2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    98名(単体) 1,651名(連結)
  • 平均年齢
    47.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.0年(単体)
  • 平均年収
    13,642,358円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

地上波・BS放送事業

1,105

(510)

アニメ・配信事業

344

(117)

ショッピング・その他事業

104

(89)

全社(共通)

98

(20)

合計

1,651

(736)

 

(注) 1 従業員数は、就業人員であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

98

(20)

47.0

19.00

13,642,358

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

地上波・BS放送事業

(―)

アニメ・配信事業

(―)

ショッピング・その他事業

(―)

全社(共通)

98

(20)

合計

98

(20)

 

(注) 1 従業員数は、㈱テレビ東京、㈱BSテレビ東京及び㈱テレビ東京コミュニケーションズとの兼務者を含む就業人員であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、テレビ東京労働組合(組合員239名)とテクノマックス労働組合(組合員113名)が組織されており、いずれも日本民間放送労働組合連合会に所属しております(員数は2025年3月31日現在)。なお、労使関係につきましては特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合

テレビ東京グループの中核企業である㈱テレビ東京の2025年4月の女性管理職比率は21.5%でした。2017年度末の11.2%から順調に比率を上げており、2025年度末には20%台半ばにすることを目指します。

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

なお、2025年6月19日開催の定時株主総会後の女性役員比率※は、当社11.8%、㈱テレビ東京20.0%となる予定です。

※女性役員比率は社内における指導的な役割を担う者として、取締役、監査役、執行役員、フェロー等を対象として算出しております。

 

(5) 男性労働者の育児休業取得率

  ㈱テレビ東京の2024年度男性社員の育児休業取得率は55%で、前年度(42.9%)を上回りました。また、平均育児休業取得日数は95日でした。出生時育児休業(産後パパ育休)を利用する社員も増えており、今後も育休を取得しやすい環境整備を進めていきます。

(注)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

(6) 労働者の男女の賃金格差

  ㈱テレビ東京で働く従業員の男女の賃金格差は、男性の平均賃金を100とした場合、女性の平均賃金は、2024年度で正社員82.1、パート・有期雇用社員68.7でした。全女性従業員でみると74.7でした。入社時の賃金に男女差はありませんが、管理職など高賃金の従業員で男性比率が高い(男:女=4:1)ことが全体の格差につながっています。現在の管理職は、入社時の人数に大きな男女差があり、女性の中途退職も多かった世代ですが、2018年度から2025年度入社の正社員は男女ほぼ同数となっています。今後、女性管理職比率も上昇させる方針で、格差も現在より縮小していくと考えています。アルバイトに限定すると男女の賃金差異は女性が116で男性より高くなっています。

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

私たちは、放送の公共的使命を自覚し、責任あるメディアとして文化の創造に貢献することを目指します。企業価値の最大化に向けて、すべてのステークホルダーと良好な関係を築いた上で、気候変動への対応にも努めながら長期安定的に発展していくことをめざします。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

<サステナビリティにおける当社の重要課題>

① 責任あるメディアとして文化の創造・地域の発展に貢献する

② 中立・公正なコンテンツを作り、豊かな生活と民主主義を守り育てる

③ 多様性に富んだ持続可能な社会を創造する

 

(1) サステナビリティに関するガバナンス、リスク管理

① ガバナンス

当社は、地球環境問題をはじめ、人権の尊重、従業員の健康、労働環境への配慮や公正・適切な処遇を実現するための啓蒙活動などサステナビリティを巡るあらゆる課題に対してグループ全体で取り組むために、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。「サステナビリティ委員会」はグループ全体のサステナビリティ全般の方針や目標・計画などを立案、実行します。取締役会は「サステナビリティ委員会」から活動状況や重要事項について報告を受け、気候関連課題への対応方針および実行計画等についても審議・監督を行います。

 

② リスク管理

当社グループのリスク管理体制は、「リスク管理・コンプライアンス委員会」が中心となり、「リスク管理規程」に基づき、気候変動リスクを含めたグループ内のリスク情報を一元的に集約し、対応が必要と認められたリスクについては適切な予防対策を講じています。特定したリスク・機会はサステナビリティ委員会を中心に議論し、重要度の高いものについては「リスク管理・コンプライアンス委員会」へ報告されるほか、リスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、取締役会へ報告されます。

 

(2) サステナビリティに関する戦略、指標及び目標

① 気候変動対策及び生物多様性保全の取り組み

当社グループは、気候変動に関するリスクを全社的な重要リスクの一つと位置付けており、気候変動によって受ける影響を把握し評価するため、複数のシナリオに基づく分析を行い、気候変動リスク・機会を特定しています。

シナリオ分析においては、2015年締結の「パリ協定」で設定された「2℃以下」シナリオを含む複数の温度帯のシナリオを選択、設定していく必要があるため、低炭素社会への移行によって影響が顕在化する1.5℃シナリオと、気候変動に伴う物理面での影響が出る4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。

当社は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」へ賛同しており、シナリオ分析の結果については、TCFDが提言するフレームワーク(①ガバナンス ②リスク管理 ③戦略 ④指標と目標)を活用した情報開示を行っています。

当社グループは2021年度からCOを排出しない再生可能エネルギーの導入を推進しています。消費電力の削減や再生可能エネルギーの導入、自社のCO排出を相殺できる「J-クレジット」等の活用を組み合わせて、2023年度からグループ全体のCO排出量の実質ゼロを継続しています(対象はScope1とScope2)。

当社は気候変動問題への対処と同時に、生物多様性を含む自然資本に配慮し、その維持・保全に努めることが重要な課題であると認識しています。その一環として海中の藻場を再生することで大気中のCOを吸収するブルーカーボン事業への貢献を目的に、山口県岩国市沖で創出された「Jブルークレジット」を2025年6月に購入しました。自治体や企業と協力・連携しながら生物多様性の保全とCO排出量の削減に一層貢献していきます。

 

② 人権デューデリジェンス

テレビ東京グループは人権尊重の重要性を強く認識しております。「テレビ東京グループ人権方針」の考えを実現するため「人権委員会」が中心となって、取引先を含めた人権侵害の予防や改善に取り組む「人権デューデリジェンス」を実行しています。

 

・人権と行動規範等に関するアンケート調査

社内における人権デューデリジェンスの取り組みとして、2024年から外部専門家の協力を得ながら、職場で「人権方針」等に抵触する状況が生じていないかアンケート調査を実施しています。2回目となる2025年は、1月にテレビ東京ホールディングス、テレビ東京、BSテレビ東京、グループの制作会社の役員と社員1,114人を対象に、会食などにおけるハラスメント行為について期間を設けず尋ねましたが、該当する回答はありませんでした。社内外のハラスメントなど不正行為については、社内と社外に通報窓口も設けていて、社員以外からの通報にも対応しています。今後も毎年定期的にアンケート調査を実施し、人権に関するリスクや社内課題の把握に努めてまいります。

 

・会食ルールの明確化

業務上の会食時においてハラスメント等の事態が起こることがないよう、社内で参加の仕方、事前承認などのルールを定めています。透明性を確保し、未然防止を徹底していきます。

 

・人権セミナーの開催

グループで働く全ての人が人権意識を高め、活き活きと働ける職場環境を作ることを目的に、2024年1月から外部講師を招いた人権セミナーを開催しています。グループの役員・社員・スタッフが必修で、これまでに「ビジネスと人権」「ハラスメント防止」「ダイバーシティ知識テスト受験」「ダイバーシティ研修」「リスペクトトレーニング」をテーマに年5回実施しました。今後も継続的に開催していく計画です。 

 

・取引先に対するサステナビリティに関するアンケート調査

当社グループと取引先とのビジネス全体で人権等に対する負の影響を防止し、より良いサプライチェーンを構築するため、サステナビリティ全般に関するアンケート調査を2024年7月から取扱高上位70%の取引先を対象に実施しました。回答内容については調査会社による評価を行ったうえで回答社へフィードバックを行ったほか、当社グループの窓口部署と共有し、一部の取引先とサステナビリティへの取り組みについて対話を行いました。

 

・サステナビリティ推進サプライチェーンガイドラインの策定

人権デューデリジェンスの一環として、当社グループおよびすべての取引先を含むサプライチェーン全体で取り組むべきサステナビリティの重要事項を定めた「サステナビリティ推進サプライチェーンガイドライン」を2025年3月に制定しました。「テレビ東京グループ人権方針」等を踏まえ、取引先に対し人権尊重やコンプライアンス面などの遵守すべき事項を提示しています。「サステナビリティ調査」に加えて、本ガイドラインを制定することで、人権デューデリジェンスの取り組みをさらに推進します。

 

・取引先との各種契約に人権尊重条項を追加

出演者の業界団体とも協議の上、出演者の事務所や制作会社など200社以上の取引先と、各種の契約において当社グループの人権方針の遵守を中心とした人権尊重に関する条項を追加しました。これらの契約書は新規の取引先だけでなく、既に実績のある取引先との契約にも順次適用しています。

 

・「番組制作ガイドライン」の改訂

番組制作に関するルールや留意点を定めた「番組制作ガイドライン」に「グループ人権方針」の遵守を明記し、放送だけでなく、配信、イベントなどコンテンツ全般に対象を拡大しました。コンテンツ制作の現場において、取材対象者への誠意ある対応、出演者の精神的な健康状態への配慮などを徹底していきます。

 

(3)人的資本・多様性に関する戦略、指標および目標

① 人材の多様性確保、人材育成の方針

 テレビ東京グループは、2035年の長期ビジョンに向けて2025~2027年度を「人的資本強化の集中投資期間」と位置づけ、本格的に人事改革を進めていきます。キーワードは「挑戦と成長が持続できるキャリア環境の構築」。従来の制度運用にとどまらず、組織全体で戦略的に人材を育成する体制を強化し、将来的に人的資本が企業価値に結びつく仕組みを目指します。人材の価値向上への投資は㈱テレビ東京で累計35億円規模を見込み、「採用の強化」「リスキリング」「処遇制度の見直し」「健康支援」に注力。特に2025年度のキャリア採用は、㈱テレビ東京で過去最多の40名を目標としてグローバル・AI・データ・IP領域を重点強化すると共に、多様性のある専門人材が活躍できる体制を整えます。

 ㈱テレビ東京では、2024年4月に人事部の「研修チーム」を「人財開発チーム」に改称し、更なる研修制度の充実を図っています。2024年度の研修は34回実施しており、従来の各層別研修に加えてマネージメント力を養う研修、各事業分野に必要なスキルを身に付ける研修などメニューの充実を図り、社員のキャリア形成を支援しています。人権の尊重やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンなどの多様性や生成AIなどをテーマとした研修を開催し、社員の意識向上を促しています。将来的にはグループ全社でのリスキリングをより推進すべく企業内教育機関「テレ東カレッジ(仮称)」の創設を計画、IPビジネスやデータサイエンス、AIや国際的に通用するクリエイター養成など実務直結型プログラムを整備し、“攻めの学び”を本格化していきます。

 また人材の多様性を確保することも成長の重要なカギと考えています。役員、管理職などにおける女性比率を高め、海外展開をより進めるため積極的に外国籍社員を採用し、これまでにない斬新な発想を生み出し各種事業の成長・発展につなげてまいります。㈱テレビ東京では2025年度新卒採用から高等専門学校からの応募を可能とし、テック系の新卒学生の門戸を拡げました。

 なお、2025年6月19日開催の第15回定時株主総会後の当社の女性役員比率※は11.8%、㈱テレビ東京の女性役員比率は20.0%となる予定です。

※女性役員比率は社内における指導的な役割を担う者として、取締役、監査役、執行役員、フェローを対象として算出しております。

 

② 人的資本への投資

当社は、人材を「企業の価値創出の源泉」と捉え、報酬・育成・働き方のすべてを連動させた戦略的な人的資本投資を推進しています。2025年度はグループ全10社でベースアップの実施を予定しております。㈱テレビ東京では単なる賃上げに留まらず、5年ぶりに給与制度を改定します。賞与の一部を月例給与に移行し、年収に占める賞与の比率を下げ、業績に左右されにくい、より安定した賃金体制を構築します。また賞与から月例給与への移行に加え、さらに人件費を上乗せすることで、一般社員の基本給は平均8.6%アップします。20~30代の若年層の年収が上がり、初任給は11.7%アップの32万4,500円になります。賃金制度を見直すことで社員のモチベーションを高め、人材獲得、会社の成長戦略に繋げていきたいと考えています。

育成面では、AI・データ・IPなど重点領域に対応した横断型のリスキリング研修を拡充。管理職を対象としたマネジメントプログラムや、グローバルビジネス・ビジネスリテラシー教育も含め、全社的なスキル再開発を進めています。2024年からは学習費用の全額補助制度も開始し、自律的な学びと成長を後押ししています。

さらに、グループ全社の業務基幹システムの再設計も進行中で2021~2025年度には約38億円を投資してDXシステムを刷新。これにより、紙資料30万枚削減、経費精算業務3,000時間短縮など定量成果が出ており、そこで創出された時間と人材は戦略部門へ再配分される予定です。

「制度」ではなく「環境」。社員が挑戦できる舞台を整えることで、テレビ東京グループ全体の生産性と競争力を高めてまいります。

 

③ 社内環境整備の方針

㈱テレビ東京を中心に2024年4月から開始した「事業・業務棚卸しプロジェクト」では、全社的に業務の洗い出しとシステム最適化を並行して進め、組織横断で成長領域への人材再配置を可能とする業務改革を推進しています。特にグループ全社で従業員がAIを利活用することを推進しており、利便性の高い“Gemini”を導入、AIアンバサダーを配置し、月1回の研修を開催することで使用率50%(MAU)へ引き上げ、生産性の高い働き方を目指します。

さらに、会社や職務に対する社員の意識を把握するため「エンゲージメント調査」を継続的に実施しています。調査結果をもとに職場環境の改善を進めると共に、グループで働くすべての人を対象に、人権尊重とコンプライアンスの徹底をより推進しています。直近では、ハラスメント問題が起きやすいと指摘された業務上の会食に関して、ルールを整備しハラスメントの未然防止と社員が安心して活躍できる職場づくりを推進しています。

社員がやりがいを実感し持続的に活躍できるよう働く場所・時間に柔軟性を持たせた就業環境も整備しています。在宅勤務やサテライトオフィスは一時的な措置にとどまらず、フレックスタイム制などにより多様なライフスタイルに沿った働き方が可能になっています。

育児と仕事の両立支援としては、2歳半まで取得できる育児休業制度、小学校3年生まで利用できる時短制度を導入しているほか、看護休暇、不妊治療休暇なども整えています。

2023年度には「パートナーシップ制度」を導入しました。「同性パートナー」について法律上婚姻関係にある配偶者と同等に社内制度や福利厚生制度が利用できるようになりました。

 

④ 指標及び目標

テレビ東京グループの中核企業である㈱テレビ東京の女性社員比率は、2025年4月時点で31.4%、最近の新卒採用における男女比はおおむね同数となっています。女性管理職比率も年々上昇しており、2025年4月時点では21.5%、2025年度末には20%台半ばに引き上げることを目指し役職者候補の育成を支援しています。外国籍社員は13名となり、特にアニメ・国際事業・配信部門で採用を強化。2024年度の新卒・キャリア採用合計46名のうちキャリア比率は45.7%となりました。

採用については、2025-2027年度の3年間でグループ全体100名の純増を掲げ、特にグローバル、IPビジネス、AIを重点領域とする目標を設け採用を加速していきます。

また社員がいきいきと活躍するために心身の健康管理にも注力しています。㈱テレビ東京では年2回、健康診断を実施しています。労働安全衛生法では、企業に対して常時雇用する全従業員に年1回の健康診断を義務化していますが、受診率は2024年度まで3年連続で100%でした。加えて人間ドック、脳ドックの一部費用について会社の補助制度を設けています。ストレスチェックの受検率は、2024年度は79.5%で心の健康を保つために、心療医など専門家によるカウンセリングを受けられる体制も整えており、心身両面の健康維持に資する“予防型支援”を重視しています。また2023年にがん対策推進企業アクションに参加、2024年度からマンモグラフィー検査を定期健康診断に導入し社員のがん予防を支援しています。社員の健康維持は、企業の持続的成長を支える基盤と位置付けています。

今後も健康診断受診率100%を維持し、社員の心と体の健康を保つことで、社員のエンゲージメント、モチベーションアップにつなげていく方針です。