2023年8月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項等に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

当社はこれらのリスクの発生可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に判断した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の記載事項は、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。また、以下の事業等のリスクは、すべての事業活動上又は投資判断上のリスクを網羅しているものではありませんのでご留意下さい。

 

(1) インフラ・システムの障害発生について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、通信ネットワーク、コンピューターシステム及びチャットツール等を使用し、自社内における経営・業務管理のほか、顧客との連絡やサイトの運営等、多岐にわたるオペレーションを実施しております。安定的な運用のためのシステムの強化や、セキュリティ強化を実施しており、システムの運用・管理には万全を期しておりますが、リモートワークが主たる運営基盤であることから各種システムへの依存度が高いため、想定外の自然災害や事故等により設備に甚大な被害があった場合や、システム障害、ネットワーク障害、ウイルス感染、ソフトウェアやハードウェアの欠陥、サイバー攻撃等が発生した場合は、業務に支障をきたし、当社の事業及び業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法的規制について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の事業は、下請法、労働者派遣法、職業安定法等、様々な法的規制を受けております。当社では関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令及び社内規程、ルール等の遵守に努めておりますが、法令等に抵触する事態や関係者による不正行為が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は事業活動に際して、厚生労働大臣より下記の許可を受けております。

 

許認可名称

監督官庁

許可番号

許可年月日

有効期限

労働者派遣事業

厚生労働省

派45-300149

2015年11月1日

2028年10月31日

有料職業紹介事業

厚生労働省

45-ユ-300088

2015年11月1日

2028年10月31日

 

 

当社は関係法令を遵守して事業を運営しておりますが、労働者派遣法に定める派遣元事業主又は職業安定法に定める有料職業紹介事業者としての欠格事由に該当若しくは法令に違反する事項が発生した場合、事業の停止や派遣元事業主又は有料職業紹介事業者の許可の取り消しをされる可能性があり、その場合には事業を営むことが出来なくなる可能性があります。

 

また、将来これらの法令並びにその他の関係法令が、労働市場をとりまく社会情勢の変化などに伴って、改正若しくは解釈の変更などがあり、それが当社の営む事業に不利な影響を及ぼすものであった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 優秀な人材の確保について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、多様な専門性を持った人材を日本及び海外からも確保しております。当社では、フルリモートワークの勤務形態を提供することで、優秀な人材を厳選して採用することに努めております。また、従業員やキャストとして登録のある業務委託者の働きやすさを重視したリモートワークが前提の業務環境の整備を積極的に行うことで、人材の外部流出防止にも努めております。しかしながら、今後の人材市場の変化により、フロントやキャストをはじめとした事業運営に関わるポジションにおいて、計画どおりの採用が困難になった場合や、採用コストや人件費が増加した場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 事業環境の変化について(発生可能性:低、発生時期:長期、影響度:中)

当社が提供するWaaS事業、その他事業は、中小企業における利用者促進やリモートワーク実施企業の増加などにより今後もニーズが拡大していくものと考えております。また、当社は、特定のクライアントに売上が依存していないことから、特定の業種や顧客の業況による影響は受けづらいという特徴があります。当社の主力サービスであるCASTER BIZサービスの料金プランが6ヶ月契約と12ヶ月契約となっていることから、顧客の短期的な業況変化による解約のリスクも低くなっています。しかしながら、業種や特定の顧客を問わず影響を受けるような長期的な経済環境の悪化が発生した場合に、コスト削減の対象として解約率が上昇し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 技術革新について(発生可能性:大、発生時期:中期、影響度:大)

当社では、オフィスワークを中心として顧客企業の多種多様な業務を受託しておりますが、人工知能等の新技術の進歩により業務の自動化・省力化が進むことで、当社が従来請け負っていた業務が代替され、減少する可能性があります。当社では、既存サービスの提供を通じて業務効率化のノウハウを蓄積するとともに、新技術を活用した新たな事業の開発を模索するなど対応に取り組んでおります。しかしながら、そうした技術革新への対応が十分に図れない場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 情報漏洩リスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、顧客から受託した業務に資する情報を取得し、当社正社員及び業務委託先間で必要に応じて共有しながら業務を行うため、データ保護責任者(DPO)を設置し、ISMSの取得などのオペレーションを確立するとともに、個人情報については、プライバシーマークを取得するなど、個人情報や機密情報の徹底した管理体制の構築・運用に努めております。しかしながら、こうした対策にもかかわらず、不測の事態により情報漏洩事故が発生した場合には、損害賠償請求や、解約率の上昇、二次対応コストの増加などにより当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 訴訟について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、現在、損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。しかし、システムダウンによるサービス停止や外部侵入等による機密情報の漏洩等、予期せぬトラブルが発生した場合、又は取引先との関係に何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 継続的な投資について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、継続的な成長のため、セグメント拡大による事業・サービスの多角化が必要であると考えており、新規事業の企画立案、M&Aの調査・実行を積極的に実施してまいります。

また、認知度、信頼度を向上させることにより、より多くのリード(見込み顧客)を獲得し、また既存の顧客を維持していくことも必要であると考え、積極的に広告宣伝費等にコストを投下してきており、今後も継続して広告宣伝等を行っていく方針であります。広告宣伝費の支出にあたっては、費用対効果(LTV/CAC)を検証し、最適化に努めますが、CACの回収には数か月単位の期間を要するため、支出の期間においては利益率が低下し、一時的に営業損失を計上する可能性があります。

また、新規事業やM&Aへの投資が計画どおりの収益に結びつかない場合、広告宣伝等が十分な成果が得られなかった場合やコストの上昇等が生じた場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 調達資金の使途について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が計画している公募増資による資金調達については、主に事業拡大のための広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、当社が属する業界の環境が急激に変化することも考えられ、その場合、現時点で計画している資金使途以外へ充当する可能性があります。

また、当初の計画通りに調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果をあげられない可能性もあります。

 

(10) 特定の人物への依存について(発生可能性:低、発生時期:短期、影響度:中)

当社の創業者であり代表取締役である中川祥太は、当社設立以来の代表者であり、経営方針や事業戦略、サービスコンセプト等についてリーダーシップを発揮しております。各事業部門の部門長及びリーダーへの権限移譲や人材育成を進めることで、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により、同氏が当社の業務を遂行することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 感染症の拡大について(発生可能性:低、発生時期:短期、影響度:中)

当社では、社員の大半がリモートワーカーであり、従来よりテレワーク実施体制を構築していることから、感染症等による通常業務への影響は小さくなっております。しかしながら、感染症の蔓延に対処するために、緊急事態宣言や自粛要請などの措置が取られた場合、人や物の流れが滞って経済活動が停滞し、当社顧客企業の事業所が休業となったり雇用調整を行ったりするなどの状況が発生して、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 競合について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

現在、当社と類似するサービスとして、国内でBPO事業を展開する企業やクラウドソーシング事業を展開する企業、人材派遣・紹介事業を展開する企業は多数存在しますが、当社は、創業からフルリモートワークを導入・実践することにより、効率的なリモートワークによる企業経営を実現しております。事業においても、オフィスワークの人材を月20時間~30時間の契約時間の範囲内で、1案件ごとに分~時間単位の小ロットで顧客企業が活用できるWaaS事業の提供や、独自システムを活用した効率的なタスク×スキルの自動マッチング、リモートワーカーを活用することによる適した人材の早期アサインにより事業優位性を見出していると考えております。

当社では、新たな付加価値を継続的に生み出すことにより、その優位性を強固なものにしようとしておりますが、競合他社の動向によっては当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 内部管理体制の強化について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社では、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。

 

業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、更に健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(14) 株主構成について(発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:小)

当事業年度末現在における当社の発行済株式総数1,557,960株のうち、計1,058,000株は、ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下、「VC等」という。)が所有しており、当社株式の公募増資前の発行済株式総数に対するVC等が保有する当社株式の割合は67.9%と高い水準となっております。

一般にVC等による未公開企業の株式所有目的は、株式公開後に売却を行い、キャピタルゲインを得ることであります。今後、VC等が所有する当社株式を市場にて売却した場合には、当社株式の売却圧力が顕在化し、市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 海外の事業展開について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社では、事業拡大を図るために事業の海外展開を進めていく方針であります。そのなかで、各国の景気変動、政治的・社会的混乱、法規制等の変更、大幅な為替変動などが発生した場合、当社の将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 税務上の繰越欠損金について(発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:小)

当事業年度末には、当社には、税務上の繰越欠損金が存在しております。今後、当社の業績が順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(17) 社歴が浅いことについて(発生可能性:低、発生時期:短期、影響度:小)

当社は2014年9月に設立されており、設立後10年に満たない社歴の浅い会社であります。また、当社は現在成長過程にあると認識しており、当社の成長のために広告宣伝、システム開発等の投資が必要となっていることから、過去数年にわたって当期純損失を計上しております。当社は今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示していく方針でありますが、当社の過去の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは、今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。

 

(18) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:低、発生時期:短期、影響度:小)

当社は、役員及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。当事業年度末現在における新株予約権による潜在株式数は137,520株であり、同日現在の発行済株式総数の8.8%に相当し、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(19) 配当政策について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えており、過去においては配当を行っておりません。

将来的には、各事業年度における経営成績を勘案しながら、株主への利益還元を検討していく所存でありますが、現時点において、配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。

将来的には、各事業年度における経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。内部留保資金については、財務体質を考慮しつつ今後の事業拡大のための資金として有効に活用していく所存であります。

なお、剰余金の配当を行う場合には、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。また、株主への機動的な利益還元を可能にするため、取締役会の決議により毎年2月末日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。