減少(100億57百万円)などにより、137億65百万円(同39.5%減)となりました。

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は3,498億13百万円(同701.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,581億82百万円(同856.6%増)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,451億23百万円増加し、当連結会計年度末には2,769億53百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,498億13百万円に、減価償却費や棚卸資産の増減額、法人税等の支払額などを調整した結果、4,743億78百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ3,824億2百万円の資金収入の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、936億92百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ497億58百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の増加であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,363億94百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ939億56百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、借入金の返済の増加及び自己株式の取得による支出の増加であります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性について

(キャピタルリサイクルの実施)

 当社グループは不動産事業を核として持続的な成長を実現するため、資本効率性を追求し、保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルで成長してまいります。当連結会計年度は、「キャピタルリサイクルの最大の原動力」として東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実施いたしました。今後についても、聖域なき流動化の検討、継続的なキャピタルリサイクルの実施により得られた資金を再投資に振り向け、不動産価値を最大化してまいります。

 

(資金調達〈キャッシュイン〉)

 当社グループでは、鉄道業及びホテル業を中心とした日々の事業活動によって営業キャッシュ・フローを安定的に確保し、必要な資金に充当しております。不動産事業での新規取得物件に対するバリューアッドの展開、既存物件の賃料引き上げや最有効活用の検討、ホテル・レジャー事業でのMC(マネジメントコントラクト)を中心とした国内外250ホテル体制の実現に向けた、ホテル新規出店数の拡大やブランド力の向上による値上げの実施等により、営業キャッシュ・フローの最大化をはかっております。

 さらに、上記に加えて、継続的なキャピタルリサイクルを実施することで、持続的な企業価値創出の基盤となる資金を生み出しております。

 不足する資金については、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向を総合的に勘案し、最適な資金調達手段を選択しております。加えて、固定資産の比率が高い事業特性を踏まえ、長期負債を中心とした資金調達をおこなうとともに、年度ごとの返済額平準化を進めております。併せて、調達手段の多様化や外部格付の維持・向上にも取り組んでおります。

 また、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化で得た資金や、今後当社グループが推進する保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルを通じて得られる資金を活用し、将来の大規模開発(高輪・品川・芝公園エリア等)に向けたデットキャパシティの創出を目的に、借入の適正な水準の維持に努めてまいります。

 

(資金使途〈キャッシュアウト〉)

 当社グループでは、「成長投資を優先しつつ、株主還元も拡充させていく」方針のもと、資金使途を決定しております。

 当連結会計年度は総額1,032億51百万円の設備投資を実施いたしました。不動産事業においては、当連結会計年度にエミテラス所沢(所沢駅西口開発計画)が竣工いたしました。加えて、沿線価値向上を目指した設備投資を継続的におこなうとともに、新規物件の取得を実施してまいりました。都市交通・沿線事業においては、より一層の安全・安定輸送の実現、環境負荷の削減を目指すとともに、おでかけしたくなる駅・まちづくり、及び次世代に向けた技術革新に充当しております。加えて、都市交通・沿線事業に限らず、ホテル・レジャー事業などの多くの事業において職場環境の改善や、従業員の満足度向上を企図して設備投資を実施してまいりました。

 当事業年度の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、1株当たりの普通配当を過去最高額である40円としております。また、2024年12月13日より700億円の自己株式取得を実施しております。2026年3月期の配当予想についても、1株当たり配当金40円としており、長期戦略で定めた株主還元方針に則り、DOE2.0%を下限とする累進配当を実現し、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を目指してまいります。自己株式の取得についても、引き続きバランスシートの状況を踏まえ、機動的に対応してまいります。

 

 また、今後の成長投資については、営業キャッシュ・フローやキャピタルリサイクルで得た資金を活用し、投資規律を遵守したうえで、不動産事業での都心再開発や西武鉄道沿線の再開発、リゾート開発、新規物件の取得及びバリューアッド、ホテル・レジャー事業でのホテル改装、海外ホテルのM&A、ブランド価値及び収益力向上を目的とした主要ホテル(品川プリンスホテル等)のバリューアップ投資、都市交通・沿線事業での沿線価値向上施策、デジタル化などに積極的に投資してまいります。

 

(資金の流動性)

 鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

 有価証券報告書提出日現在、コロナ禍で生じた価値変容・行動変容の定着に加え、地政学リスク、技術革新や日本国内の少子高齢化の加速、SDGs(持続可能な開発目標)・カーボンニュートラル(脱炭素社会)への意識の高まり、低PBRの是正など、社会経済環境や事業環境は急速に変化し、将来予想が非常に困難な時代、いわゆる「VUCAの時代」に突入しております。

 そのような状況下において、2024年5月9日に「西武グループ長期戦略2035(以下、長期戦略)・中期経営計画(2024~2026年度)」を策定し、概ね10年後の2035年度を見据え、西武グループのありたい姿(アウトカム)として「Resilience & Sustainability -安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する-」を設定し、着実に取組を進めてまいりました。あらゆる状況下においても対応できる力

「Resilience(レジリエンス)」と、それをもとに持続的に成長できる力「Sustainability(サステナビリティ)」を兼ね備えた企業グループを目指してまいります。

 長期戦略では下図のとおり、アウトカム実現に向けての価値創造ストーリーを定めており、6つのマテリアリティに基づいた成長戦略を進めております。

 

 昨今では、米国の関税政策をはじめとした地政学リスクの高まりがあり、注視すべき課題であると認識しております。当社グループへ与える影響について、有価証券報告書提出日現在発現していないものの、このような事態に対しては、当社グループへの短期的・直接的な影響のみならず、より長期的かつ日本経済全体へのリスクを想定し、機動的に対応していく所存です。

 

 長期戦略では、「恒常的にROE8%を達成、2035年度に10%以上を目指していく」という財務KPIを掲げており、その達成に向けて、収益性と効率性を向上させていくことが急務であると認識しており、長期戦略において、不動産事業におけるキャピタルリサイクルの推進や、ホテル・レジャー事業における国内外250ホテル体制の構築・ブランド力向上、さらには成長の源泉となる人財への投資に重点的にキャッシュアロケーションをおこなうことで、資本効率性を高めていく所存です。

 当連結会計年度は、長期戦略の中で「種まき期」と位置付けた中期経営計画期間の初年度であり、「不動産を核とした持続的な成長」に向けて、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化をはじめとしたキャピタルリサイクルの実行や、西武ファンドのアセットマネジメント機能を担う株式会社西武不動産投資顧問の設立を含む不動産4社体制のスタートなど、様々な取組を進めることができました。一方、一般的なPBRに対して、賃貸等不動産や今後再開発を予定しているエリア(高輪、品川、芝公園、軽井沢エリア)の含み益を考慮したNAVに対するPBRは大きく伸びしろがあると認識しております。引き続き、モルガン・スタンレー・キャピタル株式会社及びPRIME Asiaとの共同SPC運営や、株式会社西武不動産投資顧問による投資運用業等のライセンス取得、西武ファンドの設立及び運用開始など体制を整備したうえで、不動産流動化を進めるとともに、高輪地区をはじめとする都心の再開発、軽井沢、箱根、富良野、日光などのリゾートエリアの開発や品川プリンスホテルの改装バリューアップ投資、新規物件の取得に充当するなど、キャピタルリサイクルを実現し、さらなる資本効率性の向上と、着実なNAVの成長、そして株主価値の向上につなげてまいります。

 加えて、ホテル・レジャー事業においても、国内外250ホテル体制を引き続き目指してまいります。MCをはじめとしたホテルを新規出店していくことに加え、ブランド力をさらに高め、日本をオリジンとしたグローバルオペレーターを実現していく所存です。

 また、都市交通・沿線事業においても、安全・安心を事業の根幹とし、「住みたい沿線」「訪れたい沿線」を実現すべく沿線価値向上に向けた施策をおこなってまいります。

 

 株主還元につきましては、企業価値向上につながる成長投資を優先しつつも、DОE2.0%を下限とする累進配当を基本とし、安定的な配当とあわせ収益向上を通じた増配を目指してまいりますが、今期は東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化の資金の活用により、2024年12月13日より700億円の自己株式取得を実施するとともに、年間配当金は、過去最高額の1株当たり40円の実現を予定しております。今後も、資本効率性の向上により、株主還元の強化をはかってまいります。

 

 今後の時代を力強く生き抜き、社会に貢献しながら持続的な成長を遂げていくため、総力を挙げて各種施策に取り組んでいます。その中でも、日本全国に優良な不動産を保有するとともに、日本有数のホテル・レジャーのネットワーク、強固な地盤を有する都市交通・沿線事業という事業ポートフォリオは、他にないユニークなものであり、その強みを活かしていくことにより、力強い成長が実現できると考えております。西武ならではの再開発やバリューアップ投資を積極的にはかり、当社グループの企業価値の最大化、そして地域社会ひいては日本全体の社会課題解決に貢献していくことができると認識しております。長期戦略の実現により、社会的価値・株主価値の極大化に努めてまいります。

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1 報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が

入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検

討をおこなう対象となっているものであります。

 当社グループは、国内外において事業活動を展開しており、それぞれの事業の特性、位置付け及び事業規模などを考慮し、「不動産事業」、「ホテル・レジャー事業」及び「都市交通・沿線事業」の3つを報告セグメントとしております。

 なお、当連結会計年度より、2024年4月より連結子会社化した株式会社DAY ONEとともにペット事業をリモデルするため、株式会社西武ペットケアのセグメントを「ホテル・レジャー事業」から「その他」へ変更していることから、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えております。

 報告セグメント及びその主要な事業内容は次のとおりであります。

 ①不動産事業 ・・・・・・・・ 開発・賃貸業、投資運用業、マネジメント業など

 ②ホテル・レジャー事業 ・・・ 国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業

(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、

海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・

リース)、スポーツ業(MC・FC)など

 ③都市交通・沿線事業 ・・・・ 鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、

スポーツ業など

 

2 報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法

  報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、在外子会社等の収益及び費用の本邦通貨への換算処理の取扱いを除き、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。

 在外子会社等の収益及び費用の本邦通貨への換算処理の取扱いについては、主に予算作成時において想定した為替相場に基づいた数値であります。

 セグメント間の内部営業収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 報告セグメントの利益は、営業利益と概ね同一の数値であります。

 

3 報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報

 

 前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

不動産事業

ホテル・

レジャー

事業

都市交通

・沿線事業

その他

(注)1

合計

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

(注)3

営業収益

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

68,309

224,935

144,541

39,811

477,598

477,598

セグメント間の内部営業収益又は振替高

10,770

3,174

4,284

5,063

23,291

23,291

79,079

228,109

148,826

44,874

500,890

23,291

477,598

セグメント利益

12,716

19,481

13,292

1,437

46,927

783

47,711

セグメント資産

413,369

577,383

606,154

68,470

1,665,378

30,358

1,635,019

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

11,519

15,587

21,353

4,226

52,686

851

53,538

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

11,923

14,477

32,087

2,227

60,716

592

61,309

 (注)1 「その他」の区分には、伊豆箱根事業、近江事業、スポーツ事業及び新規事業を含んでおります。

    2 調整額の内容は以下のとおりであります。

       (1) 営業収益の調整額△23,291百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (2) セグメント利益の調整額783百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (3) セグメント資産の調整額△30,358百万円については、主に連結会社間取引消去等でありま

        す。また、各報告セグメントに配分していない当社の余剰運用資金(現金及び預金)等の全

        社資産は12,308百万円であります。

       (4) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額592百万円については、主に連結会社間

        取引消去等であります。

    3 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっております。

 

 

 当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

不動産事業

ホテル・

レジャー

事業

都市交通

・沿線事業

その他

(注)1

合計

調整額

(注)2

連結

財務諸表

計上額

(注)3

営業収益

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

468,672

239,881

146,461

46,116

901,131

901,131

セグメント間の内部営業収益又は振替高

11,935

1,377

6,206

5,181

24,701

24,701

480,608

241,259

152,667

51,297

925,832

24,701

901,131

セグメント利益

237,617

18,640

11,315

2,064

269,637

23,097

292,735

セグメント資産

255,628

606,918

637,657

79,247

1,579,452

254,668

1,834,120

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

10,490

15,068

22,647

4,534

52,740

947

53,688

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

18,318

35,570

44,294

3,597

101,780

1,471

103,251

 (注)1 「その他」の区分には、伊豆箱根事業、近江事業、スポーツ事業及び新規事業を含んでおります。

    2 調整額の内容は以下のとおりであります。

       (1) 営業収益の調整額△24,701百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (2) セグメント利益の調整額23,097百万円については、主に連結会社間取引消去等であります。

       (3) セグメント資産の調整額254,668百万円については、主に全社資産等であります。また、各報告セグメントに配分していない当社の余剰運用資金(現金及び預金)等の全社資産は258,878百万円であります。

       (4) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額1,471百万円については、主に連結会社間

        取引消去等であります。

    3 セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっております。

 

【関連情報】

Ⅰ 前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 営業収益

 本邦の外部顧客への営業収益が連結損益計算書の営業収益の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

 

Ⅱ 当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 営業収益

 本邦の外部顧客への営業収益が連結損益計算書の営業収益の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

不動産事業

ホテル・

レジャー

事業

都市交通

・沿線事業

その他

全社・消去

合計

減損損失

2,063

15,097

117

17,278

 (注) 「その他」の金額は、伊豆箱根事業及び近江事業に係る金額であります。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

不動産事業

ホテル・

レジャー

事業

都市交通

・沿線事業

その他

全社・消去

合計

減損損失

4,399

2,807

14

7,221

 (注) 「その他」の金額は、伊豆箱根事業、近江事業及び新規事業に係る金額であります。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

重要性がないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

重要性がないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 当社の連結子会社である株式会社西武リアルティソリューションズ(現株式会社西武不動産)が株式会社NWコーポレーションの株式を追加取得し、当社の連結子会社としたことにともない、負ののれんが発生しております。当該事象による負ののれん発生益の計上額は、当連結会計年度において54,096百万円であります。

 なお、負ののれん発生益を特別利益に計上しておりますが、報告セグメントには配分しておりません。