2024年2月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、これらについては、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

① 小売業界における持続的な低迷のリスク

当社グループは、日本、ベトナムでコンビニエンスストア事業を行っておりますが、その収益は日本とベトナムの小売市場に大きく依存しております。そのため両国における景気動向・消費動向等の経済情勢等が当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、高齢化等による日本の人口構成の変化により、医療費や社会保険料の負担がさらに増加し、将来の消費傾向に大きな変化が生じる可能性もあります。日本の個人消費が著しく低迷又は悪化した場合、当社グループの業績が低迷し、その成長戦略に影響を与える可能性があります。

当社グループは、市場環境の変化に対応するため、中期的な経営戦略として「個店モデルの競争力向上と戦略的成長の推進」を方針として定め、コンビニエンスストア商品と店内加工ファストフード商品の両方をそれぞれ磨き上げるNewコンボストアモデル確立と新事業としてのデジタル事業・職域事業・ベトナム事業拡大を推進しております。

 

② 競争の激化に関するリスク

当社グループは、コンビニエンスストア業界のみならず、ドラッグストア、長時間営業の食品スーパー業界、ファストフード業界、ファミリーレストランや中食といわれる惣菜販売業者等との間において競争状態にあります。当社グループでは、ソフトクリームを始めとする店内加工ファストフードを提供することで差別化を進めておりますが、当社グループが提供する商品の品質、価格、あるいはサービスレベルを上回る競争先が現れた場合、または更なる競争の激化によりコスト負担が嵩んだ場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

激化する競争環境に対抗するため、Newコンボストアモデル確立について取り組んでおります。コンビニエンスストア商品と店内加工ファストフード商品を総合し、カテゴリーごとの役割を再設計するMDプロセスの改革を取り組んでおります。変化するお客さまニーズに応じた品揃えや売場づくり、価値ある商品開発と価値訴求および販売促進企画を推し進め、便利さの基軸となるコンビニエンスストア商品と当社の強みであり、おいしさを追求する店内加工ファストフード商品両面の磨き直しを進めております。

 

③ 食品の安全性に関するリスク

万一、食中毒の発生等でお客さまにご迷惑をおかけする事態が発生する場合や、原材料や食品添加物などの表示に誤りがあった場合、売上が減少する可能性があります。

また、鳥インフルエンザ等、社会全般の衛生問題が発生して当社グループが提供する食品の安全性及び品質にお客さまが疑念を抱いた場合、かかる疑念が真実であるか否かに関わらず、当社グループに対する信頼は失墜し、売上の減少や、安全衛生の強化策費の増加、関連設備投資、安全性に関するキャンペーン費の増加等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、食品の安全性に日頃より十分な注意を払っております。外部調査機関による店舗厨房環境の抜き打ち検査、食中毒の未然防止、商品の検査体制(製造工場に対しての不定期監査)の充実に取り組んでおります。

 

④ 仕入・流通ネットワークの障害に関するリスク

想定を超えた地震その他の自然災害、コンピューターウイルス等による仕入・流通ネットワーク障害が発生した場合、商品の破損・腐敗、ビジネスチャンスの逸失、修理費用の負担等による影響を被る可能性があります。

また、働き方改革関連法により2024年4月1日から「自動車運転の業務」の時間外労働が年960時間以内に上限規制がされることにより、荷主企業の運賃上昇による当社の営業利益が減少する可能性があります。これにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、事業継続計画に基づき情報インフラの整備等、必要な対策を適切に実施できる体制構築について取り組んでおります。物流の見直し等グループ規模を活かしたコスト削減を進めることで、サプライチェーン全体でのコスト上昇の吸収を進めるとともに、経済環境や地政学的状況等を慎重に見極めつつ、リスク低減に取り組んでおります。

 

⑤ 天候不順に関するリスク

当社グループの売上は、季節的変動による影響を受けます。その年の気温等の推移を考慮して販売計画を立てておりますが、想定を上回る台風・洪水・津波、気候変動に伴う異常気象が頻発した場合、一部の商品に対する需要が予想外に減少し、営業収入の減少や加盟店に対する支援の増大を招く可能性があります。これにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、天候に影響を受けない、お客さまが必要とする商品やサービスをお値打ち価格で提供することが小売業の使命であると考えております。お客さまに「便利さ」という価値を提供する商品では、生活防衛意識の高まりやタイムパフォーマンス志向にお応えする品揃えの拡充と価格設計、売場づくりを取り組んでおります。

 

 

⑥ 地震等の自然災害、テロ活動等に関するリスク

当社グループは日本、ベトナムでコンビニエンスストア事業を行っております。国内外を問わず、自然災害、暴動、テロ活動等が発生した場合、当社グループの店舗及びその他の施設、そして、その地域に物理的に損害が生じ、事業に支障が生じる可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、事業継続計画に基づき情報インフラの整備、防災拠点の設置や店舗の耐震強化、イオングループとして地方自治体との防災協力協定の締結、不測の事態が生じた際の資金調達手段の確保等を講じております。

 

⑦ 感染症に関するリスク

感染症の世界的な拡大は、国内外を問わず、経済活動に多大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループが事業を展開する日本、ベトナムにおいても、渡航禁止、外出自粛、大規模イベントの中止、コンビニエンスストア事業の営業自粛等により、消費意欲の後退をはじめ、消費活動全体への影響も懸念されます。

当社グループは上記リスクに備えるため、感染症に関するガイドラインを整備するとともに、イオングループの防疫対策基準に則って、感染リスクの低減を講じております。

 

⑧ 環境への負荷に関するリスク

当社グループは、店舗で排出される廃棄物等による環境への負荷を軽減させるため、食品廃棄物を生ゴミではなく「食品循環資源」と捉え、リサイクル化を推進しております。上記にかかる諸費用が当初の想定を大きく上回った場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、イオングループ食品廃棄物削減目標に基づき、2025年までに店舗で発生する食品ロス50%削減(2015年比)を目標としております。値引き販売によるリデュースを図りお客さまと店舗、環境に対する「三方よし」の取り組みをはじめ、食品リサイクル店舗の拡大による「食品リサイクル率」の向上及び、「てまえどり」の定期実施によるお客さまへの浸透による食品ロスの削減に取り組んでおります。

 

⑨ 個人情報の漏洩に関するリスク

当社グループでは、営業活動に伴ってお客さまから入手した個人情報を保管・管理しております。当社グループは、個人情報の漏洩が生じないよう細心の注意を払っておりますが、当社グループのお客さまに関する個人情報が何らかの事情により漏洩した場合、当社グループの信用力が低下し、客数の減少などにより経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、個人情報保護法を遵守し、プライバシーマーク使用の認定を受けて事業を遂行しております。なお、個人情報に関する規程を整備するとともに、個人情報関連の法規制及びガイドラインの改正動向については目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制を整えております。年に一度、eラーニングを活用し全社員を対象とした社内教育を行っております。

 

⑩ 法的規制の強化に関するリスク

当社グループは、食品衛生法、食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、消防法、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法(下請法)、個人情報に関する法律(個人情報保護法)、エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)、地球温暖化対策推進法等様々な法的規制を受けております。

関係する法解釈の相違等により、行政機関・司法機関から当社グループに不利な判断が下された場合等には、追徴金、損害賠償金その他の金銭負担の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績及び財務業況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、法規制を遵守し、必要な許可を得て事業を遂行しております。これらの法規制の改正動向については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制構築について取り組んでおります。

 

⑪ 為替変動に関するリスク

当社グループは、2024年2月29日時点において、連結子会社2社を海外に有しております。当社連結財務諸表において海外子会社及び関連会社の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各通貨間の為替相場変動の影響を受けます。また、当社グループは主に日本国内で営業を行っておりますが、海外においても取引を行っており、同様に為替相場変動の影響を受けます。

当社グループは上記リスクに備えるため、外貨建て債務に対して為替予約等のデリバティブ取引を行い、為替変動リスクを軽減しております。

 

⑫ 貸倒れに関するリスク

当社連結貸借対照表上の加盟店貸勘定は、当社が保有する加盟店に対する営業債権です。競争激化による採算の悪化に伴い加盟店貸勘定残高が増加した場合や、加盟店貸勘定に対する貸倒率が上昇した場合、当社グループは、貸倒引当金をさらに積み増すことが必要となります。このような場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、加盟店貸勘定に対する貸倒率を下げるためには、売上を上げることが一番の対策と考えております。ミニストップ・パートナーシップ契約は、売上を上げることで利益を確保する構造を目指しており、加盟店と当社グループが一体となって経費の適正化、投資の適正化を進めております。

 

 

⑬ 加盟者の経営断念及び新規契約減少に関するリスク

当社グループは、加盟者との間でミニストップ・フランチャイズ契約及びミニストップ・パートナーシップ契約を締結し、コンビニエンスストア事業を行っております。加盟者の高齢化と後継者不足による経営の断念、競合店の出現、立地変化により加盟店収支が悪化し経営を断念した場合、店舗数が減少し当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

また、当社グループのビジネスモデルより魅力あるフランチャイザーが現れた場合、新規契約者が減少し当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、加盟店との新たな関係を築き、共に成長を目指すミニストップ・パートナーシップ契約店舗の拡大を進めております。パートナーシップ契約及び複数店舗経営者の構成比拡大に伴い加盟店と本部が共に成長するために、稼働計画の設計や売上を向上し利益を創出するための発注指導、経費コントロールを含めた効率的な経営手法の確立に加え、今までの経営指導では未着手であった人材採用や教育といった領域に踏み込む経営指導体制と本部改革を進めております。

 

⑭ 店舗の賃借物件の保証金回収に関するリスク

当社グループの店舗の土地・建物及び本社・事務所については賃借が主体であります。出店にあたり、店舗賃借のための保証金を賃貸人に差し入れます。2024年2月29日現在、差入保証金残高は116億77百万円であります。賃貸人の破産等により回収できなくなった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、これらの賃貸人の資産状況については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制構築について取り組んでおります。

 

⑮ 知的財産権に関するリスク

当社グループは、国内外で多数の商標権その他の知的財産権を保有しております。とりわけ海外においては第三者が先行して出願・登録するリスク、第三者が許可なく同一又は類似の商標を使用するリスク、あるいは第三者との間で権利に関する紛争が発生し、そのために当社グループが当該知的財産権を行使できなくなることにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、これらの商標権及び知的財産権については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制構築について取り組んでおります。

 

⑯ 人権に関するリスク

当社グループの事業活動は人材に大きく依存しており、コンビニエンスストア事業をはじめとした各分野において優秀な人材を確保・育成することに加え、急速な社会の変化に対応するために多様な価値観を持つ多様な人材の能力を活用することが成長には不可欠です。しかしながら、人種や年齢、国籍、性別に捉われ多様な人材がお互いに認め合う事ができず、いきいきと平等に活躍できる環境の整備や組織風土づくりが遅れることにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、イオンの人権基本方針に則って事業活動による人権への影響に関し、人権デュー・ディリジェンスを通じて、人権が尊重される社会の実現を目指します。人権デュー・ディリジェンス委員会を発足させ、人権方針の策定を行っております。当社グループは、加盟店と本部が「事業の共同体」として共に繁栄するパートナーシップ契約への移行を開始しており、加盟店オーナー及び従業員も含めた人権尊重への対応を行っております。

 

⑰ 重要な訴訟事件等に関するリスク

現時点では会社の経営成績に重要な影響を与える訴訟は発生しておりません。当社グループでは、コンプライアンスを重視し、リスク管理体制を強化しておりますが、事業を遂行していく上で加盟店・取引先・お客さま等から事業に重要な影響を与える訴訟を起こされた場合、これらの訴訟の帰趨によっては、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは上記リスクに備えるため、日本及びベトナムにおける消費者保護、公正競争、食品衛生、労働環境、環境等に法規制を遵守し、必要な許可を得て事業を遂行しております。これらの法規制の改正動向については、専門部署が目を配り、必要な対策を適切に実施すべく体制を整えております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、財務体質と経営基盤の強化を図りながら、株主への利益還元を充実させる事を重視いたします。内部留保金は、既存店のリニューアル、情報システム、新規事業などに投資し、事業の拡大、業績の向上に努めます。

当社の剰余金の配当は中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針とし、会社法第459条の規定に基づき取締役会決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。

当事業年度の利益配当につきましては、当中間期は10円00銭、期末配当金につきましては10円00銭とし、年間配当金は1株当たり20円00銭となりました。

また、今後の配当につきましては、持続性のある企業体質の確立を図りながら、連結業績を勘案した配当政策を継続します。

なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年10月11日

取締役会決議

290

10.00

2024年4月10日

取締役会決議

290

10.00