2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 96,858 100.0 3,058 100.0 3.2

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、2023年10月2日に単独株式移転により日総工産株式会社の完全親会社である持株会社として設立され、グループ会社の経営管理及びそれに付帯する業務を行っております。

 また、当社グループは、連結子会社7社及び持分法適用関連会社2社で構成されております。創業理念である「人を育て 人を活かす」に則り、ミッションを「働く機会と希望を創出する」とし、企業と人の成長を支援する人材ソリューションサービスで、働く人がやりがいを持ち、成長していける職場を作り上げていくとともに、社会変化や産業構造変化に対応できるサービスの提供を目指し、「高い成長力のある企業グループに変革する」ための取り組みを推進しております。

 当社グループが提供するサービスについては、「総合人材サービス」と「介護・福祉サービス」の2つに大きく区分されます。

 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することになります。

 

 サービス別の概要は以下のとおりであります。

(総合人材サービス)

① 製造生産系人材サービス

 製造生産系人材サービスは、主に製造派遣、製造請負に区分されます。

 製造派遣は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)に従い事業を行っており、自動車製造、半導体製造、電子機器製造をはじめとしたメーカーに対し派遣サービスを提供しております。

 製造請負は、自動車製造、半導体製造、電子機器製造をはじめとしたメーカーに対しサービスを提供しております。製造請負とは、請負会社(グループ各社)が、自ら指揮命令を行い、自社による生産、品質管理や労務管理及び職場運営体制を構築しなければならないことが特徴であり、発注者(メーカー)からの注文に対し、自社管理体制のもとで製造や加工、検査等を行い、完成品(成果)を納品しております。

 

② エンジニア系人材サービス

 エンジニア系人材サービスは、製造領域及びIT関連のエンジニア派遣、SESに区分されます。

 SESとは、「System Engineering Service」の略称で、IT業界における業務委託契約の一つであります。

 

③ 事務系人材サービス

 事務系人材サービスは、一般事務派遣、BPO(Business Process Outsourcing)に区分されます。

 一般事務派遣は、労働者派遣法に従い事業を行っており、主としてオフィス事務や受付業務などへの派遣サービス提供を行っております。

 また、企業運営上の業務やビジネスプロセスを、専門企業に外部委託するBPOを一部受託しております。

 

④ その他の人材サービス

 その他の人材サービスは、高年齢者社員の人材派遣、障がい者による軽作業請負などに区分されます。

 

(介護・福祉サービス)

 介護・福祉サービスは、施設介護、在宅介護に区分されます。

 施設介護は、神奈川県横浜市にて、有料老人ホームを運営し、入居者に対する介護サービスの提供を行っております。

 在宅介護は、介護ステーション(神奈川県横浜市、福島県いわき市)、通所介護施設(福島県いわき市)にて介護サービスの提供を行っております。

 

[事業系統図]

 事業系統図は、次のとおりであります。

 

2024年3月31日現在

 

 

(注)1.「障害者の雇用の促進等に関する法律」(厚生労働省)に基づく、日総工産株式会社の特例子会社であります。

2.持分法適用関連会社である上海霓索人力資源服務有限公司は、2024年1月19日の「中国合弁会社の解散及び清算に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、2024年1月より現地の法令に従い、必要な手続きが完了次第、清算結了となる予定であります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社は、2023年10月2日に単独株式移転により日総工産株式会社の完全親会社として設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前年同期と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)と、また、前連結会計年度末と比較を行っている項目については、日総工産株式会社の2023年3月期連結会計年度末(2023年3月31日)と比較しております。

 また、当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の連結財務諸表は、単独株式移転により完全子会社となった日総工産株式会社の連結財務諸表を引き継いで作成しております。

 なお、従来、決算期が2月末日であった当社の連結子会社である株式会社ベクトル伸和については、決算日を3月31日に変更しております。これにより、当連結会計年度の連結業績は当該連結子会社の2023年3月1日から2024年3月31日の決算を取り込んだものとなっております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、正常化に戻りつつある中、諸外国の景気が底堅く推移したことに加え、急激な円安の影響もあり物価上昇が加速しました。一方、世界的な金融引締めによる影響、中国経済の先行き懸念や中東地域をめぐる情勢などが、先行きの不透明感を増幅するリスクとなり、引き続き金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

 このような経営環境の中、当社グループは「働く機会と希望を創出する」というミッションに基づき、企業と人の成長を支援する人材ソリューションサービスで、働く人が働きがいを持ち、成長していける職場を作り上げていくとともに、社会変化や産業構造変化に対応できるサービスの提供を目指し、「高い成長力のある企業グループに変革する」ための取り組みを推進しております。

 当社グループは、ミッションの実現に向けたマテリアリティ(重要課題)を「働きやすい職場づくり」、「社会変化や構造変化への対応」、「ガバナンスの強化」と定義しております。デジタル化の推進と人材投資を積極的に行い、従業員満足と顧客満足の最大化、高付加価値サービスの提供、管理体制や内部統制の強化に取り組むことで、社会価値を創造し、企業価値の向上を目指しております。

 

 当連結会計年度期間の業績は、次のとおりであります。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は31,354百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,261百万円増加いたしました。

 当連結会計年度末の負債合計は16,021百万円となり、前連結会計年度末に比べ736百万円増加いたしました。

 当連結会計年度末の純資産合計は15,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ525百万円増加いたしました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高96,858百万円(前期比6.6%増)、営業利益3,058百万円(前期比34.8%増)、経常利益3,056百万円(前期比30.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,952百万円(前期比20.3%増)となりました。

 売上高においては、グループの中核サービスである製造系人材サービスの在籍人数の伸張に伴い、前期比で増収となりました。また、利益面においては、事業の拡大や事業基盤の強化に向けた従業員の増強による人件費の増加などがあったものの、売上高の増加で吸収した結果、営業利益は前期比で増益となりました。

 

 当連結会計年度における各種取組みは、次のとおりであります。

(総合人材サービス)

 当連結会計年度における総合人材サービスの売上高は93,813百万円(前期比6.8%増)となり、売上総利益は15,682百万円(前期比10.1%増)となりました。

製造生産系人材サービス

 製造生産系人材サービスは、主に製造派遣、製造請負に区分されます。

 当連結会計年度における当サービスの売上高は76,862百万円(前期比5.2%増)となりました。

 当連結会計年度においては、顧客の旺盛な人材ニーズに応えることで、当サービスの期末在籍者数は14,793名(前年同期比207名増)となりました。また、働きやすい職場づくりに向けて、職場環境の改善に取り組んだことから、1か月あたりの離職率は3.9%(前年と同水準)と低位で推移しております。更に、製造スタッフの請求単価の上昇により1人当たりの売上高が433千円(前期比2.5%増)となりました。

エンジニア系人材サービス

 エンジニア系人材サービスは、製造領域及びIT関連のエンジニア派遣、SES(System Engineering Service)に区分されます。

 当連結会計年度における当サービスの売上高は9,080百万円(前期比5.3%増)となりました。

 当連結会計年度においては、期中にかけてセミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)の顧客における生産活動は低調だったものの、期末にかけて回復基調となり、当サービスの期末在籍者数は1,544名(前年同期比27名増)となりました。また、教育訓練施設を活用した独自の「人材育成モデル」を推し進めた効果もあり、1か月あたりの離職率は2.0%(前年2.1%)と低位で推移しております。一方、1人当たりの月平均売上高は505千円(前期比13千円減)となりました。

事務系人材サービス

 事務系人材サービスは、一般事務派遣、BPO(Business Process Outsourcing)に区分されます。

 当連結会計年度における当サービスの売上高は2,162百万円(前期比4.9%減)となりました。

 当連結会計年度においては、広報・集客活動を中心に採用活動を進めておりましたが、雇用市場の人員獲得競争激化による登録者数の伸び悩みもあり、事務系派遣の在籍人数は562名(前年同期比43名減)となりました。

その他の人材サービス

 その他の人材サービスは、高年齢者社員の人材派遣、障がい者による軽作業請負などに区分されます。

 当連結会計年度における当サービスの売上高は5,708百万円(前期比49.6%増)となりました。なお、当サービスにおける売上高については、2023年3月期の第2四半期連結会計期間より、株式会社ニコン日総プライムを連結子会社化しているため、増加率が大幅に向上しております。

 高年齢者が活躍できる職場モデルの構築に向けて、高年齢者社員の活躍を支援し、継続して働くことができる雇用機会の開拓と確保、仕組みの構築に取り組んでおります。当連結会計年度におけるプライム社員(高年齢者社員)数は697名となりました。

 また、障がい者社員が活躍できる職場モデルの構築に向けて、単に自社で障がい者社員を雇用するのではなく、一般の企業から軽作業の受託を行うなど、一人ひとりの特性を活かした自立型の活躍を推進しながら、学校関係者や支援機関そして行政をはじめとした地域社会との共生を目指しております。当連結会計年度における障がい者社員数は227名となりました。

 

(介護・福祉サービス)

 介護・福祉サービスは、施設介護、在宅介護に区分されます。

 当連結会計年度における当サービスの売上高は3,045百万円(前期比0.9%増)となり、売上総利益は332百万円(前期比7.9%増)となりました。

 当連結会計年度においては、当サービスの中核である施設介護において、地域に根ざした心ある介護を通して社会に貢献することを目指し、集客活動を行った結果、介護施設の入居者数は381名(前年同期380名)となりました。また、介護スタッフの育成を行いながら、サービス品質の向上を目指すことで、施設における入居率は94.8%(前年同期94.5%)と引き続き高水準で推移しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,230百万円の収入となりました。

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは1,289百万円の支出となりました。

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは2,100百万円の支出となりました。

 この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、期首残高に比べ159百万円減少し、9,641百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,056百万円等の収入で、法人税等の支払額865百万円等の支出を吸収して、3,230百万円の収入(前連結会計年度は2,285百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出300百万円、有形固定資産の取得による支出650百万円等により、1,289百万円の支出(前連結会計年度は146百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出1,062百万円、配当金の支払額544百万円等により、2,100百万円の支出(前連結会計年度は1,112百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、総合人材サービス、介護・福祉サービスを提供しており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 上記「a.生産実績」と同様の理由により、記載を省略しております。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前期比(%)

 総合人材サービス(百万円)

93,813

6.8

 介護・福祉サービス(百万円)

3,045

0.9

合計(百万円)

96,858

6.6

(注)総販売実績に対する割合が10%を超える販売先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容

a.財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末における流動資産は21,899百万円となり、前連結会計年度末に比べ151百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が159百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が366百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における固定資産は9,455百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,110百万円増加いたしました。これは主に、のれんが164百万円、投資有価証券が217百万円、退職給付に係る資産が192百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は31,354百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,261百万円増加いたしました。

(負債合計)

 当連結会計年度末における流動負債は13,360百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,172百万円増加いたしました。これは主に、未払費用が434百万円、未払法人税等が240百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における固定負債は2,660百万円となり、前連結会計年度末に比べ436百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が468百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は16,021百万円となり、前連結会計年度末に比べ736百万円増加いたしました。

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は15,333百万円となり、前連結会計年度末に比べ525百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益1,952百万円の計上と剰余金の配当544百万円及び自己株式の取得1,062百万円によるものであります。

 この結果、自己資本比率は48.0%(前連結会計年度は48.4%)となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

 売上高は、前連結会計年度に比べ6,031百万円増の96,858百万円となりました。

(売上総利益)

 売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,460百万円増の16,014百万円となりました。

 これは主として、総合人材サービスにおける製造スタッフ等の請求単価の上昇に伴い、1人当たりの売上高が増加したことによります。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ670百万円増の12,956百万円となりました。

 これは主として、事業拡大に伴う人件費が前連結会計年度より増加したことによります。

(営業利益)

 営業利益は前連結会計年度に比べ789百万円増の3,058百万円となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益は、前連結会計年度に比べ57百万円減の168百万円となりました。

 これは主として、新型コロナウイルス感染の縮小に伴い助成金収入が前連結会計年度に比べ72百万円減少したことによります。

 営業外費用は、前連結会計年度に比べ24百万円増の169百万円となりました。

 この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ707百万円増の3,056百万円となりました。

(特別損益、税金等調整前当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ707百万円増の3,056百万円となりました。

(法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等合計は、前連結会計年度に比べ323百万円増の1,068百万円となりました。

 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ329百万円増の1,952百万円となりました。

 

(当社グループの成長に向けた取り組みの進捗)

 当社グループは、産業界が必要としている人材をお客様との連携を通じて育成し、付加価値の高いサービスを提供することでお客様のニーズに応えながら、従業員に対しては、育成と連動するキャリアアップの機会を拡充し、異業種間連携や資本業務提携、そしてМ&Aなどのパートナーシップの構築を通じて、従業員の希望に合わせたキャリアチェンジの機会を拡大させ、従業員満足度を高めてまいります。

インダストリー戦略

 当社グループにおいては、総合人材サービスにおける事業の拡大に向けて、個々のお客様のニーズに応えるだけではなく、技術革新や環境問題などを背景に加速度的に産業構造が変化していくなか、産業(インダストリー)ごとのニーズに積極的かつスピーディに応えていく「インダストリー戦略」を推し進めてまいりました。

 当連結会計年度のインダストリー戦略領域の売上高は62,683百万円(前期比5.2%増)となり、連結売上高の64.7%を占めております。

 オートモーティブインダストリー(自動車製造及びEV関連製造業界)においては、部品不足が解消し、生産活動の回復が見られたことから、人材ニーズは堅調に推移しました。他方、認証不正問題にかかわる生産停止の影響もあり、当連結会計年度におけるオートモーティブインダストリーの売上高は40,485百万円(前期比14.7%増)となりました。

 セミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)においては、期中の低調な生産活動の影響を受けて、在籍人数が減少したことから、当連結会計年度におけるセミコンダクターインダストリーの売上高は12,377百万円(前期比12.5%減)となりました。

 同様に、エレクトロニクスインダストリー(電子機器製造業界)の生産活動も低調であり、製造スタッフの稼働時間の回復には至らず、当連結会計年度におけるエレクトロニクスインダストリーの売上高は9,819百万円(前期比3.2%減)となりました。

人材育成戦略

 当社グループは、独自の「人材育成モデル」を構築・推進しております。具体的には、半導体製造装置などの実機を実装した教育研修施設を開設し、お客様のニーズに沿って開発した教育プログラムを用いて育成することで、職場配属後の習熟が早く定着の良い人材の輩出に取り組んでおります。こうした高度なOff-JTを用いたサービス提供は、お客様から高い評価をいただいております。

 当連結会計年度における総合人材サービスの教育実施者数は延べ19,468名となり、うち、エンジニア人材への教育については、1,370名となりました。また、介護・福祉サービスの教育実施者数は延べ1,571名となりました。

 当連結会計年度においては、2023年4月に日総テクニカルセンター熊本を開設し、九州半導体人材育成等コンソーシアムに参画するなど、今後訪れる半導体関連産業の拡大に「人」の側面から貢献するため、エンジニア人材の育成を推進しております。

 また、教育訓練については、研修施設を中心に外部への展開も行っており、当連結会計年度における外部社員研修(受託)の延べ実施人数は187名となりました。引き続き、クライアントのニーズを把握し、これまでに培った教育コンテンツをカスタマイズしながら、お客様の課題解決に向けた事業推進体制を継続してまいります。

 介護・福祉サービスにおいては、新たに採用された介護スタッフへの教育、施設介護におけるより良いサービス品質の向上に向けた教育が重要であると認識しております。これらのサービス品質を担保するために、OJTのみならず定期的なOff-JTが実施できる体制を構築しております。

財務戦略

 当社は、自社の資本コスト(株主資本コストおよび加重平均資本コスト(WACC))を注視し、重要な経営指標を自己資本利益率(ROE)と投下資本利益率(ROIC)とした上で、稼ぐ力の追求と資本効率性の向上に取り組みます。また、安定的にROICが資本コスト(加重平均資本コスト(WACC))を上回る構造を実現する事で企業価値の向上に努めてまいります。なお、当連結会計年度においては、ROICが資本コスト(加重平均資本コス(WACC))を上回りました。

 

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが重要な経営指標としている「営業利益率」は、前連結会計年度より売上総利益率が0.5ポイント改善し16.5%となる一方、販売費及び一般管理費率が0.1ポイント圧縮し13.4%となり、この結果、営業利益率は3.2%となりました。引き続き売上総利益率の向上及び販管効率の向上を図り、営業利益率の改善に取り組んでまいります。

 

d.経営環境等の認識及び分析・検討内容と今後の見通し

 今後の見通しにつきまして、世界的な金融引締めや中東地域をめぐる情勢などの懸念はあるものの、日本国内経済は緩やかに回復することを見込んでおります。

 当社グループの注力業界であるオートモーティブインダストリー(自動車製造及びEV関連製造業界)においては、一部メーカーにおける生産・出荷停止などの影響は徐々に解消し、生産活動は2024年度下期に向けて繁忙に向かっていくものと想定しております。また、セミコンダクターインダストリー(半導体製造業界)においては、一層のデジタル需要増が見込まれており、半導体製造装置やメモリなどのメーカーにおける生産活動は、2024年度下期には繁忙になるものと想定しております。エレクトロニクスインダストリー(電子機器製造業界)においては、半導体製造業界との連動性が高く、同様に生産活動が回復していくことを想定しております。

 このような経営環境のもと、主要事業である総合人材サービスにおいて、提供サービスの質と内容を深化させることで、持続的な事業成長の実現に向けた「インダストリー戦略」を推進してまいります。

 当社グループは、メーカーにおける生産活動の高度化、人材に求めるニーズの多様化、製造業全体における慢性的な人手不足といった課題への対応を目指し、今後必要となる事業領域の調査を行いながら、人材育成分野でお客様と共創してまいります。また、当社グループが拡大領域と位置付ける半導体や蓄電池の製造領域、保守・保全といった職種に、当社グループ独自の「人材育成モデル」を掛け合わせることで、高付加価値人材の育成を積極的に推進してまいります。官民と連携を取りながら、他産業や他職種で働いている人材に対して、リスキリングの機会を提供し、半導体関連の量産に対応できる人材育成も行ってまいります。今後、重なるニーズの拡大を踏まえ、「日総テクニカルセンター熊本」の増設も進めております。更に、2024年3月、蓄電池産業向けの人材育成に特化した教育研修施設である「日総EVテクニカルセンター関西」を開設いたしました。

 介護・福祉サービスにおいては、横浜市内6か所にある介護付き有料老人ホームなどの介護施設「すいとぴー」における提供サービスの質を高め、お客様に選んで頂ける介護サービスの提供を進めてまいります。また、業務の効率化を推進するなど経営体質の改善の取り組みを継続してまいります。

 このような活動を通じて、当社グループは、ステークホルダーと共創しながら、持続的な事業成長を実現してまいります。

 

 以上により、2025年3月期の通期連結業績につきましては、売上高106,000百万円(前期比9.4%増)、営業利益3,800百万円(前期比24.3%増)、経常利益3,800百万円(前期比24.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,400百万円(前期比22.9%増)を見込んでおります。

 

 経営目標値の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

e.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営に影響を与える特に重要なリスクとしては、法的規制、組織再編等があります。

 そのほか、経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

 当社グループの事業活動における運転資金需要は、主として給与等の人件費及び人材確保のための社員募集費であります。設備資金需要としては、研修施設に加え、社内基幹システム、製造スタッフ管理システム及び採用サイト等の無形固定資産投資等であります。また、成長のための投資需要としては、M&Aによる企業買収や資本提携等であります。

(財務政策)

 当社グループの事業活動に必要となる運転資金については、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関とのコミットメントライン契約及び当座貸越契約の締結により、安定的な資金を確保しております。また、成長のための設備資金及び投資資金に対しては、金融機関からの借入による資金調達を有効に活用することにより、手許資金の確保を図っております。

 また、金融機関からの借入による資金調達の実施にあたっては、調達時期、金利動向、借入条件について最も有利な手段を選択すべく慎重に検討することで資金調達コストを低減しております。

 この結果、当連結会計年度末の有利子負債は448百万円減少し、2,068百万円(前連結会計年度末は2,517百万円)となりました。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。

 その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 当社グループは、全セグメントに占める「総合人材サービス」の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報を省略しております。

 

【関連情報】

当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

(単位:百万円)

 

製造生産系
人材サービス

エンジニア系
人材サービス

事務系
人材サービス

その他の
人材サービス

介護・福祉系
サービス

合計

外部顧客への売上高

76,862

9,080

2,162

5,708

3,045

96,858

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2)有形固定資産

 本邦以外に所在している有形固定資産がないため、記載しておりません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載しておりません。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

 当社グループは、全セグメントに占める「総合人材サービス」の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

  該当事項はありません。