2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    14,627名(単体) 39,076名(連結)
  • 平均年齢
    40.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.9年(単体)
  • 平均年収
    10,112,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    6.5%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

①経営戦略と人財戦略の連動

 当社グループが目指す「JALグループ経営ビジョン2035」の実現には、既存事業での着実な成長と社会課題起点の新たな事業領域拡大という2つの大きな事業戦略を実行していく必要があります。

 既存の航空事業領域において着実な成長を実現していくためには、生産年齢人口の減少や各種コスト増といった環境の中、これまでよりも少ない人数で高いパフォーマンスを発揮する体制の構築が急務となっています。同時に、新規事業領域の拡大に向けては、今あるリソースの強みを活かしつつ、新しい価値を創造できる人財を確保していくことが必要です。

 これらを実現するために、グループ全体で生産性向上とウェルビーイングの向上に取り組んでいきます。生産性向上においては、テクノロジーへの重点的な投資を通じて労働集約的な業務の自動化・効率化を加速させ、人の担うべき業務を見直し、抜本的な働き方の変革を実行していきます。

 ウェルビーイングの向上は、人財戦略の最上位目標として掲げ、「プロフェッショナルとしての活躍」と「新たな価値を創る変革・挑戦文化の醸成」を両輪として推進します。社員が新たな価値創造に果敢に挑戦し、やりがいを深めていくプロセスを通じて、一人一人がもつ力を最大限に引き出し、グループ全体の持続的な企業価値向上へと結びつけてまいります。

②人財戦略を踏まえた従業員給与等の決定方針(提出会社についての方針)

 当社は、JALグループ企業理念である「全社員の物心両面の幸福の追求」を経営の根幹に据えています。人財こそが持続的な成長と企業価値向上の源泉であるという認識のもと、社員一人一人のウェルビーイングを追求し、その活力を事業の競争力へと繋げていくことを給与・処遇の基本的な考え方としています。

 

<基本方針>

 人財戦略の最上位目標であるウェルビーイングの向上を軸として、「JALグループ経営ビジョン2035」の実現に向けた人的資本経営を推進します。具体的には、2026年度から2030年度の5年間において、年平均約800億円規模の継続的かつ積極的な人的投資を実行する方針であり、これを原動力として人的資本経営のサイクルを強力に回してまいります。

 中長期的な観点から持続的な還元を実施することで社員の生活の安定と新たな挑戦を支えるとともに、賞与においては、あらかじめ定めた業績連動の枠組みに沿って運用することで、生み出した付加価値が着実に処遇へと反映される仕組みとしています。こうした方針のもと、人財戦略と連動した以下の報酬体系を通じて、事業の競争力強化と持続的な成長を加速させてまいります。

 

<高度な専門性の評価と自律的キャリア形成を後押しする報酬体系>

 社員一人一人が自らのキャリアを自律的に切り拓き、専門性を高めることを促進するため、従来のマネジメント職を前提とした等級体系に加え、「高度専門管理職」を設けた複線型人事制度を導入しています。本制度では、「専門知識・スキルの難易度」や「事業運営上の重要性」といった定義に基づき、高度な専門性を要するポストを特定しています。航空機整備といった航空事業の基幹領域から、IT、マーケティング、法務、財務など、戦略、コーポレート領域まで、特定された各ポストの価値を反映した報酬体系を運用しています。また、一般職層においても、事業戦略上重要な専門性の高いスキルを社内資格として認定し報いる「特定資格者手当」等を運用し、既存の枠組みにとらわれずに能力を発揮する社員に報いる仕組みを整えています。

 

<変革・挑戦を促し成果に報いる仕組み>

 「変革・挑戦文化の醸成」の一環として、この文化醸成の起点となるリーダー層の役割を「共創を導くリーダー」へと再定義し等級制度に反映させるとともに、その役割発揮を支える評価制度・報酬制度へと刷新しています。

 評価制度は、人財育成や組織づくりを行動評価として重視する設計とすることで、短期的な業績だけでなく、次世代育成や組織における共創推進を通じた組織パフォーマンス向上といった役割の発揮を促し、企業としての中長期的な成長につなげていきます。

 また、報酬制度は、全ポストにおいて役割・評価と連動する報酬設計とすることに加え、新たに、経営戦略上の重要な「変革ミッション」を担うポストにおいては、高いストレッチ目標の設定とその目標に対する成果に応じた報酬体系を導入しています。これにより、負荷の高いミッションに対しての挑戦を処遇面から後押しし、変革実行力の強化につなげていきます。

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

フルサービスキャリア事業

29,231

(1,556)

LCC事業

2,046

(88)

マイル/金融・コマース事業

1,734

(332)

その他

6,065

(681)

合計

39,076

(2,657)

(注)1.従業員数は、休職者および当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。

2.従業員数欄の( )内には、臨時雇用者数の年間の平均人員数を外数で記載しております。

臨時雇用者数には、人材会社からの派遣社員及びパートタイム社員を含めております。

3.特定のセグメントに分類できない会社の従業員は、主に従事している業務および業務に従事した時間に基づく按分計算により、適切なセグメントに帰属させています。

 

②提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

 

従業員数

(名)

平均年齢

(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与

(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

常勤社員

14,627

40.2

14.9

10,112

6.5

 

 

 

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

フルサービスキャリア事業

14,350

(109)

LCC事業

21

(0)

マイル/金融・コマース事業

93

(2)

その他

163

(0)

合計

14,627

(111)

(注)1.従業員数は、海外現地雇用社員を含みますが、平均年齢、平均勤続年数は、海外現地雇用社員を母数に含んでおりません。

2.従業員数欄の( )内には、臨時雇用者数の年間の平均人員数を外数で記載しております。

臨時雇用者数には、人材会社からの派遣社員及びパートタイム社員を含めております。

3.他社への出向者および派遣社員(2,640名)、休職者(1,496名)は含んでおりません。

4.平均年間給与は、各種手当等の基準外賃金および各種手当を含んでおります。また海外雇用社員の給与は含んでおり、他社への出向者の給与は除いて算出しております。

5.平均年間給与は、国内雇用社員と海外雇用社員の平均であり、年間の人件費に含まれる現金給与相当額を当事業年度中の平均在籍人数で除して算出しております。

 

(参考情報)

 

平均年間給与(千円)

地上社員

7,002

運航乗務員

21,527

客室乗務員

6,327

合計

8,119

(注)グループ連結平均年間給与は、当社グループの連結人件費に含まれる現金給与相当額を当事業年度中の平均在籍人数で除して算出しております。

 

 

③労働組合の状況

2026年3月31日現在

 

会社名

名称

組合員数

(名)

構成

上部団体

提出会社

JAL労働組合

9,654

地上社員・客室乗務員

航空連合

日本航空乗員組合

2,371

地上社員・運航乗務員

航空労組連絡会(航空連)

日本航空キャビンクルーユニオン

161

客室乗務員

航空労組連絡会(航空連)

日本航空ユニオン

301

地上社員

航空労組連絡会(航空連)

(注)連結子会社には、株式会社JALグランドサービスのJALグランドサービス労働組等、日本トランスオーシャン航空株式会社の日本トランスオーシャン航空労働組合等があります。

 

④管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

イ.提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

 (注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3、6)

全労働者

うち正社員

うちパート・

有期労働者

33.6

96.4

49.6

48.7

44.4

(注4、5)

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含みます。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。男女の賃金差異に記載した数値は、男性の平均年間賃金を100%とした場合の女性の平均年間賃金の割合です。

4.男女の賃金差異は、職種別の単価の差や勤続年数の差、男女構成比の偏りの影響を受けております。

なお職種別の詳細は以下のとおりです。

・地上正社員の男女賃金差異78.5%(平均勤続年数:男性22.6年、女性10.1年、人数比:男性76.9%、女性23.1%)

・運航乗務員正社員の男女賃金差異51.0%(平均勤続年数:男性19.0年、女性6.7年、人数比:男性97.7%、女性2.3%)

・客室乗務員正社員の男女賃金差異130.4%(平均勤続年数:男性3.9年、女性11.9年、人数比:男性2.1%、女性97.9%)

5.部分就労の労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。

6.男女賃金差異を縮小するため、ライフイベントとの両立支援や職種ごとの男女構成比の偏りに着目した取り組みを進めることで、誰もが自律的にキャリア実現できる環境を整えてまいります。

 

ロ.連結子会社

当事業年度

補足説明

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3、8)

全労働者

うち正社員

うちパート・有期労働者

株式会社ジェイ

エア

32.7

100.0

34.1

31.3

37.4

(注4)

日本エアコミュ

ーター株式会社

18.0

80.0

49.7

51.7

23.0

(注4)

株式会社北海道

エアシステム

11.1

100.0

53.7

52.5

-

(注4)

日本トランスオ

ーシャン航空株

式会社

23.2

65.4

50.7

49.3

54.8

(注4)

琉球エアコミュ

ーター株式会社

21.4

120.0

44.2

44.4

42.3

(注4)

株式会社ZIP

AIR Tok

yo

3.6

91.7

26.0

24.9

25.9

(注4)

スプリング・ジ

ャパン株式会社

17.8

85.7

32.8

44.0

16.8

(注4)

株式会社JAL

スカイ

79.3

100.0

103.0

87.4

138.9

(注5)

JALスカイエ

アポート沖縄株

式会社

34.7

100.0

81.5

79.8

69.8

(注5)

株式会社JAL

スカイ大阪

93.9

100.0

107.3

74.2

134.6

 

株式会社JAL

スカイ九州

94.7

100.0

146.9

129.1

64.3

(注5)

株式会社JAL

スカイ札幌

85.3

100.0

120.5

120.7

65.5

(注5)

株式会社JAL

スカイ金沢

75.0

-

93.9

92.9

101.6

(注5)

株式会社JAL

スカイ仙台

28.6

-

79.1

76.5

115.2

(注5)

株式会社JAL

グランドサービ

6.5

100.0

69.1

74.0

73.6

(注5)

株式会社JAL

グランドサービ

ス大阪

12.5

100.0

65.3

86.4

70.3

 

株式会社JAL

グランドサービ

ス九州

0.0

100.0

67.2

81.3

64.5

 

株式会社JAL

グランドサービ

ス札幌

0.0

100.0

73.5

82.8

92.7

(注5)

株式会社JAL

エンジニアリン

4.4

100.0

67.5

74.2

21.0

(注5)

 

当事業年度

補足説明

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3、8)

全労働者

うち正社員

うちパート・有期労働者

株式会社JAL

メンテナンスサ

ービス

11.1

100.0

72.3

93.9

45.6

(注6)

日航関西エアカ

ーゴ・システム

株式会社

0.0

100.0

80.8

79.6

94.1

(注5、7)

株式会社JAL

カーゴサービス

12.1

100.0

76.9

76.3

71.5

 

株式会社JAL

カーゴハンドリ

ング

0.0

100.0

76.1

79.9

81.7

 

株式会社JAL

カーゴサービス

九州

0.0

100.0

71.3

71.2

133.6

(注5)

株式会社JAL

ナビア

95.7

100.0

121.4

103.6

116.8

(注5、7)

株式会社JAL

マイレージバン

77.8

-

91.5

88.0

103.4

(注7)

ジャルロイヤル

ケータリング株

式会社

14.0

100.0

76.1

82.3

76.5

 

株式会社JAL

エアテック

2.4

85.7

71.8

71.7

93.7

(注5)

株式会社ジャル

パック

36.4

50.0

84.4

82.5

87.2

 

株式会社JAL

JTAセールス

42.9

-

72.2

80.1

147.3

(注5)

株式会社JAL

エービーシー

13.6

-

76.0

77.0

87.0

(注5、7)

株式会社JAL

UX

15.9

77.8

74.2

73.8

54.8

(注5)

JALデジタル株式会社

16.3

100.0

86.2

84.7

87.9

(注5、7)

JALペイメン

ト・ポート株式

会社

0.0

100.0

-

-

-

 

株式会社ジャル

カード

50.0

100.0

87.8

86.3

92.3

(注5)

株式会社JAL

-DFS

83.3

-

107.7

105.2

86.6

(注7)

株式会社JAL

ファシリティー

0.0

100.0

72.1

69.4

117.5

 

SJフューチャーホールディングス株式会社

-

-

-

-

-

 

 

当事業年度

補足説明

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3、8)

全労働者

うち正社員

うちパート・有期労働者

JAL Agr

iport株式

会社

0.0

-

-

-

-

 

JALビジネス

アビエーション

株式会社

0.0

-

49.5

-

49.5

(注5)

株式会社JAL

ブランドコミュ

ニケーション

39.1

100.0

84.8

86.1

32.7

(注5)

JTAインフォ

コム株式会社

0.0

100.0

81.9

84.2

79.7

(注5)

JAL SBIフィンテック株式会社

-

-

-

-

-

 

株式会社JAL

サンライト

47.4

50.0

108.4

113.4

89.2

(注5、7)

株式会社JAL

UXエアポート

52.2

100.0

80.7

78.6

99.3

 

株式会社オーエ

フシー

0.0

-

96.0

96.5

54.1

(注7)

株式会社JAL航空みらいラボ

14.3

-

-

-

-

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。対象となる社員がいない場合は「-」を記載しております。各社から他社への出向者を除き、他社から各社への出向者を含みます。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。対象となる男性社員がいない場合は「-」を記載しております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。対象となる社員がいない場合は「-」を記載しております。男女の賃金差異に記載した数値は、男性の平均年間賃金を100%とした場合の女性の平均年間賃金の割合です。

4.男女の賃金差異は、職種別の単価の差や男女構成比の偏りの影響を受けております。また、正社員の男女の賃金差異は、職種別に異なり、それぞれ勤続年数の影響を受けております。

主なものは以下のとおりです。

<株式会社ジェイエア>

・地上社員正社員の男女賃金差異104.2%(平均勤続年数:男性10.0年、女性6.0年、人数比:男性37.5%、女性62.5%)

・運航乗務員正社員の男女賃金差異71.3%(平均勤続年数:男性11.0年、女性10.0年、人数比:男性96.0%、女性4.0%)

・客室乗務員正社員の男女賃金差異133.5%(平均勤続年数:男性2.0年、女性6.0年、人数比:男性2.0%、女性98.0%)

<株式会社ZIPAIR Tokyo>

・地上社員正社員の男女賃金差異122.3%(平均勤続年数:男性4.8年、女性4.6年、人数比:男性35.1%、女性64.9%)

・運航乗務員正社員の男女賃金差異74.4%(平均勤続年数:男性4.1年、女性3.7年、人数比:男性99.4%、女性0.6%)

 

・客室乗務員正社員の男女賃金差異104.9%(平均勤続年数:男性4.8年、女性3.5年、人数比:男性5.6%、女性94.4%)

また、株式会社ZIPAIR Tokyoにつきましては、男性は機長と副操縦士、女性は副操縦士のみの人員構成であることも影響しております。

5.男女の賃金差異は、男女別の平均勤続年数の差の影響を受けております。

6.男女の賃金差異は、非正規雇用労働者において、夜勤を含むシフト勤務が男性に偏っていることの影響を受けております。

7.部分就労の労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。

8.男女賃金差異を縮小するため、ライフイベントとの両立支援や職種ごとの男女構成比の偏りに着目した取り組みを進めることで、誰もが自律的にキャリア実現できる環境を整えてまいります。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する重要事項を取締役会で審議・決定しています。取締役会への付議にあたり、社長を議長とするサステナビリティ推進会議において、以下の事項を主な議題とし、マネジメントレビューを行っています。

 ● サステナビリティの実現に向けた取り組みの重要課題・年度目標の決定、進捗のモニタリング・評価

 ● 気候変動のリスクと機会に関する対応の決定

 ● 環境マネジメントシステム(EMS)のモニタリング・評価

 ● 人権デューデリジェンスのモニタリング・評価

サステナビリティ推進会議の下部会議体であるサステナビリティ推進委員会(委員長:ESG推進部担当役員)を月次で開催しています。重要課題(マテリアリティ)の再整理、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)/TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に関する情報開示、Dow Jones Best-in-Class Indices評価結果とレビュー、ESG評価の総括などについて議論を行っており、取締役会に計2回報告しました。

また、2023年4月に立ち上げたGX戦略の専門部署が事務局を務めるGX関係役員会と、2024年7月に立ち上げた関係・つながり創造の専門部署が事務局を務める関係・つながり創造役員会をサステナビリティ推進委員会の派生会議として活用しており、それぞれの分野に特化したプロジェクトや施策・事業の進捗管理ができる体制を構築しています。

 

②戦略

当社グループは、2021年5月に、「安心・安全」「サステナビリティ」をキーワードとした「JAL Vision 2030」、および、その実現に向けた「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画」を策定、発表しました。また、「中期経営計画ローリングプラン2023」においてESG戦略を価値創造・成長を実現する最上位の戦略と位置づけ、環境負荷の低減を前提に、サステナブルな人流・商流・物流と関係人口を創出し、コロナ禍を経て見直されつつある「移動・つながり」の力で、地域社会の衰退や幸福度の低下といった社会課題の解決を目指す価値創造ストーリーを示しました。

当社グループは重要課題(マテリアリティ)を継続的に見直しており、2023年度には8つのマテリアリティに整理しました。これは、航空に限らず当社グループの全事業領域における経済的価値の創出との連動性が高まることを意図して整理されたものです。

また、2025年度の経営目標・利益目標の達成により中期経営計画を完遂し、2026年度以降のさらなる成長へつなげていくために、2025年3月19日に「2021-2025年度 JALグループ中期経営計画ローリングプラン2025」を策定しました。中期経営計画の完遂に向けた具体的な取り組みに加え、既存領域での事業構造改革の深化や社会課題起点での新たな事業の創出に取り組むことをお示ししています。当社グループは、社会課題解決を通じてグループ全体の事業を成長させ、中長期的な企業価値の向上を目指してまいりました。

さらに、2026年3月2日には新たな成長戦略である「JALグループ経営ビジョン2035」を策定しました。環境変化を適切に捉え、持続的な成長を実現するため、従来の「5ヵ年の中期経営計画+ローリングプラン」から、「10年ビジョンと機動的な単年度計画」へ転換し、短期的な計画では実現の難しい抜本的な事業変革に取り組むとともに、足元の環境変化に対しては、単年度計画により機動的かつ柔軟に対応してまいります。

 

 

③リスク管理

当社グループでは、リスクを組織の使命・目的・目標の達成を阻害する事象または行為と定義し、リスク管理部が半期ごとにリスク調査と評価を行っています。特に重要と評価されたものを優先リスクと位置づけ、社長を議長とするグループリスクマネジメント会議でリスク管理の状況を確認し、対応策を審議・決定します。環境を含むサステナビリティ全般のガバナンスに関わるリスクはサステナビリティ推進会議において、リスクの管理方針と必要な対応策を審議し、その内容は取締役会に報告しています。

 

④指標と目標

8つのマテリアリティに基づき、「移動を通じた関係・つながり」を創出していくための取り組み、GX戦略をはじめ豊かな地球を次世代へ引き継ぐための地球環境保全の取り組み、人財戦略が目指す人的資本経営、人権デューデリジェンスにかかわる対応、そして価値創造の基盤となるガバナンスそれぞれに指標と目標を設定し、ESG経営を推進しています。いずれも定量的な数値目標を設定することが可能で、意思を持って推進していく項目を設定し、当社Webサイトで開示しています。

https://www.jal.com/ja/sustainability/initiatives/

 

 

 

(2)気候変動への対応

JALグループは、この豊かな地球を次世代に引き継ぐ責任を果たすため、「JALグループ環境方針」を定め、さまざまな取り組みを推進しています。

現在、地球上では、さまざまな環境問題が顕在化していますが、JALグループは社会の持続可能性にとって気候変動への対応が特に重要な課題であると認識していることから、航空運送事業者の責務として、CO2排出量の削減をはじめとするさまざまな取り組みを着実に推進すべく、2020年6月の株主総会で、2050年までにCO2排出量実質ゼロ(ネット・ゼロエミッション)を目指すことを宣言しました。また、2021年2月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同し、今後も定期的にTCFDおよびその後継となるISSB(注1)基準、およびSSBJ(注2)基準を参考にした情報開示を実施していきます。さらに、SBT(注3)イニシアティブの動向を注視し、SBTイニシアティブが目指す2050年までのネット・ゼロエミッション実現に向けて取り組んでいきます。なお、当期においてはSSBJ基準のすべての定めには準拠しておりません。

気候変動への対応においては、リスクの低減と機会の獲得を通じて中長期的な成長を実現し、持続的な企業価値の向上につなげていくため、日々の事業活動におけるCO2削減に真摯に取り組むことはもちろんのこと、ステークホルダーとの連携を通じて、燃料効率を高めるための技術革新や持続可能な航空燃料(SAF)などの製造開発の促進にも積極的に取り組んでいます。また、カーボンクレジット活用や除去新技術への貢献を通して、バリューチェーン外での脱炭素の取り組みも進めています。

(注)1.ISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)

2.SSBJ(Sustainability Standards Board of Japan:サステナビリティ基準委員会)

3.SBT(Science Based Target:科学と整合した目標)

 

①ガバナンス

JALグループは、取締役会が、気候変動・生物多様性に関する執行の取り組みに関し、定期的な報告(2025年度実績: 2回)を通じて強い監督機能を発揮しています。取締役会は、取締役候補の選任、執行役員の選任、報酬の決定ならびに重要な意思決定を通じて、高い透明性の下、強い経営監視機能を発揮します。執行においては、社長が議長を務めるサステナビリティ推進会議で、基本方針の策定、重要な目標の設定と進捗管理を実施するとともに、課題に対する対応方針を審議・決定します。サステナビリティ推進部担当役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会で、環境マネジメントシステム(EMS)を通じて把握した課題やGX関係役員会(2025年度実績: 9回)を通じて確認した課題を審議の上、サステナビリティ推進会議に報告します。

なお、中期経営計画には気候変動への対応を経営戦略に織り込んだ上で、事業を通じた社会課題の解決に向けたサステナビリティ全般における8つの重要課題(マテリアリティ)を定めています。これらの課題に対する着実な取り組みを通じ、持続可能な事業運営および企業価値の向上を実現するという強い意志の下、外部ESG評価やCO2排出削減目標などを指標として役員報酬に反映しています。

 

②戦略

シナリオ分析

JALグループは、2018年に環境省が主管する「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」へ参画し、国際エネルギー機関(IEA)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による今世紀末までの平均気温上昇が「4℃未満」と「2℃未満」の2つのシナリオ(RCP8.5(注4), RCP2.6(注5))に基づき、2030年の社会を考察しました。

 

(注)4.RCP8.5シナリオ:IPCC第五次報告書における高位参照シナリオ(2100年における温室効果ガス排出量の最大排出量に相当するシナリオ)

5.RCP2.6シナリオ:IPCC第五次報告書における低位安定化シナリオ(将来の気温上昇を2℃以下に抑えるという目標の下に開発された排出量の最も低いシナリオ)

 

 

[JALグループのネット・ゼロエミッション実現に向けたシナリオ作成の前提]

 

JALグループのネット・ゼロエミッション実現に向けた移行計画

JALグループは1.5℃シナリオを前提に、2020年6月の株主総会において2050年のネット・ゼロエミッションの目標を掲げました。その後、IEA SDS(注6)シナリオなどを踏まえてリスクと機会を考慮して具体的なロードマップを作成し、2021年には「2021-2025年度JALグループ中期経営計画」に反映、2025年に同ローリングプランでロードマップを更新しました。さらに現下の航空業界を取り巻く環境を踏まえ、「JALグループ経営ビジョン2035」の中で新たなロードマップをお示ししております。

なお、JALグループの航空機が排出するCO2の削減については、ICAOやIATAでの最新の検討資料やATAG(注7)の「WAYPOINT 2050」などの最新のシナリオを参照しつつ、2050年までのCO2削減のシナリオを検討し、今後の課題と打ち手について議論を進めています。シナリオ作成にあたっては、総需要に基づくRTK(有償輸送トンキロ)の伸びを国際線・国内線それぞれに設定の上2050年までのCO2総排出量を算出し、各取り組みによる効果を反映しました。

 

(注)6.IEA SDSシナリオ:IEA(国際エネルギー機関)による持続可能な開発目標を完全に達成するための道筋である、持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario)

7.ATAG(Air Transport Action Group)航空業界のサステナビリティを推進するグローバル連合

 

[JALグループのネット・ゼロエミッション実現に向けたロードマップ]

 

ネット・ゼロエミッション達成に向けた推進体制強化のため、サステナビリティ推進委員会の下に、GXに関する議題に特化した会議体としてGX関係役員会を設置し、議論を行っています。議題によっては、取締役会まで上程しGXに関する施策の決定を行っています。

特に注力すべきと認識しているSAF(注8)の活用については、調達本部の中に専任の国産SAF推進タスクフォースを設置し、国産SAFの製造にも積極的に関与するなど、取り組みを加速させるとともに脱炭素化に向けた投資などを促進するためのインターナルカーボンプライシング(ICP)の活用など、多種多様な手法によりGX戦略を推進しています。

 

(注)8.SAF(Sustainable Aviation Fuel):持続可能な航空燃料。原料の生産・調達から製造、輸送、燃焼までのライフサイクルで、従来のジェット燃料比でCO2排出量を平均80%削減可能とされる。

 

リスクと機会

気候変動は「安全・安心な社会」における事業運営を前提とした航空運送事業に対して負の影響を及ぼし、結果として、事業の継続を考える上で甚大なリスクとなる可能性があります。

特に近年、気候変動による物理リスクが顕在化する例が多く見受けられます。

また、航空会社によるCO2削減をはじめとする気候変動への対応は、省燃費機材への更新やカーボンプライシングへの対応など、さまざまな財務上のインパクトを与える可能性があります。

JALグループでは、事業に影響を与えるこれらの要素をTCFDにおける気候変動に関するリスク・機会の分類に沿って整理・検討し、下表に記載しています。なお、ここでいう「時期」および「発生時の影響」の区分とは、次に定めたとおりです。リスクと機会は、毎年度見直しを行っています。以下は、2025年7月30日の取締役会において確認したものです。

 

 

リスク

 

機会

 

③リスク管理

JALグループでは、リスクを組織の使命・目的・目標の達成を阻害する事象または行為と定義し、半期ごとにリスク調査と評価を行っています。特に重要と評価されたものを優先リスクと位置づけ、社長を議長とするグループリスクマネジメント会議でリスク管理の状況を確認し、対応策を審議・決定します。

経営戦略上の重点課題である、気候変動や生物多様性などの環境課題については、関連する国際社会の法・規制や政策動向などを踏まえつつ、環境マネジメントシステム(EMS)に基づくPDCAサイクルを通じてリスク管理を実施しています。

気候変動に関するリスクについては、移行リスク・物理リスクともに、JALグループ全体のリスクマネジメント体制において管理しています。

 

 

④指標と目標

JALグループでは、豊かな地球を次世代に引き継ぐために、CO2排出量をはじめ廃棄物や水使用量などの環境データについて指標と目標を定めて取り組み、その結果を企業サイトやJALレポートにて開示しています。

航空運送という事業の特性上、CO2排出量の内訳は航空機からの直接排出が約99%を占めています。この事実を踏まえ、航空機からのCO2排出量削減を最優先課題として対応しています。さらに、排出量の約1%を占める地上施設・地上車両などの航空機以外からのCO2の削減についても同様に高い目標を定め、グループ一丸となって取り組んでいます。技術革新や市場形成などに関するさまざまな課題を克服するために、国内外のさまざまなステークホルダーとの連携・協働を強化しつつ、CO2削減の国際的な枠組みに則り、日本政府の「クリーンエネルギー戦略」とも整合しながら、最先端の取り組みで業界をリードしていきます。

 

2030年までのCO2削減の目標・取り組み

JALグループは、2050年CO2排出量実質ゼロの実現に向けたマイルストーンとして、2021年5月に本邦航空会社として初めて2030年度における具体的な目標(総排出量2019年度対比10%削減)を掲げました。これまで、アライアンスでのSAFの共同調達や機材更新時のESGファイナンス活用などに率先して取り組み、世界の航空業界の脱炭素化を推進してきました。今後も、省燃費機材への着実な更新、日々の運航の工夫(JAL Green Operations)の実施、またSAF活用の具体的な目標を定めた上での戦略的な調達、といった従来の取り組みを加速することに加え、カーボンクレジットの活用や除去や回収などの新技術の活用検討を実施することにより、目標の達成に向けて果敢に挑戦します。

なお、SAFについては海外における製造・サプライチェーン構築の動きが加速していますが、日本国内でも政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025」、「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」の中で、SAFの製造・流通を推進していくことが明記されました。JALグループは、2030年度のSAFに関する二つの目標である、全搭載燃料の10%のSAFへの置き換えとSAF使用によるCO2排出量の5%削減の実現のため、官民の連携や国内外のステークホルダーとの協働を通じ、SAFの商用化促進に向けて積極的に取り組みます。

また、間接排出についても目標を設定し、着実に削減してきましたが、今般、地上の直接排出(車両、地上施設)に関する目標の設定により、航空機以外における2030年度の排出量目標を、2019年度対比35%減と定めました。このことにより、航空機以外のCO2排出量削減についての取り組みをさらに加速します。

 

(3)自然資本(生物多様性)への対応

①ガバナンス

当社グループでは、生物多様性に関する取り組みに対しても、気候変動への対応と同様のガバナンス体制を構築しており、TNFDの提言に基づく情報開示は取締役会で報告・承認されます。

 

②戦略

当社グループは、TNFDが提唱する、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのLEAPアプローチ(注9)に則り、ダブルマテリアリティの概念の下、自社の事業が自然に依存している面と影響を及ぼしている面の両方の観点から、優先地域の特定をした上で、リスクと機会の評価を行っています。

当社グループの航空運送事業における自然への依存と影響を洗い出し、依存は「自然遺産・ビーチリゾート等自然が豊かな観光地への運航」、「現地食材商品の販売」、「洪水や暴風雨などの自然災害からの植生による保護」、「水利用」、影響は「空港周辺への環境汚染の可能性」、「GHG排出」、「SAFの製造過程における生態系への影響の懸念」などが挙げられました。CO2削減に必須であるSAFおよびクレジットについては、公的機関が定めた認証制度に基づき、厳格なサステナビリティ基準を満たしたものを調達することで、バリューチェーン上の生物多様性リスクの低減に努めてまいります。

水リスクに関しては、世界資源研究所が提供する水リスク分析ツールAqueductを活用して当社グループの取水地域を分析した結果、水ストレスレベルが低いとされる日本国内が主であり、リスクは低いと認識していますが、総取水量の8割を占める首都圏(羽田・成田)を中心に、航空機部品洗浄のための水のリサイクルなどを通じて水資源の保全に努めていきます。また、海外についても分析を行った結果、取水量が少ないため優先地域としていないものの、今後当該地域での取り組みも拡大していきます。

生物多様性リスクに関しては、WWFが提供する生物多様性リスクフィルターにおける重要な生物多様性が存在する地域と当社グループの就航地を照合したところ、日本国内の多くが生物多様性リスクの高い地域であることがわかりました。このうち、特にリスクが高いとされたエリアをSensitive Locationsとしました。また、自然観光需要の高いエリアを「事業が自然に依存している地域」、主要空港である東京を「事業が自然に影響を与えている地域」としてMaterial Locationsとしました。これらを総合的に掛け合わせ、北海道・鹿児島・沖縄・東京を優先して生物多様性の保全に取り組むべき地域と特定し、例えば沖縄での有性生殖サンゴの育成や、北海道でのタンチョウ保全、鹿児島でのマングローブの植樹の取り組みなどを実施しています。

また、海外の就航地についても、TNFDが推奨する4つのツール(Aqueduct x IBAT x GFW x ENCORE)とIWT(違法野生生物取引)ホットスポットをかけ合わせ、重要な生物多様性や水リスクが存在する地域をSensitive Locationsと特定しました。また、JALグループの就航地に関わるMaterial Locationを特定しました。これらの分析を基に、観光需要が大きく、事業が自然に依存し影響を与えている地域であるハワイ・オーストラリアを優先して生物多様性の保全に取り組むべき地域として特定し、取り組みを推進しています。

例えば、2024年6月から「JAL Mahalo運賃」の販売を開始し、お客さまと共にハワイの環境・文化保全に取り組み、2025年3月にはホノルルでダイヤモンドヘッドでのレストレーション活動やハワイ固有種の植樹などをお客さまと共に実施しました。また、オーストラリアの生態系保護のため、害虫の侵入を防ぐための措置を実施しています。

生物多様性の損失は航空運送事業の継続を考える上で重大なリスクとなる可能性がある一方、それを管理することは機会にもつながります。2023年にWWFジャパンの有識者と実施したワークショップでは特定した依存と影響を基に自然に関連するリスクと機会の評価も行いました。その後も毎年見直しを行い、下表のとおり整理しています。今後、財務上のインパクトも分析の上、リスクと機会の評価を深めていきます。

 

(注)9.「LEAP」とは、Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の4つのフェーズの頭文字をとったもの。バリューチェーン全体を対象に自然との接点を発見し、優先すべき地域を特定する(Locate)、自社の企業活動と自然との依存関係や影響を診断する(Evaluate)、診断結果を基に、重要なリスクと機会を評価する(Assess)、自然関連リスクと機会に対応する準備を行い、投資家に報告する(Prepare)情報ガイダンス

 

リスク

機会

 

 

③リスクと影響の管理

当社グループでは、半期ごとに実施するリスク調査において、特に重要と評価されたものを優先リスクと位置づけ、社長を議長とするグループリスクマネジメント会議でリスク管理の状況を確認し、対応策を審議・決定します。経営戦略上の重点課題である、気候変動や生物多様性などの環境課題については、関連する国際社会の法・規制や政策動向などを踏まえつつ、EMSに基づくPDCAサイクルを通じてリスク管理を実施しています。

 

④指標と目標

JALグループは、生物多様性には、気候変動をはじめとするさまざまな環境課題が影響していると認識し、包括的な解決を目指しています。

生物多様性の保全に直接的に関わる目標に加え、CO2排出量や廃棄物、水使用量などの環境データについても開示しています。また、TNFDで求められているコアグローバル指標(注10)に沿った開示をESGデータで進めており、今後拡充していきます。(https://www.jal.com/ja/sustainability/initiatives/

 

取り組み

指標

FY25目標

CO2排出量の削減

(注11)

スコープ1〔航空〕排出量

921万トン未満

プラスチックの削減(注12)

客室とラウンジにおける自社規格品の「新規石油由来」

使い捨てプラスチックの削減率

100%

空港・貨物輸送における使い捨てプラスチックの環境配慮素材配合

(注13)利用率

100%

機内食廃棄量の削減(注14)

歩留まり改善

2.50%

産業廃棄物の削減(注15)

最終処分率

1%以下を維持

観光資源の保全・

拡大

〔沖縄〕有性生殖サンゴの育成数

2026年までに1000群体

〔沖縄〕有性生殖サンゴ関連のツアー拡大

ツアー拡大

〔北海道〕タンチョウの取り組み拡大

取り組み拡大

〔鹿児島(奄美・宇検村)〕産官学連携の下、マングローブの植樹

(注17)

エコツアー催行 3回

認証取得済み商材の活用(注16)

認証紙を利用している機内アイテム数の割合

100%

違法な野生生物取引の防止

違法な野生生物の輸送回数

0回

取り扱い食材・商材における生物多様性への配慮

ESGリスク低減に向けた食材・商材の社内ガイドラインの違反件数

0回

空港周辺の生態系への影響抑制

〔東京〕有害物質を含む水の不適切管理発生数

0回

(注)10.コアグローバル指標:自然に依存、影響をもたらすとTNFDで定義されている指標

11.CO2の排出による気候変動は生物多様性にも影響を与えるため、気候変動と生物多様性をはじめとする諸課題の包括的な解決を目指しています。CO2削減についてはTCFDで開示しています。

12.プラスチックは石油由来資源を原料とした化合物であり、気候変動の一因になっています。また海洋へ流出すると生態系に深刻な被害を与えることが指摘されており、新規石油由来の使い捨てプラスチックの削減に努めています。

13.バイオマス・再生プラ・認証紙など、新規石油由来の原料不使用もしくは低減したアイテム

14.食品の生産・輸送・加工・流通・廃棄を含めた食料システムはCO2を排出し、生物多様性の損失の要因となるため、機内食廃棄量の削減に努めています。

15.法令に則った廃棄物の適正管理に加え、定期的に分別率とリサイクルの実現率をモニターし、資源の循環に努めています。

16.森林破壊による気候変動や生物多様性への悪影響を低減するために、持続可能性に配慮した責任ある調達に努めています。

17.宇検村・上智大学・伊藤忠商事との産学官連携協定に基づいたプロジェクト

 

(4)人財への取り組み

①戦略

当社グループの人財戦略の基本方針等については、第4 提出会社の状況に集約して記載しております。本項では、戦略に基づく取り組みの両輪である「プロフェッショナルとしての活躍」と「新たな価値を創る変革・挑戦文化の醸成」について、人財育成方針と社内環境整備方針を含め具体的な取り組み内容を記載します。

 

<プロフェッショナルとしての活躍>

当社グループは、航空運送事業を主軸としてこれまで培ってきた「安全を支え、最高のサービスを生み出すプロフェッショナリズム」を確実に次世代へ継承しつつ、激化する採用競争や急速なテクノロジーの進化といった外部環境の変化に柔軟に対応し、自ら新たな価値創造に挑戦し変革を起こすことができる人財を育成してまいります。

JALグループの運航を支える専門的なスキルや知識は、一朝一夕には習得し得ない、当社グループにおける人的資本の強みです。この強みを次世代へ確実に継承していくために、社員が将来の成長の道筋を見通し、中長期にわたってキャリアを築き続けられる環境が不可欠です。そのために、リーダーへの「人財育成・組織活性」の動機付けや、各種サーベイ結果を基にした「良い職場づくり」に向けた振り返りと対話等を通じて、仕事を通じた成長とやりがいを実感できる職場環境を整えていきます。こうした取り組みを通じて定着率の向上を図ることで、培ってきた強みを確実に次世代へ繋いでまいります。

また、既存事業の深化や新たな事業領域の拡大など、あらゆる領域における持続的な価値創造に向けては、全ての社員を対象に、自律的なキャリア形成を支援していきます。変化の激しい事業環境下で社員が持てる能力を最大限に発揮し続けるためには、自発的な学びと挑戦を組織全体で後押しする環境が不可欠です。そのために、中長期的なキャリアを描くための制度や、テクノロジーを活用した支援ツール、各種研修の実施等を通じて、主体的な能力開発をサポートしていきます。こうした取り組みを通じて自律的な学びと能力発揮を後押しし、事業環境の変化に柔軟に対応しながらプロフェッショナルとして活躍できる人財を育成していきます。

 

<新たな価値を創る変革・挑戦文化の醸成>

外部環境の不確実性が高まる中、「JALグループ経営ビジョン2035」で掲げる既存事業の着実な成長と、社会課題起点の新たな事業領域の拡大を実現していくためには、現状の延長線上の取り組みだけではなく、新しい取り組みにもスピード感をもって挑戦し、変革していくことが不可欠です。挑戦があらゆるところで湧きおこり、変革の実行力が高い組織文化を醸成するため、以下の2つのアプローチで施策を実行していきます。

 

・多様な人財の協働促進

多様な人財がそれぞれの強みを活かして活躍すること、そして多様な価値観を持つ個人が組織や職種の壁を越え交流することで新たな発想の種が生まれるという考えのもと、社内環境の整備を進めてまいります。

具体的には、海外採用社員のキャリアパス策定や職種別のジェンダーバランスに着目した取り組み、障がいのある社員の活躍領域の拡大、高い目標に挑み続けるアスリート社員の支援など、個々の力を活かせる環境を整えていきます。また、意図的に越境経験を増やすことで組織間の心理的な壁を取り除き、交流を活発化させていきます。

 

・共創を導くリーダーの育成と挑戦の場の拡充

変化の激しい時代に必要な変革を実行できる組織へと変わるため、実践を次の成長へと繋げながら、前向きに挑戦を積み重ねられる環境を整えることで、一人一人の活力を引き出し、新たな価値創造に挑む「変革・挑戦文化」を組織に根付かせてまいります。

具体的には、変革を牽引する新しいリーダー像を再定義し等級制度に反映するとともに、その役割発揮を支える評価制度・報酬制度を導入し、共創型リーダーの活躍を制度面から強力に後押しします。加えて、現場のカイゼンから新規事業のアイデアまで、社員のアイデアを形にできる場を拡充していきます。

②指標と目標

「JALグループ経営ビジョン2035」の実現に向けた、人財戦略の最上位目標として「社員一人一人のウェルビーイングの向上」を掲げています。多様な価値観を互いに認め合い、社員一人一人が自律的に自らのキャリアや人生を選択し、充足感を感じられる企業へと成長していくため、従来のエンゲージメントを包含する、より包括的な概念を目標指標として設定しました。

外部機関が設計したウェルビーイング調査の設問に基づき、各設問の肯定回答率の平均値をウェルビーイングスコアとして算出・可視化し、その水準を継続的にモニタリングしていくことで、人的資本の最大化を図ってまいります。

 

指標

目標(2030年度)

生産性向上(時間あたりEBIT)

FY2025対比 1.5倍以上

ウェルビーイングスコア

日本トップレベル ※毎年向上

 

(参考)2021-2025年度 JALグループ中期経営計画の実績

KPI

目標(2025年度)

実績(2025年度)

一人当たり売上高の拡大

+38%

(2019年度対比)

(注18)

+28%

(2019年度対比)

成長領域への人財配置

+3,500名

(2019年度対比)

+3,600名

(2019年度対比)

女性管理職比率

30%

31.9%

エンゲージメントの高い社員割合(注19)

+10pt

(2019年度対比)

+6.3pt

(2019年度対比)

(注)18.本数値は、2024年4月時点で設定した目標値に基づくものです。なお、今後については、多様な働き方の推進を踏まえ、生産性指標として「一人当たり」ではなく「時間当たり付加価値」の概念を取り入れる方針です。

19.社員意識調査でポジティブな回答をした社員の割合です。

 

各指標の経年推移は以下のとおりです。