リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をはじめ、事業継続に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
①経済・社会情勢の変化
当社グループの事業は、各国の政治・経済動向、法制度、地政学的要因等、様々な変化の影響下にあります。グループ内の知見や蓄積された情報を最大限に活用し対応しますが、これらの要因は当社グループが関与し得ない理由によって大きく変化する可能性があり、このような変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
②市場の変化
当社グループにおけるセグメント別売上高は、旅行事業が82.7%を占めております。中でも、国別の売上高は日本に集中しており、77.6%を占めております。従って、日本における旅行事業の環境変化によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業は、取引先のビジネスモデルの変革や異業種の新規参入など、他企業との厳しい競争状態にあり、持続的に競争優位性の確保に努めているものの、今後の展開によっては当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③提供するサービスの安全管理・品質管理
当社グループでは、お客様に安心安全で品質の高い旅行商品を提供し、国内外での旅を楽しんでいただくために、HIS独自の「品質安全管理ガイドライン」を作成し、HIS海外支店ならびにお取引先様にも周知を図り、品質管理および安全管理に努めています。車両やオプショナルツアー等の取り扱いにおいては、適宜実査を行い精査したうえで選定していますが、運輸機関その他の業務委託先が事故や法令違反等を起こした場合も委託先の選定責任等が問われ、社会的信用が失われたり、損害賠償請求や旅行業法に基づく処分を受ける恐れがあり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④システム・設備の障害などによるサービスの中断・品質低下
当社グループは、コンピューターシステムを活用しており、システム構築・運営には十分なセキュリティの確保に努めておりますが、通信ネットワークやプログラムの不具合、またコンピューターウィルス感染などにより、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの重大な障害が生じた場合、業務に重大な支障をきたす可能性があります。障害の規模によってはお客様へのサービス提供の中断や修復費用が増加するなど、当社グループの財政状態及び経営成績、社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の技術革新に追随できない場合、競争力の低下や機会損失を招き、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤人財の育成・確保
当社グループは、人財育成方針として、Vision2030「挑戦心あふれ 世界をつなぎ 選ばれ続ける企業に Change&Create」に則り、一人ひとりが大きな夢・目標を持ち、従来の考え方にとらわれず、自由な発想で考え、失敗を恐れずに、新しいことに挑戦する人財の育成に取り組んでいます。企業の成長には優秀な人財の育成と確保が不可欠です。労働市場等の影響を受けこれらが計画どおり進展しない場合、他社との競争や事業運営に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥気候変動・環境規制
当社グループにおける事業を取り巻く環境として、気候変動や環境規制の強化により、事業運営に影響が生じる可能性があります。特に、自然災害の発生は、観光やインフラに影響を及ぼし、感染症の流行、加えて、航空事故、テロや戦争などが発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動に関するリスクは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 2戦略 (1)気候変動」に詳しく掲載しております。
⑦ガバナンス・コンプライアンス
当社グループは、取締役会において従業員が取るべき行動指針、行動規範を策定し、従業員への浸透を図り、リスクの未然防止に繋がるガバナンス体制を構築しております。また、内部統制基本方針、内部統制基本計画、内部統制実施要項、関係会社管理規程を設けた上で、リスク・コンプライアンス委員会の活動を通して、コンプライアンス機能の維持向上に努めています。しかしながら日本国内はもとより、海外の現地拠点が所在する国においても、様々な法令・規則・商慣習・社会的道徳などの下で事業活動を行っており、その法令・規則・商慣習・社会的道徳の遵守に努めていますが、予期しない新たな規制の導入、執行当局の方針の変更、理解や解釈の相違などの何らかの原因により、コンプライアンス違反と判断される事態が生ずる可能性があります。このようなコンプライアンス違反が生じた場合、法的手続き対応費用やブランドイメージの毀損により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧経理・財務
(1)為替レート・原油価格の変動
当社グループは、外貨建の取引を行っており、これに伴って外貨建の収益・費用及び資産・負債が発生しております。為替レートの変動による影響を軽減すべく為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、急激な為替変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を邦貨換算しているために、為替レートが変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。加えて、旅行事業において、原油価格の変動に伴い、海外旅行代金とは別に燃油特別付加運賃をお客様にご負担いただいておりますが、この燃油特別付加運賃の著しい上昇があった場合は、旅行総需要が停滞してしまう可能性があります。急激な原油価格の変動があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2)有価証券等保有資産価値の変動
当社グループは、上場及び非上場の株式及び債券等を保有しております。このため、市場価格を有する有価証券については株式市況及び債券市況の動向により、また、市場価格のない有価証券については投資先会社の財政状態の動向により、売却損や評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)固定資産等の減損
当社グループは、国内及び海外で実施した投資活動や買収に伴い発生した有形固定資産、無形資産、株式、のれん等を連結貸借対照表に資産として計上し、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発現すると見積もられる合理的な期間で償却しておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該資産等について減損損失を計上し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
以上のリスクを認識し、当社グループは適切な対応策を講じることで、リスクの軽減に努めてまいります。また、社会情勢や市場の変化にともなうリスクの見直しをおこない、適宜対応いたします。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、株主の皆様への利益還元を経営上の重要政策の一つとして認識しており、当社グループの企業価値の向上を図りながら、世界情勢や旅行業界の動向、企業体質の強化と今後の事業展開などを総合的に勘案し、実績に応じて安定的かつ継続的に会社の利益配分を実施してまいりたいと考えております。また、当社には中間配当制度 がありますが、事業年度全体では下半期の売上等の割合が比較的高くなる傾向がみられることから、業績に対して公平な配当を実現するために、年間を通しての配当とさせていただいております。
上記の利益配分の基本的な方針等に基づき、当期の期末配当金(年間配当金)につきましては、2024年12月20日に開示いたしました「第44期定時株主総会継続会の開催方針、業績予想の修正および剰余金の配当(無配)のお知らせ」のとおり、当社グループ全体における雇用調整助成金の受給に関する問題の有無を確認するため、特別調査委員会による調査を行い、当該調査による影響額等を鑑み、期末配当を無配にさせていただきました。次期の配当金につきましては、配当水準の向上に努めつつ、継続的で安定した利益配当として株主各位の日頃のご支援にお応えするため、期末配当に加え、中間配当を実施する予定でございます。中間配当は1株当たり普通配当10円、期末配当は1株当たり普通配当10円を予定しておりますが、先行き不透明な市場環境により業績が悪化した場合は、機動的な対応を取らせていただく可能性があります。