2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    8名(単体) 372名(連結)
  • 平均年齢
    43.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    5.6年(単体)
  • 平均年収
    5,800,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

宿泊事業

327

(138)

その他投資事業

37

(0)

全社(共通)

8

(1)

合計

372

(139)

(注)1 従業員数は、就業人員であります。

2 従業員数の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 有価証券報告書における「臨時従業員」については、「非正規雇用労働者」の定義に適合しています。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

8

(1)

43.3

5.6

5,800

(注)1 「従業員」の範囲、「平均年間給与」の計算に用いる給与の範囲は、それぞれ、女性活躍推進法における「男女の賃金の差異」の算出の原則(「正規雇用労働者」の定義、「賃金」の定義)に適合しています。

 

セグメントの名称

従業員数(人)

宿泊事業

0

(0)

その他投資事業

0

(0)

全社(共通)

8

(1)

合計

8

(1)

(注)1 従業員数は、就業人員であります。

2 従業員数の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4 全社(共通)として記載されている従業員数は、複数のセグメントに従事しているまたは特定のセグメントに区分できない、管理部門等に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

特記事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2.

労働者の男女の賃金差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

20.0

0.0

41.0

41.0

-

(注)3.

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 労働者の男女の賃金の差異については、正規雇用の労働者によるものであります。臨時従業員(パート・有期労働者)は男性1名のため、男女賃金の割合が計算できないため計算から除外しております。当社は、常時雇用する労働者の数が100人以下でありますが、参考のため任意的に公表しております。

 

② 連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

補足説明

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

株式会社アゴーラホテルマネジメント堺

(注)2

(注)2

(注)1 当社連結子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は常時雇用する労働者の数が301人未満、101名以上であり、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表をおこなっておりません。

2 当社連結子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、常時雇用する労働者の数が301人未満であり、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表をおこなっておりません。また、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく開示項目は“男女別勤続年数の差異”としており、上記の数値を公表しておりません。なお、当事業年度に大阪労働局に提出した2022年度の“男女別勤続年数の差異”の数値は、男性従業員の勤続年数5年6カ月、女性従業員の勤続年数3年11か月でした。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社は、社長直轄の諮問機関である「Ex-com」を設置し、業務執行をおこなう取締役及び各部門の責任者で構成しています。詳細は、「有価証券報告書4.コーポレート・ガバナンスの状況等」をご確認ください。この「Ex-com」は、当社の全社的な課題、あるいは自部門における課題を共有し、その経営課題の対応方針や方向性を議論・検討することを目的としています。また、「Ex-com」の中に専門的な分科会として「サスティナビリティ委員会」を設置し、気候変動を含むSDGsに関連するリスク及び機会への取り組みの検討等を行っています。

 

(2)戦略

 世界中の国や企業が目標達成に向けて取り組んでいるSDGs[Sustainable Development Goals]持続可能な開発目標は、2030年まであと10年を切り、具体的に取り組むことは、企業としての使命であり、社会的責任でもあります。気候や資源、未来のために当社グループとして、どう貢献していくかを真摯に考え、「Ex-com」において、長期的な視点で、環境(Environment) 社会(Social) ガバナンス(Governance)に配慮したESGを推進しSDGの目標達成に取りくむ当社のマテリアリティを以下のとおり定めております。

 

・ECO CO2削減

・地域貢献社会福祉活動

・安心安全 人材育成

・地球環境を守る取り組み

・新たな価値創造と地域社会との共生

・見える化で信頼を高め企業の価値創出

 

 当社グループは、旅行・観光業に携わり、お客様、パートナー、ステークホルダーと協力してイノベーションを生み出し、未来の社会に貢献しています。ヨーロッパ発祥のSDGs(持続可能な開発目標)は、日本にも古くから伝統や文化を持つ武士道の精神など、深い歴史や哲学があります。私たちは「美しい自然、美しい四季、美しい景色、美しい日本」を通じて、伝統と創造を融合させ、地域と環境の調和を築いています。雇用と事業の創出を通じて人々を結びつけ、未来の社会に向けて「自由で持続可能な旅」を実現するために全力を尽くしています。

 COVID-19の影響を受けた4年間を経て、2023年には状況が安定し、日本は再び海外からのお客様を迎えることができました。私たちのビジョンは、「美しい日本のコレクション」をすべてのお客様に提供することであり、不動産の景観を再構築し、素晴らしい空間を創造し、会社の目標を達成するだけでなく、多くの顧客と従業員にインスピレーションを与えています。

 気候変動の影響を含みサスティナビティについて見極めることは重要であり、その機をみて攻めに転じ成長戦略とし、一方で、守りの戦略として成長・事業を阻むリスクの軽減に努めてまいりました。COVID-19によって大きな影響を受けたように、「いつ頃、何が、どの程度、生じるか」を正確に予測し、対応することは難しく、現時点で可能な範囲で把握した上で、将来どのような社会になり得るのか、長期的に持続可能な成長戦略を持ち、その時に当社はどうするのかを想定しながら、段階的に準備をすることが肝要であると認識し、グループ経営の戦略の一つとして取組みを強化し、持続的に事業計画を達成することに主眼を置いてきました。その取り組みとして、COVID-19が蔓延していた時期にアゴーラ金沢(石川県金沢市)、今井荘(静岡県賀茂郡)を閉鎖し、アゴーラ東京銀座(東京都中央区)、アゴーラ京都烏丸(京都市下京区)、アゴーラ京都四条(京都市下京区)、ONE@Tokyo(東京都墨田区)の4つの新規物件をオープンしました。このことは、外部環境の変化が当社の持続的な事業を阻むものでありましたが、その機をみて攻めに転じ、中核となる資産を獲得し、未開発の建設や資産の再配置などにより高利回りプロジェクトに資本を再投資することで、安定したキャッシュ・フローと資本の増加を生み出し大幅な投資収益が達成されました。そして、これらのホテルは海外のお客様にも人気が高まりご好評をいただいております。2024年の当社の事業収入に大きな影響を与えることでしょう。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、IPCC第6次評価報告書までに「地球温暖化の主な原因が人間活動である可能性」が極めて高いと結論づけています。また旅行・観光業による世界のGDPへの貢献度は10%を超えており、2021年11月にWorld Travel & Tourism Councilが発表した調査レポート「A NET ZERO ROADMAP FOR TRAVEL & TOURISM」によれば、現在、旅行・観光業が占める世界のGHG排出量の割合は8%~11%と推定されます。旅行・観光業は事業領域が広く、同業種に携わるものとして、地球温暖化ガス排出量の削減に取り組む責任は大きいと考え、当社は、日本政府が表明ししている2050年までの「ネットゼロ目標」を共有し、その課題達成に向けた取組みを行ってまいります。

 また、事業を問わず、当社のサステナビリティに関する他の重要課題は事業所を設置している現地との密着であります。例えば、宿泊事業において地元との持続的な関係作りは重要と考え、ホテルの新規開業の際にはその現地の町に対する贈り物と見立て、ホテルにリボンを模したデコレーション等を行っております。ホテルと地元の密接につながることにより、観光づくり、宿泊のご利用に繋がるものと考えており、ひいては、現地のおもてなしする人材の確保に繋がる重要な取り組みであると考えております。現在、大阪府堺市において建設しているホテル(大浜北町プロジェクト)は、堺市所有の土地を借りて開発を行っており、当社の開発については堺市の旧港活性化プロジェクトの一部となっており、緑化計画なども堺市と連携して進めております。また、中世以降、人・モノ・情報が行き交う国際貿易の中心地となった旧堺港について、堺市やその関係者とともに、人の賑わいの創出に協力しホテル利用、人材の確保につなげてまいります。この他にも、ホテルの従業員が地元の調理師学校などの教育施設に赴き、料理技術の講義を行う取り組みを進めており、当ホテルへの就職希望者の興味喚起および次世代の人材づくりの一助として取り組んでおります。

 

当社の人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。

 

1. 人材開発:

 ・キャリアビジョンとキャリアプランは、人材開発部門を通じて設定される

 ・専門的な知識や能力を高める研修制度を設ける

 ・資格取得支援制度を設ける

 ・月次・年次表彰により社員のモチベーションを高める

 ・キャリアアップは会社の目標や個人の課題達成と連動させる

 ・今後の目標:強みと弱みを明確に把握した上で研修を実施する

 

2. 前向きな職場環境:

 ・多面的なトレーニング、スキルアップ、人事評価のプロセス

 ・会社の目標に沿った人材配置

 ・長期的に働ける快適な職場環境

 ・女性の昇進・昇給、管理職後継者の育成

 

 エネルギッシュで騒がしく活動に満ちた不動産とホスピタリティの世界では、卓越性が成功の鍵です。会社の組織的・文化的な壁を越えて、業界に大きな影響を与えることができるより大きな領域に到達することはかなり難しいことです。どのような状況においても、私たちは常に卓越性を追求しなければなりません。卓越と平凡を区別するものは、どんな状況において可能な限り最善の結果を追求することです。ホスピタリティビジネスでは、“人”が成功のための最も重要な要素です。私たちは従業員のチームワークと仕事に全力を尽くす姿勢によって卓越した業績を達成しさらに強い企業になれると確信しています。私たちは人材の拡充と、人材への投資が不可欠だと考えています。グローバルな視野と知識を持ちながら、温かい心を持ち、アットホームで質の高いホテルサービスを提供できる人材の育成に注力していきます。そのような人材の育成を支援する組織・体制を構築するとともに、継続的な人材育成とキャリアアップを実現するための研修制度も充実させました。私たちは、人材開発部門を中心に、キャリアビジョンやキャリアプランを設定し、社内人材の育成を行っています。具体的には、新入社員研修、フォローアップ研修、アライアンスホテル間の交流研修などの育成プログラムに加え、業務遂行に必要な専門知識や能力の向上、必要な資格の取得を目的とした研修や資格取得支援制度を設けています。また、全社員を対象とした月次・年次表彰制度を設け、モチベーションの向上を図っています。人事評価制度では、会社目標に対する計画や個人業務の達成プロセスを評価することで、昇給・昇格によるキャリアアップを実現しています。今後は、上司と部下がお互いに得意なこと、足りないことを理解した状態で研修を実施できるようにしてまいります。このような多面的な研修やスキルアップ支援、人事評価プロセスを通じて、社員のキャリアプランを支援し、会社の目標に合った人材の適正配置に努めます。また、働きやすい職場環境を整備することで、社員が働きやすく、長く働ける環境をつくり、女性の昇進・昇給や管理職の後継者確保につなげていきます。

 

(3)リスク管理

 特に重要性が高いと評価した気候関連リスク・機会は、IPCCの温暖化により、今後発生する影響を示す4つのシナリオ(RCP8.5、RCP6.0、RCP4.5、RCP2.6)のうち、物理シナリオはRCP4.5シナリオ。また、移行シナリオとしては、IEA ASPシナリオおよびNEZシナリオとし、以下のような事業環境を想定しています。4℃シナリオ(RCP4.5シナリオ)は、現在の各国政府の対応が継続する前提あり、移行リスクが即時に顕在化する可能性は低いものの、中長期的には温暖化の進行により、物理的リスクが高まると予測されます。一方で、2℃シナリオ(RCP2.6シナリオ)は急速に低炭素社会に移行するため、移行リスクとしては短期的に低炭素化への対応コストが膨らむ一方、将来的な物理的リスクを低下すると予測されます。また、4℃シナリオより影響は少ないものの、都市部での豪雨により内水氾濫によって保有資産が被災する可能性がありますが、営業が出来ない深刻な状況までには至らないと考えます。

 

1)宿泊事業

 当社の主力事業である宿泊事業はホテル不動産により収益が成り立つことから、不動産に対する影響が大きいと考えております。

 

・4℃シナリオの概況

 ・各国政府目標に向けて進むが低炭素化に向けた動きは一部に限定、GHG排出削減へのインセンティブは少ない

 ・省エネ技術の進展は一部にとどまる

 ・大型台風や内水氾濫による被災例が増加するにつれ、ホテルの災害対応が必要

 ・平均気温の上昇や降水量増加により資産の劣化が早まり、ビルのエネルギー効率も悪化。水害のリスクが高いホテルへの投資は避け、水害のリスクの高いホテルを売却し、資産の入れ替えが進む。古い不動産より、新しい不動産へ、積極的にポートフォリオを入れ替える検討も必要

・宿泊運営会社への影響

 ・現状の炭素税額が維持されるが、光熱費単価は下がる要因が無い場合は、高止まり

 ・入居物件に対する環境性能の関心は低く、エコな宿泊を嗜好するホテル利用者は増加しない

 ・平均気温が上昇し、猛暑日が増え、冷房運転の強化や設備増強により電力使用量が増える

 ・水害の被災による営業日数の減少、利用者の減少

・不動産のオーナー(信託受益権含む)/金融機関への影響

 ・低炭素化は投資判断に大きくは影響しない

 ・水害の被災リスクの高い物件に対する運営費用がかさむ

 

・2℃シナリオの概況

 ・高額な炭素税が設定され、所有施設で使用するエネルギー費用が上昇する

 ・自社のGHG排出削減コストの低下の観点から、グリーンビルディングを指向する

 ・再生エネルギーの価格も上がる一方で、排出権取引が増える

 ・4℃シナリオより影響は少ないものの、都市部の豪雨により被災をする可能性がある

 ・ZEB/ZEHの拡大と所有物件の省エネ改修に関連する助成金が拡大する

・宿泊運営会社への影響

 ・高額な炭素税が設定され燃料費が上昇する。再生エネルギー需要も増え、エネルギー価格も高止まり

 ・一方で、ビルの省エネ化対応が進み、エネルギー効率が向上する

 ・エコ志向のお客様が増え1泊あたりのCO2の排出量により宿泊先が選別され、ゼロCO2旅行の需要が増える

・不動産のオーナー(信託受益権含む)/金融機関への影響

 ・物件の環境性能(認証ラベルの有無)が投資判断項目としての重要度を増す

 ・GHG排出量削減等のトラックレコードが投資判断項目として重要度を増す

 ・古い不動産の省エネ改修に対する費用、投資が増える。投資の回収見込みが立たない古い不動産を売却する

 

 物理シナリオ(RCP4.5シナリオ)では1.1~2.6℃世界の平均気温が上昇するとされ、また、世界の平均海面+0.32~0.63m、日本の降水量は+8.0~16.0%と海面上昇と降水量が増加することにより外水氾濫のリスクが高まる。GHG増加による「地球温暖化」が進み、直接的な平均気温上昇による海面上昇や台風の大型化などによる洪水、高潮などの大型自然災害だけでなく、都心部のヒートアイラインド化やエルニーニョ/ラニーニャ現象の大気・海洋変動の活発化等により、ゲリラ豪雨、線状降水帯による豪雨の増加による自然災害の激甚化や発生頻度の上昇に伴い、当社の事業を運営する施設が被災することにより、営業休止や、事業資産の被災など財務的影響を受ける可能性があります。特に、内水氾濫による浸水リスクは、シナリオの選択を問わず、日本の都心部や地域にてすでに発生しているものであり、その予測は困難です。そのような状況の中、運営受託による運営ホテルを含む自社グループは、施設のある場所には、どのような災害の影響があるかハザードマップ上で想定される浸水深さの再評価を行っております。また、気候変動に限らず、一部ホテルにおいては、自治体との間で災害時の協力協定を締結するなど、自然災害とその対策について協力・協議をしております。

 次に、移行リスクについては、平均気温が1年を通じて全体的に暖かくなり、夏場の猛暑日が増えることが予測され、三菱総研株式会社が2012年に丸善プラネットから発刊した「気候変動リスクに備える」によれば、2011年に東京電力が公表した資料を基に、夏場の平均気温が1度上昇することにより0.75%の電量消費量が増える予測もあります。エネルギー効率の良い機器や、AI等を使ったエネルギー効率向上のインフラ設備も開発され、一概にその予測値通りの電力消費表が増加するとは必ずしも言えないものの、全体的にエネルギー使用量の増加が見込まれます。また、政府により炭素税(地球温暖化対策のための税)の設定、本格的なカーボンプライシングの導入も検討されており、原発の再稼働も見通せないことから、特に2度シナリオにおいて、エネルギー費用は徐々に増加方向にあると考えております。そして、気候変動に伴い、デング熱、マラリアの感染リスクが高まるほか、新たに二類感染症が蔓延するリスクがあります。そのようなケースは、外国からの訪日外国時旅行者も途絶え、新型コロナウイルスと同様に、最低限の国内移動者のホテル利用となれば、売上高が大きく減少し、激甚な財務損失を招く可能性もあります。

 

事業インパクトが自社のP/LやB/Sに与える項目の整理と試算式

・売上高への影響(4℃シナリオ/2℃シナリオ)

 ・異常気象の激甚化による収入減

  過年度の災害による収入減(円/年)×過年度の災害営業制限継続日を基準とした変化率(%)

 ・豪雨等の頻度の変化による避難需要の収入増

  避難需要頻度×稼働率×部屋数×平均客単価(ADR)×避難需要時の単価上昇率

 ・二類感染症の増加により収入減

  過年度のコロナ収入減(円/年)×過年度の行動制限継続日を基準とした行動制限日の変化率(%)

・費用への影響(4℃シナリオ/2℃シナリオ)

 ・炭素税の増減による費用増減

  炭素価格(円/tCo2)×Scope1,2排出量

 ・エネルギー価格の増減による費用増減

  平均気温の変化量×燃料使用量(L/年)×燃料価格変化率(%)

  燃料使用量(L/年)×燃料価格変化率(%)

  一次エネルギー消費基準に準じる

 

・純利益への影響(4℃シナリオ/2℃シナリオ)

 ・洪水被害

  想定浸水深×直接・間接洪水被害

  過年度の洪水被害額(円/年)×洪水に頻度増加による被害額の増加率(%)

  異常気象の激甚化被害増

 

今後、各リスクの事業インパクトが自社のP/LやB/Sに与える項目の整理と試算式に関し、網羅的な分析・検討を行いその解決策および行動計画を策定してまいります。

 

2)霊園事業

・4度シナリオ

 霊園事業

 ・マレーシアでの平均気温の上昇により都市部の温暖化が進み、死亡率が増加する

 ・墓地需要が高まり大規模な区画の墓地よりも、納骨堂など小規模の需要が高まる

 

・2度シナリオ

 霊園事業

 ・CO2の排出観点から、現地政府からの火葬が制限される

 ・大規模な森林開発に制限が掛けられる

 ・CO2の排出権と墓地を組み合わせたゼロCO2墓地の商品が増える

 ・炭素税が増加する

 

 マレーシアにおける当社グループの霊園事業は、マレーシアの首都クアラルンプールの中心部から北西に約23km離れたセランゴール州ラワン地区にあります。同州は実体経済に支えられた中間層が多く、経済活動が活発な地域です。この霊園事業は、首都近郊の森林地帯において約250エーカーの開発許可を得て行われており、その約30%が開発されています。また、この開発は、森林再生によって周囲の自然の景観美を保つように管理されており、水源の確保、開発区域内の河川の整備など、周辺の美しい自然を保全する形で開発が進められてきました。

 近年は伝統的な土葬だけでなく、価格的にも手頃な納骨堂やニッチ(特別に設けられた恒久的な窪み)に遺骨を安置する方式も選ばれています。火葬されたご遺骨は、一定の区画の土地上により多く安置されます。これは、従来の地域の宗教観に基づく土葬ではなく、火葬が選ばれるようになってきたことを示しており、このことにより土葬用区画向けに森林地帯を大規模に造成するだけではなく、納骨堂やニッチを建設することで土地の効率的な利用につながり、開発区画をより適切な管理をもって森林開発を進めることとなり、GHG排出量を削減する環境にも優しい開発も可能になっていく可能性があると考えております。また、現地とのコミュニケーションを密にすることで、開発上や運営上にて想定されるリスクをコントロールし業績向上およびCO2削減への貢献に努めてまいります。

 

・事業インパクトが自社のP/LやB/Sに与える項目の整理と試算式

 売上高への影響(4℃シナリオ/2℃シナリオ)

 ・都市部の温暖化の進行により霊園需要の増加

  温暖化の温暖上昇率×死亡増加率×競合他社とのシェア×基準年利用者数×平均単価

 

・費用への影響(4℃シナリオ/2℃シナリオ)

 ・炭素税の増減による費用増減

  炭素価格(円/tco2)×Scope1,2排出量

 ・エネルギー価格の増減による費用増減

  平均気温の変化量×燃料使用量(L/年)×燃料価格変化率(%)

  燃料使用量(L/年)×燃料価格変化率(%)

  一次エネルギー消費基準に準じる

・純利益への影響(4℃シナリオ/2℃シナリオ)

 ・洪水被害

  想定浸水深*直接・間接洪水被害

  過年度の洪水被害額(円/年)×洪水に頻度増加による被害額の増加率(%)

  異常気象の激甚化被害増

 

今後、各リスクの事業インパクトが自社のP/LやB/Sに与える項目の整理と試算式に関し、網羅的な分析・検討を行いその解決策および行動計画を策定してまいります。

 

3) 当社事業におけるリスクと機会

リスク項目

当社事業

評価

リスク

機会

移行リスク

法規制

炭素税の増額

東京都ゼロエミ目標

宿泊

その他投資

炭素税の増加によりコスト増加

不動産の省エネ化助成金を受給

技術

再生エネルギーを購入しない・ZEB化、技術進歩に遅れる

宿泊

その他投資

エネルギーコスト増加

不動産の省エネ化助成金を受給

市場

原油価格の変動

宿泊

その他投資

エネルギーコスト増加

エネルギーコスト減少

市場

感染症の増加

死亡者数の増加

宿泊

その他投資

特定感染症が増えると移動・宿泊制限

霊園需要が高まる

評判

環境配慮商品を求める嗜好が強まる

宿泊

その他投資

当社の環境配慮商品が見劣り競合負

環境配慮商品がヒット

物理リスク

急性

高潮、台風の大型化、外水氾濫

宿泊

その他投資

地下・地上階に浸水

宿泊施設への避難所需要増加

慣性

内水氾濫
都市部の熱帯化

死亡者数の増加

宿泊

その他投資

エネルギーコスト増加、
旅行先の変更

熱帯化、特定感染症の増加による霊園需要増加

 

4)当社事業における選択シナリオと指標

 

 

2030

2050

出所/シナリオ

2℃

4℃

2℃

4℃

移行リスク

法規制

炭素税の増額

東京都ゼロエミ目標

炭素価格:135USD/tCO2,

東京都

エネルギー消費量を35%削減(2000年度比)

炭素価格:90USD/tCO2(EU)

炭素価格:200USD/tCO2,

東京都

エネルギー消費量を35%減少(2002~2007年対比)

炭素価格:113USD/tCO2(EU)

RCP2.6

IEA WEO ASP(2℃)

RCP 4.5

IEA WEO STEPS(4℃)

東京都

技術

再生エネルギーを購入しない・ZEB化、技術進歩に遅れる

-

-

2050年に住宅・建築物のストック平均でZEH4・ZEB5基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す。

-

経済産業省 資源エネルギー庁第6次エネルギー基本計画

市場

原油価格の変動

64USD/Barrel

82USD/Barrel

60USD/Barrel

95USD/Barrel

RCP2.6

IEA WEO ASP(2℃)

RCP 4.5

IEA WEO STEPS(4℃)

市場

平均気温の上昇

感染症の増加

死亡者数の増加

日本 平均気温:0.76℃

日本 平均気温:1.04℃

日本 平均気温:1.08℃

 

地球が産業革命前から2度上昇した場合、高温による年間死者数が2050年までに370%増加

日本 平均気温:2.13℃

環境省 地球温暖化と感染症-いま、何がわかっているのか?

世界銀行“Climate Change Knowledge Portal”日本-平均予測の専門家|気候変動ナレッジポータ(worldbank.org) 2023年2月更新

評判

環境配慮商品を求める嗜好が強まる

炭素価格:135USD/tCO2,

炭素価格:90USD/tCO2(EU)

炭素価格:200USD/tCO2,

炭素価格:113USD/tCO2(EU)

RCP2.6

IEA WEO ASP(2℃)

RCP 4.5

IEA WEO STEPS(4℃)

物理リスク

急性

高潮、台風の大型化、外水氾濫

洪水発生確率約2倍

降雨量
約1.1倍
流量
約1.2倍

洪水発生確率約4倍

降雨量
約1.3倍
流量
約1.4倍

洪水発生確率約2倍

降雨量
1.1倍
流量
約1.2倍

洪水発生確率約4倍

降雨量
約1.3倍
流量
約1.4倍

国交省 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会「気候変動を踏また治水契約の在り方 提言」令和3年4月改定

環境省「気候変動閉胸評価報告書」

慣性

内水氾濫
都市部の熱帯化

死亡者数の増加

日本 平均気温:0.76℃

 

平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

日本 平均気温:1.04℃

 

平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

日本 平均気温:1.08℃

 

日本 平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

 

地球が産業革命前から2度上昇した場合、高温による年間死者数が2050年までに370%増加

日本 平均気温:2.13℃

 

平均気温1度上昇につき、年間消費電力料0.75%増加

世界銀行“Climate Change Knowledge Portal”日本-平均予測の専門家|気候変動ナレッジポータ(worldbank.org) 2023年2月更新

Phronesis08 2-044:エネルギー気候変動リスクにそなえる 三菱総合研究所編著 丸善プラネット2012

The 2023 report of the Lancet Countdown on health and climate change: the imperative for a health-centered response in a world facing irreversible harms’November 14, 2023、The Lancet

 

(4)指標及び目標

 当社のホテル運営に係るSCOPE1、SCOPE2に該当するCO2排出量として、省エネ法および東京都条例で定める温室効果ガス排出量 算定・報告・公表する制度に基づき、ホテル運営のエネルギー使用状況、省エネの進捗状況報告書を毎年提出し、環境への負荷についてモニタリングし、その低減に努めています。

 ホテルアゴーラリージェンシー大阪堺を運営する当社子会社のアゴーラホテルマネジメント堺は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づき、全体のエネルギー使用量(原油換算値)が合計して1,500k/年度以上である特定事業者としてエネルギーの使用量およびCO2発生量を近畿産業経済局長宛に報告しており、2023年に報告したCO2の排出量は以下の通りであり、また、アゴーラプレイス東京浅草およびアゴーラ東京銀座の2ホテルが入居する不動産を保有する当社子会社のヴァルゴ合同会社は、東京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例 (環境確保条例)に基づき、東京都にエネルギー使用量およびCO2発生量を報告しており、2023年に報告したCO2の排出量は以下の通りです。

提出者(注4)

事業所名(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

tCO2

ヴァルゴ

合同会社

アゴーラプレイス 東京浅草

(東京都台東区)(注)2

宿泊事業

ホテル・事業所

280

(注)5

アゴーラ 東京銀座
(東京都中央区)(注)2

宿泊事業

ホテル・事業所

230

(注)5

株式会社アゴーラホテルマネジメント堺

ホテル アゴーラ リージェンシー 大阪堺

(大阪府堺市堺区)(注)3

宿泊事業

ホテル・事業所・店舗

3,149

(注)5

(注)1 国内子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント東京に貸与されております。

2 国内子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺に貸与されております。

3 いずれも不動産信託受益権を保有しておりますが、会社名は法律・条例に基づき提出者の名称を記載しております。

4 いずれも2022年の原油換算エネルギー使用量から算出したCO2を2023年に各行政窓口に提出しております。

 

 2023年の実験的な取り組みとして、国内の旅行会社と連携しホテル事業者として排出される1泊あたりのCO2排出量として会計データおよび宿泊延べ人数から算出いたしました。ホテルアゴーラリージェンシー大阪堺の2022年CO2排出量(Scope1、Scope2、Scope3)は4,354.30tco2、宿泊者1人あたり50.04㎏でした。なお、このCO2排出量は「DTS Ver.1.0」により算出しています(「DTS Ver.1.0」のCO2排出量算定システムは、ISO14064-3:2019を参考に第3者より妥当性の確認を受けている「環進帳Ver.2.1」に基づくシステムです。※DTS及び環進帳は、株式会社バックキャストテクノロジー総合研究所が開発・提供するクラウドサービスです)。ホテルの事業運営については、不動産所有直営方式、リース・テナント方式、運営受託方式など経営方式により違います。一方で、主に施設や設備のエネルギー消費により発生するCO2(SCOPE1,2)と、主に運営サービスにより発生するCO2(SCOP3)とでは発生量が大きく異なります。当社は、不動産信託受益権による資産を自社保有しつつ、ホテル運営する場合、リース・テナントとして運営する場合、運営にあたり一切の不動産や営業許可をもたず、ホテルのサービス提供部分の提供のみに特化する場合など、複数の経営方式に細分化されホテル業を運営しております。そのため当社の宿泊事業全体から排出されるCO2の集計範囲やその測定方法の妥当性の検討が必要であり、有効な削減には経営方式毎に見合った適切な方法による削減が必要と考え、今後もその適正な方法を検討してまいります。

 当社は日本政府が表明ししている2050年までの「ネットゼロ目標」を共有しております。その課題達成に向けた取組みとして、ビルの老朽化に伴い適切な設備機器の更新を行っております。当社子会社の株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、省エネ法に基づき定期報告を提出にもとづくエネルギー使用量の省エネ指標(ベンチマーク指標)において、ホテル業が中長期的に目指すべきベンチマークより下回ったためS評価を受けております。

 

会社名

ホテル業の
ベンチマーク

2019

2020

2021

2022

2030

S評価

S評価

S評価

S評価

目標

株式会社アゴーラ
ホテルマネジメント堺

0.723

0.65

0.533

0.511

0.534

0.64

 

2030年に向けて、ホテルアゴーラリージェンシー大阪堺は老朽化が進みますが、ホテル業が目指すべきベンチマークである0.723よりも低い0.640を目指すべく、照明のLED化、空調冷温水ポンプへの省エネルギーシステムの導入、高効率ボイラーへの更新、蒸気式給湯器を一部HO給湯器に更新するなどの施策を進めております。また、非化石エネルギーへの転換としてオフサイトPPAなどの導入も検討してまいります。また、現在、大阪府堺市において建設しているホテル(大浜北町プロジェクト)は、CASBEEに準拠した計画をおこなっており、堺市に堺市建築物環境計画書を提出しております。

 

 当社の子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律第8条第1項又は第7項の規定に基づき、一般事業主行動計画を策定する事業会社であります。働きやすい職場、家庭生活と両立しやすい職場とすることを目指し、その目標を、“男女とも勤続期間を5年以上とする”とし、2023年12月に大阪労働局に提出いたしました。当社連結子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、常時雇用する労働者の数が301人未満であり、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表をおこなっておりません。また、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく開示項目は“男女別勤続年数の差異”としており、上記の数値を公表しておりません。なお、当事業年度に大阪労働局に提出した2022年度の“男女別勤続年数の差異”の数値は、男性従業員の勤続年数5年6カ月、女性従業員の勤続年数3年11か月でした。

 

提出者

事業所名(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

勤続期間
男性 注2

勤続期間
女性 注2

目標

株式会社アゴーラホテルマネジメント堺 注1

ホテル アゴーラ リージェンシー
大阪堺(大阪府堺市堺区)

宿泊事業

ホテル・事業所・店舗

5年6カ月

3年11カ月

男女とも勤続期間を
5年以上とする

 

注1)当社連結子会社である株式会社アゴーラホテルマネジメント堺は、常時雇用する労働者の数が301人未満であります。「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく公表をおこなっておりません。

注2)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく開示項目は“男女別勤続年数の差異”としており、当事業年度に大阪労働局に提出した2022年度の“男女別勤続年数の差異”の数値は、男性従業員の勤続年数5年6カ月、女性従業員の勤続年数3年11カ月でした。

 

「未来予測2040」リクルートワークス研究所,2023等では、サービス業における人材不足は予測されており、2040年に100万人の労働者不足が予測されています。グループ全体で女性の働きやすい環境、家庭生活と両立しやすい職場、適切な賃金体系を目指すべく、その目標を共有して活動を進めてまいります。