リスク
3 【事業等のリスク】
(1)「リスク管理」の枠組み
・基本的な考え方
当社グループでは、「内部統制システムに関する基本方針」「リスク管理規程」を定め、同方針等に基づき、「リスクを知る」「リスクを避ける工夫をする」「非常事態が発生した場合は被害を最小化する」の3点を実践することにより、リスクマネジメントに取り組んでおります。
・リスク管理体制
当社グループでは、リスク管理における全社的な意思決定を適切に行うため、「リスクマネジメント委員会」を設置しております。また、「白洋舍グループリスク管理表」を作成し、リスク項目ごとの「発生頻度」と「影響度」に基づくリスク評価を行うことにより、重点管理すべきリスク項目とその対応策を洗い出し、リスク回避、被害最小化に向けた取り組みを推進しています。
<リスク管理体制図>
「リスクマネジメント委員会」
リスク管理の方針の決定、リスク管理規程の整備・運用状況の検証、その他リスク管理全般に関する事項についての審議
「グループ内部統制委員会」
当社と子会社とのグループ内でのリスク情報の共有とコンプライアンス遵守を目的に開催
(2)主要なリスク(リスク評価に基づき、重点管理すべきリスク項目)
当社グループの経営成績および財務状況等に重要な影響を与える可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。
①事業環境の変動に関するリスク
当社グループの事業のうち、クリーニング事業においては、服装のカジュアル化や、家庭用洗濯機の高性能化、在宅勤務の普及等を背景に、中長期的に市場規模が縮小する傾向にあります。需要の減少が想定以上に進行した場合等には、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
また、レンタル事業においては、大手のホテル・レストラン・コンビニエンスストア等を中心とする大口法人得意の売上占有率が高い状況にあります。政府の観光立国化政策やHACCP(食品衛生管理の世界標準)の義務化等を背景に、市場規模の拡大が見込まれる状況が続いておりますが、パンデミックの発生等によって市場環境が急激に悪化し、ホテル稼働率の低下や得意先の業績不振、取引内容の変更、契約終了等の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
[対応策]
クリーニング事業においては、新型コロナウイルス感染拡大以降、需要が十分に回復しないことを前提とした事業戦略を進めており、不採算店舗の閉鎖やCLP(集配)部門の生産性向上等の構造改革の推進を通じて、事業収益力の強化を図っております。
レンタル事業においては、営業体制の強化や異業種との協業・提携を通じて、新規顧客の獲得や取引業種の多様化への取り組みを進めており、特定取引先への集中リスクの抑制に努めております。
②自然災害等に関するリスク
地震・風水害等の自然災害が発生した場合、当社グループ拠点や設備等の損壊、電力・ガス等の供給困難による生産活動やサービス提供への障害、損壊した設備等の復旧費用の発生、あるいは、取引先ホテル等の営業状態への甚大な影響などにより、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。
[対応策]
自然災害を想定した設備対応と安否確認訓練のほか、地震対策本部設置を含む初動対応訓練の実施等により、事業継続計画(BCP)の対応強化を図っております。一方、需要減少への対応力を高めるため、工場での機動的な生産調整等による損益分岐点引き下げや、外部委託先の活用による費用の変動費化に努めております。
③中期経営計画の進捗に関するリスク
当社グループは、2024年度を初年度とし、「構造改革の完遂とオペレーションの磨き上げ」「マーケティングによる収益力向上」「事業ポートフォリオの最適化」を戦略の骨子とする3年間の中期経営計画を策定しております。しかしながら、構造改革に向けた取り組みの遅れ等により、中期経営計画の進捗に遅延が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
[対応策]
中期経営計画の進捗モニタリングについては、役員・事業部長らが参加する月1回のミーティングにおいて、計数やアクションプランの進捗を共有し、目標値とのギャップがあれば対策の協議を行う体制を整えているほか、年2回、取締役会に報告し、フォローアップを行っております。
④工場機械・設備に関するリスク
ドライクリーニング工場には石油系の洗浄・乾燥設備があり、万一火災が発生すれば、人身事故、近隣への延焼、クリーニング品の焼失、工場設備の焼損など多大な損害につながる可能性があります。
[対応策]
工場に防火防爆の安全対策を施すとともに、関係法令に基づく各種マニュアルを定め、チェックリストに基づく日常点検・定期点検、工場部による業務点検や防災訓練を実施しております。また、支店長・事業所長・工場長等を対象とした、石油系設備・溶剤の安全管理に関する知識習得のための学科試験を実施しております。
⑤資金調達に関するリスク
当社グループの事業資金の一部は金融機関からの借入により調達しています。景気の後退、金融収縮等の全般的な市況の悪化や業績悪化による信用力の低下等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達できない可能性があります。また、今後、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループの借入金にはシンジケート・ローンが含まれており、財務制限条項が付されています。業績の悪化等により同ローンの期限前弁済義務が生じた場合には、当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。
[対応策]
金融機関等と十分なコミュニケーションを通じて資金繰りを確保しながら、中期経営計画に基づく収益構造改革による収益力の向上により、中長期的に借入金の圧縮を図りながら、当社グループにおける財務基盤を強化してまいります。
⑥環境汚染に関するリスク
クリーニング施設の廃止等にあたり、土壌汚染対策法に基づく土壌改良等の対応が必要となった場合には、対策費等で経営成績への悪影響が生じる可能性があります。また、環境関連その他で新たな法令、規制等が強化・導入された場合、業務への支障や対応コストが経営成績や財務状況に悪影響を与える可能性もあります。
[対応策]
当社グループでは、「白洋舍グループ環境方針」「白洋舍グループ環境保全規程」および各種マニュアルを定め、溶剤使用に係る保守管理点検や従業員への教育訓練を実施しております。また、ドライ洗浄機のオイルパン設置、床面の樹脂被膜による溶剤の不浸透化や、洗濯科学研究所による排水自主測定等により、事業活動に伴う環境汚染の未然防止に努めています。新たな法令・規制等が強化される可能性がある資材についても情報収集を行い、代替品の研究・開発を進めます。
⑦クリーニング品質に関するリスク
当社グループは、お客さまの期待と信頼に応え続けていくために常に品質・サービスの向上に努めております。しかしながら、万一、当社が定めた品質基準や作業工程等が守られていない等の不正が発生し、当社グループに対する信用低下や多額の損害賠償責任が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
[対応策]
当社グループでは、品質検査要項や各種マニュアルを定め、当社基準に従った適正な作業が行われていることを定期的に点検(抜き打ち品質検査等)するとともに、洗浄品質維持のため、全国の工場の洗浄品質を一斉にチェックする試験(洗浄管理試験)を定期的(年2回)に実施しております。また、特に品質不正によるブランド毀損の回避を目的として、本社内に品質管理に関する統括・監査組織(品質管理室・品質監査室)を設置し、内部管理体制の強化を図っております。
⑧情報漏えいに関するリスク
当社グループは、事業を展開するうえで、お客さま及び取引先の個人情報や機密情報、当社グループ内の個人情報や経営情報を保有しております。しかしながら、外部からのサイバー攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報が漏洩し問題が発生した場合には、社会的信用の低下、損害賠償等の費用の発生など、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。
[対応策]
当社グループは、すべての役員および従業員に対する行動規範、法令・ガイドライン等に基づくプライバシーポリシー、各種規程(個人情報管理規程、情報システム管理規程等)やマニュアルを定めるとともに、定期的な研修の実施を通じて、個人情報の適正な管理および取り扱いを行っております。また、セキュリティソフトの導入、データの暗号化、サーバへのアクセス管理等による情報管理システムにおける安全対策を実施しております。
⑨外部委託先管理に関するリスク
当社グループは、業務の一部をグループ外の協力会社へ業務委託しています。委託先において法令違反や品質管理等に問題が発生した場合など、委託先における業務に支障が生じた場合には、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
[対応策]
当社グループでは、業務委託に関する問題発生を未然に防止するため、委託先への定期的(年4回)な巡視・指導・点検を行うなど、委託先と綿密な連携をとりながら、関連法規制の遵守、品質管理等の徹底を図っております。
⑩人財の確保に関するリスク
当社グループの事業は、同業他社との差別化において、従業員の接客技術や作業技術の重要性が高く、優秀な人財の確保が不可欠であります。しかしながら、労働人口の減少や高齢化等を背景として人財の確保や技術の継承が難航し、店舗や工場の運営に支障をきたした場合には、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
[対応策]
当社グループでは、各種研修制度や社内資格制度の整備により、業務に関する従業員の技術・知識向上を支援するとともに、スキルアップが従業員に還元される体制を構築しております。また、業務効率化を進めるためのシステム・機械設備への投資や、人員計画に基づいた採用活動、事業間の人財シフト等を計画的に実施し、各職場における人員の過不足や育成状況等を鑑み適切なコントロールを行っております。
⑪その他のリスク
・減損会計適用の影響
当社グループは、事業用の不動産をはじめとする固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなると減損処理が必要となる場合があり、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。
・繰延税金資産等
当社グループは、将来減算一時差異および税務上の欠損金に対して、将来の利益計画等に基づく課税所得の見積りにより、回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産を計上しております。しかし、今後の業績動向等により、一部ないし全部について回収可能性がないと判断された場合、繰延税金資産が取崩され、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は利益配分の方針として、業績に対応して安定的に配当することを基本としつつ、長期的な事業展開に必要な内部留保の充実にも努めます。内部留保金は、営業拠点拡充・生産設備・研究開発への投資等に充当いたします。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これら剰余金の配当等の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、「取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日として、中間配当を行うことが出来る。」旨を定款に定めております。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
(注)1 「2023年7月26日取締役会の決議による配当金の総額」には株式給付信託(BBT)が保有する当社株式(2023年6月30日基準日:57,850株)に対する配当金0.8百万円が含まれております。
2 「2024年3月26日定時株主総会の決議による配当金の総額」には株式給付信託(BBT)が保有する当社株式(2023年12月31日基準日:57,850株)に対する配当金1.4百万円が含まれております。