2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    52名(単体) 843名(連結)
  • 平均年齢
    39.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    8.0年(単体)
  • 平均年収
    7,505,069円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    2.7%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

1.人材戦略

当社グループは、プロフェッショナル人材の多様性・公平性・包摂性(DE&I)を高め、一人ひとりが専門性を発揮しながら活躍できる組織づくりが、顧客価値の創出及び企業価値の向上につながるものと捉えております。

この考えのもと、当社グループの人材戦略は、多様な人材の採用と早期戦力化、専門性と総合性を兼ね備えた人材の育成、AI活用を含む生産性向上、多様な人材が長期にわたり活躍できる環境整備、を中核として推進しております。

世界中から優秀なプロフェッショナル人材が集まる組織を目指し、個人と組織のパフォーマンスを最大化する人的資本への投資を、将来の収益力及び企業価値向上につながる中長期投資と位置づけ、戦力化状況、生産性、定着・エンゲージメント等の指標を用いて進捗を管理しております。2026年3月期においては、従業員数843名*、DE&I(男女)比率は男性50.2%・女性49.8%*、定着率89.5%、育児休業等取得率100%(男女とも)を達成しており、採用・育成及び定着・活躍の両面で着実な進捗を確認しております。

「唯一無二のグローバル経営コンサルティングファーム」の実現において、ストラテジー&ドメイン、デジタル・DX、HR、ファイナンス・M&A、ブランド&PRの5領域における専門性と、領域横断で顧客課題を構造化し成果創出まで導く総合性を兼ね備えた人材の確保・育成を、人材戦略の根幹と位置づけております。

 

2.人材育成方針

当社グループは、経営戦略の実行を担うプロフェッショナル人材の継続的な輩出を目的として、人材育成を「早期戦力化」「専門性の深化」「総合性の獲得」「次世代リーダー育成」の4つの観点から推進しております。

育成の中核にはTCGアカデミーを位置づけ、階層別・職種別・専門領域別の学習機会を体系化するとともに、学びたいテーマをいつでも・どこでも・誰でも受講できるクラウドコンテンツを整備し、自律的な学習環境を提供しております。研修受講にとどまらず、案件アサイン、上司・メンターによるフィードバック、認定制度、クロスアサイン等を通じて、実務で成果を発揮できる状態までを育成成果として管理しております。2026年3月期においては、コンサルタント数778名*、パートナー・リーダー職79名、キャリア採用管理職比率79.1%を達成し、専門人材の計画的な拡充が着実に進んでおります。

また、当社グループは、専門性のみならず、複数領域を横断して顧客課題を捉え、チームとして成果を生み出す総合性を重視しており、複数専門性の獲得やチーム運営力、提案力、実行推進力を高める育成にも取り組んでおります。

 

3.社内環境整備方針

当社グループは、社員の心身の健康が企業価値向上の基盤になると考えております。この考えのもと、コーポレートウェルビーイングを目指した健康経営を推進するとともに、相互尊重に基づく組織風土の醸成、率直な対話の促進、を活用した生産性向上を一体的に推進しております。

こうした基盤のうえに、多様なプロフェッショナル人材が、長期にわたり高い成果を創出できるよう、働きやすさと働きがいの両面から社内環境の整備を進めております。具体的には、柔軟な働き方の実現、マネジメント品質の向上、エンゲージメント向上施策、DE&Iの実装を一体的に進め、ライフステージの変化があってもキャリア継続と成果創出の両立が可能となる環境づくりに取り組んでおります。

2026年3月期においては、定着率89.5%、育児休業等取得率100%(男女とも)・復帰率90%、有給休暇取得率71.8%、女性管理職比率38.6%を達成するとともに、健康診断・人間ドック受診率100%、ストレスチェック受検率91.3%、アブセンティーズム1.6日を維持しており、エンゲージメント、離職、制度利用、健康関連指標等を用いて継続的に改善しております。

 

4.給与・報酬の決定方針

当社グループは、事業戦略の実現に必要なプロフェッショナル人材の確保・定着・成長を支えるため、外部競争力と内部公平性の両立を基本方針として、従業員の給与・報酬を決定しております。

給与・報酬は、主として、役割・等級・専門性・成果・行動の5要素を踏まえて構成しており、短期的な売上のみならず、顧客成果、チームでの価値創出、人材育成への貢献、コンプライアンスの遵守等も総合的に評価に反映しております。また、事業戦略上重要な専門領域については、市場水準や採用競争環境を勘案しつつ、必要に応じて報酬水準を見直しております。加えて、社員の継続的な成長を促す観点から、昇格・昇給や役割拡大を通じた処遇向上を図っております。2026年3月期においては、株式会社タナベコンサルティンググループ及び株式会社タナベコンサルティングの合算における平均年収は7,905,357円となりました。また、新卒初任給については、将来のプロフェッショナル人材の確保・育成に向けた重要な投資と位置づけ、大学卒の初任給を年俸4,212,000円としております。

当社は、給与・報酬の決定方針が、短期成果への過度な偏重を招かず、中長期の顧客価値創出と人材育成を促進する仕組みとなるよう、継続的に見直しを行っております。

 

*は当社グループ全般に関する目標指標及び成果であり、その他は当社及び株式会社タナベコンサルティングに関する目標指標及び成果を表記しております。

 

 

項目

INPUT

ACTION

OUTPUT

 

OUTCOME

人的資本を高めるための

主な投資テーマ

主な取り組み

2026年3月期の取り組み成果等

 

採

用

・

育

成

・多様な人材の採用と早期戦力化

 

・専門性と総合性を兼ね備えた人材の育成

・ダイレクトリクルーティングを活用したセグメント別コンサルタント採用の推進

・若手・中堅・管理職を問わずコンサルタントが個別面談や内定者フォローに対応し、学生をサポート

・TCGアカデミー(企業内大学)を起点とした新卒・キャリア入社1年目のオンボーディングプログラム

・成功事例/ノウハウなどのナレッジデータベース、TCGアカデミー(企業内大学)の専門学部によるコンサル専門スキルコンテンツ拡充、セグメント別「プロフェッショナル研修」など、コンサルタントの専門性向上を支援

・各セグメント及びグループ会社とのクロスアサインによる成果の発揮機会及びその報奨制度の新設

・パートナー対象の「リーダーシップ研修」によりマネジメント能力向上を支援

・従業員数        843名(800名)*

・コンサルタント数      778名(600名)*

・パートナー・リーダー職  79名(100名)

・キャリア採用管理職比率 79.1%(70%)

・女性採用比率      40.0%

 

( )内に記載の数値は、

 2026年3月期目標を記載しております。

 

Purpose

 

その決断を、

愛でささえる、

世界を変える。

活

躍

・

定

着

・AI活用を含む生産性向上

 

・多様な人材が長期にわたり活躍できる環境整備

・ハイブリッドワークの実施、オフィス環境の改善、電子機器のアップデート及び業務システムの導入など、働き方改革の推進によるコンサルタントの生産性向上

・統合人事データ基盤の確立による離職理由の分析・把握

・ワークスタイルチェンジ・短日短時間勤務・子育て休暇・エフ休暇・ビジネスファッションコードの導入など、柔軟な働き方の施策実装によるライフステージを問わないキャリア継続環境を整備し、あわせて男性育児休業の取得を積極的に推進

・キャリア支援シートの活用・フィードバック面談・チームワークサポートの実施による、エンゲージメントの維持向上及び管理職マネジメント品質の平準化

・アサーション研修・アンガーマネジメント研修の実施など、心身の健康と多様性の活用を推進するコーポレートウェルビーイング及びDE&Iの取り組みの実装

・女性比率          49.8%*

・女性管理職比率       38.6%

・定着率           89.5%

・有給休暇取得率       71.8%

 年間平均有給休暇取得日数  11.6日

・育児休業等取得率      100%

 男女育児休業等取得率  男性100%

             女性100%

 育児休業復帰率        90%

・健康診断・人間ドック受診率 100%

・ストレスチェック受検率   91.3%

    (高ストレス者率)   14%

・アブセンティーズム     1.6日

 

*は当社グループ全般に関する目標指標及び成果であり、その他は当社及び株式会社タナベコンサルティングに関する目標指標及び成果を表記しております。

 

 

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

2026年3月31日現在

事業名

従業員数(人)

 

タナベコンサルティンググループ(連結)合計

843

DE&I比率

男性

50.2%

女性

49.8%

 

 経営コンサルティング事業

791

 

 コーポレート機能(経営コンサルティング事業以外)

52

(注)1.当社グループは「経営コンサルティング事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

2.経営コンサルティング事業は、経営コンサルティング領域である「ストラテジー&ドメイン」「デジタル・DX」「HR」「ファイナンス・M&A」「ブランド&PR」「その他」に所属している従業員人数の合計値となります。

3.コーポレート機能(経営コンサルティング事業以外)は、提出会社である当社の従業員数であります。

4.前連結会計年度末に比べ、従業員数が132名増加しておりますが、主に事業拡大及び連結子会社の増加によるものであります。

5.平均臨時雇用者数は、従業員の総数の100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

②提出会社の状況及び最大人員会社の状況

2026年3月31日現在

 

会社名

従業員数

(人)

平均年齢

(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与

(円)

平均年間給与の対前事業年度増減率(%)

 

株式会社タナベコンサルティンググループ

及び株式会社タナベコンサルティング

441

38.5

8.7

7,905,357

4.0

 

株式会社タナベコンサルティンググループ

52

39.3

8.0

7,505,069

2.7

株式会社タナベコンサルティング

389

38.4

8.8

7,955,394

4.2

 

 

 

 

 

 

グローウィン・パートナーズ株式会社

102

37.1

3.6

7,812,849

6.6

(注)1.上表において、参考情報として株式会社タナベコンサルティンググループ及び株式会社タナベコンサルティングの合算情報を記載しています。

2.平均年間給与は、在籍する従業員に対して年間に支払った金額を基に算出しております。

3.当社グループは「経営コンサルティング事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

③労働組合の状況

当社グループにおいては労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

④管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の

差異

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」又は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき、公表の対象となる会社及び公表している指標等は次のとおりです。

 

 

 

 

2026年3月31日現在

当事業年度

会社名

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の

割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注)1(注)3

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

株式会社タナベコンサルティンググループ及び株式会社タナベコンサルティング

38.6

100.0

65.5

67.2

36.6

株式会社タナベコンサルティング

36.9

100.0

64.5

66.3

36.6

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

3.労働者の男女の賃金の額の差異は、当事業年度における「源泉徴収簿」の給与・手当・賞与を含めた一人あたり総支給額を男女別に算出し、男性を100とした女性賃金割合を示しております。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合など、男女間に差異があることで1名あたり賃金に差が出ておりますが、賃金制度・体系において性別による処遇差はありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

当社グループは、「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念(創業時からの不変の志)を起点とし、「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパス(貢献価値)を掲げております。

中堅企業を中心に大企業から中規模企業のトップマネジメント(経営者層)を主要顧客とし、全国主要都市10地域に常駐する業種・戦略課題・地域に精通したプロフェッショナルがチームとなり、経営戦略の策定からプロフェッショナルDXサービスによる経営オペレーションの実装・実行まで、経営の上流から下流までを一気通貫で支援しております。この「チームコンサルティング」「一気通貫の支援」により、トップマネジメントの「決断」に寄り添い(トップマネジメントアプローチ)、企業等の成功とその従業員・家族等の豊かさの実現のみならず、その企業等の商品・サービスを利用する顧客にも良い影響を与え、結果として社会全体・地域全体の発展にも貢献していきたいと考えております。そして、当社グループ自身も持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を実現していきたいと考えております。

これらの実現に向けて、当社グループは以下をサステナビリティ定義・サステナビリティ方針として掲げております。

①サステナビリティ定義

100年先の未来をともに

 

②サステナビリティ方針

a.ビジネスドクターとしての使命(経済)

社会と会社は、文字どおり表裏一体の関係にあります。当社グループは、ビジネスドクターとして「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」活動、また「経営者やリーダーの決断をささえる」ことを通じて、地域経済、日本経済、そして世界経済をより良い方向へと変えてまいります。そのためのポジティブインパクトや価値の創出を社内外で共創できる組織であり続けます。

b.社会に対するイノベーションの発揮(社会:S)

「プロフェッショナルなDE&Iは、イノベーションの源泉である」と認識し、長きに亘りビジネスドクターとして地域に根差し事業活動を推進してきた当社グループのナレッジやメソッドを生かし、顧客企業とともに社会から共感されるイノベーションを実現してまいります。未来に向けてより良い価値を創造し、広く社会に貢献してまいります。

c.プロフェッショナル人的資本価値の向上(社会:S)

「唯一無二のグローバル経営コンサルティングファーム」であり続けるためには、プロフェッショナルなDE&I推進が不可欠です。すべての人材のエンゲージメントを高め、チームで専門性と総合性を発揮できる能力開発の機会を拡充し、心身ともに健康で働きやすい環境を実現してまいります。また、世界中から多様なプロフェッショナル人材を積極的に採用し、持続可能な組織を実現してまいります。

d.ガバナンス体制の強化(ガバナンス:G)

「経営コンサルティング」活動を通じて顧客課題・社会課題を解決することにより、持続的成長及び中長期的な企業価値の向上を実現し、すべてのステークホルダーから信頼される企業になることを目指しております。そのために、経営の意思決定における健全性・透明性を確保するとともに、迅速性・効率性も高めてまいります。

e.コンプライアンスとリスクマネジメント(ガバナンス:G)

超一流の信用と高い倫理基準を維持して公正且つ誠実なビジネスを遂行できるよう、国内外のあらゆる規制に適切に対応し、経営リスクを包括的に評価できる体制の強化及び定期的な見直しを実施いたします。また、コンプライアンス教育も強化することにより、企業価値を毀損する要因を排除してまいります。

f.地球環境への配慮と対応(環境:E)

当社グループの活動はもちろん、顧客企業とともに実現していくイノベーションや共創により、地球環境に配慮した新しいビジネスモデルを構築し、同時に、地球環境に与える影響も正しく把握して適切な対策を検討・実施してまいります。そして、社会との共存共栄により、企業の繁栄と持続可能な未来を実現してまいります。

 

(2)サステナビリティに関する取組

①ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する重要事項を適切にマネジメントするために、当社代表取締役社長を責任者とするサステナビリティ委員会を設置しております。そして、目標とする指標の決定、推進体制の整備、活動計画の策定及び進捗状況のモニタリングを行ってまいります。これらの結果は、取締役会や経営会議等へ報告し、適切に管理・監督を行ってまいります。

 

②戦略

当社グループでは、現状以下の3点をサステナビリティ重要項目と設定し、取り組みを推進しております。

a.気候変動対応

気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)の各報告書、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の世界エネルギー展望(World Energy Outlook)、その他関連情報を参照し、気候変動のリスク及び機会がもたらす組織のビジネス・戦略・財務計画への影響を1.5℃シナリオ(IEA NZE2050)及び4℃シナリオ(IPCC RCP8.5)の下で識別しております。また、リスクに関しては移行リスクと物理的リスクに大別してシナリオ分析を行っております。1.5℃(IEA NZE2050)シナリオでは移行リスクと機会、4℃(IPCC RCP8.5)シナリオでは物理的リスクのみが対象となっており、移行リスク・機会・物理リスクの3項目を網羅するために2つのシナリオを使用しております。

気候関連のリスク及び機会を識別するにあたっては、上記のとおりリスクを移行リスクと物理的リスクに大別したうえで、さらに移行リスクを現行の規制/新たな規制、法規制、技術リスク、市場リスク、評判リスクに、また物理的リスクを急性リスクと慢性リスクに分類しております。機会については、機会を市場、レジリエンス、資源の効率性、エネルギー源、製品・サービスに分類しております。これらの分類ごとに、当社グループの調達と売上高に対する財務的影響の大きさを短期(0~1年)、中期(1~3年)、長期(3~10年)の時間軸で定性的に評価・分析し、リスクと機会が組織に与える影響を把握しております。

以下のとおり、1.5℃シナリオでは、新たな政策や技術の導入、市場価格の変動、原材料価格の高騰等による影響が、特に当社グループの主要な売上先である製造業等の分野に対して中期から長期にわたって生じ、調達コストの増加や顧客の購買力の低下を通じて財務的なリスクになると認識しております。特に、GX―ETSの本格導入が2026年度から開始されるため、規制に関しては短期的なリスクも増加しております。他方、前回分析時よりも低炭素製品や低炭素電力の価格が中長期的に下がることが予想されることから、脱炭素のコストが低くなると考えられるため、法規制(訴訟)・技術・市場・評判リスクでは前年度よりも影響度が低減しております。

機会について、前回分析時よりも低炭素製品等の価格が低くなるため、これらの製造事業者にとっては機会が減ることが予測され、前回分析時よりも影響度が低くなっております。他方、低炭素な製品や原材料を使用する産業では、中長期的に開発・製造コストが下がり市場参入が促され、気候変動に適応した新たな技術やエネルギー開発が進むことから、その点では機会の向上を通じて中期から長期にわたり財務への好影響も生じると認識しております。4℃シナリオでは、自然災害や気温上昇による影響が長期に及び、特に売上高実績の比率が高い商業や製造業では、製造拠点や販売拠点に影響が及ぶことで調達コストの増加や製品・商品納期の長期化が起こる可能性があるため、長期的なリスクは高くなると認識しております。

 

シナリオ分析結果(移行リスク・機会:1.5℃シナリオ、物理的リスク:4℃シナリオ)

 

リスク・機会

指標

サプライ

チェーン

影響度

(短期)

影響度

(中期)

影響度

(長期)

移行

リスク

現行の規制/

新たな規制

・カーボンプライシングの仕組み

・排出量報告義務の強化

・製品・サービスの排出量報告の義務付けと規制

調達

低

低

中

売上

中

中

高

法規制

・訴訟問題

調達

低

低

低

売上

低

低

中

技術リスク

・低排出製品・サービスへの移行

・新技術への投資失敗

・低排出技術への移行

調達

低

低

中

売上

低

中

高

市場リスク

・顧客行動の変化

・需要の不確実性

調達

低

低

中

売上

低

中

中

・原材料価格の上昇

調達

低

低

低

売上

中

中

低

評判リスク

・消費者の嗜好の変化

・業種・業界への非難

・利害関係者の懸念の高まり又は否定的な利害関係

 者のフィードバック

調達

低

低

中

売上

低

低

中

物理的

リスク

急性リスク

・台風、豪雨

・洪水

・熱波

・山火事

調達

低

低

低

売上

低

低

中

慢性リスク

・温度変化(空気・淡水・海水)

・降水パターンと降水の種類の変化(雨・雹・雪)

・海岸浸食

調達

低

低

低

売上

低

低

低

 

 

リスク・機会

指標

サプライ

チェーン

影響度

(短期)

影響度

(中期)

影響度

(長期)

機会

市場

・新市場への参入

・インセンティブ導入

・新たな資産及び場所への参入

調達

低

低

低

売上

低

中

中

レジリエンス

・再エネプログラムへの参加及び省エネ対策実施

・リソースの代替・多様化

調達

低

低

中

売上

低

中

中

資源の効率性

・効率的な輸送手段の利用

・生産・流通プロセスの効率化

・リサイクルの利用

・効率的な建物への移転

・水の使用量・消費量の削減

調達

低

低

中

売上

低

低

中

エネルギー源

・低排出エネルギー源の利用

・支援的な政策インセンティブの利用

・新技術の活用

・炭素市場への参画

調達

低

低

中

売上

低

中

中

製品・サービス

・低排出製品・サービスの開発及び拡大

・気候適応・レジリエンス・保険リスクへのソリューション開発

・R&D・技術革新を通じた新製品やサービスの開発

・事業活動の多様化

・消費者の嗜好の変化

調達

低

低

中

売上

低

中

中

 

 

b.人材戦略

人材戦略については、「第4 提出会社の状況 5.従業員の状況等(1)人材戦略に関する基本方針等」に記載のとおりであります。

c.コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループの経営コンサルティング事業を通じて社会全体・地域全体の持続的な発展を実現し、また当社グループ自身の持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上も実現していくためには、各業務執行取締役が全社的な経営視点を持ちつつ、各地域の経済・企業の実情をタイムリーに把握し、戦略的な意思決定を公正且つスピーディーに行い、リーダーシップを発揮する必要があります。これを適確且つ迅速に実行するために、当社は独立社外取締役を中心とした監査等委員が、経営の監査・監督機能を発揮する監査等委員会設置会社という機関設計の下、取締役会は業務執行取締役への大幅な権限委譲により経営の意思決定機能の機動性・迅速性を高めるとともに、取締役会の監督機能も強化してまいります。

なお、コーポレート・ガバナンスの状況については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

③リスク管理

a.気候関連リスクの管理

当社グループでは、気候変動に関わるリスクと機会について、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオの分析結果を基にサステナビリティ委員会にて、詳細な検討を行ってまいります。当社グループにとって重要な気候変動に関わるリスクと機会については、取締役会へ報告を行ってまいります。

b.総合的リスク管理への統合

当社グループでは、発生しうるリスクの発生防止に係る管理体制の整備、発生したリスクへの対応等を行うために、危機管理マネジメントを主導する全社横断組織であるコンプライアンス委員会を設置しております。

コンプライアンス委員会では、気候関連リスクを含めた全業務に係るリスク管理状況や法令遵守に関する課題を把握し、必要に応じて支援及び提言を行うとともに、対策やその有効性を検討・検証しております。コンプライアンス委員会で協議された内容は、取締役会による管理・監督の下、当社グループの戦略に適切に反映しております。

 

④指標及び目標

a.気候変動対応

<気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標>

当社グループでは、「②戦略」で示したシナリオ分析結果に示したとおり、気候関連のリスクと機会ごとに指標を設定し、これら指標の動向を分析して財務に対する影響度を評価しております。例えば、政策・法規制リスクでは、政府によるCO2排出規制の影響を指標とし、規制が強化されて調達コストが大きくなる場合には当社グループの財務に対するマイナスの影響が大きくなると判断しております。また、機会についても、例えば資源の効率性では交通・流通・建物の効率性が向上することの影響を指標とし、仮に効率性が向上して顧客の購買力が伸びると予想されれば、当社グループの財務に好影響をもたらすと評価しております。

温室効果ガス排出量(以下、GHG排出量)は、気候関連のリスク及び機会による財務的影響を測定するうえで重要な指標となります。また、その排出量を炭素価格(カーボンプライシング)貨幣価値に換算し、当社グループの財務に対する影響を分析・把握するよう努めております。炭素価格については、当社グループではJクレジットにおける入札販売価格や欧州連合域内排出量取引制度(European Union Emissions Trading System)における炭素取引価格を参照してインターナルカーボンプライシング(ICP)を行い、CO2排出が財務に与える影響を分析しております。

 

<Scope別のGHG排出量と関連リスク>

Scope別のGHG排出量について、当社グループでは、GHGプロトコルに基づいて排出量を算定しております。2025年3月期については、主要6社(株式会社タナベコンサルティンググループ、株式会社タナベコンサルティング、株式会社リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズ株式会社、株式会社ジェイスリー、株式会社カーツメディアワークス)に加え、2024年8月末より資本業務提携契約を締結した株式会社Surpassを含めた合計7社を対象としてScope別1、2、3の全項目を算定いたしました。GHG排出量実績は、以下のとおりであります。

各Scopeの算定結果については、Scope3の割合が非常に多くなっております。また、Scope3の中でも特にカテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ6(出張)の排出量が多く、それぞれScope3の72.6%、16.1%を占めております。全体の排出量の中でも大きい割合を占めるカテゴリ1では、算定に使用している環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」の中で排出係数の改定があったことにより、前年度よりも大幅に排出量が減少しております。

排出係数の改定による前年度からの排出量の減少はあったものの、カテゴリ1は、当社グループの排出量の大部分を占めており、今後炭素税が導入されScope3にも適用されることになれば、組織の大きな財務リスクになると考えられます。また、カテゴリ1は原材料調達に関わる部分であり、調達コストと直結していることを踏まえれば、GHG排出規制の強化が市場における価格変動と連動し、当社グループの財務リスクとして顕在化する可能性があると認識しております。

 

 

 

 

 

Scope3

排出量

(t-CO2)

割合

カテゴリ1

購入した製品・サービス

4,640.5

72.6%

カテゴリ2

資本財

222.1

3.5%

カテゴリ3

エネルギー関連活動

52.1

0.8%

カテゴリ4

輸送・配送(上流)

203.1

3.2%

カテゴリ5

廃棄物

27.3

0.4%

カテゴリ6

出張

1,025.8

16.1%

カテゴリ7

雇用者の通勤

167.2

2.6%

カテゴリ8

リース資産(上流)

9.1

0.1%

カテゴリ12

販売した製品の廃棄

43.6

0.7%

計

6,390.8

100.0%

 

 

 

 

 

項目

排出量

(t-CO2)

割合

Scope1

0.0

0.0%

Scope2

309.5

4.6%

Scope3

6,390.8

95.4%

計

6,700.2

100.0%

 

 

 

 

<気候関連リスク及び機会を管理する目標及び実績>

当社グループでは、シナリオ分析において明確化した指標を用いて気候関連のリスクを低減し、機会を最大化するため、気候関連のリスク及び機会の管理に取り組んでおります。また、当社のGHG排出量については、1.5℃水準に配慮し、Scope1と2のGHG排出量を2030年までに、100%削減することを目標としております。目標達成のために、これまで行ってきたビルのLED化やDX推進による紙・複合機の削減をさらに進めることで、Scope2を削減してまいります。また、今後は事業所内での使用電力の中で再生エネルギー由来の電力の割合を増やすことで、Scope2の排出量を削減してまいります。そのうえで、削減しきれない排出量については、非化石証書や再生エネルギー由来クレジットを購入することにより、オフセット(相殺)いたします。

Scope3については、調達先への働きかけ等を通じて排出量の削減を進め、カーボンニュートラルの実現を目指してまいります。その際、価格ベースの排出原単位を用いたGHG算定方法では、事業規模の拡大とともにGHG排出量が自動的に増加してしまうことから、炭素強度の考え方を参考に売上高に占めるGHG排出量のトレンドから客観的な分析を行う等、算定手法の改善にも努めてまいります。