リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 人財の確保・育成
当社グループの事業の源泉は、人財であり、必要な技術・技能を有する人財を適切なタイミングで提供する動員力を強みとして事業展開を行っております。国内における2024年問題や生産年齢人口の減少等、労働環境の変化が加速している中、必要な労働力や有能な人財を確保するため、従業員の採用強化や定着化に向けた積極的な人財投資を行うと共に、協力会社への支払いの早期化や協力会社社員の処遇改善に繋がる支援策の実施等、関係強化に取り組んでおります。また、人による作業から機械化へと変化が見込まれる事業領域については、技術開発やDXを推進し、生産性の向上に努めています。有能な人財の確保・育成および機械化・自動化による生産性向上が計画通り達成できない場合、作業体制の維持が困難となり、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 海外事業
当社グループは、東南アジア、東アジア、米欧州、中東の各地域に現地法人等の拠点を設け積極的な事業展開を行っております。したがって、各地域において経済状況の変化・景気の後退、為替レートの変動、予期しがたい法律・規制の変更、政治の混乱、テロ・戦争等による治安の悪化といった影響を受ける可能性があります。これらリスクに対しては、グループ内および外部機関からの情報収集等を通じ、その予防、回避に努めておりますが、これらの事象が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 作業の受注および遂行
当社グループは、物流および機工事業に関し、国内外において作業の受注活動を行い、適切な作業量の確保に努めております。作業の応札・受注時においては、見積内容、契約条件、事業等におけるリスクを想定し、必要な対策を講じた上で見積・契約を行っております。また、作業の遂行時においては、定期的な進捗把握や品質マネジメントシステム等の運用により、損失なく作業を完遂できるように取り組んでおります。しかしながら、事業等のリスクに記載した他リスクの顕在化や、お客様を含む取引先の状況変化等が生じた場合は、予期せぬ作業進捗の遅れや、コストの増加によって、損益が悪化し、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特定業界・特定取引先への依存
当社グループは、鉄鋼および石油精製・石油化学業界のお客様に関わる事業が大きなウエイトを占めております。したがって、これらの業界動向やお客様の合理化要請等が当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 事業免許・法的規制
当社グループは、物流事業にあっては貨物運送、貨物取扱い、港湾運送、倉庫、通関等に関わる各種事業免許、機工事業にあっては、建設、産業廃棄物処理等に関わる各種事業免許と、これらに付帯する各種規制に従って事業を行っております。これら各種事業免許の保持および規制のクリアは、事業推進の武器でありますが、予測し難い免許基準の変更、規制緩和等は、競合他社の増加、価格競争の激化を通じて当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 重大災害、事故等
当社グループは、主要なお客様であります鉄鋼および石油精製・石油化学業界各社の事業所および国内・海外の各地域において作業請負、プラント建設工事等を行っており、その作業を行うにあたっては安全を最重要事項と認識しております。作業遂行過程等において事故または災害等が発生いたしますと、お客様に対する損害賠償、被災者に対する補償金等の負担だけでなく、当社グループの社会的信用が低下することにより事業活動が制限される可能性があります。当社グループは、「安全を全てにおいて優先します」という行動規範に基づき、災害・事故の撲滅に向けハード面(設備対策)、ソフト面(社員教育、ルール策定等)において様々な取り組みを行っておりますが、これらの安全の問題が発生した場合は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 為替相場の変動
当社グループは、海外への事業展開等を通じて行われる外貨建取引や、連結財務諸表作成に当たっての海外の連結子会社の財務諸表上の外貨建債権・債務残高が、為替相場の変動リスクにさらされております。当社グループでは、為替予約や外貨建債権・債務のバランス化等により為替相場の変動リスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではなく、為替相場の変動が当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 金利変動
当社グループは、運転資金および設備投資資金の一部を借入金により調達しております。当社グループでは、将来の金利変動によるリスク回避を目的として、長期借入金は、原則として固定金利による支払利息の固定化を実施しておりますが、完全に金利変動リスクを回避できるものではなく、今後の金利動向によっては当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 退職給付債務
当社グループの従業員にかかる退職給付債務額は、一部簡便法によるものを除き割引率、退職率等数理計算上で設定される基礎率等の前提条件に基づき算出されております。その前提条件による算出額と実際の結果が異なった場合、前提条件に変更が生じた場合、または年金資産の時価に変動があった場合、その影響額は将来の一定期間にわたって処理することになります。
(10) 繰延税金資産
繰延税金資産は、将来の課税所得の予測・仮定に基づき回収可能性があるものについて計上しております。したがって、実際の結果が予測・仮定とは異なる場合、また、法令の改正等があった場合には、繰延税金資産の金額が変動する可能性があります。
(11) 保有株式等の価値変動
当社グループが保有している株式は、毎年、経済的合理性や便益、資産としてのリスク、資本コストとの見合い等を具体的に精査し、保有の適否を判断しておりますが、保有株式等の価値が証券市場における市況等により変動した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 情報セキュリティ
当社グループは、事業活動を通してお客様や取引先の機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報を保有しております。
これらの情報の外部流出や改ざん等が発生しないよう、社員教育、システムやデータ等の情報資産の保護対策等に努めておりますが、想定を超えるサイバー攻撃、自然災害等により、万一これら情報の流出、破壊、システム停止等が生じた場合には、当社グループの事業遂行の障害、これに伴う信用低下や業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 自然災害等
当社グループは、台風、洪水、地震・津波等の自然災害や新たな感染症が生じた場合に備え、緊急事態を想定した対応策の策定およびその見直しを行っておりますが、大規模な災害等に見舞われた場合は、各拠点の設備が損害を被る等により、一部事業の停止や復旧費用等の支払いが生じ、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社グループは、株主に対する安定的な利益還元を経営の最重要課題の一つとして認識しており、将来の事業展開に備え、戦略的な設備投資ならびに財務体質の健全性維持を図りながら、業績に基づく成果の配分を行うことを利益配分の基本方針としております。
また、「中期経営計画2026」の資本政策を、「資本効率性を重視しながら、持続的成長と企業価値の最大化を実現」としており、指標のひとつとして、配当性向40%水準を掲げております。なお、詳細につきましては、P15記載の、(5)資本政策をご参照ください。
当社は会社法第454条の第5項の規定に基づき、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日とした中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
この方針の下、当期の配当につきましては、中間配当にて1株当たり普通配当84.00円の配当を実施いたしました。期末配当としては、当初の配当予想から6円増配し、1株当たり90.00円とすることといたします。年間配当金は、1株当たり174.00円となります。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。