リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場経済状況
当社グループの営業収入における重要な部分を占める電子計測器の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域経済の影響を受けます。従いまして、当社グループが製品を販売している主要市場である自動車業界や電機業界における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、設備投資計画に影響を与え、当社グループの業績や経営成績に悪影響を与えるリスクがあります。
これらのリスクを回避するため、自動車業界では自動運転に関する技術開発や安全性試験、環境試験関連の設備ニーズ、電機業界では次世代通信5Gに向けての設備ニーズやIoT等新たな技術開発に関するニーズを積極的に取り込む営業活動を展開しております。これらの取り組みにより業績悪化リスクの最小化に取り組んでおります。
(2) 国際紛争等のリスク
当社グループで取り扱う電子計測器や環境試験機等が多く使われる、自動車業界や電機業界では、製品やその部品の生産が世界に分散しており、サプライチェーンは複雑に絡み合っております。中国への製造拠点の集中を避けるため、アセアン地域に製造拠点を新たに設置したり、移設したりする動きも見られます。米中間の貿易摩擦や世界各地での紛争で、サプライチェーンの見直しを迫られ、当社グループの業績や経営成績に影響を与えるリスクがあります。
当社グループでは、主に日系企業の海外進出に対応できるよう、中国、アセアン諸国、インド、アメリカ、ドイツ等に現地法人を設立し、ユーザーの海外生産拠点のシフトにも弾力的に対応できる販売拠点網を構築し、リスクの最小化に努めております。
(3) 感染症や自然災害等のリスク
新型コロナウイルス感染症拡大のようなパンデミックや、当社グループの想定を超える大規模な自然災害等が発生し、事業運営が困難になった場合、当社グループの業績と財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループでは、本部のオフィスの分散化、テレワーク、時差出勤、自家用車通勤等感染防止に向けた諸施策を実施しております。また、従業員の行動履歴の把握、異常事態発生時の対応マニュアル作成等を実施しており、こうしたリスクの回避に努めております。
(4) 価格競争
電子計測器の卸売業界においても、厳しい価格競争は例外ではなく、競争の激化により当社グループが収益性を保つことができなくなる可能性があります。
ユーザーのニーズにスピ―ディーかつ正確に応え、また取扱領域の拡大を図り、付加価値の高いサービスを追求してまいります。加えて、ユーザーの幅広いニーズを踏まえ、粗利益率の比較的高い海外製品の取り扱い拡充や、専門性を必要とするビジネスの強化等に取り組むことで収益性を確保しております。
(5) 海外での事業展開
当社グループは、東アジアでは中国を中心に積極的に拠点を設立している他、アセアン地域では、一国2拠点を目標に駐在所や現地法人を設立し、事業を展開しておりますが、現地の法的規制、慣習、国際情勢の変化等に起因する予測不能な事態が発生したような場合、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
現地での税務コンサルタント、監査法人、弁護士事務所からの情報収集に努めており、現地の法的規制、慣習、国際情勢の変化等に起因する予測不能な事態が発生した場合に速やかに対応できる体制の構築に努めております。
(6) 為替のリスク
当社グループの海外での事業展開に伴い、日本から商品を輸出する取引が中心となります。売掛金や入金が米ドル建てとなる場合が多く、円と米ドルの為替の急激な変動によっては売掛金の評価を含め、為替差損が発生する場合があり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
海外との取引における為替リスクを回避するため、基幹システムを為替変動に対応できるように変更したほか、受注と売上時の適用レートの差をできるだけ少なくするため見積書の有効期間の短縮、外貨預金の運用で為替差益を確保するオペレーションの実施等を行っております。
(7) 金利のリスク
当社グループでは、運転資金として、一定水準の有利子負債を調達しております。ゼロ金利下においては、有利子負債に伴う金利支払いが収益力に及ぼす影響は軽微ですが、今後、国内金融政策の転換等により金利が上昇した場合には、当社グループの財務状況に影響が生じる可能性があります。
当社グループでは、将来的な金利上昇局面を想定し、金融機関からの借入を固定金利とする等の対応を行っております。今後もこうした対応を継続すると共に、運転資金を削減するための対応策も検討してまいります。
(8) 与信管理
当社グループの販売先は、大企業から中小企業まで10,000社程度に達し、また取引上そのほとんどが信用取引であります。景気の悪化等に伴い企業の倒産が増加した場合には、不良債権が発生し当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
販売先の企業情報をベースとして、各社に販売限度となる与信限度を設定し、売掛債権の徹底した管理を行っている他、大口案件については個別に回収条件や取引条件を検討しており、不良債権の発生リスクの低減に努めております。
(9) 与信管理コンピュータシステム
売上管理、支払管理等をコンピュータ処理しており、1日の取引件数は、平均10,000件程度に達しております。サイバー攻撃等により、コンピュータのダウン等の異常事態が発生した場合に、営業活動を停止せざるを得ないリスクがあります。これらの事態は、当社グループの業績や経営成績に影響を与えるリスクがあります。
社内のサーバによるデータ管理をやめ、大手システムインテグレーターのデータセンターに移行し、地震や洪水等の自然災害からコンピュータシステムの保護を強化するとともに、毎日のデータのバックアップを行っております。このように、停電や突然の障害並びにサイバー攻撃に備えるシステム構築等の対策を講じて、コンピュータ関連の異常事態発生によるリスクの回避、軽減に努めております。
(10) 法的規制等の強化
外国為替令及び輸出貿易管理令等により、輸出管理規制が強化されております。当社グループも取引先の海外進出が積極化するなかで、計測機器類の輸出も増大する傾向にあります。米中貿易摩擦の激しくなる中で、輸出できる製品や相手先が急遽限定されるなど、日本政府による法令も逐次変更される事態が発生しております。法令違反が発生すれば、貿易業務に支障が生じ、当社グループの業績と財務状況に悪影響を与える可能性があります。
外国為替令及び輸出貿易管理令等による輸出管理規制の強化に対応するため、貿易管理室の人員の増加とレベルアップを図っております。また、貿易実務に直接従事する社員の教育にも力を入れており、輸出管理規制に速やかに且つ正確に対応できる体制を構築しております。
(11) 有能な人材の確保及び人材育成
当社グループの将来の成長と成功は、ユーザー企業のエンジニアや購買担当者などキーマンのニーズに的確に対応できる幅広い商品知識と情報収集力を持った営業担当者の確保、育成に依存する部分が大きく、その確保・育成ができなかった場合、当社グループの業績と財務状況及び将来の成長に影響が及ぶ可能性があります。また、優れた営業ノウハウを持った人材を確保することは、採用コストと人件費を増大させる可能性があり、既存従業員の育成では、継続的な研修コストを増大させる可能性があります。そして、これらのコストの増加は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
新卒の定期採用に加え、営業所の人材ニーズに適応した多種多彩な人材の中途採用も積極的に進めております。また、女性の営業部門への登用も進めております。ユーザー企業のエンジニアのニーズに対応できる人材を確保することは長期的な成長にとって不可欠であります。また、既存の従業員のスキルアップも重要であり、社内教育の充実を図っております。
また、人材確保のためには処遇も重要であることから、賃金制度、勤務体制等働き方の改革を積極的に進め魅力ある職場づくりに努めております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、業績・財務状況等を総合的に勘案し継続的かつ安定的な配当を実施すること、連結の配当性向35%程度を目途とすること、を配当政策の基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
当期の配当につきましては、中間配当を35円といたしました。
当期の業績は、厳しいマクロ環境下で連結売上高は当初計画を下回りましたが、引き続き増収増益を確保いたしました。内部留保の蓄積が進み自己資本比率は安定的に推移していること等も踏まえ、2023年5月11日に公表いたしました「2023年3月期決算短信」に記載のとおり、期末配当を45円とさせていただきます。
従いまして、当期の年間配当は、中間配当35円、期末配当45円の年間80円、前期比5円増配の配当を行いました。
2025年3月期の配当につきましては、引き続き、業績・財務状況等を総合的に勘案し、中間配当、期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。なお、2025年3月期は、成長戦略や経営基盤強化に係る戦略的な投資等に伴い当期純利益は減益となる見通しですが、自己資本が着実に積み上げられていること等を踏まえ、株主の皆様に引き続き積極的な還元を図るべく、中間配当40円、期末配当42円の年間配当82円、と引き続き増配を予定しております。
今後も業績の向上による利益確保に努めるとともに、株主様への積極的な利益還元を検討してまいる所存であります。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。