リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものである。
① 事業環境の変動
当社グループは、総合物流企業集団として国内各地及びロシア、カザフスタン、タイ、中国に物流拠点を有し、多様な物流事業(倉庫業、港湾運送業、自動車運送業、国際物流事業、その他付帯事業等)を展開している。当社グループの事業は、国内外の経済・政治・社会情勢、公的規制の変化、環境規制の強化に伴う対応、IT技術等の進展による物流の変化、また、顧客の物流合理化に伴う競争の激化等が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。現在、顧客ニーズに対応した物流提案を行うとともに、適時適切な設備投資を行い、また、IT技術の導入等を推進し、営業の拡大と経営基盤の強化を図っている。
② 物流施設の災害による被災
当社グループの主たる事業においては、物流施設が重要な経営資源である。これらの施設は、国内各地及びロシア、カザフスタン、タイ、中国に立地している。これらの地域で地震や、台風・豪雨等による大規模災害が発生した場合は、当社グループの物流施設に甚大な被害が発生し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。今後の大規模災害による施設被害に備えるため、計画的に老朽施設の更新投資や補強のための投資を行っている。また、緊急事態に備えた事業継続計画(BCP)を適宜見直すとともに、防災体制の強化、当社グループ関係者への防災教育・訓練を徹底している。近年、気候変動による大規模災害が激甚化しているため、気候変動に伴うリスク・機会を適切に分析、評価、管理するとともに、さらなる対応の強化等が必要となる可能性がある。
③ 海外事業展開
当社は、連結子会社を通じて国際物流サービスを提供している。連結子会社のうち2社はロシアを拠点として、物流事業を行っている。ロシアによるウクライナ侵攻後、同国に対する経済制裁等が行われている。当社グループは、常に現地の状況を把握することができる体制を構築し、駐在員の安全に万全を期しているが、今後の情勢によっては現地法人の運営に大きな支障をきたす可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
④ 資金調達及び金利変動
当社グループは、必要資金を主に金融機関からの借入れにより調達している。現在当社グループは、設備投資資金の調達や運転資金等の借換えに支障をきたす状況にはなく、借入金利も安定した状況にあるが、予想外の社会・経済変動により金融市場が逼迫し、資金の調達、金利面に急激な変化が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
⑤ 株価の変動
当社グループの保有する市場価格のない株式等以外の株式は、当連結会計年度末現在、取得原価で26億6千2百万円、連結貸借対照表計上額(時価)で79億7千万円であり、評価差額は53億7百万円の評価益となっている。当該株式は、主に取引先との関係の維持・強化を目的として保有しているが、今後の経済情勢または発行会社の経営状態の急激な変動等による株価の大幅な下落が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
⑥ 訴訟・係争等
当社グループは、法令遵守に努めながら事業活動を行っているが、事業活動に関して様々な形で訴訟等の対象となる可能性があり、その結果によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。当社は2022年3月28日付で40億5千9百万円(遅延損害金を除く)の損害賠償請求訴訟を提起され、2022年5月23日に訴状の送達を受けている。当社としては事実関係の認識などに相違があるため、訴状の内容を精査のうえ、適切に対処していく。
⑦ 情報システム障害等
当社グループは情報システム網を構築し、総合物流サービスを提供するとともに、業務の効率化や事故防止などを図っている。この情報システム網の安定性を確保するため、最新技術やデータバックアップ等の情報セキュリティ対策を導入し、情報セキュリティに関する社内体制の整備や従業員の教育に取り組んでいる。しかし、災害、事故、犯罪等によりシステム障害や情報漏洩が発生した場合には、社会的信用の低下等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
⑧ 固定資産の減損
当社グループは、建物及び土地をはじめとする多額の固定資産を保有しており、今後の経済変動等による固定資産の時価下落や資産グループの収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上する。これにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
⑨ 繰延税金資産
当社グループの当連結会計年度末における繰延税金資産の計上額は、評価性引当額(回収可能性がないと判断されたもの)を除き、11億4千7百万円である。今後、グループ各社の将来所得の発生見込額の減少等に伴い、多額の評価性引当額が発生する可能性がある。
⑩ 退職給付債務
当社は、2007年4月から退職一時金の一部を確定拠出年金に移行したが、その他の退職給付債務については、割引率、昇給率等の見積り数値を用いて計算されており、その変動に伴い変動する。
また、当社グループは、退職給付信託を設定しており、その信託財産は、主に信託設定時に当社が拠出した株式により占められている。このため、想定外の株価変動により発生する数理計算上の差異の費用処理等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
⑪ 投資の減損等
当社グループの保有する市場価格のない株式等の当連結会計年度末における連結貸借対照表計上額は、4億2千5百万円であり、これらは発行会社の財政状態の悪化による実質価値の著しい低下に伴い、減損処理の対象となる可能性がある。
また、当社グループの保有する非連結子会社及び関連会社株式の当連結会計年度末における連結貸借対照表計上額は6億1千3百万円である。これらの株式の帳簿価額は、当該子会社及び関連会社の経営成績または財政状態の悪化に伴い、減額の対象となる可能性がある。
なお、これらは当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクを例示したものであり、これらに限定されるものではない。
配当政策
3【配当政策】
当社の主たる事業である埠頭業・倉庫業は、施設に多額の投資を必要とし、その回収は長期にわたらざるを得ない。これらの設備投資は長期的観点から計画的かつ持続的に実施することが必要であり、このことにより安定的な経営基盤が確保されるものと考えている。
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策の一つとして位置付けており、利益の配分にあたっては、前述のような事業の性格を踏まえた従来の中長期的な安定配当とともに業績に連動する配当をよりわかりやすく伝えるために配当方針を変更した。
財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、利益水準にかかわらず年間配当金50円を下限として、業績、利益の状況、今後の経済状況などを取締役会で審議して、配当性向30%を目途に妥当な配当額を決定し、安定的に配当を継続することを基本方針としている。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としている。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会である。
当事業年度の配当については、配当方針に基づき、中間配当として1株当たり25円、期末配当については1株当たり30円とし、年間55円とした。
内部留保資金は、主として設備投資資金に充当している。
当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる。」旨定款に定めている。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりである。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
|
2023年11月1日 |
取締役会決議 |
185 |
25 |
2024年6月26日 |
定時株主総会決議 |
222 |
30 |