リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるものとして識別した主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、リスク管理体制の整備状況は、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであり、リスク管理委員会がリスクの識別及び評価並びに対応策の整備を行い、定期的にリスク管理状況を取締役会に報告し確認を受けております。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 人材不足や採用難
当社グループはビルメンテナンスを主な事業とした労働集約型のサービス業であり、売上高に占める人件費の割合は約50%、連結従業員数約5,800名であり、その多くが顧客施設で清掃や設備保守管理等の業務を行っております。
少子高齢化などによる人手不足や採用難がさらに厳しくなった場合には、賃金や人材募集コストの上昇に留まらず、人手不足により各顧客施設での業務継続が困難になることで、売上高の減少など業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、その対応策として、外国人技能実習生の受入れや特定技能制度の活用を行っており、また、経営企画本部内に採用専門部署を設け、一元的で機動的な採用戦略を実行することで、効率的な人材確保に努めております。
(2) 短時間労働者に関する法改正
当社グループは、従業員に占める短時間労働者の比率が高いため、短時間労働者のための法令や規則等の改正が生じた場合、新たな費用が発生する可能性があり、当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼすことがあります。
特に最低賃金の引き上げによる影響は大きく、短時間労働者の時間給平均単価は毎年上昇し続けております。
当社グループは、その対応策として、時間給の上昇に対して応分の契約価格の引き上げ交渉を必要に応じて顧客に対して行うとともに、清掃ロボットの活用などを含めた作業効率化による作業原価低減に取り組んでおります。
(3) 感染症の拡大や大規模自然災害等
地震などの大規模自然災害等により、収益の基盤である管理物件の損壊、交通機関麻痺による出勤不能、管理会社としての業務を遂行するための対応費用が発生する場合や、新型コロナウイルス等の感染症の拡大により業務に支障が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
こうした事態に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、事業の継続を図り社会的責任を果たす取り組みを行っております。
(4) 経営環境
当社グループはビルメンテナンスを主な事業としており、主として契約期間及び契約価格をあらかじめ定めた業務委託契約に基づいて業務を行っております。したがって、契約を一度締結することにより一定期間安定した収益を確保できるメリットがありますが、反面、人件費や資機材価格の上昇に見合った契約価格の引き上げが必要でありながら、顧客にとってその費用は固定費となるため常に経費削減の対象になるという側面があります。
このようなビルメンテナンス事業にとって、空室率の上昇やテナント賃料の下落は、既存顧客であるビルオーナーからの契約価格の値下げ要求や解約の動きを急増させる恐れがあります。
随時契約を締結して行う臨時業務は、売上高の16%を占めておりますが、その受注高には変動リスクがあり、今後の景気低迷による顧客マインドの減退などにより、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
また、売上高の2%を占めるPFI長期修繕業務では合理的な長期修繕計画の策定が必要であり、想定を上回る修繕の発生があった場合には業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、主にビルメンテナンス事業を行うなかでも、民間事業会社やマンション管理組合、官公庁などひとつの属性に偏らない顧客基盤とPFI事業・指定管理者業務をはじめとしたPPP分野や省エネ、環境分野、空気環境対策製品の製造販売などにも事業展開することでリスクの軽減を図っております。
(5) 法令違反等による社会的制裁
当社グループの主な事業であるビルメンテナンス事業は、建設業法、警備業法、消防法、マンション管理適正化法をはじめ多くの関係法規等の規制を受けており、また各種許可、登録ならびに認定を受けております。
当社グループが、これらの関係法規等を含む法令違反や個人情報の漏えい等の事故を起こした場合には、業務停止や入札指名停止、顧客からの契約解除を受けること、その他の社会的制裁により当社グループの業績等に広範囲な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、内部統制システムの整備・コンプライアンス体制の整備・リスク管理体制の整備を通してこれらの法令遵守を図っており、また、ISMSを取得のうえ個人情報の適正な管理に努めております。
(6) 事故
当社グループは、業務実施にあたっての安全管理・事故防止に万全を期しておりますが、業務を行う施設において不慮の事故により顧客に対して損害を与えてしまうことがあります。この事態に備え、損害賠償責任保険を付保しているものの、その補償限度額を超える損害が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(7) サイバーセキュリティに関するリスク
パソコン・スマートデバイス等の紛失・盗難、操作上の錯誤、システム障害等の内部要因及びコンピュータウイルス感染やサイバーテロ等の外部要因により、当社グループや顧客の機密情報・個人情報等の流出やシステムダウンが発生する場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは、その対応策として以下の取り組みを行っております。
・プライバシーポリシーや情報セキュリティポリシーの制定
・ウィルス対策ソフトによるリアルタイム監視とEDRによる挙動監視
・データバックアップ体制の整備
・基幹システムへのファイアウォールによる外部アクセスの遮断
・標的型テストメールを使った抜き打ち迷惑メール訓練
・必要に応じたサイバー保険の付保
(8) 減損会計の適用
当社グループは、賃貸用不動産や事務所などの事業用資産を所有しております。今後、当社グループの収益性に中長期的な低下が見込まれる状況に陥った場合や不動産の市場価格が大きく下落した場合には、減損会計の適用に伴う減損損失計上により、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策として位置づけており、業績に裏付けされた成果の配分を長期にわたり安定的に行うことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。
また、機動的な資本政策及び配当政策を図るため、剰余金の配当等会社法第459条第1項に定める事項について、法令に別段の定めがある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会決議でも行える旨を定款に定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、継続的な安定配当の基本方針のもと、1株当たり期末配当金45円とし、中間配当金(30円)と合わせ年間75円としております。
内部留保金につきましては、今後の事業の拡大による資金需要に備えるとともに、経営基盤の強化を図り、将来の成長と収益力向上のために活用する予定であります。
なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
(注)当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。上記の1株当たり配当額は、期末、中間ともに当該株式分割前の実際の配当額を記載しております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。