2024年6月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 「事業等のリスク」には、当社グループの財政状態、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

 将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが入手可能な情報等に基づいて判断したものです。

 

① 省エネルギー支援サービス事業について

ⅰ パフォーマンス契約であること

 省エネルギー支援サービス事業は、対象施設全体のエネルギー使用状況に関する調査、診断、コンサルティングから施工、維持管理、その後の効果の測定・検証の提供までを一貫して行い、実施した省エネルギー対策について、一定の省エネルギー効果を保証するものです。

 省エネルギー支援サービス事業の一部の契約は、一定のエネルギー削減効果をESCO事業者が保証するパフォーマンス契約を包含しており、一定の省エネルギー効果が実現できない場合には、ESCO事業者は顧客企業に対してパフォーマンス契約に基づく省エネルギー保証値を補償するリスクを負っております。

 また、ESCO事業者が顧客に代わり省エネルギー設備の投資を行う場合、顧客信用力に起因する設備投資に係る回収リスクを潜在的に内包しております。当社グループにおいては、小型案件の一部例外を除いて、金融機関との間で当該回収リスクは金融機関が負うノン・リコース型ファイナンス契約を組成することにより、顧客の倒産リスクを回避しております。

 

ⅱ 燃料価格の変動について

 省エネルギー支援サービス事業の一つのサービス・メニューとしてオンサイト発電サービスがあります。本サービスは、ESCO事業者が顧客に代わり自家発電設備への投資を行い、自家発電設備の運転・維持管理を代行し、顧客に電力等を供給するものです。

 本サービス実施のためには、重油・LNG等の発電用燃料を当社グループが調達する必要があります。重油・LNG等の燃料価格は、世界的な原油需要や産油国の動向により変動しますが、燃料価格の高止まり又は著しい高騰等の事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅲ 設備の安定稼動について

 当社グループが保有するオンサイト発電設備(自家発電代行サービス用設備)等の運営においては、設備が安定稼動するようにメーカー及びメンテナンス会社と十二分に協議を重ね、保守・点検を実施し、運営を行っております。しかしながら、当社グループの想定外の理由に伴い、計画した稼動を行うことができず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

ⅳ 個別事業の中途清算等について

 省エネルギー支援サービス事業の契約形態のうちシェアード・セイビングス契約では設備所有を当社が担っており、顧客とのエネルギーサービス契約は契約終了時に更新又は設備の購入の選択権を顧客が有しております。当事業スキームでは、原則的に設備は法定耐用年数に相当する期間利用することを前提としておりますが、何らかの事情により事業を中止及び契約期間中又は終了時に清算することとなり、顧客が設備購入を選択した場合、購入額と設備の簿価又は設備に係る債務残高との差異、あるいはその他債務の負担等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② グリーンエナジー事業(再生可能エネルギーによる発電事業)について

 当社グループの運営する発電所は、主に2012年7月に施行されたFITに基づく発電事業を営んでおります。

この制度を背景として、現在、木質バイオマス発電所を大分県日田市及び豊後大野市、栃木県下都賀郡、和歌山県新宮市で操業しております。FITの電力買取条件については、調達価格等算定委員会にて調達買取価格等について検討がなされ年度ごとに見直しが行われます。同制度にて発電設備認定を受け決定された調達期間(日田発電所は2013年3月認定を起点として約14年、豊後大野発電所は2016年7月送電開始を起点として20年、壬生発電所は2016年度FIT認定、送電開始を起点として20年、新宮発電所は2018年度FIT認定、送電開始を起点として20年)及び調達買取価格は調達期間中に変更されることはありませんが、新設発電所の調達買取価格は、同制度の適用決定時期により当初計画された事業計画の価格と乖離する可能性があります。その場合、当社グル―プの事業計画に影響を及ぼす可能性があります。また、政策の転換等により既存の発電所が同制度の適用を受けられなくなった場合、同じく当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅰ 木質バイオマス燃料の確保について

 木質バイオマス発電所の運営においては、安定的な燃料を確保することが重要です。当社グループが燃料として使用する木質バイオマス燃料は、伐採木材、製材所や木工加工メーカー等から排出される廃材、建築解体現場から排出される建築廃材等を粉砕加工したものです。当社グループは、木質バイオマス燃料製造会社(以下、「燃料製造会社」)から木質バイオマス燃料を購入いたしますが、自然災害等の不測の事態により燃料製造会社から木質バイオマス燃料の供給が中断する場合や燃料価格の高止まり又は著しい高騰等の事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅱ 木質バイオマス燃料の品質の確保について

 木質バイオマス発電所の運営においては、安定的な燃料量を確保することと共に、その品質の安定化が重要です。当社グループは、調達する木質バイオマス燃料の品質に関し燃料製造会社と契約書や合意書を取り交わしておりますが、想定された規格に満たない品質の燃料、もしくは燃料に異物が混入した場合には、発電設備に損傷を与える可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ⅲ 設備の安定稼動について

 木質バイオマス発電所の運営においては、設備が安定稼動するようにメーカー及びメンテナンス会社と十二分に協議を重ね、保守・点検を実施し、運営を行っております。しかしながら当社グループの想定外の事態が発生し設備が損傷した場合、計画した発電を行うことができず当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

ⅳ FITの木質バイオマス発電事業の売上総利益率について

 FITの木質バイオマス発電では、未利用木材、一般木材、リサイクル木材の混合割合により電力販売単価が変動します。電力販売単価の計算は、これらの木質チップの熱価量、水分量、購入量等により定められた方法によりバイオマス比率を計算し、電力量の加重平均により求めます。これらの要素は燃料が自然由来のものであるため常に変動することから、ある特定の期間の売上総利益率が変動する可能性があります。

 

ⅴ FIPの木質バイオマス発電事業について

 当社グループのエフオン白河発電所は、2023年1月にFIPに移行いたしました。(FIP有効期間:白河発電所は2013年3月認定を起点として約14年)、FIPの売電価格は一般社団法人日本卸電力取引所の取引価格を参照してプレミアム価格が決定されるため、同取引価格が大きく変動した場合プレミアム価格も変動し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 電力小売事業

 電力小売事業は、「電気事業法」に基づく事業であり、同法やその他電力小売事業に関連する法条例の改正により電力の販売や購入に関する制度が改定され事業基盤の構造に重大な変化が生じた場合、また、電力取引の元となる一般社団法人日本卸電力取引所の取引価格が大きく変動した場合のほか、一般送配電事業者との送受電取引において結果として計画値と大幅に異なる電力量の取引が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害及び不測の事故等について

 当社グループが保有するオンサイト発電設備(自家発電代行サービス用設備)及び木質バイオマス発電所、さらには推進中の新設木質バイオマス発電所について、自然災害、人為的なミス、テロ、燃料供給の中断又はその他の不測の事態により、事業運営や事業計画に支障を来たし、ひいては顧客企業、周辺地域に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの所有する山林事業施業地について、地滑り、山火事、その他の災害により林産物が毀損する事態が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 国のエネルギー政策の転換又は国際社会情勢の変化について

 現在、我が国はエネルギー政策基本法に基づき省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入を進めております。また国際社会においては、気候変動に関する国際連合枠組条約に基づき温室効果ガスの削減が取り組まれております。同条約の京都議定書は、これをロシアが正式に批准したことにより、2005年2月16日に発効し、国際社会における温暖化ガス削減に向けた実効性のある取組みが確立されることになりました。また、2015年12月には第21回気候変動枠組条約締約国会議がパリで開催され、新たに温室効果ガス排出量削減の目標値が定められるとともに、その目標を達成するための国内対策の義務を負うこととなりました。

 我が国のエネルギー政策は、FITや省エネ法の改正、電力システム改革等により今後様々な分野で変革が進行すると予想されます。これらの基本方針や施策の変更により、当社グループの事業運営や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 法的規制について

 当社グループの事業の一部は、「電気事業法」による規制を受けており、本法規を遵守する義務があります。また、経済産業省資源エネルギー庁が実施する新エネルギー事業者支援対象補助金や独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施するエネルギー使用合理化事業者支援事業補助金等の交付を受けております。したがって、国の補助金の適正運用を定めた「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の適用を受けます。

 当社グループが保有するオンサイト発電設備においては、廃油(エンジンオイル)の処理が必要であり、当社グループは排出者として「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を遵守する義務があります。当社グループがこれら法律及び規制を遵守できなかった場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 現在新株予約権を付与しておりませんが、今後新株予約権が付与され行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 

⑧ 大株主の状況について

 当社の筆頭株主である日本テクノ㈱は2024年6月30日現在、当社の発行済株式総数の32.58%を所有しております。このことから同社による当社株主総会での議決権行使が、当社の事業運営等のガバナンスに影響を与える可能性があります。しかしながら、今後の新たな省エネルギー及び再生可能エネルギーに関するビジネス展開を拡充していく点で、同社との協調関係を構築することは当社の企業価値向上に資するものであり、株主の皆様の利益向上にもつながるものと考えております。なお、当社の事業活動において、同社からの制約は無く、事業運営上の独立性は確保されていると認識しております。

 

⑨ 有利子負債依存度について

 当社グループは、運転資金、設備投資資金について金融機関及びリース会社から調達しております。このため総資産に占める有利子負債(借入金)の割合が2024年6月30日現在で52.8%と高い水準にあります。今後、有利子負債依存度が高い状態で金利が上昇した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ シンジケートローンについて

 当社の子会社の一部は、発電所建設資金の調達を行うためシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触し、当該債務の一括返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 感染症の拡大について

 現段階で治療法の確立していない感染症等に当社グループの役員、従業員及び子会社従業員が罹患した場合、さらなる感染症拡大防止措置として罹患者と接触のあった者の隔離のため、事業運営に支障を来たし当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、そのような感染症等が当社グループの事業所地域に広範囲に広がった場合、当社グループの各事業所が必要とする部材、燃料等の物流が停滞する、ないし行政の命令、要請等による業務の制限等により事業運営に支障を来たし当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ その他の偶発的なリスクについて

 当社グループは、得意先の信用不安等のリスクに備えていますが、その他の要因も含め偶発的な事象に起因する取引先の事業環境等の変化により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しております。当事業年度は、1株につき8円の配当を実施いたします。次期以降につきましては、事業年度毎の利益の状況、また、現在建設中若しくは計画中の新たな木質バイオマス発電所への設備投資等を考慮しつつ安定した配当を継続できるよう努力し、株主の皆様への利益還元に努めてまいる所存です。

 なお、内部留保資金につきましては、企業体質の強化及び将来の事業展開のための財源として利用してまいりたいと考えております。

 また、当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議により定める旨定款に定めております。これは、剰余金の配当等を取締役会の権限とすることにより、株主への機動的な利益還元を行うことを目的とするものです。

 なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年8月20日

173

8

取締役会決議