2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    538名(単体) 1,287名(連結)
  • 平均年齢
    43.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.0年(単体)
  • 平均年収
    7,536,653円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

物流事業

1,187

(140)

不動産事業

25

(-)

報告セグメント計

1,212

(140)

全社(共通)

75

(-)

合計

1,287

(140)

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(円)

538

(6)

43歳

0ヵ月

17年

11ヵ月

7,536,653

 

セグメントの名称

従業員数(人)

物流事業

458

(6)

不動産事業

5

(-)

報告セグメント計

463

(6)

全社(共通)

75

(-)

合計

538

(6)

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与(税込み)は、基準外賃金および賞与を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

(3) 労働組合の状況

提出会社における労働組合の組織および活動の状況は次のとおりであります。

① 組織の状況

1946年12月澁澤倉庫従業員組合が結成され、その後1969年11月に澁澤倉庫労働組合と改称し、2025年3月31日現在の所属組合員数は250名であります。

また、同組合は、全日本倉庫運輸労働組合同盟に加盟しております。

② 活動の状況

提出会社と同組合は、労働協約に基づき労使協議会を設置し、従業員の労働条件に関する事項、人事に関する基本的事項等について協議決定し、労使協調して円満に運営しております。

なお、2025年3月31日現在、特別の懸案事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

1.1

60.0

74.6

74.8

72.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.出向者は出向先の労働者として集計しております。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

澁澤陸運㈱

0.0

0.0

大宮通運㈱

7.1

100.0

日正運輸㈱

5.6

0.0

平和みらい㈱

0.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「-」は男性の育児休業取得の対象となる従業員が無いことを示しております。

4.出向者は出向先の労働者として集計しております。

5.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき公表義務のある会社のみ記載しております。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方およびサステナビリティ関連のリスク・機会に対処するための取組みは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ課題全般

① ガバナンスおよびリスク管理体制

i)組織体制

当社は、サステナビリティを巡る課題の解決に取り組むため、次のとおりのガバナンス体制・リスク管理体制を構築しております。

取締役会は、年1回または必要に応じて、サステナビリティを巡る課題に対する取組みについて議論し、サステナビリティ推進基本方針や、マテリアリティ(重要課題)に関する数値目標などの重要事項を決議し、その執行を監督します。

サステナビリティ推進委員会は、取締役社長を委員長として、サステナビリティ推進基本方針や、マテリアリ

ティ(重要課題)に関する目標の設定と重要事項の立案を行うとともに、サステナビリティに関する全社的な取組みを指導・監督しつつ、サステナビリティに係るリスクを識別・評価し、これらを取締役会に報告します。

また、サステナビリティ推進室は、サステナビリティ推進委員会の監督・指導のもと、当社グループのサステナビリティ推進に関わる事項について、適切な対策を遂行し、関係会社を含む各事業部門に指示・指導を行うとともに、目標の達成状況のモニタリングと、必要な改善策の策定と実行を行い、重要事項や行動計画をサステナビリ

ティ推進委員会に報告します。

 

当社のグループのサステナビリティ推進に関するガバナンス体制・リスク管理体制は以下に示すとおりです。

 

ⅱ)役員の保有する知見・経験

当社の経営戦略に照らして必要なスキルは、①企業経営、②事業戦略・M&A、③物流DX、④グローバルビジネス、⑤不動産、⑥サステナビリティ・ESG、⑦人事・労務、⑧財務・会計、⑨法務・コンプライアンス・内部統制と考えております。

個々の役員は、有する知見・経験に基づき各分野に適切に配置しております。サステナビリティに関するスキルについて、取締役は一定の知見を有しております。

 

ⅲ)サステナビリティに関する会議体の審議状況

・2024年度の取組みに関するサステナビリティ推進委員会での審議

開催年月

審議内容

2024年3月

マテリアリティに関するKGI、KPI、目標の見直し・開示について審議

2024年7月

2023年度各種ESGデータおよび目標進捗について報告

2024年11月

TCFDレポートの更新について審議

 

・2024年度の取組みに関する取締役会での決議・報告

開催年月

決議・報告内容

2024年3月

マテリアリティに関するKGI、KPI、目標の見直し・開示について決議

2024年7月

2023年度各種ESGデータおよび目標進捗について報告

2024年11月

2023年度Scope3排出量について報告

2024年12月

TCFDレポートの更新について報告

 

② 戦略および指標・目標

当社グループでは、「物流を越えた、新たな価値創造により、持続的で豊かな社会の実現を支えること」をグループミッション、果たすべき社会的使命と規定しております。また、サステナビリティ推進基本方針において「地球温暖化の防止」「循環経済への転換」「安全・安心の実現」「イノベーションの活用」「人権の尊重」「共存共栄の追求」の六つをマテリアリティ(重要課題)として特定し、事業活動を通じてその解決に貢献することとしております。

 

 

当社グループは、私たちのみならず社会にとっても持続可能な成長につながるマテリアリティの解決に事業活動を通じて取り組むことにより、企業価値を向上させてまいります。

 

ⅰ)マテリアリティの設定

当社グループのマテリアリティは、社内での知見に基づいて当社の事業環境や社会に与える影響等を考慮したうえで、さらに社外の知見者の意見も含めて総合的に判断し、サステナビリティ推進委員会で討議の上立案、社外取締役を除く上級執行役員以上で構成される経営執行会議の先議を経て、取締役会で決議・承認されています。またマテリアリティやそれに基づくKPI等は、定期的に見直しを検討し、変更のある場合は取締役会での決議がなされます。

 

ⅱ)マテリアリティに対する取組みと指標

マテリアリティ(重要課題)に対処するための取組みと指標は次のとおりです。

なお、評価指標に対する2024年度の実績値につきましては、当社コーポレートサイトおよび統合報告書にて2025年度に掲載を予定しております。

マテリアリティ

地球温暖化の防止

優先する取組み

物流事業における温室効果ガスの削減

環境配慮型施設へのバリューアップ

目指す姿(KGI)

環境負荷低減に貢献する企業

2030年度営業収益あたりCO2排出量 2019年度比50%削減

評価項目

倉庫業務におけるCO2排出量削減

陸運業務におけるCO2排出量削減

不動産事業における再生可能エネルギー導入

評価指標

(達成期限 2026年度)

事業所面積あたりCO2排出量 2019年度比40%削減(注)1

フェリー・鉄道輸送の取扱いコンテナ数 2023年度比30%増加

再生可能エネルギー導入率 100%(注)2

(注)1.当社物流事業所におけるCO2排出量を対象としています。

2.当社賃貸オフィスビル(茅場町・永代・蛎殻町地区)の電力を対象としています。

 

マテリアリティ

循環経済への転換

優先する取組み

循環経済(サーキュラーエコノミー)転換への貢献

目指す姿(KGI)

循環経済転換に貢献する企業

評価項目

循環経済転換に対する貢献

評価指標

(達成期限 2026年度)

保管文書のリサイクル取扱い量 2023年度比20%増加

フォークリフト電池の二次利用方法の確立 テスト実施

 

マテリアリティ

安全・安心の実現

優先する取組み

安全安心な物流事業の運営

レジリエントな事業運営体制の構築

目指す姿(KGI)

安全な事業運営による安心な社会の実現

評価項目

社会に対する安全安心向上

事業内における安全安心向上

評価指標

(達成期限 2026年度)

物流業務における交通事故件数 事故ゼロ

労働災害度数率 2023年度比3%削減

 

マテリアリティ

イノベーションの活用

優先する取組み

物流事業の生産性向上と業域の拡大

目指す姿(KGI)

事業の競争力強化と持続可能な社会の実現

評価項目

技術導入による業務効率化

評価指標

(達成期限 2026年度)

技術導入による業務効率化推進の新規案件数 期間累計20件(注)3

(注)3.期間累計の目標は2024年4月から2027年3月までを対象期間とします。

 

マテリアリティ

人権の尊重

優先する取組み

ダイバーシティの推進

労働環境の改善

目指す姿(KGI)

多様な人材が集い活躍する環境の創出

評価項目

ダイバーシティの推進

人財への積極投資

評価指標

(達成期限 2026年度)

従業員エンゲージメントの肯定的回答率 2023年度比増加

高ストレス者比率 7%以下

人権DD対象会社数(人権DDの精度向上) 200社以上

 

 

マテリアリティ

共存共栄の追求

優先する取組み

パートナーシップ強化によるサプライチェーンの進化

地域コミュニティ発展への貢献

災害支援

目指す姿(KGI)

パートナー企業や地域社会との共存共栄

評価項目

事業パートナー・地域コミュニティとの連携強化

評価指標

(達成期限 2026年度)

パートナーミーティングの開催 期間累計10回(注)4

社会活動への協働 期間累計15件(注)4

(注)4.期間累計の目標は2024年4月から2027年3月までを対象期間とします。

 

(2) 気候変動

当社グループは、金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が公表した提言に沿った形で適切な情報開示を行います。

また、当社グループはガバナンス体制を強化するとともにグループ事業における気候変動が及ぼすリスクと機会による影響について毎年分析を行い、当社グループのみならず社会にとっても持続可能な成長につながる課題の解決に事業活動を通じて取り組み、企業価値を向上させてまいります。

 

① ガバナンスおよびリスク管理体制

気候変動に関するガバナンスおよびリスク管理体制は、サステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれております。詳細は「(1) サステナビリティ課題全般 ① ガバナンスおよびリスク管理体制」をご参照ください。

 

② 戦略

当社グループでは、シナリオ分析を活用し、当社グループの事業活動に中長期にわたって影響を与えると想定される気候変動に起因する重要なリスクと収益機会をサステナビリティ推進委員会にて特定、評価するとともに、対応策を検討しております。

シナリオ分析におきましては、主要事業地域である日本国内を中心に、連結子会社を含めて、4℃シナリオ、1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)の2つのシナリオで「Shibusawa 2030 ビジョン」でも指標としている2030年を想定し、次のとおり考察いたしました。

 

 

・リスク

分類

種類

項目

時間軸

想定されるリスク

影響度

1.5℃

4℃

移行

政策・法規制

炭素価格の上昇

中期

事業活動に伴うCO2排出量に対して炭素税が課され操業コストが増加する。

化石燃料の使用に関する規制

短期

物流事業および不動産事業の環境性能向上(非化石燃料車両導入・ZEB化)に係るコストが増加する。

省エネ政策

短期~長期

保有不動産のZEB化対応費用や自社車両のxEV化、定温倉庫における脱炭素型機器への転換に伴う設備投資額が増加する。

排出権取引

中期

排出権取引制度の拡大に伴い、CO2排出量上限超過分の排出権の購入が迫られるなど、対応コストが発生する。

リサイクル規制

梱包資材や廃棄物に対する規制準拠のため、仕分け・加工(ラベルはがし等)や廃棄しないためのリース・レンタル品導入等を行うことによるコストが増加する。

再エネ政策

再生可能エネルギーへの電力構成切り替え等の国家方針に伴い、需要変化や発電所の発電コスト増に伴い電力価格が高騰する。

市場

エネルギーコストの変化

中期

・再生可能エネルギーへの需要増加等により、電力価格が高騰する。

・化石燃料価格上昇に伴う主因のエネルギー調達費用高騰分を物流サービスへ転嫁した場合に需要が減少する。

評判

顧客の評判変化

短期

環境への取組みが不十分であると判断された場合、他サービスへの顧客流出に繋がる可能性がある。

投資家の評判変化

環境配慮・環境情報開示が不十分な場合、調達資金の減少及び資金調達コストが増加する。

物理

急性

異常気象の激甚化

中期~長期

・気象災害の激甚化による拠点の被災やサプライチェーンの寸断による営業停止損失が発生し、また、火災保険料が高騰する。

・受託貨物への損害や事業停止による顧客からの評判が低下する。

・災害リスクが高い地域に位置する保有資産の価値が減少する。

・協力会社・貨物・テナントおよび第三者への損害に関する訴訟リスクが発生する。

慢性

平均気温の上昇

中期~長期

ヒートストレスによる労働生産性低下を防止するため、施設の空調設備や遮熱設備を導入することによりコストが増加する。

降水・気象パターンの変化

短期~長期

大雪や大雨など、気象の極端化に伴う交通機関の乱れが発生し、輸送遅延やキャンセル、道路や鉄道の冠水による物流ルートの遮断が発生し、収益機会が減少する。

海面上昇

長期

浸水被害の増加による保有資産への損害が発生する。

 

 

・機会

分類

種類

項目

時間軸

想定されるリスク

影響度

1.5℃

4℃

移行

政策・法規制

省エネ政策

短期~長期

・倉庫・物流センターのエネルギー効率向上(省エネ化)に伴いエネルギーコストが減少する。

・環境負荷の低いモーダルシフトの利用増加により、収益機会が増加する。

リサイクル規制

中期

循環型社会への移行に伴い、紙資源の回収・溶解処理を行う文書保管サービスの収益機会が増加する。また、資源の回収および運搬に伴う物流増加により、収益機会が増加する。

技術

低炭素技術の進展

中期

・スワップボディコンテナ車両等の輸送効率手段の導入により人件費コストが削減される。

・低炭素型ディーゼルトラック車両などの省エネ車両導入により燃料コストが削減される。

次世代技術の進展

無人フォークリフト・自動保管ラックなど、荷待ち・荷役時間短縮に向けた自動化・機械化設備導入により操業コストが減少する。

評判

顧客の評判変化

短期

・保有不動産において、CASBEEやZEBなど低炭素認証制度を取得することにより、環境意識の高い企業の選好度が高まり、収益機会が増加する。

・鉄道やフェリー輸送などのエネルギー効率の高い輸送形態の拡大や、モーダルシフトの推進、リニューアブル燃料を使用したトラック輸送など、GHG排出量を従来より抑制することが可能な環境配慮型事業を行うことにより収益が増加する。

投資家の評判変化

環境配慮・環境情報開示が進んでいる場合、資金調達コストが減少する。

物理

急性

異常気象の激甚化

中期~長期

被災拠点の操業を持続するため、BCP対策を推進し、有事における安全確実な事業継続体制を確立することで、結果的に相対的な競争力強化となり、収益機会が増加する。

慢性

平均気温の上昇

中期~長期

気温上昇により、夏季型飲料貨物の取扱い量が増加することによって、収益が増加する。

降水・気象パターンの変化

短期~長期

極端な気象現象が発生した場合に備え、多様な運送ルートを整備しておくことで事業継続が可能となり営業停止損失を回避できる。また、競合との差別化により収益機会の増加にも繋がる。

 

影響度の定義

「大」:財務的影響が大きい

「中」:財務的影響が不明

「小」:財務的影響が小さい

 

 

時間軸の定義

「短期」:~3年

「中期」:4~10年

「長期」:11年~30年

 

(注)1.移行リスクとは、低炭素経済への移行に伴い、GHG排出量の大きい金融資産の再評価によりもたらされるリスクです。

2.物理リスクとは、洪水や高潮、暴風雨等の気象現象によってもたらされる財物損害等の直接的なインパクトリスクです。

3.評価(大・中・小)は、定性的に分析し、相対的な影響度として評価しています。

4.4℃シナリオとは、気候変動対策が現状から進展せず、地球の平均気温が産業革命以前と比較して2100年時点で約4℃上昇するとされているシナリオです。異常気象の激甚化など、物理的な損害が大きくなる一方、気候変動対策としての法規制は現行から変わらないとされています。(参考シナリオ:IEA Stated Policies Scenario)

5.1.5℃シナリオとは、カーボンニュートラル実現を目指した積極的な取組みが活発化し、地球の平均気温が産業革命以前と比較して、2100年時点で約1.5℃の上昇に抑えられるとするシナリオです。異常気象の激甚化は4℃シナリオと比べ抑制される一方、気候変動対策としての法規制は現行から大きく強められるとされています。(参考シナリオ:IEA Net Zero Emissions by 2050、一部Sustainable Development Scenarioも併用)

 

 

これらのリスク・機会は環境省発行のガイダンス「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ」記載の下記手順に沿ってシナリオ分析を実施いたしました。

 

リスク重要度評価

シナリオ群の定義

事業インパクト評価

対応策の定義

気候関連リスク・機会を洗い出し、定性的に影響の考察を行う

 

シナリオを参照し、将来情報の入手および影響の具体化を行う

 

将来予測値を参考に財務的な影響額を試算する

 

評価されたリスクや機会に対し、対応方向性および施策を検討する

 

この気候変動への対応として、GHG排出量およびエネルギー使用量の削減・効率改善のため、また収益機会の創出のため、当社グループでは様々な取組みを行っております。

リスク項目

対応の方向性

具体的な対応策(機会の創出)

炭素価格の上昇・GHG排出規制の強化・再エネ/省エネ政策への移行

・脱炭素化の推進

・モーダルシフトの推進・倉庫の大型化による拠点集約や、最適立地への配置を通じた物流効率化を推進する。

・太陽光発電による再生可能エネルギーを利用する。

・創電設備の設置を進める。

再エネ/省エネ/次世代技術の普及

・施設運営を省エネ化する。(太陽光パネル、BEMS、LED等省エネ機器の導入)

・低GHG排出への投資を促進する制度の運用による環境技術導入を推進する。

社会からの評価

・気候変動ソリューションの創出と発信

・ステークホルダーへの情報発信を強化する。

異常気象に起因する自然災害の激甚化

・施設の強靭化

・防災/減災対策の強化

・運送システムの多様化

・BCPを考慮した施設の立地

・台風や豪雨を想定した定期的な施設の点検・補修を実施する。

・BCPの定期的なアップデートと訓練の実施・モーダルシフト運営体制の強化を行う。

・被災リスクを考慮した新規施設の開発を進める。

平均気温の上昇

・職場環境の改善・省力化の推進

・快適な作業環境を整備する。

・DXの推進等による省力化・省人化を推進する。

 

③ 指標・目標

当社グループでは、気候変動が経営に及ぼすリスクと機会等の影響を測定・管理するため、温室効果ガス(GHG)排出量に関連する以下の指標を設定しています。

2026年度目標

2030年度目標

・物流事業所面積あたりのCO2排出量 2019年度比40%削減

・フェリー・鉄道輸送の取扱コンテナ数 2023年度比30%
増加

・不動産事業の再生可能エネルギー導入率 100%達成

営業収益あたりのCO2排出量 2019年度比50%削減

 

 

(3)人的資本

① 戦略

当社グループは、長期的に人材が活躍できる経営基盤を確保するため、多様な人材の採用を継続的に行い、それぞれの能力を最大限に発揮できる職場環境の整備や人材育成への取組みが重要と考えています。

2030年に当社が目指す姿として「Shibusawa 2030 ビジョン」を制定し、多様な人材が働き甲斐を感じる労働環境や企業風土の確立により企業価値を向上させることを目指す姿と定めています。この「Shibusawa 2030 ビジョン」を具現化するため、人材育成方針、社内環境整備方針を以下のとおり定めています。

・人材の育成に関する方針

お客さまや社会の変化に伴い、わたしたちのビジネスは日々変化しています。コーポレートスローガン「永続する使命。」を果たし続けるためには、わたしたち一人ひとりと組織とがともに成長しあう好循環を継続し、挑戦を続けていく必要があります。

OJTとジョブローテーション、各種指名研修による人材教育とともに、自身のキャリアを見据えて学ぶ意欲のある人に公平で持続的な能力開発の機会を提供し続けます。また、成長に向けた努力や挑戦が正当に評価され、更なる成長を後押しする評価制度を整備します。そして、自律的な人材が互いの成長をサポートし協力し合う企業風土の醸成に取り組んでまいります。

 

・社内環境整備に関する方針

多様な価値観を尊重し、ワークライフバランスの推進、健康経営などに取り組むことで、性別、年齢、国籍、障がいの有無などにとらわれず、誰もが心身ともに健康で、安全かつ安心して活き活きと働ける社内環境を整備してまいります。

 

以上の方針を踏まえた具体的な取組みは以下のとおりです。

・人的資本経営の基盤構築

従業員エンゲージメントを高め、組織全体の力を最大限に引き出すための基盤構築に注力しています。その取組みとして、2023年度より対面型のタウンミーティングを全国で展開し、従業員との対話を通じて率直な意見や建設的な提案を聞き取り、組織全体の意思決定に反映させるとともに、人事諸施策の改善につなげる活動も推進しています。加えて、年に一度の自己申告制度において、現在の担当職務への意欲・適性、将来へのキャリア意向、職場環境に対する意見等を申告してもらい、これにより、適材適所の人材配置、キャリア開発、そして環境整備に役立てています。さらに、2024年度に導入したタレントマネジメントシステムを活用することで、従業員のスキル、経験、能力、キャリア志向などの情報を一元的に管理し、個々の従業員の能力を最大限に活かせる最適な人材配置や育成計画の策定、さらには組織全体の戦略的な人材マネジメントの実現を目指しています。また、エンゲージメントサーベイを年1回定期的に実施し、経年比較および部門、従業員の属性比較を行っています。これらの客観的な結果に基づき、制度や企業風土の改善、従業員エンゲージメントのさらなる向上に資する取組みを進めてまいります。

・教育育成プログラムの充実

従業員一人ひとりの成長を力強く後押しするため、教育育成プログラムの拡充に注力しています。具体的には、キャリアに応じた階層別研修や、担当業務の質を高めるための業務研修をさらに充実させ、ヒューマンスキル向上を目的とした研修も導入しています。また、グローバルに活躍できる人材を育成するため、若手社員には海外実務研修を提供し、国際的な視野と異文化理解を深める機会を設けています。加えて、女性管理職員向けには、それぞれのライフステージに合わせた柔軟なキャリア形成を支援する研修を計画中で、多様な働き方を推進する方針です。

今後も、従業員が自身のキャリアを主体的に描けるよう、希望制研修の新規導入やe-Learningコンテンツの追加など、能力開発の機会を順次拡大していく予定です。

・ダイバーシティの推進

事業環境が大きく変化する中で新たな価値を生み出すために、多様な価値観や経験を有する人材を確保するとともに、その多様性を尊重することで、個々が活躍できる企業風土の醸成を図っています。この推進の一環として、2024年度には、定年後再雇用制度を見直しました。定年後再雇用者の役割を明確化し、モチベーション維持・向上および処遇改善を通じて、組織の戦力アップを目指しています。また、女性の活躍は組織の活性化に不可欠と考え、女性社員が活躍できる社内環境整備や風土醸成に取り組んでおり、その具体的な取組みや課題については、他社と協働で継続的に意見交換会を実施しています。さらに、従業員の仕事と家庭の両立支援にも積極的に取り組んでいます。育児との両立支援制度を整備し、特に男性の育児休業取得促進に力を入れています。「次世代育成支援対策推進法」に基づき、仕事と子育ての両立を支援するための目標を設定し、男性の育児休業取得を奨励する企業風土の醸成や情報提供、相談体制の整備などを通じて、男性の育児参加を積極的に後押ししています。加えて、従業員が家族の介護と仕事を両立できるよう、介護休暇制度の活用を推進し、安心して働き続けられる環境を提供することで、従業員の多様なライフイベントに寄り添った支援を行っています。

・健康経営の推進

従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが挑戦を続けるエネルギーの源泉であると考え、澁澤健康保険組合とのコラボヘルスにより、データヘルス計画に基づき従業員とその家族の健康増進に努めています。具体的には、定期健康診断に特定健診項目を加えた特定健康診査を実施し、特定保健指導の対象者に参加を呼びかけ、生活習慣病予防と健康増進を図るプランを推進しています。また、ストレスチェック制度、外部機関による24時間健康相談サービス、メンタルヘルスのカウンセリングサービスなども提供し、多角的に従業員の健康をサポートしています。さらに、健康増進事業の一環として、2024年度より健康アプリを導入しました。このアプリでは、健康診断の結果や医療費通知の閲覧が可能なうえ、アプリを活用した健康イベントを開催し、従業員の健康促進を図っています。

 

 

② 指標・目標

指標

目標

2023年度実績

2024年度実績

管理職員に占める女性の割合(%)(注)1

前年比増加

10.6

11.7

有給休暇取得率(%)(注)2

前年比増加

57.7

48.0

有給休暇年間平均取得日数(日)

前年比増加

11.43

11.91

階層別研修のべ年間受講者数(人)

前年比増加

150

184

業務研修のべ年間受講者数(人)

前年比増加

1,256

955

(注)1.管理職員は管理職に任用できる資格者を表しています。

2.2024年度より入社2年目以降の有給休暇付与日数は20日から25日へ変更しました。