事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 再生可能エネルギー発電等事業 | 86,429 | 93.9 | - | - | - |
| 開発・運営事業 | 5,584 | 6.1 | - | - | - |
3 【事業の内容】
当社グループは「グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムを構築し枢要な社会的課題を解決する」という経営理念のもと、再生可能エネルギー発電所等を開発し、所有・運営しています。再生可能エネルギーとは、エネルギー源として永続的に利用可能な太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等の総称です。当社グループは、太陽光発電、バイオマス発電、陸上風力発電、地熱発電等のマルチ電源の発電事業を開発し運営することを事業の目的としています。そして、上記に留まらず、蓄電池、アンモニア・水素等を含む新燃料等、グリーン・トランスフォーメーション事業(以下、「GX事業」という)を推進しています。
当社グループは、(Ⅰ)長期にわたる再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の所有と当該発電所による売電及び蓄電所による調整力・容量確保価値の販売(「再生可能エネルギー発電等事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所及び蓄電所の開発と運転開始済み発電所及び蓄電所の運営管理(「開発・運営事業」)を主な事業として取り組んでいます。当社グループは、当社に加え、運転開始済みの発電等事業を運営又は管理する連結子会社21社、持分法適用会社5社を中心に構成されています。
当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
(1) 概要
(再生可能エネルギー業界の概観)
再生可能エネルギーの導入は世界的なエネルギー政策の潮流であり、加えて地政学リスクの増大を背景としたエネルギー安全保障への意識の高まりにより、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。近年のCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)においても、世界全体の再生可能エネルギー及び蓄電池の大幅な拡大が継続して誓約される等、脱炭素化に向けた動きが活発化しています。一方で、米国においては、2025年1月の政権交代に伴い、自国内のエネルギー安全保障を最優先した化石燃料の増産や、前政権が進めたクリーンエネルギー補助金の見直しを行う等の動向も見られます。
日本国内においても、日本政府が2025年2月に閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」において、2040年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギー比率を40~50%程度まで高める目標を設定する等、再生可能エネルギーの導入に向けた動きが加速しています。また、近年のAIの急速な普及に伴うデータセンターや半導体工場の新増設を背景に電力需要の増加が見込まれており、膨大な電力を消費するデータセンター等の稼働にあたっては、CO2を排出しない電源の確保が不可欠となっています。一方で、日本国内においては、一部の不適切な開発事例を背景とした大規模太陽光発電に対する規制強化の動きが進められています。また、系統用蓄電池の領域においても、事業実現確度の高い案件を優先的に導入するための新制度の適用や、重要インフラの安全性を担保するサイバーセキュリティ認証(JC-STAR等)の確保が新たに求められる等、規制強化が進んでいます。ただし、これら一連の動きは、国内インフラとしてより適切で安全な開発を促進するものであり、今後、事業者に対しては、より一層適切な開発が求められるようになります。また、市場の健全化が進むことにより、中長期的には市場のより一層の成長に寄与する見通しです。
加えて、日本国内のエネルギー自給率は、15.3%と極めて低い水準にあり、一次エネルギーの約8割を海外からの化石燃料に依存することによる国富の流出が大きな課題となっています。現在、この自給率の約7割(11.3%)を支えているのが再生可能エネルギーです。昨今の緊迫する中東情勢等の地政学リスクや原油価格の高騰等を背景に、エネルギー安全保障及び国富流出の観点からも、有事に左右されず純国産エネルギーとして機能する再生可能エネルギーの導入拡大はますます重要性を増しています。
国内の市場・制度環境としては、固定価格買取制度(FIT制度)(*1)や2022年度から導入されたFeed in Premium制度(FIP制度)(*2)による買い取りが継続する中、RE100(*3)に賛同する企業等を中心に、電力需要家が発電事業者と直接電力契約を締結するコーポレートPPA(*4)の実例も増加しています。さらに、長期脱炭素電源オークション(*5)の開始や需給調整市場(*7)での取引開始、GX実行会議の下で改定された「分野別投資戦略」において、2030年の系統用蓄電池の導入目標(累計14.1~23.8GWh)が設定される等、政府による各種支援制度の整備が進められています。加えて、国際的な温室効果ガス排出量算定基準であるGHGプロトコルの改定議論が進んでいます。足元では詳細ルールの確定を待つ姿勢があるものの、発電と消費の時間的・物理的な一致等が厳格化される方向にあることから、中長期的にはベースロード電源であるバイオマス発電や蓄電池併設型の再生可能エネルギーの重要性が一層高まると予想されます。これらの政府の支援姿勢の継続及び電力需要家のニーズの高まりにより、国内再生可能エネルギー及び系統用蓄電池市場はより一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT制度):
「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」(再エネ特措法)に基づき、買取義務者が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で一定期間買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その買取価格及び買取期間等は経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会や関係省庁の意見に基づき経済産業大臣が決定します。
2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、出力抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。出力抑制ルールに基づき、一般送配電事業者は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
(*2)Feed in Premium制度(FIP制度):
再エネ特措法に基づき、再生可能エネルギー発電事業者が卸電力取引市場や相対取引で自ら売電し、市場価格を踏まえて算定される一定のプレミアムを受け取る制度です。電力市場への統合を促しながら、投資インセンティブの確保と国民負担の抑制を両立していくことを狙いとしています。
(*3)RE100:
「Renewable Electricity 100%」の略称で、企業が事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブのことを指しています。
(*4)コーポレートPPA:
企業等の電力需要家が発電事業者から再生可能エネルギーの電力を長期に購入する契約のことを指しています。PPAは電力購入契約(Power Purchase Agreement)の略称です。
(*5)長期脱炭素電源オークション
国全体で必要となる脱炭素電源の容量確保のため、再エネや蓄電池等の新規電源投資(リプレース、改修も含む)の促進を目的に、2023年度より容量市場(*6)の一部として開設された入札制度です。容量提供事業者の長期的な収入予見性を確保するため、電力広域的運営推進機関より、原則20年間、設備容量に落札金額を乗じた容量確保契約金額が長期固定収入(ただし、物価変動分が制度適用期間の年度ごとに毎年補正される)として保証されます。
(*6)容量市場
4年後に必要な電力供給力をあらかじめ確保するため、電気の「量」ではなく「発電できる能力(容量確保価値)」を取引する市場です。将来の供給不足を防ぐとともに、多額の投資を要する発電所の維持・新設に向けた投資回収の予見性を高める役割を担っています。
(*7)需給調整市場
一般送配電事業者が電力系統の周波数調整や需給バランスの維持に必要な「調整力」を調達するための市場です。これまで電力会社が個別に確保していた調整力を広域的かつ市場原理に基づいて取引することで、再生可能エネルギーの導入拡大への対応とコスト効率化の両立を目的とし、2021年4月より三次調整力の取引が開始され、2024年4月からは一次調整力を含む全ての商品区分での取引が開始されました。
(国内外における再生可能エネルギー発電及び蓄電池業界における主な事業者群及び当社グループの事業領域)
当社グループが事業を展開する再生可能エネルギー発電及び蓄電池業界は、①各種メーカーによる発電等設備(太陽光パネル、タービン、ボイラー、風車、蓄電池等)の製造、②開発事業者、AM事業者(*8)及びEPC事業者(*9)や施工事業者による発電所又は蓄電所の建設、③運転開始済み発電所による発電又は蓄電所による調整力・容量確保価値の提供、AM事業者やO&M事業者(*10)による当該発電所の運営・管理・保守、並びに特定卸供給事業者(*11)による電力の需給調整運用業務、そして④一般送配電事業者等(*12)のオフテイカー(*13)による電力小売又は電力需要家の各分野に大別されます。
上記①及び②における事業者は発電所又は蓄電所の建設工事に際して一般的に一括して収益を享受します。一方、③及び④における事業者は発電所又は蓄電所の長期にわたる発電及び売電、調整力・容量確保価値の提供に関与するため、一般的に複数年にわたり安定的に収益を享受します。
当社グループが手掛ける事業は(Ⅰ)長期にわたる再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の所有と当該発電所による売電及び蓄電所による調整力・容量確保価値の提供(「再生可能エネルギー発電等事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所及び蓄電所の開発と運転開始済み発電所及び蓄電所の運営管理(「開発・運営事業」)であり、上記バリューチェーンにおいて下記の図のとおり位置づけられます。
(*8)AM事業者:
発電所・蓄電所の建設や運営においてアセットマネジメント(管理業務)を請け負う事業者のことを指しています。
(*9)EPC事業者:
発電所・蓄電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者のことを指しています。
(*10)O&M事業者:
発電所・蓄電所の運営において、Operation(運転)及びMaintenance(維持)を請け負う事業者のことを指しています。
(*11)特定卸供給事業者:
再生可能エネルギー発電所や蓄電所、需要側のリソースを統合して、市場動向や電源動向等、様々な情報を踏まえながらリソース運用を行う事業者のことを指します。蓄電事業者が蓄電池の運用を特定卸供給事業者に委託する場合や蓄電事業者が自ら特定卸供給事業者としての業務を担う場合があります。
(*12)一般送配電事業者等
電気事業法第2条第17項における一般送配電事業者又は小売電気事業者を指します。本書では主として電力需要家又は卸売事業者に対して電力販売を行う事業者全般を意味しています。
(*13)オフテイカー
事業会社が生み出すサービス(当社グループのSPCの場合は電力や蓄電所の利用権)を購入する者(引き取り手)のことを指しています。
(国内外における当社グループの事業領域)
(2) 再生可能エネルギー発電等事業
「再生可能エネルギー発電等事業」は、当社グループが開発した再生可能エネルギー発電所及び系統用蓄電所を長期にわたり所有・運営し、収益を得る事業です。本事業における収益構造は、主に以下のとおりです。
再生可能エネルギー発電所においては、発電した電力及び当該電力由来の環境価値を、FIT制度、FIP制度、又は売電契約等を通じてオフテイカーに販売し、収益として計上します。これらは制度や契約等に基づき所定の買取期間にわたり売電価格が保証されるため、長期的に安定した収益を得ることができます。
一方、系統用蓄電所においては、調整力・容量確保価値の販売を通じて収益を獲得します。なお、収益化にあたっては、当社の最適運用知見を活かし、需給調整市場等での取引を通じて収益の最大化を図る市場運用を軸としています。これに加え、オフテイク契約を通じた利用権付与に対する対価や、長期脱炭素電源オークションを通じた長期の電力供給能力の維持に対する対価を、収益として計上していく見込みです。このように、市場運用と、制度や契約に基づく長期的な安定収益を組み合わせることで、持続的な収益の最大化を図る事業モデルとしています。
現在、当社グループは、2026年3月31日時点において、大型太陽光発電に関しては連結子会社12社及びその他の出資先1社、小規模分散型太陽光発電に関しては連結子会社2社、バイオマス発電に関しては連結子会社7社、陸上風力発電に関しては持分法適用会社3社及びその他の出資先1社、地熱発電に関しては持分法適用会社1社、蓄電所に関しては持分法適用会社1社にて発電・売電、環境価値及び調整力・容量確保価値の販売を行っています。現在運転中の発電所及び蓄電所の概要は以下のとおりです。
(運転中の太陽光発電所一覧)(2026年3月31日時点)
(注) 1.出力はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記です。
2.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3. 当社は、2022年4月に四日市ソーラー匿名組合事業の出資持分の一部を譲渡し連結対象及び持分法適用対象外としました。
4. 「固定価格」は、長期の契約期間においてあらかじめ設定された価格を指します。ただし、契約内容によっては、期間中にわたり常に一定の価格ではなく、年次等により価格が異なるものが含まれます。
(運転中のバイオマス発電所一覧)(2026年3月31日時点)
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
2.買取価格は、固定PPA以外においては、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3.バイオマス発電事業のFIT制度に基づき適用される買取価格(消費税抜)は、間伐材等由来の木質バイオマスが32円/kWh、一般木質等バイオマスが24円/kWhです。
4.当社は当社連結子会社である千秋ホールディングス株式会社(以下、「千秋HD」という)を通じてユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(以下、「URE」という。)に出資しています。当社の千秋HDに対する持株比率(51.0%)に千秋HDのUREに対する持株比率(69.2%)を乗じて計算される、当社のUREに対する実質持株比率は35.3%です。
5.徳島津田バイオマス発電所合同会社の配当比率は、70.4%です。
6.合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの配当比率は、62.93%です。
7. 合同会社御前崎港バイオマスエナジーの配当比率は、75.0%です。
8. 「固定価格」は、長期の契約期間においてあらかじめ設定された価格を指します。ただし、契約内容によっては、期間中にわたり常に一定の価格ではなく、年次等により価格が異なるものが含まれます。
(運転中の陸上風力発電所一覧)(2026年3月31日時点)
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
2. 「固定価格」は、長期の契約期間においてあらかじめ設定された価格を指します。ただし、契約内容によっては、期間中にわたり常に一定の価格ではなく、年次等により価格が異なるものが含まれます。
(運転中の地熱発電所一覧)(2026年3月31日時点)
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
(運転中の蓄電所一覧)(2026年3月31日時点)
(3) 開発・運営事業
「開発・運営事業」は、デベロッパーとして、新しい発電所や蓄電所等の企画・開発及び建設管理を行い、その後の運営・管理も行う事業です。各再生可能エネルギー発電所及び蓄電所は前述の「再生可能エネルギー発電等事業」を行う当社の連結子会社又は関連会社により所有され、「開発・運営事業」を行う当社及び当社の連結子会社により開発・運営・管理されています。
当社グループの一般的な再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発・運営スキームは以下の例示のとおりです。当社はプロジェクトを遂行するSPC(*14)を設立し、資金的な制約の中で複数のプロジェクトへの投資を実現させるため、共同事業者による出資を募ります。当該SPCは事業者として自治体許認可の取得、地権者と土地賃借・売買契約の締結、金融機関からの資金調達及びEPC事業者との工事契約締結(EPC契約)(*15)等を行い、再生可能エネルギー発電所及び蓄電所を建設します。再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の運転開始後、発電所SPCにおいては発電した電気及び環境価値をオフテイカーに販売し、蓄電所SPCにおいては需給調整市場、容量市場及び卸電力市場を通じて調整力、容量確保価値及び電力を販売します。売電、環境価値の販売及び調整力・容量確保価値の販売から得たキャッシュ・フローを原資として金融機関からの借入を返済し、余剰キャッシュを当社及び共同事業者に分配します。また、当社が開発を初期からリードする事業については、原則として、SPCの設立当初は、資金的な制約により当社からSPCへの出資持分比率を持分法適用水準とし、SPCが再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の運転開始後の売電及び環境価値の販売による安定したキャッシュ・フローを計上できる段階から、順次出資持分比率を高め、SPCを連結子会社化する方針を有しています。発電所の保守・運営業務に関しては、太陽光発電及び陸上風力発電の場合はO&M事業者が行い、また、バイオマス発電の場合はSPC又はO&M事業者が行います。また、蓄電所の保守・運営業務に関しては、SPC又はO&M事業者が行い、需給調整業務等の運用管理は当社又は特定卸供給事業者が行います。SPCの運営管理業務に関しては当社又は当社グループのAM事業者が行います。
(再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発・運営スキームの例示)
(*14)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所及び蓄電所毎に共同事業者が異なること、また、プロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所及び蓄電所の立ち上げに応じてSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*15)EPC契約:
発電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者との契約を指します。
「開発・運営事業」は、発電所及び蓄電所の建設・運営管理に係る報酬(運営管理報酬(*16))、配当・匿名組合分配益(*17)、当社が主導又は参画して開発する再生可能エネルギー発電所又は蓄電所の開発成功時に発電所又は蓄電所を所有するSPC又は共同スポンサーから支払われる報酬(事業開発報酬(*18))を収益として計上しています。年間の事業開発報酬の総額は新規発電所又は蓄電所の開発状況により変化します。そのため「開発・運営事業」の業績は、「再生可能エネルギー発電等事業」と異なり大きく変動する傾向にあります。
(*16)運営管理報酬:
発電所・蓄電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等に代表される業務に対して、発電所・蓄電所の建設期間及び売電期間にわたり支払われる報酬です。なお、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*17)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電等事業」に属するSPCが株式会社ないし合同会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、また、これはセグメント間取引として「開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また、「再生可能エネルギー発電等事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「開発・運営事業」の収益に反映されます。
なお、これら「開発・運営事業」の収益に反映されたSPCからの配当金及び分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*18)事業開発報酬:
再生可能エネルギー発電所又は蓄電所に係る事業用地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等のマイルストーンの達成をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模に応じて支払われる報酬です。なお、SPCから受領する事業開発報酬のうち、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する金額については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(当社グループのセグメント間取引の例示)
(事業開発から運転開始までの流れの概要と当社の役割)
再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発から運転までの流れは、新たな事業候補の「用地開拓」、事業用地の確保・発電所及び蓄電所の設計・許認可取得等の「開発」、「電力需要家開拓」、「オフテイカー協議」、出資・融資両面での「資金調達」、発電所及び蓄電所の「工事」及び「運転・所有」に大別されます。当社グループは、この再生可能エネルギー発電所及び蓄電所開発の一連のプロセスにおいて「用地開拓」から「工事」までにおける、事業設計やエンジニアリング業務、オフテイカーとの協議、協力業者や資金調達先の選定・交渉やプロセス全般の指揮・監督といった上流領域を内製化しています。次の図は再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発における一般的なプロセスを図示しています。
(再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発から運転開始までの流れの概要と当社の役割)
(注) 上記は開発プロセスの代表的な例示であり、国・地域、電源種、各案件の個別要因等によって異なる場合があります。蓄電事業の場合、蓄電所の運用委託先協議を含みます。
「用地開拓」段階において、当社は事業候補の事業性評価を行い、有望事業を選別します。主な評価事項は地権者・地域関係者から同意取得の蓋然性、許認可取得の蓋然性、当社の開発基準に見合った収益性の確保、事業リスクの評価及び資金調達の蓋然性等です。当社は、当社の保有する既存発電所が存在する地域の関係者も含めた環境関連の人的・情報ネットワーク、金融機関との関係等を活用して新規事業開拓に取り組んでいます。また、電力需要家の開拓にも取り組んでいます。
一定の事業性が認められた事業については、「開発」段階に進み、より詳細な検証を行うと同時に地権者協議、設計・エンジニアリング、電力会社協議、燃料の確保及び許認可取得を進めていきます。なお、風力、地熱及び水力事業においては当該検証と同時に資源量調査を行います。風力事業においては、風況観測機器を設置して一定期間にわたる風の状況を分析することにより事業性を評価します。地熱事業においては、地表調査及び掘削調査により資源量を推計して事業性を評価します。水力事業においては、流況調査により資源量を推計して事業性を評価します。また、当該検証において事業性がより高まったと判断し、かつ法令や条例により環境アセスメントの実施が定められる場合には、環境アセスメント(*19)を本格的に実施して開発を推進します。なお、Non-FIT発電事業においては売電契約締結に向け、売電先との協議も並行して進めていきます。また、蓄電事業においては、需給調整市場や容量市場における調整力・容量確保価値の提供に向けた蓄電池運用方針検討を始め、オフテイク契約(*20)を締結する場合にはオフテイカーとの協議や、日本においては、2023年度より開始された長期脱炭素電源オークションでの応札も視野に入れて開発を進めます。
当社は再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の立ち上げ・運営に必要な知見・技術・プロジェクトマネジメントのノウハウを有する専門人材を擁しています。また、大手企業グループの系列に属さない独立系の事業者として、事業毎に多様な事業パートナーと連携して事業開発を推進しています。再生可能エネルギー事業及び蓄電事業は、発電所等の立地する地域の自然環境資源を活用して行うものであり、地域社会に対する配慮及び地域環境への最大限の配慮の上で開発していくものです。法令や条例で定められた許認可や環境アセスメントの実施のみならず、地域社会との対話や貢献、地域環境への配慮を重視しながら開発を進めていくことも、当該業務における当社事業開発の特徴の1つです。
「開発」が終盤に差し掛かった時点で、共同出資者を募り、プロジェクトファイナンスを組成する「資金調達」を実施します。当社は、再生可能エネルギー発電所及び蓄電所のプロジェクトファイナンスにおいて、ハイレバレッジのファイナンス組成を実現しており、再生可能エネルギー及び蓄電事業において2026年3月末時点までに累計約5,000億円超のプロジェクトファイナンス組成実績(連結子会社及び持分法適用会社における約定ベース)があります。なお、前述の事業開発報酬は本段階における主要な融資関連契約及びプロジェクト関連契約の締結等に伴い発生します。また、この段階で同時に売電契約等の締結も行います。
「資金調達」、「売電契約等締結」後は「工事」、「運転・所有」段階に進みます。当社は発電所及び蓄電所の工事自体に関してはEPC事業者に委託し、大規模な事業を多数立ち上げて運営しているノウハウを活かして発電所及び蓄電所の建設の指揮・監督を行います。なお、前述の運営管理報酬は本段階以降、継続的に発生します。また、当社は運転開始後、長期にわたり発電所及び蓄電所を所有・運営する方針です。当社グループは長期にわたる事業と地域へのコミットメントを示して各ステークホルダーからの信頼を醸成し、次なる事業開拓に繋げていきます。
(*19)環境アセスメント:
1997年6月に制定された国内における環境影響評価法(環境アセスメント法)は、道路、ダム、鉄道、空港、発電所等13種類の事業において環境アセスメントの手続きを行うことを定めています。また、各地方自治体が規定する環境影響評価条例(環境アセスメント条例)においては、各地域に適した環境アセスメント対象事業が別途定められています。環境アセスメント法や環境アセスメント条例の対象事業となる場合、事業者は環境アセスメントを行うことが義務付けられています。なお、海外の事業においては、各国及び各自治体の基準に則り環境影響評価を行います。
国内の環境アセスメントにおいては、「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」(大気環境、水環境及び土壌環境・その他の環境)、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」(植物、動物及び生態系)、「人と自然との豊かな触れ合い」(景観及び触れ合い活動の場)、「環境への負荷」(廃棄物及び温室効果ガス等)の中から対象事業の性質に応じて適切な環境要素が選定され、事業者自らが調査・予測・評価を行っていきます。
(*20)オフテイク契約:
オフテイカーが蓄電所運用権を取得する対価として、蓄電所に対して蓄電所利用料等を長期間固定で支払う契約のことを指します。
(開発中の事業)
当社グループの開発中の事業に係る進捗評価基準は次のとおりです。事業の進捗度合いに応じて、①ファイナンス関連契約及びプロジェクト関連契約を締結した「建設中事業」、②開発が一定程度進捗している「推進中事業」、③一定の事業性が確認され、経営資源を投下の上での事業開発の推進が認められた「先行投資事業」と分類しています。事業開発が成功し各発電所の運転開始に至る確率は、①建設中事業が最も高く、②推進中事業は今後の開発進捗に伴い計画が変更又は中止となる可能性もあり、③先行投資事業は今後の調査検討に伴い中止となる可能性が相応にあります。
(注)1. 国・地域による規制の相違、電源種による開発プロセスや事業性確保に向けた条件の相違、及び各事業の個別要因等により、事業の分類の判断基準が上記と必ずしも一致しない場合があります。
2. 建設中事業には、ローン契約・EPC契約締結済みの着工準備中の事業も含みます。
なお、開発中の事業は当社が主導して開発を実施し、SPCに対する出資持分についても当社が筆頭の出資者となる「当社主導」事業と、パートナー企業と共同で事業を開発する「共同推進」事業に分類しています。
(開発中の事業一覧 ①建設中事業)(2026年3月31日時点)
(注) 1.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用されている固定買取価格(消費税抜)を示しています。
2. 「固定価格」は、長期の契約期間においてあらかじめ設定された価格を指します。ただし、契約内容によっては、期間中にわたり常に一定の価格ではなく、年次等により価格が異なるものが含まれます。
3.フィリピン共和国イフガオ州キアンガンにおけるKIANGAN MINI HYDRO CORPORATIONの買取価格は、小水力発電に関するFIT対象枠の残存期間中に運転開始した場合の想定FIT単価です。
4.アールワン蓄電所合同会社は、静岡県菊川市において市場販売型蓄電所である菊川西村蓄電所を建設中です。当社は2026年3月31日現在において、当該事業の覚書に基づき運転開始以降、共同スポンサーの出資持分(出資比率40.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は80.0%となります。なお、当蓄電所の竣工は2028年度を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
5. アールツー蓄電所合同会社は、2023年度長期脱炭素電源オークションにおいて選定された系統用蓄電所3ヵ所(北海道苫小牧市、北海道白老郡白老町、静岡県周智郡森町睦実)を建設中です。当社は2026年3月31日現在において、当該事業の出資者間契約に基づき長期脱炭素電源オークションの制度適用以降、共同スポンサーの出資持分(出資比率48.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は87.0%となります。なお、当蓄電所の竣工は2028年度中を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
6.アールスリー蓄電所合同会社は、北海道石狩市において東京瓦斯株式会社とのオフテイク契約に基づき石狩蓄電所を建設中です。当社は2026年3月31日現在において、当該事業の覚書に基づき運転開始以降、共同スポンサーの出資持分(出資比率36.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は75.0%となります。なお、当蓄電所の竣工は2027年度を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
7. LTDA: 長期脱炭素電源オークション(Long Term Decarbonization Auction)は、国全体で必要となる脱炭素電源の容量確保のため、再エネや蓄電池等の新設・リプレース/改修を入札対象とした制度で、電力広域的運営推進機関より、原則20年間、設備容量に落札金額を乗じた容量確保契約金額が支払われます。落札金額については、物価変動分が制度適用期間の年度ごとに毎年補正される仕組みとなっています。
8. 市場販売:国による価格保証(FIT 制度等)や特定の相手との長期固定価格契約に頼らず、「需給調整市場」や「容量市場」等の市場で「調整力」や「容量確保価値」を提供することで収益を確保する事業形態を指します。
9. EPC契約を締結した時点を「建設開始/着工」としており、「建設開始/着工」は詳細設計開始や機器発注等を含むため、現地での工事開始とは異なる場合があります。
10. 上記6事業のうち、「共同推進」事業であるKIANGAN MINI HYDRO CORPORATIONにおける事業以外の事業は「当社主導」事業です。
(開発中の事業一覧 ②推進中事業)(2026年3月31日時点)
(注)1.推進中事業の一覧表は、2026年3月31日現在において、一般公知となった代表的な事業に限定したものであり、このほかに開発中の未公表事業があります。
(開発中の事業一覧 ③先行投資事業)(2026年3月31日時点)
(注)1.先行投資事業の一覧表は、2026年3月31日現在において、一般公知となった代表的な事業に限定したものであり、このほかに開発中の未公表事業があります。
このほか、当社は主に太陽光発電、陸上風力発電、蓄電事業等の種別毎に専属チームを組織し、国内外で複数事業の事業開発を進めています。これらの事業開発には当社が主導で開発を進めている事業に加え、事業パートナーと共同で推進している事業もあります。
本章にて述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
(事業の主な系統図)
業績状況
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析、検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要性がある会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という)第312条の規則によりIFRS会計基準に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業及び蓄電事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針、会計上の見積り及び判断は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」、「2 作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの「再生可能エネルギー発電等事業」においては、運転開始済みの太陽光発電所、バイオマス発電所、陸上風力発電所、地熱発電所及び蓄電所(合計設備容量約1,228.7MW)において、全体としての発電量は概ね順調に推移しました。2025年9月27日に唐津バイオマス発電所(出力49.9MW。発電端出力ベースの発電容量)が営業運転を開始し、同発電所を運営する合同会社唐津バイオマスエナジーが当社の連結子会社となりました。さらに法人間のコーポレートPPAを前提とした小規模・分散型太陽光発電所も順次運転を開始したことで、発電量は順調に増加しました。当社の連結子会社である合同会社御前崎港バイオマスエナジーが保有する御前崎港バイオマス発電所は、2025年6月末から進めていた点検及び補修工事が完了し、2025年10月10日に通常操業を再開しました。また、2025年10月10日に、姫路蓄電池匿名組合事業(持分法適用会社)を通じて開発をしていた姫路蓄電所が当社グループ初の系統用蓄電事業として運転を開始しました。本蓄電事業は、送配電ネットワークへ直接接続する蓄電池システムを設置し、電力需給に応じて電力を充放電することで電力需給バランスの調整に寄与しています。
なお、当連結会計年度において、各電力会社より出力制御指示が発令され、当社が運営する一部の発電所は出力の制御を実施しました。2026年3月の出力制御に伴う逸失発電量の合計が、当社が運営する全ての発電所の年間計画売電量に占める比率は0.270%であり、当社の連結業績に対する影響は軽微です。
「開発・運営事業」においては、引き続き、国内外の新たな発電所・蓄電所の建設及び開発が進捗しています。2025年6月30日に、東京瓦斯株式会社(東京ガス)とのオフテイク契約(2025年6月23日締結)に基づき、北海道石狩市で30MWの蓄電事業の開発を進めるアールスリー蓄電所合同会社(持分法適用会社)が、金融機関との間で融資関連契約を締結しました。着工を経て、2027年度に運転開始する予定です。本蓄電事業は、当社グループが蓄電所の開発、所有及び維持管理を行い、20年間にわたり固定価格による施設使用権の付与を行うオフテイク契約を通じて、安定的に収益を得られる事業となっています。2027年度の運転開始を予定している本事業では、共同スポンサーであるSMFLみらいパートナーズ株式会社及びほか1社と「アールスリー蓄電所合同会社に係る持分等の譲渡に関する覚書」を締結しており、この覚書に基づき、当社は、運転開始以降に保有する特別目的会社出資持分(計36%)を取得する権利を有しているため、当該権利を行使した場合には、当社の出資比率は75.0%となります。加えて、2025年11月28日には、島根県安来市において市場販売型蓄電事業で安来蓄電所(出力2MW/容量6.5MWh)の建設を開始し、2026年4月17日に運転を開始いたしました。本事業を通じて、当社自らが蓄電池の市場運用を直接担うことで蓄電池の最適運用知見を確立し、運営戦略の立案・実施機能を内製化及び高度化することで、今後運転・開発を予定している大規模な系統用蓄電事業における競争力を高め、長期的な収益の最大化を実現してまいります。さらに、2026年3月31日には、静岡県菊川市において菊川西村蓄電所(出力90MW/容量270MWh)の開発を進めるアールワン蓄電所合同会社(持分法適用会社)が、金融機関との間で融資関連契約を締結しました。着工を経て、2028年度に運転開始する予定です。本蓄電事業は、国内最大規模の市場販売型蓄電事業であり、主に、「需給調整市場」及び「容量市場」での活用を予定しています。大規模化による事業費低減を通じたコスト競争力と、当社が内製化した最適運用知見を組み合わせることで、将来、蓄電所間の競争が激化する環境下においても持続的な収益確保と収益の最大化を実現します。2028年度の運転開始を予定している同事業では、共同スポンサーであるNCSアールイーキャピタル株式会社及びSMFLみらいパートナーズ株式会社と「アールワン蓄電所合同会社に係る持分等の譲渡に関する覚書」を締結しています。この覚書に基づき、当社は、運転開始以降に保有する特別目的会社出資持分(計40.0%)を取得する権利を有しているため、当該権利を行使した場合には、当社の出資比率は80.0%となります。これにより、2026年3月現在、運転中及び建設着手済みの蓄電事業の設備容量は352MWに達しています。
また、RE100に取り組む企業や小売電気事業者等との間でコーポレートPPA需要は拡大傾向にあり、当社の太陽光発電によるコーポレートPPAの契約設備容量は合計で206MWとなっています。2025年12月に、コーポレートPPA向けの小規模・分散型太陽光発電事業の更なる規模拡大を目指し、連結子会社である第一太陽光発電合同会社を通じて、PPA締結済み契約設備容量の206MWのうち約170MWを対象としたプロジェクト・ファイナンスを組成しました。本件を通じて、全国に分散する多数の発電所を複数のパートナーとともに開発・管理する仕組みの標準化やAIを活用した効率化、高品質な発電所と長期保有への信頼を背景としたPPAの獲得体制を構築したことにより、中期経営計画に掲げる2030年度の小規模・分散型太陽光事業0.9GW(運転中・建設中)の目標に向けた事業モデルが確立されました。今後は確立した事業モデルに基づき、完工・運営の体制を一段と強化し、事業成長を加速させてまいります。
さらに、電力需要の増加や企業の脱炭素化需要を背景に、昼夜問わず安定的な電力供給が可能なバイオマス発電所の重要性が増しています。当社が開発・保有するバイオマス発電所においても、FIT制度に基づく売電からコーポレートPPAへの切り替えを推進しています。コーポレートPPAにおいては、FIT価格に環境プレミアムを上乗せした価格での売電を実現しており、長期にわたり安定的な売上への貢献が見込まれます。2026年3月現在、バイオマス発電事業におけるコーポレートPPAの契約設備容量は、145.4MW(3発電所)となっています。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(単位:百万円)
(注)1.EBITDA=売上収益-燃料費-外注費-人件費+持分法による投資損益+その他の収益・費用
燃料費は、連結損益計算書における燃料費より、下記の影響額を調整しています。なお、当連結会計年度における調整額は△4,446百万円です。
・当社が企業結合したバイオマス発電所が保有する為替予約について、企業結合時点の包括利益累計額が消去された影響
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上収益
3.EBITDAはNon-GAAP指標です。
4.前第4四半期連結会計期間より、合同会社御前崎港バイオマスエナジーが運転を開始しました。
5.当第2四半期連結会計期間より、合同会社唐津バイオマスエナジーが運転を開始しました。
セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指すべく、株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上収益)
(単位:百万円)
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
(注)セグメント利益は、売上収益から燃料費、外注費、人件費を差し引き、持分法による投資損益並びにその他の収益・費用を加算したEBITDA(Non-GAAP指標)にて表示しています。
燃料費は、連結損益計算書における燃料費より、下記の影響額を調整しています。なお、当連結会計年度における調整額は△4,446百万円です。
・当社が企業結合したバイオマス発電所が保有する為替予約について、企業結合時点の包括利益累計額が消去された影響
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入れを活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、資本比率や親会社所有者帰属持分比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。
連結子会社及び関連会社が保有する為替予約の公正価値変動を主要因とするその他の資本の構成要素の増加等により当連結会計年度末の資本比率は30.4%(前連結会計年度末は25.2%)、親会社所有者帰属持分比率は20.1%(前連結会計年度末は16.8%)となりました。また、純有利子負債/EBITDA倍率(純有利子負債と直近の12ヶ月間に計上したEBITDAの倍率。なお、純有利子負債は、借入金及び社債、リース負債、並びにその他の金融負債に含まれる金融負債の合計から、現金及び現金同等物並びに引出制限付預金を差し引いた金額と定義)は、当連結会計年度末において8.4倍(前連結会計年度末は10.5倍)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ81,413百万円増加し、611,464百万円となりました。
主な増減要因は、連結子会社が保有する為替予約の公正価値変動等によるその他の金融資産(非流動)の増加(+79,862百万円)、及び唐津バイオマス発電所の新規連結等による有形固定資産の増加(+7,243百万円)です。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ28,957百万円増加し、425,584百万円となりました。
主な増減要因は、主に連結子会社における繰延税金負債の増加(+22,692百万円)及び唐津バイオマス発電所の新規連結等による社債及び借入金(非流動)の増加(+14,260百万円)です。
(資本の部)
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ52,455百万円増加し、185,879百万円となりました。
主な増減要因は、連結子会社及び関連会社が保有する金利スワップ及び為替予約の公正価値変動によるその他の資本の構成要素の増加(+30,263百万円)、唐津バイオマス発電所の新規連結及び連結子会社保有の為替予約の公正価値変動等による非支配持分の増加(+18,711百万円)です。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して846百万円減少し、23,081百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、28,273百万円の収入(前年同期は31,499百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電等事業」における売電先からの売電収入です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電等事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、11,715百万円の支出(前年同期は16,498百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、建設立替金の回収による収入1,589百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、主にバイオマス発電所及び第一太陽光発電合同会社における有形固定資産の取得による支出5,416百万円、契約履行コストの取得による支出4,037百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、17,438百万円の支出(前年同期は8,285百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、主に当社及び第一太陽光合同会社における長期借入れの実行による収入33,129百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、長期借入金の返済による支出43,939百万円及び社債の償還による支出6,997百万円です。
セグメント情報
4.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎として決定されています。当社グループは太陽光発電、バイオマス発電、陸上風力発電といった再生可能エネルギー発電所と蓄電所を操業することで売電事業及び蓄電事業を展開する「再生可能エネルギー発電等事業」と新たな再生可能エネルギー発電所と蓄電所の設立・開発・開業に至るまでの支援・開業後の運営支援を行う「開発・運営事業」を展開しています。
(2) 報告セグメントごとの売上収益、セグメント利益、資産その他の項目の金額に関する情報
報告セグメントの会計処理の方法は、「注記3 重要性がある会計方針」で記載している当社グループの会計方針と同一です。報告セグメントの利益は、売上収益から燃料費、外注費、人件費を差し引き、持分法による投資損益、並びにその他の収益・費用を加算したEBITDA(Non-GAAP指標)にて表示しています。なお、燃料費は、連結損益計算書における燃料費より、当社が企業結合したバイオマス発電事業SPCが保有する為替予約について、企業結合時点の包括利益累計額が消去された影響額を調整しています。
当社グループでは資産管理について「再生可能エネルギー発電等事業」と「開発・運営事業」ともに同様の管理を行っているため、報告セグメント毎の分割をせず、一体で管理しています。そのため、資産の報告セグメント情報の記載を省略しています。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注)1.セグメント利益の調整額△4,052百万円には、セグメント間取引消去が含まれています。
2.セグメント間の売上収益は実勢価格に基づいています。
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)
(注)1.セグメント利益の調整額△5,232百万円には、セグメント間取引消去が含まれています。
2.セグメント間の売上収益は実勢価格に基づいています。
3.「開発・運営事業」セグメントの「セグメント間の売上収益」及び「調整額」の一部取引は、セグメントへの資源配分の意思決定及びセグメントの業績評価の目的で最高経営意思決定者に報告される測定値である純額にて表示しています。
(3) 地域に関する情報
① 売上収益
本邦以外の外部顧客への売上収益がないため、該当事項はありません。
② 非流動資産
本邦に所在している非流動資産の金額が連結財政状態計算書の非流動資産の金額の大半を占めるため、記載を省略しています。
(4) 主要な顧客に関する情報
連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先は次のとおりです。
前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)