2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 (1) 労働力不足

 当社グループは、主要事業である旅客自動車運送事業をはじめとし労働集約型の事業が多く、社員採用において困難な状況が続き、労働力が不足することは需要に応じた供給が困難となり、今後の事業展開に支障をきたし、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

当社においては、不採算路線を中心とした路線の減便、廃止を実施しております。また、大型二種免許取得支援制度の導入、再入社制度(キャリアリターン制度)の導入、養成乗務員制度の導入などによる入社しやすい環境づくりを推進するとともに、定年延長、休日数増加などの在籍社員の定着向上に向けた処遇改善の実施や、女性活躍を含めた働き方改革を推進しております。

グループ各社においても同様に、定年延長や休日数増加などを実施したほか、女性活躍を含めた働き方改革を推進しております。

また、「中央バスグループ採用サイト」を開設し、グループ全体で地域に根差した様々な分野での事業を展開していることを広く周知するとともに、各社の採用情報や地域の情報などについて、一元的かつ効果的に発信し、人材確保に繋げております。

 

 (2) 重大事故等の発生

① 旅客自動車運送事業においては、安全輸送が経営の根幹かつ社会的使命であります。しかしながら、道路を運行している特性上、重大事故の可能性は常にあります。万一、不測の重大事故等が発生した場合は社会的信用の失墜を招くとともに、車両の使用停止、事業計画の一定期間停止等の処分対象となり、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

イ 安全輸送に関する安全方針の策定

 運輸安全マネジメント制度に基づき、当社では安全方針を定め、「人命尊重・安全最優先」の理念のもと、安全管理体制の構築、輸送の安全性の向上に取り組んでおります。

 毎年「輸送の安全に関する目標」を策定し、計画、実行、評価、改善のPDCAサイクルを活用しながら、目標達成に向け更なる安全意識の向上に努めております。

ロ 安全教育

 お客様に安全・安心なバスを提供できるよう運転技能や接遇サービスの向上を目的とした安全教育を実施しております。当社グループの中央バス自動車学校での研修も活用し、新規採用時から隔年で勤続年数別に継続して実施、長年にわたり乗務員の安全運転やサービスの習熟度向上を図っております。

ハ 安全運行を支える整備

 バス運行の拠点となる営業所では、日々の運行管理を徹底し、輸送の安全性の向上に努めております。また、運輸局指定整備工場(民間車検場)が3ヶ所あり当社グループの車両に関わる整備を手がけております。さらに各営業所にも認証工場が併設され、所属車両の点検整備に万全の体制を整えております。

ニ 事故防止・安全対策

 (a) 交差点右左折時における歩行者等への安全確認を確実に実施し事故を防止するため、横断歩道手前等での一旦停止(または最徐行)に取り組んでおります。バス後部にステッカーを掲出し、取り組みをお知らせしております。

 (b) バス走行中の車内移動による転倒事故防止を目的として、バス車内床面に注意喚起ステッカーを貼付、また、平成28年より導入を進めている液晶運賃表示器OBCビジョンでも映像表示し、お客様が視認しやすい呼びかけを行っております。

ホ 乗務員コンテスト

 平成28年から、乗務員の士気向上と、輸送の安全確保、顧客満足度(CS)の向上を目的とした乗務員コンテストを開催、運転操作・接遇・車両点検の実施状況を確認し、今後の改善につなげております。

 平成30年からはグループバス会社も参加し、選抜された乗務員が集い、日頃培った技能を披露し、安全・安心の意識を高める良い機会となっております。

 

② 建設業においては、施行の安全を経営の最優先としておりますが、予期しない重大事故や労働災害が発生した場合には、社会的信用の失墜を招くとともに、工事の遅延や、指名停止の処分などにより、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

安全パトロールや安全教育の実施により施行の安全を徹底するとともに、適切な工事保険の付保により、リスクの低減に努めてまいります。

 

 (3) 新型コロナウイルス感染症による影響

令和5年5月8日から新型コロナウイルスについては、感染症法上5類の疾病へと変更となり、法律に基づく様々な制限が撤廃されました。しかし、ウイルスが無くなったわけではなく、今後も感染することが十分に考えられます。

当社グループは、主要事業である旅客自動車運送事業を始めとし、労働集約型の事業が多く、社内で感染が拡大すると、事業の維持に支障が生じ、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

旅客自動車運送事業においては、感染防止対策として、実車乗務中のマスクの着用、バス運転席のビニールカーテンの設置、バス車内の換気、バス車両のウイルス抗菌加工を実施しております。

 

 (4) 旅客自動車運送事業における補助金

 路線単位の収支状況等に基づき、国や地方自治体から補助金を受けておりますが、国及び地方自治体の財政状況等の変化により補助制度が改廃される可能性があります。補助金削減により直ちに路線から撤退できない場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 関係する地域や自治体との協議を進め、不採算路線対策を実施してまいります。

 

 (5) 燃料の価格の変動

 車両燃料につきましては、今後の海外情勢等により燃料油価格が変動した場合、その価格の動向は業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 環境を念頭においた燃料節約運動を推進するとともに、他の費用を節減すること等で対応してまいります。

 

 (6) 利用者の減少

 少子高齢化や札幌圏を除く道内での過疎化等により、バス利用者の減少が続いております。今後も輸送需要の減少傾向は続くと予想され、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 需要に応じた供給体制を構築してまいります。

 

 (7) 火災、地震等の自然災害

 当社グループは、多数の営業拠点を保有して事業展開しておりますが、火災のほか大規模地震やその他の自然災害等の発生時には、当社グループの各事業において被害が生じ、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 各事業別に大規模地震等に対応する事業継続計画を作成、検証し、必要な見直しを実施しております。

 また、グループ各社及び当社の各営業所等では大規模災害の発生による被害の影響を最小限にとどめるとともに、業務の早期復旧を図ることを目的とする防災マニュアルを作成、検証し、必要な見直しを実施しております。なお、防災設備の整備・点検には万全を期しております。

 

 (8) 法的規制

 当社グループは、道路運送法、道路交通法、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)、建設業法、公衆浴場法、食品衛生法等様々な法令や規則等の適用を受けており、事業活動を行っております。これらの法令や規則に違反した場合、またはこれらの法令や規則の変更等があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規制等を遵守する費用が発生するなど、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 法令遵守を徹底してまいります。法令遵守に関する対応策は下記の「(9) 法令の非遵守・不正行為」に記載のとおりであります。

 

 (9) 法令の非遵守・不正行為

 当社グループの役員及び社員等の故意、過失による法令違反は、当社グループの信用が失墜し、経営危機に陥るおそれがあるため、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 社長を委員長とし、取締役、執行役員、部長、及びグループ会社社長で構成する企業倫理並びに危機管理委員会を設置し、年間活動計画に基づき、企業倫理と危機管理に係る社内体制・社内規程等の整備及び運用状況の確認、社員への教育・啓発活動等を実施しております。

 社員教育については、グループ統一社是「グループ五訓」のもと、各社員が「中央バスグループ企業倫理規範」を遵守し、高い倫理観を持って誠実に実行することとしており、また、日常の実践すべき事項として「社員心得 基本10ヶ条」を定め、あらゆる機会を通じて浸透させ徹底を図ることで、社員の更なる意識向上を目指しております。

 また、取締役会の直属の部署である内部監査室が、内部監査計画に基づき、各部署及びグループ会社における法令・定款・社内規程の遵守状況及び輸送の安全確保を含む危機管理体制を監査し、その結果を取締役会、企業倫理並びに危機管理委員会などに報告しております。

 

 (10) 個人情報の漏洩

 当社グループは、グループ各社において、個人情報を保有し管理しておりますが、サイバー攻撃、コンピューターウイルス感染、人的ミス等によって個人情報が漏洩する問題が発生した場合、信用失墜や損害賠償請求などにより、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 当社グループは、保有する情報資産を個人情報保護法などの法令及び当社グループで制定する「情報セキュリティ基本規程」に基づき適切に管理、保護しております。また、情報セキュリティ教育を通じて、情報セキュリティの重要性を周知しております。

 なお、サイバー攻撃やコンピューターウイルス感染に対応するため、サイバーセキュリティ対策を講じております。

 

 (11) 建設業の業績変動

 建設業は、国及び地方自治体の公共工事予算の減少や、景気低迷による民間設備投資の減少によって、熾烈な受注競争が繰り広げられ、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 事業の根幹である人材の確保と育成を経営の最優先として推し進めるとともに、ICTの活用による生産性の向上と営業力の強化に努めてまいります。

 

 (12) 観光関連事業における天候不順等

 観光関連事業は、冬期営業期間のスキー場における雪不足や悪天候、夏期営業期間においても悪天候等により来客数が減少すると、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 施設の魅力を高める施策を実施するとともに、天候に左右されない商品の拡充を図ってまいります。

 

 (13) 不動産事業におけるテナント退去及び賃料引き下げ

 不動産事業は、景気動向、企業業績、需給動向の影響を受けやすい傾向があります。景気低迷等によるテナントの退去や賃料等契約条件の引き下げの動きが生じ、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(リスクに対する対応策)

 契約に際しては、リスクを勘案した敷金を受領するとともに、原則、賃貸料を前受で受領しております。

配当政策

3【配当政策】

 当社の剰余金の配当は、定時株主総会による年1回の期末配当を基本方針としております。

 コロナ禍後の社会・経済状況が大きく変化し、難しい経営環境が続く中、これまでの安定配当を基本としつつも、経営環境の変化等に柔軟な対応をしてまいります。

 当面、人手不足対応として、人材の定着・確保・育成等に内部留保資金を活かし、経営にあたるとともに、輸送の安全を確保する設備投資(車両の更新等)にも配慮し、持続可能な経営体制にしてまいります。

 当事業年度の配当金につきましては、前述の状況から、1株当たり40円とさせていただきました。

 

 (注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

令和6年6月25日

115

40

定時株主総会決議