リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
以下には、当社グループが事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが独自に判断したものであり、将来において発生する可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。また当社グループにとっては必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要であると考えられる事項については記載しております。
当社グループはこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に取組む方針ではありますが、当社グループの経営状況、将来の事業についての判断及び当社株式に対する投資判断は、本項記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① 市場動向について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが事業を展開するFintech領域のコンサルティング市場については、その市場規模が順調に拡大しており、また、Fintech分野に対する企業ニーズも拡大している状況にあると認識しております。
しかしながら、今後、経済情勢や景気動向等が変化し、顧客のFintech事業に対する投資マインドが減退し、Fintech事業への投資及びコンサルティングサービスの利用が減少する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは常に市場の変化を注視しながら顧客のニーズをつかみ、プロジェクトの上流工程であるコンサルティングフェーズのみならず、プロジェクト実行支援まで一気通貫のサービスを提供することにより、リスクの軽減を図っております。
② 競合について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループが事業を展開するFintech領域におけるコンサルティングサービスに関しては、知識と経験が豊富な当社グループのコンサルタントが、付加価値の高いサービスを提供することによって、競合他社との差別化を図っております。
現時点においては直接的に競合する企業は少ないものと認識しておりますが、今後、当社と同様にFintech分野における豊富な知識と経験を有する人材を持つ企業が出現し、業界における競争が激化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは多様な採用手段を講じて優秀な人材を確保し、プロジェクトの上流から下流までを一気通貫でサービスを提供できる人員体制を構築することにより、リスクの軽減を図っております。
③ 顧客の経営環境について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループの主要な事業であるデジタルソリューション事業においては、主として大手通信会社を中心にコンサルティングサービスを提供しており、継続や追加受注によるリカーリング性の高いビジネスモデルを構築しております。
当社グループは、顧客に対して付加価値の高いサービスの提供に努めてまいりますが、顧客のFintech事業に対する需要が減少したり、同業他社との契約が増加し、当社との契約が減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは通信会社のみならず、Fintech事業の展開を検討している様々な顧客に対して積極的にアプローチすることにより、プロジェクトの受注獲得を行うことでリスクの軽減を図っております。
④ 法的規制について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループの主要な事業であるデジタルソリューション事業においては、ビジネスパートナーによるプロジェクトの支援を仰ぐことがあります。このような場合、当社グループは下請代金支払遅延等防止法(下請法)及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に違反しないような対応を実施しておりますが、万が一、同法に違反し、当社グループの信用力低下を招くとともに損害賠償請求訴訟の提起等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して当社グループは、法令改正の動向などの情報収集を適宜行うことと併せて、常にプロジェクトの運用状況を注視しながら、リスクの軽減を図っております。
(2) 事業内容に関するリスクについて
① 経営上の重要な契約について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループの経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。当該契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了となった場合、若しくは当社にとって不利な改定が行われた場合、または契約の相手方の経営状態が悪化したり、経営方針が変更された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは取引先との良好な関係を継続的に構築することに努め、リスクの軽減を図っております。
② ビジネスパートナーの確保について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、プロジェクト実行支援における業務の一部について、ビジネスパートナーと連携し、顧客企業に対するサービスを提供しております。
今後の事業拡大に当たり、既存ビジネスパートナーとの安定的な取引関係の維持及び新規ビジネスパートナーの開拓を継続的に行ってまいりますが、当社グループの事業拡大に応じた適切なビジネスパートナーの確保ができない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新規事業への投資について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)
当社グループは、企業価値を高めるために事業規模の拡大をすべく、新規事業への取組みを積極的に行う予定であります。
本書提出日現在において、具体的な事業化に至っているものはありませんが、競争優位性を確保するため、常に新規事業に関する情報収集等に努めるなど、新規事業の創出に向けた努力を続けております。
新規事業を進めるに当たっては、事業計画を十分に検討した上で実施することとしておりますが、当該事業計画は、計画策定時点における予想や仮説に基づく部分も存在するため、当該予想や仮説が現実と大きく異なる場合や、当初の予測とは異なる状況が発生する場合があります。
このように、当初の事業計画通りに進捗しない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定顧客の売上比率について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:10年以内、影響度:大)
当社グループは、多くの取引先からプロジェクトを受託しております(2023年12月期の顧客数は21社)が、中でも全社売上に占める株式会社NTTドコモの比率が2020年12月期93.2%、2021年12月期90.4%、2022年12月期81.8%、2023年12月期74.1%となっております。当社設立時より、同社のプロジェクトに初期段階から参画しており、その後の営業活動を通じて取引額が増加したことにより、結果として同社の売上比率が上記の数値のとおりとなっております。
今後も当社グループは、高成長が期待されるコンサルティング市場において、あらゆる業種のFintech活用ニーズを取り込みながら、新規顧客の獲得や既存顧客からの追加・継続受注により顧客ポートフォリオの多様化を図ることで、特定顧客への売上依存リスクのない事業成長を推進してまいります。また、同社との良好な関係は維持しながら、取引の維持・拡大に努める方針でありますが、永続的な取引が確約されているものではなく、万が一、同社との間において、契約条件の重要な変更が生じた場合や取引額が大幅に減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 海外展開について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、2023年8月に全株式取得により連結子会社としたKapronasia Singapore Pte. Ltd.を中心に今後の事業活動を展開してまいります。海外事業においては、各国における内乱や大規模な騒乱、政治動向や経済に影響を与えるカントリーリスク、各国固有の商慣習や法的規制、為替リスク等、様々な潜在的リスクがあります。当社においては、現地におけるリスクの兆しを把握し早急に対応する体制を講じておりますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクが顕在化する可能性は相応に存在すると認識しております。当社グループは、事業活動を展開する諸外国の動向に関する情報収集に努め、リスクの兆しが顕在化する可能性がある場合には、事業撤退を含めて迅速に対応することとしております。
⑥ 固定資産に関する減損リスク(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:8年以内、影響度:大)
当社グループが保有する、のれん等の固定資産については減損リスクに晒されています。今後、これらの対象資産の価値が下落した場合、必要な減損処理を行う結果として、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業運営体制に関するリスクについて
① 特定人物への依存について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社代表取締役社長である山本浩司は、当社の創業者かつ主要株主であるとともに、当社事業に関する豊富な経験と知識を有しており、当社グループの経営方針や事業戦略の決定などの事業活動全般において重要な役割を担っております。
当社グループでは、業容拡大とともに経営幹部の拡充及び権限委譲を進め、山本浩司に過度に依存しない経営体制の整備や人材の育成など、リスクの軽減に努めております。しかしながら、山本浩司が何らかの理由により業務執行ができない事態となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 優秀な人材の確保及び定着について(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、継続的な事業拡大及び新規事業の推進等のためには、優秀な人材の確保及び定着が必要不可欠であると認識しております。
当社グループは、今後も継続的に優秀な人材の確保及び育成に努め、定着を図ってまいりますが、当社グループが求める人材を適切なタイミングで確保できず、また人材育成が計画通りに進まない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織であることについて(顕在化可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは小規模組織であり、現在の組織及び管理体制も規模に応じたものとなっております。今後、事業拡大に伴い、組織の整備や内部管理体制の充実を図る予定であり、引き続き、適時適切に人材採用を進めてまいります。
しかしながら、事業拡大に応じた組織の整備や内部管理体制の充実が順調に進まなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ M&Aや資本提携に関するリスク(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループでは、通常の営業活動による顧客の拡大や新規事業の推進に加え、事業拡大への経営資源を獲得し、既存事業とのシナジー効果を得るために、M&Aによる企業買収や資本提携等を活用することを検討しております。これらの施策を実施する場合、対象企業の属する業界の市場規模、業界環境及び対象企業の競争力の源泉等を調査し、財務内容や事業についてデューデリジェンスを行うことに加えて、対象企業の株主を慎重に調査することで、事前に投資リスクを把握し、対象となる企業の収益性や投資の回収可能性について慎重に検討することとしております。
しかしながら、国内外の経済環境の変化や対象企業の属する業界の市場規模が想定よりも拡大しない場合や対象企業の競争力の源泉が衰えた場合等の理由から、当社グループがM&Aや資本提携等を行った企業の経営、事業、資産等に対して、十分に活用することができない場合や、買収した企業の人材や顧客基盤が流出する可能性もあり、当初に期待したシナジーを得られない可能性もあります。このような場合、当初の投資額を回収できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報管理について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、その業務の性格上、顧客側で保有している機密情報に触れる場合があります。情報の取扱いについては、顧客側の管理ルール及び当社グループが認証を取得しているISO/IEC27001及びJIS Q 15001の運用ルールに則り、適切な運用を行っております。
しかしながら、このような対策にもかかわらず、当社グループの人的オペレーションのミス及びその他予期せぬ要因等により、情報漏洩等の事案が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任を負う可能性や顧客からの信用を失うことに伴い取引関係が悪化する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスクについて
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的とした新株予約権(以下「ストック・オプション」という。)を付与しております。これらのストック・オプションの権利が行使された場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
本書提出日現在におけるストック・オプションによる潜在株式数は80,000株であり、発行済株式総数7,370,000株に対する潜在株式の比率は約1.1%であります。
② 配当政策について(顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、株主に対する利益還元は経営上の重要課題と認識しており、利益還元策の決定に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状態や今後の経営計画等を十分に勘案し、剰余金の分配を検討する所存であります。
しかしながら、現時点においては、事業が成長段階にあることから、内部留保を充実させ、成長事業に投資を行うことを優先することが株主利益にかなう場合があるため、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。
③ 資金使途について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:3年以内、影響度:小)
当社が株式上場時に実施した公募増資による資金の使途については、人材採用や教育等の人材関連、オフィス移転や情報セキュリティ等の設備投資関連等に充当する予定であります。
しかしながら、急速に変化する事業環境に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途へ充当する可能性もあります。また、計画どおりの使途に充当された場合でも、想定どおりの効果が得られない可能性があり、このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。また、当社グループは法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、取引先、従業員その他第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、将来において、当社グループの事業に起因する訴訟等の提起を受ける可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によりましては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 自然災害について(顕在化可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、安定的なサービス提供を維持するため、地震、落雷、火災等の災害に対して十分な耐性を有すると判断されるビルにオフィスを構えるとともに、大規模災害が発生した場合等、有事に備えたリスク管理体制の整備に努め対策を講じております。しかしながら、台風、地震、津波、感染症等、自然災害等が当社グループの想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社または当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 当社株式の流動性について(顕在化可能性:高、顕在化する可能性のある時期:1年以内、影響度:中)
当社の株主構成は、代表取締役社長により議決権の過半数を所有されている会社となっており、上場時の公募増資及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めましたが、(株)東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末において32.0%となっております。当事業年度末においての代表取締役社長の持ち株比率が67.2%となりますが、今後は段階的に売出しを行い、持ち株比率が過半数程度となるまで低下させることにより、更なる流動性の確保を行います。
上記株主は安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
また、当社グループの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、大株主からの売出、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、一層の流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けており、内部留保を充実し、収益基盤の強化及 び収益力拡大のための投資に充当することが最大の利益還元につながると考えております。こうした考えのもと、創業以来配当は実施しておらず、今後も当面は無配とし内部留保の充実を図る方針であります。内部留保資金については、財務体質を強化し人材育成、知名度向上等、事業拡充、収益基盤の強化拡大のための投資に活用する方針であります。
将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取巻く事業環境を勘案の上、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を検討してまいりますが、現時点においては配当実施の可能性及び実施時期等については未定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法に規定する中間配当を取締役会決議によって行うことができる旨を定款に定めております。