リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 工事事故による影響
当社グループの施工する工事において事故が発生した場合、その原因によっては、行政処分、損害賠償等、当社グループの信頼と信用を著しく失墜させる恐れがあり、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に鉄道関連工事において、列車の脱線をはじめ重大事故を発生させた場合、当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があります。
対策として当社グループは、工事施工にあたっては事前に安全施工の審査や事故予防措置等を講じ、また、「要注カード」を用いた要注意事項の周知のほか、安全パトロール等による実態の把握、点検・指導等を行い、事故防止に努めております。
(2) 施工物等の不具合
当社グループは、施工品質の向上に努め、品質管理には万全を期しておりますが、万一、重大な契約不適合が発生し、その修復に多大な費用負担が生じた場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として当社グループは、設計と異なる施工や要求品質に満たない材料、施工中の各種検査や検査書類等の不適切な管理を排除すべく、施工部門及び安全部門による各種パトロールを密に実施し、施工中及び将来にわたる品質不具合の防止に努めております。
(3) 得意先との取引
当社グループは、中期経営計画「アクションプラン2029」に基づいて、鉄道部門関連業務からより幅広い顧客層への事業展開を図っております。
売上高に占める鉄道部門のウェイトが高い状況となっており、この分野における売上高は、公共交通機関等、当社グループが管理できない要因等に大きく影響を受ける可能性があります。
また、建築部門においては、住宅需要の変化等による顧客企業の業績不振、予期しない契約の打ち切り、顧客の要求に応じるための請負代金の見直し等が発生する恐れがあり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として、適宜、情報収集・与信管理に努め、債権管理・保全を図っております。
(4) 人材の確保
当社グループ及び協力会社の採用や外部への人材流出抑制が人員計画通り進められず人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として当社グループは、新卒及び社会人採用活動を積極的に行うとともに、「アクションプラン2029」に基づき、東鉄総合研修センターを活用した実践的教育の実施、働きがいのある職場づくりを実行しております。
また、組織力・グループ力の強化を目的とした当社グループ及び協力会社の労働環境改善や人材育成への支援を行うこと等により、当社グループ及び協力会社の人材確保に努めております。
(5) 法的規制等
建設業においては、建設業法、建築基準法、労働安全衛生法及び独占禁止法等により法的な規制を受けております。当社グループでは、コンプライアンスマニュアルを策定するとともに、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会を開催し、コンプライアンス体制の確立、浸透、定着や法的リスクの未然防止を図っております。しかしながら、これらの法律の改廃、法的規制の新設、運用基準の変更等が行われた場合、また、法的処分等を受けた場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として当社グループは、事業活動に関係する法律の改廃、法的規制の新設、運用基準の変更等や法的処分等を受けた場合の再発防止について各種会議体や社内研修による社内周知を実施しております。
(6) 情報セキュリティ
当社グループのシステムが不正アクセス等のサイバー攻撃やウイルス感染等の外部脅威、また役職員の情報資産の紛失・盗難・不正使用等の内部脅威の被害にあった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として当社グループでは、各種社内システムの情報セキュリティ対策を実施するとともに、「情報システムに関する規程」「情報セキュリティ10か条」「スマートデバイスセキュリティガイドライン」の制定及び周知徹底、定期的な情報システム監査や標的型攻撃メール訓練の実施等により役職員の情報セキュリティ意識の向上を図っております。
(7) 気候変動
脱炭素社会への移行リスクとして、温室効果ガス排出量の上限規制による施工量の制限や炭素税の導入等が行われた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動の物理的リスクとして、平均気温の上昇や自然災害の激甚化等により当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として当社グループは、「アクションプラン2029」の主な取り組みにESG経営を掲げ、経営理念・事業ビジョン・東鉄工業グループサステナビリティ基本方針に基づき、持続可能な開発目標(SDGs)の達成をはじめ、持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みを推進しております。また、2022年3月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」に加入しました。TCFD提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスク・機会の両面に関して、環境戦略委員会を設置し、戦略・リスク管理・ガバナンス等の観点から分析を進め、情報開示を拡充するとともに、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。
(8) 大規模災害等
地震・洪水・台風等の自然災害により、事業活動の一時的な停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要した場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として当社グループは、今後想定される震災等の大規模災害等への備えとして、事業継続計画(BCP)の整備、役職員の安否確認システムの導入、防災訓練の実施等の各種対策を講じております。
(9) 資材価格の高騰
当社グループは、鋼材等原材料の市場価格動向の情報収集・分析と集中購買の導入により、影響の軽減化に努めておりますが、工事請負契約締結後に予想を超えて急激な価格高騰が発生し、請負代金に反映させることが困難な場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として工事請負契約では、労務賃金・建設物価の変動に基づく請負代金の変更など、コスト変動に関する事項を明確化するよう、発注者との協議に努めております。
(10) 経済状況
当社グループの事業活動は主として東日本地域を中心に行っており、この地域における景気の後退、回復遅延等景気変動による民間設備投資の縮小や公共投資の減少により、建設工事の受注に大きく影響を受け、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、競合する他社との受注競争の激化、人件費の高騰等により、低採算化、収益力の低下等、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
対策として中期経営計画「アクションプラン2029」を策定し、市場環境の変化への対応や重点事業領域の具体化などの各成長戦略を実行しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、安定的な配当を継続するとともに、株主資本の充実や設備投資に備えた内部留保を行いつつ、収益に対応した配当を行うことを基本方針としております。
この方針に基づき、期末配当金につきましては、1株当たり50円を予定しておりましたが、当社グループの当期の業績や今後の事業展開を総合的に勘案し、株主の皆様のご支援にお応えするため、1株当たりの期末配当金を85円とさせていただくこととしました。これにより、中間配当金50円と合わせた当期の年間配当金は1株当たり135円となります。
なお、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
これにより当社の剰余金の配当は、毎年9月30日を基準日とした中間配当及び3月31日を基準日とした期末配当の年2回行うことを基本的方針とし、配当の決定機関は中間配当については取締役会、期末配当については株主総会としております。
当事業年度の剰余金の配当は次のとおりであります。