2024年1月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

「第2 事業の状況」「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

当社は、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めております。

なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。

(1) 映画興行の成績

映画興行の成績は、作品による差異が大きく、各作品の興行収入を予想することは常に困難を伴います。一定の成績に達しない作品が続いた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、競合エリアに映画館が出店した場合、一定数の顧客が競合館に流出するおそれがあります。

当社としては、できる限り厳密な興行収入の予測を立てるとともに、大手配給会社と契約し、ヒットする可能性の高い作品を上映できる仕組みの構築に努めております。それらのヒットが見込める作品のPRに力を入れるとともに、上映スケジュールも弾力的に編成し、最大限の興行収入が得られるよう努力してまいります。

(2) 賃貸ビルの稼働状況等

賃貸ビル市場は、景気動向等により、既存賃貸ビルの賃料低下や空室率の上昇といった問題が生じ、賃料収入が減少する可能性があります。また、当社テナント店舗の営業エリアにおいて、同種の商品・サービスを提供する他施設の店舗との競合により、テナントの売上が減少し、ひいてはテナントが退去するおそれがあります。

当社としては、適切な投資計画の実行によりビル機能を維持・向上させるとともに、ビル管理経費の節減を図る一方、賃料については相場に応じた適正化を進めてまいります。また、テナント店舗と他施設店舗との競合については、当社ビルの広告・宣伝を強化し、テナントとの共同キャンペーンを開催するなど販売促進を支援する一方、他施設と共存共栄できるテナント構成を目指しております。

(3) 固定資産の減損会計適用の影響

今後、当社保有資産において、興行収入や賃料等の減少、地価の大幅な下落、使用目的の変更等により減損損失が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社としては、収益の確保に全力を傾けるとともに、周到な事業計画の策定を通じて、減損損失発生の回避に努めてまいります。

(4) 情報システムの管

高度な不正アクセス等により重要な営業情報や財務情報等の破壊・流出が発生し、業務への支障や停滞を招くほか、信用失墜等による売上高の減少等が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社としては、情報システムのハード・ソフトの適切な管理、ファイアウォールやウイルス対策ソフト等の導入、IT統制、社員教育等により、不正アクセス等の防止を図るとともに、万一発生した場合に備え、データ等のバックアップ、迅速・適切な対応をとれる体制の整備等により、リスクの軽減に努めてまいります。

(5) 個人情報の管理

シネマ会員情報、顧客情報、株主情報等多くの個人情報を保有しており、システム上のトラブルや高度な不正アクセス、不適切な取扱い等により、情報漏洩が起こる可能性があり、万一、漏洩が発生した場合には、被害者に対する損害賠償や信用失墜に伴う売上高の減少等が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社としては、情報システムへの外部からの不正アクセス等を防ぐため、専用ソフト等によるセキュリティ対策を講じているほか、個人情報の取扱いについては、取得、利用、保管等について社内ルールを設け、個人情報管理委員会を設置して管理状況を監視しております。さらに、定期的な研修会を通じて、必要以上の個人情報を取得しないなど個人情報保護に関する従業員の意識を高め、漏洩防止に努めております。

(6) 法令の改正

建築基準法、消防法、ビル衛生管理法、省エネルギー法等建物管理に関する法令並びに興行場法等その他の法令の規制を受けております。これら諸法令は、常に政策目標によって改正される可能性があり、今後、特に環境政策に沿った新たな法令改正等も予想されます。その場合、改正内容によっては、追加的な改修工事の必要性やビル管理費の増加を招くことがあります。

当社としては、法令に関する情報収集に努め、改正の動きが見られるときは適切な対応を検討するとともに、法令遵守を徹底するため、社内研修や内部監査を実施しております。

(7) 大規模感染症の影響

大規模感染症が発生した場合、臨時休館や間隔を空けた座席販売、上映予定作品の公開延期、空室率の急激な上昇と空室期間の長期化、賃料収入の減少など、大幅な業績悪化を招くおそれがあります。

当社としては、コロナ禍において徹底した感染拡大予防策に取り組んだ経験を生かして、大規模感染症に対するリスクの軽減に努めてまいります。また、アポロビル及びルシアスビルにおいて経営環境の変化に対して適応力が高いテナント構成への見直しを進めてまいります。

(8) 食品衛生上の問題の発生

当社は、「あべのアポロシネマ」の売店において飲物、軽食、菓子等を販売しており、これらの食品から食中毒が発生した場合、損害賠償や慰謝に費用を要するほか、信用失墜による売上減少により、業績に影響が出るおそれがあります。

当社としては、HACCAPに沿った衛生管理体制を整えるとともに、従業員に対し食品衛生に関する教育を徹底し、食中毒の未然防止に万全を期しております。

(9) 大規模災害、大規模事故の発生

当社の所在する地域において、東南海・南海地震と津波、上町断層の直下型地震のリスクが予想されており、当社保有資産及び管理物件に甚大な被害を受ける可能性があります。当社の事業拠点があべの1ヵ所に集中していることから、被災状況によっては、経営上の深刻な危機に発展するおそれがあります。また、当社保有資産及び管理物件において、火災やテロが発生し、規模によっては大きな損害が生じる可能性があります。

当社としては、アポロビルの耐震補強工事を平成31年1月に完了しているほか、地震対策マニュアルを整備するなど地震及び津波に備えた防災対策を推進しております。さらに、定期的に防火・防災訓練を実施するなど危機管理体制の強化に努めており、お客様の安全の確保を第一に考え、災害や事故の被害を最小限に留めるための安全対策を講じております。

(10) 気候変動の影響

近年の気候変動の影響を受け、大型台風や豪雨による風水害の発生リスクが高まっています。それらによる建物の破損、浸水等で施設に損害が生じるおそれがあり、業務への支障や停滞を招くことが想定されます。また、猛暑等の異常気象により空調に使用するエネルギーコストが嵩むおそれがあるほか、法令改正等による規制強化が実施されると、大規模な設備投資が必要となる可能性があります。

当社としては、風水害については、起こり得る被害を想定し、随時建物の整備や対策工事を実施しているほか、エネルギーコストの増大については、設備機器の効率的運用等によりその削減を図るとともに、国や自治体の方針に沿った環境目標を策定し、CO2削減や省エネルギーに向けて、空調機更新等の設備投資を計画的に実施しております。

(11) エネルギーコストの上昇

国内外の情勢変化に起因する電気料金等のエネルギーコストの上昇は、当社の利益減少の要因となります。

当社としては、供給会社との価格交渉を行うとともに、ビル空調機器の計画的な更新や照明器具のLED化等による省エネルギー化を進め、費用の抑制に努めております。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、企業体質の強化及び将来の事業展開等に必要な内部留保を確保しつつ、安定配当を継続維持することを基本方針としております。

また、期末日を基準とした株主総会決議による年1回の配当を継続していく所存であります。

この方針に基づき、当期の配当については、1株当たり10円の配当を行うことに決定いたしました。

内部留保資金については、経営基盤の強化と事業の拡大を図るため、効率的な設備投資等に充てていきたいと考えております。

なお、当社は取締役会の決議により、毎年7月31日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たりの配当額(円)

令和6年4月25日

定時株主総会決議

27,881

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