2025年5月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 36,424 100.0 1,070 100.0 2.9

事業内容

 

3 【事業の内容】

(1)事業の概要

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社(㈱アイブリット、㈱ドゥアイネット)、関連会社(シャドーコンサルティング㈱)の計4社で構成されており、自社開発のクラウドPBX(注1) Omnia LINK(オムニアリンク)等のデジタル技術を活用したコンタクトセンター(注2)・BPO(注3)サービスの提供、およびAI・DX(注4)ソリューションの開発・販売を行なっております。

当社グループは事業理念である「洞察を通じた社会への貢献」の実践を通じ、コンタクトセンター・BPO事業を通じて、業務の企画・設計などの上流工程から、教育・運営までをワンストップでご提供することで、顧客企業の競争力強化の一助を担ってまいりました。

また、2016年に子会社化したアイブリットの開発力を活かしたクラウドPBX Omnia LINKのご提供をはじめとする自社開発のシステムソリューションの販売も行っております。PBXは、コンタクトセンターに限らず、企業など複数の電話回線を持つ場所には、必須のシステムです。主な役割は、受発信機能(企業にかかってきた電話を適切に振り分けて着信させる機能や、適切な通知番号での発信を可能にする等)や、内線通話、転送、保留など電話に関わる制御を行なう装置です。

 

(注1)Private Branch eXchange:構内交換機。従来は構内に置いていたPBXをクラウド化し、インターネット上で通話・通信を行うことで、従来の電話システム環境を改善することができるシステム。

(注2)顧客対応チャネルを「電話」に絞らず、「メール」「チャット」「WEB」など複数の組み合わせで顧客対応するセンターを「コンタクトセンター」と定義しております。当社は顧客対応チャネルを複数ご提供しており、「電話」に限っていないため、事業内容を「コールセンター」ではなく、「コンタクトセンター」と記載しております。

(注3)Business Process Outsourcingの略で、企業活動における業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを一括して専門業者に外部委託することを指します。BPOには、広義での捉え方と狭義での捉え方があります。広義での捉え方は、「ITアウトソーシング」との対比で、ビジネスプロセスにおけるアウトソーシングを広義の「BPO」と捉えます。この場合、コンタクトセンターも「BPO」の一部と見ることができます。狭義での捉え方は、広義で捉えた「BPO」のうち、顧客対応を伴わないもの(多くは企業のバックオフィス部門や、受発注や請求などの事務業務)を狭義の「BPO」として捉えます。当社の事業である、「コンタクトセンター・BPO」における「BPO」は狭義の「BPO」の意味合いとして使用しております。

(注4)デジタルトランスフォーメーションの略。進化したIT技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革させるという概念。

 

当社グループのコンタクトセンター・BPOサービスでは、顧客へのサービス提供の際、顧客ごとのニーズを捉え、オーダーメイドで見積もりを提示し、必要なリソースやシステム、環境を用意して顧客に役務の提供を行なっております。外部資源・情報を戦略的に活用し、コア業務へリソースを集中させることで顧客企業が競争力を高める手段を提供しています。当社のようなアウトソーシング事業者は顧客企業の業務を専門的に請け負うことにより、顧客企業には適正対価での品質・生産性の向上を提供し、また自社にとっては業務の受託規模を増加していくことにより事業を継続的に成長させていくことが可能となります。また、アウトソーシングの提供形態には場所・運営・システムまですべてを提供する「フルアウトソーシング」と、場所・システムは顧客が用意し、当社が運営を行う「インソーシング」があります。当社グループにおける2025年5月期売上高の約3分の2がフルアウトソーシングとなっており、インソーシングよりも場所・運営・システムを含めたフルアウトソーシングの提供に注力しております。

 

以下の図のように、アウトソーシングサービスの領域は様々です。アウトソーシング業界においては、大きく「IT領域」(注5)と「ビジネスプロセス領域」が存在します。当社グループのサービス範囲は、その大半が、「ビジネスプロセス領域」のうち、着色している「コンタクトセンター」「調達」「購買」「人事・採用」「経理」「業界特化型サービス(注:製品や商品を販売するにあたって、その業界に特化して生じる事務業務のこと)」を対象領域としております。その中でも「コンタクトセンター」は当社グループの売上高の約70%を占めております。コンタクトセンター領域においては、オリジナル顧客対応メソッド「ミライ転換力」の確立や、80種類以上のスーパーバイザー(注:オペレーターを指導する立場にあるリーダー的立場のスタッフ)向け教育コンテンツを有しており、コンタクトセンターサービス提供会社としての専門性を保有し、強みを有する領域となっております。

 

(注5)2022年に子会社化した㈱ドゥアイネットは、「IT領域」における「システムソフトウエア設計/開発/運用」のアウトソーシングを担っております。また、2022年11月にリリースした㈱Works Human Intelligenceとの協業は、提供する統合人事システム「COMPANY」の導入支援を行うもので、システム利用における詳細設計や、設定支援、マニュアル作成等のIT導入に係るアウトソーシングを行うものです。売上高比率は大きくはありませんが、ビジネスプロセス領域とIT領域の垣根を超えた、事業領域の拡張を行っております。

 


 

コンタクトセンター・BPOの主な機能は、オペレーターを介して顧客企業のエンドユーザーや従業員に向けた高品質なサービスを提供することにあります。質の高い対応を行なうことによって、最終的にエンドユーザーや従業員の満足度を高めることが、顧客企業の満足度を高めることになり、契約期間や当社の売上高の拡大につながります。

そのために当社として注力するべき事項は、オペレーターやスーパーバイザーなどのオペレーションに関わる人材の教育や、テクノロジーによるスタッフの支援を通じた運営品質や生産性の向上を実現する仕組みを構築し、継続的にQCD(注:Quality<品質>、Cost<費用>、Delivery<納期>)の改善を行うことです。

また、運営を通じてエンドユーザーや従業員の声を受け取り、適切に顧客企業にフィードバックすることで、商品開発やサービス改善のヒントを提供し、受託している業務自体の高付加価値化を目指すことも顧客企業と長く取引を続ける中で大変重要なポイントです。

 

 

当社グループのコンタクトセンター・BPO事業のビジネスモデル概念図を以下に記載します。

 


 

当社は顧客企業(業務発注企業)を委託者としたコンタクトセンター・BPOサービスに関する業務委託契約を締結し、受託した業務の遂行のための場所やシステム、オペレーターやスーパーバイザーなどの体制を用意し、顧客企業のエンドユーザーへの対応にあたります。主な収益は顧客企業から受け取る、スタッフの稼働時間・システム・場所等の提供費用となっております。一部商品販売や販売勧奨を目的としたアウトバウンド業務(注:電話を発信する業務のこと)では、販売実績に応じたインセンティブ請求が発生することがあります。

 

コンタクトセンターで使用するシステムは、複数存在します。例えば、PBXや通話録音システムなどの電話応対の基幹となるシステムや音声認識システム(音声のテキスト化)や音声合成システム(テキストの音声化)、顧客管理システム、FAQシステム等が挙げられます。これらの各システム・機能はOmnia LINKの機能として内包されており、コンタクトセンター・BPOにおけるシステム利用料としてOmnia LINK利用料を請求しております。ただし、前述のようにコンタクトセンター・BPOはオーダーメイドの特性を有することから、Omnia LINKの活用範囲を企業ごとにカスタマイズし都度提案を行なっております。また、顧客の要件がOmnia LINKの機能だけでは満たせない場合は、要件が満たされる外部のシステムを仕入れ、提供することもあります。

また、当社との業務委託契約がなく、自社でコンタクトセンターを運営している企業に対して、コンタクトセンターシステムとしてOmnia LINKのみを販売することもあります(当社では「Omnia LINK外販」と呼称)。

 

当社の事業の特徴は、自社開発のPBX Omnia LINKを保有している点にあります。

PBXは、コンタクトセンター運営には必要不可欠なシステムですが、日本のPBX市場においては、長年米国のメーカーの寡占状態にありました。当社グループでは自社のコンタクトセンターシステムのコスト削減・高機能化を目的に2016年に株式会社アイブリット社を買収し、自社開発PBXとしてOmnia LINKを開発いたしました。

当社グループの調べにおいては、コンタクトセンター・BPOサービスの提供会社が自社開発のPBXを保有している例は極めて少なく、競合企業の多くがPBXの開発会社から仕入れを行った上で、サービス提供をしています。そのため、自社開発のPBXを有するコンタクトセンター・BPOサービス提供会社として、当社グループは、業界でも稀有なポジションを獲得していると考えております。

 

PBXには、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2つのタイプが存在しており、Omnia LINKはクラウド型PBXとなっております。以下はオンプレミス型PBXとクラウド型PBXの違いを記載した図です。PBX利用企業にとっては、オンプレミス型PBXの場合、利用する場所自体にPBXを物理的に設置する必要があり、新規設置や増設には初期費用や準備期間が必要な上、利用場所も限られますが、クラウド型PBXの場合は、PBXはデータセンター上に存在するため、複数の場所において利用規模の変動を含め柔軟に利用することが可能であり、在宅勤務環境を含めて、利用拠点に制限を設けずにPBXを活用することが可能となります。


当社グループでは、自社の受託業務の中でOmnia LINKを活用しております。社内で利用するコンタクトセンターシステムの内、75.4%(2025年5月実績)がOmnia LINKを利用しており、Omnia LINKの活用を通してコンタクトセンターから開発部門にダイレクトに改善要望を上げています。この改善要望を満たすことで、Omnia LINKは機能強化を重ねてきました。そのような取り組みから、Omnia LINKの機能は、基本的な電話の受発信の機能やCRM機能(Customer Relationship Management:顧客管理システム)だけでなく、コンタクトセンターにおける通話音声のリアルタイムテキスト化や、AIによる自然言語処理(人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術)を用いたFAQレコメンデーション(それまでの会話内容から予測される想定問答の提示)まで広がっております。コンタクトセンターシステムの競合製品は、一つの機能を単体で販売しており、複数システムをそれぞれ調達の上で組み合わせて使用するものが大半ですが、Omnia LINKは基本機能から高付加価値機能までをオールインワンでご提供しており、機能の幅広さがOmnia LINKの強みであると当社グループでは認識しております。

 

Omnia LINKの主な機能は以下の通りです。


Omnia LINKは以下3点の要因から当社グループの競争力の源泉となっております。

 

① システム内製化によるコスト削減
 上述のようにPBXはコンタクトセンター運営に必要不可欠なシステムであることから、過去、当社グループがコンタクトセンターサービスをご提供するにあたっては、米国メーカーを中心に複数企業の製品に対するシステム投資コストおよび保守コストが重複して発生しておりました。PBXの調達そのものを内製化したことにより、拠点新設や増強時のコストについて、その規模にもよりますが10百万円~100百万円程度のコスト削減が可能になり、Omnia LINKの社内利用を本格的に開始した2016年頃と比較しても、当社グループの利益水準は大きく改善しております。

 

② 柔軟な拠点戦略
 当社グループのコンタクトセンター新拠点は、標準PBXとしてOmnia LINKを利用しております。従来のPBXの場合、筐体やライセンスの納品まで時間を要すため、拠点新設の意思決定から実行までのリードタイムが長期化しておりました。Omnia LINKは自社開発かつクラウド型のため最短数日での導入が可能です。これにより拠点新設や増強のリードタイムが大幅に改善しました。その結果、顧客の要望に沿った業務実施場所の柔軟性の獲得とともに、サテライトオフィスや在宅を活用した運営も可能となりました。顧客提案時における機会損失を防止し、タイムリーな提案を行うことで受注を拡大し、コンタクトセンターサービスの成長につなげております。機会を逃さずに高収益案件を獲得することができるため、1席あたりの月次売上高(注:アウトソーシング業務の月次売上高/月次稼働席数。オペレーションブースの収益面での効率性を現す指標)もOmnia LINKの利用拡大とともに増加傾向にあります。
  また、新型コロナウイルス感染拡大の状況下においては、自社のクラウドPBXを保有していたことから、感染拡大の早い局面(2020年6月頃)の時点で在宅コンタクトセンターサービスである「Bewith Digital Work Place(ビーウィズデジタルワークプレイス)」を開始いたしました。2025年5月時点で約2,000名のオペレーターが在宅でのオペレーションを行なっており、オペレーターの安全性の確保、BCP対策、柔軟な増席対応につながっております。テレワークの活用度合いは、コンタクトセンター・BPOサービスの競合企業と比較しても高い状況と自負しております。

 

③ Omnia LINK外販を通じた売上・利益の増大
 自社でOmnia LINKを利用するだけでなく、Omnia LINKそのものをクラウドサービスとして外部企業へ販売する戦略を採用したことで、より安定した全社収益確保の一助となり、当社グループの業績に貢献しております。また、Omnia LINKはコンタクトセンターの基幹システムであるため、導入時にはオペレーションフローの見直しを含めた業務への影響が生じることから、他システムへの切り替えが行いづらく、契約が長期化する傾向にあります。そのため、より安定した収益を生み出しやすい事業モデルへと、当社グループの事業構造の転換が進んでおります。

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調を維持しました。しかしながら、米国大統領の就任に伴う関税政策が引き金となり、中国経済をはじめとする各国への影響が懸念されるほか、ウクライナやイスラエルにおける地政学的リスクなど、不透明な状況が依然として続いています。

当社グループの属するコンタクトセンター・BPO業界は、人手不足やサービスの高度化・複雑化を背景に、旺盛な需要が続き、堅調に推移しております。

このような経営環境の下、当社グループは2026年5月期までを対象期間とする「中期経営計画2025」において、「根元から新芽まで健康に成長し続ける会社」をビジョンとし、既存(根元)事業である「コンタクトセンター・BPOサービス」と、新規(新芽)事業である「クラウドPBX(注) Omnia LINK(オムニアリンク)をはじめとするシステム開発・販売」の両面での成長を掲げてまいりました。

(注)PBX:Private Branch eXchangeの略・構内交換機

 

(コンタクトセンター・BPOサービス)

コンタクトセンター・BPOサービスは、重点戦略グループのひとつである金融業界・通信業界におけるリプレイス案件等の獲得を進め、新規案件の売上を順調に積み上げました。しかしながら、特定の公共案件の業務量縮小による減少や、電力業界における一時的な業務量増に対する反動減、コロナワクチン接種受付センター等の案件終了による反動減といった、3つの減少要因が重なり、減収となりました。

営業費用に関しては、売上高の水準に対して変動費は一定の水準を維持しているものの、拠点賃料等の設備費や間接人件費等の固定費の上昇が影響し、減益となりました。

なお、当連結会計年度末におけるオペレーションブース数は、全国18拠点、7,017ブースとなりました。

 

(クラウドPBX Omnia LINKをはじめとするシステム開発・販売)

当連結会計年度において、クラウドPBX「Omnia LINK」は、コンタクトセンター分野における音声認識技術の市場浸透を背景に、堅調な需要を維持しました。前期より営業方針を大きく転換し、1社あたりのライセンス数を100ライセンス規模とする大型案件の獲得に注力した結果、第4四半期には四半期単位で過去最高となる964ライセンスを出荷しました。これは、複数の大型案件を獲得したことによるものです。

今後も「Omnia LINK」の特性を活かした大型案件の獲得を目指し、営業体制およびサービス提供体制の強化を進めてまいります。これにより、「Omnia LINK」販売事業を当社の成長をけん引する主要事業として位置づけ、さらなる拡大を図ります。

当連結会計年度末におけるライセンス販売数は、期初に設定した目標を下回ったものの、前年同期比で約1.4倍の4,460ライセンスを達成しました。ARPU(1ライセンスあたりの単価)は当初想定通りの約20千円となりました。これに伴い、「Omnia LINK」の外販によるARR(年間経常収益)は10.7億円となり、前年同期比で35.6%の増加を記録しました。

 

上記の取り組みの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は36,424百万円(前年同期比4.8%減)、営業利益は1,069百万円(同57.9%減)、経常利益は1,004百万円(同60.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は452百万円(同75.3%減)となりました。

なお、当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産額は、14,494百万円となり、前連結会計年度末比397百万円増加となりました。これは主に、建物の増加646百万円、ソフトウエアの増加134百万円、投資有価証券の減少106百万円等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における総負債額は、5,541百万円となり、前連結会計年度末比638百万円の増加となりました。これは主に、株主優待引当金の増加122百万円、資産除去債務の増加571百万円等によるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産額は、8,952百万円となり、前連結会計年度末比240百万円の減少となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益452百万円を計上した一方で、剰余金の配当746百万円により利益剰余金が減少したためです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,176百万円(前年同期は2,569百万円の資金の獲得)となりました。主な増加要因として税金等調整前当期純利益834百万円(前年同期2,537百万円)等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、479百万円(前年同期は894百万円の支出)となりました。主な減少要因としてコンタクトセンター拠点の増床に伴う有形固定資産の取得による支出234百万円(前年同期360百万円)、無形固定資産の取得による支出269百万円(前年同期305百万円)、敷金及び保証金の差入による支出138百万円(前年同期126百万円)があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、706百万円(前年同期は492百万円の支出)となりました。主な増加要因として新株予約権の行使による株式の発行による収入44百万円(前年同期198百万円)があった一方で、減少要因として配当金の支払額746百万円(前年同期680百万円)等があったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b 受注実績

当社グループは、受注生産をしておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c 販売実績

当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

コンタクトセンター・BPO事業

36,424,310

△4.8

 

(注)なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

相手先

第25期連結会計年度

(自 2023年6月1日

至 2024年5月31日

第26期連結会計年度

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東京電力エナジーパートナー(株)

6,288,677

16.4

5,459,310

15.0

(株)パソナ

5,902,649

15.4

3,747,257

10.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

当連結会計年度における売上高は36,424百万円(前期比95.2%)となりました。重点戦略グループのひとつである金融業界・通信業界におけるリプレイス案件等の獲得を進め、新規案件の売上を順調に積み上げました。しかしながら、特定の公共案件の業務量縮小による減少や、電力業界における一時的な業務量増に対する反動減、コロナワクチン接種受付センター等の案件終了による反動減といった、3つの減少要因が重なり、減収となりました。クラウドPBX「Omnia LINK」は、コンタクトセンター分野における音声認識技術の市場浸透を背景に、堅調な需要を維持しました。第4四半期には四半期単位で過去最高となる964ライセンスを出荷しました。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は31,236百万円(前期比97.1%)となりました。売上原価については、人件費、業務委託費が減少しました。これは臨時従業員の減少、人材派遣の起用の減少によるものです。売上原価率を低減させるための人材派遣の起用の縮小やデジタル技術を活用した生産性向上に取り組みを継続して実施しましたが、当連結会計年度における売上総利益は5,187百万円(前期比85.5%)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,117百万円(前期比116.8%)となりました。増加の主な要因は賃料の値上げや、賃上げによる人件費の増加、株主優待制度の利用増加によるものです。当連結会計年度における販管費率は11.3%となり、前連結会計年度から2.1%の増加となりました。これにより、当連結会計年度における営業利益は1,069百万円(前期比42.1%)となりました。

 

d.営業外損益、経常利益

当連結会計年度において補助金収入5百万円等により営業外収益は8百万円(前期比53.3%)、持分法による投資損失73百万円等により営業外費用は74百万円(前期比235.0%)となりました。結果、経常利益は1,004百万円(前期比39.7%)となりました。

 

e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度において投資有価証券売却益75百万円により特別利益75百万円、減損損失232百万円、固定資産除却損13百万円により特別損失は245百万円、法人税等合計は372百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は452百万円(前期比24.7%)となりました。

 

② 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは堅実で持続的な成長の実現を通じて新たな事業創出を図り、豊かな社会づくりへの貢献を目指しており、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としております。

当連結会計年度における売上高は36,424百万円となり前年同期比からの成長率は△4.8%となっております。

売上高の減少は、コンタクトセンターBPO事業における以下の3つの要因によるものです。

①特定の公共案件の業務量縮小 ②電力業界における反動減 ③コロナワクチン案件終了による反動減

このうち、②および③については2025年5月期で一巡し、2026年5月期以降の業績への影響は限定的と見込んでおります。一方で、①に関しては業務量の減少が継続する見込みではあり、①に代替する新規案件の受注活動が活発化させていく方針です。

売上原価や販売費及び一般管理費において一部減少要因はあったものの、売上の減少に対して、オペレーションブース数の増加に伴う賃料等の固定費の増加、コーポレート等の間接人件費の増加が回収できない状況にあり、営業利益率の悪化につながりました。結果、営業利益は1,069百万円で前年同期比の成長率は△57.9%となっております。2026年5月期においては、2025年5月に開示した「短期プラン」で発表のとおり、2025年上期中に拠点の一部統廃合の実施、および人材再配置を実施する予定です。また、売上の成長性や収益性の高い「Omnia LINK外販」事業の営業体制を強化し、メリハリをつけた事業運営を行います。

 

④ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容

 a.キャッシュ・フローの状況分析

 キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 b.資本の財源及び流動性に係る内容

 当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」および銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手元流動性資金、国内金融機関2行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

また、この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

セグメント情報

(セグメント情報等)
【セグメント情報】

当社グループの事業セグメントは、コンタクトセンター・BPO事業のみの単一セグメントであり重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3 主要な顧客ごとの情報

 

 

(単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

東京電力エナジーパートナー(株)

6,288,677

コンタクトセンター・BPO事業

(株)パソナ

5,902,649

コンタクトセンター・BPO事業

 

 

当連結会計年度(自 2024年6月1日 至 2025年5月31日)

1 製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2 地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3 主要な顧客ごとの情報

 

 

(単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

東京電力エナジーパートナー(株)

5,459,310

コンタクトセンター・BPO事業

(株)パソナ

3,747,257

コンタクトセンター・BPO事業

 

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 2023年6月1日 至 2024年5月31日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 2024年6月1日 至 2025年5月31日)

当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであり、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであり、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。