2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業に関して、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがある。

これらのリスクは、当社グループにおいて定期的に「洗い出し」・「評価」・「対応策の検討」を行う中で、影響度・発生頻度を踏まえて抽出したものである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであるが、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切かつ迅速な対応に努めていく。

また、ここで抽出した主要なリスク以外にも「取引先の信用に関するリスク」・「保有有価証券の時価下落に関するリスク」等があり、これらについても経済情勢や市場動向を注視しながら早期情報収集を行い、的確な対応に努めていく。

 

主要なリスクの概要

リスク対策

1.品質不良に関するリスク

 当社グループにおいて、設備工事の設計・施工段階及び製品の企画・製造段階における人的ミス等により重大な品質問題が生じた場合、その修復にかかる多額の費用負担の発生、施工遅延・納期遅延による賠償請求の発生や、これらによる取引停止等により、当社グループの信用・評価を大きく毀損することとなり、業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、設備工事においては、工程内検査及び機能確認検査の実施や、不良工事の原因分析に基づく再発防止策により、工事品質の確保に努めている。また、施工した設備の機能・性能はもとより、工事の過程における施工の効率化やコスト管理、安全・環境への対応等を含め、工事全体に対する顧客満足度の向上に努めている。

 製品製造においては、厳格な製品検査を行うとともに、品質状態の分析と改善による、さらなる品質向上に取り組んでいる。

 また、組立保険や賠償責任保険等によるリスクの低減を図っている。

2.法令・コンプライアンス違反に関するリスク

 当社グループにおいて、建設業法、労働安全衛生法をはじめとする関連法規等の違反や、コンプライアンスに反する事業運営や業務処理が行われた場合、刑事罰や取引停止、社会的信頼の失墜、多額の課徴金や賠償請求の発生等により、当社グループの信用・評価を大きく毀損することとなり、業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、「コンプライアンス方針」に基づき、関連法規・社内ルールの遵守、人権尊重、反社会的勢力との関係遮断等の教育を継続的に行うとともに、企業倫理に関する相談・通報を受け付ける「企業倫理ヘルプライン」を社内外に設けるなど、コンプライアンス意識の向上と不適切事案の未然防止・早期発見に努めている。

 また、内部統制の整備・運用状況の有効性を定期的に評価し、当社グループ全体の適正な事業運営を推進している。

 時間外労働の上限規制適用については、適正な労務管理の徹底と働き方改革の取り組みを推進し、確実に遵守していく。

3.受注環境の変化に関するリスク

 当社グループの主要取引先である中国電力グループをはじめとする民間企業及び官公庁の設備投資の減少等、受注環境に著しい変化が生じた場合、受注が確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、新規の技術開発や、顧客ニーズに応えるための提案営業、ZEB化等の省エネ関連工事の拡大に取り組むとともに、早期に営業情報を収集し、企画・設計段階からの事業参画を推進するなど、競争力の強化を図っている。

 加えて、自家消費型太陽光PPA事業の推進など、事業領域の拡大にも取り組んでいる。

 また、施工体制が確立できないことによる受注機会の逸失を防止するため、施工管理者の効率的配置等の取り組みを強化していく。

 

主要なリスクの概要

リスク対策

4.労働災害・交通事故に関するリスク

 当社グループは、建設現場等を多数有しており、安全面を最優先に配慮・対策を行っているが、労働災害・交通事故が発生した場合、人的損失、被災者・被害者への補償、司法・行政による処罰及び社会的信頼の失墜等により、当社グループの信用・評価を大きく毀損することとなり、業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、「安全はすべてに優先する」の理念のもと、安全関連法規や作業手順等の社内ルールに則り業務を遂行するとともに、呼称運転・かもしれない運転の徹底を図っている。

 加えて、重大災害の再発防止に向け、「安全管理強化チーム」を設置し、安全管理や再発防止策の実施・定着状況を確認するとともに、「中電工協力会」と連携して不安全行為の排除指導に取り組んでいる。

 また、感電や墜落等を擬似体験できる「安全実習棟」を当社研修所内に設置し、当社グループ及び協力会社における安全意識・知識の向上に努めるとともに、フェイルセーフの視点による安全装備・設備を積極的に導入・活用している。

5.工事原価の増大に関するリスク

 当社グループは、受注前・施工中における原価検討を重ね、原価の低減と利益の確保に努めているが、材料費や外注費の著しい上昇等により工事原価が増大し、工事請負金額に反映できず採算性が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、集中購買の拡大、材料の早期手配・一括価格折衝により、調達価格の低減を図るとともに、「中電工協力会」を通じた協力会社との良好なパートナーシップによる外注費の急激な変動の抑制に取り組んでいる。

 工事請負金額については、材料費や外注費の市況に応じた適正な金額での受注となるように努めている。

 また、工事の進捗遅延など、工事原価の増大につながる兆候を早期に把握し、迅速に対応していく。

6.人材確保・育成に関するリスク

 当社グループの主要事業である設備工事業では、新規入職者の減少や高い離職率によって高齢化が進み、将来の担い手確保が喫緊の課題である中で、必要となる国家資格や技能を有する人材が確保できない場合、施工能力不足により売上が確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。 

 

 当社グループは、職場見学、研修所見学会など学生に向けた事業内容のPR活動や、奨学金返還支援制度など福利厚生の充実を図り、定期採用者の確保に努めている。

 加えて、中途採用による即戦力強化も推進している。

 また、組織内のコミュニケーションの活性化やワーク・ライフ・バランスの充実等により、若年者の離職率低減と、さらなる労働意欲の向上に取り組んでいる。

 人材育成では、OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせ、業務知識の向上、技術・技能習得及び社外資格取得のための教育を実施し、高度な専門性を備えた人材の早期育成に努めている。

 

7.M&A・出資参画事業に関するリスク

 当社グループは、主要事業である設備工事業を中心に、事業拡大や競争力強化を目的として、M&Aや事業出資への参画等を行っている。

 しかしながら、事前の調査・検討にもかかわらず、買収した事業や出資した事業等が計画どおりに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、「M&A投資基準・評価に関するガイドライン」に基づき、事業投資に際しては外部専門家の評価・意見を踏まえて主管部と関連部で協議を重ね、投資効果や経営戦略との整合性を慎重に検討したうえで、投資の可否を判断している。

 出資後は、出資先の事業計画や決算見通し・実績の状況を確認し、必要により当社社員を派遣して支援を行っている。

 

 

主要なリスクの概要

リスク対策

8.情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、取引先情報や機密情報を保有している中で、近年、不正なアクセスやサイバー攻撃を受ける事案も発生している。

 業務上の情報が人的ミス、技術的過失及び不測の事態により外部漏洩もしくは消失した場合、多額の賠償請求の発生や取引停止、社会的信頼の失墜等により、当社グループの信用・評価を大きく毀損することとなり、業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、定期的に小型記録媒体やメール等による業務情報の持ち出しの確認を行うとともに、情報管理の重要性や不正なアクセスへの対処等に関する教育・研修を行い、情報漏洩防止に努めている。

 また、セキュリティが確保された外部サービス(クラウドサーバ等)を活用してデータをバックアップし、各種情報の消失防止に努めている。

9.自然災害等に関するリスク

 当社グループは、国内及び海外に多数の事務所等を有している。

 地震、津波、台風等の大規模な自然災害や、新型ウイルス等の感染症のまん延により、社員や施設への直接的な被害のほか、流通・交通網の遮断や混乱、さらには社会・経済の停滞・混迷等による間接的な被害を受ける可能性もある。

 このような場合、事業活動の中断・遅滞等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

 当社グループは、危機管理マニュアル等に基づき、危機の未然防止及び非常時の初期対応や連絡体制・対策本部の設置など、有事の際の危機管理体制を構築している。

 また、大規模災害に備えてBCP(事業継続計画)を策定しており、事業を中断することなく電力網等のインフラや公共設備の復旧といった当社グループの社会的使命を全うできるよう、社員の安否確認や緊急連絡体制の確認訓練、災害発生時を想定した対応訓練に取り組んでいる。

 感染症に対しては、感染予防策やまん延防止措置などの対応を適時適切に行い、社員の安全と必要な業務が継続できる体制を確保していく。

10.気候変動課題への対応に関するリスク

 当社グループにおいて、気候変動課題に対する取り組みが不十分な場合、ステークホルダーからの評価が低下し、企業価値や競争力を毀損する可能性がある。また、各種規制の強化や炭素税の導入等がなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 当社グループは、「環境方針」に基づき、気候変動の緩和に向けたカーボンニュートラルへの取り組みなど、環境に配慮した事業活動を推進している。

 また、気候変動が事業にもたらすリスク及び機会の把握、財務に与える影響の分析を実施し、TCFD提言に基づく情報開示を行っている。

 

配当政策

 

3【配当政策】

当社の利益配分については、次の「資本政策の基本的な方針」に基づき行うこととしている。

〔資本政策の基本的な方針〕

当社は、通常の運転資金と突発的なリスクへの対応を考慮した上で、持続的な成長のための投資に内部資金を活用するとともに、業績や経営環境等を総合的に勘案し、株主還元を充実していくことにより、中長期的な企業価値の向上を目指す。

 (1)持続的な成長のための投資

事業の拡大、人材育成・研究開発強化等、将来の成長に繋がる投資に内部資金を有効活用する。

 (2)株主還元の充実

業績等を踏まえつつ、持続的・安定的な配当を行う。

また、経営環境等を総合的に勘案した上で、必要に応じて自己株式取得を実施する。

 

当社は、上記方針に基づき、持続的・安定的な配当を行うことを重視し、DOE(連結株主資本配当率)2.7%を目処に配当を行う配当方針としている。
 支払いについては、定款の定めに基づく取締役会決議による中間配当及び株主総会決議による期末配当の年2回を基本としている。
 これにより、当期の期末配当金は、1株当たり52円となり、当期の年間配当金は、中間配当金1株当たり52円と合わせて1株当たり104円としている。
 第109期の年間配当金については、配当方針及び業績予想等を踏まえ、120円を予想している。その内訳は、中間配当金が1株当たり60円、期末配当金が1株当たり60円である。

 

第108期の剰余金の配当は以下のとおりである。

 

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年10月31日

取締役会決議

2,850

52

2024年6月25日

定時株主総会決議

2,818

52