2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 9,359 100.0 916 100.0 9.8

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社の企業集団は、当社及びその他の関係会社1社で構成されております。なお、当社はホテル経営及びホテル付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 事業の系統図は、次のとおりであります。

 


 

業績

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進む中で、雇用・所得環境の改善を受け、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、ウクライナや中東地域をめぐる紛争の長期化を背景とした不安定な国際情勢により、エネルギーや原材料価格の高止まりが続いております。また、物価上昇の継続による個人消費の冷え込みが懸念されるほか、米国の政策動向が国内景気を下押しする可能性もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

ホテル業界におきましては、安定的な国内観光需要に加え、円安の後押しを受けて訪日外国人旅行者数が過去最高を記録(2024年は年間で36,869千人=前年比47.1%増)するなど、活況を呈しております。しかしながら、慢性的な人員不足により営業制限を余儀なくされるホテルも多く、需給が逼迫する状況が続いております。また、エネルギーや原材料価格の高騰により運営コストが増加しており、引き続き厳しい事業環境下に置かれております。

このような状況の中、当社におきましては人員不足により一部で営業制限を継続しつつも、国内観光需要およびインバウンド需要を的確に捉え、宿泊部門を中心に売上を拡大いたしました。同時に、物価上昇に伴う様々なコストの増加に対応するため、価格転嫁による販売価格の見直しを実施し、売上および利益の最大化にも努めてまいりました。

一方で、人員不足の課題に対しては、賃金の引き上げや福利厚生の充実など処遇の改善を図るとともに、限られた人員の中でも円滑な業務運営が行えるよう、部署間の垣根を越えたヘルプ体制の強化にも努めております。

この他、当社では事業活動に加え、良き企業市民としてSDGs達成に向けた活動にも積極的に取り組んでおります。ホテルオークラ京都では、2024年4月よりWFP国連世界食糧計画(国連WFP)の活動を支援する「レッドカップキャンペーン」に参画しております。宿泊売上の一部が寄付金として国連WFPの学校給食支援活動に役立てられるとともに、アメニティの提供を減らした専用の宿泊プランを設けることで、プラスチック使用量の削減にも貢献しております。また、からすま京都ホテルでは、2025年1月より使用済みのアメニティ(歯ブラシ・ひげそり・ヘアブラシ)を回収して再資源化する取り組みを実施しており、プラスチック製品の廃棄削減(CO2削減)にも貢献しております。

これらの結果、当事業年度の売上高は9,358百万円(前年同期比2.4%増)となりました。損益面におきましては、引き続き徹底した経費節減に努めたものの、エネルギーや原材料価格の高騰の影響、業務委託費を含む人件費等の増加により、営業利益は916百万円(前年同期比3.8%減)、経常利益は676百万円(前年同期比16.2%減)、最終損益は当期純利益771百万円(前年同期比17.4%減)となりました。

 

ホテル事業の部門別の営業概況は次のとおりです。

 

(宿泊部門)

安定的な国内観光需要に加え、拡大するインバウンド需要を的確に捉え、収益性を重視した価格設定のもと、積極的な販売を行いました。

ホテルオークラ京都におきましては、客室稼働率は前年と同水準で推移したものの、個人予約の受注を増やしたことで高単価での販売を実現し、前年に続き年間売上記録を更新することができました。

からすま京都ホテルにおきましては、修学旅行をはじめとする団体客の受注は前年並みであったものの、海外からの個人客が大幅に増加したことで、客室稼働率および客室平均単価のいずれも前年を大きく上回り、年間売上記録を更新しております。

この結果、宿泊部門全体の売上高は4,104百万円(前年同期比10.6%増)となりました。

 

(宴会部門)

ホテルオークラ京都の一般宴会につきましては、受注件数・売上ともに前年を下回りましたが、会議利用の宴会需要は強く前年を上回る売上となったほか、MICE利用や祝賀会などの大型案件が受注できたことで、1件あたりの売上は前年を上回る結果となりました。一方、婚礼宴会につきましては、ブライダルの市場規模が縮小する中、当社でも厳しい状況が続いており、受注件数・売上ともに前年を大きく下回る結果となりました。ただし、下期以降は新規来館数を伸ばすことができ、2026年3月期の予約状況は復調してきております。

からすま京都ホテルにおきましては、毎年恒例の宴会が順調に受注できたことに加え、修学旅行や同窓会などの宴会需要が増加したこと、また当社主催のイベントも好調に集客できたことにより、売上を堅調に伸ばすことができております。

この結果、宴会部門全体の売上高は2,586百万円(前年同期比4.8%減)となりました。

 

(レストラン部門)

ホテルオークラ京都におきましては、年間を通じて当社の創立に関わった渋沢栄一や、2024年のNHK大河ドラマで話題となった紫式部をテーマにした新メニューの開発・販売を行うとともに、閑散期には価格を抑えながら付加価値の高いプランを展開し集客促進を図り、売上向上に努めてまいりました。また、「トップラウンジ オリゾンテ」ではこれまで休業していたディナー営業を11月より一部再開したことで、前年を上回る売上となりました。しかしながら、依然として人員不足により営業制限を実施している店舗があることに加え、前年に「カフェ レックコート」での惣菜や弁当の販売を終了した影響が重なったことで、レストラン全体の売上は前年を下回る結果となりました。

からすま京都ホテルにおきましては、「中国料理 桃李」で新料理長就任を記念した特別メニューを販売したほか、「バー アンカー」ではボトルフェアやカクテルフェアなどの企画を展開し、売上向上に努めてまいりました。これらの取り組みが功を奏し、既存顧客に加え新規顧客の利用も増加したことで、売上・入客数ともに堅調に推移しております。

この結果、レストラン部門の売上高は2,128百万円(前年同期比2.4%減)となりました。

 

(その他部門)

テナント店舗・月極駐車場の賃貸料収入や、フィットネスクラブ(ホテルオークラ京都)の会費収入など、安定した売上を計上しております。

この結果、その他部門の売上高は538百万円(前年同期比1.6%増)となりました。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ175百万円増加し、16,627百万円となりました。これは主に減価償却等により有形固定資産が432百万円減少したものの、売上の増加等により現金及び預金が504百万円増加したことによるものです。
 当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べ495百万円減少し、13,967百万円となりました。これは主に長期借入金等の返済、借換えにより516百万円減少(一部内入れ)したことによります。なお、金融機関との良好な関係のもと、長期借入金等の借換えが無事に完了しております。

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ671百万円増加し、2,660百万円となりました。これは主に当期純利益が771百万円計上されたことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上・利益の増加により前事業年度末に比べ504百万円増加し、当事業年度末には3,477百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は1,256百万円(前年同期は1,497百万円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益669百万円および減価償却費696百万円の計上があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は51百万円(前年同期は169百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が52百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
  財務活動の結果使用した資金は700百万円(前年同期は660百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金等の借換え等による返済分が516百万円あったことによるものです。

 

(生産、受注及び販売の実績)

 a. 収容能力及び収容実績

(イ)ホテルオークラ京都

区分

第105期

(2023年4月1日2024年3月31日)

第106期
(2024年4月1日2025年3月31日)

室数

収容能力

収容実績

利用率

室数

収容能力

収容実績

利用率

客室

321

117,486

96,734

82.34

320

116,800

96,763

82.85

宴会

13

650,748

172,864

回転

0.27

13

648,970

153,285

回転

0.24

レストラン

7

193,038

 

319,639

回転

1.66

7

192,914

 

315,927

回転

1.64

 

 

(ロ)からすま京都ホテル

区分

第105期

 (2023年4月1日2024年3月31日)

第106期
(2024年4月1日2025年3月31日)

室数

収容能力

収容実績

利用率

室数

収容能力

収容実績

利用率

客室

231

84,546

69,586

82.31

231

84,315

74,565

88.44

宴会

4

168,280

126,490

回転

0.75

4

167,900

122,541

回転

0.73

レストラン

2

43,293

33,692

回転

0.78

2

43,064

32,521

回転

0.76

 

(注) 収容能力の内容は下記の基準により算出したものであります。

1 客室は部屋数に営業日数を乗じて算出しております。

2 宴会は正餐形式による椅子数に営業日数を乗じて算出しております。

3 レストランは椅子数に営業日数を乗じて算出しております。

 

 b. 販売実績

当社はホテル経営及びホテル付随業務の単一セグメントであるため、販売実績及び構成比を部門別に示すと以下のとおりです。 

区分

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

(%)

金額(千円)

構成比(%)

宿泊部門

4,104,797

43.9

10.6

宴会部門

2,586,414

27.6

△4.8

レストラン部門

2,128,844

22.7

△2.4

その他部門

538,697

5.8

1.6

合計

9,358,753

100.0

2.4

 

(注)  受注生産は行っておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度における売上高は9,358百万円、営業利益は916百万円、経常利益は676百万円、当期純利益は771百万円となりました。

売上高の主な増加要因は、訪日外国人観光客の増加などにより、宿泊部門を中心に売上が拡大したことによります。

利益面では、エネルギー・原材料価格の高騰による水道光熱費や食料品の仕入れの負担が大きい状況が続いた事や賃上げなどにより、営業利益、経常利益、当期純利益は減少いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローは、前期に比べ売上高が増加したことなどにより、現金及び現金同等物の期末残高は前年同期に比べ504百万円増加し、3,477百万円となりました。

当社の資金使途のうち主なものは、借入金等の有利子負債の返済のほか、運転資金として、ホテル事業における食材、用度品の購入費用及び人件費を中心とした販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いであります。投資を目的とした資金使途は、ホテル設備の維持更新費用やホテルサービスの価値を高める改修等によるものであります。

短期及び長期の資金需要については、「営業活動によるキャッシュ・フロー」により獲得した自己資金や金融機関からの借入等により資金調達を行い対応しております。引き続き、売上拡大により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の増大を図るとともに、有利子負債の圧縮及び財務体質の強化を進めてまいります。

なお、当事業年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は12,293百万円となっており、現金及び現金同等物の残高は3,477百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積りの特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。