2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。

当社グループは、リスクマネジメントシステムを導入し、各事業において顕在化、もしくは潜在化しているリスクを抽出し、リスクマネジメント規程に基づき管理を行っています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 法規制に関するリスクについて

当社グループは、警備事業等、当社グループの各種事業を実施するに当たって、警備業法並びに関係諸法令等の各種規制を受けております。

警備事業において当社グループ各社は、本社所在地を管轄する公安委員会から同法に基づく警備業の認定を受け、5年ごとの更新手続きを行う必要があります。

また、警備業法により警備員指導教育責任者の選任届出や警備に係る各種検定資格者の配置義務が規定されております。当社グループは検定資格者の配置基準数を上回る資格者を有しておりますが、引き続き資格取得の促進を図っております。

その他、機械警備業務や工事・機器販売に係る契約先への警報機器の設置工事につきましては、建設業法の規制を受け、また、輸送警備業務におきましては貨物自動車運送事業法等の規制を受けております。

これらの関係法令に違反した場合、処罰の対象となり、営業停止等の行政処分を受ける可能性があります。

ビルメンテナンス事業、不動産事業に加え、各種業務面においても、労働法令をはじめとした必要な関係諸法令等の各種規制を受けております。これら当社事業に関係する全ての法令については、コンプライアンス・マニュアルの「法令・ルール等遵守事項表」に基づき管理を行い、法的規制の変更について、関係当局の動向を注視し、また顧問弁護士との連携を通じ、適宜対応しております。

 

(2) 特定の売上先への依存リスクについて

当社グループは、金融機関に対する売上割合が高いため、キャッシュレスの進展、合併、統合等の再編に起因して、店舗機械警備や貴重品輸送警備、CD/ATM機を総合管理するATM管理業務等が解約、縮小となり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、金融機関の回金業務の受託等、金融機関からのアウトソーシング業務の受託等に注力することで、金融機関取引の維持、拡大に努めております。

 

(3) 特定の仕入先への依存リスクについて

当社グループは、機械警備システムの運用に係る監視センター装置について、その開発、機材等を富士通㈱に依存しています。自然災害等によりセンター装置等の故障や機材の供給に障害が生じた場合には、当社グループの監視センターの運用に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、機械警備システムの開発・保守については富士通LCMセンター(LifeCycleManagement)と24時間365日のメッセージ通報対応サービスを契約しており、障害への対応をしています。また、機器(サーバー等)については原則二重化(冗長化)又は予備機が用意されており、故障や機材の供給に対応しています。

 

(4) 受託現預金の管理リスクについて

当社グループは、ATM管理業務において主として金融機関等が設置するCD/ATM機の障害対応業務、資金管理業務、銀行店舗内現金管理業務等を行っています。また、近年売上金回収サービス業務を行っており、当社グループは資金管理業務と売上金回収サービス業務に使用する現金及び預金を受託現預金として管理しております。

業務委託先である金融機関等の経営悪化に伴い、立替資金を回収できなくなる可能性があります。この場合も当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、連休等による立替資金の長期化について、受託先の協力を得て、柔軟な対応をとっています。また売上金回収サービス業務については、信用調査等を実施し、取引を行っております。

 

 

(5) 技術環境の変化リスクについて

当社グループは、警備事業やビルメンテナンス事業において、AIやロボット等の新たな技術の導入による急激 なサービスの変化の影響を受ける可能性があります。

当社グループは、AI、ロボット等の最先端技術の調査、研究並びに新商品、サービスの企画、販売推進を行 うイノベーション推進部を設置し、技術の変化に即したサービスを提供できる体制を構築しています。

 

(6) 投資に関する価格変動リスクについて

当社グループは、株式等、価格変動リスクを有する有価証券を保有しておりますので、有価証券の価値が下落し た場合、評価損等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、経済環境、市況、保有先の業績動向、取引関係等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。

また、不動産事業において、賃貸不動産等を有しております。不動産価値は経済状況等により、価格変動のリスクを有しております。

当社グループは、経済環境や不動産市況、資産活用状況等の様々な影響等を総合的に判断し、保有の可否を判断しております。

 

(7) 情報漏洩リスクについて

当社グループは、取引先と警備請負契約等を締結する場合、関係者の氏名、住所、電話番号、警備対象物件に係 る情報等について各種情報を取得し、各種警備対応や顧客管理に必要な情報として利用しており、取引先等に係る各種情報や個人情報の社外流出、漏洩等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等につながり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、徹底した管理体制と社員教育により取引先に係る各種情報が外部に漏洩しないよう情報管理に努めております。また個人情報保護法への対応については、「個人情報保護規程」等個人情報保護に係る内部規程及び関連する会社業務規程を定め、社内への周知徹底を図っております。また、プライバシーマークを取得し、個人情報保護教育をはじめとした個人情報保護への取組を強化しております。その他、個人情報漏洩賠償責任保険に加入しています。

 

(8) サイバー攻撃リスクについて

当社グループは、監視系システムをはじめとする各種システムを活用して事業を展開しており、サイバー攻撃によるシステムダウンや情報漏洩等のリスクが存在します。

監視系システムについては、インターネットと物理的に切り離すことで、外部からの攻撃リスクを回避しています。

事務系システムについては、インターネット接続部分にファイアウォールを設置し、外部からのアクセスを原則遮断しています。

さらに、サーバー及びパソコンにはウイルス対策ソフトを導入し、リアルタイム監視を実施しています。サーバーについては、強固なセキュリティを備えたクラウド環境への移行も進めています。また、標的型攻撃メールに対する訓練として、定期的に訓練メールを配信するなど、社員への啓発活動にも取り組んでおります。

 


 

 

(9) 社員による不適切事案発生リスクについて

当社グループは、各業務において不適切な事案が発生した場合は、当該業務の解約、縮小等につながり、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼす恐れがあります。

当社グループは、コンプライアンス研修を定期的に実施するとともに、「経営理念」、「行動宣言」に加え、当社グループ役職員が取るべき具体的な行動について記した「行動指針」を制定し、これらを「TEC WAY」と総称し、朝礼等の場で唱和することで、日々の行動を律しております。また社内監査、社内アンケートにより、定着状況を確認しています。

 

(10) 人材確保リスクについて

当社グループは、警備事業、ビルメンテナンス事業等において、継続的な人材確保が必要とされております。

今後予想されている国内人口の減少により、人材確保ができない場合、持続的な業務の維持等に影響が生じる可能性があります。

当社グループは、新入社員の採用に注力し、アルムナイ採用、リファラル採用も含めた積極的な人材確保に取り組んでおります。また、女性の活躍の場を拡大しダイバーシティ&インクルージョンに取り組むとともに、離職防止のための施策として、新入社員へのメンター制度、若手社員交流会の開催、社内イベントの実施等を行っております。その他、エンゲージメント向上のために、社員の処遇改善、働き方改革、健康促進に前向きに取り組んでおり、2019年以降継続して「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を受けております。

 

(11) 大規模自然災害リスクについて

当社では、機械警備事業において、大規模自然災害のリスクがあります。

機械警備事業とは、本社監視センターを始め、各拠点の監視センターにおいて警備に係る様々な情報を遠隔で集中監視し、取引先での不審者の侵入、火災等の異常事態の発生時には直ちにパトロール員を急行させ緊急対処する業務です。この集中監視システムは、各警備対象施設と通信回線を介して接続されており、基本的には第1種通信事業者が提供するサービスに依存しています。警備先との通信については、通信の可否も監視センターで常時監視しており、何らかの理由により通信ができない状態となった場合には、その異常を検知できる仕組みを備えています。一方、監視センターやセンター装置については、通信回線の二重化を実施することで冗長性を確保し、さらにセンター装置についてはクラウドや堅牢なデータセンターに設置することで、リスクの軽減を図っていますが、東日本大震災と同等クラスの震災や大津波、大規模停電等により機械警備業務に支障が生じる可能性は否定できません。

このような事態が発生した場合、当社グループの業績や今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、こうしたリスクに備え、BCP(大規模震災・水害対策編)を策定し、定期的な防災訓練の実施や防災用品の備蓄等、継続的なリスク対策に取り組んでおります。 

 

(12) パンデミックリスクについて

当社グループは、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下「コロナ」という。)等の危険度の高い感染症が感染拡大した場合、警備事業、ビルメンテナンス事業において、社員の感染により業務の継続に支障が出るリスクがあります。

当社グループは、BCP(パンデミック編)を策定し、感染症法で規定されている「2類感染症」及び、「3類感染症」が国内で発生した場合には、直ちにBCP発動による対策本部を設置し、危機管理体制を構築しております。またマスク、消毒薬等の感染防止用品を備蓄し、業務に支障の出ない対策を講じております。予防面においては、「新型インフルエンザハンドブック」を制定し、社員に対して感染予防の徹底を行っております。

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

株主に対する利益還元は経営の重要政策のひとつとして位置付けており、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、継続的かつ安定的な配当を行っていくことを基本方針とし、併せて、業績に連動した配当(配当性向50%を目途)を行っていく方針であります。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

当事業年度の剰余金の配当につきましては、1株当たり40.00円(うち中間配当金20.00円)としております。内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開への備えとシステム投資等に投入していくこととしております。

なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。

 

基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2024年10月31日

取締役会決議

213,739

20.00

2025年6月19日 

定時株主総会決議

213,737

20.00

 

 

(ご参考)

当社は、2025年4月24日開催の取締役会において、新たな中期経営計画(第13次)策定に伴う配当方針の変更について決議いたしました。

(1) 配当方針の変更

当社は、これまで当社株式を長期的に保有いただく株主の皆様のご期待に応えるべく、配当性向を指標とした安定的な配当を実現してまいりましたが、この度、この方針をより明確にするため、配当性向に加えて「株主資本配当率(DOE)」を指標として採用することといたしました。

(2) 変更内容

変更前

配当性向50%を目途に安定配当

変更後

株主資本配当率(DOE)3.0%を下限として配当性向50%を目途に安定配当

 

(3) 変更時期

2026年3月期(第62期)より適用いたします。