リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 食品の安全性について
当社グループは、取扱商品に関するFS(フードセーフティ)に対応するため、グループ各社にFSを管理する部署を設置している他、グループ外の専門家等も活用し、情報収集とその分析を迅速に対応できる組織的な体制の構築に取り組んでおります。
しかしながら、偶発的な事由によるものを含め、商品事故が発生した場合や当社グループの取り組みの範囲を超えた事象が発生した場合には、回収費用や訴訟・損害賠償等による費用増加、風評リスクによる売上の減少等、当社グループの事業展開並びに業績に影響を与える可能性があります。
(2) 需給動向について
当社グループの主要取扱商品である農産物、冷凍水産物や加工食品等の需給関係は、国際的な需要の変化や異常気象・自然災害等による供給量の減少、あるいは企業・個人の消費活動の変化や消費の不振等を要因として大きく変動する可能性があります。その場合には、国内及び海外の相場変動に伴う取扱量の減少や販売価格の下落が想定され、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 為替変動について
当社グループは、関係会社を通じて、グローバルに食品・食材の調達、供給を行い、全世界で事業を展開しているため、売上高の海外比重が高くなっております。当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたって、在外子会社の財務諸表を円貨に換算する必要があるため、当該子会社の財務諸表の各項目は、換算時の為替レートの変動の影響を受けます。過去の為替レートと比較し、円高となる場合には、円換算額が表面上減少することになります。
また、為替レートの変動は、外貨建てで取引されている商品・サービスの提供価格及び仕入商品の調達コスト等にも影響を与える可能性があります。当社グループは、主要取引が米ドルを中心とした外貨取引であるため、米ドルの他通貨に対する外国為替変動リスクを軽減及び回避するため、三国間取引を行う等様々な手段を講じておりますが、為替相場の変動によっては、米ドルベースでの当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 海外事業展開について
当社グループは、北米・欧州地域を中心に海外事業展開を積極的に行っておりますが、海外においては、政治・経済情勢の変化、税務法制(関税、貿易協定)等の国際取引情勢の変化、予期しえない法規制の変更、自然災害、テロ、戦争による社会的又は経済的な混乱、労働賃金のコストアップ、慣習等に起因する予測不可能な事態の発生等、それぞれの国や地域固有のリスクが存在します。かかるリスクに関して、当社グループでは現状、仕入先の拡充・販路の拡大等、リスク分散に努めておりますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 企業買収等について
当社グループは、欧州地域を中心に企業買収によって事業エリア及び事業規模を拡大してまいりましたが、当社が目指す事業展開の方向性を実現する上で必要な施策については、今後も積極的に取り組んでいく予定です。企業買収の際には、対象企業及び事業について財務、法務等のデュー・ディリジェンスを実施し、十分な精査、検討を行うことによってリスク低減を図っております。しかしながら、対象企業及び事業が当初計画していた業績を上げられない等の理由で、対象企業及び事業の価値が低下した場合には、のれんの減損等によって当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 事故、災害について
当社グループは、世界各地に営業・物流拠点を設置しておりますが、地震等の自然災害、疫病の大流行、大規模な事故等、想定を上回る非常事態が発生した地域においては、営業・物流拠点等の破損、商品の調達困難、必要要員の確保困難等が生じる可能性があり、その場合には、販売能力の低下に伴い営業活動や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
さらに、設備修復のための費用や商品調達等のコスト増加も含めて、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 法的規制について
当社グループは、事業を展開する各国において、商品開発・企画から通関、保管・分荷、販売までのサプライチェーンの中で、局所的に若しくはサプライチェーン全体に亘り、当該国の法的規制を受けております。例えば、米国においては食品安全強化法(FSMA)に関連する規則等、国内においては主に食品衛生法等、多岐に亘る法的規制に対応することが求められます。このような環境下で当社グループは、現状、上述のようにFS体制を整備し、グループ横断的に現地法規制等の法的リスクを極小化するための体制を構築しているものと考えております。しかしながら、今後、これらの規制が強化又は変更された場合、又は新たな法規制が施行された場合には、当該法規制を遵守することによる事業活動の制限や見直しによる売上の減少、新規制対応に係る販管費の増加等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(8) 情報・システムの管理について
当社グループは、事業活動を行う上で多くの機密情報や個人情報を保有しており、情報セキュリティ体制の強化に努めておりますが、ランサムウェア等のコンピューターウイルスの侵入やサイバー攻撃、不正アクセス等により、情報の流出や情報改ざん、システム停止等が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、当社グループの業務や提供するサービスの停止、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) PB(プライベートブランド)商品について
当社グループのPB商品は、国内外の協力メーカーによる委託生産を行っております。新商品開発及び販売を行う場合、現状、上述のようにFS体制を整備し、グループ横断的に現地法規制等の法的リスクを極小化するための体制を構築しております。しかしながら、予期せぬ不具合商品の発生によりPB商品の安心、安全、信頼が害され信用を失う可能性があります。また、商品に関する何らかの事故が発生した場合、その後速やかに適切な対応を取らなかった場合にも大きな信用失墜につながり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10) 業績の季節変動について
現在、当社グループにおいてはアジア食グローバル事業が売上高及び営業利益において多くの部分を占めており、業績への季節変動の影響は限定的と考えております。ただし、農水産商社事業の主力商品群である輸入生鮮青果物は、第2四半期にあたる4月から6月までが繁忙期となり売上高が増加し、9月から11月までは国産果実の繁忙期となるため輸入果実の売上高は減少するといった季節変動性を有しております。そのため、当社グループ全体に占める農水産商社事業の売上高及び営業利益の割合が増加する、若しくは、当該事業の季節変動がより大きくなることによって、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 公益財団法人洲崎福祉財団との関係について
公益財団法人洲崎福祉財団は、2008年12月に当社の代表取締役会長CEOである洲崎良朗が、障害者支援のための助成活動を行うことを目的に設立した公益財団法人であり、当連結会計年度末現在、当社株式1,300,000株を保有しております。当社グループでは、同財団の活動に賛同し、2017年度までは寄附を行っていたこともありましたが、今後は寄附を含め、同財団との取引(当社からの配当は除く。)を行う予定はありません。
前述のとおり同財団は、当社の株主となっておりますが、当社株式の議決権行使に関しては同財団が独自で判断するものと理解しております。なお、当社代表取締役会長CEO洲崎良朗は同財団の代表理事を兼務しておりますが、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条10号(注)において公益財団法人の理事及び監事の構成に関する制限がなされており、同財団における洲崎良朗及びその親族が理事会に占める割合は限定的となっております。当社代表取締役会長CEOを含む当社グループ関係者の理事は、同財団の保有する当社株式に係る議決権行使については関与をしない方針であります。
(注)各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様といたします。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と財務体質強化のため内部留保を確保しつつ、安定的な配当を継続して実施していくことを基本方針とし、通期30%程度の連結配当性向を目安にしております。当事業年度の配当につきましては、期初の予想利益水準を前提に上記方針に基づき決定しております。また、配当回数につきましては、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。
内部留保資金につきましては、M&Aや物流・システム投資等、事業の拡大に必要な投資に充当し、企業価値向上に努めてまいります。
また、当社は定款において期末配当の基準日を12月31日、中間配当の基準日を6月30日として、それぞれ取締役会の決議により配当を実施できる旨を定めております。同定款では、これら以外にも基準日を定めて剰余金の配当を実施することができる旨を定めております。また、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる。」旨を定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。