事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
売上
-
利益
-
利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 1,003 | 100.0 | -149 | - | -14.8 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) 事業の特徴
当社は、コリネ型細菌という微生物を活用した高効率な発酵技術(バイオプロセス)をコア技術として設立された技術開発型ベンチャーであります。
当社は、現在石油を原料として生産されている化学品を、農業残渣や食品残渣等のバイオマス由来のものに転換、又は従来バイオマスより生産されている製品につき、より効率的な生産方法に代替していくことによる、持続可能な社会の実現を経営理念として掲げており、当社の技術により、石油を使わず、バイオマスから化学品を作る「バイオエコノミー」と資源の循環により持続的な社会を作る「サーキュラーエコノミー」の両方を同時に実現してまいります。
そして、今後、増加してくるであろう世界中のバイオものづくりプラントにおいて当社の技術が使われ、「創造的な技術力、提案力でバイオものづくり分野を牽引し、常識を変革する企業になる」ことを目指しております。
当社は、自らは商用生産設備を保有せず、研究開発受託と、そこから展開されるライセンス、自社販売、テクノロジーパッケージという4つのビジネスモデルを軸としております。新技術の商用化には、大別して4つの段階があり、技術開発の対象を選定するStage0、技術的及び市場的な可能性を実証するStage1、対象製品に対する需要を抱える企業等と最適な菌体及び生産プロセスを開発するStage2、そして研究開発の成果である技術のパイロットテストの実施、パートナー企業等にライセンス供与、当該技術や設備の導入又は当該技術を使用した自社販売(外部へ委託生産し、当社が販売)するStage3となります。
各Stageにおける具体的な実施事項は次のとおりであり、Stage2(開発段階)においては、主として研究開発収入、Stage3(商用化段階)においては、主としてライセンス一時金、ロイヤリティ収入又は製品販売収入を収益として計上しており、特許権等の活用による長期的かつ安定的な収益形態を目指しております。
① Stage0~1「研究段階」
・開発品候補の選定:市場の需要等より開発すべき化学品の候補を選定
・PoC(Proof of Concept):開発候補品の技術的な開発可能性、特許権の抵触の有無、市場規模、競合製品及び市場優位性等の確認
② Stage2「開発段階」
・菌体の設計及び開発:意図する化学品を効率的に生産する菌体の設計、開発
・生産プロセスの開発:意図する化学品を生産可能な菌体をラボレベルで増殖させるプロセスの開発
・生産プロセスのスケールアップ:実機レベルで菌体を増殖可能とするためのシミュレーション等の実施
③ Stage3「商用化段階」
・パイロットテストの実施:ライセンス候補先又は当社における、Stage2で得られた菌体及び生産プロセスにかかる知見を基にしたパイロットスケールで化学品を生産実証
・実機テストの実施:ライセンシーにおける商用化のための商用プラントでの試作とサンプル提供等(商用生産準備)
・プラント導入:Stage2で得られた菌体及び生産プロセスにかかる知見を基にした生産プラントの導入
・製造販売:ライセンシーにおける商用生産又は当社における委託生産の開始及び製品(化学品)販売の実施
当社においては、開発対象とする製品や提供するサービス等の区分とパートナー企業の組合せごとに、このような研究開発から商用化までの流れに沿って進められる案件をパイプラインと称しております。
主としてStage2が研究開発事業、Stage3がライセンス・製品販売・テクノロジーパッケージ事業の領域であり、研究開発事業がライセンス・製品販売・テクノロジーパッケージ事業へと成長することから、これらのビジネスモデルを総じて1つのバイオものづくり事業というセグメントとしております。
売上高にかかるパイプライン総数の推移は次のとおりであります。
注.当該事業年度中に売上を計上したパイプラインの数
※1 横軸は、当社の標準的な業務のステップであるが、実際の業務に要する時間を表しているものではない。
※2 各収益は、当該業務ステップでの対価であるが、収益計上の時期・金額規模を表しているものではない。
※3 各収益に対する過年度実績からの平均金額及びロイヤリティ収入に対するロイヤリティ率は、パートナー企業の研究開発及び事業の進捗に関連するため、非公開とさせていただく。
※4 マイルストン型の収入であるが、マイルストンの数は、研究開発の契約形態により異なる。
※5 パートナー企業が自社保有の発酵設備を用いてパイロットテストをする際の当社の技術的支援等に対する対価である。
※6 当社がパイロットテスト及び実機テストを実施する際の対価である。
※7 コマーシャルプラントに先立ち、パイロットテスト用のプラントを導入する場合に発生する対価であるセミコマーシャルプラントやデモプラントと呼ばれる準商用生産用のプラントを導入することもある。
※8 コマーシャルプラント商用生産用のプラントを導入する場合に発生する対価である。
※9 開発成功率・ライセンスまでの期間・上市までの期間は、パイプラインごとに研究開発の難易度・着手するステージ等にバラつきがあり、当社の標準的な数値を示すことが困難であるため、非公開とさせていただく。
(2) 技術の特徴
当社が得意とするバイオものづくり技術は、次の9つの特徴を有します。これらの特徴的な技術の組合せによって、遺伝子操作により高度に機能が設計された微生物を活用した、高効率なバイオものづくりを実現しております。
① 独創的な人工代謝経路設計
より高効率な生産を実現するために、微生物自体について、当社が保有する技術やノウハウや人工代謝経路設計を使い、複数の遺伝子を破壊、もしくは導入することにより、副生物の生成を抑えて原料の利用効率を高める等の代謝経路の最適化や、酵素特性の改変、特定物質への耐性の付与等の開発を行っております。
② 増殖非依存型バイオプロセス
従来の発酵法によるバイオマスからの化学品の生産は、微生物の生命活動(増殖)を利用し、その生命活動のための多段階の酵素反応(代謝)の過程で生成される物質を得るものであります。よって微生物の分裂増殖に依存して生産を行います。
そのため、増殖のためのエネルギー、場所、時間を必要とし、石油等の非バイオマスからの化学反応による生産と比較して生産性が大幅に低く、経済的な障壁となっておりました。
しかし、増殖非依存型バイオプロセスは、微生物(コリネ型細菌)が、増殖できない酸素抑制条件において、増殖をしないものの代謝活性を高く維持するという特徴に着目し、増殖をさせずに代謝のみを行わせることにより、低コストで高い生産性を発揮する独創的な発酵法であります。
増殖非依存型バイオプロセスでは、大量に培養したコリネ型細菌を反応器に高密度に充填し、酸素抑制条件下で増殖を停止させてコリネ型細菌の活動を物質生産に集中させる手法により、従来の発酵法と比較して高い原料効率で小規模な設備で短時間に対象物質を多量に得ることができます。
また、増殖に依存しないため、非可食バイオマスを原料とする代謝の過程で生じるフェノール類やアルデヒド類、有機酸類等の副生物による、発酵阻害(増殖阻害)の影響をあまり受けずに生産することができます。
③ 実験計画法による培養条件の最適化
実験計画法(Design of Experiments)※1での統計解析により、それぞれのバイオプロセスにおける重要パラメータを抽出し、決定的スクリーニング表(Definitive Screening Design)※2で条件を最適化できます。
※1 実験計画法(DOE/Design of Experiments):少ない実験回数の結果から、統計解析により効率よく実験結果を得るために実験を計画する手法
※2 決定的スクリーニング計画(DSD/Definitive Screening Design):様々な培養条件について低・中・高の3条件を設定し、各条件で得られる結果から、複数の条件について同時に最適条件を導き出す計画手法
※3 出典:「Aspartic Acid Market Size To Reach $168.0 Million By 2030」
https://www.grandviewresearch.com/press-release/global-aspartic-acid-market
※4 当該図は、実験計画法のイメージ図であり、実際の重要パラメータ抽出と条件最適化を表現しているものではない
※5 応答曲面法:実験データを基にして近似曲面を生成し、最適化を行う設計手法
④ 発酵原料となる糖を抽出する前処理設備や発酵液からの精製設備の導入
バイオファウンドリ研究所に、発酵原料となる糖質をバイオマスから取得する前処理設備として二軸同方向押出加熱器や発酵液からの精製設備として、樹脂塔、晶析、濃縮、膜分離等の多種類の装置を導入。
⑤ CFD(Computational Fluid Dynamics:数値流体力学)による高度な数値解析
モノづくりにおいて、ラボスケールで良いデータが得られても、商用スケールにした場合、同様の結果が得られるとは限りません。特に、バイオものづくりでは、菌体という生きものを扱っていることから、設備の種類や大きさ、生産規模等の環境によって菌体のパフォーマンスが大きく異なることから、これまで商用スケールにおける生産予測が難しく、少しずつスケールアップするというのが常道でありました。
当社は、バイオ生産プロセスにおけるCFDに基づくコンピュータシミュレーションシステムを開発しており、本システムの活用により、精度良く商用生産時における生産環境を予測し、短期間、低コストでスケールアップすることが可能となります。
※ 従来のコンピュータシミュレーションでは、気体・液体・固体が混在する培養槽内の環境を再現するのは困難であります。
⑥ スケールダウンモデルによる大型槽の培養条件の再現
スケールアップにあたって、CFDで予測した大型槽環境下で、微生物の生産性がどうなるかをスモールスケールで再現する手法(スケールダウンモデル※1)を使って、商用生産時の条件の最適化を図ることが可能となります。
※1 スケールダウンモデル:開発当初から最終生産(大型培養槽)の影響を確認しながら検討を進める手法
⑦ 生産プロセスの修正をしながらの生産実証
生産プロセスのパイロットテストの経験を数多く有する当社が、パイロットテストやサンプル生産を実施することにより、開発へのフィードバックが円滑に実施され、商用化までの期間が短縮されることになります。
⑧ 3,000L発酵槽によるスケールアップ検証
バイオファウンドリ研究所で最大3,000L発酵槽によるスケールアップ検証が可能であり、サンプル作成も可能です 。
※1 DO(Dissolved Oxygen/溶存酸素濃度):培養液中に溶解している酸素の濃度。微生物が呼吸により消費するため、培養液中に空気を吹き込み、一定濃度を維持することが必要
※2 排ガス濃度:微生物が呼吸によって排出したCO2(二酸化炭素)と吹き込んだ空気で利用できなかったO2(酸素)濃度を測定することで微生物の生育状態を把握している
※3 濁度:培養液に光を透過させて、透過光の量を測定することで微生物の増殖によって生じる濁りを菌数の指標としている
⑨ エンジニアリング会社との協力によるテクノロジーパッケージ作成
エンジニアリング会社と協力してソフト面(菌体、生産プロセス情報等)とハード面(設備設計書、プラント建設等)を兼ね備えたテクノロジーパッケージを製作し、バイオ化学品を生産したいパートナー企業に提供します。
(3) 事業系統図等
当社の事業系統図は次のとおりであります。
※1 OEM(Original Equipment Manufacturer):委託者のブランドで製品を生産すること、又は生産するメーカーのこと
(4) 用語
本書で使用する用語の解説は次のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 市場状況並びに経営成績の概要及び分析
日本においては2023年に新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられ、社会・経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復傾向にあります。一方、長期化するロシア・ウクライナ情勢や米国の金利に関連した急激な円安の進行に加え、中東情勢緊迫化等の背景から、原材料価格やエネルギー価格の上昇により、依然として先行き不透明な状況が続くことが見込まれます。
このような状況下であるものの、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)より受託したバイオファウンドリ事業やグリーンイノベーション基金事業等、国内外のパートナー企業等との大型のパイプラインを含む研究開発を進捗させております。
以上の結果、当事業年度は売上高1,002,540千円(前年同期比11.7%増)、営業損失148,793千円(前期営業損失106,917千円)、経常損失138,087千円(前期経常損失108,156千円)となりました。当期純損失については、133,881千円(前期当期純損失112,215千円)となりました。
なお、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② 財政状態の分析
a 資産
当事業年度末における流動資産は2,636,062千円となり、前事業年度末に比べ1,411千円減少いたしました。これは主に売掛金が195,512千円増加した一方、現金及び預金が126,810千円、売上高に紐づく研究開発活動にかかる仕掛品が50,995千円、バイオファウンドリ事業における設備投資のうちNEDOの所有分による立替金が18,870千円減少したことによるものであります。固定資産は100,228千円となり、前事業年度末に比べ65,603千円増加いたしました。これは主に機械及び装置が50,500千円増加したことによるものであります。この結果、総資産は2,736,290千円となり、前事業年度末に比べ64,192千円増加いたしました。
b 負債
当事業年度末における流動負債は608,555千円となり、前事業年度末に比べ212,331千円増加いたしました。これは主に未払金が40,215千円、バイオファウンドリ事業における設備投資等費用の概算額の入金による仮受金が221,768千円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が36,870千円減少したことによるものであります。固定負債は152,613千円となり、前事業年度末に比べ12,771千円減少いたしました。これは主にリース資産の賃貸借による長期リース債務が4,869千円、借入金の返済により長期借入金が7,940千円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は761,169千円となり、前事業年度末に比べ199,560千円増加いたしました。
c 純資産
当事業年度末における純資産合計は1,975,121千円となり、前事業年度末に比べ135,367千円減少いたしました。これは新株予約権行使により資本金が351千円、資本準備金が351千円増加した一方、利益剰余金が133,881千円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は72.2%(前事業年度末は78.9%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、本項目において「資金」という。)については、前事業年度末より126,810千円減少し、2,274,249千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は3,378千円(前事業年度においては321,199千円の支出)となりました。これは主にバイオファウンドリ事業における設備投資等費用の概算払いによる仮受金の増加額221,768千円、研究開発活動にかかる棚卸資産の減少額50,881千円、及び未払金の増加額41,149千円の増加要因があったものの、主に売掛金の発生に伴う売上債権の増加額195,512千円、税引前当期純損失131,626千円の減少要因によるものであります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、支出した資金は81,333千円(前事業年度においては13,410千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出80,004千円の減少要因によるものであります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、支出した資金は48,855千円(前事業年度においては5,299千円の支出)となりました。これは主に新株予約権行使による株式の発行による収入702千円の増加要因があったものの、長期借入金の返済による支出44,810千円、及びリース債務の返済による支出4,715千円の減少要因によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
a 生産実績
当社は生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b 受注実績
当社が提供する役務の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社はバイオものづくり事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
注1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。
また、次の文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項については、過去の実績や市場動向を勘案し、合理的に判断しておりますが、不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表にかかる重要な会計方針の詳細については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
特に次の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当社の将来の事業計画を基に、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失を計上する可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、当社の将来の課税所得見込みや想定実効税率等、現状入手可能な将来情報に基づき、合理的に将来の税金負担を軽減する効果を有し、回収可能性があると考えられる範囲内で計上することとしております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
② 経営成績の分析
a 売上高
当事業年度における売上高については、前事業年度より105,117千円増加し、1,002,540千円となりました。これは主にバイオものづくり事業のインフラ整備を目的として受託しているバイオファウンドリ事業等の国のプロジェクト、並びに石油資源の枯渇、CO2削減又は使い捨てプラスチックにかかる法的及び業界の規制を見据えた企業の、石油由来の化学品からバイオマス由来の化学品への転換の需要の伸長による、研究開発契約の締結によるものであります。
b 売上原価
当事業年度における売上原価については、前事業年度より82,614千円増加し、560,695千円となりました。これは主に当事業年度において、バイオファウンドリ事業を始めとする研究開発契約に紐づき発生する外注費及び間接原価が前事業年度と比較して増加したことによるものであります。
c 販売費及び一般管理費及び営業損失
当事業年度における販売費及び一般管理費については、事業規模の拡大に伴う増員及び増員に伴う各種経費の増加の結果、前事業年度より64,379千円増加し、590,638千円となりました。以上の結果、営業損失は148,793千円となりました。
d 営業外収益、営業外費用及び経常損失
当事業年度における営業外収益については、前事業年度より12,064千円増加し、12,749千円となりました。これは主に補助金収入12,047千円の増加等によるものであります。また、営業外費用については、前事業年度より117千円増加し、2,042千円となりました。以上の結果、経常損失は138,087千円となりました。
e 特別利益、特別損失及び当期純損失
当事業年度においては、特別利益については、6,788千円となりました。これは新株予約権戻入益によるものであります。また、固定資産除却損328千円を計上した結果、特別損失は328千円となりました。また、法人税、住民税及び事業税2,310千円、及び法人税等調整額55千円を計上した結果、当期純損失は133,881千円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社は、自らは製品の生産設備を保有せず、研究開発に必要な設備のみを有し、技術を提供する事業形態であることから、資金需要の主なものは、菌体及びバイオプロセスの基礎開発にかかる研究開発費その他人件費等の事業活動費でありますが、2022年9月期より、バイオファウンドリ事業において、インフラ整備のための新たな研究施設の建設、発酵槽や自動化機器等の研究開発設備への大規模な追加投資を行っております。ただし、これらの固定資産は事業期間中においては、NEDOが所有するものとなり、事業終了後に簿価買取となります。
運転資金については、2020年9月期においては新型コロナウイルス感染症による経済の低下の可能性を鑑み、融資により60,000千円を調達しており、2021年9月期においても100,000千円の融資及び第三者割当増資による株式発行により550,000千円を調達しております。
さらに、2022年9月期においては上場に伴う株式発行の有償一般募集及び有償第三者割当により1,617,875千円を調達しております。
上述の大規模投資についてはバイオファウンドリ事業の事業予算及び上場に伴う株式発行による調達資金を充当いたします。なお、それ以降は現時点において大規模な資金需要の計画はなく、基本的に流動性の高い銀行預金により賄う方針であります。
⑤ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社は、新興市場であるバイオものづくり業界においては、当面、売上高の拡大が同業界における企業成長を示すものと考えており、目標とする経営指標として売上高を掲げております。
売上高実績については、国等のプロジェクトの契約の締結による受託収入、並びに研究開発契約の締結による研究開発収入及びライセンス契約の締結によるライセンス一時金等の計上により、前事業年度は897,422千円(前年同期比53.4%増)、当事業年度は1,002,540千円(前年同期比11.7%増)であります。売上高は、現時点において上述の方針どおりの進捗となっており、堅調に推移しているものと認識しております。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、経済動向、世界市場を対象としたライセンス契約による製品の市場展開、特定の第三者の技術を基盤とする事業展開、技術の損失、漏洩及び知的財産権の侵害等によるリスクを認識しております。
これらのリスクに対応するため、当社は、製品の市場動向を見据え、ライセンシーとの密な提携により、予算や各種計画の精度を上げるとともに、研究開発活動への投資を拡大して、当社単独による特許権の取得や多様な製品を対象とした研究開発を推進し、併せて情報セキュリティの拡充を含む内部統制の向上により、情報資産の管理、保全に取組んでまいります。