2025年1月期有価証券報告書より
  • 社員数
    15,664名(単体) 32,265名(連結)
  • 平均年齢
    43.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.4年(単体)
  • 平均年収
    8,825,963円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年1月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

戸建住宅事業

16,981

賃貸・事業用建物事業

建築・土木事業

2,426

賃貸住宅管理事業

2,243

リフォーム事業

2,672

開発事業

1,974

国際事業

3,442

その他

261

全社(共通)

2,266

合計

32,265

 

(注) 1 従業員数は、就業人員数です。

2 臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満のため、平均臨時従業員数の記載は省略しています。

3 戸建住宅事業、賃貸・事業用建物事業においては、セグメントごとの経営組織体系を有していないため、同一の従業員が各々の事業に従事しています。

4 全社(共通)として記載されている従業員数は、主に当社の本社部門などに所属している人員です。

 

(2) 提出会社の状況

2025年1月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

15,664

43.9

16.4

8,825,963

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

戸建住宅事業

13,745

賃貸・事業用建物事業

開発事業

320

国際事業

46

全社(共通)

1,553

合計

15,664

 

(注) 1 従業員数は、就業人員数です。

2 臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満のため、平均臨時従業員数の記載は省略しています。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

4 戸建住宅事業、賃貸・事業用建物事業においては、セグメントごとの経営組織体系を有していないため、同一の従業員が各々の事業に従事しています。

5 全社(共通)として記載されている従業員数は、主に本社部門などに所属している人員です。

 

(3) 労働組合の状況

当社においては労働組合は結成されていませんが、一部の連結子会社において労働組合が結成されています。

なお、労働組合の有無にかかわらず労使関係は円満に推移しています。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社(注4)

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合

(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2、3)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1、3、5、6)

全労働者

うち正規雇用労働者

うち非正規

労働者

積水ハウス㈱

3.8

109.0

56.1

60.0

40.3

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号、以下「女性活躍推進法」という。)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号、以下「育児・介護休業法」という。)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号、以下「育児・介護休業法施行規則」という。)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3 男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の対象期間は当事業年度(2024年2月1日~2025年1月31日)です。

4 出向者は出向元の従業員として集計しています。

5 賃金の内訳は、基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、通勤手当を除いています。

6 非正規労働者は、臨時従業員(再雇用従業員、契約従業員、パートタイマー)を対象に算出しています。なお、パートタイマーについてはフルタイム換算をせず実際に支給した賃金に基づき算出しています。

 

<男女の賃金差異についての補足説明>

積水ハウス㈱における男女の賃金差異(全労働者56.1%、正規雇用労働者60.0%)については、全労働者に占める正規雇用労働者の割合が約9割、正規雇用労働者の中でも総合職が7割超を占めていることが大きく影響しています。そのため、以下主に総合職について記載します。

1)等級ごとの賃金差異について

同一等級の賃金は同等です。当社は職群及び等級ごとに賃金水準を設定しており、総合職の男女の基本給月額の差異は以下のとおりです。

 

女性平均基本給/
男性平均基本給

 

管理職

98.5%

 




P5

96.6%

 

P4

99.9%

 

P3

99.8%

 

P2

99.9%

 

P1

98.9%

※一般社員には5つの等級(P5~P1)があります。

 

 

2)現状の取組みと経年推移

女性活躍推進については20年前から課題意識を持ち、2005年より女性総合職を積極的に採用し、女性従業員の育成と定着を促進するため、専門部署(現 ダイバーシティ推進部)を設置し、柔軟な働き方に代表される仕事と育児・介護の両立支援制度の拡充等の諸制度の整備を進めています。

これらの取組みが奏功し、2007年から2024年における平均勤続年数の伸びは女性が2.2倍(4.6年→10.0年)と男性の1.2倍(15.8年→19.5年)を大きく上回る結果となり、女性正社員比率についても年々高まってきています(2007年度は16.1%→2012年度は17.5%→2017年度は20.8%→2022年度は24.3%→2024年度は25.5%)。また、2024年度における年代別の女性正社員比率では20代が38.3%、30代が34.3%、40代が26.3%、50代が13.0%と、20代-30代の若年層の女性正社員比率が高くなっています。

 


(注)主要な連結子会社は、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウス ノイエ㈱。

 


 

3)差異要因及び取組み成果から見られる今後の展望

現状、総合職の平均勤続年数は女性10.0年と男性19.5年で約10年の差があるため、管理職の候補となる層が男性に比べて女性は少ない状況です。この結果として当社の女性管理職比率は3.8%(2025年1月31日現在)となっており、男女間において管理職登用の差が生じています。管理職への登用有無は処遇差が生じる要素であり、男女間の賃金差異に影響しています。

本要因解消のため、女性管理職候補者研修の実施等、女性管理職の登用にも積極的に取り組んでいます。さらに、2022年に資格等級制度を見直しています。その結果、2022年以降は9~10の指標に基づき評価され、入社から最短5年で管理職に登用できる制度となっています。

なお、当社では一般社員における5つの等級のうち、P4とP5を次期管理職候補と考えており、2024年度における女性管理職候補者は545名で、管理職候補者全体に占める女性管理職候補者の割合は16.0%となっています。そのため、女性管理職の候補となる人財が若年層で徐々にプールされており、今後は女性管理職比率もさらに高まっていきます。

また、当社の総賃金に占める業績手当等の基準外賃金の割合が特に営業職は大きく、営業職に占める女性の人数比率が13%と低い状況にあります。この点も、男女間の賃金差異に影響しています。しかしながら、前述のとおり各比率の高まりに連動して、男女間の賃金差異は縮小していくものと考えています。

 

なお、女性活躍を推進するための取組みの詳細については、「第2 事業の状況  2 サステナビリティに関する考え方及び取組  (4) 人的資本に関する取組み」に記載しています。

 

 

 

②国内グループ及び主要な連結子会社(注6、9)

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)(注2)

男性労働者の

育児休業取得率(%)(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注2、7、8)

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規

労働者

提出会社及び国内連結子会社

(注1、4、5)

5.0

108

51.9

53.9

37.3

主要な国内グループ及び連結子会社

積水ハウス不動産グループ

3.2

118

51.7

52.1

42.4

積水ハウス建設グループ

7.0

114

78.4

78.6

53.4

積水ハウスリフォーム㈱

43.8

122

87.1

84.5

35.6

㈱鴻池組
(注4)

0.5

82

56.7

57.4

61.1

 

(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社のうち、海外連結子会社を除いた会社を対象としています。

2 「女性活躍推進法」の規定に基づき算出したものです。

3 「育児・介護休業法」の規定に基づき、「育児・介護休業法施行規則」第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

4 ㈱鴻池組の管理職に占める女性労働者の割合は、㈱鴻池組の直近の事業年度末時点(2024年12月末時点)を対象としており、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の対象期間は㈱鴻池組の直近事業年度(2024年1月1日~2024年12月31日)です。

5 指標の算出にあたっては、国内連結子会社に含まれる各社の事業年度が提出会社と異なる場合、各社の事業年度ごとに集計しています。

6 出向者は出向元の従業員として集計しています。

7 賃金の内訳は、基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、通勤手当を除いています。

8 非正規労働者は、臨時従業員(再雇用従業員、契約従業員、パートタイマー)を対象に算出しています。なお、パートタイマーについてはフルタイム換算をせず実際に支給した賃金に基づき算出しています。

9 主要な国内グループに含まれる連結子会社の女性活躍推進法等に基づく管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異、ならびに国内の連結子会社のうち主要な連結子会社以外の女性活躍推進法等に基づく管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、「第7 提出会社の参考情報  2 その他の参考情報」に記載しています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

<サステナビリティの基本方針>

積水ハウスグループのESG経営は、企業理念の根本哲学である「人間愛」を実践することが根底にあります。お客様や社会が直面する課題解決を事業と一体的に推進していくとともに、ガバナンスの強化に努めることで、ESG経営の領域においてさらなるリーダーシップを発揮することを目指し、「ESG経営のリーディングカンパニーに」というサブビジョンを策定しています。

その実現に向け、従業員一人ひとりが自ら考え、行動することが重要であると考え、2020年より、全従業員参画を重視したESG経営に取り組んでいます。参画のきっかけとして、対話を通じてお互いの考えや価値観に触れ、ESGに対する理解を深めてきました。また、従業員が主体的に行動に移すことができるよう、自律や創発につながる制度の構築や職場風土の醸成に努めています。

2022年には、当社グループが果たすべき使命を明確にするため、持続可能な未来に向けたマテリアリティの見直しを行いました。1960年代、高度経済成長期の住宅の確保と、住まいの基本性能の確立に貢献した当社グループは、以来一心に住まいの「安全・安心」「快適性・環境配慮」を追求し、技術の進化を図ってきました。こうした私たちの取組み自体がマテリアリティそのものであると認識し、人生100年時代を迎えたこれからは、住まいを通じた「幸せ」を実現する上で、「良質な住宅ストックの形成」「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つを、経営の重要課題に位置づけました。

第6次中期経営計画(2023年度~2025年度)においては、ESG経営の基本方針を「マテリアリティを軸としたESG経営の深化」と掲げ、「住まいを通じて環境課題の解決に貢献」「従業員の自律を成長ドライバーにする」「イノベーション&コミュニケーション」に重点を置いた取組みを推進しています。

 


 

(1) サステナビリティ共通の取組み

①ガバナンス

当社グループは、取締役会の諮問機関として、専門的な知見、能力を有する少なくとも2名の社外委員を含むESG推進委員会を設置し、ESG経営の取組みの進捗と課題等についての意見交換を通じて実効性を高めています。

ESG推進委員会は3ヵ月に1回のペースで開催し、内容は取締役会に報告され、審議することとしています。

ESG推進委員会では、その推進を担う3つの部会、「環境事業部会」「社会性向上部会」「ガバナンス部会」を設置、ESG3部会長には、それぞれ職責者を任命し、目標・KPIを設定しています。

この3部会は、各部門・国内外のグループ会社と連携しながら、ESG経営の旗振り役として先導していくとともに、実効性ある取組みを行います。また、取組みの進捗報告と普及に向けた課題・改善提案のフィードバックを通じて、全従業員の理解・浸透を図ります。

ESG経営推進本部においては、ESG経営に関する基本方針の企画・立案及び推進に関する事項を掌理し、取組みの推進、情報の収集・分析、社内外への情報発信、ESG推進委員会の運営を通じて、ESG経営のさらなる推進を図っています。

 

 


・ 環境事業部会

グループ全体を対象とした事業活動全体の脱炭素化、生物多様性保全や資源循環に関する環境マネジメントシステムを計画・実行するとともに、環境関連情報を年次集計し、社内外のステークホルダーの環境意識向上・環境負荷低減に向けた認知向上を目的に情報公開しています。

グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする ”ためには環境への取組みが必要不可欠との考えのもと、これからも先進的な取組みで環境負荷と事業リスクの低減、及び事業機会の創出に努めていきます。

・ 社会性向上部会

人財価値の向上と事業・活動を通じた社会課題の解決を推進し、企業価値を高めていくことを目指しています。人財価値は、従業員の自律とベクトルの一致の掛け算という考えのもと、従業員にとっての「わが家」である会社と一人ひとりの幸せを実現する施策の計画・実行に努めます。社会価値は、子ども・環境・人権・地方創生を軸に、社会の幸せづくりに寄与する事業・活動を実現します。各施策の方針と推進体制・進捗を包括的にモニタリングし、お客様・社会・従業員の「幸せ」を最大化していきます。

・ ガバナンス部会

グループガバナンスの強化に向けて、本社コーポレート部門と国内外のグループ会社各社とのコミュニケーション活性化が重要と考え、情報連携に努めています。

国内外グループ会社におけるコーポレート機能の強化、ガバナンス人財の育成・適正配置、コンプライアンス意識向上などの現状把握、改善に関する議論などを通じて、事業マネジメントレベルでのガバナンス強化に取り組んでいます。

 

※ 当事業年度におけるESG推進委員会の主な議題については、「第4 提出会社の状況  4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ①コーポレートガバナンスの体制 <ESG推進委員会>」に記載しています。

 

②戦略

当社グループは、外部環境の変化に伴うリスク・機会を分析し、ステークホルダーである、お客様・社会・従業員それぞれの幸せを実現するため提供できる価値とは何か考え、「良質な住宅ストックの形成」、「持続可能な社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つのマテリアリティを軸に、第6次中期経営計画において、それぞれKPIを設定しサステナビリティの取組みを推進しています。

<リスク・機会と重点テーマ>

積水ハウスグループでは、価値創造に影響をもたらす中長期の課題を分析し、外部環境の変化に伴うリスク要因を洗い出すとともに、リスクを将来の事業創出の機会でもあると位置付け、事業戦略立案に活かしています。

 

外部環境の変化

リスク

機会

重点テーマ

・人生100年時代の到来

・With/Afterコロナ

・健康志向の高まり

・人口・世帯数の減少

・住宅内の事故増加

・資産継承の複雑化やトラブルの増加

・ライフスタイルや価値観の変化への対応不足

・健康に関する先進的技術への対応不足

・新築住宅着工戸数の減少、空き家問題の深刻化

・訪日外国人増加等の情勢変化の対応不足

・ライフスタイルや価値観の多様化

・既存住宅流通、不動産管理信託のニーズ

・健康に配慮した住宅等の需要増

・良質な住宅の需要増

・新たな住宅等のニーズ

・安全・安心・快適性

・資産価値の創出

・住宅の長寿命化

・省エネ基準適合義務化

・コンパクトシティの加速

・建設労働者の不足

・住宅の長期優良化、木造建築の耐震化

・建設費の増加による需要減

・地方の衰退

・施工力不足による供給能力の低下、施工技術伝承の断絶

・省エネルギー性能の高い住宅等の需要増

・地方創生のニーズ

・建設労働者の働きがい

・高耐久な住宅等の需要増

・脱炭素化

・地域社会との共生

・労働安全衛生・サプライチェーン

・住宅の長寿命化

・ネットゼロ推進

・生物多様性の保全

・サーキュラーエコノミー推進

・多発する自然災害

・気候災害の激甚化・頻発化

・カーボンプライシングの導入によるコストの上昇

・生物多様性の毀損、森林の減少

・大量廃棄による社会問題の増加

・自然災害の激甚化

・省エネルギー性能の高い住宅等の需要増

・再生可能エネルギーの増加

・自然資本や生物多様性保全を踏まえた事業機会

・循環型社会を踏まえた事業機会

・高耐久な住宅等の需要増

・脱炭素化

・生物多様性保全

・資源循環

・住宅の長寿命化

・地政学的リスクの懸念

・資材価格の高騰

・エネルギーコストの上昇

・金利上昇・為替変動

・資材供給の不安定化

・建設費の増加による需要減

・需要減少、賃料相場変動への対応不足

・事業や体制の見直しによる持続的な成長への機会

・政府による住宅関連政策や税制による事業機会

・地域・顧客ニーズを捉えた事業機会

・資産価値の創出

・住宅の長寿命化

・人財の多様性尊重

・従業員の自律支援、キャリアアップ

・育児や介護との両立

・グローバル化の加速

・心理的安全性の悪化による生産性の低下

・人財獲得の機会損失と人財の流出

・成長力の鈍化

・政治・経済の不確実性の増加

・人権問題に起因する社会的評価の低下

・多様な人財による価値創出

・自律した従業員による価値創出

・保育・介護等の施設の需要増

・海外における良質な住宅の需要増

・ダイバーシティ推進

・従業員の幸せ・健康

・多様な働き方・働きがい

人財育成・キャリア自律

・労働安全衛生・サプライチェーン

・安全・安心・快適性

・多様化するIT技術

・蓄電技術の発展、EVシフト

・レガシーシステムの更新

・先端テクノロジーの適用

・情報セキュリティ事案発生による社会的評価の低下

・デジタル技術を活用した事業機会

・資産価値の創出

 

 

<重点テーマに対応するマテリアリティ>

重点テーマ

マテリアリティ

・安全・安心・快適性

・資産価値の創出

・住宅の長寿命化

良質な住宅ストックの形成

・脱炭素化

・生物多様性保全

・資源循環

・地域社会との共生

・労働安全衛生・サプライチェーン

持続可能な社会の実現

・ダイバーシティ推進

・従業員の幸せ・健康

・多様な働き方・働きがい

・人財育成・キャリア自律

ダイバーシティ&インクルージョン

 

 

<マテリアリティごとの果たすべき使命と重点方針>

マテリアリティ

果たすべき使命

重点方針

良質な住宅ストックの形成

住まいの性能と美しさを追求することで、永く住み続けていただける価値ある住宅を提供します。

住宅とは、道路や鉄道、ガス・電気・水道と同様に、重要な社会資本の一つだと考えています。社会資本だからこそ、長期にわたり住み継がれていく良質な住宅を残し、次世代へ受け継いでいくことが当社の使命だと認識しています。

持続可能な社会の実現

環境負荷低減や再生可能エネルギー活用などを積極的に推進し、地域との共創を通じて、より幸せに暮らしつづけられる未来を切り拓きます。

人・まち・地球の調和を目指し、サプライチェーンを含めた事業活動を通じて持続可能な社会の実現に取り組みます。

ダイバーシティ&

インクルージョン

多様な視点や価値観が認められ、誰もが安心して自己実現や成長の機会を見つけ、特性や能力を活かしながら、活躍できる職場環境を築きます。

従業員にとっての「わが家」である職場の幸せを実現し、自らの意思でチャレンジし続けられる組織と人財の自律を支援します。

 

 

 

③リスク管理

当社グループは、サステナビリティを軸に、価値創造に影響をもたらす中長期の課題を分析し、リスク要因を洗い出すとともに、リスクを将来の事業創出の機会と位置付け、中長期の事業戦略立案に繋げています。ESG経営の取組みの進捗と課題については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告する体制としています。また、取締役会はESG推進委員会からの報告を受け、当社グループのサステナビリティに関する対応等についての審議・監督を行うこととしています。

サステナビリティの各アジェンダに関するリスク管理の詳細については、「(2)気候変動関連に対する取組み、(3)自然資本・生物多様性に対する取組み、(4)人的資本に関する取組み、(5)人権尊重に関する取組み」をご参照ください。

なお、これら以外のリスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④指標及び目標

当社グループは、第6次中期経営計画においてマテリアリティの取組みに向けたテーマごとのKPIを設定しています。そのうち、業績連動型株式報酬(PSU)に係るESG経営指標(注1)も含めた主なKPIは下記のとおりです。その他のKPIについては、2024年7月発行のValue Report 2024をご参照ください。また、その他のKPIの2024年度実績については2025年6月に発行予定のESG Fact Book 2025に記載します。

マテリアリティ

KPI

2023年度

2024年度

2025年度

実績

実績

目標

良質な住宅ストックの形成

戸建住宅の長期優良住宅認定取得率(注2)

92.3%

91.7%

90%以上

賃貸住宅リノベーション戸数(注3)

7,058戸

5,756戸

6,300戸

持続可能な社会の実現

戸建住宅ZEH比率

(注4)

95%

96%

90%

賃貸住戸ZEH比率

(注5)

76%

77%

75%

事業活動におけるCO2排出削減率(注6)

56.3%

62.3%

2030年度までに75%

ダイバーシティ&

インクルージョン

女性管理職人数
(注7)

342人

415人

380人以上

男性の育児休業取得率(注8)

100%

100%

100%

年次有給休暇取得率

(注9)

80.3%

79.9%

70%

 

(注)1 業績連動型株式報酬(PSU)に係るESG経営指標の詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等 ① 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項 (ⅲ) 業績連動型株式報酬(付与される基準株式ユニット数の20%に相当するESG経営指標連動部分)」に記載しています。

2 集計対象会社は、当社。当社が当年度に契約した戸建住宅において、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、行政の認定を受けた棟数の割合を表した指標。集計対象期間は2024年4月1日~2025年3月31日。

3 集計対象会社は、積水ハウス不動産グループ各社。賃貸住宅において、間取りの変更を伴い、資産価値の向上が見込める内装・設備リノベーション工事の契約戸数を表した指標。

2024年度より、良質な住宅ストックの形成とお客様の幸せに資するリノベーションを実施することに主眼を置き、戸数から質の向上に注力する方針にシフトしたため、2025年度の目標数値を変更しました。

4 集計対象会社は、当社。当社が当年度に建築した戸建住宅(北海道の請負・分譲住宅は除く) に占めるZEH(Net Zero Energy Houseの略称) の割合を表した指標。集計対象期間は2024年4月1日~2025年3月31日。

5 集計対象会社は、当社。当年度に契約した賃貸住宅「シャーメゾン」に占めるZEH 戸数(ZEH Ready基準以上かつ入居者売電物件)の割合を表した指標。

6 集計対象会社は、当社グループ。当社グループの事業活動全体で直接的に排出するCO2(スコープ1)と、調達電力など間接的に 排出するCO2(スコープ2)を2013年度比で表した指標。

7 集計対象会社は、2023年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱ 、㈱鴻池組とその国内連結子会社、2024年度、2025年度は、当社及び国内連結子会社。

8 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。「積水ハウスグループ 女性活躍推進行動計画」で掲げた「当社グループ全体の男性育児休業取得率」で、3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得した割合を表した指標。

9 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱。働き方改革関連法に基づき義務化された年5日取得の促進及び総労働時間削減への取組みを推進するため、当社グループ従業員の年次有給休暇の取得率を表した指標。集計対象期間は2024年3月11日~2025年3月10日。

 

(2) 気候変動関連に対する取組み(TCFD提言に沿った情報開示)

①ガバナンス

当社グループでは、気候変動対応はESG推進委員会の重要議題の一つとして位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行うとともに、重要事案については取締役会に報告しています。

ESG推進委員会の傘下に、環境経営に関わる本社部門の職責部長及び各事業部門の環境責任者を中心とした全社横断の「環境事業部会」を設置し、3ヵ月に1回開催しており、環境関連の情報共有ならびに活動方針等の決議事項の検討など、組織全体のベクトルの一致に向けて活動しています。

また、ESG推進委員会の決定事項は環境事業部会を通じて、関連会社を含む全グループに展開し浸透させています。

ESG推進委員会を通じた経営層の監視の実効性確保のために、取組みの推進は、各業務の担当取締役や経営層との日常的な報告と指示を経て進めており、これによってタイムリーな監視・監督機能を確保しています。

②戦略

当社グループは目指すべき事業全般の脱炭素化への歩みを着実に進めるために、今後起こり得る様々な事態を想定し、戦略の妥当性や課題を把握すべく、事業活動及び資源の固有の状況や、物理的リスクについて想定される事業活動・期間・資産の耐用年数などを考慮したシナリオ分析を行っています。

また、移行リスクについて法制化、技術開発、市況に係る潜在的なシナリオに基づき評価し、事業活動に与える気候関連のリスク(物理的リスク及び移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。

2025年2月には、ネットゼロ達成に向けた日本の新たな温室効果ガス削減目標として、「2035年度及び2040年度において温室効果ガスを2013年度からそれぞれ60%、73%削減」が設定され、これに基づき住宅産業関連で「2050年にストック平均でのZEH(Net Zero Energy House)・ZEB(Net Zero Energy Building)基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指し、これに至る2030年度以降に新築される住宅・建築物はZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」「家庭部門の非化石転換やディマンド・リスポンス(DR)も併せて進めていく観点から、家庭部門のエネルギー消費の約3割を占める給湯器の省エネルギーや非化石転換の加速、DRに必要な機能の具備の促進、開示を通じたエネルギー供給事業者の取組強化などの制度面での対応を進める」などの方向性も示されました。

そのため、全事業を対象としてあらためて大規模なシナリオ分析を実施し、戦略の見直しを行っています。

シナリオ分析により特定した、財務影響が大であると想定された主要なリスク・機会と対応を示します。

 

<シナリオ分析の前提>

参照したシナリオ

・IPCC(注1)SSP1-1.9(1.5℃以下を実現するため各国が野心的な気候政策を導入、2050年にCO2排出正味ゼロを実現する)

・IPCC SSP3-7.0(CO2排出が2050年でも減少に転じず、結果として高温、豪雨、暴風をはじめとする影響が大きい)

・IEA(注2)SDS(エネルギー政策や投資の展開によりパリ協定などの目標が達成される。多くの国や企業が2050年ネットゼロを実現する)

・IEA NZE2050(世界全体が2050年ネットゼロを実現する)

・NGFS(注3) Delayed Transition(新しい気候政策の導入が遅れ、また各国の行動のレベルが異なり、2030年までは減少に転じず、その後ネットゼロに向かう)

・日本政府及び審議会「2030年日本の温室効果ガス排出量2013年比46%削減、2050年までに実質排出ゼロ」、「2035年度、2040年度の日本の温室効果ガス排出量2013年度比60%、73%削減」、「2030年までに家庭部門の温室効果ガス排出量2013年比66%削減」、「2040年までに家庭部門の温室効果ガス排出量2013年比71~81%削減」、「2030年度以降に新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能を確保」、「2050年カーボンニュートラルに資する住宅をストック全体に普及」

上記の各国際機関等が発表しているシナリオ、日本政府及び関連する審議会の発表等を考慮しています。

なお、IPCC SSP1-1.9やIEA SDS、IEA NZE2050で示される、2030年までに地球全体のCO2排出量が約半減し2050年頃にはゼロとするシナリオの実現には、高額な炭素税の導入や脱炭素に向けた市場の移行といった政策導入などが必要と想定し、移行リスクの前提条件として活用しています。また、NGFS Delayed Transitionで示される、2030年までは現状の政策の延長として各国や企業が取り組むもののCO2排出削減は1.5℃シナリオに整合しない、さらにIPCC SSP3-7.0で示される中期2041~2060年に気温上昇の最良推定値が2.1℃であるなどを想定し、物理的リスクの前提条件として活用しています。

対象企業・事業

米国等の海外子会社を含む積水ハウスグループの既存全事業(バリューチェーンの上流・下流の全体を含む)

 

(注)1 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル

2 IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関

3 NGFS(Network for Greening the Financial System):気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク

なお、財務影響と想定期間については以下のとおり定義します。

財務影響 大:300億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満

想定期間 短期:2024年から3年間、中期:2030年まで、長期:2050年まで

 

<主な移行リスク/物理的リスク>

リスク

影響

対応

財務

影響

想定

期間

移行リスク

カーボンプライシングの導入

カーボンプライシングは世界で広く採用されている。日本においても政府による排出量取引(GX-ETS)導入の検討がなされており、比較的早期に導入される可能性がある。導入された場合、直接及び間接的な事業コストの増加や競争力低下の可能性がある。

グループ全体やサプライヤー企業の事業活動における脱炭素に向けた取組みは中期では道半ばであり、仮に炭素税や排出量取引単価が1万円/t-CO2程度かかると、その影響は大きい。RE100の推進、事務所や生産設備などの省エネルギー化、サプライヤーに対するアンケート調査や勉強会の開催等を通じた建材製造段階のCO2排出削減など、既にバリューチェーン全体において様々な取組みを始めており、この影響をできるだけ早期に減らしていくことを検討している。

短期

住宅の価格上昇・市場の縮小

長期的には、ネットゼロに求められる規制強化に対応するための住宅価格の高騰、また省エネルギー性能や耐震性能に劣る住宅が減り、良質な住宅ストックの住み継ぎが増えることにより、新築市場自体が縮小する可能性がある。また、海外においても、特にファーストホームバイヤーを対象とした低価格帯の商品については、原価上昇の影響が甚大なものとなり得る。

短中期の規制強化に対する当社への影響は小さい見込みだが、長期のさらなる規制強化に対しては、コストを抑えた脱炭素住宅の開発に計画的に取り組む必要がある。また、あわせて新築市場縮小に備え、ストック型ビジネスを強化することを検討している。

長期

市場の変化による賃貸事業収益の低下

管理物件の内、脱炭素化性能が不十分な物件は競争力を失い、入居率・家賃の低下につながる。

管理物件のZEH住戸比率を高めるとともに、非ZEH住戸の脱炭素化リフォームを推進し、借り手に訴求力のある賃貸住宅の価値の維持・向上に努める。

長期

被災リスクの高い管理物件の賃貸事業収益の低下

気候変動に伴う災害(河川の氾濫による浸水、土砂災害等)の増加により、被災するリスクが高い区域に立地する管理物件において、入居率・家賃の低下につながる。

行政のハザードマップを確認し建設予定地の危険について把握するなど、課題として認識し、継続して検討している。

長期

物理的リスク

当社保有資産の気象災害による被害

全国規模での気象災害により、当社グループで保有する資産(工場、オフィスビルなどの事業拠点、生産設備や車両など)が罹災し、事業が継続できなくなる、また、補修や交換のための大きなコストが発生する可能性がある。

当社グループは日本国内では沖縄県を除く全国で事業展開しており、本社機能を含み一部エリアで災害が起こった場合は、被害のないエリアがサポートすることで事業を継続できる体制を既に構築済みである。このような事業継続性に関するBCP対応は、リスク管理委員会により適切に管理され、必要に応じて更新している。なお、日本国内の5工場について河川氾濫ハザードマップまたは内水氾濫シミュレーションにより浸水深を想定して被害額を算定したところ、浸水被害を受ける可能性のあるのは兵庫工場を除く4工場であり、最も大きい被害が想定される関東工場についてIPCC RCP8.5シナリオに基づくさらに詳細な分析を行った結果、既に加入済みの保険の補償範囲内であることを確認済みである。ただし、今後、さらに自然災害の激甚化が増加し、大規模災害が全国で同時に発生した場合を想定すると、当社事業も甚大な被害が想定されることから、災害へのレジリエンス性強化の検討は継続する。

中期

 

 

<主な機会>

機会

影響

対応

財務

影響

想定

期間

ZEH・ZEB受注の増加

日本政府が家庭部門の温室効果ガス排出量を2030年までに2013年度比で66%削減することを目標に掲げるなど、ZEH・ZEBの普及は重要施策として位置づけられている。また、消費者のエシカル志向や、事業者の脱炭素指向が進み、今後ますますZEH・ZEBの需要が高まると考えられる。さらに、海外でもZEH仕様の製品需要が高まることも想定される。

当社の戸建ZEH比率は90%を超えており、既に標準仕様の状況。現在は、賃貸住宅・分譲マンションでも積極的に推進を始めている。これまで培った日本一のZEH受注実績を活かし、グループ全体においてZEH・ZEB受注を拡大していく。また、海外においては太陽光発電パネル及び蓄電池設置義務化が進んだ場合、早期にZEHの標準化に対応している当社は、調達面等で優位性をもつほか、将来にわたり高いリセールバリューを維持できるなどの顧客メリットを訴求できる。

中期

賃貸管理物件のZEH化による賃貸事業収益の増加

日本政府は2030年以降に新築される全ての建物でZEH水準の省エネルギー性能を求める考えであり、いずれは賃貸住宅のZEH化が一般化する中、消費者のエシカル志向の高まりとともに、ZEH賃貸住戸のニーズが飛躍的に高まる可能性がある。

当社は2018年に日本で初めて全住戸ZEH基準を満たす賃貸住宅を竣工して以来、入居者様に訴求できるZEH住戸の普及に取り組んでいる。着実に受注実績を伸ばし、将来のエシカル消費者を中心とした賃貸ZEHの需要拡大に備えている。

中期

脱炭素リフォーム受注の増加

2030年までの政府目標「家庭部門の温室効果ガス排出量2013年比66%削減」の達成にはストックの省エネ改修も不可欠であり、様々なリフォーム支援の政策も実施され、脱炭素リフォームの受注が好調に推移している。

カスタマー対応、リフォーム提案などにより、断熱改修や燃料電池・蓄電池の受注は増加傾向にある。特に、居住エリア中心の部分的な断熱強化を行う「いどころ暖熱」は、工期やコストのお客様負担が少なく好評。これらのリフォームは災害レジリエンス性を高める点も訴求している。今後も現実的に普及可能なリフォーム提案を推進していくことを検討している。

中期

 

 

③リスク管理

当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として、気候変動関連リスク及び機会を判断するための評価をTCFDの提言に基づき実施しています。リスクと機会の抽出は、グループ全体を対象に各事業の主管部署を中心に行い、その結果を環境事業部会で集約し、財務影響評価を行っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告し、必要に応じてリスクの緩和・移動・受容・コントロールについて検討します。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」に関係する事項についてはリスク管理委員会にも共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。

 

 

④指標及び目標

当社グループでは、2008年に、2050年までに住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を宣言し、事業活動全体において、再生可能エネルギーの利用も含めてネットゼロを目指し、既に様々な取組みを開始しています。

この目標達成へのマイルストーンとして、2030年までにスコープ1(直接排出量:自社の工場・オフィス・車両などによる燃料消費)とスコープ2(間接排出量:購入した電力など自社で消費したエネルギー)において75%削減(2013年度比)、及びスコープ3カテゴリ11(販売した製品の使用)において55%削減(2013年度比)することを目指し、SBTi(注4)の1.5℃に整合する目標として設定しています。なお、現在は2023年度実績を基準年として同等の削減目標を設定、さらに同時に2050年までにバリューチェーン全体のネットゼロ目標も設定の上、SBTiによる認証をそれぞれ取得しています。スコープ1、2については、2022年度で2030年を目標としていた50%削減を既に達成したため、より野心的な目標に上方修正したものです。

(注)4 SBTi(Science Based Targets initiative):2015年にWWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトにより設立された共同イニシアティブ

GHG排出量に関する実績(スコープ1、2)(t-CO2e)

分類

実績

集計対象

2023年度

2024年度

2023年度

2024年度

スコープ1

50,371

42,919

積水ハウス㈱、国内外の主要な連結子会社(43社)

積水ハウス㈱、国内外の主要な連結子会社(40社)

スコープ2

22,502

19,895

同上

同上

合計

72,873

62,814

同上

同上

 

GHG排出量に関する実績(スコープ3カテゴリ11)(t-CO2e)(注5)

分類

実績

集計対象

2023年度

2024年度

2023年度

2024年度

スコープ3

カテゴリ11

8,300,245

8,162,118

積水ハウス㈱、㈱鴻池組、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス不動産グループ各社、SEKISUI HOUSE US HOLDINGS,LLC 傘下の住宅販売子会社、SEKISUI HOUSE AUSTRALIA HOLDINGS PTY LIMITED

同左

 

(注)5 販売した製品の使用に伴う(供給した住宅及び非住宅建築物の使用段階における)排出量。年間に供給した全ての住宅及び非住宅建築物の使用時のエネルギー消費に基づくCO2排出量を算出。供用年数は60年を想定。住宅(国内)については、ZEH(*1) 計算等で使用する「建築物エネルギー消費性能の向上に関する法律」に準拠したエネルギー消費性能計算プログラムを用い算出された一次エネルギー消費量をCO2排出量に換算し算出。CO2排出係数は「地球温暖化対策の推進に関する法律」の値を採用(*2)。非住宅建築物(国内)については、床面積に用途別の床面積当たりのエネルギー消費量を乗じる方法または前述のプログラムを用いて住宅と同様の方法で算出した一次エネルギー消費量をCO2排出量に換算し算出。用途別の床面積当たりのエネルギー消費量及びエネルギー種別一次エネルギー構成比率は「CASBEE-建築(新築)2021年SDGs対応版」(一般財団法人 住宅・建築 SDGs推進センター)の値を採用。住宅(米国)については、エネルギー省(DOE)(*3)が公開する住宅のエネルギー消費量シミュレーション結果をCO2排出量に換算し算出。CO2排出係数は環境保護庁(EPA)(*4)が公開する値を採用。住宅(豪州)についてはエネルギー規制当局(AER)(*5)が公開する、住宅のエネルギー消費に関するデータをCO2 排出量に換算し算出。CO2排出係数は、気候変動・エネルギー・環境・水資源省(DCCEEW)(*6)の公開する値を採用。

*1 外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。

 

*2 電力排出係数については「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)R5年度実績」(R7.3.18 環境省・経済産業省公表)の全国平均係数を使用。都市ガスの排出係数については「ガス事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用) R5年度供給実績」(R6.6.28 環境省・経済産業省公表)の代替値(省令の排出係数)を使用。

*3 United States Department of Energy:アメリカ合衆国エネルギー省

*4 Environmental Protection Agency:米国環境保護庁

*5 Australian Energy Regulator:オーストラリアエネルギー規制当局

*6 Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water:気候変動・エネルギー・環境・水資源省

※ 当社グループでは、2024年7月に発行したValue Report 2024において、詳細なTCFD提言に沿った情報開示を行っています。当社WEBサイトをご参照ください。

Value Report

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/annual/

ESG Fact Book 2025を2025年6月に発行する予定であり、本誌でより詳細なTCFD提言に沿った情報開示を行います。また、上記表のスコープ1、2及び3カテゴリ11 のGHG排出量については有価証券報告書作成時点での暫定値であり、確定値、並びに算定基準、スコープ3の他のカテゴリにかかるGHG排出量等は、2025年5月末に発行予定のESG Data Book 2025(確定版)で開示します。

 

(3) 自然資本・生物多様性に対する取組み(TNFD提言に沿った情報開示)

①ガバナンス

当社グループでは、ESG推進委員会において、自然関連の対応を気候変動同様に本委員会の重要議題の一つとして位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行うとともに、重要事案については取締役会に報告しています。

また、積水ハウスグループ人権方針では、国際人権章典、労働における基本的原則及び権利に関するILO(国際労働機関)宣言、ビジネスと人権に関する指導原則など国際規範を尊重し、国連グローバル・コンパクトの10原則を支持しています。さらに、CSR調達ガイドライン、木材調達ガイドラインにおいて、人権侵害の防止に対する方針や基準を定めています。それらの方針や基準の遵守により、当社による事業活動や調達において、人権侵害が発生しないよう配慮しています。特に、木材調達ガイドラインでは、調達地の先住民を含むステークホルダーのFPIC(注1)を尊重することを規定するとともに、サプライチェーン上でのあらゆる紛争を認めない木材の調達方針なども定めて実行しています。

(注)1 FPIC(Free, Prior and Informed Consent):自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意

②戦略

当社グループは、気候変動同様、自然資本や生物多様性保全においても、人と自然の共生社会への歩みを着実に進めるために、今後起こり得るさまざまな事態を想定し、戦略の妥当性や課題の把握に努めています。

当社では、自然関連リスク・機会及び影響・依存評価を、TNFDのLEAPアプローチ(注2)に基づき実施しています(図1)。まず、当社の主要事業である住宅事業における自然関連の影響・依存の分析と診断を行い(1-1)、当社の取組みを整理したうえで、シナリオ分析によりリスクと機会への対応の優先度を検討しました(3-1)。次に、住宅事業に関する4つの工程(原料調達、製造加工、建設、解体)の中で自然への影響度及び依存度の高い原料調達工程における木材調達について、株式会社シンク・ネイチャーの協力のもと、同社の持つ生物多様性ビッグデータを用いて、高度化した分析を行い、当社にとってより重要な自然との接点の特定と影響と依存の把握を行ったうえで(1-2,2-1,2-2)、リスクの定性的な財務影響評価を行いました(3-2)。さらに、2024年度は影響・依存の分析と診断を全事業の直接操業に拡大し(1-3)、全事業におけるリスク・機会の特定と定量的な財務影響評価を行いました(3-3,3-4)。1-3,3-3,3-4については、2025年6月に発行予定のESG Fact Book 2025(注3)で開示します。

(注)2 LEAPアプローチ:組織の自然との接点、依存、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題を判定するための統合的な評価手法。スコーピングを経て、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、 Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップをとおして影響を評価し、開示を行う。


図1 TNFD LEAPアプローチ実施状況

 

1-1 住宅事業における自然への影響・依存の分析と診断(Locate・Evaluate)

住宅事業(戸建住宅・賃貸住宅)について、調達データをもとにENCORE等を使用して潜在的な影響と依存の分析を実施した結果、原料調達工程において、多くの生態系サービスに依存している可能性があること、また、木材の伐採や鉱物資源の採掘における陸域・淡水域・海域の土地改変や、大気・水域・土壌・廃棄物の汚染などの影響を及ぼしている可能性があることを確認しました。詳細はValue Report 2024(注3)をご参照ください。

 

1-2 木材調達における生物多様性の観点でセンシティブな場所の発見(Locate)

当社の2022 年度における木材調達量の約90%を占める上位11か国を対象に、天然林については「生物多様性の重要性」「生物多様性の完全性」を、人工林については「生物多様性の重要性」を評価しました。これにより、天然林についてはインドネシア・マレーシア、人工林についてはインドネシア・マレーシア・日本・ベトナムが11か国の中でも特に保全優先度が高いエリアであり、優先的に影響の把握が必要であることが分かりました。詳細はValue Report 2024(注3)をご参照ください。

1-3 全事業における自然への影響・依存の分析と診断(Locate・Evaluate)

当社グループの全事業範囲の直接操業における自然への影響と依存をポートフォリオ分類別に、ENCOREを用いて評価しました。その結果、直接操業では多くの事業が水循環や土壌に関する生態系サービスに関連していることが分かりました。

2-1,2-2 木材調達における自然への影響・依存診断(Evaluate)

ENCOREにて林業に関連すると評価されている「陸域生態系利用」、「地盤安定化と浸食抑制機能」、「害虫抑制機能」について調達量上位11か国について分析を行いました。詳細はValue Report 2024(注3)をご参照ください。

3-1,3-2 住宅事業におけるリスク・機会の特定と評価、リスクの定性的な財務影響評価

3-1,3-2で行った内容については、2024年度にスコープを拡大した3-3,3-4に含めているため、記載を割愛しています。

3-3 全事業におけるリスク・機会の特定と評価(Assess)

1-3で当社グループの直接操業において自然への影響・依存の度合いが大きかった項目に関連する可能性のあるリスク・機会事項と、1-1で住宅事業において自然への影響・依存の度合いが大きいとされた原料調達工程に関連する可能性のあるリスク・機会事項の一覧を整理しました。その後、その一覧の中から特に当社グループにとって特に重要度の高いものを洗い出し、具体的なリスク・機会を特定しました。この主要なリスク・機会を導き出すプロセスとして、当社グループ内の各事業範囲に関連する23部署から52名が参加する横断的なワーキンググループを設け、計16回のワークショップを開催し、自然関連の将来的なリスク・機会とそのレジリエンスについて議論できる場を構築しました。

ワークショップを開催するにあたり、TNFDが推奨する2つの不確実性から構成される4象限のシナリオ(図2)のうち、シナリオ①を「持続可能なシステムが回る世界」、シナリオ③を「破滅へ進む世界」として、生物多様性の状態と気温上昇という自然の状態に関する観点(横軸)と、技術・社会・規制/政治という世界動向に関する観点(縦軸)で、短期を2024年から3年間、中期を2030年まで、長期を2050年までと設定して探索的にシナリオを構築しました。ワークショップでは、それぞれのシナリオにおける当社の直面しうるリスク・機会を議論しました。


図2 TNFDが推奨する2つの不確実性から構成される4象限のシナリオ

 

シナリオ構築にあたり、WWF のLiving Planet Report 2022 とIPCCのSixth Assessment Report(2021)等を参考に2040年時点の自然の状態を固定条件として設定をしました。まず、シナリオ①では横軸の自然状態について、生態系は徐々に回復傾向にあり、気候変動でも1.5℃シナリオが達成されることで環境が改善に向かう世界を想定しました。縦軸である市場と非市場原理は一致する方向、すなわち社会や法規制、経済が、自然にとってポジティブな方向へ移行する世界を想定しています。一方で、シナリオ③では生態系は劣化し、気候変動による気温上昇が進む世界を想定しており、縦軸においても市場と非市場原理は不一致の方向、すなわち社会や法規制、経済が自然にとってネガティブな方向もしくは現状と変わらないという世界を想定しています。

3-4 リスク・機会の財務影響評価(Assess)

全社的なワークショップを通してシナリオ分析により特定した、主要なリスク・機会とその潜在的な財務影響を算定しました。財務影響評価が大となったリスク・機会のうち主なものを以下に示します。今後は、社内での議論をさらに深め、それぞれのリスク・機会が関連する自然へのインパクト・依存への詳細情報の把握や優先地域の精緻化とそのアプローチを検討したうえで、対応がさらに必要な事項について行動方針を検討していくとともに、財務影響についてもより精査していきます。

なお、財務影響と想定期間については以下のとおり定義します。

財務影響 大:300億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満

想定期間 短期:2024年から3年間、中期:2030年まで、長期:2050年まで

<主な移行リスク/物理的リスク>

リスクの

分類

要因となる

影響/依存

の種類

説明

財務影響

シナリオ

想定期間

短期

中期

長期

移行

評判

影響

漏出や廃棄物の蓄積による汚染された土壌及び水

生態系保全への関心が高まり、環境関連の不誠実な対応が不信感となり、レピュテーションリスクにより、プロジェクト中止や売上縮小、株価下落が起こる。

 

 

物理的

 

急性

依存

洪水/暴風雨/地滑り

土壌浸食からの防護

開発行為により自然が劣化した結果、地滑り・嵐の被害・洪水が発生し、開発行為が災害と関連づけられ、賠償責任が発生する。

 

 

慢性

依存

建築物の原材料調達

生態系の衰退に伴い、絶滅危惧種の生息地に関連する原材料や環境負荷の大きなサプライチェーン製品の調達が困難となり、あらゆる原材料の価格が高騰することで、複合的に住宅の供給能力に影響を及ぼす。

 

 

慢性

依存

建築物の原材料調達

森林火災の発生により、木材の安定調達へ影響を及ぼし、材料の調達価格が高騰する。

 

 

 

 

<主な機会>

リスクの分類

要因となる影響/依存の種類

説明

財務影響

シナリオ

想定期間

短期

中期

長期

サステナビリティパフォーマンス

資源利用

影響

General

建築物の再利用等の取組みを通じて、サーキュラーエコノミー戦略を実施する先進企業としての認知が高まり、顧客や市場からの評価が高まる。

 

 

ビジネス/サステナビリティパフォーマンス

製品/サービス

影響

土地の開墾

生息地の分断・劣化

「5本の樹」計画におけるノウハウ・技術を生かし、住環境における緑化を推進するとともに、都市における緑地の価値を向上させることで新たな事業の展開につなげる。

 

 

ビジネスパフォーマンス

市場/

評判

影響

建設資材の生産

バージン材を廃棄物やロスを利用した代替製品に変えることで、環境に配慮した企業としての評価が高まり、取引先にも環境への意識が広がる。これにより、新しいビジネスの開拓や売上の増加につながる。

 

 

③リスクとインパクト管理

当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として自然関連リスク・機会及びインパクト・依存評価を、TNFDのLEAPアプローチに基づき実施しています。まず、整理したバリューチェーン全体において、潜在的な自然関連のインパクトと依存が存在する活動を洗い出しました。木材については、詳細な調達情報をもとに生態学的にセンシティブな場所との地理的な接点の発見を行ったうえで、インパクトと依存を特定し、それらを定量的・定性的に分析して重大性を評価しています。

リスクと機会の抽出は、シナリオ分析を用いながらグループ全体を対象に各事業の主管部署を中心に行い、その結果は環境事業部会で集約し、財務影響評価を行っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に共有し、必要に応じてリスクの緩和や対応について検討します。また、「事業運営リスク」や「ハザードリスク」に関係する事項についてはリスク管理委員会にも共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。

さらに、当社の事業活動に関係するサプライヤーをはじめとする主要なステークホルダーとのエンゲージメントも引き続き取組みを強化していきます。

④指標及び目標

当社グループでは、自然に関連する重要な影響・依存やリスク・機会の適切な評価と管理を目的として、TNFD 提言内容に沿って適切な「アセスメント指標」を選定し、「開示指標」のコア指標を中心に実績値を開示します。2024年度の実績値については、2025年6月に発行予定のESG Fact Book 2025(注3)をご参照ください。

今後は今回開示できていないコア指標と、アセスメント指標のうち重要なものを「開示指標」の追加指標として実績値の算出を進めていきます。今後は、アセスメント指標の中から、洗い出したリスク・機会に関連する指標を中心に目標設定を行い、モニタリングすることを検討しています。さらに、指標以外の目標設定として、木材調達方針に掲げた2030年の天然林における森林減少ゼロ(ゼロ・デフォレステーション)達成のため、ゼロ・デフォレステーション比率を2023年度よりKPIとして設定し、進捗を管理しています。目標達成のため、サプライヤーエンゲージメントの強化や詳細な現地デュー・ディリジェンス、仕様変更による原材料の切り替えなど、さまざまな取組みを推進しています。

 

 

カテゴリー

Metric No.

TNFD指標概要

当社が設定する指標

気候変動

 

GHG排出量

GHG排出量に関する実績(スコープ1、2)(t-CO2e)

陸域/陸水域/海域利用の変化

C1.0

総空間フットプリント

製造拠点の総面積

自然共生サイト面積

C1.1

利用目的で改変された陸/淡水/海の面積

一定期間における、施工面積

汚染/汚染除去

 

C2.0

土壌に放出された汚染物質の種類別内訳

直接操業における環境(土壌を含む)への有害廃棄物排出量

C2.1

排出された廃水

グループ全体での排水量と、排水中の汚染物質濃度

C2.2

発生する廃棄物と処分される廃棄物

製造加工・施工・解体・オフィスにおける廃棄物発生量

製造加工・施工・解体・オフィスにおけるリサイクル実施量と実施率

新築施工におけるリサイクル実施率

C2.3

プラスチック汚染

新築施工におけるプラスチックのマテリアルリサイクル実施率

C2.4

GHG以外の大気汚染物質

製造加工におけるGHG以外の大気汚染物質排出量

資源の使用/補充

C3.0

水危機の地域からの取水と水消費

製造加工における水ストレス地域からの取水量と消費量

C3.1

陸/淡水/海から調達するリスクの高い天然資源の量

絶滅危惧種に指定されている樹種などリスクのある木材以外からの調達量(持続可能な木材調達量)

侵略的外来種とその他

C4.0

プレースホルダー指標:意図的でない侵略的外来種(IAS)の持ち込みに対する対策

「5本の樹」計画実施によるIAS植栽リスク

自然の状態

C5.0

プレースホルダー指標:生態系の状態

木材生産における影響・依存が大きい地域

「5本の樹」計画実施による三大都市圏の多様性統合指数の増加量

 

 

(注)3 当社グループでは、2024年7月に発行したValue Report 2024において、詳細なTNFD提言に沿った情報開示を行っています。当社WEBサイトをご参照ください。

Value Report

https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/annual/

また、ESG Fact Book 2025を2025年6月に発行する予定であり、本誌でより詳細なTNFD提言に沿った情報開示を行います。

 

(4) 人的資本に関する取組み

①ガバナンス

人的資本の施策に関する重要事項については、内容に応じて取締役会の諮問機関である「人事・報酬諮問委員会」、「ESG推進委員会」または「リスク管理委員会」での討議を経て、経営会議または取締役会で付議・報告され全社施策として実行・運営されます。人財戦略の推進にあたっては、人事総務部、人財開発部、ダイバーシティ推進部などといった当社関係部署が、施策の実施及びKPI進捗管理を行っており、ESG推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。また、当社はグループ各社の課題及びKPIの進捗について、前述の関係部署が報告を受ける体制を構築しており、グループ全体を包括的に管理しています。

 

②戦略

人財開発基本方針・社内環境整備方針展開にあたっての基本的考え方 

従業員が自律するためには、従業員が当社グループという資源を利用しながら、一人ひとりが主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことが重要です。自律的なキャリア形成を促すため、従業員と企業がともに持続可能な成長を実践できる環境や仕組みづくりを進めます。あわせて、年齢、性別、国籍、障がいの有無などを問わず、誰もが自分らしく働き、その能力を最大限に発揮できる環境や制度づくりを推進するとともに、多様な働き方ができる柔軟性の高い勤務制度の導入・運用を積極的に進めています。また、インテグリティが高いリーダーを計画的に育成するとともに、事業戦略に必要な人員確保や適正配置に努めます。

 

人財開発基本方針

グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け「人財価値を最大化し、知と経験のD&Iで事業成長を牽引する」を方針とし、人財開発に関する取組みを推進していきます。

 

社内環境整備方針

グローバルビジョン実現に向け、その原動力である従業員が集う積水ハウスが世界一幸せな会社であることが重要と考えます。「誰もが働くことに、やりがいや幸せを感じられる会社」を目指し、従業員のキャリア自律支援、D&Iの推進、多様な働き方の推進、幸せの基盤づくりなど、重点テーマの推進を支える環境整備を行います。

 

第6次中期経営計画(2023年度~2025年度) 人財戦略

人財価値の向上は、企業の成長のドライバーです。

当社はその価値を「人財価値向上=従業員の自律(注1) × ベクトルの一致(注2)」と表現し、以下の図のとおり、人財戦略の重点テーマを整理しています。

1.キャリア自律支援、2.D&Iの推進、3.多様な働き方の推進、4.幸せの基盤づくり、これら4つのテーマに基づく、制度改革や組織風土づくり、取組み推進などを戦略的に遂行しながら従業員の自律を支援・促進していきます。さらに、これらによって創出された自律した従業員が積水ハウスグループの目指す方向性に共感し、自ら行動するために、企業理念と戦略を浸透させるリーダー育成、戦略に応じた人員確保と適正配置を実施していきます。

「人財価値向上=従業員の自律 × ベクトルの一致」については、乗算であることが重要であり、「従業員の自律」及び「ベクトルの一致」のいずれも高い水準を目指すことで人財価値がますます向上し、社会への価値提供が大きくなります。当社が成し遂げたいことは、社会への提供価値の最大化であり、これを支える人財への投資を着実に行っていきます。

(注)1 従業員の自律:従業員一人ひとりが考え、主体的に行動すること。

2 ベクトルの一致:会社のビジョンや戦略が従業員に浸透し、理解されている状態であること。

 

 


 

[従業員の自律に関する取組み]

1.キャリア自律支援

「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に、従業員間でアイデアを出し合い、活発なコミュニケーションを通じて新たなイノベーションを生み出すという創発型企業文化の醸成や、従業員が主体性を発揮する機会をつくることを通じて、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。2003年に開始したキャリア自律意識を醸成する各種研修については累計21,110名が受講(2024年度末実績)し、仕事だけではない人生全体を見据えたキャリア形成への意欲を高めています。また、マネージャー職の責任範囲、職務内容、必要な知識・スキルを定めた職務記述書の従業員への公開の他、業務上必要な主要資格の取得支援も行っています。

・ 直近の取組み例

- 2021年:創発型表彰制度「SHIP」のスタート

- 2022年:人財公募制度のリニューアル

- 2023年:MBA等の自律的学習を支援する高度学習支援制度、キャリア自律休業支援制度のスタート、

キャリア自律コースの拡充

- 2024年:オンライン学習サービスのトライアル、職責者向けのキャリアコーチ資格プログラム、

英語学習プログラム、Myキャリアシートによるスキルと経験の可視化のスタート

2.D&Iの推進(注3)

i)女性活躍支援

当社グループの使命は「幸せづくりのパートナー」として、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることであり、多様な価値観や感性・視点が求められる住まいづくりにおいて、あらゆる分野での女性の活躍は不可欠であると考えます。このことから、女性活躍支援を経営課題として認識し、2006年に経営企画部に女性活躍推進グループ(現在のダイバーシティ推進部)を設置し、以下の採用、定着、育成における活躍支援施策を継続して実施しています。

定着へ向けた取組みとして、職種毎の課題に即した施策を展開しており、女性営業職には2007年から「全国女性営業交流会」を実施し、女性営業同士のネットワークを構築しています。3年目以下の離職率の高さが課題であったため、現場での育成はもちろん、3年目以下の女性営業全員とダイバーシティ推進部が面談を実施し、課題の早期発見や改善に努めるなど一人ひとりに寄り添ったサポートを展開しています。女性現場監督職には2014年から「全国女性現場監督交流会」を毎年開催、2015年からは「女性現場監督サポートプログラム」も実施し、職域の拡大を推進、在籍率30%を超える女性設計職においては専門性の強化と、育児との両立に関するロールモデルを全国へ水平展開し多様なキャリア形成の支援を実施しています。2025年2月より事業所表彰におけるESG指標の一つとして「女性活躍推進指標」を新設し、さらなる女性活躍の推進を図ります。

 

当社グループでは女性活躍推進法に基づく行動計画(2021年に策定)にて、2025年度までに女性管理職を310人以上(注4)登用することを目標とし、女性管理職候補人財の育成にも注力してきました。2014年から、管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講。毎年、手挙げかつ上司推薦を経て決定した20人の受講者に、約2年間OJT及び組織課題解決の実践プログラムを提供し、納得性のある育成・登用へとつなげています。開講当初から、代表取締役が自ら受講生との直接対話の機会を持ち、2018年からは、社外女性取締役も参加して受講生に直接エールを送り、女性管理職育成の大きな後押しとなっています。女性従業員の採用、定着、育成を進めてきた結果、当社及び国内連結子会社の新卒の女性採用率は、2024年度実績では営業職23.6%、技術職27.4%となっています。また、当社及び主要国内子会社(鴻池組を除く、注5)の女性正社員比率は29.8%となり、建設業界平均(注6)の約2倍の比率の女性正社員が活躍しています。「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」修了生170人のうち、122人が管理職となり、当社及び国内連結子会社の女性管理職数は415人まで増加しています(2025年1月31日現在)。

現在実行している女性活躍推進諸施策の継続の結果、女性正社員、女性管理職候補数が増加しつつあり、今後も様々な取組みを強力に推進し、従業員の男女賃金格差の縮小にも努めてまいります。

(注)3 2023年3月策定の第6次中期経営計画における人財戦略において、「DE&I」の推進と表記していましたが、「Equity」という概念の捉え方に国際的な違いが見られることを鑑み、かつ当社グループのマテリアリティである「ダイバーシティ&インクルージョン」との整合を図り、「D&I」と表記しています。

4 310人以上は計画策定時の目標。提出日現在の目標は380人以上。

5 集計対象会社は当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、

積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。

6 出典:「令和5年度雇用均等基本調査 付属統計表 企業調査 第1表 男女及び職種別正社員・正職員割合」(厚生労働省)


※女性正社員比率の集計範囲は(注5)

ii) グローバル人財の活躍推進

国籍を問わない人財採用と能力適性を考慮した登用を進めています。海外子会社においては、人員体制強化の観点から、現地採用を積極的に行い、優秀な現地採用者の重要ポストへの登用を進めています。

iii) 障がい者の活躍支援

2025年1月末時点での障がい者雇用率は、当社で3.08%、国内連結会社のうち障がい者法定雇用義務のある27社(当社を含む)で3.07%です。現法定雇用率2.50%を上回る状況ですが、今後も当社は各本部単位で、グループは各社で法定雇用数の達成を目標に、積極的に雇用を促進します。活躍支援に向けた取組みとして、障がいのある従業員とその上司・同僚を対象に所属部署を超えたネットワークの構築、相互に発信・相談できる関係づくり、職場環境改善を図ることを目的として、2015年から毎年「ダイバーシティ交流会」を実施しており、2024年は東京・大阪の2拠点で開催しました。また配慮を必要とされるお客様への取組みとして、お客様への対応と各施設(住宅展示場・ショールーム・事務所等)の設計に関する指針を作成し、各種研修や全国の住宅展示場・ショールームでの実習を通して、当該指針浸透と障がいに対する理解促進を図りました。ウェブサイトやテレビCMにおいても、「ウェブアクセシビリティ方針」を策定・公開し、アクセシビリティ向上に取組むとともに、テレビCMの字幕対応(クローズドキャプション方式)を開始しました。

iv)LGBTQの理解促進

社内のLGBTQ理解促進を図るため、2014年から毎年、ヒューマンリレーション研修にLGBTQのテーマを設け、学習やディスカッションを継続しています。セミナーやイベントも定期的に開催し、理解者・支援者である社内のアライが増えています。またアライ主導で、社会の理解促進を促す発信も継続し、PRIDE指標において、7年連続でゴールドの認定を受けました。また、「レインボー認定」も3年連続受賞しています。誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の実現を目指しています。

3.多様な働き方の推進

従業員一人ひとりが働く場所や時間にとらわれず、柔軟かつ自律的に働きながら自分の個性や能力を最大限に活かすため、多様な働き方を推進しています。多様な働き方を推進するためには、まず、信頼関係に基づく安心安全な風土が職場に必要であり、全ての従業員が役職や雇用形態にかかわらず、少人数のグループで対話する機会を設け、心理的安全性の高い職場風土醸成に取り組んでいます。さらに、2024年から総務責任者及びマネージャー職を対象にラインケア研修を開始し、これらの取組みについては、当社が行う幸せ度調査の「職場の幸せ力」のスコアによりモニタリングをしています。

また、従業員が育児や介護、治療などによるキャリアロスなく安心して働けるよう、働く場所にとらわれないテレワーク制度や働く時間帯にとらわれないスライド勤務制度(時差通勤制度)などに代表される、両立を支援する制度の整備や情報提供を行っています。

4.幸せの基盤づくり

i)家族の幸せ支援

従業員と家族の幸せのため、2018年より「男性従業員1ヵ月以上の育児休業完全取得」(注7)を推進しています。社内全体の意識改革、制度整備、家族や職場とのコミュニケーションツールの開発などを行った結果、2019年2月の本格運用開始以降、期限を迎えた対象者全員(2025年1月末3,187人)が1ヵ月以上の育休取得を完了(2021年4月以降はグループ会社も全員取得)し、育休取得者の配偶者満足度は99.0%と高く、家族の幸せづくりに貢献しています。社外に向けても「日本でも男性の育児休業取得が当たり前になる社会」を目指し、2019年より積極的に情報発信を行っています。2024年には154の賛同企業・団体様と共に発信し、男性育休取得促進の気運醸成に寄与しました。

(注)7 3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得すること。

ii)健康づくり支援

当社グループでは、従業員の幸せの源泉は健康の維持・増進であると考え、健康の維持・増進に向けた活動を重要な経営課題と位置づけ戦略的に取り組むため「幸せ健康経営」と名付けて推進しています。取締役会傘下のESG推進委員会で承認された年度目標や計画に基づき、関係部署横断で構成されたワーキンググループにて、健康保険組合や産業医などと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案をおこない、各事業所と連携しながら全従業員への周知・浸透を図っています。

AIによる健康診断結果活用サービスや従業員の課題別セミナー実施など「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人(ホワイト500)に5年連続(2020年~2024年)認定されています。

iii)幸せ度調査の継続

従業員一人ひとりの幸せの実現のために、2020年11月から、全従業員を対象とした「幸せ度調査」を実施し2024年11月で5回目を完了しました。幸福経営学の第一人者である武蔵野大学ウェルビーイング学部長・慶應義塾大学名誉教授の前野 隆司氏の監修により、日本企業で初めて従業員と職場の幸せを多面的に計測、相関性を分析し、幸せを「見える化」しました。この調査結果を振り返り、職場での幸せ対話などの具体策につなげています。

 

[ベクトルの一致に関する取組み]

・企業理念と戦略を浸透するリーダーの育成

当社グループとしてお客様と社会に幸せを届けるためには、自律した従業員に企業理念と事業戦略を浸透させ、組織力を生み出すリーダーの存在が不可欠であり、そのようなリーダーを計画的に育成することが企業の持続可能な成長には必要です。

組織成果創出力・人財育成力・組織活性化力などの強化のためのマネジメント対象の階層別研修を実施しています。また、支店長・本社部長・工場長などの組織リーダー候補の選抜と育成を目的に2018年から実施している経営塾、2019年にスタートした若手(35歳以下)リーダー候補者を育成する「SHINE! Challenge Program」によって、次世代のビジネスリーダーを計画的に生み出す土壌づくりを継続的に実施しています。2021年からは執行役員、業務役員及びキーポジションの後継者候補を挙げ、全社的かつ多様な視点で透明度の高い議論を行うサクセッションプラン会議を開始しました。候補者全員の個別育成計画を立案し、定期的な進捗確認により、リーダーパイプラインのさらなる充実に努め、後継者候補準備率(注8)をモニタリングしています。また、グループリーダー以上の全マネージャー職を対象に多面観察を実施しています。フィードバックされた結果を基に、マネジメント行動の変革に向けたアクションプランを作成し、定期的なコーチングによる内省を通じてマネジメント力の向上に取り組んでいます。


(注)8 後継者候補準備率:(後継者プールにいる人数÷リーダーのポジション数)×100

・戦略に応じた人員の確保と適正配置

既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う人員確保に努めるとともに、各ビジネスユニットの事業戦略に基づく人財ニーズを把握し、適正配置を実現すべく、持続的成長に必要な人財の採用・育成を計画的に進めています。なかでも、多様性と専門性を強化する方針の下、採用全体に占めるキャリア採用に力を入れ、着実にその数を増やしています。特に、海外事業の拡大という大きな変化については、コーポレート部門を中心に人財獲得を強化し、グローバル要員として直近1年間で37名採用しています。グローバル化に向けて必要な人員規模やスキルを今後さらに精査していく予定です。

また、新たな取組みとして2024年から「Welcome Home制度(アルムナイ制度、注9)」をスタートしています。これまでのリファラル採用(注10)なども含めて多様な手法やチャネルを活用し、採用力の強化を図っています。

2024年度はキャリア採用者を679名採用し、採用者全体に占めるキャリア採用者の割合は40.9%です(注11)。入社直後からの活躍を支援するオンボーディングプログラム(注12)を拡充し早期の活躍を支援しています。

(注)9 一度退職した従業員を再度、採用する制度。

 10 自社で働いている従業員からの紹介、推薦による採用制度。

11 集計対象会社は当社、国内連結子会社。

12 新しく組織に加わった従業員が会社の文化や業務内容に馴染み、早期に活躍できるように支援する仕組み。

 

③リスク管理

人的資本に関するリスクと機会については、人財開発部や人事総務部、ダイバーシティ推進部といった当社関係部署においてリスクと機会の分析、対応策などを検討しており、ESG推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告し、中長期の戦略立案に繋げています。また、当社はグループ各社が作成したリスクマップをモニタリングし、人員確保に関する事項などの重要事項についてはリスク管理委員会にも報告の上、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。

当社グループの持続的成長を実現するためには、既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う優秀な人財を国内外で獲得し、雇用を維持していく必要があります。採用競争力が低下した場合や、離職による人財流出が深刻化した場合には、成長力が鈍化し、社会的評価が低下する可能性があります。事業戦略に必要な人財を要員計画策定により明確にし、採用ブランディングの強化、採用活動における募集経路・選考手法の多様化を積極的に進め、年齢、性別、国籍、障がいの有無などによらない人財採用を行っています。

 

④指標及び目標

人財価値向上を加速させるため、各重点テーマに対し以下の目標を設定して取り組んでいます。

人財価値向上を加速する

取組み(狙い)

指標

2024年度

目標

2024年度

実績

2025年度

目標

<キャリア自律支援>

 

キャリア自律意識の醸成と浸透

キャリア自律研修累積
受講者数(注1)

20,505人

21,110

22,030

SHIP(創発型表彰制度)の実施

SHIP参加率(注2)

33%

30.7

36

SHIP応募件数(注2)

2,700件

2,537

3,000

業務上必要な主要資格取得の推進

主要資格取得者数
(注1、3)

24,600人

25,068

25,100

<D&Iの推進>

 

女性活躍支援諸施策の推進

女性取締役数(注1)

3人以上

3

3人以上

女性管理職人数
(注2)

350人

415

380

女性正社員比率(注4)

29.5%

29.8

29.8

女性新卒採用比率(注5)

40%

35.9

40

障がい者活躍支援策の推進

障がい者雇用率(当社)(注1、12)

2.97%

3.08

2.72

障がい者雇用率
(国内連結会社)

(注6、12)

2.86%

3.07

2.66

<多様な働き方の推進>

心理的安全性の高い職場づくりの推進とモニタリング

幸せ度調査
「職場の幸せ力」
(注7、8)

67.44

ポイント

<幸せの基盤づくり>

 

家族の幸せ支援とモニタリング

男性育児休業1ヵ月の完全取得率(注4)

100%

100

100

育休取得者配偶者の
満足度(注4、8、9)

99.0

幸せ度調査実施による従業員の幸せの定量化

Well-Being Circle
総合値(注8、10)

66.57

ポイント

<ベクトルの一致>

 

サクセッションプラン会議を通じたリーダーパイプラインの拡充

キーポジションの
後継者候補準備率
(注1、8)

224.8

人財育成への投資

教育訓練費(注11)

1,478百万円

1,994百万円

2,400百万円

 

(注)1 集計対象会社は当社。

2  集計対象会社は当社、国内連結子会社。

3 「一級建築士」「1級建築施工管理技士」「FP2級」「宅地建物取引士」を含む業務上必要な11の資格。

4 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、

積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。

5 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、

積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱ 、㈱鴻池組とその国内連結子会社。

6 集計対象会社は、当社及び国内連結子会社のうち、障がい者法定雇用義務のある27社。

7 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内連結子会社を除く)。多様な幸せを多面的に測って数値化している「幸福度診断 Well-Being Circle」における、安心安全な風土、信頼関係のある職場の雰囲気、チャレンジを推奨する雰囲気及び職場オススメ度の平均値。

8 実績値のみ公開しています。

9 配偶者アンケートで「良かった」・「まあ良かった」の回答者がアンケート全回答者に占める割合。

10 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内子会社を除く)。「幸福度診断Well-Being Circle」の34項目の平均値。

11 集計対象会社は当社グループ。

12 2025年度の目標値は、建設業の除外率が2025年4月に20%から10%に法改定されることを考慮の上設定しています。

 

(5) 人権尊重に関する取組み

①ガバナンス

当社グループは、2020年4月に公表した「積水ハウスグループ人権方針」(以下、「人権方針」)に定めるとおり、取締役会が人権方針の遵守及び取組みを監督しています。取締役会の傘下には、経営会議、ESG推進委員会、リスク管理委員会を置き、それぞれの機関が有機的に機能することにより、当社グループ全体の人権尊重の推進体制を構築しています。

当社グループの人権に関する重点課題と方針は、ESG経営推進委員会のもと、社会性向上部会で決定しています。社会性向上部会には複数の関連部署が参加する「人権デュー・ディリジェンスミーティング」(以下、「人権DDミーティング」。事務局:人権・コンプライアンス推進部)を設置しており、これら関連部署が互いに連携し情報共有、意見交換などを行うことにより、当社グループの人権尊重推進に取り組んでいます。

人権尊重推進の取組みは、リスク管理委員会にも定期的に報告されています。リスク管理委員会では、人権に関するテーマとして主にグループ従業員の労働や健康に関する戦略的な取組み、ハラスメントや労働災害などについて、リスク管理の観点から議論しています。

 

②戦略

当社グループは、「人権方針」において、従業員やサプライヤーをはじめとした事業活動によって影響を受ける可能性のある、すべてのステークホルダーの人権を尊重することを表明しています。また、「人権DDミーティング」において、毎年、人権リスクマップを作成するプロセスで重要な人権課題を特定し、定期的に検証をしています。

以下のマップの中の赤いポイントが2024年度に特定した重点課題です。

 


 

特定した重点課題:1.職場のハラスメント

2.施工現場の安全衛生

3.サプライチェーン上の労働課題

4.施工現場の外国人就労

 

 

特定した重点課題に対応するため、当社グループは以下の取組みを推進しています。

1.職場のハラスメント

多くの従業員が働く当社グループにとって、心理的安全性が確保された適切な職場環境の整備は、優先して取り組むべき重点課題の一つです。

従業員が安心して働けるように「セクハラ・パワハラホットライン」を設置し、必要に応じて調査し、是正・救済措置、再発防止策を講じています。あらゆる人権課題に幅広く相談を受け付けています。相談を受け付けた場合には、迅速な対応を行い、必要に応じて調査し、是正・救済措置、再発防止策を講じます。これらの相談内容を検証した結果を、全従業員向けに実施している「ヒューマンリレーション研修」のテーマに反映させハラスメントの防止に努めています。

※「セクハラ・パワハラホットライン」の対象拡大

2024年6月に内部通報・相談制度を改正しました。改正に伴い、当社及び国内連結子会社(注1)の役員・従業員向けに展開していたセクハラ・パワハラホットラインの受付対象を取引先まで拡げ、その変更内容について、全国の安全衛生大会で周知活動を行いました。2024年度に受け付けた相談の中から、当社の事業が与える重大な人権侵害は確認されませんでしたが、引き続き周知活動を行い、安心して利用できる通報窓口としての浸透を図ります。なお、相談受付件数は、通報窓口の周知と信頼性向上のKPIとして設定しており、しばらくは増加していくものと考えています。

(注)1 海外子会社向けには「積水ハウスグローバルヘルプライン」を設置して相談を受け付けています。


2.施工現場の安全衛生

危険が伴う建設現場では、労働環境が人命に関わる災害に直結する可能性があることから、施工現場の労働安全衛生は当社グループにとって最も根底にある重要課題です。施工従事者が安全に働ける環境の整備のために、さまざまな措置を行っています。

当社では、労働安全衛生に関する法令など当社の就業規則に基づき、「安全衛生管理規則」を定めています。安全衛生の基本事項を定め、現場における安全と健康を確保し、快適な作業環境を形成することを目的としています。施工協力会社・施工従事者に対しては、施工管理部が統括管理しています。施工管理部は、全社的な「安全衛生年間計画」を毎年策定するほか、必要に応じ、「労働災害防止対策」も実施しています。

 

3.サプライチェーン上の労働課題

当社グループは、サプライチェーンにおける「人権・労働」に関しても、重要な課題と認識しています。「積水ハウスグループ人権方針」 を公表し、ビジネスパートナーの皆様に対して、この人権方針の理解と支持への期待を表明しており、サプライチェーンにおける人権尊重の輪を広げるべく、取組みを進めています。

当社は2018年の国連グローバル・コンパクトへの署名を機に「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」のサプライチェーン分科会に参加し、このGCNJ版SAQ(自己問診票)に準拠した「CSR調達ガイドライン」を制定しました。このガイドラインでは、人権尊重に関し、「国籍や人種等による差別」「非人道的な扱い」「強制労働」「児童労働」などの禁止がうたわれており、また従業員の安全衛生や健康についても適切な管理が求められています。

以来、主要なサプライヤーに対し、ガイドラインの趣旨と内容を理解して遵守すること、その取組みに関する確認等にも協力することについて「同意確認書」の提出を要請するとともに、毎年2月の「年度活動方針説明会」において、CSR調達の意義や重要性を共有してきました。

4.施工現場の外国人就労

建設現場においては、国籍・性別に関係なく多くの施工従事者が働いていますが、中でも異なる背景(文化・言語など)を持つ外国人施工従事者の就労環境を整えることを重視しています。特に、技能実習生には、積水ハウス建設各社、積水ハウス建設協力会社、本体工事店ごとに、受け入れ後のメンター(実習責任者・実習指導員・生活指導員)を定め、実習支援と生活支援の2つの支援を行っています。これらの支援体制は、対面での定期面談や、生活及び仕事に関するアンケート(ベトナム語版・日本語版)などによる外国人就労者との直接の対話より生まれてきたものです。これらを活用して、職場や日常生活でのトラブルを未然に防ぎ、さらなる労働環境の整備に努めます。

 

③リスク管理

人権課題の内容ごとに関係する部署、事業所、グループ会社など(以下、「関係部署など」)が人権デュー・ディリジェンスを担当し、ステークホルダーとの対話、及び専門家や人権団体からの情報提供・助言を通して収集した情報をもとに、人権リスクを洗い出し、啓発や対策を実施しています。人権デュー・ディリジェンスに関する情報は、関係部署などから事業部門ごとに共有・集約し、または人権DDミーティングなどで内容の検証を行うことで、全社的な課題の抽出、啓発、改善の取組みに統合・展開していきます。

こうした取組みについては、取締役会の諮問機関である「リスク管理委員会」にも報告されています。

 

④指標及び目標

当社グループは、リスクマップで特定した重点課題に対応する指標として、以下のKPIを掲げています。

<公開ウェブサイト 人権に関する問い合わせ件数>

 

2022年度

2023年度

2024年度

お問い合わせ件数

21

32

10

 

※2020年4月の「積水ハウスグループ人権方針」策定時より、公開ウェブサイトで、人権に関する問い合わせを外部からも受け付けています。これまで全ての問い合わせに対して、状況確認と対応を完了していますが、問い合わせの中に当社の事業に影響を及ぼす可能性がある人権侵害は確認されていません。

<セクハラ・パワハラホットライン 取り扱い件数>(注2)

 

2022年度

2023年度

2024年度

相談受付件数

213

253

258

 

相談受付件数のうち、ハラスメントに関する申し出の件数

125

131

150

 

ハラスメントに関する申し出のうち、解決是正に向けて対応した件数(注3)

66

76

83

 

(注)2 集計対象は当社、国内連結子会社。

3 相談内容と相談者の意向をヒアリングし、組織として対応すべき問題と判断して対応した件数。それ以外にも、内容に応じて相談者への助言などの支援を行っています。