2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)新設住宅着工戸数が業績に与える影響について

住宅関連業界の業績は、新設住宅着工戸数の増減に大きく左右されます。なかでも当社グループは、木造戸建住宅関連の商品が取扱いの中心であることから、新設住宅のうち利用関係別では持ち家の、構造別では木造の増減の影響を大きく受けます。このため、住宅資材の高騰、住宅ローン金利の上昇、住宅ローン減税制度の縮小・廃止、消費税率の引き上げ等により新設住宅着工戸数が大幅に減少するような状況が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

一方、住宅資材の流通業界の最大手の一角を占める当社グループであっても、市場全体から見ればそのシェアは必ずしも大きなものではなく、一層のシェア拡大に向け、建て替え需要を含む新設住宅需要の掘り起こしを強化しております。同時に、住宅リフォーム市場や木質系非住宅市場での販路拡大に注力し、木造戸建住宅の新築に依存しない経営体質造りに努めております。

 

(2)気候変動に関するリスクについて

気候変動によって生じるリスクへの対応は、その積極的な取組が、事業運営におけるリスク低減のみならず、収益獲得の機会にもつながり、また当社が企業理念として掲げる「快適で豊かな住環境の創造」の実現に不可欠の重要事項であると認識しております。

当社グループは、サステナビリティ委員会の下部組織「サステナビリティ検討部会」において、サステナビリティの幅広い課題に対して議論を深めていくこととしております。気候変動に関するリスクについては、TCFDのフレームワークに基づき議論しております。結果抽出した移行リスク、物理的リスクについて対応する戦略を議論し、サステナビリティ委員会への報告、取締役会の決定を経て対応を行っています。主な移行リスクと物理的リスク、その対応については、「2サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動に対する取組(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)」に記載しております。

 

(3)人材に関するリスクについて

当社グループの持続的な発展は、人材に大きく依存するため、有能な人材を採用及び育成するとともに、それらの人材が継続して働くことができる環境を整備する必要があります。

有能な人材を採用及び育成できない場合や流出を防止できない場合は、当社グループの持続的な発展に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに備えるため、「働きがいのある組織の追求」を人事方針とし、快適に働き続けるための働きやすさと、仕事に対するやる気や成長実感等のやりがいとを併せ持つ組織の実現に取り組んでおります。

また、創業当時より「企業は人 人は心」の精神を大切に受け継いできており、「人の心」を大切にする企業風土を守り続けています。

 

(4)法的規制に関するリスクについて

当社グループが属する住宅関連業界は、建設業法、建設基準法等の法的規制を受けております。これらの法令等の新たな制定、改廃、適用基準の変更等により、当社グループの事業活動が影響を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仮にこれら法令等に違反をした場合には、事業運営への規制や信用失墜等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

このリスクに対応するため、各種関連法令の改正情報等を早期に入手し、その影響を検討して対策をとるとともに、関係法令の遵守を徹底するため、役職員のコンプライアンス意識の強化に取り組んでおります。

 

(5)市況商品である合板の価格変動リスクについて

当社グループの主力販売商品の一つである合板は市況商品であり、価格が大きく変動することがあります。

国内の合板市場は、数量ベースで国産品、輸入品各々半々の構成比となっております。国産品は着工戸数等と生産量の需給バランスにより、また、輸入品はこれに加えて原木生産国や製品輸出国の国内事情あるいは製品輸入国の需要動向、さらには為替の動向などから販売量及び価格が大きく左右されるため、国産品、輸入品のいずれにおいても、急激かつ大幅な市況変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

以上のような、価格、数量に対する様々な変動要因によるリスクを軽減するため、国内にあっては、製造子会社における生産調整や販売子会社による仕入れの調整を機動的に実施しています。海外にあっては、マレーシア(ミリ)、インドネシア(ジャカルタ)及びシンガポールに駐在員を派遣、現地メーカー等と常にコンタクトを取り情報収集を行うことにより、価格の安定化や利益の確保に努めております。加えて当社グループでは、木更津市に合板用港湾倉庫として首都圏最大規模の倉庫を所有しており、需給調整の機能も備えることで価格の安定化や利益の確保に努めております。

 

(6)信用リスクについて

中核企業であるジャパン建材株式会社のお取引先は全国約1万先に及ぶなど、グループ各社は、多数のお取引先に企業間信用を供与しています。建材や住宅設備の価格が上昇し持ち家を中心に新設住宅着工戸数が低迷する一方、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済や金利の上昇により資金繰り面の環境も変化する中で、信用リスクは従来に増して高まっており、今後、住宅業界において倒産が大きく増えることとなれば、想定を超える不良債権が発生し、当社グループの業績も大きく影響を受ける可能性があります。

このため、与信の分散化に努めるとともに、グループ全体での与信管理のシステム化や動態観察の重視等、きめ細かい管理と早期対応を実施しております。これらにより不良債権発生の抑制に努めるとともに、様々な債権保全策を講じ、グループ全体での与信管理体制を逐年強化しております。

 

(7)為替リスク及びカントリーリスクについて

当社グループの主力商品である合板については、その材料となる単板、製品を問わず、輸入価格は為替相場の変動及びカントリーリスクの顕在化による影響を受けます。このため、急激かつ大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、合板以外にも、製材品や原材料としての木質系素材を輸入している子会社も複数あり、これらの子会社も、為替リスクのみならず、輸入国のカントリーリスクも負っており、実際に発生しているロシアへの経済制裁により、同国産の製材品や木質系素材の調達が困難となっております。

これらのリスクに対し、合板販売総額の相当程度を直接輸入する中核企業のジャパン建材株式会社は、為替相場の変動に対して契約額の一定比率以上を先物為替予約でヘッジする方針で対応し、為替相場の変動が経営成績に及ぼす影響を軽減するよう努めております。また、調達困難となった素材については、内外を問わず代替材の発掘、調達に努め、供給体制の確保に努めております。

 

(8)企業買収等にかかるリスクについて

当社グループが所属する住宅関連業界は、中長期的な市場規模の縮小が予想されるなか、今後も業界再編等が進むものと見込まれます。当社グループにおきましても、営業基盤の拡充・強化を図る観点から、企業買収等を積極的に推進しております。このため、買収した企業の価値が大幅に減少するような状況が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに備えるため、当社内にM&Aの担当部署を設け、専門的な知識、経験の獲得、蓄積を図っており、個別の企業買収等の際には、同部署が中心となって適切なデュー・デリジェンスおよびPMIを実施しております。

 

(9)自然災害・事故等にかかるリスクについて

当社グループは、大規模な自然災害や事故、感染症のパンデミック等が発生した場合、営業・製造拠点や本社、サプライチェーン、従業員等が深刻な被害を被る可能性があります。このような事態に備え、当社グループは事業継続計画(BCP)を定めており、同計画に基づく体制を整備するとともに、実際にBCPが発動される都度、その内容を適切に見直し、その実効性を高めるべくブラッシュアップを図っております。

 

(10)サイバー攻撃にかかるリスクについて

当社グループは、生産、販売、会計、人事その他業務全般をITシステムにより管理しております。また、当社グループは、お取引先の個人情報や営業秘密情報など、業務に必要な重要情報を取り扱っております。

一方、様々なサイバー攻撃が世界中で活発化しており、当社グループのITシステムもその攻撃対象となり得ることを認識しております。想定を超えるレベルで攻撃を受けた場合には、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩等による事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策コストの増加等により、当社グループの業績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

このため、社内ネットワーク上で異常が検知された場合は、直ちにアラームを発するとともに必要な対応を行う仕組みを導入しており、また、ハード及びネットワークの冗長化、各種データの定期的なバックアップの実行、各種端末へのセキュリティソフトの導入、セキュリティに関する社員教育等適切に対策することによってリスクの低減に努めております。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、企業体質の強化と今後の事業拡大に必要な内部留保の充実を図るとともに、株主各位への安定的かつ継続的な利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置付け、収益の状況や経済金融情勢、今後の事業展開等を総合的に勘案した上で、記念増配を実施したほか、自己株式の取得による株主還元などを行ってまいりました。

今後は、利益配分に関する基本方針及び配当に関する数値目標を以下に掲げますようにより明確な形でお示しすることといたしました。

(利益配分に関する基本方針)

累進配当制を採用し安定配当を継続することを基本としつつ、業績に対応した株主還元の充実に努めてまいります。

(配当に関する数値目標)

・新中期経営計画期間中の配当性向は30%以上を目安とします

・新中期経営計画最終年度のDOE(純資産配当率)は3%を目指します

なお、新中期経営計画期間のキャピタルアロケーションも別途定めており、営業キャッシュ・フローを原資に、M&AやIT・設備投資などの成長投資に充当するほか、株主還元の拡充、有利子負債の削減等財務基盤の強化に活用いたします。

当期の配当につきましては、期初予想通り、1株当たり第2四半期末配当20円、期末配当25円の合計45円とし、前期実績40円から5円の増配となります。なお、期末配当につきましては、2025年6月26日開催予定の定時株主総会で決議する予定です。

次期の配当につきましては、上記記載の基本方針等に沿って、1株当たり第2四半期末配当を25円、期末配当を30円の合計55円を予定しており、当期比10円の増配を予定しております。

なお、新中期経営計画にあわせて、上記の株主還元策を含むキャピタルアロケーションや資本コストを踏まえたROE(自己資本利益率)の目標、DEレシオ(負債資本倍率)や自己資本比率を用いたバランスシートの管理の方針等を「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」として取りまとめ、当社ホームページに開示しておりますので、あわせてご覧ください。

当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨定款に定めております。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年11月8日

578

20.0

取締役会決議

2025年6月26日(予定)

722

25.0

定時株主総会決議(注)

(注)2025年3月31日を基準日とする期末配当であり、2025年6月26日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として提案しております。