2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

ミライズ パワーグリッド JERA その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
ミライズ 2,962,268 62.9 117,079 37.3 4.0
パワーグリッド 963,200 20.4 47,582 15.2 4.9
JERA - - 67,349 21.5 -
その他 785,958 16.7 81,496 26.0 10.4

事業内容

3 【事業の内容】

当社グループは,当社,子会社75社及び関連会社87社(2025年3月31日現在)で構成され,電気やガスなどを供給するエネルギー事業をコア領域として,海外エネルギー事業,エネルギー事業に関連する建設業・製造業,不動産事業など,さまざまな事業を展開している。

当社は,2019年4月1日付で,燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により㈱JERAに承継させ,2020年4月1日付で,当社が営む小売電気事業等を中部電力ミライズ㈱に,一般送配電事業等を中部電力パワーグリッド㈱に,権利義務を承継させた。

この体制の下,「ミライズ」,「パワーグリッド」,「JERA」の3つを報告セグメントとしている。

 

[ミライズ]

電力・ガスの販売と各種サービスの提供

[パワーグリッド]

電力ネットワークサービスの提供

[JERA]

燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売

 

 

当社及び関係会社の事業を「事業系統図」として示すと以下のとおりである。


 

 

※1 ミライズエネチェンジ㈱は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。これにより,ミライズエネチェンジ㈱の子会社を新たに連結の範囲に含めている。

※2 中部精機㈱は,中部電力パワーグリッド㈱を承継会社とする吸収分割により,当社が保有する中部精機㈱株式を,中部電力パワーグリッド㈱に承継させたため,パワーグリッドセグメントへ変更している。

※3 合同会社開発8号は,株式の追加取得により,持分法の適用範囲から除外し,新たに連結の範囲に含めている。

※4  合同会社メガソーラーきそは,出資により,新たに連結の範囲に含めている。

※5  Chubu HKW-A LP 1 B.V.及びChubu HKW-A LP 2 B.V.は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。これにより,Ecowende C.V.を新たに持分法の適用範囲に含めている。また,Ecowende Beheer B.V.は.出資により,持分法の適用範囲に含めている。

※6 ESCON USA Ⅴ LLCは,出資により,新たに連結の範囲に含めている。

※7 BLACKSAND ALIA CE INTERNATIONAL CO-INVEST,L.P.は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。
※8 BLACKSAND KUILEI CE CO-INVEST,L.P.は,出資により,新たに連結の範囲に含めている。

※9 上越バイオマス発電合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※10 遠州フォレストエナジー合同会社は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※11 Japan NuScale Innovation,LLCは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※12 Tri-En TOENEC Co.,Ltdは,株式の追加取得により,新たに連結の範囲に含めている。

※13 ㈱トーエネックは,株式を一部売却したことにより,同社を連結の範囲から除外し,新たに持分法の適用範囲に含めている。これにより,以下の関係会社を連結の範囲及び持分法の適用範囲から除外している。

・連結子会社        :トーエネックサービス,統一能科建筑安装(上海)有限公司,

TOENEC PHILIPPINES INCORPORATED,TOENEC(THAILAND)CO.,LTD,

旭シンクロテック㈱,PT.ASAHI SYNCHROTECH INDONESIA,Tri-En TOENEC Co.,Ltd

・持分法適用関連会社   :PFI豊川宝飯斎場㈱,Hawee Mechanical and Electrical Joint Stock Company,

FUHBIC TOENEC Corporation

※14 ㈱グリーンアースは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※15 BLACKSAND ALIA PE INTERNATIONAL CO-INVEST,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※16 Alia Venture,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※17 第一環境㈱は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※18 ㈱釧路ウッドプロダクツは,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※19 BLACKSAND KUILEI PE CO-INVEST ,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※20 Kuilei Venture,L.P.は,出資により,新たに持分法の適用範囲に含めている。

※21  ㈱ジェネストは,㈱ジェネックスを存続会社とする吸収合併に伴う消滅により,連結の範囲から除外している。

※22 メディカルデータカード㈱は,株式を一部売却したことにより,連結の範囲から除外している。

業績

4 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

 

(1) 業績等の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は,一部に弱めの動きもみられたが,雇用・所得環境の改善などもあり,緩やかな景気回復が継続した。一方で,海外景気の減速などによる景気の下振れが懸念されている。

燃料価格については,足元では低位に推移しているが,地政学リスクをはじめとする国際的な政治情勢の変化などにより,ボラティリティ(変動性)・不確実性が高い状態が継続している。また,物価・労務単価・金利の上昇などにより投資環境の不透明性が増している。さらに,再生可能エネルギーの大量導入による電気の流れの複雑化などにより,適切な電力品質の維持が難しくなっている。

 

このような中,当連結会計年度の収支状況について,連結売上高は,3兆6,692億円となり,前連結会計年度と比べ588億円の増収となった。

連結経常損益は,2,764億円の利益となり,前連結会計年度と比べ2,328億円の減益となった。

 

(2) 生産,受注及び販売の状況

当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。

当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。

 

①  発電実績

種別

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

対前年増減率(%)

発電電力量

(百万kWh)

水力

9,263

6.1

原子力

新エネルギー

412

△4.5

合計

9,674

5.6

出水率(%)

104.9

 

(注) 1 発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。

2 出水率は,1993年度から2022年度までの30カ年平均に対する比である。

3 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

 

 

②  販売実績

ア 販売電力量及び料金収入

種別

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

 至  2025年3月31日)

対前年増減率(%)

販売電力量
(百万kWh)

低圧

31,274

3.0

高圧・特別高圧

76,590

4.3

合計

107,864

3.9

料金収入(百万円)

2,350,857

△2.6

 

(注) 1 販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。

2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

3 料金収入には「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及び「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス料金支援」により受領する補助金90,280百万円を含む。

 

〔参考1〕

グループ合計の販売電力量(百万kWh)

117,281

5.5

 

(注)  中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。

 

〔参考2〕

他社販売電力量(百万kWh)

21,487

82.7

 

(注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。

 

イ 中部エリアの需要電力量及び料金収入

種別

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

 至  2025年3月31日)

対前年増減率(%)

中部エリアの需要電力量(百万kWh)

124,507

1.5

料金収入(百万円)

640,209

2.2

 

(注) 1 中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。

2 料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。

 

(1) 財政状態の分析

①  資産

固定資産については,㈱JERA などの関係会社長期投資の増加により投資その他の資産が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ1,633億円増加し,5兆9,820億円となった。

流動資産については,㈱トーエネックが子会社から関連会社となったことなどから,前連結会計年度末と比べ1,471億円減少し,1兆1,427億円となった。

 

②  負債

有利子負債が増加したものの,㈱トーエネックが子会社から関連会社となったことなどから,負債合計は,前連結会計年度末と比べ1,472億円減少し,4兆2,662億円となった。

 

③  純資産

配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加などから,純資産合計は,前連結会計年度末と比べ1,634億円増加し,2兆8,585億円となった。

この結果,自己資本比率は,39.1%となった。

 

〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕

項   目

前連結会計年度末

(2024年3月31日)

当連結会計年度末

(2025年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)


 

固定資産

58,187

59,820

1,633

2.8

 電気事業固定資産

23,868

23,633

△235

△1.0

 その他の固定資産

4,874

4,017

△856

△17.6

 固定資産仮勘定

4,643

5,210

566

12.2

 投資その他の資産

22,813

24,953

2,139

9.4

流動資産

12,898

11,427

△1,471

△11.4

 現金及び預金

3,908

2,935

△972

△24.9

 受取手形、売掛金及び契約資産

3,539

3,119

△420

△11.9

 棚卸資産

2,705

3,050

345

12.8

    合 計

71,086

71,248

161

0.2


 

 

 

 

 

固定負債

31,156

30,092

△1,064

△3.4

 社債

7,280

6,760

△520

△7.1

 長期借入金

17,505

18,195

690

3.9

流動負債

12,963

12,550

△413

△3.2

 1年以内に期限到来の固定負債

2,825

3,328

503

17.8

 短期借入金

3,195

2,615

△579

△18.1

 支払手形及び買掛金

2,712

2,293

△419

△15.4

   負債合計

44,135

42,662

△1,472

△3.3

株主資本

22,569

24,005

1,436

6.4

 利益剰余金

17,584

19,096

1,511

8.6

その他の包括利益累計額

3,285

3,859

574

17.5

非支配株主持分

1,096

720

△376

△34.3

   純資産合計

26,950

28,585

1,634

6.1

    合 計

71,086

71,248

161

0.2

 

 

 

前連結会計年度末

(2024年3月31日)

当連結会計年度末

(2025年3月31日)

増 減

増減率(%)

自己資本比率(%)

36.4

39.1

2.7

7.4

有利子負債残高(億円)

30,791

30,778

△12

△0.0

 

(注) 1 億円未満切り捨て

2 有利子負債残高の増減の内訳は,次のとおりである。
 連結範囲の変更による影響 △311億円
  調達・返済による影響    299億円

 

 

(2) 経営成績の分析

中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,中部エリア内外における契約獲得及び気温影響による空調設備の稼動増などから,前連結会計年度と比べ3.9%増加し1,079億kWhとなった。

なお,中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の合計の販売電力量は,中部エリア外を中心とした契約獲得などから,前連結会計年度と比べ5.5%増加し1,173億kWhとなった。

 

〔販売電力量〕

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日
 至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

増 減

増減率(%)

低圧(億kWh)

304

313

9

3.0

高圧・特別高圧(億kWh)

734

766

32

4.3

合  計

1,038

1,079

41

3.9

 

(注) 1 販売電力量は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。

2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

 

〔参考1〕

グループ合計の販売電力量

(億kWh)

1,111

1,173

61

5.5

 

(注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。

 

〔参考2〕

他社販売電力量(億kWh)

118

215

97

82.7

 

(注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。

 

中部エリアの需要電力量は,気温影響による空調設備の稼動増などから,前連結会計年度と比べ1.5%増加し1,245億kWhとなった。

 

〔中部エリアの需要電力量〕

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日
 至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

増 減

増減率(%)

中部エリアの需要電力量(億kWh)

1,227

1,245

18

1.5

 

(注) 中部エリアの需要電力量は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。

 

収支の状況については,連結売上高は,燃料費調整額(燃調収入)等の減少はあったものの,販売電力量の増加などから,前連結会計年度と比べ1.6%増加し3兆6,692億円となった。

連結経常損益は,燃料価格等の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差益が減少したことや,中部電力ミライズにおける電源調達ポートフォリオの組み替えによる費用削減効果等の減少,中部電力パワーグリッドにおける需給バランス調整などを適切に実施するための調整力確保費用の増加などから,前連結会計年度と比べ2,328億円減少し2,764億円の利益となった。

なお,期ずれを除いた連結経常損益は,2,640億円程度の利益と,前連結会計年度と比べ1,070億円程度の減益となった。

また,子会社などにおける有価証券評価損64億円を特別損失に計上した。

この結果,親会社株主に帰属する当期純損益は,前連結会計年度と比べ2,010億円減少し2,020億円の利益となった。

 

 

当連結会計年度におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)及び取り組みは以下のとおりである。

なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。

 

[ミライズ]

〔業績〕

電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,燃調収入等の減少はあったものの,販売電力量の増加などから,前連結会計年度と比べ2.5%増加し2兆9,622億円となった。

経常損益は,電源調達ポートフォリオの組み替えによる費用削減効果等が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ867億円減少し1,170億円の利益となった。

〔当連結会計年度の取り組み〕

電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとのつながりをもとに,お客さまのくらしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスを提供し,新たな価値をお届けしている。

ご家庭のエネルギー最適化を提案し,快適で安心な生活の実現を支援するために「中部電力ミライズショップ」を2024年4月にオープンし,12月には,お客さま一人ひとりに便利でお得な毎日をお届けするためにご家庭向け銀行サービス「カテエネBANK」の提供を開始した。

脱炭素の実現に向けては,CO₂フリー電気をお届けする「ミライズGreenでんき」,電気を効率的にご利用いただくためのデマンドレスポンスサービス「NACHARGE」などを提供している。また,EV充電事業を拡大するため,新たに「ミライズエネチェンジ株式会社」を設立した。

経営環境は依然として不透明な状況が継続しているものの,燃料価格が安定的に推移していることや,中部電力グループ全体で取り組んでいる経営努力などを踏まえ,2023年度に引き続き,電気料金などの負担軽減策を実施した。具体的には,特別高圧・高圧とご家庭を中心とした低圧のお客さまの電気料金の割引に加え,ライフステージの変化を迎えたお客さまの暮らしを支えるためのキャンペーンなどを行った。2025年度においても,電気料金などの負担軽減策を実施するとともに,お客さまのニーズに応じた魅力的なサービスの開発・提供に努めていく。

 

[パワーグリッド]

〔業績〕

電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,再生可能エネルギー特別措置法にもとづく購入電力の卸電力取引市場への販売単価の上昇などから,前連結会計年度と比べ6.3%増加し9,632億円となった。

経常損益は,需要電力量の増加に伴う託送収益の増加はあったものの,需給バランス調整などを適切に実施するための調整力確保費用の増加などから,前連結会計年度と比べ480億円減少し475億円の利益となった。

〔当連結会計年度の取り組み〕

再生可能エネルギーの導入拡大や設備の高経年化が進む中において,日々の設備保守を確実に行うとともに,他の一般送配電事業者等との連携も含めた系統運用・需給調整により,中部エリアの安定供給に加え,全国の安定供給にも寄与してきた。

また,中部エリアにおける電力需給の中長期的な見通しが大きく変化する中においても,将来にわたり電力の安定供給と脱炭素を両立していくため,電力系統の次世代化に向けた取り組みを実施している。具体的には,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備の増強を進めるとともに,人口減少や省エネ等に起因する電力需要の減少や分散型電源の導入拡大といった地域ごとの実情に応じ,設備形成の最適化などを進めている。

さらに,GXやDXの進展等による電力需要増加に早期に対応するために,「中部地方のウェルカムゾーンマップ」を公開した。これを,特別高圧供給をご希望されるお客さまや,自治体等とのコミュニケーションツールとして活用するなど,より良い連系サービスの提供に努め,中部エリアの経済成長に貢献していく。

 

 

[JERA]

〔業績〕

燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に伴う経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差益が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ1,115億円減少し673億円の利益となった。なお,期ずれを除いたJERAによる連結経常損益への影響は470億円程度の利益となった。

〔当連結会計年度の取り組み〕

燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めつつ,安定的な燃料調達などエネルギーの安定供給確保における重要な役割も担っている。

燃料制約や需給ひっ迫の回避に向けては,最新鋭の火力発電設備へのリプレース,火力発電所における補修点検時期の調整やボイラ等重要設備の重点巡視等を通じ,安定的な供給力の確保に取り組むとともに,需給変化を迅速に捉え,JERAの子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達や,認定供給確保事業者としての戦略的余剰LNGの確保など,安定的な燃料供給に努めている。

また,エネルギーの安定供給を確保しながら,2050年時点で国内外の事業から排出されるCO₂を実質ゼロとするJERAゼロエミッション2050に向けた取り組みを進めている。

まずは発電時にCO₂を排出しない燃料であるアンモニア転換の技術確立と商用運転開始を目指し,碧南火力発電所4号機において,アンモニア20%転換の実証試験を実施した。引き続き,燃料アンモニアの製造や調達,輸送に向けた協業の検討を進めるなどサプライチェーン構築にも取り組んでいく。

また,再生可能エネルギーの拡大に向けて,JERA Nexを発足させるとともに,英国のbpとの間で,JERA Nex bpを設立して両社の洋上風力発電事業を統合することに基本合意した。

(注) JERAゼロエミッション2050は,脱炭素技術の着実な進展と経済合理性,政策との整合性を前提としている。JERAは,引き続き,自ら脱炭素技術の開発を進め,経済合理性の確保に向けて主体的に取り組んでいく。

 

(目標とする経営指標の達成状況等)

当社は,2024年4月,中期経営目標を「2025年度の連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」に引き上げており,当連結会計年度における期ずれ影響を除いた連結経常利益は2,640億円程度,ROIC(期ずれ除き)は3.8%となった。

 

 

〔連結収支比較表〕

項   目

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)




営業収益(売上高)

36,104

36,692

588

1.6

営業外収益

1,994

783

△1,211

△60.7

合   計

38,098

37,475

△623

△1.6




営業費用

32,670

34,271

1,601

4.9

営業外費用

335

439

104

31.2

合   計

33,005

34,711

1,705

5.2

(営業損益)

(3,433)

(2,420)

(△1,012)

(△29.5)

経常損益

5,092

2,764

△2,328

△45.7

渇水準備金

△1

5

6

特別利益

92

△92

特別損失

126

64

△62

△49.4

法人税等

948

603

△345

△36.4

非支配株主に帰属する当期純損益

80

70

△9

△12.0

親会社株主に帰属する当期純損益

4,031

2,020

△2,010

△49.9

 

(注) 1  特別利益:有価証券売却益(前連結会計年度)

2 特別損失:減損損失,独占禁止法関連損失(前連結会計年度),有価証券評価損(当連結会計年度)

3 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て)

 

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは,中部電力パワーグリッドにおける需給調整費用の支出の増加などから,前連結会計年度と比べ427億円減少し3,013億円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは,固定資産の支出が増加したことなどから,前連結会計年度と比べ34億円支出が増加し3,917億円の支出となった。

この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度と比べ461億円悪化し904億円の支出となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達による収入が減少したことなどから,前連結会計年度と比べ1,147億円減少し276億円の支出となった。

これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ1,260億円減少した。

 

資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。

 

〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕

項   目

前連結会計年度

(自 2023年4月1日
 至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日
 至 2025年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー ①

3,440

3,013

△427

△12.4

投資活動によるキャッシュ・フロー ②

△3,883

△3,917

△34

0.9

財務活動によるキャッシュ・フロー

870

△276

△1,147

 

 

フリー・キャッシュ・フロー  ①+②

△442

△904

△461

 

 

項   目

前連結会計年度末

(2024年3月31日)

当連結会計年度末

(2025年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)

現金及び現金同等物の期末残高

4,185

2,924

△1,260

△30.1

 

(注) 億円未満切り捨て

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりである。

当社グループは,固定資産の評価,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,企業結合などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。

また,連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち,重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1  報告セグメントの概要

当社グループの報告セグメントは,当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり,取締役会が,業績を評価するために,定期的に検討を行う対象となっているものである。

当社グループは,電気やガスなどを供給するエネルギー事業をコア領域として,海外エネルギー事業,エネルギー事業に関連する建設業・製造業,不動産事業など,さまざまな事業を展開している。

当社は,2019年4月1日付で,燃料受入・貯蔵・送ガス事業及び既存火力発電事業等を吸収分割により㈱JERAに承継させ,2020年4月1日付で,当社が営む小売電気事業等を中部電力ミライズ㈱に,一般送配電事業等を中部電力パワーグリッド㈱に,権利義務を承継させた。

この体制の下,「ミライズ」,「パワーグリッド」,「JERA」の3つを報告セグメントとしている。

 

[ミライズ]

電力・ガスの販売と各種サービスの提供

[パワーグリッド]

電力ネットワークサービスの提供

[JERA]

燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売

 

2  報告セグメントごとの売上高,利益又は損失,資産その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は,連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法と同一である。また,報告セグメントの利益は,経常利益ベースの数値である。なお,セグメント間の内部売上高又は振替高は,市場価格及び原価を基準に決定した価格に基づき算定している。

 

 

3  報告セグメントごとの売上高,利益又は損失,資産その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他
(注2)

合計

調整額
(注3)

連結財務諸表

計上額
(注4)

ミライズ

パワー

グリッド

JERA

(注1)

外部顧客への売上高

2,848,984

347,359

3,196,344

414,070

3,610,414

3,610,414

  顧客との契約から
  生じる収益

2,608,580

337,017

2,945,598

381,987

3,327,585

3,327,585

    電気事業営業収益

2,378,027

334,841

2,712,869

7,345

2,720,215

2,720,215

    その他事業営業収益

230,552

2,175

232,728

374,641

607,370

607,370

  その他の収益 (注5)

240,404

10,341

250,746

32,082

282,828

282,828

セグメント間の内部
売上高又は振替高

40,274

559,163

599,438

488,778

1,088,216

△1,088,216

2,889,259

906,522

3,795,782

902,848

4,698,630

△1,088,216

3,610,414

セグメント利益
 (経常損益)

203,836

95,633

178,851

478,321

43,472

521,794

△12,498

509,295

セグメント資産

655,482

2,332,564

1,374,021

4,362,068

4,921,228

9,283,296

△2,174,679

7,108,617

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

  減価償却費

9,730

106,484

116,215

59,066

175,281

△3,234

172,046

 受取利息

47

15

63

10,979

11,042

△10,823

219

 支払利息

703

9,631

10,334

22,879

33,214

△11,637

21,576

 持分法投資利益

1,055

229

178,851

180,136

8,581

188,718

27

188,745

持分法適用会社への
投資額

11,276

3,416

1,374,021

1,388,714

382,853

1,771,568

439

1,772,008

有形固定資産及び
無形固定資産の増加額

22,100

150,065

172,165

79,635

251,801

△8,115

243,686

 

(注) 1  「JERA」の売上高は,㈱JERAが持分法適用関連会社のため,計上されない。

2  「その他」の区分は,報告セグメントに含まれない事業セグメント等であり,当社の再生可能エネルギーカンパニー,事業創造部門,グローバル事業部門,原子力部門,管理間接部門,その他の関係会社等を含んでいる。

3  「調整額」は,以下のとおりである。

(1)セグメント利益の調整額△12,498百万円は,セグメント間取引消去である。

(2)セグメント資産の調整額△2,174,679百万円は,セグメント間取引消去である。

(3)減価償却費の調整額△3,234百万円は,セグメント間取引消去である。

(4)受取利息の調整額△10,823百万円は,セグメント間取引消去である。

(5)支払利息の調整額△11,637百万円は,セグメント間取引消去である。

(6)持分法投資利益の調整額27百万円は,セグメント間取引消去である。

(7)持分法適用会社への投資額の調整額439百万円は,セグメント間取引消去である。

(8)有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額△8,115百万円は,セグメント間取引消去である。

4  セグメント利益は,連結財務諸表の経常利益と調整を行っている。

5  「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(2022年10月28日閣議決定)及び「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(2023年11月2日閣議決定)に基づく「電気・ガス価格激変緩和対策事業」に参画し,電気料金の燃料費調整単価及び都市ガス料金の原料費調整額について,激変緩和措置を実施している。

これにより,電気料金及び都市ガス料金の値引きを行っており,その原資として受領する補助金240,252百万円を「その他の収益」に区分表示している。セグメントごとの内訳は,「ミライズ」が239,067百万円,「パワーグリッド」が985百万円,「その他」が199百万円である。

 

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他
(注2)

合計

調整額
(注3)

連結財務諸表

計上額
(注4)

ミライズ

パワー

グリッド

JERA

(注1)

外部顧客への売上高

2,911,129

410,007

3,321,137

348,097

3,669,234

3,669,234

  顧客との契約から
  生じる収益

2,815,911

400,821

3,216,732

316,486

3,533,219

3,533,219

    電気事業営業収益

2,574,810

396,340

2,971,151

37,729

3,008,880

3,008,880

    その他事業営業収益

241,101

4,480

245,581

278,757

524,339

524,339

  その他の収益 (注5)

95,217

9,186

104,404

31,610

136,014

136,014

セグメント間の内部
売上高又は振替高

51,139

553,192

604,332

437,861

1,042,193

△1,042,193

2,962,268

963,200

3,925,469

785,958

4,711,427

△1,042,193

3,669,234

セグメント利益
 (経常損益)

117,079

47,582

67,349

232,011

81,496

313,508

△37,107

276,400

セグメント資産

774,273

2,384,768

1,488,815

4,647,857

4,775,266

9,423,124

△2,298,311

7,124,812

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

  減価償却費

10,516

108,174

118,690

54,940

173,631

△2,749

170,881

 受取利息

183

34

217

12,856

13,074

△12,501

572

 支払利息

742

10,817

11,559

25,057

36,617

△12,757

23,859

 持分法投資利益

3,372

204

67,349

70,926

△9,174

61,752

△614

61,137

持分法適用会社への
投資額

14,631

3,621

1,488,815

1,507,068

488,134

1,995,203

6,530

2,001,733

有形固定資産及び
無形固定資産の増加額

31,077

165,728

196,806

82,945

279,751

△7,370

272,381

 

(注) 1  「JERA」の売上高は,㈱JERAが持分法適用関連会社のため,計上されない。

2  「その他」の区分は,報告セグメントに含まれない事業セグメント等であり,当社の再生可能エネルギーカンパニー,事業創造部門,グローバル事業部門,原子力部門,管理間接部門,その他の関係会社等を含んでいる。

3  「調整額」は,以下のとおりである。

(1)セグメント利益の調整額△37,107百万円は,セグメント間取引消去である。

(2)セグメント資産の調整額△2,298,311百万円は,セグメント間取引消去である。

(3)減価償却費の調整額△2,749百万円は,セグメント間取引消去である。

(4)受取利息の調整額△12,501百万円は,セグメント間取引消去である。

(5)支払利息の調整額△12,757百万円は,セグメント間取引消去である。

(6)持分法投資利益の調整額△614百万円は,セグメント間取引消去である。

(7)持分法適用会社への投資額の調整額6,530百万円は,セグメント間取引消去である。

(8)有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額△7,370百万円は,セグメント間取引消去である。

4  セグメント利益は,連結財務諸表の経常利益と調整を行っている。

5  「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(2023年11月2日閣議決定)及び「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(2024年11月22日閣議決定)に基づく「電気・ガス料金支援」に参画し,電気料金の燃料費調整単価及び都市ガス料金の原料費調整額について,料金支援を実施している。

これにより,電気料金及び都市ガス料金の値引きを行っており,その原資として受領する補助金93,369百万円を「その他の収益」に区分表示している。セグメントごとの内訳は,「ミライズ」が93,326百万円,「パワーグリッド」が26百万円,「その他」が16百万円である。

 

 

【関連情報】

1  製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため,記載を省略している。

 

2  地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため,記載を省略している。

(2) 有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため,記載を省略している。

 

3  主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち,連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため,記載はない。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

全社・消去

合計

ミライズ

パワー

グリッド

JERA

減損損失

5,637

701

6,338

6,284

12,622

 

(注) 減損損失の内容は,連結財務諸表の「注記事項 (連結損益計算書関係) ※5 減損損失」に記載のとおりである。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

重要性が乏しいため,記載を省略している。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

重要性が乏しいため,記載を省略している。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

該当事項なし

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

該当事項なし