2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に係るリスク

① 業者間競争の激化

国内企業の国内での生産量の減少及び生産拠点の海外シフト等の要因で国内貨物の輸送需要は減少を続けているため、業者間競争はますます熾烈化しています。このような状況のなか、当社グループは質の高い輸送サービスの開発、提供により他社と差別化するよう努めておりますが、今後、さらに業者間競争が激化し、顧客企業からの収受料金の低下が進む場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 法規制

当社グループは、主として貨物自動車運送事業法及び貨物利用運送事業法に基づき事業を行っており、付帯業務を含めて関連する法令による規制を受けております。当社グループは、コンプライアンス経営を標榜し、全役職員に法令等の遵守を徹底するために、規程の整備及び周知徹底を図っております。現状、許認可等が取消しとなる事由等は発生しておりませんが、今後、許認可等の取消しや事業停止等の処分を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、法令改正により営業活動等の一部が制限された場合、営業収益の減少及び営業費用の増加等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

主要な許認可等の概要は以下のとおりであります。

許認可等の名称

法律名

監督官庁

有効期限

取消事由

一般貨物自動車運送事業

貨物自動車運送事業法

国土交通省

なし

同法第33条

第一種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業法

国土交通省

なし

同法第16条

第二種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業法

国土交通省

なし

同法第33条

倉庫業

倉庫業法

国土交通省

なし

同法第21条

 

③ 自然災害及び異常気象の発生

気候変動によりもたらされる自然災害は近年その規模や頻度を増しています。当社グループは、顧客企業の運送ニーズに応えるために、トラック、鉄道、船舶等、多岐にわたる輸送手段を有しておりますが、震災をはじめ大雪、集中豪雨等の自然災害による輸送障害が発生した場合、代替手段による輸送を実施したとしても、営業収益が減少し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

また、当社グループの輸送する商品には、一次産品、飲料水等、輸送需要が天候に左右されるものを含んでおり、冷夏、少雨等の異常気象が発生した場合、当社グループの営業収益が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 原油価格の高騰

当社グループは貨物自動車運送事業を展開しており、原油価格の上昇により、燃油費、船舶利用費、航空利用費等の運送原価が増加する可能性があります。当社グループ各社がそれぞれの立場で費用削減に取り組みますが、これら費用増の相当分を収受料金に転嫁できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 仕入価格の上昇

当社グループは、総合物流企業として船舶・鉄道・航空等様々な輸送モードを使用しております。またトラック輸送に関しても協力先との連携によりネットワークを構築しております。これらの仕入・協力先に対しては、安定稼働に向けた関係強化や運用改善などを図っておりますが、当社グループの想定以上に仕入環境が悪化した場合、もしくは仕入れコストの増加分を収受料金に転嫁できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業運営に係るリスク

① 顧客情報の流出

当社グループは、貨物運送、引越、旅行事業等を行っており、これら事業の特性上、個人情報を含め多くの顧客情報を取り扱っております。当社グループは「コンプライアンス規程」「個人情報保護規程」「情報セキュリティ規程」を制定し、全社員に対して社内教育を行うなど、顧客情報、個人情報の適正な管理に努めております。しかしながら、今後、当社グループの想定を超えるサイバー攻撃などにより、顧客情報等の流出が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 情報システム及び情報セキュリティの障害

当社グループでは、情報通信ネットワークの拡大と利便性の向上を背景に、グループ一体としてIT戦略の立案と実施を推進しております。万が一、当社の情報機器・システムに重大な障害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 重大な交通事故・労災事故

当社グループは、貨物運送を中心に道路運送事業を行っております。事業活動にあたり、人命の尊重を最優先とした安全運転対策に努めておりますが、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、重大交通事故を発生させた事業者として、事業所の営業停止や事業許可の取消し等が行われるような事態となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、社員等の労働安全を損なう重大な労災事故を発生させてしまった場合も、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 環境規制

当社グループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しており、排出ガス規制等の環境関連法令の適用を受けております。気候変動による環境問題への関心が高まる中、当社グループは低公害車の導入やエコドライブの推進等、温室効果ガスの排出削減に向けた環境対策を自主的に進めておりますが、当社の想定を上回る環境規制が実施された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ ドライバー不足

当社グループは、多数のトラック・軽貨物ドライバーを雇用しております。運送業界ではドライバー不足が慢性化している中、当社グループにおいてはドライバーの採用及び定着強化に向けた諸制度の充実化を進めたことにより、現在は適正な輸送体制が構築されておりますが、今後の事業展開において必要な自社ドライバーを確保できない場合、物流サービスの供給力が低下する可能性や、集配業務の他社委託が増加した場合には、これに伴う外部委託費用の増加等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑥大口取引先の取引変動

 当社グループは、地域別の将来を見据えた事業展開やEC事業の拡販など、魅力的なサービスの開発・提供をすすめることで、販売先の多様化に努めるとともに、大口取引先に対しては良好な信頼関係を構築してまいりました。現時点においては、大口取引先との関係は良好に推移しておりますが、予期せぬ事象による取引契約の変更、契約解消等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 新たな感染症の流行

当社グループでは、物流は我が国の日常生活を維持するための重要な社会インフラであると認識し、物流事業を継続することが当社グループの重要課題であると捉えております。当社グループでは、新たな感染症が流行した場合、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務の拡大、ワクチン接種のための柔軟な就業時間の調整など、従業員の安全と健康を確保するための感染防止策を講じますが、感染症の流行により経済が停滞した場合や、当社グループの事業所において集中感染が確認され、物流が停止した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置づけた上で、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案し、安定した配当を継続することを基本方針としております。今後も、中長期的な視野にたって、成長が見込まれる事業分野に経営資源を投入することにより持続的な成長と企業価値の向上並びに株主価値の増大に努めてまいります。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 当事業年度の配当につきましては、上記の基本方針を踏まえながら、利益水準を鑑み、普通配当として1株当たり120円の配当(うち中間配当60円)を実施することに決定いたしました。

 当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月6日

345

60.0

取締役会決議

2024年6月26日

327

60.0

定時株主総会決議

 

 2022年度から2025年度までの3ヵ年につきましては、2022年3月15日に公表しました「中期経営計画2022」において、2025年3月期における主要経営指標の目標に連結配当性向20%以上を掲げております。