人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数15,327名(単体) 29,932名(連結)
-
平均年齢43.8歳(単体)
-
平均勤続年数16.5年(単体)
-
平均年収8,591,177円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年1月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数です。
2 臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満のため、平均臨時従業員数の記載は省略しています。
3 戸建住宅事業、賃貸・事業用建物事業においては、セグメントごとの経営組織体系を有していないため、同一の従業員が各々の事業に従事しています。
4 全社(共通)として記載されている従業員数は、主に当社の本社部門などに所属している人員です。
(2) 提出会社の状況
2024年1月31日現在
(注) 1 従業員数は、就業人員数です。
2 臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満のため、平均臨時従業員数の記載は省略しています。
3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
4 戸建住宅事業、賃貸・事業用建物事業においては、セグメントごとの経営組織体系を有していないため、同一の従業員が各々の事業に従事しています。
5 全社(共通)として記載されている従業員数は、主に本社部門などに所属している人員です。
(3) 労働組合の状況
当社においては労働組合は結成されていませんが、一部の連結子会社において労働組合が結成されています。
なお、労働組合の有無にかかわらず労使関係は円満に推移しています。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社(注4)
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号、以下「女性活躍推進法」という。)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号、以下「育児・介護休業法」という。)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号、以下「育児・介護休業法施行規則」という。)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3 男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の対象期間は当事業年度(2023年2月1日~2024年1月31日)です。
4 出向者は出向元の従業員として集計しています。
5 賃金の内訳は、基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、通勤手当を除いています。
6 非正規労働者は、臨時従業員(再雇用従業員、契約従業員、パートタイマー)を対象に算出しています。なお、パートタイマーについてはフルタイム換算をせず実際に支給した賃金に基づき算出しています。
<男女の賃金差異についての補足説明>
積水ハウス㈱における男女の賃金差異(全労働者55.2%、正規雇用労働者59.3%)については、全労働者に占める正規雇用労働者の割合が約9割、正規雇用労働者の中でも総合職が7割超を占めていることが大きく影響しています。そのため、以下主に総合職について記載します。
1)等級ごとの賃金差異について
同一等級の賃金は同等です。当社は職群及び等級ごとに賃金水準を設定しており、総合職の男女の基本給月額の差異は以下のとおりです。
2)現状の取組みと経年推移
女性活躍推進については20年前から課題意識を持ち、2005年より女性総合職を積極的に採用し、女性従業員の育成と定着を促進するため、専門部署(現 ダイバーシティ推進部)を設置し、柔軟な働き方に代表される仕事と育児・介護の両立支援制度の拡充等の諸制度の整備を進めています。
これらの取組みが奏功し、2007年から2023年における平均勤続年数の伸びは女性が2.2倍(4.6年→9.9年)と男性の1.2倍(15.8年→19.7年)を大きく上回る結果となり、女性正社員比率についても年々高まってきています(2007年度は16.1%→2012年度は17.5%→2017年度は20.8%→2022年度は24.3%→2023年度は24.9%)。また、2023年度における年代別の女性正社員比率では20代が38.5%、30代が35.5%、40代が23.5%、50代が12.2%と、20代-30代の若年層の女性正社員比率が高くなっています。
(注)主要な連結子会社は、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウス ノイエ㈱。
3)差異要因及び取組み成果から見られる今後の展望
現状、総合職の平均勤続年数は女性9.9年と男性19.7年で約10年の差があるため、管理職の候補となる層が男性に比べて女性は少ない状況です。この結果として当社の女性管理職比率は3.3%(2024年1月31日現在)となっており、男女間において管理職登用の差が生じています。管理職への登用有無は処遇差が生じる要素であり、男女間の賃金差異に影響しています。
本要因解消のため、女性管理職候補者研修の実施等、女性管理職の登用にも積極的に取り組んでいます。さらに、2022年に資格等級制度を見直しています。その結果、2022年以降は9~10の指標に基づき評価され、入社から最短5年で管理職に登用できる制度となっています。
なお、当社では一般社員における5つの等級のうち、P4とP5を次期管理職候補と考えており、2023年度における女性管理職候補者は507名で、管理職候補者全体に占める女性管理職候補者の割合は14.6%となっています。そのため、女性管理職の候補となる人財が若年層で徐々にプールされており、今後は女性管理職比率もさらに高まっていきます。
また、当社の総賃金に占める業績手当等の基準外賃金の割合が特に営業職は大きく、営業職に占める女性の人数比率が10%と低い状況にあります。この点も、男女間の賃金差異に影響しています。しかしながら、前述のとおり各比率の高まりに連動して、男女間の賃金差異は縮小していくものと考えています。
なお、女性活躍を推進するための取組みの詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する取組み」に記載しています。
②国内グループ及び主要な連結子会社(注6、9)
(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社のうち、海外連結子会社を除いた会社を対象としています。
2 「女性活躍推進法」の規定に基づき算出したものです。
3 「育児・介護休業法」の規定に基づき、「育児・介護休業法施行規則」第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
4 ㈱鴻池組の管理職に占める女性労働者の割合は、㈱鴻池組の直近の事業年度末時点(2023年12月末時点)を対象としており、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の対象期間は㈱鴻池組の直近当事業年度(2023年1月1日~2023年12月31日)です。
5 指標の算出にあたっては、国内連結子会社に含まれる各社の事業年度が提出会社と異なる場合、各社の事業年度ごとに集計しています。
6 出向者は出向元の従業員として集計しています。
7 賃金の内訳は、基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、通勤手当を除いています。
8 非正規労働者は、臨時従業員(再雇用従業員、契約従業員、パートタイマー)を対象に算出しています。なお、パートタイマーについてはフルタイム換算をせず実際に支給した賃金に基づき算出しています。
9 主要な国内グループに含まれる連結子会社の女性活躍推進法等に基づく管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異、ならびに国内の連結子会社のうち主要な連結子会社以外の女性活躍推進法等に基づく管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報」に記載しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
<サステナビリティの基本方針>
当社グループは、“ESG経営のリーディングカンパニー”として、社会に求められ続ける存在になるためには、「あらゆるステークホルダーに対し、幸せを価値として提供すること」を自ら考え、行動することが重要だと考えています。2022年には、当社グループが果たすべき使命を明確にするため、持続可能な未来に向けたマテリアリティの見直しを行いました。1960年代、高度経済成長期の住宅の確保と、住まいの基本性能の確立に貢献した当社グループは、以来一心に住まいの「安全・安心」「快適性・環境配慮」を追求し、技術の進化を図ってきました。こうした私たちの取組み自体がマテリアリティそのものであると認識し、人生100年時代を迎えたこれからは、住まいを通じた「幸せ」を実現する上で、「良質な住宅ストックの形成」「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つを、経営の重要課題に位置づけました。これらのマテリアリティを軸に、「住まいを通じて環境課題の解決に貢献」「従業員の自律を成長ドライバーにする」「イノベーション&コミュニケーション」を基本方針とし、ESGを「自分事」として捉え、自ら考え行動できる人財を育成するため、当社グループらしい「全従業員参画型ESG経営」を推進していきます。
(1) サステナビリティ共通の取組み
①ガバナンス
当社グループは、取締役会の諮問機関として、専門的な知見、能力を有する少なくとも2名の社外委員を含むESG推進委員会を設置し、ESG経営の取組みの進捗と課題等についての意見交換を通じて実効性を高めています。
ESG推進委員会は3ヵ月に1回のペースで開催し、内容は取締役会に報告され、審議することとしています。
ESG推進委員会では、その推進を担う3つの部会、「環境事業部会」「社会性向上部会」「ガバナンス部会」を設置、ESG3部会長には、それぞれ職責者を任命し、目標・KPIを設定しています。
この3部会は、各部門・国内外のグループ会社と連携しながら、ESG経営の旗振り役として先導していくとともに、実効性ある取組みを行います。また、取組みの進捗報告と普及に向けた課題・改善提案のフィードバックを通じて、全従業員の理解・浸透を図ります。
またESG経営推進本部においては、ESG経営に関する基本方針の企画・立案及び推進に関する事項を掌理し、取組みの推進、情報の収集・分析、社内外への情報発信、ESG推進委員会の運営を通じて、ESG経営のさらなる推進を図っています。
当社グループは、「全従業員参画」「先進的な取組み」「社外評価向上」をESG経営推進の3要素として位置づけました。特に、最大のポイントとなる「全従業員参画」では、ESG経営の基盤づくりを実践する基本的な活動を「ESGベーシック」として従来の対話や研修を体系化するなど、全従業員が認知・理解・共感しESGを「自分事」として行動につなげるためのプラットフォームを構築しました。
・ 環境事業部会
グループ全体を対象とした事業活動全体の脱炭素化、生物多様性保全や資源循環に関する環境マネジメントシステムを計画・実行するとともに、環境関連情報を把握し、社内外のステークホルダーの環境意識向上・環境負荷低減に向けた認知向上を目的に年に一度のレポートにて開示しています。
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする ”ためには環境への取組みが必要不可欠との考えのもと、これからも先進的な取組みで環境負荷と事業リスクの低減、及び事業機会の創出に努めていきます。
・ 社会性向上部会
人財価値と社会価値の向上により企業価値を高めていくことを目指し、人的資本経営の実践及び社会課題の解決を推進しています。人財価値は、従業員の自律とベクトルの一致の掛け算という考えのもと、従業員にとっての「わが家」である会社と一人ひとりの幸せを実現する施策の計画・実行に努めます。社会価値は、子ども・環境・人権・地方創生を軸に、社会の幸せづくりに寄与する事業・活動を実現します。各施策の方針と推進体制・進捗を包括的にモニタリングし、お客様・社会・従業員の「幸せ」を最大化していきます。
・ ガバナンス部会
グループガバナンスの強化に向けて、本社コーポレート部門と国内外のグループ会社各社とのコミュニケーション活性化が重要と考え、情報連携に努めています。
国内外グループ会社におけるコーポレート機能の強化、ガバナンス人財の育成・適正配置、コンプライアンス意識向上などの現状把握、改善に関する議論などを通じて、事業マネジメントレベルでのガバナンス強化に取り組んでいます。
②戦略
当社グループは、外部環境の変化に伴うリスク・機会を分析し、ステークホルダーである、お客様・社会・従業員それぞれの幸せを実現するため提供できる価値とは何か考え、「良質な住宅ストックの形成」、「持続可能な社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン」という3つのマテリアリティを軸に、第6次中期経営計画において、それぞれKPIを設定しサステナビリティの取組みを推進しています。
<マテリアリティごとの取組み>
③リスク管理
当社グループは、サステナビリティを軸に、価値創造に影響をもたらす中長期の課題を分析し、リスク要因を洗い出すとともに、リスクを将来の事業創出の機会と位置付け、中長期の事業戦略立案に繋げています。ESG経営の取組みの進捗と課題については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告する体制としています。また、取締役会はESG推進委員会からの報告を受け、当社グループのサステナビリティに関する対応等についての審議・監督を行うこととしています。
サステナビリティの各アジェンダに関するリスク管理の詳細については、「(2)気候変動関連等に対する取組み、(3)人的資本に関する取組み、(4)人権尊重に関する取組み」をご参照ください。
なお、これら以外のリスク管理については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
④指標及び目標
当社グループは、第6次中期経営計画においてマテリアリティの取組みに向けたテーマごとのKPIを設定しています。そのうち、業績連動型株式報酬(PSU)に係るESG経営指標も含めた主なKPIは下記の通りです。その他のKPIについては、2023年6月発行のValue Report 2023をご参照ください。なお、Value Report 2024の発行は2024年7月を予定しています。
(注)1 集計対象会社は、当社。当社が当年度に契約した戸建住宅において、国が定めた長期優良住宅認定制度の基準をクリアし、行政の認定を受けた棟数の割合を表した指標。集計対象期間は2023年4月1日~2024年3月31日。
2 集計対象会社は、積水ハウス不動産グループ各社。賃貸住宅において、間取りの変更を伴い、資産価値の向上が見込める内装・設備リノベーション工事の契約戸数を表した指標。
3 集計対象会社は、当社。当社が当年度に建築した戸建住宅(北海道の請負・分譲住宅は除く) に占めるZEH(net Zero Energy Houseの略称) の割合を表した指標。集計対象期間は2023年4月1日~2024年3月31日。
4 集計対象会社は、当社。当年度に契約した賃貸住宅「シャーメゾン」に占めるZEH 戸数(ZEH Ready基準以上かつ入居者売電物件)の割合を表した指標。
5 集計対象会社は、当社グループ。当社グループの事業活動全体で直接的に排出するCO2(スコープ1)と、調達電力など間接的に 排出するCO2(スコープ2)を2013年度比で表した指標。
6 集計対象会社は、2023年度は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱ 、㈱鴻池組とその国内連結子会社、2024年度、2025年度は、当社及び国内連結子会社。
7 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。「積水ハウスグループ 女性活躍推進行動計画」で掲げた「当社グループ全体の男性育児休業取得率」で、3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得した割合を表した指標。
8 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウスリフォーム㈱。働き方改革関連法に基づき義務化された年5日取得の促進及び総労働時間削減への取組みを推進するため、当社グループ従業員の年次有給休暇の取得率を表した指標。集計対象期間は2023年3月11日~2024年3月10日。
(2) 気候変動関連等に対する取組み
①ガバナンス
当社グループでは、気候変動対応はESG推進委員会の重要議題の一つとして位置づけており、活動方針の妥当性や進捗状況の評価を行うとともに、重要事案については取締役会に報告しています。
ESG推進委員会の傘下に、環境経営に関わる本社部門の職責部長及び各事業部門の環境責任者を中心とした全社横断の「環境事業部会」を設置し、適時に開催しており、より具体的で詳細な検討を行っています。
また、ESG推進委員会の決定事項は環境事業部会を通じて、関連会社を含む全グループに展開し浸透させています。
ESG推進委員会を通じた経営層の監視の実効性確保のために、取組みの推進は、各業務の担当取締役や経営層への日常的な報告と指示を経て進めており、これによってタイムリーな監視・監督機能を確保しています。
②戦略
当社グループは目指すべき事業全般の脱炭素化への歩みを着実に進めるために、今後起こり得る様々な事態を想定し、戦略の妥当性や課題を把握すべく、事業活動及び資源の固有の状況や、物理的リスクについて想定される事業活動・期間・資産の耐用年数などを考慮したシナリオ分析を行っています。
また、移行リスクについて法制化、技術開発、市況に係る潜在的なシナリオに基づき評価し、事業活動に与える気候関連のリスク(物理的リスク及び移行リスク)と機会を抽出し、対応しています。
2021年度には、カーボンニュートラル達成に向けた日本の新たな温室効果ガス排出量削減目標として2030年までに2013年比46%削減が設定され、これに基づき住宅産業に関わる中長期にわたる様々な方向性も示されました。
そのため、全事業を対象としてあらためて大規模なシナリオ分析を実施し、戦略の見直しを行っています。
シナリオ分析により特定した、財務影響が大であると想定された主要なリスク・機会と対応を示します。
<シナリオ分析の前提>
(注) IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル
SSP(Shared Socioeconomic Pathways):共通社会経済経路
なお、財務影響と想定期間については以下のとおり定義します。
財務影響 大:200億円以上、中:100億円以上、小:100億円未満
想定期間 短期:現在より3年まで、中期:2030年まで、長期:2050年まで
<主な移行リスク/物理的リスク>
<主な機会>
③リスク管理
当社グループでは、グループ全体のリスクマネジメントプロセスの一環として、気候変動関連リスク及び機会を判断するための評価をTCFDの提言に基づき実施しています。リスクと機会の抽出は、グループ全体を対象に各事業の主管部署を中心に行い、その結果は環境事業部会で集約し、財務影響評価を行っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関であるESG推進委員会において検討した後に、取締役会に報告し、必要に応じてリスクの緩和・移動・受容・コントロールについて検討します。さらに、この結果はリスク管理委員会にも共有し、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
④指標及び目標
当社グループでは、2008年に、2050年までに住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を宣言し、事業活動全体において、再生可能エネルギーの利用も含めてCO2排出収支ゼロを目指し、既に様々な取組みを開始しています。
この目標達成へのマイルストーンとして、2030年までに企業が自社で直接排出するスコープ1(直接排出量:自社の工場・オフィス・車両などによる燃料消費)とスコープ2(間接排出量:購入した電力など自社で消費したエネルギー)、及びスコープ3カテゴリ11(販売した製品の使用)におけるCO2をそれぞれ2013年度比で75%、55%削減することを目指し、SBTより1.5℃に整合する目標として認定を受けています。スコープ1、2については、2020年度で2030年を目標としていた50%削減を既に達成したため、より野心的な目標に上方修正したものです。
GHG排出量に関する実績(スコープ1、2)(t-CO2e)
GHG排出量に関する実績(スコープ3カテゴリ11)(t-CO2e)(注)
(注) 販売した製品の使用に伴う(供給した住宅及び非住宅建築物の使用段階における)排出量。年間に供給した全ての住宅および非住宅建築物の使用時のエネルギー消費に基づくCO2排出量を算出。供用年数は60年を想定。住宅(国内)については、ZEH(*1) 計算等で使用する「建築物エネルギー消費性能の向上に関する法律」に準拠したエネルギー消費性能計算プログラムを用い算出された一次エネルギー消費量を CO2 排出量に換算し算出。CO2排出係数は「地球温暖化対策の推進に関する法律」の値を採用(*2)。非住宅建築物(国内)については、床面積に用途別の床面積当たりのエネルギー消費量を乗じる方法または前述のプログラムを用いて住宅と同様の方法で算出した一次エネルギー消費量をCO2排出量に換算し算出。用途別の床面積当たりのエネルギー消費量およびエネルギー種別一次エネルギー構成比率は「CASBEE-建築(新築)2021年SDGs対応版」(一般財団法人 住宅・建築 SDGs推進センター)の値を採用。住宅(米国)については、エネルギー省(DOE)(*3)が公開する住宅のエネルギー消費量シミュレーション結果をCO2排出量に換算し算出。CO2排出係数は環境保護庁(EPA)(*4)が公開する値を採用。住宅(豪州)についてはエネルギー規制当局(AER)(*5)が公開する、住宅のエネルギー消費に関するデータをCO2 排出量に換算し算出。CO2排出係数は、気候変動・エネルギー・環境・水資源省(DCCEEW)(*6)の公開する値を採用。
*1 外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。
*2 電力排出係数については「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)R4 年度実績」(R5.12.22 環境省・経済産業省公表)の全国平均係数を使用。都市ガスの排出係数については「算定方法及び排出係数一覧(平成 21 年度実績以降の排出係数算定用)」を使用。
*3 United States Department of Energy:アメリカ合衆国エネルギー省
*4 Environmental Protection Agency:米国環境保護庁
*5 Australian Energy Regulator:オーストラリアエネルギー規制当局
*6 Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water:気候変動・エネルギー・環境・水資源省
※ 当社グループでは、2023年6月に発行したValue Report 2023において、詳細なTCFD提言に沿った情報開示を行っています。当社WEBサイトをご参照ください。
Value Report
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/library/annual/
Value Report 2024を2024年7月に発行する予定であり、本誌でより詳細なTCFD提言に沿った情報開示を行います。また、上記表のスコープ1、2及び3カテゴリ11 のGHG排出量については有価証券報告書作成時点での暫定値であり、確定値、並びに算定基準、スコープ3の他のカテゴリにかかるGHG排出量等はValue Report 2024にて開示する予定です。
なお、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った情報開示については、当社の重要事業である住宅事業について、自然関連の影響・依存とリスク・機会の評価を進めています。
2022年度には、住宅事業(戸建住宅・賃貸住宅)について、一般統計データに基づく各原料の主要原産国を対象として、自然資本に対する潜在的な影響と依存の分析を実施しました。
2023年度は、それを踏まえたリスク・機会の優先度評価を試みました。さらに、当社事業における重要な原料の一つである木材については、調達地域の自然関連の影響・依存の定量分析を行い、当社の調達が自然へ大きく影響を及ぼしている可能性がある地域と、生態系サービスのリスクが懸念される地域を特定しました。
詳細は、7月発行予定のValue Report2024に掲載、開示します。
(3) 人的資本に関する取組み
①ガバナンス
人的資本の施策に関する重要事項については、内容に応じて取締役会の諮問機関である「人事・報酬諮問委員会」、「ESG推進委員会」または「リスク管理委員会」での討議を経て、経営会議または取締役会で付議・報告され全社施策として実行・運営されます。人財戦略の推進にあたっては、人事総務部、人財開発部、ダイバーシティ推進部などといった当社関係部署が、施策の実施及びKPI進捗管理を行っており、ESG推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。また、当社はグループ各社の課題及びKPIの進捗について、前述の関係部署が報告を受ける体制を構築しており、グループ全体を包括的に管理しています。
②戦略
人財開発基本方針・社内環境整備方針展開にあたっての基本的考え方
従業員が自律するためには、従業員が当社グループという資源を利用しながら、一人ひとりが主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことが重要です。自律的なキャリア形成を促すため、従業員と企業がともに持続可能な成長を実践できる環境や仕組みづくりを進めます。あわせて、年齢、性別、国籍、障がいの有無などを問わず、誰もが自分らしく働き、その能力を最大限に発揮できる環境や制度づくりを推進するとともに、多様な働き方ができる柔軟性の高い勤務制度の導入・運用を積極的に進めています。また、インテグリティの高いリーダーを計画的に育成するとともに、事業戦略に必要な人財確保や適正配置に努めます。
人財開発基本方針
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け「人財価値を最大化し、知と経験のD&Iで事業成長を牽引する」を方針とし、人財開発に関する取組みを推進していきます。
社内環境整備方針
グローバルビジョン実現に向け、その原動力である従業員が集う積水ハウスが世界一幸せな会社であることが重要と考えます。「誰もが働くことに、やりがいや幸せを感じられる会社」を目指し、従業員のキャリア自律支援、DE&Iの推進、多様な働き方の推進、幸せの基盤づくりなどの重要施策推進を支える環境整備を行います。
第6次中期経営計画(2023年度~2025年度) 人財戦略
人財価値の向上は、企業の成長のドライバーです。
当社はその価値を「人財価値向上=従業員の自律(注1) × ベクトルの一致(注2)」と表現し、以下の図の通り、人財戦略の重点テーマを整理しています。
1.キャリア自律支援、2.DE&Iの推進、3.多様な働き方の推進、4.幸せの基盤づくり、これら4つのテーマに基づく、制度改革や組織風土づくり、取組み推進などを戦略的に遂行しながら従業員の自律を支援・促進していきます。さらに、これらによって創出された自律した従業員が積水ハウスグループの目指す方向性に共感し、自ら行動するために、企業理念と戦略を浸透させるリーダー育成、戦略に応じた人員確保と適正配置を実施していきます。
「人財価値向上=従業員の自律 × ベクトルの一致」については、乗算であることが重要であり、「従業員の自律」及び「ベクトルの一致」のいずれも高い水準を目指すことで人財価値がますます向上し、社会への価値提供が大きくなります。当社が成し遂げたいことは、社会への提供価値の最大化であり、これを支える人財への投資を着実に行っていきます。
(注)1 従業員の自律:従業員一人ひとりが考え、主体的に行動すること。
2 ベクトルの一致:会社のビジョンや戦略が従業員に浸透し、理解されている状態であること。
[従業員の自律に関する取組み]
1.キャリア自律支援
「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に、従業員間でアイデアを出し合い、活発なコミュニケーションを通じて新たなイノベーションを生み出すという創発型企業文化の醸成や、従業員が主体性を発揮する機会をつくることを通じて、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。2003年に開始したキャリア自律意識を醸成する各種研修については累計18,962名が受講(2023年度末実績)し、自律的なキャリア形成への意欲を高めています。また、マネージャー職の責任範囲、職務内容、必要な知識・スキルを定めた職務記述書の従業員への公開の他、業務上必要な主要資格の取得支援も行っています。さらに、2022年からは人財公募制度も再スタートし、グループ会社を含む多くの従業員が新たなキャリア機会にチャレンジしています。2021年から開始した創発型表彰制度「SHIP」では、2023年には昨年対比107%となる2,329件(昨年2,176件)のアイデア応募があり、組織の壁を越え、自ら提案したアイデアを具現化するプロセスをメンバーと楽しみ、数々の新たな価値を生み出しています。
2.DE&Iの推進
i)女性活躍支援
当社グループの使命は「幸せづくりのパートナー」として、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることであり、多様な価値観や感性・視点が求められる住まいづくりにおいて、あらゆる分野での女性の活躍は不可欠であると考えます。このことから、女性活躍支援を経営課題として認識し、2006年に経営企画部に女性活躍推進グループ(現在のダイバーシティ推進部)を設置し、以下の採用、定着、育成における活躍支援施策を継続して実施しています。
定着へ向けた取組みとして、女性営業職には2007年から「全国女性営業交流会」を実施し、女性営業同士のネットワークを構築しています。3年目以下の離職率の高さが課題であったため、現場での育成はもちろん、3年目以下の女性営業全員とダイバーシティ推進部が面談を実施し、課題の早期発見や改善に努めるなど一人ひとりに寄り添ったサポートを展開しています。女性現場監督職には2014年から「全国女性現場監督交流会」を毎年開催、2015年からは「女性現場監督サポートプログラム」も実施し、職域の拡大を推進、在籍率30%を超える女性設計職においては専門性の強化と選抜研修による効果的な育成を実施しています。
当社グループでは女性活躍推進法に基づく行動計画(2021年に策定)にて、2025年度までに女性管理職を310人以上(注3)登用することを目標とし、女性管理職候補人財の育成にも注力してきました。2014年から、管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講。毎年、手挙げまたは上司推薦を経て決定した20人の受講者に、約2年間OJT及び組織課題解決の実践プログラムを提供し、納得性のある育成・登用へとつなげています。開講当初から、代表取締役が自ら受講生との直接対話の機会を持ち、2018年からは、社外女性取締役も参加して受講生に直接エールを送り、女性管理職育成の大きな後押しとなっています。
女性従業員の採用、定着、育成を進めてきた結果、現在では当社の女性採用率は、営業職30%、技術職40%以上を目標としており、2023年度実績では営業職27.7%、技術職38.4%となっています。また、グループ全体の女性正社員比率は29.4%となり、建設業界平均(注4)の約2倍の比率の女性正社員が活躍しています。「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」修了生156人のうち、98人が管理職となり、グループ全体の女性管理職数は342人まで増加しています(2024年1月31日現在)。
現在実行している女性活躍推進諸施策の継続の結果、女性正社員、女性管理職候補数が増加しつつあり、従業員の男女賃金格差縮小に向けて、今後も様々な取組みを強力に推進していきます。
(注)3 310人以上は計画策定時の目標。提出日現在の目標は380人以上。
4 出典:「令和4年度雇用均等基本調査 付属統計表 企業調査 第1表 男女及び職種別正社員・正職員割合」(厚生労働省)
ii) グローバル人財の活躍推進
国籍を問わない人財採用と能力適性を考慮した登用を進めています。海外子会社においては、人員体制強化の観点から、現地採用を積極的に行い、優秀な現地採用者の重要ポストへの登用を進めています。
iii) 障がい者の活躍支援
2024年1月末時点での障がい者雇用率は、当社で3.00%、国内連結会社のうち障がい者法定雇用義務のある28社(当社を含む)で2.97%です。現法定雇用率2.50%を上回る状況ですが、今後も「当社は各本部単位で法定雇用率達成」「グループは各社で法定雇用数の達成」を目標に、積極的に雇用を促進します。
定着の取組みとして、障がいのある従業員とその上司が参加し、所属部署を超えたネットワークを構築し、職場環境改善を図ることを目的として、2015年から毎年「ダイバーシティ交流会」を実施しています。また、2024年4月の改正障害者差別解消法施行に備え、障がいのある従業員10名も参画する計32名のワーキンググループを立ち上げ、接客現場の対応指針「積水ハウスUD(ユニバーサルデザイン)サービスハンドブック」と、住宅展示場をはじめとするお客様向け施設や職場の設計基準「社内施設設計UD指針」を2023年7月に完成させました。当該指針の浸透を図るため、幹部研修、グループ接客担当者に向けたe-ラーニング、WEB研修を実施のうえ、戸建事業部門の全施設でお客様対応の実習を行いました。併せて、グループ全従業員が各部場所単位で参加するヒューマンリレーション研修では、「障がいのある人もない人も共に生きる社会」をメインテーマとして取り上げ、お客様対応や従業員の職場環境に関する理解を深めています。
iv)LGBTQの理解促進
社内のLGBTQ理解促進を図るため、2014 年から毎年、ヒューマンリレーション研修にLGBTQのテーマを設け、学習やディスカッションを継続しています。セミナーやイベントも定期的に開催し、理解者・支援者である社内のアライが増えています。またアライ主導で、社会の理解促進を促す発信も継続し、PRIDE指標において、6年連続でゴールドの認定を受けました。また、「レインボー認定」も2年連続受賞しています。誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の実現を目指しています。
3.多様な働き方の推進
従業員一人ひとりが働く場所や時間にとらわれず、柔軟かつ自律的に働きながら自分の個性や能力を最大限に活かすため、多様な働き方を推進しています。多様な働き方を推進するためには、まず、信頼関係に基づく安心安全な風土が職場に必要であり、全ての従業員が役職や雇用形態にかかわらず、少人数のグループで対話する機会を設け、心理的安全性の高い職場風土醸成に取り組んでいます。これらの取組みについては、当社が行う幸せ度調査の「職場の幸せ力」のスコアによりモニタリングをしています。
また、従業員が育児や介護、治療などによるキャリアロスなく安心して働けるよう、働く場所にとらわれないテレワーク制度や働く時間帯にとらわれないスライド勤務制度(時差通勤制度)などに代表される、両立を支援する制度の整備や情報提供も行っています。
4.幸せの基盤づくり
従業員の幸せの源泉は健康の維持・増進であると位置づけ、「幸せ健康経営」に取り組んでいます。具体的には、ESG推進委員会に設置された社会性向上部会における幸せ健康プロジェクト(2021年6月発足)が中心となり、健康保険組合、外部アドバイザーなどと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案、全従業員への周知・浸透を図っています。AIによる健康診断結果活用サービスや幸せ度調査を活用するなど、「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人(ホワイト500)に4年連続(2020年~2023年)認定されています。
i)家族の幸せ支援
従業員と家族の幸せのため、2018年より「男性従業員1ヵ月以上の育児休業完全取得」(注5)を推進しています。社内全体の意識改革、制度整備、家族や職場とのコミュニケーションツールの開発などを行った結果、2019年2月の本格運用開始以降、期限を迎えた対象者全員(2024年1月末2,618人)が1ヵ月以上の育休取得を完了(2021年4月以降はグループ会社も全員取得)し、育休取得者の配偶者満足度は96.8%と高く、家族の幸せづくりに貢献しています。社外に向けても「日本でも男性の育児休業取得が当たり前になる社会」を目指し、2019年より積極的に情報発信を行っています。2023年には119の賛同企業・団体様と共に発信し、男性育休取得促進の気運醸成に寄与しました。
(注)5 3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得すること
ii)健康づくり支援
当社グループでは、従業員の健康の維持・増進に向けた取組みを重要な経営課題とし、「幸せ健康経営」と名付けています。取締役会傘下のESG推進委員会で承認された年度目標や計画に基づいて取組みを進めています。幸せ健康プロジェクトが、健康保険組合、外部アドバイザーなどと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案をおこない、各事業所と連携しながら全従業員への周知・浸透を図っています。
AIによる健康診断結果活用サービスや従業員の課題別セミナー実施など「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人(ホワイト500)に4年連続(2020年~2023年)認定されています。
iii)幸せ度調査の継続
従業員一人ひとりの幸せの実現のために、2020年11月から、全従業員を対象とした「幸せ度調査」を実施し2023年11月で4回目を完了しました。幸福経営学の第一人者である慶應義塾大学大学院の前野隆司教授の監修により、日本企業で初めて従業員と職場の幸せを多面的に計測、相関性を分析し、幸せを「見える化」しました。この調査結果を振り返り、職場での幸せ対話などの具体策につなげています。
[ベクトルの一致に関する取組み]
・企業理念と戦略を浸透するリーダーの育成
当社グループとしてお客様と社会に幸せを届けるためには、自律した従業員に企業理念と事業戦略を浸透させ、組織力を生み出すリーダーの存在が不可欠であり、そのようなリーダーを計画的に育成することが企業の持続可能な成長には必要です。
組織成果創出力・人財育成力・組織活性化力などの強化のためのマネジメント対象の階層別研修を実施しています。また、支店長・本社部長・工場長などの組織リーダー候補の選抜と育成を目的に2018年から実施している経営塾、2019年にスタートした若手(35歳以下)リーダー候補者を育成する「SHINE! Challenge Program」によって、次世代のビジネスリーダーを計画的に生み出す土壌づくりを継続的に実施しています。2021年からは執行役員、業務役員及びキーポジションの後継者候補を挙げ、全社的かつ多様な視点で透明度の高い議論を行うサクセッションプラン会議を開始しました。候補者全員の個別育成計画を立案し、定期的な進捗確認により、リーダーパイプラインのさらなる充実に努め、後継者候補準備率(注6)をモニタリングしています。また、グループリーダー以上の全マネージャー職を対象に多面観察を実施しています。フィードバックされた結果を基に、マネジメント行動の変革に向けたアクションプランを作成し、定期的なコーチングによる内省を通じてマネジメント力の向上に取り組んでいます。
(注)6 後継者候補準備率:(後継者プールにいる人数÷リーダーのポジション数)×100
・戦略に応じた人財の確保と適正配置
既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う人財確保に努めるとともに、各ビジネスユニットの事業戦略に基づく人財ニーズを把握し、適正配置を実現すべく、持続的成長に必要な人財の採用・育成を計画的に進めています。なかでも、多様性と専門性を強化する方針の下、採用全体に占めるキャリア採用に力を入れ、着実にその数を増やしています。また、リファラル採用をはじめとする多様な手法や媒体を活用しています。2023年度実績は628名を採用し、採用者全体に占めるキャリア採用者の割合は44.0%です(注7)。入社直後からの活躍を支援するオンボーディングプログラムを拡充し早期の活躍を支援しています。
(注)7 集計対象会社は当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。
③リスク管理
人的資本に関するリスクと機会については、人財開発部や人事総務部、ダイバーシティ推進部といった当社関係部署においてリスクと機会の分析、対応策などを検討しており、ESG 推進委員会の傘下にある社会性向上部会にて意見交換の上、部署間の連携を図っています。このプロセスに基づき特定した主要なリスクと機会については、取締役会の諮問機関である ESG 推進委員会において検討した後に、取締役会に報告し、中長期の戦略立案に繋げています。また、当社はグループ内各社が作成したリスクマップをモニタリングし、人財確保に関する事項などの重要事項についてはリスク管理委員会にも報告の上、グループ全体のリスク管理体制の中で検討・管理しています。
当社グループの持続的成長を実現するためには、既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う優秀な人財を国内外で獲得し、雇用を維持していく必要があります。採用競争力が低下した場合や、離職による人財流出が深刻化した場合には、成長力が鈍化し、社会的評価が低下する可能性があります。事業戦略に必要な人財を要員計画策定により明確にし、採用ブランディングの強化、採用活動における募集経路・選考手法の多様化を積極的に進め、年齢、性別、国籍、障がいの有無などによらない人財採用を行っています。
④指標及び目標
人財価値向上を加速させるため、各重点テーマに対し以下の目標を設定して取り組んでいます。
(注)1 集計対象会社は当社。
2 集計対象会社は当社、国内連結子会社。
3 「一級建築士」「1級建築施工管理技士」「FP2級」「宅地建物取引士」を含む業務上必要な11の資格。
4 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱ 、㈱鴻池組とその国内連結子会社。
5 2024年度目標は、当社及び国内連結子会社。
6 集計対象会社は、当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウス ノイエ㈱、積水ハウスリフォーム㈱。
7 集計対象会社は、当社及び国内連結子会社のうち、障がい者法定雇用義務のある28社。
8 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内連結子会社を除く)。多様な幸せを多面的に測って数値化している「幸福度診断 Well-BeingCircle」における、安心安全な風土、信頼関係のある職場の雰囲気、チャレンジを推奨する雰囲気及び職場オススメ度の平均値。
9 実績値のみ公開しています。
10 配偶者アンケートで「良かった」・「まあ良かった」の回答者がアンケート全回答者に占める割合。
11 集計対象会社は当社、国内連結子会社(㈱鴻池組とその国内子会社を除く)。「幸福度診断Well-Being Circle」の34項目の平均値。
12 集計対象会社は当社グループ。
(4) 人権尊重に関する取組み
①ガバナンス
当社グループの企業理念の根本哲学は「人間愛」であり、人を大切にする考え方は企業経営の基盤にあります。
その考え方に基づき、人権デュー・ディリジェンス(以下、「人権DD」)推進体制を整えています。当社の取締役会は、人権方針の遵守及びその取組みについて、諮問機関である「リスク管理委員会」(委員長:代表取締役副社長執行役員 田中 聡)から定期的に報告を受けて、監督しています。
当社グループの人権課題については、ESG経営推進体制における社会性向上部会で、重点課題と方針を決定しています。社会性向上部会に「人権DDミーティング」を設置し、複数の関係部署間で情報共有と連携を進めています。
②戦略
当社グループは、2020年4月に「積水ハウスグループ人権方針」(以下、「人権方針」)を策定し、公表しました。ヒューマンリレーション研修等を通じて国際規範に基づく人権に対する考え方及び取組みについて発信し、全従業員に繰り返し周知しています。また、人権方針に基づき、人権DDのプロセスを事業活動に組み込み、PDCAサイクルにより、取組みを推進しています。
当社グループの事業に関わる人権リスクの評価の見直しは、人権DDミーティングで行っています。
下記のマップの中で赤いポイントが特定した重点課題です。
特定した重点課題:1.職場のハラスメント
2.施工現場の安全衛生
3.サプライチェーン上の労働課題
4.施工現場の外国人就労
特定した重点課題に対応するため、当社グループは以下の取組みを推進しています。
1.職場のハラスメント
職場のハラスメント防止対策については、ヒューマンリレーション推進委員会が中心となって、予防的アプローチと対処的アプローチの2側面から行っています。年間のPDCAは下図の通りです。
2.施工現場の安全衛生
当社グループは施工現場の災害減少に向けた取組みを推進しています。毎年重点テーマを設け、安全活動の基本事項の徹底と実践を継続し、実効性のある対策を定着させることにより安全・安心な施工現場を実現させます。
3.サプライチェーン上の労働課題
当社は2018年に国連グローバル・コンパクトの掲げる、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野10原則を支持・署名したことを機に、日本のローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」のサプライチェーン分科会に参加しています。そして、サプライチェーンにおける調達の取組みとして「CSR調達ガイドライン」を制定し、取引先に発信しています。「CSR調達ガイドライン」には人権や労働の権利の尊重がうたわれており、CSR調達ガイドラインの発信に際しては、併せて「積水ハウスグループ人権方針」の周知も行っています。
取引先には、当ガイドラインの趣旨と内容を理解して遵守すること、及びその取組みに関して、当社による定期的な確認または監査に協力することに同意していただいたうえで、「同意確認書」の提出を要請しています。新規取引先の採用においては、「同意確認書」を提出いただいてから取引を開始しています。
4.施工現場の外国人就労
建設現場においては、国籍・性別に関係なく施工技能者が働いていますが、中でも異なる背景(文化・言語など)を持つ外国人就労者(技能実習生を含む)の就労環境を当社は重視しています。
グループ会社とその施工協力会社の主要3職種の外国人就労者を対象に毎年、就労環境に関するアンケート調査を行い、その回答から、現在の就労環境に概ね不満は少ないと考えていますが、今後も継続して技能実習生との対話の機会を多く設け、得た意見などを活かし、さらなる労働環境の整備に努めます。
③リスク管理
人権課題の内容ごとに関係する部署、事業所、グループ会社など(以下、「関係部署など」)が人権DDを担当し、ステークホルダーとの対話、及び専門家や人権団体からの情報提供・助言を通して収集した情報をもとに、リスクを洗い出し、啓発や対策を実施しています。人権DDに関する情報は、関係部署などから事業部門ごとに共有・集約し、または人権DDミーティングなどで内容の検証を行うことで、全社的な課題の抽出、啓発、改善の取組みに統合・展開していきます。
こうした取組みについては、社会性向上部会が、取締役会の諮問機関である「リスク管理委員会」に定期的に報告しています。
④指標及び目標
当社グループは、リスクマップで特定した重点課題に対応する指標として、以下のKPIを掲げています。
<公開ウェブサイト 人権に関する問い合わせ件数>
2020年4月の「積水ハウスグループ人権方針」策定時より、公開ウェブサイトで、人権に関する問い合わせを外部からも受け付けています。これまで全ての問い合わせに対して、状況確認と対応を完了していますが、問い合わせの中に当社の事業に与える重大な人権侵害は確認されていません。
<セクハラ・パワハラホットライン 取り扱い件数>
(注) 相談内容と相談者の意向をヒアリングし、組織として対応すべき問題と判断して対応した件数。それ以外にも、内容に応じて相談者への助言などの支援を行っています。