人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数6,460名(単体) 15,202名(連結)
-
平均年齢42.7歳(単体)
-
平均勤続年数12.8年(単体)
-
平均年収5,867,441円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
運輸サービスグループ |
6,379 |
(61) |
不動産・ホテルグループ |
2,173 |
(441) |
流通・外食グループ |
1,376 |
(3,668) |
建設グループ |
2,983 |
(32) |
ビジネスサービスグループ |
2,291 |
(626) |
合計 |
15,202 |
(4,828) |
(注)1 従業員数は、就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者及び嘱託社員(常勤)を含む。当社グループ内での出向については、出向先企業に係るセグメントに含む。)であり、臨時従業員数は、( )内に外書きで記載しております。
2 「建設グループ」における従業員数は、前連結会計年度から129名増加しておりますが、主として株式会社九鉄ビルト、株式会社メタルスター九州、株式会社有馬電設、株式会社西日本電機器製作所を当連結会計年度より連結の範囲に含むことによるものです。また、「ビジネスサービスグループ」における従業員数は、前連結会計年度から316名増加しておりますが、主としてCKレンタル株式会社、株式会社プレミアムロジックス、株式会社ビー・エス・エス、株式会社ウイズユニティを当連結会計年度より連結の範囲に含むことによるものです。
(2)提出会社の状況
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|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
6,460 |
42.7 |
12.8 |
5,867,441 |
(参考情報)提出会社の正社員の状況 |
|
2025年3月31日現在 |
|
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
5,551 |
38.0 |
14.5 |
6,259,555 |
|
2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
運輸サービスグループ |
6,189 |
不動産・ホテルグループ |
254 |
流通・外食グループ |
- |
建設グループ |
- |
ビジネスサービスグループ |
17 |
合計 |
6,460 |
(注)1 従業員数は、当社から他社(グループ会社を含む。以下「(2)提出会社の状況」において同じ。)への出向者及び契約社員を除き、他社から当社への出向者及び嘱託社員(常勤)を含む就業人員数であります。
2 臨時従業員数については、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。
3 平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、従業員から、他社から当社への出向者を除いたものについての数値であります。
4 平均勤続年数は日本国有鉄道における勤続年数を通算しております。
5 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。また、当社は様々な人事制度を導入しており制度に応じた給与体系が異なることから、当社の従業員の中心である正社員の平均年間給与等を参考情報として記載しております。
(補足説明)
当社では、職務と勤務エリアが限定された正規労働者(以下「地域社員」という)を雇用しています。 より広い分野で活躍を希望する地域社員に対しては、2024年10月に職務と勤務エリアを限定しない「社員」 へ雇用契約を変更しました。
なお、雇用契約を変更した社員については、勤続年数の起算日を2024年10月としています。
(3)労働組合の状況
当社には、現在、以下の3つの労働組合があります。
2025年3月31日現在 |
労働組合名 |
組合員数(人) |
上部団体 |
九州旅客鉄道労働組合 (JR九州労組) |
6,311 |
日本鉄道労働組合連合会 (JR連合) |
ジェイアール九州ユニオン (JR九州ユニオン) |
171 |
- |
国鉄労働組合九州本部 (国労九州本部) |
95 |
国鉄労働組合 (国労) |
(注) 括弧書は略称であります。
当社は、九州旅客鉄道労働組合、ジェイアール九州ユニオン及び国鉄労働組合九州本部との間において労働協約を締結し、これに基づいて経営協議会、団体交渉等を行い、健全で安定した労使関係の維持、発展に努めております。
なお、子会社の労働組合の状況については、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
管理職に占める 女性労働者の割合 (%) |
男性労働者の 育児休業等取得率 (%) |
労働者の男女の賃金の差異(%) |
||||
全労働者 |
正規労働者 |
|
非正規労働者 |
|||
社員 |
地域社員 |
|||||
6.3 |
113.1 |
75.9 |
68.6 |
73.2 |
116.5 |
71.0 |
(注)1 管理職に占める女性労働者の割合については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づき算出したものです。
2 管理職に占める女性労働者の割合は、2025年4月1日現在の数値です。
また、出向者を出向元の労働者として集計しております。
3 男性労働者の育児休業等取得率については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等の取得割合(育児休業+育児目的休暇を取得した男性労働者の数/配偶者が出産した男性労働者の数×100)を算出したものです。
4 労働者の男女の賃金の差異については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づき、男性労働者の賃金に対する女性労働者の賃金の割合(その雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合)を示しております。他社から当社への出向者及び派遣社員については、対象外としています。また、当連結会計年度に、休職実績がある者は対象外としています。なお、退職手当については、賃金に含めておりません。
(補足説明)
当社の男女の賃金の差異について、次のとおり補足します。
ア 正規労働者について
当社の正規労働者は、「社員」と「地域社員」で構成されており、「地域社員」は職務と勤務エリアが限定された正規労働者であり、「社員」はそれらに限定のない正規労働者です。
イ 正規労働者の賃金の差異の主な要因について
当社では、「社員」と「地域社員」のそれぞれの役割の違いから、「社員」は「地域社員」よりも給与を高く設定しておりますが、「地域社員」は約97%が女性で構成されており、結果的に正規労働者全体の男女の賃金の差異に影響しております。なお、2024年10月に、より広い分野での活躍を希望する「地域社員」に対して、職務と勤務エリアを限定しない「社員」への転換を実施しております。(619名)
ウ 正規労働者のうち、「社員」の賃金の差異について
「社員」における男女の賃金の差異は、労働者の年齢構成によるものであり、職種及び等級が同一である者の賃金は、人事考課による調整前においては男女とも同一です。なお、平均年齢では男性の方が女性よりも約2.5歳高くなっております。
エ 非正規労働者の賃金の差異の主な要因について
非正規労働者は、「嘱託再雇用社員」「期間契約社員」等で構成されています。「嘱託再雇用社員」は、当社を定年退職した後、再雇用された社員であり、駅での案内業務等、時給制で働く「期間契約社員」よりも給与を高く設定しております。なお、対象期間において「嘱託再雇用社員」の多くが男性であったため、結果的に男女の賃金の差異に影響しております。
②連結子会社 |
セグメント |
会社名 |
管理職に 占める 女性 労働者 の割合 (%) |
男性 労働者 の 育児 休業等 取得率 (%) |
労働者の男女の賃金の差異(%) |
||
全 労 働 者 |
正 規 労 働 者 |
非 正 規 労 働 者 |
||||
運輸サービス |
JR九州バス㈱ |
0.0 |
100.0 |
76.8 |
84.0 |
68.1 |
不動産・ホテル |
㈱JR博多シティ |
20.0 |
100.0 |
84.6 |
85.1 |
57.2 |
JR九州ビルマネジメント㈱ |
5.3 |
66.7 |
73.0 |
73.9 |
130.3 |
|
JR九州レンタカー&パーキング㈱ |
9.1 |
0.0 |
116.5 |
92.8 |
86.6 |
|
JR九州シニアライフサポート㈱ |
50.0 |
- |
77.4 |
83.0 |
85.3 |
|
JR九州ホテルズアンドリゾーツ㈱ |
7.7 |
66.7 |
62.8 |
75.9 |
81.6 |
|
㈱おおやま夢工房 |
0.0 |
0.0 |
81.1 |
83.4 |
102.1 |
|
流通・外食 |
JR九州リテール㈱ |
15.2 |
28.6 |
69.7 |
80.5 |
97.9 |
JR九州ファーストフーズ㈱ |
33.3 |
- |
86.5 |
89.6 |
105.7 |
|
JR九州フードサービス㈱ |
7.7 |
33.3 |
62.0 |
79.4 |
99.0 |
|
JR九州ファーム㈱ |
0.0 |
- |
91.0 |
82.2 |
106.6 |
|
㈱萬坊 |
35.3 |
0.0 |
82.3 |
86.5 |
79.8 |
|
㈱ヌルボン |
0.0 |
0.0 |
85.4 |
79.4 |
93.5 |
|
㈱フジバンビ |
12.5 |
0.0 |
62.1 |
70.2 |
70.0 |
|
建設 |
九鉄工業㈱ |
4.3 |
133.3 |
66.7 |
61.7 |
60.4 |
JR九州エンジニアリング㈱ |
0.0 |
20.6 |
91.2 |
90.4 |
- |
|
三軌建設㈱ |
0.0 |
75.0 |
61.3 |
72.6 |
60.4 |
|
JR九州電気システム㈱ |
2.5 |
50.0 |
73.7 |
72.1 |
69.7 |
|
JR九州コンサルタンツ㈱ |
0.0 |
20.0 |
83.6 |
79.5 |
51.8 |
|
ビジネスサービス |
キャタピラー九州㈱ |
4.3 |
100.0 |
62.5 |
81.3 |
61.6 |
JR九州サービスサポート㈱ |
4.4 |
0.0 |
70.1 |
87.6 |
86.4 |
|
JR九州システムソリューションズ㈱ |
4.3 |
55.6 |
75.8 |
81.8 |
73.9 |
|
JR九州ライフサービス㈱ |
0.0 |
- |
114.8 |
100.1 |
112.6 |
(注)1 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に基づく公表の有無にかかわらず、労働者数が、101名以上の連結会社(海外子会社及び持分法適用会社を除く)について公表しております。
2 管理職に占める女性労働者の割合については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づき算出したものです。
3 管理職に占める女性労働者の割合は、2025年4月1日現在の数値です。
また、出向者を出向元の労働者として集計しております。
4 男性労働者の育児休業等取得率については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等の取得割合(育児休業+育児目的休暇を取得した男性労働者の数/配偶者が出産した男性労働者の数×100)を算出したものです。
5 男性労働者の育児休業等取得率における「-」は、男性労働者の育児休業等取得の対象となる労働者(当連結会計年度に配偶者が出産した労働者)がいないことを示しております。
6 労働者の男女の賃金の差異については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)に基づき、男性労働者の賃金に対する女性労働者の賃金の割合(その雇用する男性労働者の賃金の平均(平均年間賃金=賃金総額÷人員数)に対するその雇用する女性労働者の賃金の平均の割合)を示しております。他社から当社への出向者及び派遣社員については、対象外としています。また、当連結会計年度に、休職実績がある者は対象外としています。なお、退職手当については、賃金に含めておりません。
7 労働者の男女の賃金の差異については、労働者の勤続年数及び雇用形態別の人数構成の差等によるものであり、職種及び等級が同一である者の賃金は、人事考課による調整前においては男女とも同一です。また、「-」は、男女のいずれかで対象となる労働者がいないため、賃金の差異を算出することが出来ないことを示しております。
8 JR九州グループホテル4社(JR九州ホテルマネジメント㈱、JR九州ホテルズ㈱、JR九州ハウステンボスホテル㈱、JR九州ステーションホテル小倉㈱)は、2024年10月1日付で、JR九州ホテルマネジメント㈱を存続会社とする吸収合併を行い、会社名を「JR九州ホテルズアンドリゾーツ㈱」に変更しています。なお、賃金等については合併後の期間において算出しております。
9 JR九州サービスサポート㈱は、2025年4月1日付で、JR九州リネン㈱を吸収合併しております。なお、管理職に占める女性労働者の割合については、合併後の労働者数を基に算出したものです。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)持続的な価値創造に向けたESG経営の推進
未来に向けた価値を提供し続け、社会に貢献する企業グループであるために、日々の使命と、その先に実現したい未来像を掲げた経営理念を「わたしたちの夢」「使命」「おこない」として定めています。「わたしたちの夢」は九州の元気を世界へ届けることであり、この夢の実現のためには持続的な価値提供が不可欠です。この持続的な価値提供のために、常に考えるべきこととしてマテリアリティを設定しています。そして、このマテリアリティに真摯に取り組んで行くことこそが、環境・社会・ガバナンスの観点から企業の持続可能性を高める「ESG経営」であり、この非財務活動がわたしたちの経営基盤を強固に支え、持続的な財務価値の創出につながっていくものと考えています。
ESG経営を強化・推進していくための審議機関として、社長執行役員を委員長とする「ESG戦略委員会」を設置しています。「ESG戦略委員会」は、ESG経営を全社的な課題と位置づけ、環境・社会・ガバナンスの各分野における取り組みを強化・推進するための審議機関です。委員会では非財務情報の進捗やESG分野の動向や課題について審議した事項は、必要に応じて取締役会へ報告するなどリスク管理を含めた管理体制としております。また、ESG経営をさらに推進していくために、ESGに関する知見を有する社外取締役も「ESG戦略委員会」にオブザーバーとして適宜参加しています。
JR九州グループ中期経営計画 2022-2024[マテリアリティと非財務KPI]
JR九州グループ中期経営計画 2025-2027[マテリアリティと非財務KPI]
※1 鉄道事業における接遇、設備、ダイヤ等に関わるアンケート調査の総合スコア
※2 従業員意識調査結果(総合満足度)以外は単体指標
※3 退職しなければ勤続15年に達した者を含む
※4 当社独自の指標で、従業員意識調査における関連する項目の平均スコア
※5 売上高原単位:水使用量/売上(千㎥/億円)
(2)気候変動
2021年2月、当社は金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言に賛同を表明しています。今後もTCFD提言に基づく「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの視点について、相互のつながりを意識し、気候変動関連リスク及び機会への対応を経営に統合して取り組みを推進することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
①ガバナンス
当社グループは環境に関わるマテリアリティを「脱炭素社会の実現」から「環境と調和した事業展開」に見直し、「気候変動」に加え「資源循環」、「生物多様性」といった環境課題に対して統合的なアプローチを実現するため、新たに「JR九州グループ環境ビジョン2050」を策定しました。「ESG戦略委員会」で気候変動をはじめとする環境課題への対応について、策定された環境ビジョンに則った事業活動が推進されているかを確認し、気候変動等の環境課題解決に向けた自主的目標の設定及び進捗の確認、リスクマネジメント等を実施しています。「ESG戦略委員会」で審議された重要な事項について、取締役会は必要に応じて報告を受け、指示を出す管理体制としています。今後も、気候変動関連の取り組みや開示の方向性、各種目標設定、環境マネジメント体制等、取締役会内にて議論を進め、脱炭素社会の実現に向けてESG経営を推進していきます。
②戦略
当社グループの事業特性などを鑑み、気候変動によるリスクや機会を特定しています。主なリスクとして、炭素税の引き上げ、グリーンビルディング開発・改修、気温の上昇による光熱費増加、並びに、気候変動を原因とする自然災害の増加による事業活動の停止や資産の被害が見込まれます。機会については、鉄道の環境優位性の維持による売り上げの増加やグリーンビルディングへの需要の高まり、サステナブル商品への関心の高まりによる需要の拡大などが見込まれます。これらのリスク・機会を踏まえ、「JR九州グループ環境ビジョン2050」において、脱炭素社会の実現に向けたロードマップを策定しています。エネルギー使用量の削減や再生可能エネルギーの導入・活用に加え、バイオディーゼル燃料の導入等に向けた新技術の実証試験、不動産アセットにおけるグリーンビルディング認証の取得といった緩和策の積極的な実施とともに、各施設における電気機器室の嵩上げや止水板の設置等の降雨対策、BCP対策の充実、などの適応策も実施していきます。
③リスク管理
気候変動関連のリスクに関しては、社長執行役員を委員長とする「ESG戦略委員会」において、当社グループの事業が受けるリスクを識別・評価するため、TCFD対応の一環として気候変動に関するリスクと機会を分析しています。また、本リスクの管理体制として、同じく「ESG戦略委員会」において、GHG排出量を削減していくための施策の計画・立案、進捗を中心に管理しています。気候変動関連リスクの識別・評価、管理状況については「ESG戦略委員会」の中で毎年1回以上報告するとともに、必要に応じて取締役会にも報告します。
④指標と目標
当社グループでは2050年GHG排出量実質ゼロを目指すことを表明しています。また、「JR九州グループ環境ビジョン2050」で策定したロードマップについて、「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」で非財務KPIと設定し、経営戦略に反映することにより、GHG排出量削減の取り組みを推進しています。今後も、当社グループ全体で脱炭素社会の実現に向けてESG経営の強化を進めていきます。「JR九州グループ中期経営計画2022-2024」で設定した非財務KPI及び実績については「(1)持続的な価値創造に向けたESG経営の推進」をご参照下さい。なお、2025年3月期の実績については2025年度中に発行する統合報告書等にて別途公表します。
(3)人的資本について
■ 基本的な考え方
前中期経営計画(2022-2024)の期間中である2023年3月に「JR九州の人材戦略」を策定し、その戦略に基づきPDCAサイクルを回しながら施策を実施することで、“あるべき姿”を実現するための人づくりを推進してきました。新たな中期経営計画(2025-2027)においても、「価値創造の源泉である人づくり」をマテリアリティの一つとして掲げており、人づくりはこれまでも、そしてこれからも当社グループの企業価値を向上させるためには非常に重要な取り組みであると考えています。
2025年3月より経営理念を“わたしたちの夢”、“使命”、“おこない”に変更し、人的資本を拡充することが経営理念の実現に繋がるという認識のもと、人材戦略を「わたしたちの夢を実現するためのJR九州の人材戦略」に改めました。これまでの「JR九州の人材戦略」で定めていた2つの基本方針と4つの柱を継承しつつ、経営理念の“使命”に掲げる「安全」、「お客さま視点」の意識を更に醸成するために、新たに「安全を最優先し、お客さま視点で考える社員を育む組織づくり」という柱を追加しました。新たに策定した「わたしたちの夢を実現するためのJR九州の人材戦略」については、以下のとおりです。
① ガバナンス
人的資本経営を推進するために、2023年4月に設置した社長執行役員を委員長とする「人材戦略委員会」を継続的に実施し、人材戦略に関する取り組みを審議しました。
2024年度は、人材戦略委員会を9回開催し、人材に関する各種計画の策定や取り組みの進捗確認など、延べ24の議題を付議し、議論しました。
また、人材戦略における2024年度の振返りと2025年度の重点取り組みについては、取締役会にて報告しました。
② 戦略
2024年度は「JR九州の人材戦略」の4つの柱に基づいて、具体的な取り組みを計画して人材戦略委員会にて練り上げ(P)、実施しました(D)。その後、従業員意識調査の結果や人材に関するKPIの進捗を確認し、人材戦略委員会にて、その取り組みの結果を検証し(C)、課題を抽出、次の手を打ちました(A)。こうして、社員が働きがいを持ち、いきいきと活躍できる会社をつくり、人間力と実務力を持った社員の育成を図ります。
≪4つの柱に基づいた具体的な取り組み≫
a 意欲と能力のある社員への挑戦・成長の機会の提供と支援
2024年10月より、人材戦略の基本方針の一つである「社員の誰もがやりがいを持ち、いきいきと活躍できる会社づくり」に関して、キャリア自立を通して実現させるために、キャリアカウンセリング室を開設しました。相談窓口は社内外にそれぞれ設置し、社内窓口については、国家資格であるキャリアコンサルタントを保有している社員を配置しています。開設以降2025年3月までの6ヶ月間で17名の社員による利用がありました(社外窓口含む)。
また、動画研修による自律的な学習支援の一つとして、2023年度に企業内大学「JR九州アカデミー」を開設しました。2025年3月末時点で開校以来延べ約3,180名が受講しています。JR九州アカデミーは年間を通して複数人が合同で受講できる「人間力学部」、「実務力学部」の二つの学部と個人が3ヶ月の短期間で学習する「新規事業学部」で構成しています。社員が学びたい内容や学習スタイルを選択できるようにしており、学びへの意欲向上を図ることで社員が自ら学ぶ風土を醸成しています。
このような取り組みを通して、当社の人材戦略で掲げる「人間力」と「実務力」を兼ね備えた人材を育成し、ひいては会社の成長に繋げていきます。
b 一人ひとりが持つ価値観や能力を活かせる風土と仕組みづくり お客さま、地域社会、株主、社員のニーズの変化に対応し、今後さらに会社を成長させていくためには、社員一人ひとりが持つ力を「誰もが」最大限に発揮することが必要と考え、2024年度に当社としてのDE&Iの概念をまとめました。社員が自分の仕事に誇りを持ち、誰もがいきいきと活躍できる会社を目指す活動を推進する部署として「明るく楽しい会社づくりプロジェクト」を立ち上げ、DE&Iの浸透に取り組んでいます。 2024年4月には経営層を対象に、先進的にDE&Iに取り組んでいる企業から講師を招いて「DE&I経営」に関する講演会を開催、同年5月~10月にかけて管理者を対象に、アンコンシャスバイアスへの気づきや職場のメンバーへの対話を通した関わり方を学ぶとともに、明るく楽しい会社づくりを進める上での手段を習得するための「明るく楽しい会社づくり研修」を実施しました。本研修の受講者は、研修受講後、自箇所でのファシリテーターとして一般社員向けの職場対話会を開催しています。研修で学んだことを活かしながら、職場対話会の中では一人ひとりが、誰もが活躍できる職場にするために「自分が」できることを考えました。さらに、各職場から、管理者とともにDE&I推進に取り組む「明るく楽しい会社づくりリーダー」を選出し、各職場の管理者とリーダーの取り組みを支援することで、DE&I推進が自走する組織を目指しています。 |
|
|
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明るく楽しい会社づくり研修 |
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職場対話会 |
c 努力と成果に応じたメリハリのある評価と報酬
2024年度より、年度初に評価者が実施するフィードバック面談において、被評価者に対して特に良かった点や今後の最優先課題と共に評価内容や理由を伝えるよう見直しました。また、昇進試験における面接評価や昇給、賞与の通知を行う際にも社員に理由を伝え評価と報酬に納得感を持たせ、働きがいの向上に努めています。
社員の納得感を高めるために、評価者や面接官を対象とした研修を実施し、コミュニケーション能力や評価スキルの向上を図っています。評価者に対する評価者(コミュニケーション)研修は、主にマネジメントにおける人事評価の重要性や人事評価の前提となる心理的安全性、そして目標設定のポイントと目標達成に向けた部下との接し方等、マネジメント能力の向上を目的に実施しています。評価者は3年に1度の頻度で本研修を受講する計画としており、2024年度から2巡目を実施しています。また、昇進試験の面接官を対象とした面接官研修では、公正かつ納得感のある試験実施のためのポイントについて学んでいます。これらの研修を通じて、社員の評価と報酬に対する納得感を高め、働きがいの向上を図っています。
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評価者(コミュニケーション)研修 |
d ライフプランに合わせた柔軟な働き方が選択できる環境整備と健康経営の推進
仕事と子育ての両立支援として、短時間勤務や深夜帯免除の対象者を拡大しました。対象者拡大に合わせて、仕事や育児への考えをパートナーや家族と共有するとともに、制度を利用する社員も周囲の社員もできるときにできることを行い、最大限の力を発揮して欲しいという想いをトップメッセージとして発出し、「お互い様」の気持ちで助け合う風土の醸成に努めました。
また、2024年度に健康経営における戦略マップを策定しました。これまでも健康経営推進の取り組みは実施してきましたが、戦略マップを新たに作成することでより効率的かつ効果的に健康経営を推進していきます。戦略マップでは身体の健康と心の健康のどちらも対象とし、健康状態を維持、向上をするために、様々な指標を設け、その取り組み状況をモニタリングし打ち手を実施することで社員の仕事に対するパフォーマンスややりがいの向上を図ります。2025年3月には、当社の健康経営の取り組みが評価され、「健康経営優良法人2025」の認定を受けました。
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健康経営における戦略マップ |
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健康経営優良法人2025 |
≪JR九州の人材戦略として新しく追加した柱≫
a 安全を最優先し、お客さま視点で考える社員を育む組織づくり
「安全」をつくることが最優先事項であることを宣言するとともに、常にお客さま視点で物事を捉えることでお客さまのニーズを上回る良質な顧客体験を提供する、という新たな経営理念の一つである“使命”に込めたおもいを人材戦略の新たな柱に盛り込みました。安全は最優先事項であるという認識のもと、新しい人材戦略では、1つ目の柱として掲げています。2025年度はこれまで実施してきた安全創造運動や安全創造館研修に加え、新たに役員向けのコンプライアンス研修や社員が気づいた安全やお客さま視点の声などの意見を活発に出し合える組織の構築に向けて対話型の意見交換会を実施する予定です。また、お客さま満足の向上を目的に、サービス介助士資格取得者の拡大(2025年3月期時点で326名の取得)や講演会の開催、お客さま満足度調査結果のフィードバックやフォロー教育に取り組み、お客さま視点に立った「観察力・想像力・行動力」の習得、向上を図ります。
③ リスク管理
社長執行役員を委員長とする人材戦略委員会において、人材に関する各種計画策定とKPIの進捗確認を実施しており、本委員会に付議した内容は必要により取締役会にも報告しています。各種施策の有効性を測るとともに、人材戦略の具体的な取り組みを計画するにあたり、KPIのほか、全社員を対象に実施している従業員意識調査の結果を重要視しています。2024年度は前年度と比べると多くの項目で満足度が向上しており、総合満足度においても過去最高値を記録しました。一方で、「従業員にとっての魅力」や「仕事の質の負担感」の項目は他の項目に比べて低い数値に留まっています。2025年度は、全社員に配布しているブランドブックを活用して新たな経営理念の理解・共感を深める取り組みや自箇所の役割や存在意義について職場内で対話をする職場対話会、タレントマネジメントシステムを活用した人材発掘・人事ローテーションの活性化等を推進し、社員の誰もがやりがいを持ち、いきいきと活躍できる会社を目指してこれまで以上に人的資本に関する取り組みを拡充させていきます。
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従業員意識調査の結果(2023年度、2024年度) |
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総合満足度の推移 |
④ 指標と目標
当社グループでは、企業理念の実現に向け、非財務KPIを設定しています。当社の人材戦略に関する非財務KPI及び進捗状況については、「(1)持続的な価値創造に向けたESG経営の推進」をご参照下さい。