2024年1月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

シネマ・アミューズメント事業 不動産事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
シネマ・アミューズメント事業 1,555 43.6 126 22.7 8.1
不動産事業 2,015 56.4 430 77.3 21.3

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、映画興行、ビル賃貸及び付帯事業並びに娯楽場の経営を主たる事業としております。当社の親会社は近鉄グループホールディングス株式会社であり、同社の企業集団は運輸業、不動産業、国際物流業、流通業、ホテル・レジャー業を営んでおります。また、当社は同社の子会社である近鉄不動産株式会社より、「あべのルシアス」内で「あべのアポロシネマ」用フロアの一部を賃借しております。

上記を事業系統図に示すと次のとおりであります。


 

また、当社が経営する各セグメントの事業内容は次のとおりであり、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント区分と同一であります。

 

(1) シネマ・アミューズメント事業

シネマ・アミューズメント事業では、映画館9スクリーンで構成されるシネマコンプレックス1館とゲームセンター2店の経営を行っております。

内容は次のとおりであります。

 

事業所名

所有又は賃借の別

所在地

備考

あべのアポロシネマ

所有及び賃借

大阪市阿倍野区

邦・洋画封切

アポロ3階ゲームセンター

所 有

大阪市阿倍野区

 

アポロ4階ゲームセンター

所 有

大阪市阿倍野区

 

 

 

(2) 不動産事業

不動産事業では、大阪市阿倍野区所在のきんえいアポロビルをテナントビルとし、付帯するきんえいアポロ駐車場の経営並びに「ヴィアあべのウォーク」内に所有する店舗区画の賃貸を行うとともに、大阪市の再開発ビル「あべのルシアス」の賃貸・運営管理業務を行っております。

また、宝くじ売店2店の経営を行っており、内容は次のとおりであります。

 

事業所名

所有又は賃借の別

所在地

備考

宝くじ売場 あべのハルカス店

賃 借

大阪市阿倍野区

 

アポロビル地下2階宝くじ売店

所 有

大阪市阿倍野区

 

 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調にあり、企業収益は総じて改善し、個人消費は持ち直しの動きがみられました。一方で、景気の先行きについては、世界的な金融引締めの影響等による海外経済の下振れが国内の景気を下押しするリスクになりうるほか、物価上昇や海外情勢、金融資本市場の変動等が経済に与える影響等が懸念されます。

 この間、当社におきましては、事業全般に亘って顧客満足度の高いサービスの提供に努めるとともに、部門別業績管理のさらなる徹底を図りましたところ、売上高は、前期と比較して6.8%増の3,570,520千円となりました。さらに、経費全般に亘って鋭意抑制に努めました結果、営業利益は前期に比較して46.3%増の255,771千円、経常利益は38.5%増の254,382千円、当期純利益は24.3%増の154,948千円となりました。

 各セグメントの状況は次のとおりであります。

a.シネマ・アミューズメント事業

シネマ・アミューズメント事業部門におきましては、劇場事業では、“名探偵コナン 黒鉄の魚影”“ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー”“君たちはどう生きるか”“あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。”“ミステリと言う勿れ”“劇場版 SPY×FAMILY CODE:White”“キングダム 運命の炎”“THE FIRST SLAM DUNK”“映画ドラえもん のび太と空の理想郷”“劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』”などを上映し、観客誘致に努めました。また、「あべのハルカス」「あべのキューズモール」「天王寺ミオ」等の周辺施設と連携し、積極的な販売促進を図るとともに、フード売店の販売強化にも注力しました。その上で、スクリーン4・5・6の空調機部分更新工事を実施するとともに、スクリーン2・4の座席をリニューアル、スクリーン6においてカスタムオーダーメイドスピーカーを導入する等、より快適な鑑賞環境の整備に努めました。また、娯楽場事業におきましても、劇場と一体となった集客に努めました結果、部門全体の収入合計は、1,555,194千円(前期比16.8%増)となり、営業原価控除後では126,410千円(前期比130.0%増)の営業利益となりました。

同事業の収入等は次のとおりであります。

区分

単位

当事業年度

(令和5年2月1日から
令和6年1月31日まで)

前年同期比(%)

劇場入場人員

千人

913

6.5

劇場稼働率

26.9

劇場収入

千円

1,341,755

12.3

娯楽場収入

千円

213,439

56.6

合計

千円

1,555,194

16.8

 

(注)  稼働率=

入場人員

一日の収容能力(定員×興行回数)×興行日数

 

 

 

b.不動産事業

不動産事業部門におきましては、アポロビルにおいて、空調機、空調用ポンプ及び防火シャッターの更新、トイレ改修、冷却塔整備等の諸工事を実施し、ビルの安全性、快適性の向上及び省エネルギー化に努めました。ルシアスビルにおいても、空調機器、受変電設備機器等の更新、防火シャッター等の安全設備の改修等に計画的に取り組むなど、より安全で快適なビルづくりを推進しました。また、テナント退去区画の整備工事に取り組む等、後継テナント誘致に注力し、収入の確保に努めました。これらの結果、駐車場等ビル付帯事業並びにその他の事業を含めた部門全体の収入合計は2,015,325千円(前期比0.1%増)となり、営業原価控除後では430,076千円の営業利益(前期比5.0%増)となりました。

同事業の収入等は次のとおりであります。

区分

単位

当事業年度

(令和5年2月1日から
令和6年1月31日まで)

前年同期比(%)

不動産賃貸収入

千円

1,384,356

△0.5

駐車場収入

千円

212,494

5.2

ビル共益費等収入

千円

389,729

△0.8

その他事業収入

千円

28,744

6.0

合計

千円

2,015,325

0.1

不動産賃貸
稼働率

アポロビル

92.30

あべのルシアス

96.83

合計

95.38

 

(注) 不動産賃貸稼働率=

賃貸面積

賃貸可能面積

 

 

 当事業年度末における資産は、前事業年度末に比較して101,695千円増加し、5,867,556千円となりました。これは短期貸付金の増加69,019千円等によるものであります。また、負債は前事業年度末に比較して28,456千円減少し、3,417,852千円となりました。これは長期借入金の減少75,000千円等によるものであります。純資産につきましては、当期純利益の計上額が支払配当額を上回ったため、前事業年度末に比較して130,152千円増加し、2,449,703千円となりました。

 ② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動による収入が投資活動及び財務活動による支出を下回ったため、前事業年度末に比較して374千円減少し、当事業年度末は75,248千円となりました。

また、当期中における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当事業年度において営業活動で得られた資金は、税引前当期純利益の計上及び減価償却費等により463,038千円となりました。前事業年度と比較しますと、未払金の減少等により46,914千円収入額が減少しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当事業年度において投資活動で使用した資金は、固定資産の取得等により359,869千円となりました。前事業年度と比較しますと、有形固定資産の取得による支出の増加等により44,524千円支出額が増加しております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
  当事業年度において財務活動で使用した資金は、長期借入金の返済等により103,542千円となりました。前事業年度と比較しますと、99,966千円支出額が減少しております。

 ③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、受注生産形態をとる事業を行っていないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。

このため、販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 ① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この作成にあたり、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき仮定及び見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

 a.固定資産の減損

当社は、固定資産を劇場事業、不動産賃貸事業、その他の事業にグルーピングした上で、その回収可能価額について将来キャッシュ・フロー、正味売却価額等の前提条件に基づき見積っております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フローなどの前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。

 b.繰延税金資産の回収可能性

当社は、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して、将来の課税所得を合理的に見積り、将来減算一時差異のうち将来課税所得を減算できる可能性が高いものについて繰延税金資産を計上しております。従って、今後、経営環境の変化等により将来の課税所得の見積額が大きく変動した場合等には繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

 ② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営環境の変化)

当社の事業拠点であるあべの・天王寺エリアでは、「あべのハルカス」や「あべのキューズモール」等の大型施設の集積により街の魅力が高まるとともに来訪者が増加し、当社におきましても、これらに合わせて営業強化に取組んでまいりました。

シネマ・アミューズメント事業部門では、あべの・天王寺エリア唯一の映画館である「あべのアポロシネマ」への一層の誘客を目指し、「あべのハルカス」「あべのキューズモール」「天王寺ミオ」などの周辺施設と共同イベントを実施しております。同時に、映画会員制度「アポロシネマメンバーズ」会員の獲得に努め、会員向けのメールマガジンを通じて顧客とのコミュニケーションを深めるとともに、事前のクレジットカード決済が不要なチケット予約システムの利便性を訴えること等により、誘客に努めてまいりました。

また、不動産事業部門では、安全で快適なビル環境を目指して計画的に設備更新・改良工事を進めております。

当社といたしましては、今後ともお客様の視点に立った質の高いサービスの提供、安全・快適な環境の整備を推進するとともに、シネマ・アミューズメント事業と不動産事業との有機的な連携による販売活動を展開してまいります。また、地域間競争に生き残るためにも、あべの・天王寺エリアの魅力を更に高める周辺施設とのタイアップを引き続き推進し、これらの相乗効果により経営成績の向上を目指してまいります。

(経営成績に重要な影響を与える要因)

当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しております。

このうち、当事業年度において特に留意すべき要因についての分析としては、エネルギーコストの上昇による劇場事業及び不動産賃貸事業における利益への影響が挙げられます。

(経営成績等の分析・検討)

経営成績に重要な影響を与える要因を踏まえた当事業年度の経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。

 a.売上高及び営業利益

当事業年度は、事業全般に亘って顧客満足度の高いサービスの提供に努めるとともに、部門別業績管理のさらなる徹底を図りました。

シネマ・アミューズメント事業では、数多くの人気作品を上映し、観客誘致に努めました。また、周辺施設と連携し、積極的な販売促進を図るとともに、フード売店の販売強化にも注力しました。その上で、空調機部分更新工事を実施するとともに、一部座席のリニューアルやカスタムオーダーメイドスピーカーの導入など、より快適な鑑賞環境の整備に努めました。また、娯楽場事業におきましても劇場と一体となった集客に努めました。

不動産事業では、空調機器の更新工事やトイレ改修工事をはじめ、ビルの安全性、快適性の向上に計画的に取り組みました。また、テナント退去区画の整備工事に取り組むなど後継テナント誘致に注力し、収入の確保に努めました。

これらの結果、売上高は前期に比較して6.8%増の3,570,520千円となり、営業利益は前期に比較して46.3%増の255,771千円となりました。

 b.経常利益

経常利益は、前期に比較して38.5%増の254,382千円となりました。

 c.当期純利益

当期純利益は、固定資産除却損を特別損失に計上したこともあり、前期に比較して24.3%増の154,948千円となりました。

(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標)

当事業年度のROA(総資産経常利益率)は4.4%(前事業年度は3.2%)、営業利益率は7.2%(前事業年度は5.2%)であります。当事業年度において、ROA及び営業利益率が前事業年度に比べていずれも改善したのは、主にシネマ・アミューズメント事業部門の業績が順調に推移したことにより、前期に比べて利益が増加したためであり、今後もさらなる改善に努めてまいります。

 ③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資金需要の主なものは、映画フィルム料、商品仕入れ、「あべのルシアス」に係る大阪市との「保留床一括賃貸借契約」に基づく不動産賃借料等の各事業運転資金及び一般管理費のほか、維持更新投資等に関する設備資金であります。

これらの資金需要に対応するため、短期資金については各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越枠を設定した金融機関からの借入れにより流動性を確保しております。長期資金については金融機関から固定金利で調達することにより金利上昇リスクに対応するとともに年度別返済額の平準化を図っております。

また、金融機関の当座貸越枠を設定し、資金の流動性の確保に万全を期しております。

なお、余剰資金は、親会社である近鉄グループホールディングス株式会社のキャッシュマネジメントシステムに預け入れております。