リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法令・制度の変更等による競合激化
①小売全面自由化及び今後の法令・エネルギー政策等の変更
小売全面自由化による新規参入者の出現及びエネルギー政策やガス事業法等の各種法令、ガス事業制度の変更等による更なるエネルギー間競争の激化によりお客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。このため当社は、情報収集に努めつつ制度変更に適切に対応し、競合他社の動向も注視しながら、お客さまのニーズに沿った新規事業・新規サービス等を検討・実施することで、新たな収益源を確保するとともに、お客さま一世帯あたりの売上金額増加に取り組んでまいります。
②脱炭素社会の進展
「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」に向けて、新たな環境規制を含めた脱炭素社会の実現に向けた議論や具体的な手法の検討が加速しており、有望な脱炭素手段とされる脱炭素化された電力による電化が進むことにより、お客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。これに対し当社は、e-methane(イーメタン)等の供給による官民一体となった取り組みをはじめ、脱炭素社会に向けた都市ガスの役割をPRし、他燃料の天然ガス転換や分散型エネルギーシステムの推進など、2050年の脱炭素化に向けた移行期における低炭素化に取り組んでまいります。また、卸元と連携してカーボンニュートラル都市ガスの販売に取り組み、電化による脱炭素化が進展した場合への対応等について検討するとともに、自治体等地域の脱炭素に向けた取り組みに都市ガスの役割を反映してもらえるようアプローチしてまいります。
③他エネルギーとの競合
電化の進行等他エネルギーとの競合によりお客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。これに対し当社は、関連企業・取引先との協力体制強化や情報収集の徹底により、新築向けの都市ガス採用提案を強化するとともに既存需要家の離脱防止に努めております。
(2)気候及び社会状況の変化
①気候変動・不況によるガス販売量への影響
ガス販売量は気温、水温の変動に影響を受けるため、冷夏や暖冬等の異常気象が発生した場合、大きく減少する可能性があります。また、不況によるお客さま設備の稼働減等によりガス販売量が減少する可能性があります。このため当社は、対面やWebなど様々な手段を用いたお客さま接点の量的質的拡充により都市ガスのメリットをPRするとともに、年間を通して需要変動の少ない機器の販売拡大をはじめあらゆる分野において営業活動を展開し、多様な用途での新規需要獲得に取り組んでまいります。
②人口・世帯数の減少、省エネの進展
当社供給エリア内の人口・世帯数の減少や生活形態の変化、節ガスや省エネの進展等によりお客さま件数及びガス販売量が減少する可能性があります。このため当社は、ガス温水暖房システムやガス衣類乾燥機等の販売を強化し、一世帯あたりのガス使用量増加に取り組んでおります。また、地方自治体と協働し、地方創生施策への参加等を通じて地域の活性化に取り組むなど、SDGs(持続可能な開発目標)と整合した取り組みを進めてまいります。
③設備投資、出資の未回収、資産価値の低下
大規模な設備投資を実施する場合、費用負担が増加し経営成績に一時的な影響を与える可能性があります。また、経済情勢や事業環境等の変化により、保有資産の価値下落により経営成績等に影響を与える可能性があります。これに対し当社は、収支計画を踏まえた取締役会での総合的な経営判断を経て設備投資を実施しており、実施後も収支や投資回収の状況を定期的に確認すること、また、保有資産については時価や収益性の定期的な確認と検証を行うことにより、評価損や減損損失等のリスク発生の抑制に努めております。
(3)自然災害・事故等
①製造・供給設備への損害
大規模な自然災害や事故等が発生し、製造・供給設備に大きな被害が発生した場合、ガスの供給に影響を与え、その復旧費用や供給支障の対応に伴う損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、地震に強いポリエチレン管の普及等による耐震化率の向上を図るとともに、供給バックアップ体制を構築しております。また、災害発生時に迅速な対応ができるよう平常時から定期的な災害対応訓練を実施しております。
②事業所等への損害
大規模な自然災害が発生した場合、事業所等の建屋及び構築物に大きな被害が発生し、復旧費用に伴う損害が
発生する可能性があります。これに対し当社は、自然災害が発生した場合に、各所と連携し迅速に被害状況を把握
するとともに、建屋や構築物に損壊等のリスクがないか平常時から定期的に確認を実施しております。
③消費機器等の重大なトラブル
ガス機器リコールやガス機器に起因する事故が発生した場合、ガス機器や都市ガスに対する信用低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。このため当社は、消費機器調査の確実な実施により、お客さま保有ガス機器の情報を把握し、リコールや事故への対応を迅速に行っております。
④自然災害による販売面への影響
自然災害によるお客さま設備の稼働減によりガス販売量が減少する可能性があります。これに対し当社は、あらゆる分野において営業活動を展開し、多様な用途での新規需要獲得に取り組んでおります。
⑤感染症の流行による影響
感染症の流行により多くの従業員が出社不能となった場合、事業運営に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。これに対し当社は、感染症予防の啓発や分散勤務、予防備品の備蓄等予防対策の実施及び「新型インフルエンザ等対策マニュアル」の更新・周知を行っております。
⑥不測の大規模停電
当社供給エリア内で大規模かつ長時間の停電が発生した場合、工場・供給所の運転に支障が生じ、ガス供給に影響を与える可能性があるほか、各事業所の業務の停滞により有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、停電時でも長時間稼働できる非常用自家発電設備の整備や停電時に工場・供給所の運転を継続する手順の確認を行っております。
(4)原料価格の変動等
①為替レート、原油価格の変動
原料価格は為替レート及び原油価格の変動等外的要因により影響を受け変動します。この変動は原料費調整によりガス料金に反映させることができますが、タイムラグにより決算期をまたいで影響が発生する可能性があります。これに対し当社は、為替レートや原油価格の変動の影響を受けない原料調達先からの調達を維持しつつ、日頃から為替レート、原油価格の動向を注視し、LNG価格の実績把握及び想定を行い原料費への影響を把握するとともに、必要に応じて調達量及びガス料金の見直しを検討してまいります。
②原料調達に関するトラブル
原料調達先における設備及びLNG・LPG輸入に不測の事態が生じた場合、当社の原料調達及びガス供給に影響を及ぼす可能性があります。これに対し当社は、原料調達先及び工場・供給所の複数化を図り、供給バックアップ体制を構築しております。
(5)金利変動等
①資金調達における金利変動
資金調達の手段として金融機関からの借入れを行っており、借入れ時点での金利水準により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対し当社は、金利変動による影響が限定的となるよう、固定金利での借入れを原則としております。
②退職給付制度における国債利回り、株式時価の変動
確定給付企業年金資産で保有する有価証券等の時価の下落により、退職給付費用が増加する等、業績に影響を与える可能性があります。これに対し当社は、一定期間ごとの資産状況確認、資産種類の分散、リスク対応掛金拠出による予防措置を実施しております。
(6)情報管理・システム運用
①基幹となる情報システムへの重大な障害
基幹となる情報システムに重大な障害が発生した場合、業務が停滞し社会的信用の低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、不測の事態でも業務への影響を最小限に止めるよう、システムの監視、障害対策、各種情報セキュリティ対策及び定期的な訓練の実施等、システムの安定稼働に必要な対策を実施しております。
②お客さま情報の外部流出
お客さま情報の外部への流出が発生した場合、対応に要する直接的な費用に加え、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、「お客様情報保護規程」を定めて社員に個人情報漏洩事故防止のための周知を行うほか、定期的な教育を実施し、社員・業務委託先・協力会社への注意喚起を実施しております。
③サイバー攻撃
サイバー攻撃を受けた場合、都市ガスの製造・供給調整に関するシステム制御が不可能となり、製造停止及び大規模な供給支障が発生する可能性があるほか、個人情報の流出、業務に関する基幹システムの停止や動作不良によりお客さま対応が停滞し、社会的信用の低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、最新情報の収集に努めるとともに各種セキュリティ対策及び対策要領に基づいた教育の実施、部門横断的なインシデント対応訓練を実施しております。
(7)コンプライアンス
法令・定款等に反する行為や企業倫理に反した行為が発覚した場合には、対応に要する費用に加え、社会的信用の低下等有形無形の損害が発生する可能性があります。これに対し当社は、社員に対する適時適切なコンプライアンス教育の実施、グループウェアを利用したタイムリーな情報提供及び啓発、内部監査による法令遵守状況の確認等によりコンプライアンス意識向上に取り組んでおります。
配当政策
3【配当政策】
経営基盤及び財務体質の強化を図り、企業価値の増大を通じて株主への安定的かつ適正な利益還元と、先行投資を可能とする内部留保の充実を基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことができることを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当期の剰余金の配当につきましては、財政状態、業績を勘案のうえ、当社普通株式1株につき80円といたしました。
なお、当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
(注) 当期に係る剰余金の配当
株主総会決議日 2024年6月26日 配当金の総額 375,587,680円 1株当たりの配当額 80円