人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数683名(単体) 740名(連結)
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平均年齢41.1歳(単体)
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平均勤続年数16.1年(単体)
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平均年収6,291,292円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員(正社員、契約社員、嘱託社員、パートタイマー、アルバイト、受入派遣社員及び他社からの出向者)で
あります。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員(正社員、契約社員、嘱託社員、パートタイマー、アルバイト、受入派遣社員及び他社からの出向者)で
あります。
2 平均年齢(歳)、平均勤続年数(年)、平均年間給与(円)は当該事業年度末時点における正社員のみを対象として算出して
おります。また、平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。
(3) 労働組合の状況
労働組合は、結成されておりませんが、共済会制度を通じて従業員との良好な関係を維持しており、労使関係は円満に推移しております。また、会社と従業員代表との協議を年3回定期的に実施し、双方向のコミュニケーションを図ることで、職場環境の整備と従業員の意見反映に努めております。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループにおける、サステナビリティに関する考え方及び取組については、以下に記載のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
経営方針とサステナビリティに対する考え方
当社は1965年に設立して以来、企業活動を通して空港分野において環境貢献に資する経営を推進してまいりました。当社グループの経営方針については、前述の「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
本経営方針及び本中期経営計画の中には、当社のサステナビリティに関する考え方及び取組も含まれており、本経営方針及び本中期経営計画のもと、中期経営計画期間中にコロナ前(2019年度)の売上・利益水準へ早期に回復させ、その後はさらなる成長を目指して売上規模200億円以上を目標に掲げ、企業価値向上に向けて経営を推進するとともに、環境・社会・ガバナンスを重視したESG経営を推進してまいります。
サステナビリティについての取組
国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の4つの構成要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)に基づき、本経営方針及び本中期経営計画における当社のサステナビリティに関する考え方及び取組に付言しつつ整理の上、開示いたします。当社としては、以下のガバナンス((1)参照)及びリスク管理((3)参照)の取組は、当社のサステナビリティに関する戦略((2)参照)及び指標((4)参照)の実現に資するものであると考えております。
(1)ガバナンス
当社の経営状況と課題
マーケットからは、いわゆる安定株主が株主総会における特別決議可決のために必要な水準を占めることのない公開性が求められており、この公開性の要請に応え、当社がマーケットからの投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた会社であることをお示しすることは重要であると認識しています。
◆ スタンダード市場への上場維持基準への適合と上場企業としてのガバナンス具備
当社は、東京証券取引所より「上場維持基準(分布基準)への適合状況について」の通知を受領し、2025年3月末時点において、当社が同基準に適合していることを確認いたしました。なお、2024年3月末時点においては、スタンダード市場の上場維持基準のうち「流通株式比率」の基準を満たしておりませんでしたが、2025年3月末時点では、当該基準を含む全項目において適合いたしました。
この間、当社は、成長戦略の推進、株式保有の分散化、IR・PR活動の強化、株主還元の充実、並びにWebサイトのリニューアルや人的資本への還元強化(2023年にJ-ESOP導入、2025年にJ-ESOP-RSへ拡張)など、重点施策を継続的に実行してまいりました。これらの取り組みにより、上場維持基準への適合を実現することができました。
今後も、独立性・透明性・持続可能性を重視したガバナンス体制の下、株主・投資家の皆様との建設的な対話を重ねながら、企業価値の一層の向上に努めてまいります。
基本的な考え方
① 大株主との関係を維持しつつ、少数株主の利益を適切に保護するガバナンス体制の構築を実現し、独立した上場企業として企業価値・株主価値の向上に努めています。
② 上場企業として備えるべきガバナンスの維持・向上に対する考え方につきましては、経営の透明性、健全性に重きを置き、ガバナンスの強化を図っております。また、スタンダード市場のコンセプトに準じて、上場企業としての基本的なガバナンス水準を具備できるよう、適切なガバナンスの仕組みを整え、透明性・公正性を高めると共にリスクマネジメントを強化することで経営基盤の強化を図っております。さらには、企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みの整備、浸透、運用の強化を図っております。
なお、上場企業として備えるべきガバナンスを具備するための具体的な取組は次のとおりです。
具体的な取組
① コーポレートガバナンスの高度化
指名・報酬委員会を中心に、特定株主の意向に左右されないガバナンス体制を確立するための改革(取締役構成、報酬制度、人事プロセスの見直し等)を進めております。
これまで、機動的な経営判断を行えるガバナンス体制(独立委員会・報酬設計・取締役スキルマトリクス等)を整えてきました。
課題があるとすれば、支配株主との関係性およびコーポレートガバナンスの在り方にあると認識しております。当社としては、上場を維持した上で、より実効性の高いガバナンス体制の構築を追求することが適切であると考えております。
② コーポレートガバナンス体制の強化
中期経営計画(2022~2025年度)の期間を通じ「形式から実質へ」と進化するガバナンス改革を継続的に実施しています。また、東京証券取引所スタンダード市場が求めるガバナンス水準を十分に満たし、さらにそれを上回る実効性の高い体制の構築に取り組み、取締役会の独立性強化と説明責任の徹底を進めてまいりました。
2022年
・独立社外取締役の増員/取締役会8名体制の確立
・監督と執行の役割を分離しつつ、バランスの取れた構成に刷新
・指名・報酬委員会の設置
・取締役選解任や報酬決定における客観性・透明性を制度化し、独立社外取締役主導で審議プロセスを明確化
2023年
・経営の中核機能である財務・資本政策を担う執行役員の取締役就任/取締役会9名体制の確立
・経営と執行の一体性を高める体制強化として、戦略的な役割を果たす人材を取締役会に登用
2024年
・戦略・ESG推進などを担う経営基盤機能の責任者が取締役に就任
・空港業界経験ではない女性リーダーの登用により、意思決定の視野を広げ、組織に新たな発想と柔軟性をもたらす経営体制へ進化
・指名・報酬委員会にて客観性のある審議を経た代表取締役社長を選任
・主要株主からの出身者ではない代表取締役人事は、当社にとって独立した企業運営への大きな転換点
・利益相反取引に関する特別委員会の設置
2025年
・関連当事者取引に関する管理規制を制定し、取引の透明性を強化
・第60回定時株主総会にて独立社外取締役を増員予定
・東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準に適合
・改定コーポレートガバナンス・コードへの準拠と実質運用
・次年度組織を強化するためCxO体制(CEO/COO/CSO/CTO/CFO)と4部門制の整備による役割明確化
・IR・PR戦略の強化(個人投資家との関係構築含む)
これらの取り組みにより、当社は東京証券取引所スタンダード市場が求めるガバナンス基準を十分に満たし、さらにそれを上回る実効性の高い体制を構築し、持続的成長と中長期的企業価値向上にコミットする経営の土台を確立しています。
③ 情報開示とIR体制の拡充
機関投資家・個人投資家向け説明会を四半期ごとに実施。動画・媒体等を通じた情報発信を通じて、企業認知と透明性向上に注力しています。
・機関投資家及び個人投資家に向け説明会の定期開催(四半期ごとの年間4回開催、2022-2025中期経営期間累計:24回)
・機関投資家向けの現場見学実施
・One on One ミーティングの拡充
・設立経緯・事業内容に関する対談動画の配信
・ラジオNIKKEI開局70周年記念セミナー「MARKET WAVE」にて代表取締役社長が講演
・空港内広告・電車内広告の掲出による社会的認知度向上
これらの取り組みにより、当社は「ESG経営を基盤とした企業価値の向上」という目標を、制度・体制・実績の全てにおいて具現化しつつあります。今後は、非財務KPIの開示の充実とマテリアリティ再整理を通じ、次期中期経営計画(2026~2030年度)の柱となるESG経営の深化を図るとともに、適時適正な情報開示と公正・誠実な経営対応を堅持してまいります。
④ 経営の公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みを整備し運用の強化
当社は、株式会社東京証券取引所の独立性に関する判断基準を基に、当社経営陣から独立した立場で社外役員としての職務を遂行できる独立性が確保できる、幅広い見識、経験に基づき、当社の経営に対して客観的且つ適切な意見を述べることができる方を招聘し、現在、独立社外取締役2名体制としてガバナンス強化を図っております。当社の独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たしていただいております。
(ⅰ)経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと
(ⅱ)経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと
(ⅲ)会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
(ⅳ)経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること
⑤ 指名・報酬委員会
指名・報酬委員会では、当社のガバナンス体制はどうあるべきかという視座に立って、株主総会に諮る取締役・監査役候補の選任議案の他、取締役の報酬の在り方等について審議を行っております。
当事業年度におきましては、主に次の活動を行っております。
・ 取締役候補・監査役候補の選任プロセス
・ 取締役スキルマトリクス項目の点検を行い最新版を策定
・ 当社のあるべき取締役会体制を検討し、独立社外取締役1名の増員を含む第61期取締役体制の原案を取締役会へ答申(第60回定時株主総会へ付議)
・ 当社の取締役報酬について、業績と連動する報酬体系とすべく、短期業績と連動する現金報酬割合と中長期的業績と連動する自社株報酬割合の適切な設定について、第59回定時株主総会における反対意見を分析、検討し修正案を取締役会へ答申
⑥ 特別委員会の設置
当社は独立社外取締役が取締役会の過半数に達していないため、経営陣幹部・取締役の指名(後継者計画を含む)・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することを目的として、2022年独立社外取締役2名と代表取締役1名を構成員とした、取締役会の任意の諮問機関である指名・報酬委員会を設置しております。更に少数株主利益保護の観点から2024年8月に過半数を独立社外取締役で構成される特別委員会を設置しております。
(2)戦略
◆経営戦略
2025年度は、創立60周年という節目であると同時に、現行中期経営計画(2022~2025年度)の最終年度にあたります。この60年間で培ってきた「中立性」「技術」「現場力」を原点に、2024年度にはチーフオフィサー制度の導入、専門人材の登用、ESG経営の推進など人的資本経営を強化するとともに、株主還元や上場維持に向けた資本政策など、企業価値向上に向けた多面的な変革を本格化させてきました。
2025年度はこれらの改革を着実に成果へと結びつけるとともに、次期中期経営計画(2026~2030年度)への戦略的移行を確実に進める「橋渡しの年」=戦略的移行年度として、企業価値・株主価値の最大化に取り組むこととしています。
当社は創立60周年を単なる節目ではなく、持続可能な企業成長に向けた構造的変革と戦略的成長の起点と位置づけ、次の10年に向けた飛躍を確実にスタートさせてまいります。
これらの重点施策を着実に実行し、中期的な企業価値の向上を図るためには、戦略の推進体制と業務執行の一体的な強化が不可欠であると判断し、2025年度より組織体制の抜本的な見直しを行いました。
全社戦略の実効性を高めるために、4つの部門からなる機能別・戦略別の明確な役割分担体制を導入し、あわせてチーフオフィサー制度の拡充、R&D(研究開発機能)の新設、本社機能の中枢化、現場における業務改革の推進など、経営基盤の再構築を進めてまいります。
① 組織改編とガバナンス強化
2025年度より、以下のとおり4つの部門体制を導入し、機能別・戦略別の明確な役割分担と責任体制を構築します。
・コーポレート部門:総務、経営企画、安全・品質・教育の機能に加え、全社の改革推進を担う成長戦略推進組織を新設
・営業部門:本社と支社を横串で結ぶマトリクス型組織とし、主要顧客との関係を強化と地域展開の戦略性を高める
・サービス提供部門:現場のオペレーション業務統括、人材の流動化を推進する柔軟なオペレーション体制を整備
・ソリューション事業部門:新技術・商材を扱う高機動部門、製品特性に応じた即応的な営業・開発判断を行う
② CxO体制の拡充
2024年度に導入したCxO体制に加え、2025年度はCOO(最高執行責任者)を新設し、執行役員体制との連携を強化することで、戦略の全社的推進を図ります。
・CEO(最高経営責任者):経営責任
・CSO(最高戦略責任者):中期経営計画の達成及び企業価値向上に向けた戦略立案及びプロセスの構築
・COO(最高執行責任者):縦割り組織の壁を越えて横断的に業務を推進し、全社的な目標達成に向けオペレーションを一貫して管理
・CTO(最高技術責任者):技術面から経営をサポートし、当社コア技術の確立、新規事業開発、技術研究開発の実現
・CFO(最高財務責任者):財務戦略、配当計画・資金調達の立案と実行
CxOは、組織運営における「戦略と執行の橋渡し役」として、意思決定スピードと説明責任の両立を図る中核的な役割を担います。
③ 戦略担務の再設計
2024年度より、執行役員に対し部門横断の「戦略担務」を設定し、特定テーマ(成長事業、資本効率、海外展開、人材確保等)に責任を持って取り組んでいますが、計画に対して十分な進捗が見られない領域については、本年度中にリカバリープランを策定・再設定します。
今後は、CxO体制と戦略担務を接続したPDCA運営を徹底し、各責任者の役割・進捗・成果を定量的・定性的にモニタリングし、説明責任の明確化と成果の最大化を図ってまいります。
④ R&D設置と技術革新の加速
燃える挑戦心を持ち続ける社員とともに、技術を極め、持続可能な空港環境の創造と環境貢献のリーディングカンパニーとして、2025年度より本社に研究開発機能(R&D)を新設しました。R&Dは、企業価値の持続的向上に資する技術戦略の策定と実行を担い、以下を中心に活動を推進しています。
・固定式埋設型GPUの高機能化と制御最適化
・固定式空調装置の自社開発及びコスト削減施策の推進
・海外製空調装置の導入・標準化に向けたプロジェクトマネジメント
・技術者育成と連携ネットワークの拡大
異業種や学協会との連携を深め、R&D人材の育成にも注力しています。将来の競争力の源泉となる「技術開発力」の強化と、長期的な成長基盤の確立を進めています。
今後も、社会課題に対応する技術を起点とした価値創出に取り組み、技術・製品・人材の三位一体で持続可能な未来に貢献する研究開発体制を強化してまいります。
⑤ 本社機能の中枢化
2025年度、当社は経営体制の一体運営と機能間連携の強化を目的に、総務・経営企画・安全・品質・教育を統合した「コーポレート部門」を新たに整備し、あわせてプロジェクト単位で柔軟に機能する「戦略チーム」を本社に配置しました。これにより、経営戦略の立案から制度設計、人材開発、リスク管理までを横断的に担う中枢機能としての本社体制を構築いたしました。空港拠点や事業部門と密に連携しながら、全社最適の視点から組織運営を支援し、現場主導の実行と本社による統制・支援のバランスを保つ仕組みを確立しています。
⑥ 現場におけるBPR推進
空港拠点「サービス提供部門」においては、現場業務の効率化と標準化を目的としたBPR(業務プロセス改革)を推進しています。以下の3つの観点から、実行力とコスト競争力の強化に取り組んでいます。
・業務の標準化と再現性の確保
業務手順や役割分担の明確化により属人化を排除し、業務の平準化と再現性向上を図る運用体制を整備しています。
・人材・組織の柔軟性と多様性の強化
複数拠点間での知見共有や人員の柔軟配置を通じて、業務負荷の平準化と機動的な体制構築を推進しています。あわせて、人材の多能化や、外国人技術者(Airport Ground Power (Thailand) との連携)、女性・高齢者・非専攻層および非正規社員の積極的登用を進め、多様な人材の活躍を促進しています。
・現場主導の改善活動とコストマネジメント
現場からの提案に基づく作業改善、設備更新、5S活動等を通じ、継続的なコスト構造の見直しと資源配分の最適化に取り組んでいます。
これらの取り組みにより、本社と現場の機能が明確に役割分担され、戦略と実行の有機的連動が進展しています。今後も、全社視点での統制と現場視点での柔軟な対応力を両立する組織運営を目指してまいります。
◆事業戦略
高い技術力で環境社会に貢献できる企業を目指すとともに、選択と集中により得られる経営資源を十分に活用し、事業基盤のシフトを推し進め、地方・海外空港への展開や当社技術を活かせる空港外産業への事業展開を図り、新しい商品・サービスの開発へチャレンジしながら持続的な成長へ繋げる事を志向しております。
<事業戦略と具体的な取組>
当社は、GPU利用促進による地球温暖化防止への取り組みを継続して推し進めております。また、これまで国内主要空港にて培ってきた、GPU設備をはじめとする電気インフラに係わる知見と技術が最大限活かせる好機と捉え、当社の強みである「電気」を主軸とした、「環境」×「電気」×「DX」領域での事業多角化を行い、新たな収益の柱となるビジネス創出を目指しており、各種ソリューション開発を推し進めております。加えて、既存事業との関連性を基に、新たな技術価値によるサービス構築が急務であるとの課題を認識しており、既存事業で培った技術と親和性の高い「物流保守サービスの拡大」への取り組みを進めてまいります。
①GPU利用促進による空港の脱炭素化
・空港で駐機中の航空機に対して当社GPU設備の利用を推し進め、2025年度末までにCO2排出量削減33.5万トン以上を目指す。当事業年度末現在、CO₂排出量削減は29.4万トン(前年比+5.7%)となっております。
・当社GPU設備が配備されていない地方空港等には、各空港のニーズに合わせたGPU設備・機材の提供をはじめとした空港分野における環境貢献に寄与するサービスの拡充を目指します。現在、航空機用の電源及び空調を同時供給できる移動式機材comboを配置、また国産初のバッテリー駆動式GPU(登録商標Be power.GPU)の製品化をしております。
・カーボンニュートラル、環境負荷の低減の実現に向けて、環境貢献機材の開発を推進し、外部電源式省スペース型固定空調装置の開発、移動式GPUに対するバイオディーゼル燃料の導入試験等を継続して実施しており、今後も新技術導入による次世代製品の開発を進めます。
② GPU仕入れ電力の再生可能エネルギー化の推進
・エネルギーマネジメントシステム/AI蓄電池/再エネ導入によるエネルギーの最適化
当社はこれまで推進してきたGPU利用促進を基盤に、空港の脱炭素化とエネルギー利用最適化に向けた取り組みをさらに拡大しています。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、調達コストの上昇が航空会社の負担増となる可能性があることから、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入と大型蓄電池の活用によって電力需給の最適化と負荷調整を進めています。これにより、グリーン電力導入に伴うコスト上昇の抑制と空港全体の電力効率向上の両立を目指し、技術開発にも注力しています。さらに、空港内EV化の進展を見据え、航空機地上支援機材(GSE)向け充電ステーションの整備も構想中です。今後も、環境価値と経済合理性の両立を重視し、空港運営管理会社と連携しながら、次世代の空港電力供給モデルの構築と脱炭素社会への貢献に向けた事業基盤の強化に努めてまいります。
③ 海外展開
当社は、日本国内で培ってきた空港技術インフラにおける高い信頼性・安全性及び運用ノウハウを強みとして、アジア市場を中心に海外展開を進めています。現在、タイの空港運営管理会社との連携を通じて、当社独自技術である固定式埋設型GPUやエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用した「グリーンエアポート構想」の実現を目指しております。とりわけ、日本発・当社独自の技術である「固定式埋設型GPU」は、先進的な空港インフラ技術として高い評価を受けており、今後はASEAN諸国を中心に、脱炭素・電動化に対応した次世代空港モデルとしての展開を視野に入れており、こうした取り組みは、政府が掲げる「質の高いインフラ輸出」の推進方針(ナショナルアジェンダ)にも合致するものであり、日本の空港環境技術を世界に広げる一翼を担ってまいります。
当社は、これからも日本の空港で培った技術と理念を活かし、持続可能且つ環境負荷の少ない次世代空港インフラの実現に向けて、海外においても積極的に貢献してまいります。
④ 空港外業務領域への事業展開(空港外売上目標比率20%超)
航空需要のボラティリティや経済変動への柔軟な対応力を高めるため、空港外の分野にも事業領域を広げています。
◇物流領域の拡大
・空港で培った高度な保守技術と24時間365日運用の知見を活かし、物流センター・倉庫のメンテナンス業務を拡大
・Eコマース需要拡大により、ベルトコンベア保守業務の実績が高く評価され、受託件数拡大中
・物流倉庫内搬送設備の設計・提案・工事・運用保守体制を確立(ワンストップサービス)
◇フードカート事業の拡大
・医療・介護分野にも展開し、病院・サ高住*向けフードカートの製作・販売を推進
・完全調理済食材*(クックチル・ニュークックチル)と高効率な再加熱カートを組合わせた調理提供システムの導入を積極的に推進
*サ高住:サービス付き高齢者向け住宅
*完全調理済食材:給食会社や食材会社など販売協力会社が担っています。クックチルは、最終加熱(再加熱)後(食事を提
供する前)に温かい状態で盛り付ける。ニュークックチルは、最終加熱(再加熱)前のチルド状態での
盛り付けを行う。
◆人材戦略
日本社会における少子高齢化は、空港業界の現場人材確保にも大きな影響を与えており、当社では技能継承・属人化解消・多様な人材確保を重要課題と捉えています。特に2025年度は、以下の取り組みを重点的に推進してまいります。
また、当社では、多様性の確保・容認に向けたダイバーシティ経営を推進しておりますので、その取り組みについても付記いたします。
<人材戦略の具体的な取組>
① 外国人技術者の採用・育成(AGPT連携)
② 女性・高齢者・非専攻層の登用
③ マルチスキル化とDXによる現場高度化
④ ダイバーシティとエンゲージメントを両立させる文化醸成
⑤ 本社機能(法務・人事・企画等)の専門化と中枢化
⑥ 中長期的な要員計画の策定
⑦ 従業員への還元の充実と適正な人件費水準の維持
・透明性・公平性のある評価・報酬システムの安定運用
・適正な水準の労働分配率を維持
・従業員の生活水準の維持確保、成長事業に資する人材確保に向けた採用力強化の観点から、本年6月より、1人当たり平均で+8.2%(定期昇給除き)の賃金水準の引き上げ(2年連続の水準引上げ)
・株式給付信託(J-ESOP-RS)の導入
2023年5月より導入している「株式給付信託(J-ESOP)」の一部を改定、新たに譲渡制限付株式(RS)を組み合わせた「J-ESOP-RS」導入を決定」
<ダイバーシティ経営の推進に向けた具体的な取組>
「企業成長に資するダイバーシティ経営」を目指し、多様性のある人材が長期にわたって企業の価値創造に貢献できるよう、経営幹部から従業員まで全員が「ダイバーシティ経営」における理解を深められる環境を構築しています。
・毎年継続して「ダイバーシティ・インデックス*」に参加することによりダイバーシティ経営を可視化
・社内にダイバーシティ推進プロジェクトチームを設置し、ダイバーシティマインドの醸成を目指して推進
・全社的にダイバーシティ インクルージョンの研修を推進
・日本人社員のグローバル化を推進
・外国籍社員の労働環境を整備
・国籍問わず同一教育環境の整備
・女性労働者に対する職業生活に関する機会として、育児休業復帰後の多様な働き方の提供
・育児・介護休業制度導入や時短勤務など職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
*ダイバーシティ・インデックス:株式会社イー・ウーマンが運営するダイバーシティ経営を可視化、数値化し、組織の取組の進度を明確にし、課題を解決する
ために開発された指標。
◆経営の透明性/健全性に重きをおいたガバナンス
中期経営計画(2022~2025年度)の期間を通じて、当社は「形式から実質へ」と進化するガバナンス改革を継続的に実施しています。以下の取り組みにより、当社は東京証券取引所スタンダード市場が求めるガバナンス基準を上回る実効性ある体制を構築し、持続的成長と中長期的企業価値向上にコミットする経営の土台を確立しています。
① 改定コーポレートガバナンス・コードへの準拠と実質運用
コーポレートガバナンス・コードを遵守できていない残り7項目は2025年度中に完了する見込みであり、全項目を達成する方針です。
・補充原則1-2-4.決権の電子行使のための環境作り、招集通知の英訳
・補充原則3-1-2.英語での情報開示・提供
・補充原則4-1-3.最高経営責任者等の後継者計画の監督
・原則 4-2. 取締役会の役割・責務
・補充原則4-2-1.中長期的業績と連動する報酬の割合、現金報酬と自社株報酬の割合の適切な設定
・補充原則4-3-1.経営陣幹部の選任や解任に関する公正且つ透明性の高い手続きの実行*
・補充原則4-3-3.会社の業績等の適切な評価を踏まえCEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きの確立
*補充原則4-3-1:経営陣幹部の選任については、実行済みとなります。
② 情報開示・IR活動の強化:60周年
機関投資家・個人投資家向け説明会を四半期ごとに実施。動画・媒体等を通じた情報発信を通じて、企業認知と透明性向上に注力しています。今後も引き続き認知度向上に向けた取り組みを行ってまいります。
2024年度取り組み内容
・機関投資家向け・個人投資家向け説明会の定期開催(四半期ごと)
・設立経緯・事業内容に関する対談動画の配信
・ラジオNIKKEI開局70周年記念セミナー「MARKET WAVE」にて代表取締役社長が講演
・空港内広告・電車内広告の掲出による社会的認知度向上
(3)リスク管理
◆リスク管理体制
当社グループは、直接的又は間接的に当社グループの経営あるいは事業運営に支障をきたす可能性のあるリスクに対し、迅速且つ的確に対応を図るために定めたリスク管理規則に則り、毎年定期的にリスクマネジメント一覧表を取りまとめ、経営会議に報告するなどして、全社的なリスクの評価、管理、対策立案を実行しております。
顕在化したリスクがあった場合には、顕在化したリスクの内容に沿って予め決められた施策で対応を図ることとしており、必要に応じて取締役会へ情報を共有し監督及びモニタリングを実施するとともに、リスク評価・分析を行い、全社におけるリスク管理の強化を図っています。
<リスク管理体制図>
◆リスク要因の特定
当社グループは、経営方針に基づく経営戦略の阻害要因となり得るリスクについて、環境分析のもとリスク要因を特定しており、「企業経営の継続に関するリスク」と「事業運営の継続に対するリスク」を認識しています。
<主なリスク要因と対応>
① 企業運営の継続に関するリスク
スタンダード市場における上場維持は、当社が市場からの投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた会社であることを示す重要な要素であると認識しております。当社はこれまで、成長戦略の推進、株式保有の分散化、IR・PR活動の強化、株主還元の充実並びにWebサイトのリニューアルや人的資本への還元強化(2023年にJ-ESOP導入、2025年にJ-ESOP-RSへと拡張)等、施策を継続的に実行してまいりました。
その結果、流通株式比率は2024年3月末時点の23.8%から2025年3月末には25.4%に上昇し、「スタンダード市場の上場維持基準(分布基準)」に適合いたしました。
流通株式比率については、基準を充足しなくなる可能性がありますので、今後も、独立性・透明性・持続可能性を重視したガバナンス体制の下、株主・投資家の皆様との建設的な対話を重ねながら、企業価値の一層の向上に努めてまいります。
② 事業運営の継続に関するリスク
当社はこれまで、空港を主たるフィールドとして、空港会社及び航空会社に対して多様なサービスを提供してまいりました。しかしながら、航空・空港産業は依然として高いボラティリティを有しており、新型感染症の拡大、自然災害、地政学的リスクなどのイベントリスクに加え、IoTやAI等の技術革新による競争環境の変化が、当社の事業運営に影響を及ぼすリスクが存在します。また、少子高齢化や働き方改革の進展に伴い、人材確保が一層困難化している現状も認識しています。
このような環境下、当社は空港外分野への事業展開を中期経営計画の重点課題と位置づけ、空港以外の事業売上比率20%超の達成を目指しています。空港における高度な保守技術及び24時間365日の運用ノウハウを活用し、物流センターや倉庫施設のメンテナンス業務の受託を積極的に進めています。特に、物流倉庫の搬送設備に関しては、設計・提案から施工・運用保守サービスまでを一貫して提供するワンストップサービス体制を構築しています。さらに、医療・介護分野においては、病院やサービス付き高齢者向け住宅向けにフードカートの製作・販売を促進し、空港外業務のさらなる拡充を図っています。
加えて、動力供給事業領域では電力料金等原材料費の高騰に対応すべく、原材料費の変動に応じた価格転嫁を継続的に実施しています。エンジニアリング事業領域においては、人材不足への対応として技術員のマルチスキル化を進め、BPR(業務プロセス改革)を通じて業務効率化・生産性向上を推進しています。
今後も、当社は、外部環境の変化を的確に捉え、空港関連事業への依存からの脱却と、持続可能な事業基盤の構築を図り、企業価値の向上を目指してまいります。
2019年に第2位株主である三菱商事株式会社から日本空港ビルデング株式会社に移行したことにより、同一業界に属する3社が当社株式の7割以上の当社株式を保有する状況となっております。このため、形式的にはいわゆる支配株主には該当しないものの、実質的には当該株主グループによる影響を強く受ける資本構成となっております。
(4)指標及び目標
《環境社会実現に向けた目標》
当社は、1965年の設立当初より、駐機中の航空機に対して電力及び空調(冷暖房)を供給することで、航空機からのCO₂排出削減及び騒音低減を図り、空港環境の改善に寄与してきました。現在では、空港における環境貢献のリーディングカンパニーとして、「空港における脱炭素化の実現」を掲げ、主要8空港に自社開発の固定式埋設型GPUを設置。航空機への電力・空調供給サービスを通じて、2030年度末までにGPU利用率100%の実現を目指しています。これらの取り組みにより、2024年度にはCO₂排出量を29.4万トン削減するなど、環境負荷の低減と収益性の両立を実現しています。今後も航空会社各社への設備利用促進を進め、環境価値と経済価値の両面から企業価値の向上を図ってまいります。
GPU事業にとどまらず、ナショナルアジェンダとしてのCO₂排出削減推進を背景に、新たな環境事業の創出にも挑戦してまいります。エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー活用、蓄電池技術との連携といった成長分野においても機会を逃さず、脱炭素社会の実現に貢献する企業として、更なる成長を目指してまいります。
① GPU利用促進による空港の脱炭素化
・2025年度末までに2019年実績の33.5万トンを超えるCO₂排出量削減を目指す。
・2030年度末までにGPU利用100%目標に向け取り組み、空港における更なるCO₂排出量削減に貢献する。
② GPU仕入れ電力の再生可能エネルギー化の推進
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、調達コストの上昇が航空会社の負担増につながる可能性があるため、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入による電力需給の最適化と、大型蓄電池の活用による負荷調整を推進しております。また、グリーン電力導入に伴うコスト上昇の抑制と、空港全体の電力使用効率向上の両立を目指し、技術開発を推進してまいります。
③ 空港内EV化の進展に対応し、GSE(航空機地上支援機材)向け充電ステーションの構想を推進しています。
④ 空港内車両(自社車両の更新)のEV化
・EV連絡車(5台)導入を予定しております。
《人的資本投資に関する目標》
当社は「人材は価値創出の原動力であり最大の資本」と考えており、新卒採用のみならず中途採用、次世代リーダー候補者採用、外国人採用を男女問わず優秀な人材の確保に向けての取組を進めてまいります。多様性の尊重や人材育成を通じて、働きがいのある職場環境を構築します。
キャリア採用(次世代のリーダー候補)及びオペレーション人材のバランス採用を目指します。
① 日本人新卒採用(文系/理系/高専/専門/高卒)+ タイ人理工系卒採用(30名規模を目指す)
② 外国人社員について、全社員の10%以上を目指します
③ 女性採用比率10%以上を目指します
④ 育児休業取得率100%を目指します
⑤ 社員の能力開発に向けて、営業利益の10%程度を目安に社内教育、社外教育、資格取得講習等を行う
⑥ 資格取得の奨励と自己啓発により、技術職は一人当たり10資格以上の資格取得を推奨
⑦ ダイバーシティ・インデックスの受講を含め、ダイバーシティ理解を醸成する研修及びワークショップを年4回開催
⑧ 経営陣向けの各種研修を四半期に1回実施
《ガバナンスに関する目標》
上場企業として求められる基本的なガバナンス水準の確保はもとより、透明性・公正性・説明責任を重視した経営の実践に努めています。東京証券取引所スタンダード市場のコンセプトに沿い、持続的な成長と中長期的な企業価値向上にコミットする経営体制の確立を推進しています。また、適切なガバナンス体制の整備とともに、リスクマネジメントの強化やIR・PR活動の拡充を通じて、経営基盤の安定化と企業認知度の向上を図っています。
① コーポレートガバナンス・コード7項目遵守
コーポレートガバナンス・コードを遵守できていない7項目については、2025年度中に全項目達成を目指します。
② IR・PR戦略の強化(個人投資家との関係構築含む)
機関投資家・個人投資家向け説明会を四半期ごとに実施し、また動画・媒体等を通じた情報発信を通じて上場企業としての説明責任、透明性、IR・PR活動の戦略的展開を図り、企業認知と透明性向上に注力してまいります。