リスク
3 【事業等のリスク】
投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループにおいては建設事業を中心とする事業の内容に鑑み、次のようなリスクが存在しております。
(1) 国内外情勢や経済動向等の外部経営環境に関わるリスク
① 外部経営環境に関わるリスク
当社グループは、日本、グアム及び東南アジアで建設事業を展開しており、工事需要は、各国の政治動向、経済動向、天災または悪天候、テロや地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延等により大幅に減少する可能性があります。
また、当社グループの取引は、取引ごとの請負代金が大きく、工事の着工から完成引渡しまでの期間が長期に亘るため、工事代金の受領前に取引先の競争環境や事業環境が大幅に変化し、信用不安が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
② 競争環境に関わるリスク
当社グループは、国内及び海外において、施工品質及び請負金額に関して激しい競争に直面しております。国内では、既存の建設会社との競争に加え、設備会社やプラント会社との競争、海外では、各国及び日本の海外子会社との競争が激化しております。上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
③ PFI事業に関わるリスク
当社グループは、その他の事業としてPFI事業を行っていますが、運営期間が最長2036年までと長期に亘っております。事業運営の間に上述のように、競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市況変動に関わるリスク
① 資材調達価格等に関わるリスク
当社グループの建設事業は、各工事業者、資材業者等の協力会社の提供するサービスに一定程度依存しており、協力会社と共に、主要資材価格や労務価格が高騰した場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替変動に関わるリスク
当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し、費用の一部を支払っております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本としておりますが、当社連結財務諸表において海外工事の外貨建ての財務諸表金額は日本円に換算されるため、当社連結財務諸表は日本円と各通貨間の為替相場変動の影響を受けます。為替相場の変動により、当社グループの事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
③ 資金・金融市場に関わるリスク
当社グループは、建設工事の施工時に多額の立替を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。
(3) 災害に関わるリスク
当社グループの事業地は日本全国及び海外に亘り、かつ屋外が主であり、各地域によりそれぞれの特性があります。そのため、各地域において大規模な震災や台風、火山の噴火等が発生した場合もしくは当該施工現場において火災や水害、テロ攻撃等の災害が発生し、工事の遅延や追加費用が発生した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 安全品質環境に関わるリスク
① 安全に関わるリスク
当社グループでは、施工中の安全性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、事故を発生させてしまった場合、当社グループの施工の安全性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した作業員や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。なお、施工事故に伴う各種損害の軽減、並びに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。
② 品質に関わるリスク
当社グループでは、施工物件の品質性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、施工後の物件に契約不適合が発生した場合、当社グループの施工の品質性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するだけでなく、契約不適合責任による顧客や第三者への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。
(5) 法的規制・訴訟に関わるリスク
当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制並びに政府及び地方自治体レベルの法令及び規則に基づく規制に服しております。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。
① 法的規制に関わるリスク
当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、国土利用計画法、都市計画法、宅地建物取引業法、品質確保法、建設リサイクル法、産業廃棄物法、独占禁止法その他諸外国の類似の法令等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、コンプライアンス体制の充実を図っておりますが、これらの法令に違反した場合、行政処分などにより、業績、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
② 訴訟に関わるリスク
当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、係争中の事案においては、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合には、追加的な支出や引当金の計上により業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) IT(情報システム)、顧客情報の取り扱いに関わるリスク
当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しております。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウイルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、建設施工に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。
また、当社グループが保有する個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、またはシステムに対する社会的評価が傷つけられ、顧客及び市場の信頼が低下して、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材・労務に関わるリスク
当社グループの事業運営には、各取引の施工、運営に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社グループが想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの従業員は労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 新型感染症拡大に関するリスクについて
新型感染症が拡大した場合の当社グループへの影響につきましては、国内外における経済活動の制約等から以下のリスクが想定されます
① 新型感染症の収束が長引くことに伴う経済活動の減速・停滞により、建設投資の先送りや中止・抑制など建設需要が落ち込むことにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 感染拡大が収まらない場合、経済活動の制約措置が講じられ、建設中の工事物件の施工停止等に伴う完成工事高の減少や工事原価の増加により完成工事粗利益が減少し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 経済活動の停滞により、協力会社において業績悪化や事業継続に支障が発生した場合、施工労務者不足等、当社グループにおける施工能力が低下することにより当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 世界的な経済活動の停滞によるサプライチェーンの混乱により建設資材の調達に支障が出ることで、調達価格の上昇や工事進捗の遅延等が発生し、工事原価が膨らむことにより当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
利益配分につきましては、株主への利益還元を最重要施策の一つとして考え、それを実現するため、会社の競争力の維持強化に努めつつ業績に裏付けられた成果配分を行うこととしております。その決定機関は株主総会であります。
また、中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)における「株主還元・資金投入計画」においては、株主還元計画として連結配当性向を70%以上としており、当期の配当としましては、203円(連結配当性向70.0%)とし、株主総会で決議されました(2023年5月12日に開示した計画から5.5円の増配)。
資金投入計画としては、主に、リニューアル事業の強化、DX推進・システム基盤強化、技術の増強に資する投資を行ってまいりました。
なお、次期の配当につきましては、中期3ヵ年計画(2024年度~2026年度)の株主還元計画の通り、効果的な投資への資金を確保しつつ、引き続き連結配当性向70%以上を維持いたします。
また、当社はこれまで年1回の期末配当のみを実施してまいりましたが、株主の皆さまへの利益還元の機会を充実させるために、2025年3月期より中間配当制度を導入することが株主総会で決議されました。これにより、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針とし、これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会としております。なお、当社は会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。
更に、当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることにより、株式の流動性を向上させ、より投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的とした株式分割を実施いたします。2024年7月31日の株主名簿に記録された株主さまの所有する当社普通株式1株につき5株の割合をもって分割いたします。詳しくは2024年5月14日に開示いたしました「中間配当制度の導入および株式分割ならびにそれらに伴う定款の一部変更に関するお知らせ」をご参照ください。
以上を踏まえ、次期の配当金額につきましては、2024年8月1日を効力発生日として予定しております株式分割の影響を考慮した1株当たり35.0円を計画しております。
当事業年度の剰余金の配当は次のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たりの配当額(円) |
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2024年6月27日 |
定時株主総会決議 |
3,275 |
203.0 |